ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

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一年どうにか続けてこれました(話数は少ないですが

閲覧・感想・評価ありがとうございます


本文修正、及び該当部分のあとがきに訂正追加


18話 ディオドラ戦~6巻終わり

サーゼクスがクルゼレイを倒した、その頃…

 

さらわれたアーシアを追って神殿を進んでいた一誠たちは、最深部に到着していた。

そこにあるのは、壁に埋め込まれた巨大な円形の装置。

その表面には宝玉のようなものが散りばめられ、怪しい紋様と文字のようなものが浮かんでいる。

と、装置の中央に――

 

「アーシアァァァッ!」

 

はりつけにされているアーシアを見て思わず叫ぶ一誠。

 

「おや、もう来たのかい?

 早いなぁ。旧魔王、大口叩いてた割に全然役に立たないじゃないか」

 

装置の影から現れるディオドラ。

そんなディオドラを視認した瞬間に禁手のカウントダウンを始める一誠。

 

「…イッセーさん?」

 

一誠の声で気づいたのか、アーシアが顔を上げる。

どことなく、疲れ切ったような表情を浮かべて。

 

「ディオドラ…お前、アーシアに事の顛末を話したのか?」

「顛末?」

 

その疲労が精神的なものからきた、と当たりをつけた一誠が問うが、ディオドラにはピンと来ない。

 

「とぼけんな!フリードから聞いたぞ!

 テメェがわざとアーシアに自分の怪我を治させて、教会から追放されるように仕向けて、他の聖女にもヒドい事もしてたってな!」

「…あぁ、さっきフリードが言ってた事かい?

 驚いたな。君たちは、教会から切り捨てられ、堕天使からも足切りにされ、禍の団でも実験台にされてるような輩の言葉を信じる、と」

 

呆れるように冷たい視線を向けるディオドラ。

 

「ふざけるなよ。

 僕が教会に利用されるがままだった彼女らを助け出して、それから育んだ絆を茶化すフリードも腹立たしいが、それを呆気なく信じる君たちにも腹が立つ。

 僕と…僕が惚れたアーシアさんをも愚弄する気か!?

 アーシアさんは教会に属していながらも、目の前の悪魔を救おうとしたんだぞ!?禁忌だろうに!迷いもなく!

 そんな優しいアーシアさんだからこそ、僕は本気で惚れたんだ!

 それを…ッ!

 …もういい。君たちには攻撃しない予定だったが、ヤメだ」

 

言い終わると、ディオドラの全身を黒いオーラが包む。

 

「はっ!」「やっ!」

 

戦闘に入った瞬間、リアスと朱乃は禁手になる前の一誠を守るように、先制でそれぞれ滅びの魔力と雷光を放つ。

が、それはディオドラに当たる直前に向きをかえ、接近していた木場やゼノヴィア、小猫に襲いかかる。

 

「!?」

「兄上程の技術はないが、それでも君たち程度の力では今の僕に通用しない」

 

そしてディオドラは無限にありそうな大量の小さい魔力の珠を作り出し、自身の周囲を回転させて、近接攻撃をしようとした三人を弾き飛ばす。

 

「強力な聖剣や聖魔剣、仙術があったとしても同じだ。

 もちろん停止の魔眼も」

 

そのセリフとガシャン!と言う音で、はっと全員の目が発生源のギャスパーの方に向くが、そこには落ちて割れた鏡と既に停まったギャスパーしか居なかった。

 

「――がっ」

「後は君だけだ、赤龍帝」

 

完全に意識をギャスパーの方に向けていて、魔力の珠による攻撃をモロにもらってしまう一誠。

ディオドラは更に追撃をかけるが、リアスと朱乃が魔力で壁を作り盾になって防ぐ。

…しかし、蛇のおかげで強化されているディオドラの攻撃は防げず、二人は吹き飛ばされる。

 

「部長!朱乃さん!

