ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

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お待たせしました

…今度前回のみたいなの書く時は次回分書いてからにしよう

すいません、ちょっと足りなかったのでまた追記


23話 9巻~英雄派初戦

9月も終わり10月。

夏も終わり衣替え。

今日は駒王学園高等部2年生は修学旅行。

正直それだけならどうでもいいことなんだけど…

 

なんと行き先は京都。

悪魔の学校なのになんで神社仏閣が多い京都に?ってのもそうなんだが

今回の修学旅行の時期に、京都の妖怪連中が帝釈天の使者と会談する。

帝釈天側が何を求めてるのかはわからないけど、最終的に三大勢力に京都妖怪と帝釈天を含めた仏教勢力がくっつく…なんてことも懸念される。

 

でも、実際には俺にとってどうでもいい前者のほうが、京都に住まう人々にとっては驚異なんだろうな。

だからこそ悪魔用のフリーパスなんてのが…

まぁそれでもグレモリー先輩がわざわざ授業サボって行く直前に渡しに行く必要のある品物ではないが。

そもそも先に渡しとけ、と思うが兵藤先輩とギリギリまで一緒に居たいから、あえてそうしたんだろう。

…そういう自分が一番な悪魔だからこそ、フリーパス券なんてのが必要だったんだろうし。

トップの魔王が神社の神聖な要素を全部魔力で消し飛ばしたの忘れねぇからな…

その報告はしてるし京都にも神様経由して届いてるだろうし、流石に神様と繋がりもある妖怪が仲良くしようなんてしない…と思いたいが。

 

 

 

「はい、もしもし」

 

上司から電話がなる。学校があるこの時間帯にしてくるのは珍しい。

俺は分身出してるからいつでも出れるけど、普段からガキはちゃんと学生してろって避けてるし。

 

『急ぎで京都に行ってくれ』

「はい。一番近いところのを行かせます。しかし何が?」

 

京都がこっちにヘルプを求めるなんて…

妖怪が裏への戦力、陰陽師が表への対処を担ってて、外部の助けを必要としたことなんてなかったと思うんだが。

 

『京都全域で痴漢が発生してる』

 

はぁ?

 

『明らかに異常で常人が操られてるような感じでな。理性を失わせられて多少凶暴化もして少々厄介らしい。

 向こうだけでは人手が足りん。』

 

まぁ「それだけ」なら問題とは言え援軍要請するほどでもない。

だが…

 

「禍の団の陽動、ですかね」

 

現地で失っても問題ない即戦力を引き入れて、相手側に対処をミスすれば問題になるような…やりすぎでケガさせたり、冤罪被害者にさせたり、で裏関係者にダメージを与えるつもりなのか?

ただ、殺傷させずに痴漢というのも…

異世界の痴漢の神でも呼び寄せるとか?いや、それは流石に…

 

『わからん。だが、会談を考えるとその可能性は高い。

 そうじゃないとしても、大事な時期に問題が起こる事はまずい。

 だからこそお前に行ってもらう』

「…そういや京都って俺が行っても大丈夫です?」

 

そうまの一族は昔散々京都で暴れまわって追い出されたみたいだし、母親も日本に流れ着いた後に玉藻前なんて名乗ってブイブイ言わせてた結果討伐されて石にされたみたいだしな。

今の京都のトップも九尾の狐らしいし、同族だからこそそんなやつの子供とか余計に嫌がりそうなんだが…親の罪は子の罪でもあるって考え方の人も居るし。

 

『確かに難癖つけてくるやつも居るかもしれんが、お前は今、一応とは言え日本政府の怪異対策班に所属していて、向こうの要請に応じてるだけだ。

 そんな事を気にするより事件解決に気を回せ』

 

それもそうだ。

 

「了解」

 

 

 

急を要するので、俺も全速力で京都に向かう。

「イニレ・ラピドゥス」「ブラックパンサー」「ブラックパンサー」を併用して、その衝撃で周りを攻撃しないように空中を跳びながら、「インビジブル」やら「ネメシス」やら認識阻害の術やらで目につかないように。

 

それと道中でふと思いついた。

いつもの変装だけじゃなく、身体を変化させて女性の姿に。お手本は以前なったから簡単に出来た。

これなら俺が痴漢の標的になるだろう。そこに居ただけの普通の人が襲われるよりはマシだ。

 

