ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

21 / 36
GWにやろうと思ってたんですけど、
ウインターベルに行ってて、その後魔書集め…で完全に潰れたんで遅くなりました。

オリジナル部分だとやっぱ全然出せないですね。
アザゼルもオーディンも思考が全然わからないので余計に…
ほんと原作はなんで北欧神話と日本神話で和平させようとしたんだろう?


21話 ロキ戦前~7巻終わり

「あ、いたいた。ロスヴァイセさん…って大丈夫ですか?」

 

ロスヴァイセさんを探して家を歩き回って、ようやく見つかったと思いきや、随分疲れ切ってる様子だった。

 

「私は大丈夫ですよ。

 …大丈夫です。

 例え初めて彼氏が出来る前にいかがわしいお店に入って、裸の同性にと戯れる事になっても…

 はぁ、私はこんな事するためにオーディン様のお付きになったわけじゃないのに…」

 

うわぁ、予想以上に疲れてるな。

 

「お疲れ様です。

 疲れた時には甘い物ですよ。よろしかったらこれ、どうぞ」

「うぅ…ありがとうございます…

 あ、九尾の…」

「惣間正二です。そうまでもショージでもどっちでも」

「ではショージさんで。

 あの、ショージさん…ヴァルハラに興味ありません…?」

 

恐る恐るといった感じではあったが、いきなりの勧誘か。

 

「興味はあります、が…

 主神のオーディン様を見る限り、あの組織に属したいとは思えませんので」

 

一応声を落として返事を返す。

めっちゃ興味あるけど、ヤだよ?あんなのが上司とか。

 

「そうですか。そうですよね、福利厚生もよくないですし…

 っと、私に何か御用だったんですよね?」

「えーっとですね、白龍皇が北欧の魔術書読んでたんで、自分も何か見せてもらえたらな、と」

 

あいつ自分は天龍の力だけを極めるから要らない、みたいな事言ってたのになー。追加装備じゃないからセーフって?

まぁともかく、テロリストでも貸与されるんなら俺も大丈夫だろう。

 

「構いませんけど、貴方は当日参加しないのでは?」

「自分も魔法とかは多少使うんですが、ほとんど独学なんでちゃんと学ぼうと思いまして」

 

正直この世界で身につけた魔法って戦力になりそうなものないしなぁ…

そりゃ転生悪魔じゃないから今使ってる翻訳は必須なんだが

 

「そうなんですか。ちなみにどんなものを?」

「えーっと、普段よく使ってるのは治癒系…ですかね」

 

この世界的には白魔術なんだろうか。

ともかく魔術書を取り出して、意識を集中して…

 

「ヒール、っと。どうです?」

 

いつもの簡易的なのじゃなくてちゃんと使う。ロスヴァイセさん疲れてたし。

 

「…」

「あれ?

 えーっと…なにかダメでした?」

 

まずった?ヴァルキリーに使ったことないからな…

 

「すみません、もう一度いいですか?」

「えっ?ええ…」

 

とりあえずは悪い状態では無いみたいだ。逆に効きが悪かったんだろうか?

 

「ヒール」

「…」

 

再び使うが、じっとこちらを凝視して黙ったままだ。

 

「…少し古めの術式ですが、おそらく軽傷治療に疲労回復からなる活力強化術式といったところでしょうか?」

 

どうです?と得意げな顔で聞いてくるが…

 

「すいません、わかりません」

 

知らねぇ…HP回復魔法をリアルに考えるとそうなるのかな?としか…

 

「え?しかし独学と…」

「訂正します。誰かのを使ってるだけで全然学んでないです」

 

術式とかどうこう言われても一切わからんし…

浮かび上がる魔法陣見てたからそれのことなんだろうけど…アレは俺が作ったんじゃなく、既製品そのままだしなぁ。

…優先度が低かったにしろ、もったいなかった。

 

「確認してよかったです。

 今の貴方に北欧の魔術書を貸し出しても、把握するのは難しいと思いますので」

「…ははは、そうですね」

 

いくら使ってないからとは言え、向こうの武器やら装備をこっちに持ち出して来るとその仕様に変化したりしてたんだから、それが魔法というジャンルにも及ぶ可能性に気づけ無いのはなぁ…

