ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

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5巻序盤

特訓前まで

あとがき追記


12話 夏休み~若手会合

夏休みのほとんど朝、普段なら学校に行くような時間に部活動として兵藤先輩の家に集まる事になった。

どうしてそんな事するかな…

もしかして周りを買収して改築した家を見せたいのかな?

 

つーか、いくらもっといい場所に住めるとしても、普通の人なら会社なり学校なりですぐに引っ越しなんて出来ないんだよなぁ…

今回立ち退いた周りの家全部がそういうの大丈夫だったとは思えないし。

…一応チェックして貰っておくか。

 

 

 

「冥界に帰る!?」

 

兵藤先輩の驚いたオウム返しにうなずくグレモリー先輩。

 

「夏休みだし、故郷へ帰るの。毎年のことなのよ。

 って、どうしたのイッセー?涙目よ?」

 

ほんとだ。何泣いてんだろう?情緒不安定なのか?

 

「うぅ、部長が冥界に帰ると突然言い出したから、俺を置いて帰っちゃうのかと思いましたよぉ…」

「全く…そんなわけないでしょ?あなたと私はこれから百年、千年単位で付き合うんだから…

 安心しなさい。あなたを置いてなんかいかないわ」

 

そうですね。

何事もなければ白龍皇の神器取り込んで寿命の減った兵藤先輩の方が先に逝くでしょうし。

 

「そういうわけでもうすぐ皆で冥界に行くわ。長期旅行の準備をしておいてちょうだいね」

「え!?俺たちも冥界ですか!?」

 

兵藤先輩何言ってんだ…?

いや、ほんとマジで。

さっきまでのやり取りは一体何だったんだ?幻聴?

最初から違和感の全力投球辞めて…

 

「そうよ。あなたたちは私の眷属で下僕の悪魔なんだから、主に同伴は当然。一緒に私の故郷へ行くの。

 そう言えばアーシアとゼノヴィアは初めてだったかしら?」

「は、はい!生きているのに冥界へいくなんて緊張します!

 し、死んだつもりで行きたいと思います!」

 

つもりじゃなくてアルジェントさんは一回死んでるんだけどね。

 

「うん。冥界、地獄には前々から興味があったんだ。

 …でも私は天国に行くため、主に仕えてたわけだけど、悪魔になった以上天国に行けるはずもなく…天罰として地獄に起こった者たちと同じ世界に足を踏み入れるとは…皮肉を感じるよ。ふふふ…」

 

ゼノヴィアさんは未だに吹っ切れないみたいだ。

元々中途半端だしな。

 

「8月20日過ぎまであちらで過ごします。特訓やそれら諸々の行事を冥界で行うから、そのつもりで」

「あー、でも俺、夏休みやりたいことあったんですけどねぇ」

 

グレモリー先輩のお知らせに、珍しく兵藤先輩が不満げに漏らした。

 

「あらイッセー、どこか行く予定でもあったの?」

「はい。海やプールに行こうかなーって」

 

ほーん。

誰かを連れて行こう、って感じでもないから、わざわざ自分にベタぼれのメンツを放っといて…ってことか。

…なんでそんなことすんの?

 

「海は冥界にないけど、大きな湖ならあるわ。プールだって、この家や私の実家にもあるのよ?

 温泉もあるし、それではダメなの?」

 

そう聞いた兵藤先輩は少し考えると、いつもの変態チックな顔つきになり、手を妙な感じに動かし始めた。

しかしさっきまで会話してたのに、その相手無視して妄想の世界に入り込めるのってある意味すごいな。

ダメなの?って聞いてるんだから答えろよ…

 

「…何やってんスか?」

 

塔城さんが突っ込むどころか、考え込んで聞いてすらないし、他は突っ込まないだろうしで俺が突っ込む。

思ったより冷たい声になってしまった。

いや、好きなはずの女より妄想優先するとか無いわー。とか思ってると、つい。

 

「イッセーくん、想像以上にスケベな顔だったよ」

「イッセー先輩は想像力が豊かで楽しいそうで…羨ましいです」

 

木場先輩は苦笑チックに、ギャスパーはガチで羨ましそうに言う。

 

「お前らはこの夏は女の子とデートしないのかよ?」

 

何だその返し。

と言うかそれはこっちのセリフだわ。

デートの一つでもしないと捨てられても知らんぞ。

 

「僕は修行があるからね」

 

木場先輩の場合、下手にデートすると荒れるだろうしな。

皆にいい顔しすぎなんだよなぁ…そのくせ遊びにも行かないから、周りの女子はフラストレーションたまって、仮に誰かを選べばその子は袋叩きにあうだろうな。

俺は付き合い悪いと思われないように、数人くらいで遊びに行ったりとかはしてたけど。

 

「僕はいいです。ひ、引きこもりなんで。インドア派だし…お家でネットしながらかわいい服着てればいいんで…」

 

あれ、性的趣向は女性だと思ってたんだけど…

デートは別にしたくないって事か?

 

そして三人の目が俺の方に向く。

 

「俺はちょっと前にデートの予定あったんですけど、相手の子の都合が悪くなっちゃってそれっきりですかね」

 

本当は会談後にする予定だったのに、試合組まれるってアザゼルさんが言うから…

力不足を感じてるだろう塔城さんが延期してくれって頼んで来たんだよな。

 

「それは…ドンマイ」

「ま、またチャンスがありますよぉ」

 

相手が塔城さんなのは誰にも言ってないんで、普通にフォローしてくれる二人。

…兵藤先輩は何か嬉しそうだなぁ、おい。

 

「じゃあイッセー、あなたは私と冥界でデートしない?デートする時間があれば、だけれど…」

 

置き去りにされてたグレモリー先輩が押し込んできた。

はよ告白しろ。

ナンパに負けてるぞ。

 

「部長ぉぉぉっ!行きます!全力でついていきます!」

「あらあら。でしたら、私はイッセーくんとお部屋で過ごしますわ。部長にも出来ないようなエッチな事でもしながら」

 

まーた姫島先輩が絡んできた。そしてグレモリー先輩とにらみ合い。

どっちともすればいいじゃん。兵藤先輩のハーレムに入りたいんだろ?どーして喧嘩するのかねぇ。

なんて鼻血を流す兵藤先輩を見ながら思ってると、

 

「俺も冥界に行くぜ」

「「「!?」」」

 

アザゼルさんが割り込んできた。

周りのこの驚きよう…誰も気づかなかったのか。

 

「ど、どこから入ってきたの?」

「ん?普通に玄関からだぜ?」

 

この部屋の防音設備が良すぎるのもあったかも。一体ナニをする予定でこんなに防音しっかりしてるんだろうなぁ。

 

「…気配すら感じませんでした」

 

木場先輩が言う。

この中で一番器用そうな木場先輩がこれだと、このチーム奇襲弱そう。

ギャスパーは…まぁこれからだろうし。

 

「そりゃ修行不足だな。俺は普通に来ただけだ。

 それより冥界に帰るんだろ?俺も行くぜ。先生だからな」

 

何だこの「先生」推し。

俺らの先生になったのはついこの間だろ?