 …くそおっ!」

 

一誠は二人にこれ以上攻撃がいかないように殴りかかろうとするが、ディオドラの魔力の珠が襲いかかる為に近づく事すら出来ない。

更に、禁手のカウントを開始してしまっているから倍加して遠距離戦に応戦出来ない一誠には為す術もない。

 

「ぐっ…」

「君は学習能力がないのかい?素の君よりも強い他の駒が相手にならないんだよ?

 …相手の力量も計れずに喧嘩を売るのは旧魔王だけじゃないんだね」

 

小馬鹿にしたような顔で呟くディオドラ、だがその間にも攻撃の手は止まず…

 

「ぐはっ…」

 

ディオドラの執拗な攻撃で、ついに倒れ伏す一誠。

 

「ふぅ…やっと終わったか。

 これで――」

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』

「これで――何だって?」

 

起き上がる全身鎧姿の一誠。

 

「…全く、しつこいドラゴンだな」

「しつこいのはテメーだ!アーシアに近寄るんじゃねぇ!アーシアを返せ!」

 

一誠は鎧の背中側の魔力噴射口から火を噴出させ、一気に近づく。

 

「!早…がっ」

 

一誠の拳がディオドラの腹部にめり込む。

 

「くっ、こんな…こんなたまたま神滅具を手に入れただけのヤツなんかに…ッ!」

 

後ろに飛び退きながら、先程まで展開していた魔力の珠を全て一誠に向ける。

一誠はそれらを意に介さず悠々と、鎧の硬さを盾に邪魔なものだけ弾いて近寄っていく。

 

「――痛っ」

 

一誠がふと痛みの発生源に目を向けると、鎧の関節部に小さな針状の魔力が刺さっていた。

引き抜こうとすると、返しが付いていて地味に痛いし出血も多くなる。

更に、一箇所に手で対処している間に他の場所に攻撃されるおまけ付き。

 

「は、いくら君でも出血多量には逆らえまい!

 どれだけ硬い鎧だろうと――」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

「―っ!」

 

一誠の身にまとうオーラが増し、刺さっていた針を消し飛ばす。

このままでは効果がないと察したディオドラも魔力を集め、大型の円錐型に変形させ威力を高め再度攻撃をしようとした…が、

 

「遅ぇ!」

 

その間に魔力噴射口から炎を上げながら一誠がディオドラの元へ飛び上がり、拳を顔面に叩き込む。

 

「これは部長の分!

 これは朱乃さんの分!

 これはゼノヴィアの分!

 これは小猫ちゃん…とついでに木場の分!」

 

地面に落ちて、魔力を放とうとしたディオドラの左手を叩き折り、右足を蹴り折り、再び顔面に一発。

遠くで小さく文句の声が上がる。

…が一誠の耳には入らなかった。

 

「そしてこれが…」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

「アーシアの分だあぁッ!!!」

 

一誠は手にドラゴンのオーラを集め、それを一気に放つ。

ディオドラもそれを防ぐように全魔力を放つが、一誠の放った神器で増幅されたドラゴンショットには拮抗出来ず、魔力ごと吹き飛ばされ壁に打ち付けられた。

ギリギリで逸れて直撃こそ免れたが、外壁を貫通する威力に曝されかなりの体力と魔力を消耗したようで、起き上がる事が出来ないようだった。

そこにオーラを迸らせながら、鎧のマスク部分だけを解除した一誠が近づいていく。

 

「二度とアーシアに近づくな!次に俺たちのもとに姿を現したら、その時こそ本当に消し飛ばしてやる!」

 

ディオドラの襟元を掴み上げ、そう脅す一誠。

 

「…はいはい、僕からアーシアさんに近づく事はしないでいてあげるよ。僕からは、ね」

 

約束してあげようじゃないか。などと余裕たっぷりに喋るディオドラ。

その様子に頭に血が上る一誠だったが、そこには一誠よりも頭に血が上っている人物が居た。

 

「イッセー、なぜトドメを刺さないんだ?」

 

殺意を溢れさせながら、アスカロンを持ったゼノヴィアが問う。

 

「この様子じゃまたアーシアに近づくかも知れない。この場で首を刎ねておいた方が」

「僕を殺したらアーシアさんも一緒に死んじゃうかもよ?」

 

その言葉にハッとなるゼノヴィア。

 

「どういう事だ!?」

「どういうも何も言葉通りだよ。

 え、まさか僕が保険もかけてないと思っていたのかい!?

