破壊神キッテル(キッテル回想記『空の王冠』三次創作) 作:ダス・ライヒ
「はっはっはっ! ウォーミングアップにもならねぇな!!」*1
一方、ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテルの命を狙うために襲来したデストロン軍団のナンバーツーであるスタースクリームは、自分を迎え撃つために展開してきたVF-2SSバルキリーⅡやVF-25Aメサイア、VF-31Aイカロスを初めとした高性能バルキリー群をいとも容易く撃墜し、防衛艦隊の蹂躙を始める。
ワルキューレ宇宙軍の防衛艦隊は、単独で迫るF-15戦闘機形態のスタースクリームに決死の迎撃を行うが、圧倒的な力を持つスタースクリームの前には敵わなかった。
「肉ケラ共が! 俺たちトランスフォーマーの真似なんぞしやがって! 俺たちに敵うはずがねぇだろうが!!」
艦隊や艦載機を蹂躙する中、スタースクリームはロボット形態に
これにより防衛艦隊は壊滅的被害を負い、生き残った艦艇と艦載機は撤退を余儀なくされる。
数機のVF-2SSと、VF-25A、VF-31Aが何としてもスタースクリームを止めようと、編隊を組んで攻撃したが、圧倒的な強さを持つデストロン軍団のナンバーツーには敵うことはなかった。
VF-2SSは三機編隊となって見事な連携でスタースクリームを攻撃するも、彼の必殺技であるナルビーム光線を受けて二機が行動不能となり、とどめのレーザー攻撃を受けて撃墜される。一機はこれを避け、バトロイド形態となって頭上を取ったが、攻撃を避けられてレーザー攻撃を受けて撃破された。
「次に死にたい奴はどいつだ!?」
三機のVF-2SSを葬り、挑発してくるスタースクリームに対し、VF-25AとVF-31A、それぞれ三機編隊は左右より襲い掛かる。
ガンポッドやビーム、ミサイルを撃ち込むが、スタースクリームはこれらをF-15に変形して軽やかに避け、六機とドックファイトに始める。
一機対六機、勝つのは後者であるはずだが、前者はあのスタースクリームである。後ろを取ったはずのVF-25Aは、ロボット形態にトランスフォームしたスタースクリームに撃墜され、残る二機は一機を囮にしてもう一機が撃墜をしようとする二機編隊の戦法を取るも、敵うはずがなかった。
VF-31Aの編隊も同様に撃墜され、後ろを取られたVF-31Aは特徴的な武装であるコンテナパックのビームガンポッドで迎撃するも、あっさりと避けられ、連発したレーザー攻撃でハチの巣にされてバラバラとなる。
「へっ、この俺様にそんな物で敵うと思ってんのか?」
ロボット形態に戻ったスタースクリームは、デブリだらけとなった衛星軌道上にて、キッテルが居る真下の惑星に視線を移す。次は自分のナンバーツーの座を脅かすキッテルである。
「さて、次はお前さんの番だぜ、キッテルよ。細かくミンチにして、ハンバーグにしてやるぜ!」
そうこの場に居もしないキッテルに勝利宣言した後、スタースクリームは惑星に降下した。キッテルの命を狙うべく。
スタースクリームこと派手な色のF-15戦闘機襲来の報を聞き、急いで基地へ戻り、三機の僚機を伴ってVF-31Sジークフリートに乗って現場へ急行するキッテルであったが、僚機の一機が撃墜された。
「っ!? ラング三!」
レーザー攻撃を受けて火を噴きながら墜落していくVF-31Aを見たキッテルは、直ぐに前方を視線に戻し、レーザー攻撃を続ける派手な色のF-15戦闘機に集中する。照準器に捉えれば、直ぐに僚機と共にミニガンポッドを発射するが、容易によけられてしまう。そればかりか、去り際に僚機がまた撃墜されてしまう。
「なんだこいつは!? 強いぞ!」
「当り前よ! お前を殺しに来たんだからな!!」
「戦闘機が喋った!?」
編隊の後方へ通り過ぎた以上に強いF-15にキッテルは戦慄を覚える中、更には喋ったことに驚きの声を上げる。それも当然である。この派手な色のF-15戦闘機はスタースクリームなのだ。そのスタースクリームは再び攻撃を仕掛けようと旋回してくる。
また僚機がやられてしまうかもしれないので、キッテルはスタースクリームが旋回してくる前に、僚機に離脱を命じる。
「離脱しろ! こいつはお前ではやれん!」
『りょ、了解!』
「冥途の土産に教えてやるぜ! 俺様の名はスタースクリーム! 貴様をぶち殺しに来たのよ!」