生徒が一人裏切ったのしか成果を見てねぇんだけどなぁ。

 

「冥界でのスケジュールは…リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介。あと、例の新鋭若手悪魔たちの会合。それとあっちでお前らの修行だ。

 俺は主に修行に付き合うわけだが…俺だけサーゼクスたちとの会合もあるんだよな。

 全く面倒くせぇ」

 

面倒くさがるなら堕天使総督辞めればいいんじゃね?

権限は欲しいけど責任は負いたくないのかな。

 

「ではアザゼル…先生はあちらまでは同行するのね?行きの予約をこちらでしておいていいのかしら?」

「あぁ、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだから楽しみだぜ。

 いつもは堕天使側のルートだからな」

 

これで話が終わって解散した…訳なんだが、なんでこんな朝から集まらなきゃならないのかはわからずじまい。

メールで済むだろ…

 

しっかし兵藤先輩のハーレムメンバー(仮称)は皆肌面積が広かったな。

木場先輩なんかは女性陣になるべく目を向けないようにしてたし。

同居してあれだけアピールしてんのに進展した感じがなかったが…兵藤先輩はEDか何かで?

 

 

 

冥界に行く日、学生服で駅に集合。

…めっちゃ目立つわ!

制服が一番の正装とか言われても、行く直前に着替えたんでよくない?駅に集まる必要はなさそうなんだけど。

どーせクッソ広いスペース確保してんだろうに…

 

「じゃあ、まずはイッセーとアーシアとゼノヴィア、来てちょうだい。先に降りるわ」

 

グレモリー先輩と姫島先輩がエレベーターに入って呼ぶ。

兵藤先輩のハーレムチームですね。わかります。

…抜け駆け禁止でこういう分け方したんだろうな。

 

「慣れてるユートたちは後からショージやアザゼルを連れてきてちょうだいね」

「はい、部長」

 

エレベーターの扉が閉まる。

 

「降りる…ってことは隠された地下でもあるんですかね。

 それにしてもエレベーターの前で待ちぼうけ食らうなら事前に教えて貰って別々に来ても良かったと思いますけど。

 この間に他のエレベーター使う人が来たらどうすればいいんだか…」

 

と言うか、基本的に事前説明がないよな。ここ。

 

疑問と不満を漏らす、が木場先輩が苦笑するだけで特に返答はない。

ギャスパーは俺を壁にしつつ、周りの目の方が気になってるみたいだし、塔城さんは心ここにあらずといった感じだし、アザゼルさんは眠そうにしてる。

 

そんなこんなで2分ちょっとでエレベーターが戻ってきた。

 

「じゃあ皆入って。アザゼル先生も」

 

木場先輩の合図で入っていく。

入ると、何やらカードを取り出し電子パネルに認識させた。ピッ、と電子音がすると、エレベーターが下降していく。

…あれ、カードを誤認識させちゃっても訂正なしで降りるのかな。キャンセル出来そうな仕組みじゃないし。

 

着いた。…ちょっと広い程度ではないな。上に高すぎる。その割に2階とかはないみたいだし…巨大な悪魔も変身せずそのまま移動出来るようになってんのかも?

あと、俺ら以外に人影もない。貸し切り?やっぱこっちで着替えすりゃいいじゃん。着替える部屋とかないの?

 

「全員そろったところで、三番ホームまで歩くわよ」

 

三番まである程度には需要があるんだろうか?

どんだけ悪魔が行き来してんだか。

 

兵藤先輩が姫島先輩と手を繋いで、グレモリー先輩とアルジェントさんの機嫌が悪くなったりしながら歩いてると…

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

へぇ。お家で列車持ってるんですか。んで今日は貸し切りっすか。貴族の婚姻ブッチはするけどお家の物を使うのに抵抗はないんですねぇ。

 

 

 

列車に乗る。

うーん、中身は思ったより普通の列車。対面式4人がけ。

で、席分けはさっきのエレベーターと同じ。

さっきとの違いはグレモリー先輩が主なんで前の方なのと、アザゼルさんが少し後ろの席で既に横になってるくらい。

 

「どのぐらいで着くんですか?」

「一時間ほどで着きますわ」

 

兵藤先輩と姫島先輩の声。

 

「てっきり魔方陣でジャンプして冥界入りだと…」

「通常はそれでもいいのですけれど、イッセーくんたち新眷属の悪魔は正式なルートで一度入国しないと、違法入国として罰せられるのです。

 だからちゃんと正式な入国手続きを済ませないと魔方陣でジャンプしてはいけませんわ」

「えっ!?マジですか!?俺、以前魔方陣からジャンプして部長の婚約パーティに乗り込んじゃいましたけど!?」

「あれはサーゼクス様の裏技魔方陣によって転移したものですから、特例みたいですわよ?

 もちろん、二度目は無理でしょうけど」

 

権力だなぁ。

…ってよくよく考えたら俺も入国手続き済ませずに入ってるわ!

転生悪魔だけの話なのかな?

 

その後は姫島先輩が兵藤先輩にモーションかけて、アルジェントさんが妨害して、グレモリー先輩がやってきて…

こいつら、自分を売り込むよりも他人の妨害に精一杯だなぁ…

と、白いアゴヒゲの目立つ人がやってきた。

 

「リアス姫、下僕とのコミュニケーションもよろしいですが、例の手続きはよろしいのですかな?」

「ご、ごめんなさい…」

「ホッホッホッ。あの小さな姫が男女の話とは。長生きはするものですな」

 

爺さんみたいな言い方してるけど…悪魔って老化すんのかな?

 

「はじめまして、姫の新たな眷属悪魔の皆さん。私はこのグレモリー専用列車の車掌をしておりますレイナルドと申します。以後お見知りおきを」

 

それに返すように新人三人が挨拶をする。

俺もしようか…と思ったが会釈だけにして辞めた。

そしてレイナルドさんは何かを取り出し、モニターで三人を見る。

本人確認が出来る機械らしい。

偽物に列車を占拠されると大変だから、とか。

本物でも占拠されたら大変じゃね?うーん、なんかズレてるような…

 

「あなたたちの登録は駒を与え、転生したときに冥界にデータとして記載されてるわ。

 だからその機械で照合できるのよ」

 

じゃあ転生悪魔専用かな?

とにかく便利なことに機械で照合するだけで入国手続きになってるらしい。

…これ、一度入国手続きしないと違法入国になる必要ってあんの?

 

「ありがとう、レイナルド。後はショージとアザゼルかしら?」

 

俺もするのか…違法入国とか言われたら困るなぁ…

 

「あー…それって転生悪魔以外も必要なんですか?」

「えぇ、人間界生まれのハーフ悪魔なども居りますしな。転生悪魔と違いデータが無い場合は新規登録もちゃんと…おや、あなたは以前に登録されているようです」

「本当ですか?

