ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

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遅くなりました

・小猫とのデート
・ギャスパー転校
・映画出演(13巻

の三本です
番外編ですみません
本編はまた次に


15話 5巻終~6巻直前

冥界から帰って、早速上層部に提出した「聖書勢力、エロで他神話懐柔説」はほぼ却下されたが、それでも一応オーディンから北欧神話との繋がる可能性には納得してもらえた。

まぁこの世界が物語の世界じゃないか?なんて少しでも思ってるのは俺だけだろうし、いくら占いで指摘されてもそこまで聖書勢力の都合のいいようにここから世界が動くなんて思うわけないだろうし、却下は仕方ないか。

 

あと、オーディンがたかが若手同士の戦いで活躍しただけの一兵士を絶賛するのも怪しいのでは、という話も挙がった。

血を抜き取った技能はすごいとは思うけど…ただあぁいうガチな必「殺」技ってそれ以降活用されなくなるよな。

そもそも魔力で増血出来たから魔力が並以上の相手には効いても意味がないっていう。

 

まぁそんなどうでもいいことよりデートだデート。

すっかり忘れてた…フリをして自分からは催促するまいと思ってたんだが、塔城さんはしっかり覚えてて冥界から帰ってからすぐ、夏祭り一緒に行かないかって誘ってくれた。

夏も終わるし屋台があるだけでそこまで大きいイベントではないらしい、が高校生が行くにしては自然なもんじゃないかな。

…とか考えてしまったのは、どこぞのちょい悪オヤジとかの年齢がタイプの女性(年齢不詳)が、女子校生に変装した上で男子高校生に近寄ってデートして、年相応の対処されたのがつまらなくてボロクソ言ってたから、だろうか。

 

 

 

「…すみません、お待たせしました」

「いや、待ってないよ。しかし思ったより人が…」

 

まだ待ち合わせ時間でもないしな。

しかし夏休みも終わりそうになるとイベント自体が少なくなって、一つのイベントに人数が集中してるな…

 

「おっ、かわいい服着てんね。俺ももっと洒落た服にすればよかったかな」

 

塔城さんに目を向けると、塔城さんの服…以前見た私服よりもこころなしか力が入ってるような気がする。値段的な意味で。

 

「…そうまさんだってお祭りっぽくていいじゃないですか」

「そうだけど部屋着ぐらいラフなイメージあるからなぁ」

 

俺は甚平に羽織一つかけただけ。無難だと思ったがこの気合の入りっぷりを見るとなぁ…

 

「…私も浴衣着られれば良かったんですけど」

「お、じゃあ来年の夏は浴衣で。目的地の近くにレンタルできる店とかあればいいけど」

「っ!? そ、そうですね…」

「じゃあそろそろ行こうか」

 

こっそり来年も来ようと言いながら、返事を聞く前に手をつなぐ。

何か言われたら人が多いから、と言うつもりだったが別に嫌がられてもないみたいだし、いいか。

…駒王学園の女子だからチョロいのかな?大学とか他所から食い散らかし目的のやつらでヤバいらしいし。

いや、それは以前のエスカレーター時代の女子の話だったか。塔城さんは転入のハズ。

 

 

 

「…これおいしそうですね」

 

さっきから飲食系の出店ばかり次から次へと巡ってる。

それ自体は別に悪いことではないんだけど。お礼だから、って向こうが出してるから財布扱いなわけでもないし。

 

「…食べないんです?要らないならください」

「いや、食べ…食べたいなら一口あげるよ。あーん」

 

さっきまでのフードファイター路線から引き戻すべく、定番のアレを敢行する。

 

「えっ、その… あ、あーん」

 

最初は思ってたのと違ったが、これはこれでいいか。

こころなしか塔城さんも普段より笑顔が自然で頻度も多くなってる気がするし。

 

 

 

「にーちゃん、ねーちゃん、寄ってってー!」

 

威勢のいい女性の声に眼を向けると、どうもアクセサリーなどの雑貨屋?の呼び込みらしい。

デートで食べ歩きした思い出、もいいけど形に残る物もあったほうが良いよね。

 

「ちょっと見ていい?」

「別に構いませんけど」

 

塔城さんの了承も得られたことだし、店に向かっていく。

 

「らっしゃい!どれでも好きなモン買うてってやー」

「んー…猫のヘアピンとかあります?」

 

思ったよりも店が狭いのか品物が多いのか、とにかく雑多な店だ。聞いた方が早いかな?

