ハイスクールDevil castle×Dracula   作:二痔升

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今回も長くなってしまいました

原作まんまのカットしても良かったところはあったんですが、
今回は一応原作の山場部分(だと思ってる)なんで…真面目に

あと今回書いてるときに、
自分の書いてる文章でちゃんと伝わってるかどうか
何故かものすごく不安になってしまったので、
「ここのところはどういう事なの?」と思ったら聞いてやってください


書こうと思った事抜けてたので追記
締まらねぇなぁ…
また忘れてたあああ修正


26話 サイラオーグ戦前~終盤・第七試合

グレモリー先輩と兵藤先輩が喧嘩?して、まぁとりあえず進展までは行かずも仲直りはした次の日。

 

「すげーよな、本当に空に島が浮いてんだから」

 

兵藤先輩の感想。

今俺たちはサイラオーグさんとのレーティングゲームの為、冥界の空中都市アグレアス…に向かうゴンドラの中。

 

浮いてるだけの島を物珍しそうに外を眺める面々を横目に手元のパンフレットに目を通す。

空中に都市が浮かぶメカニズムなどは、旧魔王時代に作られたらしいが詳細は不明。

魔王アジュカにしか把握出来ておらず、深奥でベルゼブブ眷属が調整してるとかなんとか。

悪魔城(ウチ)みたいに建物自体が城主の魔力で出来てるとかではないみたい。

 

しかし、ここってアガレス領なんだよな…?

そこを魔王がどうこうするのは構わんのかねぇ…

まぁどうでもいいか。

旧魔王をボロクソに言ってた奴らの技術力が旧魔王に敵わないのは嗤えるが。

…いや、この悪魔世界だ。

どうせ『魔王がどうにか出来てるから俺らが知る必要ねぇな!』って感じなんだろう。

悪魔的には魔方陣ジャンプ禁止してたり、この空中都市は世界遺産みたいなモノ扱いなのに、自分自身で大切に管理していこうってのはないんだろう。

 

「実はな、今回のゲーム会場設定は上の連中がもめたらしくてな」

 

アザゼルが口を開く。

 

「もめた?

 会場の…決定にですか?」

 

兵藤先輩が訊く。

 

「あぁ。

 現魔王派の上役はグレモリー領か 魔王領での開催を望んだ。

 ところが、ここに血筋を重んじるバアル派がバアル領での開催を訴えてな。

 なかなかの泥仕合になったそうだ。

 現魔王は世襲制じゃないからな。家柄、血筋重視の上級悪魔にとっちゃ、大王バアル家ってのは魔王以上に名のある重要なファクターなんだよ。

 72柱の元一位だからな」

「旧魔王に加担してた悪魔たちも過去にそんなことを言って悪魔内部でもめたんですよね?

 なんで同じようなことをするんだろう…」

 

アウェイかホームかで応援に差が出るだろうしなぁ。

しかしそれでもどっちも自分のところで!って…公平の欠片もねぇな。

あとは利潤か?

人が集まれば金が動くだろうし、冥界はこんだけ広いから移動にだって金は要るし…

 

「あれはあれ、これはこれ、ってな。

 大人ってのは人間界でも冥界でも難しい生き物なんだよ。

 体裁、趣…まぁ、未だ貴族社会が幅を利かせてる悪魔業界じゃ色々とあるわな」

 

アザゼルはそう言うが…

正直、堕天使と何が違うの?って話だぞ。

二千年前…いや、もっと?に決めた上下関係が未だ続いてるのはどっちも同じだろうがよ。

曲りなりにも悪魔のほうが世代交代してる分、まだマシかもよ?

 

「…それで結局アガレス領…」

 

と塔城さん。

 

「あぁ。

 大公アガレスは魔王と大王の間を取り持った、って話だ。

 中間管理職、魔王の代行…

 大公アガレス、時代は変われど、毎度苦労する家だぜ」

「…僕たちのゲームは魔王ルシファーと大王バアルの代理戦争ということになるのだろうか」

 

木場先輩は眉をひそめる。

 

「ま、そういう風に見る連中も多い。おっぱいドラゴン&スイッチ姫VS若手最強サイラオーグってのは表向き、一般人向けの煽り文句。

 裏じゃ、政治家連中があーだこーだと見守ってんだろうな」

「めんどくさいっスね。

 俺らは俺らの野望があって臨んでるのに…」

 

めんどくさいっても別に妨害とかはねーんだからいいじゃん。つーか国の公共事業だから関わらないのは無理があるだろうし。

アザゼルも苦笑い。

 

「おまえたちにはそれでいいさ。それで十分だ。

 仮におまえたちが負けたとしても、政治的にサーゼクスが不利になるなんてこともないしな。

 大王派の連中が少し甘い汁を吸うだけのこと。

 それとサイラオーグの後ろについた奴らとかな」

「サイラオーグさんの後ろに政治家、ですか」

「自身の体一つでのし上がったあの男が、今更政治家の意見に左右される事はないだろうがな。

 ただ、あいつが上を目指すためには、パイプ作りとして関係を持っていてもおかしくはないさ」

 

そーいや目的は魔王だっけか。

 

「…家の特色を得られずに苦労したサイラオーグさんを利用する上級悪魔たち、か」

 

兵藤先輩が苦々しげにそう吐き捨てる。

それ家の特色を奪ったような立場のヒトを主にしてるヤツの言って良いことじゃなくない?