 

 

京都着。

現地の人との合流場所に分身を向かわせ、俺は周辺を見回りしようとしたところ…

 

「おっぱい…」

 

早速か?人は居ないが一応認識阻害を周囲に展開する。

しかしなんて言動だ…まぁ操られてるってひと目でわかるのは利点か。

 

「おっぱいをよこせ!」

 

普段なら即意識を奪う…が、一応戦闘員でもガチ痴漢でもない普通の人なんで万が一ケガでもしないように、新しく覚えた眠らせる魔術を使う。催眠術より楽だし。

で、倒れる前に回収。ケガなし、ヨシ。

…って操られた人の後処理まだ聞いてねぇ。町中の移動は郊外ほど早くできないし、待つしかないか。

 

と思った瞬間、ふと見ると、痴漢にされた人から赤く光る球が。

…しかもどこかで見たことあるような気配。

逃げ出そうとするように転がるそれを確保しておいて…なんか素手で触るのも嫌だな。容器に入れておこう。

 

 

 

よし、着いた。

事前の説明通りに受付を済ませ奥に進むと、白髪の神経質そうな人がやってきた。

 

「どうも初めまして。日本怪異対策班の―」

「挨拶はいい。早速街で痴漢にされた人々を止めて欲しい。

 捕まえた場合はここなどの、この地図の印がある所の建物に引き渡してくれ。かけられた術の解析、及び解呪はこちらが行う。

 移動の際は目立たないように別の…この印で行ける主に妖怪用の裏街という異空間を通ってくれて構わない。許可はとってある。

 被害者が出てしまった場合はこのお守りみたいなモノを渡しておいてくれ。後々被害者のケアや記憶処理をする為の目印を付ける。

 以上だ。何か質問は?」

 

名刺を渡そうとすると遮られ、そう言って地図とお守りを渡される。

 

「被害者以外の目撃者はどうします?」

「ただの野次馬ならそのままで構わん。そのうち忘れるだろう。

 自身で捕まえて警察に突き出したりした方は、そちらの方が対処する」

「動画とかは…」

「そちらも専門家に任せている」

 

流石に素人が想定するものは対策済みなんだな。

と言うか、俺が戦闘以外の事を知らなさすぎると言うか…いやまぁ持ちつ持たれつってやつよ。

俺だって禍の団が出たら頑張るし…

 

「了解しました。

 まずは、先程捕まえてた人を使い魔に送らせます。

 他にも何かありましたら名刺の連絡先にご一報下さい」

 

とにかく今は、俺の出来る事をやろう。

 

 

 

その後は、捕まえては送り、捕まえては送り…この痴漢騒ぎは全く終わりそうにない。

人数自体は少なく、人が出歩かない時間帯には事件は起こらなかったし、京都の外では確認されなかった。

分身を街中にバラまいて警戒してたおかげで、今の所は痴漢から触られた被害者は出てない。

一度、助けた人に痴女扱いされたが、痴漢から目標にされるためにはしょうがない。

 

それだけだと簡単そうだが、見張らないといけない範囲も広い。

半日の間とは言え俺以外の走り回ってた現場メンバーはダウンも目前だ。

俺は近くに裏に移動出来る場所でも「パラノイア」で鏡の中を移動したりだとかで他の人よりは楽だし、分身で交代して休めばどうとでもなる。

そもそも京都の方も最初から人手不足だと判断してたわけだし、明日以降は「使い魔をバラまいてる」設定の俺が表の捕獲作業に専念して、術士とかの皆さんにはそれ以外に専念してもらう事になりそうだ。

俺は到着時点でそれでも良かったけど、技能的にも体力的にも、そして何より人格面で任せていいか不明だったろうけど、今は現場を任せるくらいには信頼を稼いだ…と思いたいなぁ。

そもそもそうせざるを得ない状況だろうし。

 

しかし明日以降も…最悪兵藤先輩が帰るまで続くんだろうか?

その間いっそ新種のウイルステロがあったとかで封鎖なり閉じ込め…させるわけにもいかないよな。観光地だし。

観光って言えば修学旅行生まで痴漢にされてた。かわいそうに。

俺はノータッチだが…京都の術者の記憶処理がうまくいって、それで日常生活に戻れたとしても、修学旅行の記憶は一切ないし、当然楽しめたわけでもない…

いや、別に修学旅行生だけじゃないけど。他の観光客にしろ、現地のサラリーマンにしろ…

ほんと、兵藤先輩は何を考えてこんな事やったんだ?