何が使い物にならないだ、アホか俺は。

 

「ですので、代わりにこれを。私が昔使っていたノートです」

「あ、どうもありがとうございます」

「…私物ですから、絶対に返してくださいよ?」

 

ということは期日はもうすぐか。いやまぁ複製すれば済むんだが。

 

「それと余計なお世話かも知れませんが、魔術書に書いてある術式を転写して使うのは、確かに速射性には優れますが応用性が低下するかと…」

「なるほど」

 

うーん、やっぱり知識も何もなさすぎる。ちゃんとした魔術師に師事出来ればいいんだが…

身体能力的な事だと俺の特異さが活かせる師匠が居なかったから自分でやってるが、魔術やら仙術やらの技能は違うからなぁ。

 

 

 

「はい隙あり」

「いでっ!」

 

ミョルニルの練習をしないといけない兵藤先輩との模擬戦の為、冥界からもらったバトルフィールドとやらに移動。

兵藤先輩は今、対ロキ戦を想定しないといけないわけで…

ロキみたいに遠距離攻撃出来て兵藤先輩の速度に追いつけるのって俺しか居ないのよね。

 

で、攻撃を交わしてなるべくアウトレンジ維持を意識しながら、自分なりに構築した術式を試し打ちの繰り返し。

兵藤先輩は鎧装備なんで電撃系をチョイス。それでも常人が静電気に当たるくらいの威力しか出てないが…

結局一度も攻撃が当たることはなく、模擬戦の時間が終わる。

 

「くっそーっ!

 木場相手には近づけたのに!」

「そりゃ木場先輩はインファイターですし」

 

一時的に離れた相手に近づくのと、離れた距離を維持したい相手に近づく事の難易度が違うのは当然だろう。

あと兵藤先輩への接待かどうかは知らないが、木場先輩は正面からの打ち合いにこだわってるからなぁ。

そりゃ狭いリングで戦うならそれでいいかもだけど。指摘するつもりはないけど、その現状でトントンなんだからもっと足活かしたら木場先輩が勝つんじゃない?

 

「やっぱ木場みたいにジグザグ移動が出来ないとダメなのか…?せめてハンマーじゃなかったら…

 つーかそうまの避け方変なんだよ!

 なんだあのスライド…」

「ははは」

 

兵藤先輩のジグザグ移動への信仰は何なんだろうな?

その分距離は伸びるわけだし、結局速さが足りないのは変わりないだろう。

そもそもご自身が背中のジェット機能でメンバー最速タイでしょうよ。この間のフェンリルの時みたいに相手の目の前に一瞬で近づけるようにとか、欲しがるより持ち味を活かせばいいのに…

 

「俺相手が嫌ならグレモリー先輩とでも変わりますか?姫島先輩は今は無理でしょうし」

「そんな事言ってねぇだろ!

 それに部長を模擬戦とは言え殴れっかよ!」

 

うーん、予想通りの言葉。

まぁ必ずしも殴る必要はないんだけど…完全に兵藤先輩はグレモリー先輩を格下に見てるんじゃない?

何にせよ兵藤先輩は対遠距離戦の練習は出来ないんだろうな。

今後、遠距離戦が出来る男性が眷属にでもならない限りは。

もしかしたら兵藤先輩の為に木場先輩が出来るようになったりするかもしれないが…

 

 

 

その後、バトルフィールドをうろついてると塔城さんに出会い、仙術の…と言うより気功術の遠距離攻撃を教えることに。

正直、対フェンリルメンバーで一番弱い近接タイプって塔城さんだろうしな。

 

「そうそう。そんな感じで気を溜めたら後は放つだけ。

 うまいなー。気功波はもう教えることないかな」

「…今出来ただけで、ですか?」

「俺が教えるの下手なのもあるけど、こういうのは本人の反復練習が一番大切かなぁって。

 それに俺のやりやすいやり方をコピーさせた結果、成長阻害してましたーなんて嫌だし」

 

教えるの下手だから、ほんと塔城さんに仙術の下地があって良かった。素人に最初から仙術を仕込むとか無理。

 

「あとはフィーリング、どうやってやるのがしっくりくるかを探す、とかかな?