サイラオーグさん本人は全く気にしないだろうけど、その周りはブチギレそう。

…と言うか、なんかこの言い草だと兵藤先輩は自分もそんな感じなの理解したんだろうか?将来くっつけられるとは言え既に主の家庭の事業やらされてるわけだし。

もしくは裏で自分をコキ使ってる悪魔に反意でもあるのかな?

 

「複雑だろうが、それでいいんだよ。苦労した分、やっと注目されたと思ってやればいいじゃないか。

 どんな理由があろうと名のある者に認められる事は一つの成果だ。

 あとは結果次第だが…

 お前達はあいつのことを気にせず全力でいけ。自分の目的を果たすためにがむしゃらに行かないとやつには勝てん」

 

アザゼルはため息をついてから、そう発破をかける。

そりゃ自分の話でやる気なくしてグレモリー眷属が負けました、なんてなったら…なぁ。

 

「でも、大王派はサイラオーグ・バアルの夢を容認するのでしょうか?

 彼は能力さえあれば身分を越えて、どんな夢でも叶えられる冥界を望んでいるんですよね?」

 

木場先輩がそう聞く。

なんで悪魔が堕天使に悪魔の情報を聞くんだろうな。

しかし、サイラオーグさんの夢ってそんな話だったっけ?俺の知覚範囲に入ってない事は知らないんだよな。

 

「…元一位とか家柄にこだわる大王派が容認すると思うか?

 あくまで表向きに協力するといって、裏じゃ蔑んでるだろうさ。

 奴らが欲しいのは現魔王に一矢報いるための駒。奴らにとってみればサイラオーグの夢はそれに心酔する者を集め、それを後押しする自分だちを支持してもらう政治道具だ。

 サイラオーグもそれは認識してるだろう。

 それでも一つでも上へ迎えるならとパイプをつなげたんだろうな。純粋で我慢強い男だ」

 

はえー。そこまで断定できるとかすごい情報網っすね。

いや、悪魔が腹芸出来ないのかな。

 

ま、本気でどんな夢でも能力があれば叶う冥界が作りたいなら、なるべきは政治家?

でもレーティングゲームに勝ってレーティングゲームの学校作ろうと思うヒトも居たし、そういう世界なんだろうか。

…いや、まず自分が前例になろうとしてるのか?

苦労してる分、流石に箱入り娘よりはマシだろうし、そこまで考えなしのヒトではないんだろう。

でもなぁ、結局は魔力なし・特色受け継げず…とは言え、元一位の家柄の上級悪魔が魔王になっても、「身分・立場に関わらず、能力だけで」とはならないんじゃないか?

そこらへんの、「魔力・家の特色なし」ってのが悪魔貴族社会でどれくらいのハンデなのかは俺にはわからんしなぁ。

俺の中じゃ、平民と貴族って時点で結構差があると思ってしまうな。

 

「今更ですけど、このゲーム、テロリスト…英雄派に狙われるなんてことは?」

 

兵藤先輩が聞く。

ほんと今更だな。つーか英雄派だけじゃないでしょうよ。

 

「あるだろうな。これだけ注目されてるし、会場には業界の上役が多数揃う。狙うならここだ。

 あいつらにとっちゃ、お祭り騒ぎに自慢の禁手使いを投入することは大きな行動になるだろう。

 一応、警戒レベルを最大にして会場を囲んではいるんだがな。

 …ま、杞憂に終わるかもしれん」

「どうしてそう言い切れますの?」

 

アザゼルの発言に姫島先輩が当然の疑問を抱く。

 

「…ヴァーリから、個人的な連絡が届いてな」

 

バツの悪そうにアザゼルが答える。

おいおい、テロリストと連絡してんのかよー、とか言われる可能性あるしな。

 

「ヴァーリ?あいつからですか」

「あぁ。野郎、短くこう伝えてきやがった。

 『あのバアル家のサイラオーグとグレモリー眷属の大事な試合だ。俺も注目している。兵藤一誠の邪魔はさせないさ』

 だとさ。

 愛されてんな、イッセー」

「や、やめてくださいよ! 気持ち悪い!」

「ま、あいつがそう言ってきた以上、曹操側に牽制をしているのは確かかもしれない。

 あちらもヴァーリチームと相対してまでこの会場潰しなんてしやしないだろうからな。

 あの伝説級のバケモノが集まる白龍皇チームが相手じゃ大きく犠牲が出る。そんなもの、得でもないからやらない確率が高い」

 

随分テロリストを信用してるんだな。

そう言って油断させるのが目的かもしれないだろうに…

兵藤先輩の邪魔したら魔王サーゼクスやアザゼルが本気でブチギレて襲ってくるかも知れない、とかで言いくるめられそうだけどな。

あぁ、でもロキとはソロでやらんって日和ってたな。

それならヨソと戦えるからって裏切る必要性なかったと思うけど。

 

「…ヴァーリに守られてるってことかな」

「もともと曹操はここを狙ってないって事も考えられるさ。

 隙を狙われる可能性もあるから他の勢力も自分の陣地を警戒してるってところだ」

 

そうだな。もしかしたら曹操も兵藤先輩にお熱で試合の行方に興味があるかもだし。

 

 

 

そして空中都市にたどりつき、ゴンドラから下り、乗り場を出る…と、そこには大勢のヒトだかりが。

入待ちのファンとマスコミのようで、歓声やカメラのフラッシュにまみれつつ、スタッフやボディガードの誘導で表のリムジンらしき車に乗り込む。

 

「お待ちしておりましたわ」

 

車の中に居たのはフェニックスさん。

どうも先にアグレアスに来て準備してくれてたらしい。

…貴族の子女にさせるこっちゃなくない?それとも行儀見習い扱いなんですかね?