 

一応、赤い球が出てきたのと、それから赤龍帝の気配がするのと、今代の赤龍帝が駒王学園に通ってるのは報告上げたけど…

日本怪異対策班に所属してる『俺』と、駒王学園に通ってる『俺』が別個体の同一人物だとは言えないから、直接詰問するわけにもいかないし…

 

 

 

で、痴漢事件二日目。

そんな事件なんざ一切知らないていで過ごす駒王学園。

こっちは平和なもんで、グレモリー先輩も『イッセーから修学旅行の写メが届いたの見せたいし、今日は一緒にお昼ごはんにしない?』だって。

でもなー。痴漢製造犯被疑者の送ってきた写真とか興味ないしなぁ。

え?飯くれるの?行きます行きます。

 

「お義母さまが、今日もいつもと同じ量のご飯を炊いてしまったから困ってたのよ」

 

昨日はおにぎりにして持っていったから大丈夫だったけど、とグレモリー先輩から弁当を受け取る。

グレモリー先輩か姫島先輩の手作り弁当なら、学園中に聞けば大枚はたいてでも欲しい人が居るだろうけどね。

 

「4人一気に減って人数半分ですしねぇ…

 いただきます」

 

全員集まった部室も5人減ってこっちも半分。広く感じるなぁ。

持ってきた弁当+もらった二人分の弁当を食べる。

 

「…小猫と同じくらい食べるのは知ってたけど、こうして見ると圧巻ね」

「うふふ。ショージくんも男の子なんですわね」

 

まぁ今日の俺の持ってきた弁当、特別大きいしな。

あなた達の想い人のおかげで俺は京都でエネルギー大量に使ってるから他で補給しないとやっていけないんだっての。

 

「…あれ」

 

先に写真を見てた塔城さんが何やら訝しむ。

 

「そうまさん、この写真狐の妖怪が…」

「ん?…んっ、どれどれ」

 

写真を見てみると、たしかに妖術で姿を隠してるが、狐の妖怪が何人も。

 

「私にはわからないけど…それはどういう事なの!?

 ま、まさかイッセーが何かに巻き込まれたとか!?」

 

焦って声を荒げるグレモリー先輩に、顔面蒼白な姫島先輩。

 

「そこまででは無いですよ。狐の妖怪自体はたまーに写真に映ったりは珍しくはないですし、巻き込まれてるにしてもあっさり見破れる程度の術の使い手ですし。

 どっちかと言うと…物見遊山ですかね?

 赤龍帝が京都に来てるから見とくか、みたいな」

 

ま、監視だろうけど。

そりゃ京都で出てきた痴漢騒動の被害者から赤龍帝の気配がする球が出てきたら監視もされるってーの。

 

「ショージは京都に知り合いの狐の妖怪とかは居ないの?」

 

まだ不安なのかグレモリー先輩が聞いてくる。

 

「狐どころか一人もいませんね。

 京都は避けてきましたし。

 家的に向こうが一方的に知ってたりはするかもしれませんが、伝手ってほどのものは」

「…私、一応イッセーくんに電話をかけてきますわね」

 

俺の言葉に、少し固くなった姫島先輩が携帯を手に部室を出ていく。

家の話で母親の事を思い出して、それが兵藤先輩と重なった…とかかな。

 

「朱乃…」

 

グレモリー先輩も心配そうにつぶやく。

主ってのも大変だぁね。

…しかし長い付き合いだろうに深い所まで踏み込めなかったグレモリー先輩が悪いのか、機会に恵まれたのもあるが依存されるほど好かれた兵藤先輩がすごいのか。

まぁ性別も違うし一概にどうこう言えるものではないけどなぁ…

 

 

 

「八坂様がさらわれたとか…」

「堕天使総督が直接関与を否定し禍の団の線が濃厚、か。どこまでに知らせていいものやら…」

「むしろ知らせた所で…」

 

事務所で使い魔()が知らせる状況を地図に書き込んでいると、そんなひそひそ話が聞こえてきた。

大事な話はちゃんとバケモンの聴覚でも聞こえねぇトコでやってくんねぇかなぁ…

 