 

「後ろの嬢ちゃんへのプレゼントかいな!ニクいねぇ~この色男!

 …っとご注文の品ならこんなのが若い女の子に売れてたよっと」

 

あんまそういうの言って欲しくないんだよなぁ。

だがそんなコテコテ店員も仕事はきっちりするらしく、いくつか商品を出してくる。

…うーん。

 

「2つ同じのがあるのって、この黒猫のしかないです?」

「店にあるのが仕入れたやつ全部だからないねぇ。まぁ人気のいいやつだからで、もっとちゃ…シンプルなのならいっぱいあるけど」

 

「…黒猫に罪はありませんよ」

 

悩んでると後ろから塔城さんが声をかけてきた。振り向いて目線で大丈夫か問うが頷く。

 

「まぁそれもそうか。つーわけでこれください」

「毎度!

 …ニイさん、黒猫嫌いなのかい?」

「嫌いじゃないです。ただ、前にちょっとしつけのなってない黒猫が居て危害を受けそうだったもので…」

 

受け取りつつ塔城さんを指す。実は嘘ではない。

 

「な~るほど。

 …ところでご両人、ヘアピンじゃないけど黒猫じゃなくて、白猫の耳付きカチューシャなんてのも」

「「間に合ってます」」

 

 

 

「というわけで、はい」

「…ありがとうございます。

 しかしこの件が私からのお礼って話だったのでは?」

「いやぁ、こういうのも含めてデートだからね。

 後ちょっと考えてみると強引過ぎたお詫びと言うか…何というか…」

 

焦りすぎたかな?とは思ってた。

ただ、ゼノヴィアさんの初期状態から兵藤先輩に、と言うかドラゴン持ちに関与してからの変質ぶりを目の当たりにするとなぁ…

塔城さんは嗜好とは違うらしいが信用ならない。

 

「…ちゃんと楽しかったですよ。普段こういうところに来ようと思ったりしませんでしたし」

「そっちも楽しんでもらえたなら何より」

「ボソボソ(次からは普通に誘って貰えれば…)」

「マジ?おっしゃ、言質取った」

「―ニャッ!?」

 

よほど驚いたのか耳と尻尾まで出す塔城さん。

 

「俺は耳いいのよ。

 …で、耳いいから音が減って人居なくなってるのもわかるし、そろそろ帰ろうか」

 

顔を赤くした塔城さんを家まで送ってその日は終わった。

 

 

 

そんなこんなで楽しい夏休みも終わって二学期、の初登校日。

 

「えー始業式も終わってそうそうだが、転校生だ」

「ギャ、ギャスパー・ヴラディです…よろしくおねがいします…」

 

転入生はギャスパーだった。いやまぁ学校に来るのは知ってはいたんだけど、同じクラスとは。

 

「知っての通り、うちの学校は制服さえ着てれば衣服に関しては実質なんでもアリだ。

 ヴラディは男で女子制服を着てるが校則違反ではない。女子更衣室に入らない限り虐めたりなどの無いように。

 次の時間までは自由にするが…交流はうるさくしすぎないように」

 

先生が教室を出ると、早速ギャスパーは質問攻めにあってた。

 

「どこから来たの?」

「視力悪いの?」

「女子制服の着心地は?」

「男と女どっちが好き?」

 

普通のから変なのまで…まぁ明らかにヤバそうなのに絡まれるまでは関与しない方がいいか?

まぁ一応、近くまで様子を見には行く。

…この学園なら未覚醒なだけの変態が居て、ギャスパーに刺激されて発露、なんてこともありえる。

 

「ショージくん!」

 

俺の顔を見たギャスパーが、即助けを求めてくる。

 

「惣間、知り合い?」

「そそ、グレモリー先輩絡みで。

 ギャスパーってどうも日光に弱い体質らしくてな。ずっと病院暮らしだったらしいのよ。

 知らない人相手って慣れてないらしいから、ちょっとずつで慣らしてやってくれない?