 気の流し方だけじゃなく撃ち方を…さっきやった手のひらを突き出したり、他には指一本だけ伸ばしたり、拳を撃ち抜くタイミングで、とか。

 人によっては撃つと言うか球の形にして飛ばしたり、足から放つ方が楽だって事もあるだろうし、用途によって撃ち方変えたりもできるし」

「…今更ですけどそうまさんって使ってました?」

「うーん、そう言われると気功波としては使ってないかな。

 ちゃんとした仙人レベルならともかく、並の気じゃ単体で使っても威力低いから、魔力や妖力と一緒に放つ感じ」

 

混ぜる形とは言え使い始めたのは仙術使えるのバラしてからだけど。

 

「とは言っても気功波を撃つ事は気の運用の練習にもなるし、無駄にはならないと思うよ。

 サブウェポンとしてだけじゃなく近接のリーチ増やす使い方もあるわけだし、今回は戦場が採石場だからいくらでも補充できそうだしね」

「…採石場にも自然の気があるんですか?」

「そりゃあ鉱物も自然の産物だし。

 流石に何も存在してないくらい取り尽くされてたり、戦場にするからって上からコンクリートでもかぶせてない限りは仙術使いは戦いやすいんじゃないかなぁ」

 

まぁ植物の方が生命力的なイメージはしやすいだろうけど…

 

 

 

そして会談当日。

俺は日本神話側として出席…って言っても、今日の夜にある会談に伊邪那美様が出席するから付きそう程度だが。

 

まぁ本当ならわざわざ伊邪那美様が黄泉の国を抜け出して会談に出席する必要はないんだけど、やっぱり天照様が心配なんだそうな。

しかし死後の世界に所属の伊邪那美様が同席すると会談する天照様の邪魔になってしまうのでは?

と思ったのだけど、

 

『そうね。

 普通の会談ならそのとおりなんだろうけど、あんたの報告通りならオーディンって助平爺なんでしょう?

 あたし嫌よ、あーちゃんがそんなのに言い寄られるの』

 

なんて言われたらしょうがない。

よくよく考えれば別神話が共存してる以上、他神話の神とくっつこうとするようなのが居たっておかしくないわけで。

…この世界なら尚更だ。

 

出席の際に問題になりそうな、伊邪那美様が常に御身に纏われてる死のオーラも、俺がそばに居れば抑え込めるとなれば天照様側からも断れる理由がないとの事だそうで。

え、俺も一緒にいいの?と思ったが、逆に天照様の側仕えの人からも「自分から食い下がれ」「死んでも伊邪那美様をお守りするくらいの気持ちでいろ」と怒られてしまった。

 

言われてみればそのとおりだ。

オーディンは日本神話と和議がしたいって言ってるエロ爺だったけど、その日本に来てからの行動すらブラフだった可能性もあるわけだし…

気を引き締めないとな。

 

 

 

夜になり、会談のある都内の高層高級ホテルに向かう。

あ、もちろん警備してる学園の顔見知りと会ってもバレないように顔なりは既に変えてある。

アザゼルがオーディンのそばに居るし。

その代わりにかロスヴァイセさんは戦闘側に割り振られてる。

…やっぱヴァルキリーって立場低いんだろうなぁ。

と、そんなこんなでもう会談が始まる時間に。

高そうな部屋に通され、向かい合う日本神話と北欧神話。

 

「さて、此度の会談に応じてくれてありがとう。

 わしはオーディン。北欧神話の主神をしておる」

「これはご丁寧に。私は天照。

 日本神話の主神をしております」

「よう。

 直接会うのは初めてだよな?堕天使総督のアザゼルだ」

 

初めの挨拶の後、アザゼルとオーディンの視線がこちらに向く。

 

「伊邪那美よ。よろしくはするつもりが無いからいいわ」

 

いかにも毛嫌いしてます、とばかりに冷たく言い放つ伊邪那美様。

普段の雰囲気は一切感じられない。

 

「…おい」

「あっ、そ、それでは早速本題に入りましょうか!