 

そして車を出すと、後ろからマスコミの車に追われる。

 

「…お前達、そろそろ個別にマネージャーつけろ。特にリアスとイッセーは必ずな。

 今回の試合、勝っても負けても認知度は上がる。日が経てば落ち着くだろうが、それでも冥界に来るたびにこんな調子だろう。

 …あー、そうだな、レイヴェル、お前がイッセーのマネージャーになったらどうだ?

 こいつに付けば勉強になるぞ。

 スケベだがな」

 

ニヤニヤしながらそう言うアザゼル。

そして姫島先輩にハリセンで叩かれる。

 

「な、何するんだ、朱乃!」

「うふふ、ちょっとデリケートな時期でもあるんで、そういうのは控えてくださいな。

 ね、部長?」

 

昨日の一連のをアザゼルに知らせてないのか…

しかし兵藤先輩のマネージャーになったら何が勉強になるんだろう?一応日本で学ぶのが建前だったはずなんだが。マネージャーって冥界でのマネージャーだろうに。

 

 

 

リムジンに揺られることしばらく、今回の会場であるドーム…の隣のホテルに。

ここで夜の試合開始まで待機するらしい。

ここは転移出来ねぇからか拘束時間長いね。他は自宅から一瞬っぽかったのに。

ここの滞在費とかってどうなってんだろうな?

 

…なんて考えながら通路を進んでいると、前から知ってる冷たさを感じる。

いや、来るのは知ってるし、向こうには『俺』も追従してるんだけどね。

 

現れる、ミトラや祭服を模した衣服を纏った骸骨姿…

ハーデス様。

 

《これはこれは、紅髪のグレモリーではないか。そして、堕天使の総督》

「これは、冥界下層、地獄の底こと冥府に住まう、死を司る神ハーデス殿。

 死神をそんなに引き連れて上に上がってきましたか。しかし、悪魔と堕天使を何よりも嫌うあなたが来るとは」

 

説明口調じゃなくて後で普通に説明したんでよくない?その言い方だと嫌味っぽいぞ。

まぁアザゼルだとガチの嫌味かもしれんが。

 

《来たくて来たわけではないわ。

 貴様らが騒いでおるから、視察の一つもしておかねばなるまいと思っただけだ》

「骸骨ジジイ、ギリシャ側の中であんただけが勢力間の協定に否定的なようだな」

《当然だろう。

 北欧との間での自らの行いが他神話からどのように見られているのか自覚がないのか?

 それとも、あれは邪魔をするならロキのようにする…との他神話への意思表示だったのか?》

 

そうハーデス様がおっしゃったあと、いかにも警戒してますよ、とばかりに周りの死神がわかりやすく殺気っぽいものをぶつける。

 

「あーあー、そういうわけじゃねぇって。

 ったく…オーディンのエロジジイみたく寛容になれよ。あんたの周り、黒い噂だらけだぜ?」

《カラスやコウモリが鳴き喚いておれば騒音対策もしたくなるものだ。

 いや、失礼だったな――

 カラスとコウモリに》

 

そういや昔、あまりにカラス・コウモリ呼びが多いから俺がそう言ったの覚えてたのかな。

コウモリに変身するから悪魔をコウモリ呼び嫌だったんだよな。

カラスも八咫烏とか居るし、一応とは言え日本神話に所属してる身としては猛抗議したい気持ちもあったし。

 

《ではな。今日の見世物で死にでもして我らの仕事を増やさぬように》

 

ハーデス様はそのままファファファと嗤い去っていく。

 

「…こ、怖…

 すごいプレッシャーだったんですけど、あの骸骨さん」

 

骸骨さんってなんだよ。相手神だぞ?

兵藤先輩ってほんと悪い意味で立場を考えてないよな。

…まぁそういう風に教育されてるからしょうがないんだろうけど。でも相手にはそんなの関係ないからな?

 

「そりゃな。各勢力の中でもトップクラスの実力者だからな」

「…先生よりも強いんですか?」

「俺より強いよ、あの骸骨ジジイは…

 絶対に敵対するなよ、お前ら。ハーデス自身もそうだが、ヤツの周囲に居る死神どもは不気味だ」

 

そりゃアザゼルが強いならファーヴニルの力借りる必要ないだろうしなぁ。

…ってそれ込での質問だよな。

今までの事を考えると。

 

「悪い神様ってことか…」

 

…は?

どこに悪い要素があんだよ?

 

「いや、単に悪魔と堕天使…と言うよりは他の神話に属するものが嫌いなんだろうな。

 人間には平常通りに接する神だよ。

 冥府には必要な存在だ。俺は嫌いだがね」

 

憶測や好き嫌いでヒトの悪口言うな。

そもそもお前ら聖書陣営が一番他神話から嫌われてるんだからな?