 婚約パーティに参加した時にされてたんですかね?」

「それはわかりませんが、入国手続きは完了しておりますから大丈夫ですよ」

 

その後、眠っているアザゼルさんも照合を済ませ、入国手続きを終えた。

 

 

 

その後、列車内を回ったり食事を取ったりしながら40分程経った頃、

 

「もうすぐ次元の壁を突破します。もうすぐ次元の壁を突破します」

 

とレイナルドさんのアナウンスが聞こえると、先程まで闇夜の中だったような風景が一点、紫色の空以外は普通の自然の風景に変わった。

冥界って悪魔たちの世界の割には割と普通だな。

建築物がちょっと変な感じなくらいか。

 

「ここは既にグレモリー領よ」

「じゃあ、今走ってるこの線路も含めて全部部長のお家の土地ですか!?」

 

グレモリー先輩に質問する兵藤先輩。

…線路も土地ですか?って妙な質問だなぁ。

 

「グレモリーの領土ってどれぐらいあるんですか?」

 

さっきの質問にうなずいて答えたグレモリー先輩に更に質問する兵藤先輩。

 

「確か、日本で言うところの本州丸々ぐらいだったかな」

 

何故か木場先輩が答える。

 

「冥界は人間界、地球と同程度の面積があるけれど、人間界ほど人口はないわ。

 悪魔と堕天使、それ以外の種族を含めてもそれほど多くもないし、海もないから更に土地が広いのよ」

 

ふむ。

地球の面積が同じ…で、仮に堕天使と半分に分けてたとして…それで本州と同じ面積…

結構ちっちゃくないか?一応72しか居ない貴族の一つなんだろ?平等に分けたらその10倍は…

いや、面積だけで考えるのは良くないな。重要拠点が…

 

「本州ぐらいと言ってもほとんど手付かずなのよ?ほぼ森林と山ばかりよ」

 

えぇ…

結構落ち目なんじゃね?

だから地球、人間界で商売してんのかな?

周りが、というか兵藤先輩がすごい!って反応してるのが理解できんわ…

そりゃ一般家庭と比べたら十分どころじゃなくすごいけど。

 

「そうだわ。イッセー、アーシア、ゼノヴィア、あとであなたたちに領土の一部を与えるから、欲しいところを言ってちょうだいね」

「りょ、領土もらえるんですか!?」

「あなたたちは次期当主の眷属悪魔ですもの。

 グレモリー眷属として領土に住むことが許されてるわ。

 朱乃やユート、小猫、ギャスパーだって自分の敷地を領土内に持ってるのよ」

「赤いところは既に手が入ってる土地だからダメだけど、それ以外のところはOKよ。

 さあ、好きな土地を指で指してちょうだい。あなたたちにあげるわ」

 

雑だなぁ…

と言うか次期当主の眷属悪魔だから、って言うなら「リアス・グレモリー」が当主を辞めて次に回す時には眷属悪魔の土地はどうなるんだ?

そもそもグレモリー先輩の前の当主たちの領土は?その当主の眷属悪魔の領土は?

そもそも領土をあげたところで、兵藤先輩らがどう出来るんだ?

うーん…

 

それから十数分、発車からほとんど一時間後、列車は目的地に停まった。

そして駅のホームに出た瞬間…

 

「「「リアスお嬢様、おかえりなさいませっ!」」」

 

迎えると言うよりか応援団みたいな声。ちょっと必死な感じもするな。

そして紫色の空に花火が上がり、兵士が空砲を撃ち、楽器隊が演奏を始め、騎兵が飛び、旗を振る。

いかにも貴族って感じ。これだけでいくらかかるんだろうな…

 

「ヒィィィ…人がいっぱい…」

 

ギャスパーが俺の後ろに隠れる。そう言えばギャスパーは初めてじゃないっぽいが、軟禁される前に来たんだろうか?

そしてそのまま執事やメイドの集団、グレイフィアさんに連れられて馬車…一応馬なんだろうし馬車で、本邸まで移動することに。

さっきのメンバー分け、の兵藤先輩らが居る方にグレイフィアさんが同乗。

何かもうグループ分けのセットが決まったようなもんだな。

 

 

 

しばらく進むと大きい城が。

 

「あれが部長のお家の一つで本邸だよ」

 

木場先輩が説明してくれる。

グレモリー家の家なのか、グレモリー先輩個人の家なのかはわからんな。

 

「へぇー」

「…あまり驚いてないんだね?」

「あー…住みにくそうだな、と」

 

正直デカイだけなら悪魔城で慣れてるんだよな。

地下水脈とかもないんだろうし、単純な大きさなら悪魔城のがデカイだろう。

 

到着すると、城までの道に赤いカーペットがしかれ、その両側に執事とメイドが整列していた。

うーん、どう考えても無駄行為だと思うけど、貴族は見栄らしいしなぁ…しないと他所にナメられるんだろう。

 

「さぁ行くわよ」

 

グレモリー先輩がそう言って進もうとした瞬間、メイドの中から赤髪の子供が走ってきた。

 

「リアス姉様!おかえりなさい!」

「ミリキャス!ただいま。大きくなったわね」

 

お互い抱きしめる二人。

 

「あ、あの、部長、この子は?」

 

不安げに兵藤先輩が尋ねる。

髪色考えたら親類だろうに、何を怖がってるのやら。

そういや結婚相手は自分で育てる事にした、とかグレモリー先輩言ってたな。墓穴かもね。

 

「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様…サーゼクス・ルシファー様の子供なの。

 つまり、私の甥っ子ね」

 

そういって兵藤先輩に挨拶させて、兵藤先輩も身内とわかった時にはほっとしてたが、立場を理解すると別の形で固くなりながら返す。

ルシファー様の子供…ねぇ。

しかし、メイドの集まってる中から出てきた…母親がメイドの中に居るとか?

一応姉と言ってる立場の人が帰ってくるのがわかってるのに、メイドと遊んで一緒に出てくるとも思えないし…

そういや、兵藤先輩の家に行ってた時にグレイフィアさんをルシファー様が妻って言って怒られてたが、あれは他のメイドに子供産ませておいて何いってんだ的な意味だったのかな?