 あ、後メールとかなら大丈夫なんだよな?」

「う、うん」

 

適当なカバーストーリーをでっちあげる。

 

「え、日光苦手って体育とか大丈夫なの?今月体育祭もあるんだけど」

「だ、大丈夫です。ちょっとだるくなるくらいなので…」

 

そういや悪魔も日光苦手、とか言ってたけどその割には普通に日光浴びてるよな。

聖なる力は太陽とは何の関係もないんだろうか?やはり聖なる力を実際にモノにしない限りわからないだろう。

…未だ手に入ったのは光、それも100%使えるのは下級レベルの堕天使から。

聖剣なり聖なる力なりがぽーんと手元に入ってこないものだろうか…

 

 

 

唐突だが駒王学園は髪色自由なので染放題だ。実際二学期に入り金髪茶髪も増えた。始業式で見た感じだと白…っつーか銀っぽいのも増えてたな。青・赤も居た。

…なんでいきなりそんな事言うかってーと、部室で兵藤先輩が髪を染めた不特定多数の相手に対し妙にキレてたからだ。

別にいいじゃん。誰が髪染めようが…

 

「染めたいなら染めればいいじゃないですか。」

「わかってねぇな、夏休みの長期間会わない間に染めて、久々に会ったらあんなにかっこよかったっけ…ってなってモテるのがいいんじゃねぇか!

 …ったく、これだから普通の髪じゃないやつは」

 

だから勝手に夏休みの間に染めればいいっつってんだろうが。

特訓から帰ったからって、髪染める間がなかったわけじゃないし。

そもそも不特定多数の人にモテたいなら髪色より、普段の自分の行動どーにかした方がいいんじゃないの。

ま、わざわざ喧嘩するつもりもないから言わないけど。

 

「イッセー、大変よ」

 

ダベってると、妙に嬉しそうな様子のグレモリー先輩がやって来た。

 

「ぶ、部長?どうしたんです!?」

「ふふふ、なんと、魔王様からの直接のご依頼を頂いたのよ!セラフォルー・レヴィアタン様からね」

「うおぉぉ!マジっすか!レヴィアタン様からとは光栄です!」

 

何だろう、妹の手伝いとか?

 

「イッセーを中心に、小猫、ショージ、ギャスパー、ゼノヴィアを貸してほしいとのことよ」

 

は?俺も?

 

「ぼ、僕は、その…皆さんの役に立ちたいのはやまやまですけど、あんまり目立つのは…」

「大丈夫よ、一人一人はほんの2.3分もない用事だそうだから」

 

それを聞き、ほっとするギャスパー。

 

「しかし、なぜ私達を?」

 

当然の疑問をゼノヴィアさんが聞く。

 

「あなた達の特別さが必要みたいなのよ」

「何です?珍しい生き物のお披露目会とか?もしそれなら逃げますけど」

「そんなわけないでしょう!」

 

俺が茶々入れると激昂するグレモリー先輩。

 

「おっとっと、失礼。じゃあ説明よろしくおねがいします」

 

両手を上げてなだめる…フリをしながら言う。

でも絶対俺が言わない限り説明しなかっただろうに。

下僕相手なら絶対服従なのかな?だから言わないクセが付いたとか?

 

「セラフォルー様の出演する映画の撮影協力よ!コレでいいかしら?」

「えぇ、どうも」

 

しかし映画ね…

ちらっとギャスパーを見るが、前のように叫んだりはしてなかった。映像は別にいいのかな?

 

「…それだと『マジカル☆レヴィアタン』でしょうね」

 

塔城さんが説明してくれた。

 

「知ってるの?」

「…内容までは知りませんが、ヒーロー番組みたいなものです。冥界に住んでるなら知らない悪魔は居ないでしょう。

 日本だと総理大臣が特撮番組で主役やってるようなわけですし」

 

あー、なるほど。確かに。

その日は、映画出演と聞いて妄想の世界に旅立った兵藤先輩を尻目に、出立のスケジュールを聞いて終わった。

 

 

 

とまぁ、そんなわけで予定の日、俺らは転移魔方陣でとある日本の無人島に飛んだ。

ヘリも船も要らないし、ラクだな。

撮影用にちょこっと来るために桟橋作ったりとか無駄だろうし…って土地の権利とかどうなってんだろ?