どうしてハーデス様が他を嫌ってる「だけ」って発想に逃げれるかな…

 

と、向こうから笑い声。

 

「デハハハハ!来たぞ、アザゼルゥ!」

「こちらも来たぞ、アザゼルめが!ガハハハハ!」

 

赤ら顔の体格のいいおっさん二人がアザゼルに絡む。

 

「…来たな、ゼウスのオヤジにポセイドンのオヤジ…

 こっちは相変わらずの暑苦しさ全開だな。

 ハーデスの野郎もこの二人くらい豪快でわかりやすかったらいいのによ」

 

わかりやすく、ねぇ…

糾弾されるだけだと思うぞ。

で、アザゼルがまた口うるせぇのが来たな、で済ますだけで改善しねぇのまで予想できるわ。ガハハ。

 

「嫁を取らんのか、アザ坊!いつまでも独り身も寂しかろう!」

「紹介してやらんでもないぞ!海の女はいいのがたくさんだ!ガハハハハ!」

「あー、余計な心配しなくていいって…」

 

二柱が来たのを皮切りに、ミニ化したタンニーンさんやオーディンが現れる。

オーディンは何故か最初にこそこそしていたが、まるで誰かが居ないのを確認したように胸を撫で下ろしていた。

そこまですまないと思ってるなら最初から後処理待って一緒に帰ればよかったじゃねぇかよ…

 

 

 

談笑も終え、絡まれてるアザゼルを残し試合の為に今度こそ待機部屋に移動。

そこはおそらくホテル一階の客室を全てぶち抜いて一室にしたような広さだった。

広さの割に内装はトレーニング用品と休憩室が一緒になっただけなような…レーティングゲーム専用の部屋なのかも。

 

「んじゃ俺はちょっと見回って来ますんで」

「あら、ショージくんもこの部屋を使っていいんですのよ?

 会場にはちゃんと警備のヒトも居るわけですし」

 

その警備が信用出来ねぇんだよな。前例があるし。

 

「それでも皆さんの晴れ舞台に万が一があったら困りますからね。

 終わったらまた寄らせてもらいます」

 

テロリストの中核たるヴァーリや曹操の兵藤先輩への入れ込みようを考えるとない…とは思うけどね。

グレモリー眷属からの印象工作やら、見つけて点数稼ぎができる事を考えたらしないわけがない。

…とまぁそんな感じで歩いてVIPルームのあたりに差し掛かったとき、俺を見て手招きする見知った姿が目に入った。

 

「やぁソウルイーターくん。ちょうどいいところに来てくれたね」

 

それは役名だ。俺の名前なんか覚えてないんだろうなぁ。

 

「こんにちは、ルシファー様。お久しぶりです」

「すまないがイッセーくんに見せたいものがあるから、ここに来るように言ってくれないかい?

 あぁ、もちろんタダでなんて言わないよ」

 

そう言ってドヤ顔で冥界の貨幣を渡される。

俺の事どういう認識してるんだか。

 

「別にそれぐらいの事なら何もいただかなくてもちゃんとやりますよ。

 …まぁいただけるものなら頂いておきますが」

 

その後、おつかいを済ませ再び見回りへ。

結局何も見つからなかったけど、まぁ見つからなかった事がわかったわけだし…

 

***

コンコン、とグレモリー眷属の待機部屋にノックがされる

 

「どうぞ」

「レイヴェル、仕事を任されたって聞いたんで様子を見に来たぜ」

「お兄様!」

「ライザー…!」

 

現れたライザー・フェニックスに驚きながら、負い目もありどう対処していいものやら悩むリアスたち。

朱乃がお茶を渡そうとするが、ライザーは目も向けずにそれを断る。

 

「あぁ、いいんだ。

 妹の様子を見に来ただけだからな」

 

そしてそのままグレモリー眷属の誰の方も見ないまま…

 

「これは一人ごとなんだが…

 今日のバアル対グレモリー、プロの好カードと同じくらいに注目を集めているな。観客は少なくとも席を埋め尽くすほど。

 その中で若手2チームが闘うわけだが…

 実戦に慣れてても、レーティングゲームはエンターテイメント性も強いから逆に違和感のせいで戸惑う事もあるかもしれない。

 だが、これだけの大舞台はプロでもなかなかない。

 そんな状況でも若手がいつもどおり力を発揮できれば当然それは評価される。

 正念場、とでも言うべきかな」

「ライザー…あなた…

 …私はソーナほど戦の組み立てがうまいわけでもないし、サイラオーグほどのパワーもないわ。

 けれど、眷属には二人よりも恵まれている…そう思ってるの。

 でも…だからこそ、この子たちをうまく導いてやれる自信が無い自分自身が腹立たしいわ」

 

一番リアスにとって身近なところに居るプロであるライザー。

表立ってのものではないが応援された事で、つい弱音をはいてしまうリアス。

 

「戦術も自分の力も、経験を積み努力すれば…まぁある程度まではいけるもんだ。

 だが、巡り会い…すなわちいい人材を引き寄せる才能ってのは別だ。

 うまく導けなかろうが、眷属ってのは王が引き当てたモンなんだ」

「…けれど、ドラゴン――赤龍帝であるイッセーが引き寄せた部分も強いと思うわ」

「その赤龍帝を眷属にしたのはお前だ、リアス。

 赤龍帝が何かしらの力で他のヤツを呼び寄せたとしても、だ。

 自信を持てリアス。

 確かに俺の目から見てもサイラオーグはプロ級の力だが、それを言うならお前も既にプロ級なんだぜ?勝負次第じゃ勝ってもおかしくなんてないほどにな。

 それに眷属の力ってのはキングの力だ。それも戦術や腕力に引けを取らないほどの、な」

 

いつの間にか、ライザーはリアスに向き合っていた。

 

「…おっと、独り言が長くなっちまった。

 じゃあな、レイヴェル」

 

ライザーは立ち去る。

が、ドアを開けると足を止め…

 

「勝てよ」

「えぇ、もちろん」

 

リアスの自信に満ち溢れた返事を聞くとドアを閉めた。

 

***

 

見回りを終えて待機部屋でだらだらしていたが、そろそろ試合の時間ということで移動することに。

試合に行かない紫藤さんやフェニックスさんとVIP席へ行く…

と思いきや、二人とも一般のグレモリー側の応援席の、おっぱいドラゴンのファンの集まる席に行くとのこと。

二人とも俺と同じで半分身内みたいなもんだし、VIP席に行くものとばかり。

 

「紫藤さんはなんとなくわかるけど、フェニックスさんも?」

「え、えぇ…」

「応援のお姉さんをするのよ!