 えーと、今回は技術交換と今後の文化交流でしたっけ」

 

文句でも言いたげなアザゼルを遮って話を進める天照様。

 

「そんなところじゃな。

 個人的には神道にも興味があってじゃな…」

 

オーディンもさらっと流して自分の話に持っていく。

そのまま続ける内容は今までに語ってたのと変わりない。

そして、話を終えたオーディンが返答を求めて天照様を見つめる。

 

「そうですね、日本神話としては――

 オーディン様の要求にお答えする事は出来ません」

「はっ!未だに保守か?もう古いぜ。

 今は力を合わせてテロリスト共に対処していくのが最優先だろうがよ?」

 

優しく、温和な声で拒絶を告げる天照様の言葉に、声を上げるアザゼル。

 

「それってあんたら聖書勢力の自業自得でしょ。

 古いとか新しいとか以前に、その事に北欧神話は関係ないわよね?」

 

釘を刺す伊邪那美様。

黙り込むアザゼル。

 

まーオーディンの日本神話と会談云々って、「テロリストの攻撃目標である聖書勢力と直接同盟結んだら、自分らも反感買うだろうから間接的に日本神話と…」ってところなんだろうな。

だから今の伊邪那美様の言葉も「お前らが直接つながってるのチクるぞ」って風に感じるだろう。

…そもそも別に日本神話って聖書勢力と繋がってるわけじゃないんだけどな。

今回のアザゼルみたく聖書勢力が完全にそういう風に振る舞ってるし、他所の神話から見れば日本の土地で聖書勢力が好き放題やってるからそう見えるんだろうけど。

 

「アザゼルの言ってる事はともかく、わしも理由を知りたいのぉ」

「そうですね…

 良くも悪くも私達は表に出ずにやってきて、基本的に当事者たちに任せきたので、今更私達が主導するために北欧神話さんたちとどうこうしようとは思わないんです。

 あぁ、別にそちらが、例えばオーディン様が個人で神道を学ぶのはご自由にどうぞ。

 その代わり、こちらからも北欧の事を知りたいって人が居たらよろしくおねがいします」

 

アザゼル、オーディン共に愕然としている。

どちらも自分で組織の手綱をもってどうこうしたいタイプだろうし、日本神話とは価値観が合わないだろう。

オーディンは特に、ユグドラシルの知識提供なんて切り札まで持ってきたのにそれに誰も価値を感じてない…なんてくれば相当だろうし。

案の定、オーディンがアザゼルに話が違う、とでも咎めるような視線を送っている。

 

「この際だからはっきりさせておきましょうか。

 日本神話は、堕天使はおろか聖書勢力とは敵対こそしてないしするつもりもないけれど、和平も同盟も結んだ覚えはないわ。

 聖書勢力と仲良くしたいんなら日本神話を通さず勝手にやって頂戴」

「…土地まで貸し出しておいてその言い逃れは無理じゃろ」

 

オーディンからすれば、日本神話は聖書勢力がテロリストだして斜陽になってるから、テロリスト被害に合わないように足切りしてるように思えるのかな?

で、自分らも一緒に守ってやるから今回の隠蔽工作に協力しろ、って?

 

「別に日本をあたしらの土地とは思ってないんだけどねぇ、もうあげちゃったわけだし。

 ま、あたしらが土地貸せって指示した事はないし?

 テロリストの標的にされても…ご愁傷さま、としか言えないのよね」

「なっ!?

 後ろのお前ら、それでいいのかよ?」

 

アザゼルがこちらの、日本神話側に控えていた人たちに声をかける。

…が、帰ってくるのは無言のみ。反応すらない。

俺も霊力の制御でしんどいし。

 

「…よく躾てんな」

「いえ、彼らの好意ですよ」

「あんたの部下とは違うのよ。

 と言うか、引き取ったガキがテロリストになったあんたがどの面下げて言ってるんだか」

 

それもそうだ。

自分のところからテロリスト出しておいて、テロリスト対策が大事だとか、テロリストに対処しないことを批判して言ってもなぁ。

 

「だいたい、その日本神話の考え方のおかげで、あんたの部下が神道系列の娘孕ませてもあたしらは文句言わなかったでしょ?」

「んだと!