 全く…これだから同じ教会でも戦士はダメなんだよ。聖女の爪の垢を煎じて飲んだらどうだい?」

 

ゼノヴィアを煽りながら鼻で笑うディオドラ。

 

「そもそも君さぁ、さっき僕がアーシアさんを攫った時に思いっきりアーシアさんごと僕を斬り殺そうとしてたよね?

 とっさに僕がアーシアさんを盾にしちゃったらどうするつもりだったんだい?」

「く、こ、この…!」

「や、やめろってゼノヴィア!」

 

アスカロンを振り上げるゼノヴィアにそれを止める一誠。

なんとかなだめ、装置に繋がれたアーシアの元に向かう。

 

「アーシア!」

「イッセーさん!」

「助けにきたぞ、アーシア。

 約束したもんな、必ず守るって」

 

その一誠の言葉で安堵したからか、涙を流すアーシア。

そして装置から外そうとするが…

 

「…手足の枷が外れない」

 

その後、全員で…赤龍帝の腕力、聖剣・聖魔剣、魔力など試すがどれもダメだった。

 

「おい!あの装置はどうやって解除するんだ!答えろ!」

 

ゼノヴィアが駆けていって、ディオドラの胸ぐらをつかむ。

 

「あぁ、あれは『絶霧』って神滅具で作られた使い捨ての結界装置でね。

 使い捨てと言っても、このフィールドを覆っている結界と同じ神滅具なわけで耐久性は抜群さ。

 一度効果を発揮しない限りは止まらないし外れない」

「効果?」

「君も食らった反転ってのがあったろう?

 あの装置はそれをアーシアさんの神器能力を増幅した上で作用…

 僕や周りの指示があったり僕が死んだりすると、アーシアさんの癒やしの力を攻撃に反転して、このフィールドと観客席の全員に攻撃する仕組みなんだよ」

「な…」

「そんな事…各勢力のトップ陣が全て根こそぎやられるかもしれない…!」

 

衝撃の事実に戦慄するグレモリー陣営。

 

「ははは、それは流石に言い過ぎだよ。

 そんな際限なく増大するわけじゃないんだから」

 

明るい声で否定するディオドラ。

 

「わざわざ僕が襲撃をリークして実力者ばかりで固めてもらったんだし、そうじゃないと困るよ」

「はぁ!?」

 

驚いた声を上げる一誠。

 

「いや、お前禍の団に寝返ったんだろーが!」

「生き残る為に仕方なく、だよ。

 断ってグラシャラボラス家みたいに殺されるわけにもいかないし。かといって勝ち目もないし。

 ただ、旧魔王なんて先の見えない、やられる事が決まってる組織にずっと居るつもりもないからね。

 上手いこと抜けられる機会を伺ってたんだよ」

「…どういう事なのかしら」

 

怒りをにじませながら問うリアス。

 

「ん?現魔王は旧魔王に勝てないと思ってるのかい?」

「そうじゃなくて!

 貴方の作戦にアーシアを利用した事よ!」

 

怒りが頂点に達したのか、リアスは声を荒げる。

が、ディオドラはそれまでの嗤うような貼り付けた笑顔を止め、真面目な表情で否定する。

 

「いや、僕の発案ではないよ。

 随分前から作戦の一つとして上がっていたみたいでね。前回の君たちのゲームで反転が使用された事で本採用されたみたいだ。

 僕がやったのはアガレスとの戦いで蛇を使って、怪しまれて作戦実行を早めただけ。

 …本来の作戦通り、アーシアさんの能力が成長してからなら、本気で誰か死んでたかも知れないし」

 

そう言って目を伏せるディオドラ。

 

「クソッ!結局どうにもならねぇのかよ…!」

 