 

「魔王の名は継承した本人のみしか名乗れないから、この子はお兄様の子供でもグレモリー姓なの。

 私の次の次期当主でもあるのよ」

 

継承した本人しか名乗れない割に、「魔王の妹」はなんかステータスになってるよね…

シスコンってめんどいな。

 

「さぁ、屋敷に入りましょう」

 

そう言って進んでいき、俺たちも後をついていく。

 

 

 

「お嬢様、早速皆様をお部屋へお通ししたいと思うのですが」

 

玄関に当たるだろう場所で、グレイフィアさんがそう言って合図をすると、数人のメイドが集まってきた。

 

「そうね…私もお父様とお母様に帰国の挨拶をしないといけないし」

「旦那様は現在外出中です。夕刻までにお帰りになるご予定です。

 夕餉の席で皆様と会食しながらお顔合わせをされたいとおっしゃっておりました」

「そう、わかったわ。それでは、皆は一度それぞれの部屋で休んでもらおうかしら。

 荷物は既に運んで居るわね?」

「はい。お部屋の方は今すぐお使いになられても問題ございません」

 

あ、じゃあ部屋に案内される時に、メイドさんからお土産渡しといてもらおうかな。

と思ったその時、

 

「あらリアス、帰ってきてたのね」

 

階段の上から声がしてきた。

グレモリー家に居てグレモリー先輩を呼び捨てに出来る人…まぁ立場が上ですよね。

とりあえず会釈しておく。

 

「お母様。ただいま帰りましたわ」

 

母親か。悪魔って外見だけじゃわからんな。

 

「お、お、お母様ぁぁぁあああっ!?

 だって、どう見ても部長とあまり年の変わらない女の子じゃないですか!」

 

いくら持ちネタでも叫ぶの辞めろ。いい加減学習しろ。

幸いこの部屋は学校なんかよりも広いから反響しないけどさ…

 

その後、兵藤先輩がグレモリー先輩の母親を見つめてて、いつものごとくグレモリー先輩が嫉妬。

グレモリー先輩の母親…ヴェネラナ・グレモリーさんが婚約パーティの話を持ち出して、兵藤先輩の旗色が悪くなったところで、とりあえず疲れてるだろうし部屋に、とグレモリー先輩が割り込んで解散することに。

 

 

 

「こちらが、そうま様のお部屋になります。お荷物はあちらに…」

「ありがとうございます。あ、ちょっと待って下さい。

 …っと、これ、つまらないものですがお土産です。先輩のご両親に渡しておいてもらえませんか?」

 

荷物からお土産を渡す。

 

「…中を検めてもよろしいですか?」

「あぁ、こういうところだとそういうのも要りますよね。

 どうぞ。中身は日本のお酒ですので状態が悪くなるとかもないですから」

 

蓋をあけ、何かしら魔力で調べる…と、俺が何も仕込んでない事がわかったのか蓋を閉じた。

 

「ありがとうございます。当主様達に渡しておきます。

 当主様も奥方様も日本はお好きですし、お喜びになると思いますよ」

「それはよかった。

 あと、皆さん用にもって…日本のお菓子なんですけど、どのくらいいるかわからないんで大量になっちゃったんで、重いし持っていきますね」

「私共にもですか、それは…ありがとうございます。ですが、お客様に持っていただくわけには…」

「ですが、一般人の自分にはこんな広い部屋に居る方が落ち着かないんですよ。

 あと、ついでに案内もしてもらえると助かるんですが…」

 

とかそんなこんなで、どうにか連れて行ってもらえることに。

地図把握も評判よくするのもどっちも重要だしな。

 

 

 

それから数時間、グレモリー先輩の父親も帰ってきて、一緒に夕食を取ることに。

しかし半端ない、と言うかとてつもない量の食事…「遠慮なく楽しんでくれたまえ」とか言うだけあるわ。

量だけじゃなく、多分質も良いんだろうな。

基本的に腐ったものとか毒物以外はなんでも美味しいと思える舌だからどれだけいいのかわからんが…

 

食べながら食卓の方に目を向けると…兵藤先輩と塔城さんが動いてない。

兵藤先輩は食べ方わからなくて周りキョロキョロしてるだけだからいいとして、塔城さんは健啖家なのにな。

…そう言えば列車の食堂でもあまり食べてなかったな。

 

「うむ。諸君、ここを我が家とおもってくれるといい。自分の冥界に来たばかりで勝手もわからないだろう。

 必要な物があれば、遠慮なくメイドに言ってくれたまえ。すぐに用意しよう」

 

うーん、これは親バカなのかな?

でもグレモリー先輩のお父さんが喋ってると物さえ与えればいいんだろ、的な感じはしないんだよな。

グレモリー先輩が同じこと言うの考えると…雰囲気の違いか?

 

「ところで兵藤一誠くん」

「は、はい!」

「ご両親はお変わりないかな?」

「は、はい!二人とも元気です!

 ぶ、部長…リアス様の故郷に行くと言ったらお土産を期待するほどです!

 あ、あんなに立派な家にリフォームしていただいた上でそんな事言ってくるなんて、本当、わがままな親で…アハハ」

 

ん?

お土産をグレモリー先輩やその家に要求したのか?確かにそれならわがままというか業突く張りというか…面の皮が厚いだろうけど、普通に兵藤先輩個人に、なんかグレモリー先輩の故郷で売られてるうまいもんでも買ってきて、って事じゃないの?

両親の意図は海外行くお土産だろ?だって領主してます、とか知らないんだからさ…

まぁ仮に本気で兵藤先輩のご両親がそう要求してたとしても、それをグレモリー先輩の家に言うのはダメだろ。

言われた時に「リフォームただでそれ以上何か貰おうって本気か!?」って言えばいいだけの話で…

ここでそういう事言ってる以上、「両親はわがまま」と言いながらも「そんなわがままな両親ですけど、両親の為に何かもらえませんか?」的な意図を感じる。

 

「ふむ、お土産か」

 

グレモリー先輩のお父さんはそう言って鈴を鳴らして、執事を呼ぶ。

 

「旦那様、御用でしょうか?」

「うむ。兵藤一誠くんのご両親宛に城を一つ用意しろ」

 

は?

 

「はっ、西洋式でしょうか、それとも和式でしょうか?」

 

和式の城とか作れるの?いや、そういう問題じゃなかった。

 

「悩むところだな…」

「ちょ、ちょっと待ってください!そ、そこまでのお土産はちょ、ちょっとスケール違いというか!」

 

兵藤先輩もお土産もらう気満々だった、っぽい言い方だな。

 

「あなた、日本は領土が狭いのですから、平民が城を持つなんて不可能ですわ」

 

グレモリー先輩のお母さんがフォローするが…妙なディスリを感じる。

なんかこの言い方だと悪魔の平民は城を持てそうだな。持てるのかな?持てないのにそういう言い方すんのかな?

 

「なんと。確かに日本は狭かったな。

 ふーむ、城がダメならば何がいいのだろうか…」

「お父様、あまりそういう気遣いは逆にあちらに迷惑をかけますわ。イッセーのご両親は物欲の強い方々ではありませんし…」

 

グレモリー先輩がフォローする。

実の子供より居候してる人の方がわかってるのって、親から見るとどうなんだろう?

 

「兵藤一誠くん。今日から、私のことをお義父さんと呼んでくれても構わないよ」

「お、お父さんですか…?

 そ、そんな、恐れ多いですよ!」

 

父親も兄も押しの強いことで。娘ももうちょい色仕掛け以外で押せよと思わずにいられない。

 

「あなた、性急ですわ。まずは順序というものがあるでしょう?」

「う、うむ。しかしだな、紅と赤なのだ。めでたいではないか」

「浮かれるのはまだ早い、ということですわ」

「…そうだな。どうも私は急ぎすぎるきらいがあるようだ」

 

…え?何?もうグレモリー家はグレモリー先輩が兵藤先輩と結婚したらいいじゃん。って事になってんの?