 ショージくんも一緒に応援しない?」

「んー、俺は一人でじっくり見たい派なんで。

 それに今から俺の分の席を他人から取っちゃうわけにもいきませんし」

「そう?

 わかったわ。じゃあ、また後でね!」

 

適当にごまかして、一人でVIP席へ。

好きでもないヤツのファンばっかも嫌だけど、こっちもこっちで嫌ではあるんだよな。

まぁ情報収集には最適だからこっちに居たいけど。

VIP席に着くと、もうほとんどのヒトが集まってた。俺はとりあえず目立たない端の方の席へ。

 

 

 

『さぁ!いよいよ世紀の一戦が始まります!

 東口ゲートから、サイラオーグ・バアルチームの入場です!』

 

試合の開始を告げる言葉に、わーっとバアル側に向けての声援・歓声が響く。

そしてサイラオーグチームは会場に浮かぶ岩の塊に誘導される。

岩と言っても整備されてて上側はちゃんと平になっており、そこに椅子と台のようなものがある。

何するんだろ?

しかし、会場に足を運んでるのに生で闘う感じじゃないよな…無駄足じゃない?

 

『そしていよいよ!

 西口ゲートからリアス・グレモリーチームの入場です!』

 

再びの歓声。

そしてグレモリーチームももうひとつの岩に移動。

モニターに派手な男が現れる。

 

『ごきげんよう、皆様!今夜の実況は私、72柱ガミジン家のナウド・ガミジンがお送りいたします!』

 

歓声。

 

『今夜のゲームを取り仕切る審判役にはリュディガー・ローゼンクロイツ!』

 

また歓声。

はよ試合しろ。

 

『そして、特別ゲスト!解説として堕天使総督のアザゼル様にお越しいただいております!

 どうも初めましてアザゼル総督!』

『いや、これはどうも初めまして。アザゼルです。

 今夜はよろしくお願いいたします』

 

あれ?そういやVIP席では見なかったな。

グレモリーチームも反応見るに知らなかったっぽい。

その後、アザゼルの紹介やらアザゼルの割と真面目な私見が始まったが…

そういうのって選手が来る前にするんじゃねぇの?

 

『更に、もう一方お呼びしております!

 レーティングゲームのランキング第一位!現王者!皇帝!

 ディハウザー・ベリアルさんです!』

 

歓声。

だからさぁ…

見どころとか聞いてるけどもういいだろ?特にアザゼルはさっき喋ってたんだから。

レーティングゲームが娯楽にしろスポーツ種目にしろ、これ一強ってなると競う相手が居ないから練磨されないのかな。

なんて思ってると…

 

『まずはフェニックスの涙についてです。

 皆様もご存知の通り、現在テロリスト集団「禍の団」の連続テロにより、各勢力間で緊張が高まり、涙の需要と価格が跳ね上がっております。

 そのため、用意するだけでも至難の状況です。

 しかーし!

 涙を製造・販売されているフェニックス家現当主のご厚意とバアル、グレモリー両陣営を支持されるたくさんの皆さんの声が届きまして、今回のゲームで各チームに一つづつ支給されることとなりました!』

 

うわー、マジか。

対テロリストよりもゲームの方が優先なのか。

それで助かるヒトやら、テロリスト戦の効率が悪くなるとかは考えないのかな…

 

『このゲームには特殊ルールがございます!

 …が、それを説明する前にまずはゲームの流れから!

 ゲームはチーム全員がフィールドを駆け回るタイプの内容ではなく試合方式!

 これは今回のゲームが短期決戦を念頭においたものであり、観客の皆さんが盛り上がるように設定されているからです!

 若手同士のゲームとはいえ、その様式はまさにプロ仕様!』

 

この組なら短期決戦で盛り上がる内容にするなら試合形式だ、と判断してるのか。

長いとダレる?

ってよりかは回りくどいことをせずに殴り合いさせた方が映えるとかそういう感じだろうか。

観客が望むように試合を組み立てるのも難しそうだなぁ…

 

で、俺がそんな事を考える間にも説明は続いていき、今回の特殊ルール、「ダイス・フィギュア」の説明がされていく。

 

6面サイコロを両陣営の王が振って、その合計値を駒価値と照らし合わせ、試合出場コストとして試合するというもの。

駒価値は入れられた駒一つにつき兵士は1、騎士・僧侶は3、戦車は5、女王は9、王の駒価値は審査委員会が決める。もちろん王が倒れたらアウト…と。

しかし両陣営に存在する最低コストが居ないと振り直しって、これダレそうな気もするけどな…

そしてその王の駒価値が発表される。

 

『サイラオーグ・バアル選手が12!

 リアス・グレモリー選手が8と表示されました!

 サイラオーグ・バアル選手の方が高評価ですが、これはマックスの合計が出ない限り出場できない事になります!』

 

そんなもんか。グレモリー先輩もっと低いかと思ったけど。

 

『それともう一つルールを。同じ選手を連続で出すことは出来ません。

 これは王も同様です!』

 

この追加ルールは何目的なんだろう。バアル家よりのヒトがサイラオーグさんの連投させないため?