情報は手に入ったが、一番求めていたアーシアの拘束を解く方法は見つからない。

苛立ちを床にぶつける一誠。

 

「イッセーさん、私ごと…」

「バカな事言うな!次にそんな事言ったら、いくらアーシアでも怒るからな!」

「でも、このままでは…」

 

為す術なく、時間だけが過ぎていく。

と、ついにギュゥゥゥン…と作動音が鳴り、装置が動き始めてしまった。

グレモリー眷属はそれに対して、無駄なあがきと知りつつも攻撃していく。

その時、アーシアを見つめていた一誠が何か思いつく。

 

「アーシア、先に謝っておく」

「え?」

 

そういうと一誠は枷に手を触れ…

 

「高まれ、俺の性欲!俺の煩悩!洋服破壊!禁手ブーストバージョン!」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

一誠が鼻血を噴き出しながら集中していると…

甲高い金属が壊れる音が鳴り、アーシアを捕らえていた枷が木っ端微塵に吹き飛んだ。

と、同時にアーシアのシスター服も吹き飛ぶ。

 

「いやっ!」

「あらあら大変」

 

全裸のアーシアに魔力で服を着せさせる朱乃。

 

「一誠、よくドレス・ブレイクで壊せると思ったわね?

 あれって、女性の身につけているものならなんでもいいの?」

「よ、よくわからないんですけど、枷は手首足首に密着でしたし、身につけているものの一部としての要領でいけるかなーって」

 

などとリアスが一誠に話しかけたり…

アーシアが装置から外れた瞬間、装置は止まったためか普段の空気に戻っていくグレモリー陣営。

 

 

 

その逆で動かないまま、落ち込み項垂れるディオドラ。

 

(偉そうにしておきながら低ランクの神滅具に負けるとか…

 何が英雄だ!?

 クソッ、どうせ作戦が上手くいきアーシアさんが全員を傷つけたからグレモリーの所に居られなくなった時に、今回の件で贖罪をしている僕が回収…なんて欲を見たのが間違いだった!

 最初から全員旧魔王らのせいに出来るようにして殺して置くべきだった…!)

 

だが…

顔を上げる。そこには一誠と話している笑顔のアーシア。

もしも…もしも、自分がグレモリー陣営を殺戮してれば、あの笑顔は自分の隣に居ても曇っていたかも知れない。

 

(いや、もう忘れよう)

 

失敗したとは言え、助け出そうとした自分より、たまたまその後で堕天使から拾っただけの悪魔を慕う女だ。

あんなのよりも、家に帰れば自分を好いてくれる眷属が居るんだ。

その為の功績を得れるよう、旧魔王たちを撲滅出来る機会を兄に、上司に提出したのだ。

 

…だが、ディオドラは笑顔のアーシアから目を離せないでいた。

すると、アーシアを光の柱が包み込み、アーシアは消え去った。

 

 

 

「神滅具で創りしもの、神滅具で散る、か。

 霧使いめ、手を抜いたな」

 

アーシアが消えると、入れ替わるように現れる男。

 

「誰?」

「お初にお目にかかる、忌々しき偽りの魔王の妹よ。

 私の名はシャルバ・ベルゼブブ。

 偉大なる真の魔王ベルゼブブの血を引く、正統なる後継者だ。そこに倒れている偽りの血族などとは違う」

 

リアスの問に応えるシャルバ。

 

「さて、サーゼクスの妹君。いきなりだが、貴公には死んでもらう。

 現魔王の血筋は滅ぼさねばならぬからな」

「グラシャラボラス、アスタロト、そして私たちグレモリーを殺すと言うのね」

「その通り。

 私達真の血統が、貴公ら現魔王の血族に『旧』などと呼ばれるのは不愉快極まりないのでね」

 

そういうと嘆息するシャルバ。

 

「直接現魔王に決闘も申し込まず、その血族から殺すなんて卑劣だわ!」

「命乞いのつもりか?