位置情報取っといて後で調べるか。

 

「つーか、魔王様は?」

 

兵藤先輩がそう言いながらあたりを見回す。と、それに応えるようにドシンドシンと足音が響く。

そして出てくる大型の恐竜…っぽいもの、の上から声。

 

「やっほー☆ リアスちゃんの眷属悪魔さんたちー☆ レヴィアたんでーす☆」

 

以前見た時よりもテンションの高そうなレヴィアタン様だった。

 

「とお!」

 

なんて掛け声と共に、飛び上がった後に回転しながら降りてくる…が、顔から着地してしまう。

当然パンツが丸見えになるわけだが…これは狙ったんだろうか?ナチュラル?

 

「じゃっじゃーん☆ セラフォルー・レヴィアタン! ここに参上でーす☆」

 

顔に土つけたままピースして微笑むレヴィアタン様。

どう動くのが正解なのか…悩むが、流石に顔をこのままにするのもよくあるまい。

 

「ちょっと失礼しますね」

 

そう言いつつ、顔の土を落とす。

 

「お、お久しぶりです、レヴィアタン様。

 こ、この度は俺たちを映画の撮影に参加させていただいてありがとうございます」

「そんなにカタくならなくていいよ☆ 呼んだのは私なんだから☆」

 

レヴィアタン様が硬い兵藤先輩にさらっと返事を返すと、恐竜の通った道の跡から、撮影機材だろう道具を持った人々が現れた。

 

「セラフォルー様! シーン21、『古代の恐竜と戯れる魔女っ子』! 良い画がとれましたよ!」

 

変なシーンだなぁ。

 

「監督さん、この子たちが例の人たちよ☆」

「おおっ! なるほど、例のゲームで活躍したグレモリー眷属の皆さんたちですか!」

 

ゲームの勝敗で映画出演が決まるのか…?

 

「あのね、この映画監督さんがリアスちゃんとこのみんなの戦いを見てて、『これだ!』って思ったらしいのよ。

 それでオファーということになったの☆」

「今回のセラフォルー様の映画のライバル役にいいと思ったんだよ」

 

ほーん。あれに惹かれるものがあったのか。しかしライバルねぇ…

 

「えーっと…でも、レーティングゲームは他にもあるんですよね?なんで俺たち?」

 

兵藤先輩が聞くが…なんか琴線に触れたんじゃないの?一般人にはわからないのもわかるのがアーティストだろうし。

 

「なんてったって、伝説のドラゴン! 聖剣使い! ヴァンパイア! 妖怪猫又! 九尾の狐!

 うん!悪魔のライバルが盛りだくさんだ!

 しかもキミたちは先日のゲームで冥界全土に顔を知られている!話題性も高い!ぜひともレヴィアたんの敵役としてお願いしたい!」

 

わーなんか思ったよりふつー。

そういや俺も呼ばれてるんだし、先日のゲームの話だけならギャスパーは活躍出来てないしで、まぁそういうわかりやすい付与価値が目当てか。

 

 

 

…と、まぁそんなこんなで撮影、の為に衣装に着替えることに。

なったわけ、だが…

 

「おまたせしました」

「おせーぞそうま…ってなんだそのカッコ!?」

 

兵藤先輩が驚いた声を上げる。他のメンバーも絶句してる。

確かに、衣装に着替えるぞ~ってなって、金髪ウィッグ付けて女装してスリット付きチャイナドレス着てるわけだしなぁ…

 

「着せかえ人形状態になってる時に監督が見てて…ほら、今回俺らの役は兵藤先輩扮する、この島に封印されたドラゴンを復活させる集団役じゃないですか。

 見た目だけとは言え女性ばかりの方がドラゴンに頼る説得力が増す、とかでこんなことに。

 まぁでも…『結構イケるっしょ?』」

 

文字通り声を作って聞いてみる。

 

「はい。綺麗ですよショージさん」

「しかし腕も足も細すぎないか?この細腕のどこにあの筋力が…」

「…どうでもいいんですけど、胸盛りすぎじゃありません?どうでもいいんですけど」

 