 結局殺しただろうがよ!」

「あら、あたしらは関与してないわよ。

 堕天使とくっついたのもその娘の選択なんでしょうし、殺される状況を招いたのもその娘の選択でしょ?

 そもそも、娘に手をつけたのを見せびらかしてたのはどうなのよ?

 そんな事しといて殺されてキレるんなら、力ずくで自分の手元に置きなさいな。

 第一、あんたらは危険だからって自分らで殺してきた神器持ちに対して何かしたの?」

 

うおぉ、煽る煽る。

文句を言いはしなくても不満は溜まってるんだろうな。

 

「ふむ、こんなところじゃろうかのぉ」

 

アザゼルが何か言う前に立ち上がるオーディン。

 

「お、おい、爺さん」

「なんじゃアザゼル坊、向こうが折れないのはわかったじゃろ?

 これ以上は時間の浪費じゃよ。

 それよりもわしは早く帰らんとのぉ。なんせ、聖書勢力と和議を結ぶように説得せねばならんのじゃし。

 ではな、天照殿、伊邪那美殿。次は神道を学びに来るとしようぞ」

 

そう言ってオーディンはアザゼルを連れ会場を出ていった。

…はぁ、内容は既に決まりきった事なのに、や~っと終わった。

 

「…母様、どう思います?」

「また来るんでしょうね。それ以外はさっぱり。

 どうせロクな事しないんでしょうけど」

「そうですか…

 皆さんにはまたご迷惑をおかけするかもしれません」

 

後ろに振り返り、護衛の人たちに申し訳無さそうにしている天照様。

 

「いえ、我々は好きでやっていることですから。お気になさらず」

「…ありがとうございます」

 

うーん、俺も同じことを言うけど…全然そこに込められた感情は違うんだろうな、なんて思っているとノックの音が響いた。

 

「どうぞ」

 

ドアが開く。

 

「やあ諸君、お疲れ!」

 

変装してたためかホテルの給仕の格好をして現れたのは、ロキ。

先程までモニター室で見てたろうに、終わって即来たのかな?

あ、そうそう。

どうもこのフットワークの軽い悪神様は、オーディンとの戦闘後、即個人で日本神話とのコンタクトをとってたらしい。

で、日本神話は北欧神話と同盟するつもりがない事を知り、安心して高みの見物を決め込んでたというわけだ。

一応、本人のコピーを作る道具で予定通り襲撃自体はさせたらしいけど。

…戦力調査かな?

 

「ははは、あのオーディンの顔と言ったら!

 うむ、多少は溜飲が下がろうというものよ」

 

こっちもストレス溜まってたんだろうな。

 

「それは良かった…で、いいんでしょうか」

「立場故、表立った礼はできんが…

 どうやら、オーディンはまだ諦めていないようだし、礼の代わりとして何か行動を起こしたら情報を提供しようじゃないか」

「あ、それは普通にありがたいわ」

「ふむ、どうやら満足してもらえたみたいだな。

 では我はこれで失礼させてもらおう。コピーの様子を見てこねばならないのでな!」

 

言うだけ言ってロキは去ってしまった。

で、予定時刻よりも早く終わったんでお茶でもしようってことに。

時間帯的には一緒に晩ごはんだか。

…なったのは良かったんだが、伊邪那美様のオーラを抑えるのに必死で、楽しむ余裕はなかった。

やっぱ戦闘の為の能力配分だけじゃだめだわ。

 

 

 

そして、お食事会も終わった。

俺は、伊邪那美様を黄泉の国にお送りしてから、木場先輩やギャスパーからメールでロキ戦が終わったのは教えてもらってたため、即駒王町近くの分身に兵藤家へ向かわせる。

一応、伊邪那美様が外出してる間警備任されてるわけだし、他の分身に行動させて何か失敗しました、ってわけにはいかないしね。

 

「お邪魔しますよーっと」

 

一応夜も遅いんでこっそり入る。

で、目的の客間まで行ってノック。

 