 問題はない。貴公の首で決闘を申し込むからな」

「外道!何よりアーシアを殺した罪!絶対に許さないわ!」

 

そのリアスの掛け声と同時に、戦闘準備を始めるグレモリー陣営。

 

「アーシア?アーシア?」

 

…一人を除いて。

 

「アーシア?どこ行ったんだよ?ほら、帰るぞ?家に帰るんだ。父さんも母さんも待ってる。か、隠れてたら帰れないじゃないか」

 

まるで何かから目をそらすように、周りをキョロキョロしながらフラフラと歩く一誠。

 

「アーシア?帰ろう、もう誰もアーシアをいじめるヤツはいないんだ。居たって俺がぶん殴るさ…

 ほら、帰ろう。アーシア、体育祭で一緒に二人三脚するんだから…」

 

リアスは優しく一誠を抱きしめる。

 

「部長、アーシアが居ないんです。やっと帰れるのに。先生が言っていた神殿の地下に隠れなきゃ。でも、アーシアが居ないと…」

 

虚ろな表情でつぶやき続ける一誠。

 

「…許さない、許さない!斬る!斬り殺してやる!」

 

ゼノヴィアのその叫びを皮切りに、グレモリー眷属全員がシャルバに向かう。

だが、誰一人として障壁を貫けず、魔力の弾であしらわれる。

そしてシャルバは一誠に目を向け…

 

「壊れたか、赤龍帝。

 先程のデータの礼だ。跡形もなく消し去ってやろう」

 

そう言うとシャルバは手をかざし、その手から光が生み出され…放たれる。

とっさにリアスは一誠をかばうように掻き抱く。

が…攻撃は一行に来ない。

リアスが恐る恐る顔を上げると…

 

「ディオドラ…!?」

 

そこにはディオドラが、左手は折れ、右足はあらぬ方向を向き、それでも腹を光の槍に貫かれて消失しながら一誠らの盾になっていた。

 

「どうして…」

「赤龍帝が死んだら…アーシアさんが悲しむからね」

 

自身でも自分の行動に内心自嘲しながらも、悲しそうな、悔しそうな顔をしながらリアスに答えるディオドラ。

 

「…赤龍帝!

 君からアーシアさんを奪ったやつはそこに居るぞ?」

 

その言葉に一誠がピクリと反応したのを確認すると、ディオドラは目を閉じる。

全力で抑え込んでいた消失も進み体力低下も酷く、意識も薄くなりまぶたを開く事すら難しくなっていたからだ。

一誠が顔を上げる時にはもう既にディオドラは消滅していて…一誠の目にはシャルバが映る。

 

「全く、力を温存しているから何事かと思えば、下賤な転生悪魔などを…

 あやつは弁えているから生かしておいてもいいと思っていたのにな」

 

全くそうは感じさせない声色で話すシャルバ。

 

「しかし、弱りきった悪魔を瞬殺出来んなど、やはり機械はいかんな。

 さっきの小娘と同じく、次元の彼方に送って消し去るか。神器に宿ったドラゴンごと消えてくれればいいんだが」

 

腕の機械をいじりながら、独りごちるシャルバ。

その間も一誠はシャルバを無言で見つめ続けていた。そして、アーシアの事が話題に上がる時には、電源が落ちたみたいに表情の一切が消えていた。

 

『リアス・グレモリー、今すぐにこの場を離れろ。死にたくなければすぐにだ』

 

急なドライグの言葉に困惑するグレモリー陣営。

 

『そこの悪魔よ、シャルバと言ったか。

 お前は――』

 

ドライグがシャルバに話しかけ、一誠がそこで抱きしめるリアスを無視するかのように立ち上がり、口を開く。

 

「『選択を間違えた』」

 

 

***

 

 

「…」

 

サーゼクスがクルゼレイを消して、オーフィスが改めて…まるでクルゼレイが死んだ事なぞ本気でどうでもいいかのように、先程の交渉を受けるか聞いてきて、サーゼクスはそれを断って…

 

「……」

 