ただの娘かわいさに父親が暴走してるだけじゃなくって?

純血悪魔云々の話はどこ行ったんだ?

 

「兵藤一誠さん、一誠さんと呼んでもよろしいかしら?」

「は、はい!もちろんです!」

「しばらくこちらに滞在するのでしょう?」

「はい。部長…リアス様がこちらに居る間は居ます…けどそれが何か?」

「そう、ちょうどいいわ。あなたには紳士的な振る舞いも身につけてもらわないといけませんから。少しこちらでマナーのお勉強をしてもらいます」

 

覗き魔に紳士的な振る舞いとかマナー習得させるとか難しそうだな。

と思った瞬間、グレモリー先輩の方からバン!と激しくテーブルを叩く音が聞こえた。

 

「お父様!お母様!先程から黙って聞いてれば、私を置いて話を進めるなんてどういうことなのでしょうか!?」

 

そのまま立ち上がり、両親に文句を言う。

…グレモリー先輩、親にもキレるんだな。それも自分がやろうとしてたことを先にされただけで。今回は納得行く内容だろうに自分主導じゃなくて誰かが進めるのは気に食わないのか。

つーかそれなら自分がしっかり教育しとけばよくないですかね?どうせ入婿にするつもりなんでしょ?

 

「お黙りなさい、リアス。

 あなたは一度ライザーとの婚約を解消しているのよ?それを私たちが許しただけでも破格の待遇だと思いなさい。

 お父様とサーゼクスがあの後どれだけ他の上級悪魔の方々へ根回ししたと思ってるの?

 フェニックス家は婚約の違約金だけで済むならまだしも、それ以外にも多大な借りになったでしょうし、一部の貴族には『わがまま娘が伝説のドラゴンを使って婚約を解消させた』と今も陰口を言われてるのですよ?

 魔王の妹だからって何をしてもいいわけじゃないわ」

 

食べれる雰囲気でもないんで、兵藤先輩の方を見てたが、動きそうにない。

…そこは「部長は悪くないんです!」とかじゃないの?グレモリー先輩のわがままじゃなくて、兵藤先輩が婚約パーティに殴り込みして破談にさせたのは兵藤先輩自身の決断でグレモリー先輩じゃないんだしさ。

 

「私はお兄様とは――!」

「関係ない、と?

 確かに名目上そういう事にはなってます。

 でもそれは悪魔というくくりの中だけ。三大勢力が協力体制に入った今、誰もがあなたを魔王の妹として見るわ。

 あなたの立場はあなたが考えるより重いのよ。今後あなたに集まる注目は以前の比じゃない。あんな勝手な振る舞いをしてれば親の小言では済まなくなるわよ。

 二度目のわがままは許しません。いいですね?」

 

ブチギレたままくってかかろうとしたグレモリー先輩だが、母親の言葉に全く言い返せなく、それでも足掻くように自分は不満だ、と勢いよく座る。

 

「皆さんにはお見苦しいところを見せてしまいましたわね。

 話は戻しますが、ここへ滞在中、一誠さんには特別な訓練をしてもらいます。少しでも上流階級、貴族の世界に触れてもらわないといけませんから」

「あ、あの、どうして俺なのでしょうか?」

「あなたは、次期当主たる娘の最後のわがままですもの。

 親として最後まで責任を持ちますわ」

 

兵藤先輩が未だに不思議そうに聞く。

…がグレモリー先輩のお母さんの返事を聞いてもわかってなさそうな様子だ。

どー考えてもグレモリー先輩の、というかグレモリー家の入婿として教育・準備したいからだろうに。

ライザーさんとの婚約の解消の話とかしてるんだし、話の流れ考えりゃわかりそうなもんだけどな。

うーん、こんな察しの悪い人を旦那にしたいグレモリー先輩も、入婿にしようとしてるグレモリー家もかわいそうに思えてきてしまった。

 

 

 

「塔城さん」

 

夕食を終えて解散してから、塔城さんの元に向かう。

 

「食べてないみたいだけど大丈夫?」

「…あまり食欲がなくて」

 

夏バテ…とかではないよな。

 

「とりあえずコレ、足りなくなったら言ってね。あと長い間体調悪いならちゃんと医者とかにかかった方が良いよ」

 

消化の良さそうなものを、と思い栄養ゼリーを幾つか渡す。

 

「…ありがとうございます。

 すみません、してもらってばっかりで…まだ返せてもないのに」

 

なんかいつも落ち着いてるけど、今日のは冷静を通り越して憂鬱そう。

 

「やりたくてやってるだけだから。じゃ、おやすみ」

 

その足でキッチンに行って、今日の料理の話を聞くついでに、塔城さんに消化の良さそうなものを出してもらうように頼んでおいた。

冥界の料理でも割と基本的な材料は一緒なんだな。

 

 

 

翌日、領地観光。本邸周りに城が幾つもあるが…要るか?

まぁそれらに攻め入る可能性だってあるし、地形把握はちゃんとやるけどさ。

でも城が家の部屋感覚であるのはなぁ…

「サーゼクス様が故郷に帰った時に使うお城」って一年で何日使うのやら。

維持代・人件費・土地…は余ってるのか。

悪魔、と言うか冥界の人口も少ない割にメイド・執事はいっぱい居るし…

 

「私たちはそろそろ戻るわよ。今日は若手悪魔の会合が魔王領であるわ」

 

グレモリー先輩が眷属に声をかける。

俺は行かない。つーか行けない。若手悪魔の眷属でもないし。

でも気にはなるんで変装した分身でこっそりついていこう。

 

 

 

その後「俺」はグレモリー先輩らの乗る列車にコソコソ同乗していた。

首都に着くまで三時間乗っていてもバレそうになることすらなかった。

こんな時にはグレモリー眷属の気配感知能力の低さがありがたい。

…が、困ったことに、ここから地下鉄に乗り換えるらしい。

この前は貸し切りとかしてたのに、今着いた駅のホームは普通の一般人も居るし…

離れすぎると監視をさせるの難しいんだよなぁ。

しかしさっき悪魔?がグレモリー先輩に対して黄色い歓声をあげてたが、一般的な冥界の住人からするとグレモリー先輩らはアイドル的なもんなんだろうか?

自分から婚約破棄するアイドル…

いや、そんな事よりまずは列車の後を追いかけよう。ボディガードが居るから乗ったり出来そうにないし。

 

…列車が発車して、そっちに視線を向ける人が居なくなったのを確認して、「インビジブル」を纏い、「ブラックパンサー」で走って追跡する。

そのまま加速し、列車を視界に捉えたところで付かず離れずの距離を取る。そしてそのまま数分、地下鉄のホームに着いた。

グレモリー先輩らが降りるのを視認し、監視を放つ。

ふー。これでよし。長距離高速移動が監視の穴なんだよなぁ。

 

…ってエレベーターでの移動先、結構高くないか?