「すみません、ロスヴァイセさん居ますか?」

「…どうぞ」

 

なんか元気ないな。

 

「すみません、借りた本を返しに…ってどうしたんです?」

 

めっちゃ泣き腫らしてるじゃん。

 

「…オーディン様に置いていかれたんです。

 実は前任者も、オーディン様が外出されて帰る際に忘れられてて、そのままクビということになったんですよ。

 当然、すぐ帰ってきた本人が問い詰めても、もう次が決まってるから…と。結局、その人はなんとか部署には戻れたけど上司に目をつけられて左遷されて…

 はぁ、私はこうならないように、って気をつけてたのに…」

 

目に涙を蓄えながら自嘲の笑みを浮かべるロスヴァイセさん。

 

「じゃあウチ来ません?」

「…え?」

「いやぁ、魔術をしっかり覚えたいと思ってたところなんですよ。

 ロスヴァイセさんの本読んでたらわかりやすかったんで、ぜひに、と思いまして」

 

いっちゃあ悪いけど丁度いい。

まるで「誰かがロスヴァイセさんをここに居る誰かに渡そうとした」みたいに。

けど、別に本人にそういう命令が下ったわけではないんだろ?クビにしたんだし。

 

「…あのですね、人を雇うというのはペットを飼うのとは違うんですよ?

 子供がどうにか出来るモノでは―」

「入用でしょうしとりあえず一本どうぞ」

 

直接手渡しで札束を渡す。

我ながら成金みたいだな。

 

「…」

 

ロスヴァイセさんは受け取った札束を見つめて黙ってしまった。

 

「少なかったです?」

「あ、いえ、そういうわけじゃ…って、それより!どこからこんな大金を!?」

「空間に入れてたのを出しただけですが」

「…稼いだ手段の方です」

「能力で作った宝石を売っただけですよ」

 

厳密には違うが。

 

「………わかりました。お受けします」

 

随分長い間考え込んでいたが、承諾してもらえた。

 

 

 

そして、翌日の学校。

 

「すいません、アザゼル先生。ちょっといいですか?」

 

探し当てたアザゼルに声をかける。放課後には帰るバラキエルさんの見送りがあるらしいから。

 

「おー、ショージか。

 そういや学校で話しかけられるのは初めてだな…で、何のようだ?」

「グレモリー先輩から捕まえた英雄派の神器使いはアザゼル先生のとこで調査してる、って聞いたもので…

 ちょっとどうなってるか気になりまして」

 

学校だし認識阻害をかけながら聞く。

しかし、アザゼルの雰囲気からするに、昨日の事が残ってる感じはないな。

それはともかく、俺が処理したあいつがどうなったか気になる。

…マジで完全に記憶消えたりとかしてないかな?

 

「あー…まぁお前ならいいか」

 

何故か言い淀むアザゼル。

 

「あいつらはほとんどが変死した」

 

変死…

そりゃ他のやつらには言えないか。

 

「仕込み薬品とかで自決…じゃないですよね。英雄派との記憶は消すわけですし」

「あぁ、原因はオーフィスの蛇だ。

 英雄派構成員の身体能力は逸脱してないから蛇を使わないものと思ってたんだが、どうもあいつら、体に使ったわけじゃなく、神器自体に使ってたみたいでな。

 …それも神器の強化じゃなく、神器自体を刺激するようにな。

 確かにそうすれば禁手になりやすいかもしれんが、下手をすれば神器が壊れる。そして神器が壊れれば―」

「死ぬ、と。

 俺らが倒した後も蛇は刺激し続けてたんですかね。記憶を消して無害になって、本人は無力化できたように見せかけて」

「だろうな。

 禁手習得出来ればオッケー、負けたヤツでも万が一神器バースト状態にでもなって、暴発すれば万々歳ってわけだ。

 …死体から蛇の残りカスを調べたら、どうも停止条件は禁手化成功か死亡・神器破壊みたいでな。

 残りのやつらは、まだ死んでないだけだ」

 

いいや、一人だけ生き残る。蛇も居ないが神器も持ってないやつが。

そいつが「俺が倒したやつ」って事がわかれば…「神器があったはずなのに今持ってない」って事がわかれば…

…わかれば、どうなるんだ?