八坂、ってのは確か京都の裏の長の九尾の名前だったはず。

気脈に乱れがない事からしても害されてはない。

…少なくとも今の所は。

つまり利用価値があるって事なわけだが…

ま、それは本人に聞いてみればいいだろ。こっちは分身やらなんやらで京都全域見てるんだ。

 

 

 

事件三日目。

今まで一切動きを見せなかったが、やっと尻尾を見せた。

兵藤先輩ら一行を監視してると、渡月橋に居たのが急に消えた。

一瞬であれだけの人数を移動…となると、やっぱ『絶霧』だろう。離れた所のアザゼルも同じタイミングだったし反応できてなかったし。

…しかし、このまとまった状況は偶然で済ませていいいのか?

兵藤先輩の一行と別クラス別班だから別行動してる木場先輩が合流するのに合わせてアザゼルが居合わせるように情報を流した?

二人のクラスメイトに…と言うか駒王学園にスパイ入ってるまであるんじゃないかこれ?

 

ま、とにかく行くか。

幸運な事に、オーディンが突入した時の記録からロスヴァイセさんが使えそうな術を組んでくれてる。

…本人は自分の術の出力ではほんの少し、腕一本分の穴しか作る事が出来ないって言ってたが、俺にとってはそれだけで上等。

 

術を展開させて、「ミスト」で霧になってすーっと。

…『絶霧』なんて霧を発生させて包んで転移させる能力に、霧になって突破出来るのは気持ちいいな。

コウモリでもフクロウでもカエルでもなんでもいいんだけど。

 

結界の中の異世界は限りなく現実の渡月橋一帯に近いものになっていて、身を隠せる場所から転移した俺はそのまま同じ場所に居た。

そこから監視を飛ばすと橋を渡りきった場所のままの兵藤先輩一行を発見できた。

…と、上からアザゼルも飛んでくる。

 

「お前ら、無事か?」

 

そのまま兵藤先輩の方に降りていく。

よく撃ち落とされなかったもんだ。

一応この中で一番安定して強いだろうし、袋叩きにされそうなもんだが。

 

で、兵藤先輩一行とアザゼルが情報交換してるのを見ながら周囲を警戒。

現実では何もアクシデントが起こってない以上、わざわざ転移させたのは禍の団が接触するためだと思うんだが…

 

その時、急に気配がして、橋の方の霧が少し濃く見えた。

そして人影が現れて…

 

「初めまして、アザゼル総督。そして赤龍帝」

 

それなりの人数の若い男女の中でも代表らしい、詰め襟に漢服を腰で止めた姿の槍を持つ男が声をかける。

 

「お前が噂の英雄派を仕切ってる男か」

「曹操と名乗っている。三国志で有名な曹操の子孫…一応ね」

 

いや、子孫だからって名乗ってテロリストするのはダメだろ。

 

「全員、あの男の持つ槍には絶対に気をつけろ。

 最強の神滅具『黄昏の聖槍』だ。神をも貫く絶対の神器とされている、神滅具の代名詞になった原物。

 俺も見るのは久しぶりだが…よりにもよって現在の使い手がテロリストとはな」

 

ほーん、あれが…

ん?アルジェントさんが呆けてる。

 

「アーシア、信仰のある者はあの槍をあまり強く見つめるな。心を持っていかれるぞ。

 聖十字架、聖杯、聖骸布、聖釘と並ぶ聖遺物の一つでもあるからな」

 

アザゼルがアルジェントさんの目を手で覆いながら言う。

…信仰あるの?

普段の言動やら何やらで信仰よりも兵藤先輩のが優先だと思ってたんだが?

まぁ本人があると思い込んでるからプラシーボ効果とかで効くんだろう。

 

「貴様!ひとつ聞くぞ!」

「これはこれは小さき姫君。

 何でしょう?この私ごときでよろしければ、なんなりとお答えしましょう」

 

巫女服の少女が曹操に向かって叫ぶ。

…あぁ、九尾の狐か。長の娘かな?

 

「母上をさらったのはお主達か!」

「左様で」

 

やっぱり。

 

「母上をどうするつもりじゃ!」

「お母上には我々の実験にお付き合いしていただくのですよ」

「実験?お主たち、何を考えておる?」

「スポンサーの要望を叶えるため、というのが建前かな」

 

建前、ね。

不仲?言いなりになるのは本意じゃないんだ!って事?それとも別の目的があるだけ?