この旋回で確実に仕留めようとしているのか、スタースクリームは名乗り上げる。
無論。ただでやられてやるキッテルではない。機体をバトロイド形態に変形させ、レーザー攻撃を両腕のピンポイントバリアで防御する。スタースクリームが横を通過すれば、直ぐに機体背部のコンテナパックのビームガンポッドを撃ち込む。
スタースクリームも同様にこれを躱し、ロボット形態にトランスフォームしてホバリングした後、改めて宣言する。
「中々やるな! それでこそ殺し甲斐があるぜ! 改めて言うぞ! ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテル! 貴様は我がデストロン軍団の脅威となったのだ! このデストロンのナンバーツー、航空参謀のスタースクリーム様が直々に貴様を地獄へ送り返してやるぜ!!」
「ロボットになった!? 口が動いている!?」
お前を殺すと宣言するスタースクリームであるが、それよりもキッテルは戦闘機がロボットになり、人間のように喋って意思を持っていることに驚いている。
キッテルは初めてトランスフォーマーを見たのだ。自分をの命を狙いに来たスタースクリームよりも、喋るロボットの方が驚きのであるのだ。
「何を呆けてやがる? そうか、トランスフォーマーを見るのが初めてなんだな? まぁいい。このままぶっ殺してやるぜ! ナル光線を食らいな!」
始めてみる機械生命体に驚いているキッテルに対し、スタースクリームは容赦なく自分の必殺技である機械の機能を一時的に麻痺させるナルビームを発射する。この初弾をキッテルは躱し、機体をガウォーク形態に変形させ、ミサイルによる反撃を行う。
「はっ! その程度のミサイルで、俺様をやれると思ってるのか!? 甘いぜ!!」
発射されたマイクロミサイルに、スタースクリームは余裕で避ける。体を回転させて避け、時には両肩のレーザー砲でミサイルを迎撃し、発射されたミサイル全てを破壊した。
圧倒的なスタースクリームの強さに、キッテルは戦慄を覚える。今までの敵とは訳が違う、違い過ぎる。最新鋭機に乗るブラックグリフィンことジェンソンなど、あのスタースクリームは前では赤子も同然だ。初めて戦う戦闘機に変形する機械生命体に対し、キッテルは蘇って初めてか、それか人生初の勝てるかどうかの不安に駆られる。
「この敵、今までの奴とは違い過ぎる…!」
「肉ケラ同士の戦いじゃこんなのは味わったことがねぇってか? はっ! お前ら下等な肉ケラ共がトランスフォーマー、いや、この俺様に敵うわきゃねぇんだよ! 死ね!!」
「うわっ!?」
人間は我らトランスフォーマーには敵わない。
そう宣言したスタースクリームは、防衛艦隊を蹂躙した胸部のミサイルポットを発射した。突然、発射されたミサイルに、キッテルは驚きつつも、機体をファイター形態に変形させて向かってくるミサイルを回避しようと試みる。トランスフォーマーのミサイルは、人類が作るミサイルとは違い、デコイのフレアにも反応せず、破壊されるか、目標に当たるまで追尾し続ける。*2
「この俺様のミサイル攻撃から逃れようと言うのか? 馬鹿め、逃げられんわ! なんたって金魚の糞みてぇにしつこいからな! はっはっはっ!」
自分の放ったミサイルから必死に逃れようとするキッテルを、スタースクリームは嘲笑う。
どうせ逃げられないと思っているのだろう。だが、いくつもの苦難をキッテルは乗り越えてきた。彼は諦めず、自分の腕を信じて必死にミサイルを躱すか、迎撃している。数十発のミサイルに、キッテルは弱気を見せることなく、冷静を保って逃げながらミサイルを迎撃している。
数分以上もミサイルに追尾されていたキッテルは、機体の迎撃兵装を巧みに駆使してスタースクリームが放った全てのミサイルを迎撃した。これには、スタースクリームも驚きを隠せない。
「なっ、なんだってんだ一体!? 俺様のミサイルを全部撃ち落としやがっただと!? 何かの間違いに違いね! 肉ケラ風情が、この俺様に敵うわきゃねぇんだ!」
ミサイルを全て撃破されたことに、スタースクリームも殺そうとしているキッテルと同じ動揺を覚えるが、それを振り払って戦闘機にトランスフォームし、VF-31Sに襲い掛かる。
「はぁ、はぁ…! 来るか!!」
仕掛けてくるスタースクリームのレーザー攻撃に、ミサイルを避けるために全神経を注ぎ、息を切らしていたキッテルは再び集中して操縦桿を動かして回避する。回避するのに全力を注いでいるため、必然的に背後へ回られ、追撃を受ける。一方的に、スタースクリームに撃たれているのだ。
