アルヴヘイム・オンライン 紫と灰と銃   作:猫大好き好きくん

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助言

「えっと、さっきのコボルトのドロップアイテムとユルドがあるんだけど、欲しい?熟練度の方はアレだけど……」

 

「いえ、別にいいです。それに倒したのはユウキさんですし」

 

「で、でもさ?君も助けてくれたわけだし、ボクだけ貰うっていうのも申し訳無いし……」

 

「気にしないでくださいよ。元はと言えば僕がユウキさんの戦闘を覗き見みたいなことしてた訳ですし。謝るのはこっちです」

 

「え?別に全然いいんだけど………あ!じゃあこれだけあげるよ!レプラコーンだし、鍛治する時使うんじゃないかな?」

 

送られてきたアイテムは、鍛治用のハンマーだった。しかもこれ、僕の鍛治スキルが足りなくて使えないし。

 

「あ、ありがとうございます……(使えないけど)」

 

「うぅん!助けてくれたお礼だよ!」

 

ユウキはそう言って笑ってみせた。先程まであんなに早く剣を振っていたとは思えないくらい細い腕に、きめ細かい紫色をした髪。そしてインプ独特の赤い眼。この人、どっかで見たような……

 

「じゃあ、スイルベーンでなにか奢るよ!何がいい?」

 

「あ、その……外食とか、したことがないので……」

 

ALO内では基本食事はしない。本当にお腹が空いたときは売っている携行食を食べている。あれ意外と美味しいんだよね。

 

「ん、そうなの?じゃあオススメのとこに連れってあげるよ!」

 

なんかテンションが高い子だなぁ。こっちまでテンション高くなるような気がする。不思議な子だ。多分年下?いや、キャラエディットでいじってるかもしれないし、敬語にしとこ。変に怒らせても嫌だし。

 

「じゃ、じゃあお願いします」

 

「うん!ついてきてね!」

 

◆◆◆◆

 

「ここが、ボクのオススメのごはん屋さんだよ。まぁ、日本でいうとこのちょっと高いファミレスみたいな感じかな?」

 

「へぇ〜こんなところがあるんですか……」

 

「うん、結構美味しいって評判の店だよ」

 

「へぇ〜」

 

関心しながら店内に入った。目の前を通るのは店員のNPCだ。僕達の来店に気付いたのかいらっしゃいませー!と言ってくる。

 

「お二人様ですか?」

 

「はい、2人です」

 

「タバコはお吸いになられますか?」

 

「いえ、僕は吸わないですけど……シルムは吸う?」

 

「いえ、吸いません」

 

「かしこまりました。あちらのお席にどうぞー」

 

正確には、吸ったことはあるが飽きた、だ。ゲーム内でタバコ(の様な雑貨アイテム)を吸うことによって、現実で吸うことを我慢出来るのでは?ということで導入された。しかし、これには色々と問題もあって、未成年が吸ってしまうかもしれないというものがあるのだ。それが原因で現実でも吸ってしまわないかと。だから買う時は年齢確認されるし、未成年が吸うと強烈な苦味成分が口の中に現れ、更にめんどくさいデバフが掛かるという仕様である。僕もそれを食らい、街中で倒れかけた。あれを寄越したジジイ許すまじ。吸った僕が悪いのだが。

 

まぁだからこそ、こういう飲食店での喫煙確認は未成年にとって強力な抑止力になるんじゃないかなとは思う。

 

「僕のオススメはねー……これ!まぁ食べるのはこっちだけど」

 

ユウキさんが指さしたのはチーズたっぷりのグラタンだった。恐ろしく高そうである。そしてユウキさんが食べるのは、ハンバーグ定食。こちらも美味しそうだ。

 

「まぁ、僕が奢るから好きなのを食べて?」

 

ホントにいいのかしら。このグラタンだけで2000ユルドもするのに。ハンバーグ定食は1890ユルドだ。こっちも地味に高い。

 

「………じゃあ、このグラタンで。あとコーヒーいいですか?」

 

「うん!全然いいよ〜。あ、すいませーん!」

 

その後店員さんが来て、各々が食べる料理を注文した。僕のはチーズたっぷりグラタンとコーヒーだが、ユウキさんはハンバーグ定食にジャンボパフェ、そしてメロンジュースである。ここに大富豪がいるんだけど!