 

「スポンサー…オーフィスのことか?

 それで、突然こっちに顔を見せたのはどういう事だ?」

 

まーたアザゼル総督殿が平和を乱すテロリストにキレておられる。

 

「いえ、隠れる必要もなくなったもので、実験の前に挨拶と共に少し手合わせをしておこうと思いましてね。

 俺もアザゼル総督と噂の赤龍帝殿にお会いしたかったのですよ」

「わかりやすくて結構。

 九尾の御大将を返してもらおうか。こちとら妖怪との協力提携を成功させたいんでね」

 

妖怪との協力!?

…あぁそうですね、そりゃテロリストに襲われてるところからすりゃテロリストと敵対してる人らは味方何でしょうねぇ。

あークソクソ、どうしたものやら…

 

向こうで戦闘を始まろうとしてるのを監視で見ながらこの後の動きを考える。

ぶっちゃけここはどっちもが共倒れが一番おいしいが…そうはならんだろうし。

 

「レオナルド、悪魔用のアンチモンスターを頼む」

 

曹操が隣の男の子…背の低い男に言うと、その言葉にうなずくと共にレオナルドの足元に影が広がっていく。

どんどん影は広がり、橋をすべて覆うほどになると膨れ上がり、影を固めたような雑な黒さの肉塊を人形にし、目と口と爪と牙を後付したようなモンスターが出来上がっていく。

 

で、どうもそれは彼の神滅具『魔獣創造』の能力らしい。

アザゼルの推測にご丁寧に曹操が答え合わせしてくれた。

しかも相手の弱点を付くような魔物を作るのが、アンチモンスターとまで名前を付けるくらい大得意なんだそうで。

今まで各所にカチコミさせてデータ取ったから、今作った量産型でも中級天使の光力ぐらいなら出来るんだってさ。

 

…うわぁ、俺の光力低すぎない?

聖剣因子をパクって聖なるオーラ使えるようになってほんとによかった。

 

「だが、曹操。

 神殺しの魔物だけは創り出せていないようだな?」

 

アザゼルがにやつきながら聞く。

得意げに「作れるならこの場に出さないわけがない」なんて言ってるが…

この場には堕天使と転生天使と転生悪魔しか居ねぇじゃん?あと九尾。

なんでそう思ったんだ?

自分は神に匹敵するとでも?

 

「神はこの槍で屠るさ。

 さ、戦闘だ――はじめよう」

 

ガバガバ論理だが核心を突いてたらしく、強引に曹操が戦闘に持っていく。

一番強いだろう曹操にアザゼルが向かっていって、他はアンチモンスターに対処。

俺はどうすっかなぁ…バレるのは論外だけど、禍の団は邪魔したいし…

あー、でも手を貸して妖怪が三大勢力と手を結ぶのも嫌なんだよな。

でも、三大勢力が妖怪とどうこう以前に、禍の団の実験とやらのせいで京都に、ひいては日本に被害が出ちゃあたまらないしな。

あいつら被害を出さないなんて一言も言ってないし、そもそもそんな事が頭にあるかどうか。

 

「さて、僕もやろうかな」

 

ある程度兵藤先輩らがアンチモンスターを処理し、功を焦った下っ端を裸に向いた所で満を持して出たっぽい複数剣を帯刀してる男…ジーク。

元教会戦士が彼も元教会戦士と言うのでふと思いついた。

よし、この案で行こう。

 

「ジークさん!あなた、教会を、天界を裏切ったの!?」

「裏切ったってことになるかな。現在は禍の団に所属してるからね」

「…なんてことを!