時に背後を狙える四門のレーザー砲やウェポンコンテナのビームガンポッドでスタースクリームを追い払おうとするが、何処から来るか分かっている背後の派手な色のF-15戦闘機は笑いながら躱し、レーザー攻撃の手を緩めない。
「はっはっはっ! 馬鹿が! そんなちゃちな迎撃兵装でこのスタースクリーム様を斃せるものか! 死ね!!」
迎撃してくるキッテルに対し、スタースクリームは敵の動きを止めるナルビーム光線を発射する。背後からのナルビーム光線を撃たれれば一溜りもないが、キッテルは急降下して躱し、インメルマンターンを決めてスタースクリームに反撃を行う。
「なに!? この俺様に当てやがっただと!? ふざけやがって! 死にやがれ!!」
反撃で使った兵装はミニガンポッドだ。この掃射を胴体に受けたスタースクリームは、自分より劣るはずの肉ケラたるキッテルに当てられたことに腹を立て、ロボット形態にトランスフォーマーして両腕のレーザーを乱射する。
この乱れ撃ちをキッテルは操縦桿を巧みに動かして躱し、近付いたところで機体をバトロイド形態に変形させ、両腕の実体剣であるコンバットナイフを展開してスタースクリームを斬った。
「ぐわぁぁぁ! 俺のボディに傷をつけやがって! クソが!!」
胸を斬られたスタースクリームは痛みの余り声を上げるが、怒り任せに反撃の蹴りをキッテルのVF-31Sに食らわせて吹き飛ばした。トランスフォーマーの蹴りは凄まじい物だ。蹴り飛ばされたキッテルは何とかスラスターを吹かせ、追撃のレーザー攻撃を躱して機体をガウォーク形態に変形させ、避けながら反撃を行う。
「っ!? 対空砲火! これは味方の物ではないな! 知らぬ間に反乱軍の制空圏内に入ったか!」
「うわっ!? 邪魔をしやがって! 肉ケラ共が!」
スタースクリームの激闘を繰り広げている最中、いつの間にか反乱軍の勢力圏内に入ってしまったようだ。
空中戦を繰り広げている両者を見付けた反乱軍は、直ぐに対空砲火を行って迎撃を試みるが、全く当たることはない。対空砲火が止めば、スクランブル機がキッテルとスタースクリームに襲い掛かる。連邦軍より供給されたバルキリー・ハウンドだ!*3
両者を発見したVH-3の十五機編隊は警告することなく、主翼に搭載しているミサイルを照準次第、躊躇うことなく発射した。
『くたばれ! アバズレが!!』*4
反乱軍のパイロットは罵声を言いながら、キッテルのVF-31Sにミサイル攻撃を行うが、あっさりと避けられて逆に三機が撃墜されてしまう。
スタースクリームの方を当たった編隊は、全機がロボット形態に変形し、包囲して集中砲火を浴びせているが、相手はデストロン軍団ナンバーツーの航空参謀だ。返り討ちに遭い、瞬く間に全機が撃墜された。
「お前らが作ったガラクタなんぞが、このスタースクリーム様に挑もうなんざ、一千万年早いんだよ!」
そう言って連邦製可変戦闘機を一蹴したスタースクリームは、再びキッテルを狙おうとするが、彼はその隙に反乱軍の基地内に逃げ込んでいた。直ぐに有象無象に湧いてくるVH-3を撃ち落としながら、スタースクリームはキッテルの後を追う。
逃げているキッテルにも有象無象の敵機が襲来し、攻撃してくるが、これよりも強い敵と交戦している彼には全く敵わず、撃墜されるばかりだ。
二人の戦いに巻き込まれた反乱軍は戦力をズタズタにされた挙句、基地内を荒らされるばかりだ。早く追い払おうと味方を巻き込む勢いの対空弾幕を行うが。両者とも戦いながらこれを避けている。並大抵の物ではない。
「しつこい野郎どもだ! 死に晒せ!!」
余りにもしつこい攻撃してくる反乱軍に対し、スタースクリームは周りにレーザーを乱射し始める。壁にバトロイド形態で身を隠していたキッテルは、操縦桿を動かして飛んでくるレーザーを避ける。反乱軍は周囲に乱射されたレーザーで一掃され、動いているのはキッテルのVF-31Sとスタースクリームのみだ。
この反乱軍を一掃した際にエネルギーを消耗したのか、スタースクリームは両手をかざして空のキューブを三つほど作り始める。*5
「何をしている?」