どれくらいの高さがあるかわからん以上、もっと近づいておくしかないな。周りの調査は後でもできるし。速度がそこまででもないのが御の字か。

と言うかエレベーターも列車も人間界の技術再現ばっかりじゃね?悪魔が悪魔の世界で使う物としては違和感があるぞ…

 

で、会合のある階まで上がったわけなんだが…

バレないように上がったからか、ちょうどこれから始めるところだったみたいだ。

さっきの衝撃のおかげで野次馬が居て無駄に時間使っちまったしなぁ…

まぁそれは録画見直すしかない。それよりも問題は待ちぼうけの間の暇つぶし、だな。

 

 

 

グレモリー邸に居る「俺」は、プライベートだったりの入ってはいけないような場所以外はかなり自由だったが、グレモリー先輩らが帰るまで書物やら新聞などで情報収集に努めていた。

まぁ特に収穫はなかったんだが…

帰ってきたグレモリー先輩らの言うことには、8月20日にシトリー眷属と戦う事になったらしい。

ちなみに今日は7月28日。

で、明日から特訓をすることになったんだが、「俺たちだけ堕天使総督のアドバイス受けるのは反則にならないか」と兵藤先輩がアザゼルさんに聞くと、他所だってやってるからいいんだとさ。

 

いや、まぁ確かに強くなりたいなら脇目も振らず、ってのはわかるんだが、この間まで戦争してたやつらといきなり仲良く作戦考えたりしてるのに違和感があるな。

マジで下っ端だけが小競り合いしてて、領主とかの幹部・上層部クラスは和平準備してたのかも。

だからこそコカビエルがあのタイミングで暴れた…とか?

 

「皆様、温泉のご用意が出来ました」

 

グレイフィアさんが知らせに来てくれた。

ま、今は仮定でしかない話よりも温泉だな。

 

 

 

「ところでイッセー、お前リアスの胸を揉んだことはあるのか?」

 

兵藤先輩は塔城さんが辞退して今回もハーレムと女湯に入るから、別れる前にアザゼルさんが聞く。

 

「は、はい!この右手でもみっと!」

「そうか。じゃぁ、こう…乳首を指でつついたことはあるのか?」

「い、いえ、まだです」

「はぁー、なんだお前、乳を指でつついたことがないのか?ポチッ、じゃなくてずむっ、とつつくんだよ。指が胸に埋没していく様は圧巻だぜ?」

 

何の話かと思ったら…さっさと温泉行こう…

 

 

 

温泉に着くと、何やら木場先輩が浮かない顔をしていた。

兵藤先輩が来ないから?いや、まさかな…

 

「ギャスパー、温泉の湯船にタオルを入れちゃだめだからバスタオルはいかんぞ」

「ええっ、そんな、恥ずかし…キャッ!

 な、なななんでタオルで隠してないんですか…」

 

ギャスパーは手で視線を遮りながら言う。

なんかちょっと隙間開けてない?

 

「なんでって、脱衣所だからだな。別に見られて困る体してないし。

 それよりギャスパー、短いタオルで…こう…胸元と股間を隠すんじゃダメか?」

「お尻が見えちゃうじゃないですか…」

「ダメか…うーん、湯着でもあるか探してみるか」

 

なんか無駄にデカい脱衣所なんで、探したらあったわ。

スーパー銭湯とかスパのような施設レベルで広いからな…

 

 

 

「ふー」

 

温泉に浸かると、なんか声出ちゃうなぁ。

アザゼルさんもリラックスしてんのか黒い翼を出しっぱなしにしてるし。

…あれ羽に汚れとかついてんのかな?

そうじゃなくてもお風呂掃除の人が羽まみれでかわいそうだ。

 

露天風呂だし、夜景を見ながらゆっくりと――

 

「朱乃!私のイッセーから離れなさい!」

 

出来ねぇな。

隣で争ってる声がよく聞こえるわ…

まぁ予想出来てたんだけどね。魔力で防音する。

もし仮に重要な話が出てたとしてもそっちは監視の方でわかるし。

それより月見酒でもするかな!冥界は明るいと紫色の空で気持ち悪いけど、夜で暗いと割と普通の夜空できれいだし。

空間から出した酒を風呂桶に入れて楽しんでるとアザゼルさんが近づいてきた。

 

「美味そうなもん飲んでんな。ちょっと分けてくんね?」

 

しょーがないんでもう一つお猪口を取り出し注いでやる。

 

「おっ、サンキュー。

 …あ~っ、うめぇな。なかなかいいがどこのだ?」

「知り合いがやってるやつなんで一般流通はしてないですね。銘もないですし」

「マジか、もったいねぇな。

 …ん?未成年なのに貰ってるのか?

 まぁ今更未成年で飲酒がーとかは言うつもりねぇが」

「俺は15に見えませんからね。酔ったこともないですし」

 

とまぁそんな感じで喧騒を横目に月見酒を楽しんだ。

 

 

 

風呂の後解散し、若手悪魔の会合のデータの確認。

最初に接触があったサイラオーグ・バアル。

直に目で見てないからなんとも言えないが、あの自信過剰のグレモリー先輩がナンバーワンって言ってるしな。

で、喧嘩してたシークヴァイラ・アガレスとゼファードル・グラシャラボラス。

グラシャラボラスはただのチンピラDQN、でいいか。

で、そのチンピラがセクハラで絡んでたアガレスは魔王の眷属なのかな?

完全に見に徹してたディオドラ・アスタロトも争いに動じてなかったしな。

繰り上がり次期当主のグラシャラボラス以外はグレモリー・シトリーより上の可能性が高いと見ておこう。

で…後は会合まで何もナシか。

 

会場にだーっと居るのが偉い悪魔の一覧かな?

名前プレートとか無いけど顔は覚えておこう。

…あ、レヴィアタン様コスプレ服じゃないじゃん。

この間は正装これだから!とか言ってなかったっけか。和平会談でもあれだったし。

他をナメてるんだろうな。だから悪魔だけのところはちゃんとしてんだなー。

 

でまぁ話が始まったけど、ここの皆は若手のエリートだから頑張ってね。くらいの内容だな。

さっきのサイラオーグさんが禍の団との戦いに投入されるか聞いてるが、アザゼルさんの見通しだと7年以上は大きな戦にならないとか言ってたしな。

でも「しないとは言ってない」のにサイラオーグさんも噛み付いてるんだよな…

グレモリー先輩と同じで気が短いのはバアル家の特性か何か?