それからずーっと全員がだんまり。

神殿の方を見つめ続けるオーフィス。

それを取り囲み、隙を伺っているのかじっとしてるアザゼル、タンニーン、サーゼクス。

いや、もしかしたら何か水面下で俺にはわからないような高度な攻防戦をやってるのかも知れないけど。

 

一応、オーフィスは戦意を一切見せてこないが、こっちも警戒しないわけにもいかないわけで。

進展もないまま、精神だけがすり減っていく…

 

…と体感で何十分も経ったように感じていると、神殿の方で一際強大な力が発されて、視界に赤い光が入ってくる。

しかも、その力からは呪いのようなモノまで感じる。

あれは一体…?

 

「覇龍!?」

「まさか、オーフィス…貴殿の目的はッ!」

 

タンニーンとサーゼクスがまたキレておられるよ。

 

「違う。今回の我の目的はグレートレッド。赤龍帝にはない」

 

一瞥もされずにあっさり否定されてやんの。

しかし覇龍…

えーっと、禁手の先にある形態だっけ?ヴァーリがやろうとしてたような…

アレが出来るようになったの?この間禁手習得したばっかりなのに?

はぁ…

 

「くっ…アザゼル、連絡がきた。結界が解除されたらしい。

 私は観客席の様子を確認してくる。済まないがここは任せたぞ」

 

何か通信みたいなのが入ったらしく、そう言って転移するサーゼクス。

そして、また神殿を見るオーフィス…を見る作業に逆戻りしてしばらく経つと…

 

「!

 グレートレッド、近づいてる」

 

そう言って飛んでいくオーフィス。

慌てて追いかけるアザゼルとタンニーン、と俺。

 

追いかけている途中、前方の空間に、遠目からでもはっきりわかる巨大な裂け目が現れ、そこから更に巨大な竜が出てきた。

あれがグレートレッド?しかし、なんで現れたんだ?もしかして、オーフィスをぶっ殺しに…?

なんて俺の不安を他所に、グレートレッドは空間を泳ぐかのようにふよふよしているだけだった。

 

そしてやっとオーフィスに追いつく。

神殿跡地…とでも言うか、地面が抉られたりしている戦場跡の兵藤先輩の近くに居た。

 

「先生、おっさん!」

 

兵藤先輩が、わざわざ近くに降りていったアザゼルやタンニーンに話しかける。

どうもアザゼルが準備してた歌が、覇龍の暴走から引き戻したらしい。

随分と備えがいいようで。

 

そのまま情報交換に聞き耳を立てる。

旧魔王のシャルバ・ベルゼブブってのを兵藤先輩が倒したらしい。

そしてその話を意に介さないオーフィス。

目的の為には兵藤先輩なんかに負ける程度じゃダメだろうに…期待してなかったのか?

もしくは『英雄派』なんてのがまだ居るみたいだし、そっちが本命なんだろうか?

 

「さーて、オーフィス、やるか?」

 

そしてまた性懲りもなくアザゼルが勝ち目もないのに喧嘩を売ろうとする。

いや、これは居てほしくないからウザ絡みして帰ってもらおうとしてるのかも。

で、オーフィスは目的通り即帰ったのはよかったけど、去り際に「龍王が再び集まりつつある」なんて爆弾投下して行った。

今後はタンニーンクラスのドラゴンと敵対…ってのもありえるのか。

 

「よ、九尾の兄ちゃん」

 

なんて考えていると、美猴が話しかけてきた。

 

「あぁ、どうも」

「なんでぇ、反応の薄い…俺らも喋ろうぜぃ?」

「と、言っても俺は別に貴方に因縁も何も無いですしね。

 そういう人らも今戦うとかそうのじゃないみたいですが」

「まぁ、さっきの歌を聞いちまうとねぃ」

 

歌?白龍皇までやる気削がれるような?…後で確認しておくか。

しかし、ここまでボロボロだと瓦礫とかが壁になって写ってない、とかないだろうな。

 

「…っと、そろそろうちの大将がお帰りだ。

 またな九尾の兄ちゃん、俺っち以外のやつに負けんなよ?」

「えぇ。そちらも」

 

孫悟空の子孫とか絶対いい能力だろうし、俺の関与しない所で野垂れ死にしないでね。

美猴は兵藤先輩やグレモリー先輩にまで声をかけていくが…おっぱいドラゴンはともかくスイッチ姫?