神器を生きたまま抜ける事がバレるかもしれんが、それだけだろう。

それを秘密にしてても別にどうってことはない。知らんぷりしてもいいし、言及されて初めて気づいたフリでもすればいい。

大丈夫だ。落ち着け、俺。

 

「どうした?」

「いえ、捕まえる時に殺した方が良かったのか…とかちょっと考えてしまって」

「あ~…ま、お前らが考えることじゃねぇさ。

 原因は英雄派だろ?あんまり考えすぎるなよ」

 

そう言ってアザゼルは去っていった。

いや、安易に死ななければいいと思ってた俺は考えたらずだったろうが、悪いのは相手だから知らん!というのもな…

それこそ、世界の為と言い訳して平気で神器持ちを殺せる生き物の思考回路…

 

…はぁ。やめだやめだ。

そもそも俺自身が他人を食い物にしてる時点で、良心だとか人道だとかで他をどうこう言える立場じゃないんだ。

変に理屈こねないで、嫌いなやつがいい感じで喋ってるのが腹が立つ、でいいじゃないか。

ちょっと同情出来そうなやつが使い捨てにされてて嫌、でいいじゃないか。

 

…よし。今後もこっそり神器抜きは続ける。バレたらバレた時だ。

危険な神器持ちを殺すしか出来ない堕天使に偉そうな顔出来るし、ムカつく英雄派とやらの目的も失敗する。いい事づくしだ。

 

 

 

「おっぱいメイド喫茶希望です!」

「却下」

 

その日の放課後、オカルト研究部は学園祭の出し物について話し合っていた。

ロキのおかげでだいぶ遅れてたしな。

…そんな状況だからか、さすがのグレモリー先輩も兵藤先輩の戯言にはため息ついてた。

 

「イッセーくん、それだと他の男子に部長と朱乃さんの胸を見られてしまうんだよ?」

「…!

 くっ、無念だ…それだとおっぱいお化け屋敷も無理か…」

 

木場先輩の当然の指摘に今更気づく兵藤先輩。

…兵藤先輩はアルジェントさんやゼノヴィアさんの胸が見られるのはいいんですかねぇ。

 

「うふふ、そんなにおっぱいメイド喫茶店がいいなら個人的にやってあげますわよ?」

 

姫島先輩がいつものように兵藤先輩に迫っている。

そう、いつものように。

異空間の採石場に行ってたから監視を送れてなくて書面でしか見てなくて意味不明なんだが、乳神の使いとやらが出てきて親子関係は丸く収まったらしい。

今は元気に、弁当の余り物…と言ってるけど、多分最初から食べさせるつもりだったのだろう肉じゃがを兵藤先輩に差し出してる。

 

肉じゃがかぁ…

ザ・家庭料理っぽい雰囲気だけど、俺の記憶に残ってる家庭料理の肉じゃがって、みんな我先にと肉取るから肉なしなんだよな。

母親は料理すら作ってくれたことないし、親父も肉じゃがは作らなかったし。給食は家庭料理じゃないし。

 

「うふふ。一応、ファーストキスになるのかしら」

「イッセー?」

「イッセーさん?」

「うん、説明してもらおう」

 

で、案の定、姫島先輩が兵藤先輩にキスして周りの女性陣が笑顔でキレて、出し物は決まらず部活の時間は終わった。

そんなに殺気立ってキレるなら自分らも兵藤先輩にキスでもなんでもすればいいじゃん?

と言うか、姫島先輩にキスされた事で、兵藤先輩に矛先を向ける時点でなぁ…

まだグレモリー先輩と姫島先輩が個人同士でキャットファイトしてた方がマトモに思えてしまう。




>最初の魔術の下り
原作がフルバーストしかしねぇから遠距離の人は影薄くなるんじゃない?
と思って秀才設定活かすべく、魔術を多種多様に出来る設定に
(と言うか原作の魔力の想像力で何でも出来るのが一誠にしか適用されてなくね?)
その分主人公がヘボ魔術になりましたが