龍の巫女役でドクロなどの小物に身を包んだアーシアさんと、悪しき聖剣使い役の胸当てと腰巻きだけの姿で俺の腕をつつくゼノヴィアさんと、メイド役のジト目で胸のあたりをにらみつける猫耳メイドの塔城さんの女子陣からは好評のようだ。

 

「『ギャスパー、女装のプロの眼から見てどうよ?』」

 

どう答えるか悩んでるのかウンウン唸ってる鎧姿の兵藤先輩は無視して段ボールにノックする。

 

「は、はい…プロじゃあないんですけど…いいんじゃないでしょうか」

「皆さん、台本チェック後、撮影に入りまーす」

 

おっと、ダベってたら招集がかかった。一応依頼された仕事だし真面目にしないとなぁ。

 

 

 

撮影に入ったが…順調、なのかな?

ギャスパーがシーン撮影の度に被害にあってる。

塔城さんとの時は鳥の魔物(なんで日本に…)に攫われ、ゼノヴィアさんとの時には恐竜の口に含まれ…シーン終了する度に助けてるが変なトラウマにならないといいんだが。

なんか監督にウケて、次のシーンに、また次のシーンにも…ってなってるし。

 

「それではシーンC『巫女の復活を阻止せよ!レヴィアたんVS九尾』いきまーす」

「はーい」

 

 

 

「よーい…アクション!」

 

「龍帝様、龍帝様。ど、どうか、我が闇の願いを叶えたまえ~。その悪しき力で憎きレヴィアたんを倒したまえ~」

 

ドラゴン…っぽい像の前でアルジェントさんが祈る。ちょっとカタいけど、監督が止めないしいいのか。

監督がシーンのぶつ切り嫌いなタイプなのか、そのままレヴィアたんが現れる。

 

「ここが龍帝を封じた場所ね! はっ! すでに祈りが始まっているわ! 大変!」

 

子供向けだからか台本からして説明口調だ。

うーん…

 

「お祈りを止めなさい!」

 

ここから俺の出番だ。

アルジェントさんの元へ行こうとするレヴィアたん。

だが、その足元めがけ妖力の弾が…

 

「くっ!」

 

レヴィアたんは慣れたもので即座にバク転。

…ちなみに妖力の弾が当たった場所は凹んでもいない。

 

「『ったく、あいつら時間稼ぎすらまともにできないのかい。全く役に立たない駒だねぇ…』」

 

残忍な感じで悪役の女ボスっぽい声を作って喋る俺、こと九尾。

更に喋り終わると同時にパチン、と指を鳴らすと、アルジェントさんごとドラゴン像の周りを結界が覆う…ようなエフェクトがかかる。

 

「…あなたを倒さないと止められない、ってわけね☆」

「『そういうこと』」

 

言うが早いか、顔を隠していた鉄扇を閉じ殴りかかる。即座にステッキで応戦しようとするレヴィアたんだが、何かに気づいたのか避ける。

避けた瞬間、レヴィアたんの居た地点に妖力の弾が8つ上空から降り注ぐ。

そう、九尾は先程の足元への攻撃と同時に上空へと時間差攻撃を仕掛けていたのだった!

 

「『ちっ』」

 

戦法が見破られた苛立ちをぶつけるかのように、尻尾を放射状に広げ、先から妖力の弾を連射していく九尾。

そのままお互い魔力と妖力による射撃戦にシフトするが…地力の差虚しく、だんだんと防戦一方になる九尾。

それでも焦ることはない。時間稼ぎをすれば自分の勝ちに繋がるのだから。

だが、弾の対応に追われふと気づくとレヴィアたんの姿が無い。

 

「『なっ…居ない!?』」

 

周りを見回すが、弾ばかりで肝心の本人は居ない。

 

「『どこに…まさか!』」

 

上を見上げると、魔力で巨大な弾を準備していたレヴィアたんが。

逃げようとする九尾だが、先程までレヴィアたんが放っていた魔力の弾が逃げ場を塞いでいて…

 

「やっ!」

「『がっ―』」

 

レヴィアたんから放たれた巨大な魔力の弾にふっとばされ、木に叩きつけられる九尾。

 

「『ククク…だが時間は稼いだ…今頃は龍帝が…ぐふっ』」

「なんですって…! 急がないと!」

 

負け惜しみを言い捨てると倒れ伏す九尾を横目に、レヴィアたんは災厄を止めるため先程の場所へ向かう――!