 

で、そのまま…グレートレッドにはどうする事もできないしされないだろうと言う事で、解散。と思いきや何故か兵藤先輩がぶっ倒れた。

それはどうでもいいんだけど、眷属全員がボロボロな為、無傷の俺が運ぶことに。

別にしんどくはないし、トレーニングにもならない程度だけど、運ぶ人が人だしなぁ。

 

更に嫌なことに嫌なことは重なるもんで、兵藤先輩の覇龍で消耗したエネルギー回復を俺がやることに。

正直断りたいけど、そうすると他の仙術使いである塔城さんがやるハメになるわけで…

しょうがない。

まぁ貸し一つ作れた形にはなるか。




>ディオドラ戦
ディオドラの設定変更したから全然原作と違いすぎる状況になってしまって書かないわけにはいかない

明確に悪党なのに改変した理由としては
・ヒロインを争うライバルっぽい立ち位置なのに原作で三下すぎるから
・後付とは言えアーシアを手に入れる為に行動してたのにそれを無視するから
ですかね
まぁ一誠の相手は三下ゲスじゃないと勝てないって事なんでしょうけどそれはとにかく

改変しすぎると誰こいつ?にもなるし、扱い切れそうになくなるので
性欲だけじゃなくちゃんとアーシアの事が好き+自分が巻き込まれたいざこざを利用しようとする、程度に

>旧魔王、大口叩いてた割に全然役に立たない
ここのディオドラは眷属置いてきてます
その戦闘シーンでの代わりに旧魔王の兵隊借りる感じ
原作みたいに眷属使い捨てにする意味がわからないのと
グレモリー殺そうとしてた旧魔王系列の悪魔が居たのにそれ以降一切居ないのおかしいと思ったので
原作でも「禍の団の上級悪魔に殺されろ」的な感じでしたし

戦闘内容としては原作通り
心を読む対策してた女性に乳言語貫通させたり、服破ったり
ゼノヴィアが消滅させたり、朱乃がデートを餌に頑張ったり

>フリードから聞いた
原作と似たような事言ってました
まぁ自分らに都合のいい情報が入ったからってそれが全部真実なワケがないって事で
敵の言うこと真に受ける方もアレだけど
わざわざ神器持ちを興奮させるような事言う敵もなぁ…

で、本作ディオドラはアーシアの献身(という思い込み・神聖化)で惚れた設定なので
フリードの言い分だとアーシアは悪魔だろうとけが人を考えなしに治すバカってディオドラが思ってることになるんでキレてます
(フリード視点からはそう思われててもしょうがないですが)
まさか、教会に養われてアンチ悪魔教育されてたアーシアが悪魔を平然と癒やしたり、
それで追い出された事に修行不足だったから…
とか言い出す意味不明なやつなんて思わないでしょうし
聖女のプロみたいなディオドラならなおさら
恋は盲目ですし

あと、他所でもアーシアが悪魔なのを知ったのが癒やした後かも、と言ってる人見たんで
アーシアはディオドラが悪魔なのを知った上で癒やしてます
それは原作設定です
アニメはしーらね
悪魔は敵って教育を受けてたのも原作設定です
追い出された理由がよくわかってなくて修行不足で、だと思ってるのも原作設定です
まぁどこまでこの設定が続いてるかは不明ですが

しかし、ここらへんの原作で一誠がディオドラに対してライザーみたいな感じで小悪党かと思ったら~
って原作ライザーのいったいどこに悪党要素があるのやら…
正直あの状況でライザーを未だに小悪党と思ってる一誠の方が問題でしょうに