 

で、内容がないような飾りがいっぱいついただけの話を、まぁ…一応聞き終わって目標の話に。

 

「冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

「レーティングゲームを学ぶところならば既にあるはずだが…?」

「それは上級悪魔と 一部の特権階級の悪魔のみしか行くことが許されません。

 私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える別け隔てのない学び舎です」

 

シトリー先輩の話で会場は大爆笑。

概ねシトリー会長は悪魔の社会常識がない、ってところかな。

あっ、何か木場先輩と兵藤先輩も喋ってるな。そっちの方が聞こえるように音量調節を…

 

「今の冥界が変わりつつあると言っても、上級と下級、転生悪魔、それらの間の差別はまだ存在する。それが当たり前だと未だに信じてる者たちも多いんだ」

「なんだそれ?だって、部長のお家は俺たちを普通に迎え入れてくれたじゃないか」

「イッセーくん、グレモリーは情愛が深い悪魔の一族だ。あまり人間にも下級悪魔にも差別的な目を向けない。

 …だけど、フェニックスを思い出してくれ」

 

…は?

えーと、レーティングゲームの学校に通えないのは差別、って事か?

上級悪魔しか駒を持てなくて、上級悪魔の眷属しか参加できないものの学校になんで下級悪魔を入れないといけないんだよ?

大学に小学生が通えないのは差別か?って普通に考えればわかるだろ…

そりゃ大学レベルの知能がある小学生も居るけど、そういうのはちゃんと飛び級あるところに行く…悪魔なら上級悪魔にアピールして眷属になればいいんでない?

で、転生悪魔の差別の話で自分の眷属をちゃんと愛してるライザーさんが何だって?

もし転生悪魔愛してる人から、自分が転生悪魔で差別されたと思ったら、それは転生悪魔だからじゃなくてそいつ個人の責任だろっての。

 

全く…あ、シトリー先輩にわざわざ説明してあげてる悪魔も居るな

「そんな学校なんか作ったら今まで上級悪魔が自分の目で探して来たのをバカにしてるようなもんだぞ!」みたいな感じか。

別に全く反論できない内容でもないな。

むしろここで「こういう問題点があるんだけどどうするの?」って質問にマトモに説明・説得すら出来ずに、ただだんまり決め込んでるだけのシトリー先輩じゃ学校なんざ作れないし、作ってもロクなもんにならんだろうよ。

本気だ、って言ってたが、本気ならなんでそういう対処は一切しないんだ?

 

俺なら…禍の団の話がサイラオーグさんからも出てるし、そういった危機的状況であるから必要なんです、とか。

変革の話なら三大勢力の和平とか今までなかったことがあったのを出して、天使堕天使にナメられないように、とか言うかな?

あ、ダメだわ。これレーティングゲームの学校じゃなくてただの軍事養成施設だわ。シトリー先輩が建てたいのはレーティングゲームの学校だしなぁ…

つーかなんでレーティングゲームの学校なんだろう…

 

あっ、匙先輩が噛み付いた。シトリー先輩の評判落とすだけだってのに…

シトリー先輩も「将来の目標を語っただけ」って…サイラオーグさんは反論されても返す準備してきてたじゃん。マジに目標語るだけと思ってたのか?

あーあ、シスコンレヴィアタン様がキレたよ…つーかイジメって…

そもそもこういう場でコネパワー使うのやめてくださいよ、不公平だろ。普通に考えて。

シトリー先輩もレヴィアタン様のシスコンパワーで今まで乗り切ってたのかな?ぶっちゃけグレモリー先輩と変わりないよね…

で、もうひとりのシスコンがフォローして、今回のレーティングゲームの試合が決まった、と。

なんかあほくさ…

 

あぁもうバカみたいだ。寝よう。




>夏休みのほとんど朝、普段なら学校に行くような時間
どうも朝食後っぽいので
本当になんでこんな時間に同居してないメンバーまで集めてるんだろう

正直、家改築は同居の話の時に既に手回し済み・実行済みとかにしてた方がよかったんじゃ?
そもそも普通の2階建てで既に5人で住んでるところに更に追加とか狭そうなの少し考えればわかるでしょ
改築も周りの土地買収せずに魔力で空間だけ広げるとかさぁ…
わざわざ大きい家にする必要って何?
あと、城貰ったら悪目立ちするって後の方で一誠が言ってるけど、一日で6階建ての建物に早変わりするのも世間の話題になるだろ…

一応この話の中では引っ越しは、主人公の知り合いが調べたところではほとんど不満が出ないし平穏無事だった、ってことにしてますけど
それでも1巻の一誠母の沈静化の描写とか見てると、その程度魔力でどうにでもできるわけで…

>え!?俺たちも冥界ですか!?
「同じ値段でステーキを!?」のアレ見てるみたい
「俺を置いて冥界に帰っちゃう」→「そんなわけないでしょ」の流れでこのセリフが出るの本当にわけわからない
自分HSDDニワカなんで詳しい人は解説して下さい

>つもりじゃなくてアルジェントさんは一回死んでるんだけどね
HSDD世界で死亡後から悪魔の駒で蘇生すると死んだ事忘れるのかな?
それとも「死ななかった」という認識なんだろうか…
一誠も一度死んだのに命の扱いクッソ軽いけど

>生徒が一人裏切ったのしか成果を見てねぇんだけどなぁ
よくサーゼクスはシスコンなのにアザゼルに妹預けられるね
やっぱ前から交流あったろ

>入国手続き
婚約パーティの際にやってた設定
一応名家の婚約パーティに来るやつチェックするのは必要じゃない?

でも入国手続きやったことあるから、って手続き拒否したらどうするんだろう
入国手続きやったことある人限定で列車テロされたらどうするんだろう

>グレモリーの領土~
地球の面積の半分を悪魔が使ってるならちっちゃくないですかね?
人口ないからとしても、今でも未開発土地がある設定なんでしょ?
しかも今は他の72家が居ないところもあるのに本州と同じ?

ちなみに地球の3割の陸地の0.25%が日本の面積らしいですね

>次期当主の眷属悪魔だから領土の一部を与える
領土に住むことが許されてるのとはまたちょっと毛色が違うと思うが…
まぁいつものですね
しかし領地の切り分けなんかしてたらやせ細りそうだけどなぁ
リアスが何代目かは知らないけど

>迎えると言うよりか応援団みたいな声。ちょっと必死な感じもする
「怒号のような声」ですからね
進んで次期当主を迎える声とは思えない…やらされてる感

>メイドの中から赤髪の子供が
でも普通は次の次期当主候補が次期当主の出迎えでメイドの中に居るのもおかしいような…

>部長とあまり年の変わらない女の子
高3ぐらいには見える女性を女の子って言うか…?
一誠の女の子発言のせいで見た目年齢考えるの難しいわ
ぶっちゃけ前の天使の話ですけどね
しかも一誠って同じ相手に同じ事言わない可能性もあるし…

>お土産
一応タダで家に住まわせてもらうわけだし…
最初の「部室に手土産」は、相手の機嫌取りよりも物珍しい二次の為の演出、で思いつきました
まぁそもそも二次でリアスらに一時的にでも下手に出る事自体が珍しいような…