なんか王が無双するのはワンパターンで世間の評判悪くなるからしないとか聞いたし。

でもそもそもサイラオーグさんのコストは12だしなぁ。

 

『さぁ、そろそろ運命のゲームがスタートとなります!両陣営、準備はよろしいでしょうか?』

 

やっと始まるのか。ここがVIP席じゃなかったら飯食ってたぞ。

 

 

 

そして第1試合、一投目はグレモリー先輩が2でサイラオーグさんが1の合計3。

出す選手を選ぶ作戦時間が5分あるが、その間の相手の様子がわからないような対策が多いこと多いこと。

防音に、読唇術対策に、終わりに近くなれば不可視化に…

なんでそんなにするか、って言ったらそりゃする必要があったからなわけで…

悪魔のレーティングゲームに勝つ努力ってのはこういうのなのかな?

 

そして草原を模した試合フィールドに現れるのは…

 

『グレモリー眷属の神速の貴公子!木場祐斗選手です!リアス姫のナイトが登場です!』

 

木場先輩と…

 

『対するバアル眷属は―』

『私は主君、サイラオーグ・バアル様に使える騎士の一人、ベルーガ・フールカス!』

 

青い炎を放つ馬にのった全身鎧姿のいかにも騎士みたいなヒト。

騎士対決かな。

 

『アザゼル総督、あの青白い炎に包まれた馬のことですが』

『「青ざめた馬(ペイル・ホース)」

 地獄の最下層ことコキュートスの深部に生息するという高位の魔物ですな。名だたる悪魔や死神が跨るものとして語り継がれている。死と破滅を呼ぶ馬とも言われています。

 乗りこなすのは容易じゃない。気性が荒く、気に入らない者ならば主でさえ蹴り殺すとされている』

 

向かい合った二人がお互い話してる間にアザゼルが解説する。

へぇ。固有名詞じゃなくて種族名なのか。

なんかペールライダーと一体化されてる気もするが、まぁこの世界ではそうなんだろう。

それよりもなんでコキュートスの馬を悪魔が持ってるんですか、と。

 

で、戦いとしてはお互い剣と槍を打ち合い、木場先輩が馬を狙い聖魔剣を地面から生やすが馬に空に逃げられる。

それを追撃せんと雷の聖魔剣で狙うがランスを避雷針にされ、向こうは姿を増やして攻撃をしてくる。

…本体だけしか攻撃判定ないわけじゃないってことは、幻の類ではないと思うんだが、もしかして分身って思ったよりメジャーなんだろうか?

 

『僕はあなたよりも強い。この勝負、いずれ僕があなたの動きを捉えるだろう。

 けど、そのためにはスタミナをかなり消耗する。今後の戦いを考えると短期決戦で仕留めた方が効率がいい』

 

画面の中の木場先輩は聖剣を持ち、そんな事を言っていた。

…くっちゃべってるヒマがあるならさっさと倒して見せろと思うけど、こういうおしゃべりも見世物だからしないといけないよね、仕方ない。

つーかよくよく考えると木場先輩って同格以上の相手だと保たせられてないし、スタミナ消耗重いよな。上限が低いたいぷなんだろうけど。

…この試合形式ってそういう攻撃力にだけ特化してきて持久力がないグレモリー眷属の為なんだろうか?

 

『自信満々のようですな。

 確かに貴殿の才能なら私とアウトブラウをいずれ上回る…

 だが!

 ただではやられませんぞ!後続のため、手足の一本でも切り落とし、体力を奪う!』

 

これ株があがるのはフールカスさんの方じゃ…

 

『禁手化』

 

ここで木場先輩が禁手に。地面から聖剣が生えて、それと同時にその聖剣を使うドラゴンのような鎧の集団も現れる。

 

『バカな!禁手化だと!?貴殿の禁手は「双覇の聖魔剣」のはず!

 なぜ違う禁手に…

 っ!まさか、「聖剣創造」の禁手化か!?』

『「聖覇の龍騎士団」、「聖剣創造」の禁手にして亜種です』

 

なんだそりゃ。

相手じゃなくてもそう思うわ。

持ってた「魔剣創造」の禁手が聖剣因子摂取した影響で聖魔剣になるのはわかるよ。

聖魔剣作れるってことは聖剣を作れるってのも。

だけどそこから聖剣を作れるなら「聖剣創造」持ちね、禁手も出来ます。…っておかしいだろ?

それなら兵藤先輩とか「白龍皇の光翼」の禁手を今後習得する可能性もあるって事か?

うわぁ…

 

『これに至るために自前の聖剣のみで赤龍帝と戦ったけど…

 ふふふ、肝が冷えたよ。死さえ覚悟した。

 だって、イッセーくんは本気で殺しに来てくれたからね。そのおかげで二度目の禁手になれたんだけど』

 

どことなく恍惚とした顔でそう語る木場先輩。

え?それだけで禁手に至れるんですか?それだと敵対組織にカチコミさせてるテロリストさんってバカじゃないですか?

 

『本来、「聖剣創造」の禁手は聖剣を携えた甲冑騎士を複数作り出す「聖輝の騎士団」というものだ。

 木場選手の能力はそれを独自のアレンジで亜種として発現できたようだ。

 しかも龍の騎士団!

 かーっ!木場、おまえ、イッセーの影響受けすぎだぞ!