自身もシステムで機体の応急処置をしているキッテルはカメラでスタースクリームが空のキューブを作り、そこに機体の残骸から出ているガソリンを注いでいる。ガソリンが注がれた空のキューブはピンク色に輝き始める。これはエネルゴンキューブと呼ばれるトランスフォーマーに必要なエネルギー、人間でいえば、生きるのに必要な栄養分だ。それを残り二つに注ぎ、一つ目を持って飲み始める。
「無駄にエネルギーを消耗しちまったぜ。この肉ケラ共の所為で、途中でへばっちまったら元も子もねぇや。今のうちに、エネルギーを補給しねぇと」
「今だ!」
そう言ってスタースクリームがエネルゴンキューブを飲んで補給する中、キッテルは攻撃を仕掛けるチャンスだと判断して、機体の応急処置が終われば、直ぐに行動に出た。
一番強力なビームガンポッドを手に持たせ、遮蔽物としていた壁から飛び出し、エネルギー補給中のスタースクリームに照準を合わせ、今までやってきた通りにトリガーを押し込んだ。
「なにっ!? うわぁぁぁ!!」
補給中のところを狙われたスタースクリームは、発射された三発ものビームを胴体に受けた。そればかりではなく、流れ弾が置かれていたエネルゴンキューブにも命中し、その爆発に巻き込まれてスタースクリームは吹き飛ぶ。
「ぬわっ!?」
三つ目のエネルゴンキューブにも誘爆したところで、キッテルにも爆風が襲い掛かり、彼が乗るVF-31Sも吹き飛ばされる。
近くでエネルゴンキューブの爆発に巻き込まれたスタースクリームは基地の外の砂漠まで吹き飛ばされ、砂塵の上に叩き付けられた。爆発のダメージはキッテルのVF-31Sよりも凄まじく、関節も機能にも異常が出ていた。とても戦闘ができる状態では無く、早く修理をしなくてはならないのだ。
「畜生、間近で爆発した所為で、関節も照準機能も色んなのが滅茶苦茶だ! とても戦闘ができる状態じゃねぇ! ここは退くしかねぇか…!」
なんとか立ち上がったスタースクリームは撤退する他ないと判断し、戦闘機にトランスフォームしてこの惑星から撤退する。
「次こそは覚えてやがれ! 必ずぶっ殺してやるからなーッ!!」
捨て台詞を残し、スタースクリームは撤退した。
いま追えば確実にスタースクリームを斃せるが、今のキッテルのVF-31Sも同様に戦闘不能状態に近く、追撃ができる状態では無かった。
「追撃したいところだが…今の私の機体も戦闘ができる状態では無いか…。しかし、今までの敵とは違い過ぎる。あのスタースクリームという喋るロボットは、どのパイロットや私の妻よりも圧倒的だ。あんなのがゴロゴロとしているとなると、ゾッとするな」*6
追撃を諦めたキッテルはヘルメットを脱ぎ捨て、飲料水を口にして気分を整えた後、スタースクリームのような敵とあまり戦いたくないと口にする。
キッテルにそれを言わせるほど、スタースクリームは強過ぎたのだ。彼がエネルギー補給をしているからこそ勝てたのだが、反乱軍の基地に逃げ込まず、普通にスタースクリームと戦っていれば、結果は最悪な方に転がっていただろう。最悪な結果、つまりキッテルの敗北だ。
「さて、またあんなのが来るかもしれない。早く帰投して補給をしなくては。機体の修復もな」
何とかスタースクリームを撃退したキッテルは、出撃した飛行場へと帰投した。
キッテルとスタースクリームの死闘。その戦いを、宇宙より眺めている一団があった。メガトロンが率いるデストロン軍団である!
「スタースクリーム、撤退ヲ確認。攻撃シマスカ?」
「いや、良い。これでキッテルの実力は分かった。奴は余の右腕として相応しいと存在と言うことがな」
スタースクリームが自軍の基地へと逃げていくのを確認したサウンドウェーブはワルキューレの惑星を攻撃するかをメガトロンに聞くが、彼はキッテルが自分の右腕に担うかどうか確認しに来ただけなので、攻撃はしないと答える。
殺しに来たスタースクリームを、辛うじてではあるが撃退に成功したキッテルを是非とも右腕として出迎えたいメガトロンはさっそく基地へ戻り、その準備をしたいと告げて帰投を命じる。
「では、奴を出迎える準備をしないとな。デストロン軍団、基地へ帰投するぞ!」
メガトロンがそれを命じれば、破壊のトランスフォーマーの集団であるデストロン軍団は基地へと帰投した。キッテルをデストロン軍団に出迎えるために。
政宗一成「メガトロンに気に入られ、いつも裏切るスタースクリームの後釜に任命されたキッテル。
果たして、キッテルはメガトロンの勧誘を断れるか?
今ここに、キッテル対デストロン軍団との戦いが始まる!」
BGM聞きながら執筆すると、結構進むな。
皆さんもどうです?