 教会を裏切って悪の組織に身を置くなんて万死に値しちゃうわ!」

「…少し耳が痛いな」

 

準備してるとジークに対して紫藤さんが憤慨してた。

ちょっと急に笑える不意打ちとかやめてくんないかなぁ。

教会に属してるのに悪魔と一緒に行動してる人が正義ヅラとかさぁ…

まぁ相手はテロリストなんで確かにクソだけど。

っと、出来た。

 

ジークと曹操がそれぞれ木場先輩・ゼノヴィア・紫藤さんの三人、アザゼルに集中してるのを確認。

確認したら『俺』と監視との接続を切り余分な情報を切り捨て、いざ特攻。

隠れていた所から飛び出し、そのまま橋の方へ。

 

***

 

ジークが神器『龍の手』の亜種を発動させ三刀流になり、三人と切り結び膠着状態になった時に、見ているだけだった一誠の耳にヴィィィィン…とチェーンソーのエンジン音が聞こえてくる。

 

その音の方、橋に陣取る禍の団の後ろに目をやると、高速で上下運動を繰り返しながらこちらに来る謎の物体。

通り道に居た禍の団の戦闘員やアンチモンスターは一刀両断され無残な姿に…

 

「まずいな」

 

ジークフリートの声が聞こえ、一誠が振り向いた瞬間、先程まで膠着状態だった三人がジークの神器で強化した力により弾き飛ばされる。

そしてジークフリートはそのまま襲撃者の対処へ。

一瞬の後、ギィン!と言う音と共に、襲撃者のチェーンソーを二本の魔剣で挟み込んだジークフリートの姿が。

 

「狙いはレオナルドだろう?やらせないよ」

「…あらあら、止められてしまいましたわね」

 

ジークフリートの言葉に襲撃者――茶色いシスター服を模した衣装の糸目で柔和な雰囲気の女性は、言葉のわりに全く笑顔を崩さずに返す。

ジークフリートはそのまま残った背中の魔剣で斬ろうとするが、女性はチェーンソーから手を離して剣を避け、変わりにムチのように長いフレイルを振るう。

ジークフリートに避けられ、肉薄されるが、先程振るったフレイルの先の棘鉄球が鎖を巻取り、ジークフリートを突破する。

手放していたチェーンソーも繋いでいたロープを巻取り回収し、女性がレオナルドに迫る。

 

「しまっ――」

「そこまでだ」

 

その目前に曹操が現れ、光を伸ばした槍の斬撃で橋を横一直線に切り落とす。

 

「すまないね、ジーク。

 アザゼル総督との遊びに熱が入ってしまった」

「いや、止められなかった僕のほうが悪いさ」

「そう言ってもらえると助かるよ。

 さて…

 貴女は何処の何方かな?

 アザゼルたちの用意していた援軍、というわけではなさそうだけれど」

「あら、それは失礼。

 申し遅れました。私、セピア・ベルモンドと申します。愛の為に参りました」

「あ、愛?」

 

女性――セピアが名前を告げ、英雄派がそれに混乱していたのと同時に、英雄派と一誠らを背にしたアザゼルの間に魔方陣が出現する。

そして魔方陣から現れた魔法使いらしい服装をした女の子は一誠の方を向くと自己紹介を始める。

 

「初めまして。私はルフェイ。ルフェイ・ペンドラゴンです。

 ヴァーリチームに属する魔法使いです。以後、お見知り置きを」

 

わざわざこのタイミングで現れた割には即一誠におっぱいドラゴンのファンだからと握手を求めたり、目的がイマイチわからず更に困惑を深める曹操。

 

「ヴァーリのところの者か。

 それで、ここに来た理由は?」

 

それでも曹操は頃合いを見計らって質問をする。

 

「はい!ヴァーリ様からの伝言をお伝え致します!

 『邪魔だけはするなと言ったはずだ』

 だそうです♪うちのチームに監視者を送った罰ですよ~」

 

ルフェイがそう告げると同時に地響きが起こり、常人は立てないほどの地震を引き起こし地面を盛り上げ破壊しながら巨大ななにかが出現した。

 

『ゴオオオオオオォォォ!』

 

それは、ゴグマゴグと呼ばれる古の破壊兵器だったゴーレム。

全て機能停止だったが、次元の狭間にある動きそうなのをオーフィスが見かけたのを回収したのだと言う。

 

「ハハハ!ヴァーリはお冠か!

