この小説は、原作 デート・ア・ライブの続編という立ち位置で執筆しています。オリジナル精霊やオリジナルキャラも登場する予定なので今後の展開にご期待ください。
周りを見渡せば崩れた家やビル、助ける人の声、動物の鳴き声が聞こえる。
ふと横を見やると、そこには額から血を流し私を抱いて守るように息を引き取った青年がいた。
少女は恨んだ。このような戦いを起こした元凶。本来ならば臨界に存在し、こちらの世界に来ることない者。
精霊。その精霊と呼ばれる特殊災害指定生命体が今まさしく私の上空で跡形もなく消し飛んだ街を見ていた。
手を伸ばし上空の精霊を掴もうとする…しかし少女の手は届かない。でも届かせたい。そんな願いを持つ少女の横に小さく、光り輝く宝石が落ちてきた。
セフィラ…通称:霊結晶とも呼ばれるその宝石は手にしたものを精霊に変える力があるとされている。少女は迷いなくその霊結晶を手に取ると自分の胸に置き、こう願った。
「私の大切な物を奪わせない。そして…精霊を殺し尽くす」と。
そして少女は”精霊を殺す精霊”になった。
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時は過ぎ、始原の精霊との決戦から約二年たった春。冬の時期には殺風景だった並木通りに植えられている桜の枝には小さく、開花の準備を始める蕾が見受けられるようになった。
このままもう少し、気温が上がって行けば満開はもう目と鼻の先だろうとリビングから制服姿の五河士道は思っていた。
週間天気予報でも早くて一週間後には満開を迎えるという。桜にとっては非常に嬉しい気象条件であった。
そして春といえば小中学生、高校生は新しいクラス、大学生や新社会人は新たな生活に足を踏み入れる季節でもある。その為か、テレビのCMも「新社会人応援キャンペーン」と題してお得な商品を必死に宣伝している。
まぁ…士道の家には必要なものはあらかた揃っている為、買う必要なんて無かったはずなのだが思わぬ誤算が生じた。
それは同じく士道と同じ大学に入った夜刀神十香、鳶一折紙、八舞耶倶矢、八舞夕弦、時崎狂三の五人だった。この五人はこの世界において特殊災害指定生命体、通称:精霊と呼ばれる少女達であり、数年前まで発生原因、確実な殲滅方法が分からなかった。
そして彼女達だけが保有する始原の精霊に由来する天使と霊装はその強大な力故、彼女達は世界を殺すとも言われていた。だが、二年前に起きた始原の精霊との決戦以来力を失っており、精霊化は出来なくなっていた。
士道達が入った大学はノートパソコンが必需品で士道本人は運良く持っていた為、購入を避けれたが十香達はそもそもパソコンすら知らない為、買わなければいけないのだった。
十香「シドー、どのパソコンがいいのか分からぬぞ!!どうしたらいいのだ!!」
不意に名前を呼ばれ声のした方を振り向くと、そこには宵闇色の長髪をポニーテールに結い上げた絶世の美少女が家電量販店のチラシを見ながら呻いていた。彼女こそが世界を殺すとも言われた精霊の一人。
夜刀神十香。出会った当初は名前がなかった為、夜刀神はかつてラタトスクの解析官であった村雨令音が、十香は士道本人がつけた。
理由としては十香と出会った日が数年前の今日、四月十日だったと言うだけの安直な理由だけだった。
士道「そう言われてもなぁ…実際に見て見ないと分からないし、学校に持っていくのを考えると軽いのにしないといけないしな。」
耶倶矢「我が眷属よ。その事なら安心するといい!!この私に選べないものなどないからな。」
そう言いながら十香の持ってたチラシを持ち眺めるのは、高校の修学旅行先で出会った精霊。八舞耶倶矢。本来なら八舞という一人の精霊だったらしいのだが、何度目かの現界の際に分裂し今の状態になったという。
因みにもう片方の名前は八舞夕弦と言い、何かを言う前に二文字の言葉が必ず入る。鳶一折紙の事をマスター折紙と呼び尊敬している。
耶倶矢「結局どれが良いのか分かんないし!!どうすんだし!!」と声を荒らげて机に突っ伏した。やはり商品に目移りして負けたらしい…
士道は「あはは……」と言いながら頬をかく。それを横目で見ている彼女に目が行く。
鳶一折紙、幼い時に両親を亡くしており。両親を殺した精霊を討つためにASTに入るも自分自身が親の仇だと知り、絶望した事もある。最後は士道に救われた精霊の一人。
折紙「やはり小型で高性能なパソコンに限る。でもそれを選べば士道の負担が増える。どうするべき?」
夕弦「提案。マスター折紙、これ等どうでしょう。」
そう言いながら夕弦が指を指したチラシには、「学校や仕事場への持ち運びに最適なPCはこちら」と書かれたところに写っていた2台のノートパソコンだった。
折紙「性能も中々、金額も丁度いい。これなら一人一万円出していけば買える。」
士道「ん…そうだな。最低、一万五千円あれば大丈夫なはずだ。」
無事に買うものが無事に決まり皆が一安心してる中、士道の前に座る少女が口を開いた
狂三「随分と時間が掛かりましたわね。士道さん?あれこれ二時間くらいはこの話題だけで過ぎていますわよ。お店の開店時間まで三十分もありませんわ。」
リビングの壁に掛けられた時計を見ながらそうため息混じりに言葉を発するのは黒髪を左右非対称で結び、左目だけ前髪で隠している少女。
彼女も元精霊であり、名前は時崎狂三。士道が会った中で唯一力を封印できなかった最凶の精霊。かつては時間を操る天使である、刻々帝(ザフキエル)を使い士道を過去や未来に飛ばしたり、相手の時間を止めたりしていた。しかし他の精霊と同じく始原の精霊との戦い以降、霊力を失っていた。
士道「本当だ。みんな、すぐ出るから準備を………あれ…」
士道が言葉を言い終わる前に皆は支度を済ませ、外に出ていた。それ程に今日が待ち遠しかったのだろう。普段は大人しいあの折紙でさえ、支度を済ませ外で待機していた。
ガラス越しに士道を見つめながら………
士道「アノ………オリガミサン?な…何をしているので…」
士道は頬に汗を浮かばせながらガラス越しに顔を押し付けて見つめる折紙に問う。
折紙「くふのほふぁっている(来るのを待っている)」
ごにょごにょとしか聞こえなかったが、大体言いたいことは分かっていた為、士道は大急ぎで支度を済ませ外に出た。
外は快晴で風が少しばかり吹く非常に過ごしやすい感じがした。風が吹くたびに、早咲きした桜の花びらが宙を舞って地面にヒラヒラと落ちる。士道はそれを取りポケットの中に入れた。そして歩きだそうとしたその時
「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
天宮市全域にけたたましく鳴り響くそれは二年前まで幾度となく聞いた警報。空間震警報そのものだった。もう鳴らないはずだった警報に驚きを隠せない士道達は、はるか上空の空間が大きくゆがみ始めたのを静かに見つめる事しか出来なかった。そして次の瞬間、大きな衝撃波と共に周りの家や、マンション、交通機関等を跡形もなく消し飛ばした。そう、まるで…”あの時のように”
デート・ア・ライブII 一宮スタート いかがでしたか?
初めての小説投稿でだいぶ読みずらかったりとあるとは思いますが、今後の展開にご期待いただければと思います。それでは次回の作品でお会いしましょう
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