 

「……それで、助けてくれたことに関しては、本当にありがとう」

 

「いえいえそんな。当たり前のことですから」

 

「そう?ならいいけど………あれ?君武器どうしたの?」

 

「武器?………あ、ホントだ」

 

使っていた片手剣が使用不可になってしまい、鞘だけ腰にさしている状態だった。ストレージから予備のを出すが、これは大きく攻撃力が落ちる。例の短剣を売ってお金を集めないと。

 

「………あ、君レプラコーンだったよね?何か武器を打って見るのはどう?確か自分が作った武器ってボーナス付くよね?」

 

「え、そうなんですか?」

 

「聞いたところではね?ボクそういうのよく分からないから……」

 

力なくあははと笑う。まあ気持ちは分かる。僕も興味ないからね。

 

「……あ、じゃあ1つ聞きたいことがあるんですけど」

 

「ん?ボクが答えられるのならいいよー」

 

ユウキさんの承諾を得て、ストレージから『烈重の短剣』を実体化する。ちょっと高いファミレスの机でやることではないか、まぁ周りにあまり客がいないしいいだろう。

 

「ん?みたことないやつだなぁ〜。ステータス開いていい?」

 

「はい、もちろん構いません」

 

「ん………え!?烈重シリーズじゃん!」

 

烈重シリーズ?なにそれ美味しいの?ってか名前だけ見るとめっちゃ強そうだね。

 

「あ……す、すいません……」

 

いきなり大声を出して立ち上がったことにより、ちょっと離れた所でご飯を食べていたプレイヤーさん達が振り向いていた。恥ずかしくなったのか顔を赤くして誤り、静かに座るユウキさん。

 

「………いいですか?」

 

「う、うん………大きな声出してごめん」

 

「いえ、大丈夫ですよ。それで烈重シリーズってなんですか?」

 

そんなもの聞いた事がない。有名なのかしら。

 

「烈重シリーズってのは、烈重の○○みたいにそれぞれの武器種に1つあるっていう、物凄くドロップ率が低い武器アイテムだよ」

 

ほぉー。つまり片手剣、細剣、短剣、片手棍、両手棍、片手斧、両手斧、刀、短弓、長弓、短槍、長槍、両手剣、小盾、大盾、壁盾、双剣、小鎌、大鎌、鎖鎌、小杖、大杖、ナックル、大爪にそれぞれある訳だな。あ、他にも武器種あるかも。例えば……素手?

 

「ほぉー……でもこれ、STR要求値が物凄く高いんですよ」

 

「うん、なんたって烈重だからね。それが高すぎるから、ドロップしても装備出来ない武器代表なんだ。売ったらめちゃくちゃ高く売れるから、それもいいんじゃない?」

 

お、高く売れるんだ。じゃあそうしよっかな。でもどこで売れるんだろ。普通の武器屋じゃ無理だよなぁ。

 

「何処で売るのがいいですか?やっぱりプレイヤーショップですかね?」

 

「まぁ、それがいいと思うな。相手がプレイヤーだから、価格交渉もできるし。もしまた欲しくなった時とかも、何かと便利だし」

 

普通の武器屋で売られた武器は、そのまま売り出されることもあれば時間が経って耐久値が回復した後店に並ぶこともある。それを使って耐久値を回復させるのも一つの手なのだが、売却と購入の金額の差があまりにも大きい。レアなものになればなるほど、安く買われ高く売られるのだ。

 

「よければ、いい武器屋さん紹介するよ?新しい武器をそこ買うって言うのもいいかもね」

 

あぁ、確かにその店なら職人のプレイヤーさんに良くしてもらえるかもしれないな。

 

「じゃあ、教えて貰ってもいいですか?」

 

