デート・ア・ライブII 一宮スタート   作:綾風 零華

4 / 4
長文執筆に慣れてきて時間を忘れてしまうほど没頭するようになってきました。この調子で矛盾しないようにストーリーを作っていきたいと思います。


第4話「眠りから覚める女王(プリンセス)」

"一人の女王(プリンセス)が大剣を持ってその一撃を相殺した"

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

少女は呆然と目の前でやられていく精霊を見ていた。次の瞬間、一人の精霊が敵精霊に飛ばされ、戦闘不能に陥ってしまった。それでも、彼女は動けなかった。身体が言うことを聞かない。

 

そう、身体が現実から目を逸らし続けてしまう。再び、こんな日常が来てしまったことに驚きや不安…色々な感情が少女の心を推し潰そうとする。

 

「降参?きっひひひひひ。私達が貴方に降参するはずありませんわ。」

 

「そう、貴方に降参するはずがない。士道や、他の精霊達、ここに住む人々の為に」

 

ボロボロになりながらも敵精霊と交戦する二人の精霊。その精霊に敵の強力な一撃が振り下ろされるその刹那。

 

少女の身体は自然と空を舞い、敵の強力な一撃を手にした天使で相殺した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「くっ………っ!?」

 

「私達は…確かにあの攻撃を食らったは…ず……これはどういうこと」

 

狂三と折紙は霊力でバリアを貼って攻撃を防ぐ体制に入っていたが、襲ってきたのは並の人間では立っていることさえ出来ない程の強力な衝撃波とその際に地面から舞い上がった土煙だけだった。

 

「折紙、狂三…大丈夫か。」

 

そう声を掛けるのは、紫の公女型霊装をまとい、精霊として完全な姿に戻った精霊:夜刀神十香だった。十香は敵精霊の強力な一撃を左手で受け止めており、右手に持つ天使:鏖殺公(サンダルフォン)で敵をその場から立ち退かせた。

 

「二人とも、待たせてしまったな。もう大戦局を高台から見つめる士道と吹き飛ばされた八舞姉妹の救出に向かった。

 

「貴方も邪魔立てすると言うの…私の願いの成就を!!」

 

敵精霊は神絶魔王(イェツェールサタン)を振るい鏖殺公(サンダルフォン)と激しい鍔迫り合いをする。

 

「貴様こそ、その願いを叶える前にこの街の有様を見てみろ!!小さな子供から大人までもが…逃げることさえ叶わず、貴様の暴虐な迄の力の犠牲になったんだぞ!!」

 

十香は神絶魔王(イェツェールサタン)をはじき、右から左へと鏖殺公(サンダルフォン)を振るい、衝撃波を繰り出す。

 

「それがどうしたというの!!願いを叶えるにはそれ以上の犠牲が必要なだけ!!」

 

ぶつかり合う魔王と天使。強力な一撃が幾度となく両者から繰り出され、そして、互いにその攻撃を避け続ける。

 

「お母さん……何処にいるの…」

 

一人の子供が泣きながら更地と化した街を歩きながら母親を探していた。そして、ボロボロになった廃ビルの近くで力尽きたのか座り込んでしまう。

 

その瞬間、後ろのビルが大きな音と共に崩れ、子供の座っている場所に瓦礫が迫る。

 

「鏖殺公(サンダルフォ……)」

「神絶魔王(イェツェールサタン)!!」

 

十香が鏖殺公(サンダルフォン)を振るい、衝撃波を生み出すより早く、謎の精霊が神絶魔王(イェツェールサタン)を投擲し、瓦礫を粉砕し子供を助けた。

 

「あ…ありがとう。お姉さん…。」

 

「すぐにここから居なくなって………危険だから。」

 

敵精霊は子供を離し、再度、神絶魔王(イェツェールサタン)の刃先を十香に向ける。

 

「貴様…本当は人間が好きなのだろう?」

 

十香は敵精霊にそう言葉を投げかける。それもそのはず、敵精霊は見ず知らずの子供を助けた安全なところまで行くのをずっと見つめていたからだ。

 

普通の人助けなら、道を教えるなどの初歩的なものが思いつくが、敵精霊は明らかにそれ以上の事をしていた。まるで"精霊になる前から人助けをしていた"ような感じだった。

 

「そうよ。人が大好きなのよ…でも、あの大火災は多くの人を失う羽目になった…挙句の果てには助けられてしまった…。だから、私はその大火災を起こした精霊も…その時、この世界で過ごしていた精霊も殺す。その為に、精霊になったのだから!!」

 

敵精霊は神絶魔王(イェツェールサタン)を全力で振り下ろし地面に亀裂を発生させ十香を亀裂の奥深くに叩き落とそうとした…が、十香はその亀裂を軽々と飛び越え敵精霊の神絶魔王(イェツェールサタン)を鏖殺公(サンダルフォン)で押さえつけた。

 