>スライド
白夜の協奏曲のLRダッシュのつもり

>ジグザグ移動への信仰
一誠って他人の能力技能羨む・欲しがるイメージ
自分も結構たいそうなの持ってるのに、それを把握せず…みたいな
直線で詰めても避けられる?また詰めればいいじゃん

>気功波
むしろ気があるのになんで原作小猫は遠距離攻撃持ってないんだろう
そりゃ破壊力低い設定はあるけど

>気の運用の練習
気功波を撃っても気功術、原作で言うところの仙術へのスキル経験値が入る、みたいなイメージ

>他神話の神とくっつこうと
原作も堕天使と悪魔が子供作ってる世界ですし、なくはないかなと

>保守か?古いぜ
珍しく、アザゼルならこう言う、ってのがすっと決まった

>今更私達が主導するために北欧神話さんたちとどうこうしようとは思わない
Q.日本神話がユグドラシルに興味があった設定は?
A,「サーゼクスやアザゼルと話していた方が万倍も楽しい」から始まってるので、
  ここで言ってる「あちら」とは日本神話+聖書勢力の事を指している。
で通す
原作で日本神話がユグドラシルの情報で利益を得た設定ないし
(天界や北欧神話がグリゴリと技術交換したのはあるので意図的なモノと判断)

>霊力
HSDD世界で人間が操りうる、プラスっぽいエネルギーがこれしか思い浮かばなかった
(死のオーラはマイナス方向の力なのでそれを打ち消せるモノとして)
法力と迷ったが、霊力は原作に記述があった+法力は魔法力の誤字の可能性が…
※今後変えるかも

>オーディンとの戦闘後、即個人で日本神話とのコンタクトをとってた
「ロキ」ならそれくらいするんじゃないかな、と
会談の日まで暇でしょうし

>本人のコピーを作る道具
ゼロ魔のスキルニルのイメージ

>前任者ヴァルキリー
ぶっちゃけロキの時に放置されてクビになる人なら、
ディオドラ戦の時に既に放置されてクビになってないとおかしくない?
ロキ戦は一誠からミョルニルレプリカ回収があるけどあっちはないし
そもそも鎖国してた北欧神話が、他所に出張して忘れられたらどうなるか予想つく?
ロスヴァイセの被害妄想が入ってただけなんじゃない?

とかの、ロスヴァイセの置いていかれた諦めに納得できる実例作りのための犠牲者です

つーか、原作だと後々出てたヴァルキリー部署が彼氏ナシばっかっぽいんですけど
それだと18で最年少だろうロスヴァイセが年齢=彼氏ナシでイジられててんやわんやになる事ないと思うんですが…

あ、ロスヴァイセが17~18歳ほどなのは原作設定です
原作では平気で飲酒してますが…うちの主人公もしてるしなぁ
※未成年へ飲酒を勧める意図はございません

>能力で作った宝石
月下の夜想曲のジュエルソード
「なんでも生き物殺す時に使えば宝石が出現することがある」ぐらいの設定

なーんかロスヴァイセ、金の力であっさり味方にさせてしまいましたが…
まぁ原作もそんなですし、まだ雇っただけですし

>まぁお前ならいいか
アザゼル「ショージなら相手が死んだからって病んだりダメージ受けたりしないだろ」の意
リアスらには言ってたんでしょうかね?今後構成員と戦う事もないんでわかりませんが

>オーフィスの蛇
原作アザゼルの発言から、曹操さんらは神器のどこが禁手に関連する、謎も不確定要素も多い部分かわかってるっぽいんですよね
すごいなぁ
まるで神器の研究をしてる堕天使みたい!

…ま、堕天使の裏切り者が居るのはこの時点から決めてたんでしょう
言及は軽くしかなかったですけど

>原因は英雄派
なおそんな悪人リーダーの原作での扱い

>親子関係は丸く収まった
7巻と15巻で朱乃周りが違うから言及せずに流す事に

>姫島先輩にキスされた事で、兵藤先輩に矛先を向ける
ぶっちゃけコレってよくある量産型ツンデレ()風味の暴力ヒロイン()の思考・行動では?
主人公に暴力振るわなきゃいいってもんでもないでしょ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。