 大きなお姉さんたちが喜ぶ展開だな!』

 

アザゼルが実況席でそう煽る。

…そういう「お前らこういうのが好きなんだろ?」みたいなのは狙いすぎて嫌われそうな気もするけどなぁ。

しかし、騎士団に龍の意匠があるからと言って、何が亜種なんだろう。

そもそも、相手のさっき出してきた実体がちゃんとある分身との違いは?

分身は本体がわからんが、騎士団の方が木場先輩と甲冑騎士とで本体丸わかりなんだが…

 

『サイラオーグ・バアル選手の騎士一名、リタイアです』

 

まぁ俺が文句言う間に試合は木場先輩が勝って終わったがね。

騎士団出現前の分身込でトントンだったから…

悪魔の肉体には聖魔剣が聖剣になってもあまり困らないし。

…それ考えると対テロリストでは聖魔剣と聖剣+騎士団では聖魔剣の方が有益だよな。

レーティングゲームのためだけの能力か。グレモリー眷属ならでは、というか。

 

 

 

そして第二試合。

今度の合計数字は5。

今回のフィールド、神殿に現れたのは…

 

『俺はサイラオーグ様の戦車、ラードナ・ブネ』

 

戦車の割に痩せぎすと言うか、やつれた男性と…

 

『…塔城小猫です』

 

戦車の塔城さん。まぁ5だし戦車対決になるわな。

 

『第二試合、開始してください!』

『…初っ端から本気で行きます』

 

そう言うと、仙術で気を纏う。それと同時にいつものように猫耳としっぽが出る。しっぽは猫又のような、先が二つに割れた形。

なんか気がついたら、出力を上げるとしっぽの先が割れるようになったんだよな。

…今後の修練で気の出力が増えたらしっぽも増え続けるんだろうか?

 

『こちらとてそのつもりだ』

 

相手のブネさんがそう言うと同時に、体が盛り上がっていく。

爆肉鋼体かな?と思いきや尾、翼が生えてきて、牙、爪が大きく鋭くなっていく。その姿はまるで…

 

『ドラゴン変化は情報にもなかった!

 サイラオーグめ…その眷属を鍛え上げて覚醒させたか!』

 

アザゼルも驚く。

 

『どうだ!このドラゴンの肉体に仙術は効かんぞ!』

 

まぁ確かに本当にドラゴンになってるなら、その体は生命力に満ち溢れてて多少気を乱したところで影響は出ないけど…

そもそもそんなサイラオーグさんを相手取るための訓練をしてたわけだしな。

当然塔城さんは果敢に攻め込んでいく。

 

『ドラゴンに臆さず挑んでくるか…それでこそだ!』

 

それをドラゴンと化したブネさんが迎え撃つわけだが…

ドラゴン化の際に巨大化した相手とはリーチが違いすぎて攻撃のチャンスも差がでる。

その分サイズ差で回避はしやすいだろうが…

数分経つ頃には塔城さんは服が爪で斬られ、炎で焦がされ一見ボロボロなのに対し、相手のブネさんは何度も拳を受けたが傷はない。

だが、一方的に有利な状況でもお互いの顔に諦めも安心もない。

 

『そろそろ終わりにしてくれよう…!』

 

そんな状況を打破せんとブネさんが勝負を決めに行くべく両腕に力を集中する、と…

だらん、と腕が意に反し垂れ下がる。

 

『な…!一体、これは…!?』

 

膝をつき困惑するブネさん。

 

『…点穴を突きました。

 確かに私の仙術じゃ、あなたの気を動かす事は出来ませんでした。だから――』

『俺の力を利用した、というわけか!?』

『はい。

 後はあなたの力があなたを攻撃し続けます』

『くっ…』

 

コレ、仙術で相手の気を乱すみたいに殺したりもしないしすごそうに見えるけど、現状の塔城さんの技量だと今回みたいに何度も使わないと発動させることすらままならないし、相手が仙術使えればすぐ治せるんだよな。

後は――

 

『…これしきの痛み、サイラオーグ様への恩義の前ではッッッ!』

 

痛みに耐え、仙術で自分に向けられた力よりも強大な力を纏う、とか。

とは言っても、立ち上がったブネさんの腕は垂れ下がったままだ。

腕が発動の開始点になってたから、そこを覆すほどの出力は残ってないのかもしれない。

 

『おおおッ!』

 

だがそれでも、残った足で、牙で、炎で塔城さんに襲いかかる。

もはや最初の頃の、次の試合を考えたペースではない。

ものの一分もしないうちに…

 

『お、ぉぉ…』

 

今度こそ完全に倒れ、リタイアの光が包み込む。

 

『サイラオーグ・バアル選手の戦車一名、リタイアです』

 

塔城さんが勝ったのは勝ったが、実力で勝ったと言うよりサイラオーグさんへの対策がうまく刺さった、って感じだったな。

もう一方の戦車の方ならどうなってたかわからない。

いやまぁ、仙術を警戒して出したんなら仙術がそのまま通るヒトだったんだろうけど。

 

 

 

第三試合は兵藤先輩が相手の僧侶のコリアナ・アンドレアルフスさんに勝った。

 

…いやぁ、酷い戦いだった。

最初の駒設定、合計は8。

サイラオーグさんが僧侶の女性を出す宣言して、兵藤先輩への対策があるって煽って、兵藤先輩がグレモリー先輩の了承も得ずに勝手に受けて。

で、試合が開始してちょっと小競り合いをして兵藤先輩が禁手になると、相手の僧侶さんが脱ぎだす。

兵藤先輩は当然ガン見。

なんか通信機で言われたんだろうけど、脱いでる姿みたいから攻撃出来ない!って反論してたり。

だが、脱ぎ進め下着姿の僧侶さんがパンツに手をかけた瞬間、脱ぐ順番が気に入らなかった兵藤先輩がいつもの射撃でぶっ飛ばした。

 

いや、もうなんというか。

この試合って結構真面目なやつよね?