 

「はい! カット!」

 

監督の声が撮影終了を告げる。

 

「『ふぅ…』」

 

やるだけはやった。が、うーん…

次の撮影の為、先程の場所に向かうスタッフたちを見送りながら手応えのなさを感じていた。

演技は常日頃からしてるようなもんだし、特撮とかドラマもよく見てたし、もっとこう…いい感じでできてるものだと思っていたが…

そんな甘いもんでもないか。

いや、まぁいいんだけどね。別に役者で大成したいわけでもないし。

…ただ、あるいみ悪役の主役だった兵藤先輩があっさりやられ、奮起したギャスパー(段ボール)の動きを見て絶賛してるのを見ると、たんに価値観が違うだけのような気もする…

 

 

 

「すみません、ちょっと気になったんですけど、レヴィアたんの劇場版ってどんなおまけがつくんですか?」

 

撮影も終わったし今回の件に便乗してある程度、悪魔のサブカルの情報を探っていたところに暇していたスタッフが現れたので聞いてみる。

 

「おまけ?」

「日本の特撮とかだと…こんなのとかあるんですけど、冥界ではないんです?」

 

携帯でよくある劇場版CMの動画の販促を流す。

 

「お、おぉ…確かにウチでもやりたいが、流石に今から何か作るのは予算も期間も…」

「んー…なら組み立てたらギャスパーの段ボールみたいになるようにした紙のとか」

 

ジョーク、というか与太話程度の提案だったが…

 

「それだ!今から話せば絶対通る!

 ありがとう!」

 

と、走り去ってしまった。

おいおい、大丈夫か?俺は流石に責任取らんぞ?

 

 

 

『こうして、マジカル☆レヴィアたんは強敵段ボールヴァンパイアを倒し、冥界の平和を守ったのでした』

 

撮影からしばらくして、プレミアム上映会にお呼ばれした。

最後のナレーションが終わると、他のプレミアム上映会の客員がスタンディングオベーションの嵐、大絶賛だった。

特に段ボール周りは相当で、今ギャスパーにオファーしている業界人が何人も居るし。

 

「あぁ居た居た」

「おや…お久しぶりです」

 

手持ち無沙汰だし、鎧の魔物?に囲まれてる兵藤先輩をぼけーっと見てると、以前のスタッフさんが声をかけてきた。

 

「以前キミの言ってたの通ったよ! 魔王様も褒めてたよ!」

「そうですか、それなら良かったです」

 

笑顔で応える。

いや~、あんなんで評価上がって目的に近づいたならガチで嬉しい。

現在進行系で押し付けられてる大量のサンプルをちゃんと持って帰ろうと思えるくらいには。




>必「殺」技
あれから出番なくない?失血ダウンは有効打だと思うんだけど
人間相手の時とか
ただ本気で一誠を倒すため「だけ」の技で、用済みになったから記憶にないのかな

>ちょい悪オヤジとかの年齢がタイプの女性(年齢不詳)
アザゼル推しだしそうじゃないかなぁ、と
年齢は…味方キャラなら外見通りなんでしょうけど敵ですからねぇ

>デート
一誠ってヒロインと全然デートしねぇじゃん!
って文句言いまくってたので本作ではヒロインとデートさせたかった
まぁ恋人関係になる前と後とでは色々違うでしょうけど…
って考えると原作一誠はリアス以外とはお付き合い0日で婚約してる事に?
友達以上セフレ未満って感じなんでまた違うんですかね

ただ、デートって書いてるとこっ恥ずかしくなったり
アクシデントがマイナス方面ばっかり思い浮かぶんで内容は短くなりました
スリとかナンパ男はデートに要らないから…

>小猫のデート服
もっと色々こういうの着てるって書こうかと思ったけど
固まらなかった+イケメンってあんま細かくんで想像に任せるスタイル
せっかくの女性用ファッション誌はゴミになりました