「だからと言って…この街に住んでいた人々を巻き込む必要があったか!!よく考えてみろ!!」

 

「……………っ!?」

 

十香の言葉に敵精霊が反応したのもつかの間、突然周りを見渡し頭を抑え苦しみ始める。その動きはまるで"何者かからの支配から開放された"ような感じだった。そして、敵精霊は口を開く

 

「私は………一体何を…人々を殺めたと言うの…自分の願いの為に?あの大火災より多くの人間を…?この力は人々を救うものじゃないの………」

 

その時、敵精霊の記憶にノイズに混じって凛とした声に白いドレスを身にまとった精霊。"あの精霊"と呼称される彼女との会話が思い出されていく。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「この力は、…々を救うものだ……。これ……を振……る…ば、人々……救われ……て、邪……者…精霊…………と攻……食……う。さぁ、本気で………力を振………い……よ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「私は……私は何をしたの…この力で…この力で何をしてしまったの!!…私はただ…願っただけ…"大火災で亡くなった人たちを生き返らせたい"と……なのに、人が倒れているのは…苦しんでいるのはなんで……なんでなの!!」

 

敵精霊は自問自答を繰り返し、自我が崩壊しかけていた。

 

そして、意識は深い闇の底(ゼロ)に堕ちた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その頃、フラクシナスの艦内にはけたたましく警告のアラームが鳴り響いていた。

 

「エレン。この状況は何!?反転体が黒い球体に包まれたと思ったら、急に霊力が強まりだしたわ…」

 

琴里はコンソールに映る「霊力観測不能」の文字を見てエレンに状況を伝えるように催促を促す。

 

「…私にも分かりません。反転体である精霊にはこれ以上の変化は無いはずでは?」

 

エレンはそう琴里に告げる。確かに精霊には十香達のような通常の姿と、深い絶望を知った時に霊結晶が反転し、生まれる反転体しか確認されていたなかった。

 

しかし、琴里はある事を思い出す。精霊は本来、反転体が通常体だと聞いたことがある。その際に、十香たちは"始原の精霊である崇宮澪によって姿を今の姿に変えられた"とも教えてもらった事がある。

 

もし、反転体を中心として右側が十香達の姿であるなら、左側にそれと対になる存在があってもおかしくないのだ。もし、あの精霊がその対となる存在へと変化しているなら、対抗策は限りなくゼロに近づく事になる。

 

反転体や十香たちの様な精霊を凌ぐその力。神をも恐れぬ力の体現者。琴里はその正体をこう名ずけた。

 

……… "神格体"と………

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「私の大切なものを二度と奪わせない。」少女はそう口にし"精霊を殺す精霊"になったはずだった。

 

だが、記憶の片隅にもうひとつの記憶が存在していた。そこには純白のドレスに顔をベールで包んだ少女が私を見ていた。知っている記憶には存在しないその少女は口を開いてこう告げる。

 

「君は、人が好きなんだね。でも、この大火災でここに住んでる人達は全員死んでしまう。私になら、この結末で亡くなった人を救える手段を持っている。さぁ、どうする?」

 

そう問いかけられた私は、迷いなく謎の少女から霊結晶(セフィラ)を受け取る。そして、少女はまた口を開く。

 

「その力は本気で振るえば振るうほど周りの人を幸せにして、この結末を作り上げた精霊に暴虐な迄の力の発揮する。つまりは人類の希望だよ。」

 

その言葉を聞いたと同時にその記憶はそれ以上の情報を教えてくれなかった。一体、どちらの記憶が正しいのだろうか。それに何故、あの時子供を無意識に助けたのか、何故。亡くなった人、苦しむ人を見ただけで…ああも、悲しんだのだろうか。

 

理解できない。理解できない。何も分からない…、何故悲しんだ。何故、子供を助けた。あの力を振るえばみんな救えると言う言葉を信じたのに、現実は違った。

 

一瞬、見えたあの景色はなんだったのだろう。人々は救われるどころか、地面に突っ伏しピクリとも動かなった。辺り一面は更地になっていたあの景色は…

 

少女は頭を抑え苦しむ。心の底からあらゆる負の感情が湧き上がる。どれが本物だ。どれが偽物だ。あの記憶はなんだ。希望、絶望?あぁ、モウ、ドウニデモナッテシマエ…

 

少女はあらゆる負の感情に満ちた表情で新たな魔王を手に取る

 

その力は"世界そのものを絶つ"という人を愛しながらも人を救えなかった少女に相応しい魔王だった。

 

その名は絶世魔王(イーレヴェスへレヴ)




人を愛し人を救えなかった少女は自身が取り込んだ霊結晶(セフィラ)に隠された新たな力を無自覚に呼び覚ます。それは神に等しき力にして反転の上位互換

そして、精霊として完全覚醒した夜刀神十香。彼女は新たな力の前にひれ伏すか…それとも……

次回 第5話 「反転…そして……」

投稿者の励みになりますので是非、高評価やコメントをお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。