 まさかゴグマゴグを持ち出す程、神経質とは知らなかったよ!」

 

曹操はそう笑いながらも、槍をゴグマゴグに向け、光の刃を伸ばす。

その瞬間、セピアは再びチェーンソーを手に曹操…曹操が背にかばっているレオナルドへ走る。

ジークフリートはそれを今度こそ防ごうと立ちはだかるが…セピアはジークフリートの眼前から一切の動きを見せずに消える。

 

その間に曹操の伸ばした光の刃はゴグマゴグにあたり、バランスを崩して倒れる。

直後、周囲を探るジークフリートの後ろにセピアは現れた。

ジークフリートは即座にそれを感知し、魔剣を振るう。チェーンソーで防ごうとするが…

 

「同じ手はくわないよ」

 

魔剣の能力を使ったのだろう、容易くチェーンソーを断ち切った。更に振るわれたフレイルをダメ押しと言わんばかりに斬り裂く。

 

「ジークを舐めすぎたな。

 もう打つ手もないだろう?」

「そうでもありませんわよ」

 

そう言って、カツン、と靴で地面を叩く。

すると、スカートの下から、そこにそんなにあったのかという程の大量の丸い物体が落ちる。

更にピン、と軽い音を立て、いつの間にか持っていた大量のものと同じ物体を落下させる。

 

「どかぁん」

 

その発言通り、落とした物体が地面に当たると、ボォン! と盛大に音を立てて一斉に爆発し、周囲一帯を煙が覆う。

 

「自爆か…」

「あ、先生、あれ!」

 

爆風に耐えながら見ていると、煙に人形の影が浮き上がり、やがてボロボロの服に身を包むセピアが現れた。

 

「霧で防がれちゃいましたね…」

 

その言葉どおり、煙は晴れたがその代わりに先が見えない程の濃霧が周囲を覆っていた。

 

「少々、乱入が多過ぎたな。が、祭りの始まりとしては上々だ。

 アザゼル総督!

 我々は今夜この京都という特異な力場と九尾の御大将を使い、二条城で一つ大きな実験をする!

 ぜひとも阻止するために我らの祭りに参加してくれ!」

 

曹操の楽しげな声が霧の向こう側から聞こえてくる。

そしてそのまま霧はその場の全員を包んでいき…

 

「お前ら!空間が元に戻るぞ!攻撃を解除しておけ!」

 

アザゼルの声に戦闘準備を解除する一誠たち。

それが終わると同時に元の空間に戻っていた。

霧の中の時間の流れも違っていたのか、一誠たちの様子にのみ違和感を抱くクラスメイトたち。

 

そして――

 

「お嬢さん、お怪我はありませんか?」

 

九重の流した涙をハンカチで拭くセピア。

 

「だ、大丈夫なのじゃ。それよりも…」

「大丈夫ですよ。お母さんは絶対に助け出して見せますから」

 

お主のケガ、と言い出そうとした九重を遮る形でセピアが言う。

自身がボロボロの状態でも九重の事を優先する姿に見入る周囲。

…尤も、一人は別の意味で見入っていたが。

 

「あー…セピア、だったか。

 ありがとよ。助かったぜ。俺はアザゼル」

「はい。存じております」

「シスターの恰好はしてるが、教会の関係者じゃないんだろ?

 …どうして俺たちを助けた?」

「助けた覚えはありませんが――」

 

立ち上がり、膝を払うセピア。

 

「どうしてあの場に、と言うなら愛に導かれたからですよ」

「…愛、ときたか。

 どうも教会や天界の、つまり親父殿の言う愛とは別なんだろうな…

 って、おい!」

 

そのまま立ち去ろうとするセピアを引き止める。

 

「何ですか?

 私、術で一般の人にはわからないとは言えこんなですから、早く着替えたいんですが」

「あー、そりゃ悪かったな。

 さっきの動きとかちょっと知り合いに似てて気になったんだが…

 んじゃ連絡先教えてくんねぇか?後で打ち合わせを――」

「教えません」

 

身体の向きすら変えないままきっぱりと拒否するセピア。

 

「私、悪魔も堕天使も信用出来ないので。

 さっきの連中と実は裏で組んでて奇襲されても困りますし」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!

 俺たちはそんな事しない!」

 

一誠が口を挟む。

 

「…そうですね。しないかもしれません」

「なら!」

「でも、あなた達からは愛を感じないので」

「また愛かよ!?」

「やめとけイッセー。この手のヤツは自分の考えを変える事はねぇ」

「もう構いませんか?