>お土産
オリ主のじゃない方
でもマジで息子が一月くらいお世話になるのに何もしようと思わない上にお土産要求したのかな?
原作者じゃないからわからないけど

>もうグレモリー家はグレモリー先輩が兵藤先輩と結婚したらいいじゃん。って事になってんの?
「私は一誠と結婚するからミリキャスあとよろしく!」ってんなら、リアスは自分の負債を全てミリキャスに押し付けるような女ということですし
結婚相手が純血悪魔じゃなくてもいいなら、余計にリアスは何でライザーがイヤだったのに相手を今まで探してないの?ってことになると思うんですが…

>私を置いて話を進めるなんてどういうことなのでしょうか!?
好きな相手との婚姻話でも自分が進めるんじゃないとイヤ!ってねぇ…

>リアス母の説教
ぶっちゃけ原作のリアス母もフェニックス家に悪いと一切思ってないだろ
と思ったので追加

ちなみにリアスが当主になったら自分のせいでフェニックス家にボロクソ言われる予定です
フェニックス家の当主が代替わりするまでの余命ですかね
レイヴェル母は今は当主嫁で、それなりに権力あるかもですけど、それ以降は違いますし?

案外原作の未来でもリアスが当主になって、そういった以前の行いで生んだ軋轢のせいで周りとうまくいかないから、即行ミリキャスに譲ったんじゃないでしょうかね

そもそもレーティングゲーム大好きなリアスがフェニックスの涙供給してるフェニックス家のライザーに態度悪いのって意味わかんないですわ
将来困ると考えなかったのかな?
あ、考えてるわけねぇわ

>兵藤先輩の方を見てたが、動きそうにない
自分が兵藤一誠は仲間思いではない、と思った一番の原因ですね
仲間のため、と言いながら責任を取るつもりはないとか…
「部長をあいつに奪われたくなかった」のにね
「俺のやった行動は、正しいと思いたい」ってルールとかそういうのは守るつもり無いんだなぁというのがよくわかる

>二度目のわがまま~
ここらへん、リアスは一誠が好きなんだから婚姻話が進むのはいいことなのにキレてるから、それに対応する返しもちょっと意味分かんないことになってるような

ライザーの時みたいにお互いに任せて破局しても困るから自分らがコントロールしますよ、って事?

>次期当主たる娘の最後のわがまま~
ぶっちゃけここまで言われて、その後一誠がリアスの方向いたら
普通は一誠がリアスに、自分が選ばれた事の確認をしようとしたように思えませんかね…?

つまりこの時点でリアスが一誠から好かれてると思ってもおかしくないんじゃ?ってことです
まぁ自分が鈍感キャラだったり、お互いの意思疎通をしないままだったりでの話を無駄に引き伸ばそうとしてるのが嫌いなせいかもしれませんが

>小猫の食欲不振
こういう「いつもと違うこと」があるって認識はしたのになんで確認はしないんだろう
今回の確認しないから一誠が仲間思いと思えなくなるのもだけど
基本的にリアスを始めとした他眷属は、一誠上げのためにか他人に何も言わない思わない気にしないから、そもそもこいつら全員仲間と思ってなさそうに見えるんだよなぁ
一誠が居なくなったら縁が切れそうな感じ

>悪魔が悪魔の世界で使う物としては違和感
一誠は冥界が人間界と変わらないのは共存関係だからと言って絶賛してますが…ねぇ

>ずむっ>指が胸に埋没していく様は圧巻だぜ?
指どこまで入れるつもりかしらないけど、「ずむっ」て…自分的にはないです
…そういう性癖なのかな?

あと一誠はAV見まくってる設定なのに、新境地!みたいな反応があるとは思えない
AVなんてやれることやりきって別ベクトルの模索してるイメージなんですが

>脱衣所
オリ主は露出癖とかはないのは明言しておきます

しかしバスタオルを体に巻いたまま温泉に投げ込むのはなぁ…
体洗う前だし、かけ湯もないし

>未成年飲酒
普通に以前から未成年飲酒させてましたが、リアルでの未成年の飲酒を肯定する意図はございませんので

ちなみにオリ主が酔わないのは毒無効だからです
アルコール自体効きません

>サイラオーグ・バアル
リアス母がバアル家出身って聞いて、一誠がグレモリーは大王で魔王!ってなるの違和感
あと大王一族はまだしも大王眷属は違うでしょ…
つか大王からなら降嫁では?大王一族でもない気がする

>アガレスは魔王の眷属
一応ここではシークヴァイラ・アガレスは魔王の眷属ってことで
原作の方で魔王の眷属じゃないって明言されちゃったら…まぁそれはその時に考えます
重要じゃなければ拾わなかったらいいだけですし

>グラシャラボラス
HSDDではアレですけど一番最初に名前を知ったのが某ゲームのせいでクッソ強いイメージなんですよね
あれでの知名度はバルバトスの方が上ですけど

>若手悪魔の目標
原作でシークヴァイラ・ディオドラ・ゼファードルの目標ってこの後も出てないけどちゃんと考えてるんだろうか?

>シトリー会長は悪魔の社会常識がない
ここではそういう設定です
もちろんお勉強はできるし(多分原作でもできるでしょう)
ボードゲーム強い
レーティングゲームでも優秀な参謀タイプ、なのはそのままです

単に他のシスコンと同じように庇護され過保護に育てられて悪魔社会の知識がなく
そのくせ下手に「日本の」学校に触れちゃって
今の悪魔の出世方法として現実味がある「レーティングゲーム」があって
「下級悪魔がレーティングゲームの学校に通えない」のは下級悪魔の出世を阻むものだ!
「これは学校と言いながらも公平に誰もが通えるものではない!差別!」という意識が強いんでしょうね

>フェニックスを思い出してくれ
まず最初に一誠がつっかかったりだの態度が悪いのは一切考慮しない身内贔屓な考え
そういうのは情愛とか仲間思いじゃないんだよなぁ…

転生悪魔である一誠をバカにしてたから転生悪魔をバカにする人です!にはならない
それが通用するのは一誠フォロワーだけ
「一誠の敵だから」ライザーが悪い!ってのが念頭にあるんでしょうね
ウィキペディアでもライザー過剰に悪く書かれてましたし

>これレーティングゲームの学校じゃなくてただの軍事養成施設だわ
でもソーナが作るのはそれなんですよね…
あれだけ散々言ってた「レーティングゲームの学校」はどこ?
と言うか悪魔にも兵隊は居るんだし、軍学校はあるはずでは?

あ、こんなわけのわからないものが原作通りに順調に行った後のしっぺ返しも当然あります
それまで覚えてられるかな…
そもそも原作が上級悪魔の原作設定を覚えてれば普通に起こりうる事だと思うんですけどねー


しかしアンチ二次でもソーナの評価が高いの何でなんでしょうね
ツッコミどころしかないのに

元ネタ
ブラックパンサー
暁月の円舞曲 と 蒼月の十字架 から
衝撃波を伴う高速移動

今回は足を接地せずに移動できるって作中の見た目で判断しての使用
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