「うん!もちろんだよ。えっとね、1番はやっぱ鍛冶ギルドのヘーパイストスかな。あそこは個人じゃなくて何十、何百人の鍛治職人プレイヤーが集まって出来てるとこほだから、お金沢山あるし、腕前の方も上手い人だとスキルカンスト当たり前の上、パッシブスキルで鍛治のレアスキルがあるみたいだよ」

 

へぇ〜そんなものがあるんだ。ギルドなんで全くしらないや。

 

「個人ならアレスタムさんとか、フォーガルさんとかかな?まああの2人ゲーム内で結婚したらしくて今は二人でやってるみたいにだけど。他はギーダさんとかガリズさん、バーバラさん、レオノーラさんが有名かな。後は━━━━」

 

「━━━━お待たせしました。チーズたっぷりグラタンにハンバーグ定食、ジャンボパフェ、コーヒーにメロンジュースになります。ごゆっくりどうぞ〜」

 

ユウキさんが話してたときにちょうどよく料理が運ばれてきた。ユウキさんには悪いがらまずは料理を食べてからがいいと思うけど。

 

「あ、後は食べてからでいい?」

 

「はい。温かいうちにいただきましょう」

 

2人同じタイミングでいただきますをいい僕はスプーンを、ユウキさんはナイフとフォークを持った。因みに僕が好きな変化球はスプリットかスライダー、チェンジアップである。

 

「……んむ」

 

わぁおめっちゃうめー。うん、普通に美味いわこれ。通おうかなこれからマジで。

 

「んーっ!相変わらず美味し〜っ!」

 

ユウキさんもハンバーグを食べて目がトロンとしている。いや、多分僕もしていると思う。良かったチーズ好きで。

 

◆◆◆◆

 

「あ、あのっ!」

 

グラタンを食べ終え、ユウキさんのパフェを少しだけ貰いコーヒーを飲んでいた時、なにやら髪の毛がピンク色の人に話しかけられた。そばかすがある。

 

「あのっ、烈重シリーズ持ってるってホントですか!?」

 

え、誰だろうこの人。面識ないなぁ僕ぼっちだし。

 

「あ、すいませんいきなり。あたしリズベットって言います」

 

「ん、あぁどうも。名前はシルム、種族はレプラコーンです」

 

「ユウキです。リズベットさん、何かご用ですか?」

 

ユウキさん、さっき烈重シリーズある?って聞いてたやん。多分それだと思うよ?違ったらごめんだけど。

 

「あ、えっと……さっき烈重シリーズって聞こえたので、どうしても聞いてみたくなってしまって……」

 

リズベットさんはそう言って視線を落とした。どうしようかと思っているとユウキさんと目が合った。見せてあげたら?と言っている。目でね。

 

「はい、あります。ちょっと待ってくださいね」

 

机の上には大量の皿がある。実体化させる場所を作っていると、ユウキさんが店員さんを呼んで皿を持って行ってもらった。助かりますね。

 

「えっと………これです」

 

といって実体化させた。やはり、机に出現したときどんっ!という音と共にユウキさんが食べてるジャンボパフェが少し揺れた。ごめんなさいユウキさん。

 

「わぁ……!ほんとに烈重シリーズの短剣だぁ……!」

 

少女は見ただけで分かったらしく、目を輝かせた。そしてそれをタッチしステータスを開く。そのSTR要求値を見て、完全に確信したようだ。

 

「あ、あのっ!もしよかったら、これをあたしの店で売ってくれませんか?あたし、そこでリズベット武具店ってお店をやってて………」

 

「え?リズベット武具店の人!?」

 

大人しくジャンボパフェを食べていたユウキさんが言った。知り合いですか?

 

「ボクもリズベット武具店さんにこの胸当てのメンテナンス頼んでるんだよ。あの、ボクのこと覚えてますか?」

 

「えぇっと……黒曜石の胸当てだから……ユウキ、さん?」

 

「そうです!いやーいつもお世話になってますリズベットさん!」

 

「いえいえ!こっちも助かってますよ」

 

よく分からないが、ユウキさんはリズベット武具店さんの利用者なんだろう。偶然って怖いね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかめっちゃ長くなった。
もしかしてこれ普通っすか?
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