 それでは…」

 

今度こそ去っていくセピア。

 

「いいんですか先生?」

「あの言い方だと戦闘に参加しないわけじゃないだろうし…

 ま、他にも助っ人のアテはあるさ」

 

***

 

「はぁ…」

 

見えない所にまで来たら服を変える。流石に痴女状態は勘弁。

しかし…

 

「なんか余計な約束しちまったな」

 

あの九尾の子にほだされたか、はたまた『セピア・ベルモンド』の真似してガワにつられたのか…

ま、いいか。

それよりも準備をちゃんとしないと。

急造で作ったチェーンソーじゃ魔剣に耐えきれん。

『魔獣創造』は早めに潰すべきではあったが、『絶霧』はそこに居ないと思い込んでたのも悪手だった。

約束しちまった以上、当然九尾救出を優先はするが、ある程度痛い目を見てもらわないとな。




・視点ごちゃごちゃ
申し訳ない…
駒王学園の『俺』
→電話番の『俺』
→京都近くの『俺』
→↑から分裂した『俺』
→駒王学園の『俺』
→京都で使い魔()の親玉役してる『俺』
→渡月橋近くの『俺』
→絶霧製渡月橋の三人称視点
→また渡月橋近くの『俺』
です
全員同一人物で、全員が別人
自分が作中キャラに読者向けの説明させるメタ的なのが好きじゃないのでこんな形です

・9巻の修学旅行以前の話
サイラオーグと会ったのは8巻のグレモリー家伝統試験
受けた直後ぐらいのがいいんじゃないんですかね?
いつもトレーニングしてる努力家の一誠さんが
騎士や戦車を使いこなせって言われてたのに
サイラオーグ模擬戦で使った事に対して
「いきなり試すのが一誠らしい」っておかしくないですかね

>京都の妖怪連中が帝釈天の使者と会談
なんで一誠らに言わないんだろう?
普通気をつけるように言うんじゃないんですかね

あ、日本神話と日本妖怪は別の組織です
少なくともここでは

>フリーパス券
グレモリーばんざいっす!で済ませていいもんじゃないと思う

・書いてないけど九重の襲撃()
一誠らの対処としてはフリーパス券を見せれば良かったんじゃない?と思ったり

>痴漢
流石に原作でもバレるまでは京都の人らが対処してた…と思いたい
主人公のおかげで被害者は原作より減った形に
事件への対応を主人公がやってるので京都の人らもメディア的な対応が出来て
少なくとも原作でのテレビで報道、まではいってません

>修学旅行生まで痴漢にされてた
見境なく京都の人が痴漢にされてるならそういうのもあり得るよね?
つーか一誠の友達()がそうでしょうし

>駒王学園にスパイ
じゃないと、英雄派が一誠らに宣戦布告する機会が一切なかった可能性もあるわけで

>狙いはレオナルド
むしろ、ジークとの戦いを実況し続けてるだけの一誠さんは何を考えてるのやら
弱点は本体ってアザゼルが言ってたじゃん

>ゴグマゴグを持ち出す程、神経質
監視=邪魔ってどういう事だよ、と思ったので
ヴァーリお前、味方を裏切ってこっち来たんだから信用なくて当然だろ

>乱入が多過ぎた
なお原作だとルフェイとゴグマゴグしか乱入してません
それ以外は自分らが呼んでるわけですし

・京都
京都表記の所は多分京都市周辺を指してるんだと思いますし、自分もそのつもりです

京都駅から伏見稲荷が一駅とか、京都駅の周辺に含まれてるんで
なーんか現実とは違うのかなぁ?と思ってぼかしてます
京都の景観条例?もHSDD世界には無いのかもしれませんね


元ネタとか
「イニレ・ラピドゥス」「ブラックパンサー」「ブラックパンサー」
それぞれ刻印・暁月・蒼月の加速要素
ハイスピードは制限時間あるしなぁ…
「ネメシス」
暁月の「プレイヤーが敵の目に映らない」能力
強力な認識阻害、というてい
「パラノイア」
蒼月の鏡の中に入る、花京院から否定されそうな能力
「ミスト」
月下の魔導器
霧になれる
「セピア・ベルモンド」
ボンバーガールの悪魔城ドラキュラモチーフのキャラ
見た目 長身・巨乳・茶色シスター服・糸目
語尾にはぁとが付いてる感じ・聖母チック
チェーンソー「ネクロメイカー」と鉄球付き鎖鞭「ヴァンパイアキラー」
…まぁ細かい所は元作品を見てもらえれば
この作品で本人やその関係者が出る事はありませんし
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