>教会に利用されるがままだった彼女ら
アーシア・イリナ・ゼノヴィアの一般常識の無さとかを考えると教会から出すのって優しいのでは?と思ってしまう
それまでの人生を狂わさせたディオドラが悪いって?
HSDD世界の教会に居て聖女になってる時点で人生詰んでると思うけど
まぁ結局は本人がどっちがいいと感じるかじゃない?
だから原作でも眷属はテロリストになってもディオドラに付き従ってたんじゃないのかなぁ

>ディオドラの戦い方
原作で初?の魔力を撃つだけじゃない悪魔なので(円錐)それ方面+兄の真似
…しかしリアスみたいにアジュカの実の弟なのかは不明なんですよね
実の弟にしろ弟じゃないにしろ死んでもなんとも思ってなさそうですが

>Boost
多分一行使い切りで14回が丁度いいんでしょう
でも14回も倍加すると元から16384倍なんですけど、急に1万倍も強くなったら体に負担ないの?
更に14回してるって事は最終的に268435456倍になったのかな?
倍加の仕様がわけわかんない

それと、殺意に溢れてたのか、甘いからトドメさせなかったのか、冷静に殺さない事を選んだのか
一誠の一人称視点なんだからハッキリさせてください

>~のうらみ
DB…じゃなくて、ドラグ・ソボールのパロとして
一誠ってアレが好きな設定あったよね?ガンダムと違ってそれ以降ネタにされないけどさ
主題歌が十八番で高校生になってもマネして遊ぶくらいには好きなのよね?

*訂正*
ヴァーリの半減で乳の話でやってましたね
「~の分」表記だったんで記憶から消えてた…?
DBまんまじゃなくってHSDD世界のドラグ・ソボールは多分こっち表記なんだろうから直します

>僕を殺したらアーシアさんも一緒に
原作にもそんな機能はないし、ただのブラフです

>アーシアさんを攫った時に~
コレ、原作でもやってます
マジでなんで斬ろうとしたの?誰も問題視してないし

…こういう煽る文は筆が進むんだけどなぁ

>僕が襲撃をリーク
原作では好き勝手やりたいだけしか言ってなくて後の事考えてなさそう
まぁ悪魔の為に一番働いてる若手だろうに梯子を外された感じはありますけど…その私怨とも思えないし
と言うか何人も教会関係者引き入れたのに、それで悪魔社会からの評価上がってないの?

…とにかく、本作ではどうせ旧魔王負けると思ってるんで自分の罪を少しでも軽くする為に色々とやってます
自分で殺すつもりはなかったのもそのため
その上で記述通り全員にアーシアが原因の軽傷を負わせる事でアーシアをグレモリー陣営に居づらくして引き抜く目的
わざわざ解説してあげるのも時間稼ぎ
詰めが甘かったけど、それは原作も同じだし…

>絶霧の結界装置
意図的にショボく作らされてるみたいだけど、それで英雄派たちになんの利点があったんだろう…

しかし洋服破壊って裸が見たい!ってよりか服を破りたい!よね
そういう性癖なのかな

>シャルバ
神器に詳しそうだけど、神器研究者かなにか?

テンポ悪いんでカットしたけど、なんかめっちゃ旧魔王一派(幹部も)死んでるのにベルゼブブの自分が生きてるからOKなのも気になる
つーか少数のハズの旧魔王が…やっぱ滅びそうなのは72家だけの話じゃないの?
今後のテロに活かすって言ってた割にアザゼルが旧魔王一派は壊滅させたみたいな言い方してるし旧魔王一派として活動した様子もないし
ただの使われなかった伏線?

>一誠錯乱
やりたかっただけ感
君そういうキャラじゃなくない?

>神器に宿ったドラゴンごと
二天龍、前魔王の家系からのヘイトは高いと思うんですよ
魔王に喧嘩売ってきたし

>帰るサーゼクス
原作ではあの状況からなんで帰ろうとしたんだろう
ここでは無断でフィールドにやってきたから、嫁・眷属・部下とかに怒られて…って事に

>泳ぐグレートレッド
原作では空間泳いでた後は一体どうなったのか一切不明
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