>駒王学園の女子はチョロい
男子生徒が結構女子生徒とヤってるような感じなので
そう言えば覗きしてた友人()も今は女子生徒とお付き合いしてるんでしたっけ

>ギャスパー転校(転入?
原作でいつ、というのが一切記述されてないように見受けられたのですが
7巻後相当の話ではすでに学生だったのでこの時期かな、と
ディオドラのトレードの時にはおふざけする余裕持ってたりしたんで

>制服さえ着てれば衣服に関しては実質なんでもアリ
一誠は学ランの前全開でもOKだし、これくらいありそう
不良くらいには思われるかも知れないけど、校則違反ではない、みたいな

>髪色
原作だと6巻で言及がある部分
原作主人公の兵藤一誠さんは自分も染めりゃあいいのにそれをせず、そのくせ染めたやつに「アタマにくる」のはなぜなんだろう?
ほーんとわけわかんね

>魔王の依頼を説明しない
マジでなんででしょうね
多分、読者にそこでバラすまで秘密にしたいんでしょうけど
キャラクターにも説明しない理由がわかんないです

あ、ちなみにリアスはここ、原作では説明してないです
魔王の撮影現地で魔王様本人から説明聞いて参加するか聞かれます
…その場で「あ、その内容なら無理っす」ってなったらどうなるのやら

>日本の無人島
冥界かと思ったら原作に日本ってありましたー
は?
確かに冥界には海ないけど湖にも孤島くらいあんじゃないの
それよりどうして日本の無人島に天空の魔鳥ジズとやらは居たんだろう…

>女装
これに関してはほんとにやりたかっただけ
昔、某作品のせいでそういうのが大好きになってしまいまして

チャイナドレスとかは一般的には九尾のイメージから中華風
一応オリ主の顔はがっつりこんな感じ!とは決めてませんけど
流石に中性的じゃなくて平常時は男に見える想定
身長190あるし、化粧で化ける方が好きだし
声はガチで体の声帯イジって『作ってる』設定
オリ主の中ではそういうのも吸血鬼の能力の一種なので

ちなみに作中出そうにない設定なので
悪魔城ドラキュラに出演した声優さんっぽい声を出せるのが
TASのような動き再現能力同様のゲーム再現能力に含まれてます
孤児院でドラグ・ソボールごっこでデル役で人気だったり

>ギャスパーがシーン撮影の度に被害にあってる
ちなみに原作では仲間思いの兵藤一誠さんは別にギャスパー助けたりとかはしてませんでしたね
重用する監督にツッコミしてただけ

>撮影シーン
入れるならここかな、と
原作はあっさりだけど、本拠地を目の前に1シーンくらい入れるもんじゃない?
と言うか自分がああいうぼけーっと見てるだけで、理由もなく相手に行動許すシーン嫌いなんですよね

このシーンは段ボールヴァンパイア皇帝を出そうかと思ったけどカット
と言うか小猫もゼノヴィアもヴァンパイア出て終わりじゃね?
結末がイマイチわからん
と不満に思ったのでちゃんと倒されてシーン終わりにしたかったので

あとレヴィアたんが射撃から逃げててそこに
逃げたら冥界の全員死ぬぞーみたいな事いって
そこでレヴィアたんが奮起・一転攻勢
みたいなの最初に考えてたけど
多分『マジカル☆レヴィアたん』はそういう系統じゃないなと思って止めた

>特撮とかドラマもよく見てた
実際放送されてるアニメが知ってるもののパロディばっかだと楽しめないんじゃないですかね
いや、別の楽しみ方になるんだろうか

>魔王評価
ちゃんと評価は上がってます
が、オリ主が望む方向には行かないです



・この時系列で書いてない事の話・
ちなみに8巻の300人のはカットではなく削除
この世界では起こりませんでした
そもそも300人が服脱がされた記憶があるのに、その後の6巻で評価が上がったのっておかしくない?
ってなって矛盾しそうだし
後々にクローン肉体作るって話でドッペルゲンガーの話題も出ませんでしたし問題ないどころか自然かな、と
あ、同じ時系列の13巻のSOSの方は存在はしたけどカットです
基本的にオリ主が関わらないのは書かないです

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