それで目の前で脱衣すれば無力化できる!ってやっちゃう方も方だし、無力化されちゃう方も方だよ…

ただ、レーティングゲームは興行であることを考えると、これは正解なのかも?

それだと兵藤先輩は脱いでるの待機してたけど脱ぎ方が気に食わなくても脱ぎ終わるまで待つのがお約束だと思うんだけどな。

それを考えると全国区だろう放送中で全裸をさらけ出した僧侶さんの根性はすごいわ。

負けたけど評価はちゃんと上がるんじゃないかな。

…しかし、小競り合いではあんま火力があるようにも見えなかったし、脱いだ後どうするつもりだったんだろうな。

確かにスケベ技の読心術と全裸化は自ら服を脱ぐことでちゃんと封じてたが…

 

 

 

さて気を取り直して。

第四試合の数字は11。

そして、今回の試合の岩場フィールドに現れたのは、ゼノヴィアさんに塔城さんにギャスパー。

向こうは筋骨隆々とした3メートルもありそうな巨漢に、軽鎧姿の金髪剣士と小柄で中性的な杖にローブ姿の魔術師風の少年。

 

『バアルチーム、なんと!

 またしても断絶した御家の末裔とは!驚きです!

 騎士のリーバン・クロセル選手に、僧侶のミスティータ・サブノック選手はそれぞれクロセル家、サブノック家の末裔です!

 アザゼル総督、バアルチームには複数の断絶した家の末裔が所属しておりますが…』

『能力さえあれば、どんな身分の者でも引き入れる。

 それがサイラオーグ・バアルの考えだ。それに断絶した家の末裔が呼応したということでしょうな。

 断絶した家の末裔は現悪魔政府から保護の対象でありながらも、一部の上役には厄介者扱い…

 他の血と交じってまで生き残ろうとした家なんぞなかった事にしたい純血重視の悪魔なんて上にいけばたくさん居ますからな』

 

…なんでアザゼルがそういう上役にキレてんだろう?

少なくともここで言う事ではねぇよ。

実況も言葉に詰まってるじゃねぇか。

 

『ハハハ、全くそのとおりです』

 

どことなく愉しそうに笑う皇帝。恨みつらみでもあるのかねぇ。

 

『第四試合、開始してください!』

 

試合開始そうそう、ギャスパーがコウモリになりフィールド上空に散らばっていく。

そしてそれを避けるように、ゼノヴィアさんが水平にデュランダルを振るい、聖剣のオーラを斬撃状にし、岩を斬りながら飛ばす。

相手の戦車は普通に防ぎ、騎士と僧侶はそれをかわし、僧侶はそのまま反撃とばかりに杖から炎を放つが、それをギャスパーが停止させ、更にゼノヴィアさんの斬撃で切り落とす。

…あれ切り落とす必要あるのかねぇ。

と思ったが、相手が射出後もちゃんと制御できる可能性もあるよな…

なんせあの兵藤先輩でもできるようになってたわけだし。

 

その間に塔城さんがゼノヴィアさんの飛ぶ斬撃を防いだ戦車を弱体化させるべく向かっていくが、騎士に遮られる。

そこまで生命力がありそうでもないし、鎧も動きやすさを損なわないような感じで防御力はなさそうだが、肉体に直接触れないから厳しいか…

1VS1と2VS2の状況になった形かな。

 

ゼノヴィアさんたちの方は、ゼノヴィアさんが下がりギャスパーが体中にまとわりつくが、戦車は意に介さずそのままゼノヴィアに向かっていく。

下がったゼノヴィアさんはエクス・デュランダルを使うべく力を溜めていたが、相手戦車が近づいてくるのを見て少し焦る。

が、その焦った瞬間――

 

『!ここだ、聖剣よ!その力を閉じよ!』

 

相手の僧侶の杖が怪しく光り、そこから放たれた光がゼノヴィアさんを包む。

すると、ゼノヴィアさんの体の周りに紋様が浮かぶ。

そして、溜めていた力どころか、デュランダルから聖剣のオーラが消失してしまった。

 

『これは…なんだ?デュランダルが反応しない…!?』

『神器「異能の棺」…

 人間の血を引いてることで手に入れられた力さ…』

 

杖にもたれるように、顔を上気させ喘ぎながら相手の僧侶が言う。

 

『異能の棺…自分の体力や精神力を消耗させる事で、それに応じた時間の間特定の相手の能力を封じる神器だな。

 バアルの僧侶は自分の力と引き換えにゼノヴィア選手の聖剣を使う力を封じたようだ』

 

アザゼルが説明を入れる。

 

『…これだけの代償で封じれば聖剣のオーラが彼女を焼くと思ったんだがな…凄まじいまでの才能だ』

 

僧侶は恐れ半分呆れ半分と言ったところの苦笑。

そのゼノヴィアさんの方には戦車が突っ込んで行っていた。

そして殴りかかる、その瞬間――

ゼノヴィアさんはコウモリに包まれ消失。どこかに転移したようだった。

吸血鬼に短距離ワープは標準搭載なんだろうか…?

 

塔城さんの方に目を向けると、塔城さんの方が防戦一方になっていた。

さっきのドラゴン戦のダメージが堪えてる…のももちろんあるんだろうけど、防具が心もとないのが気になる。剣相手に手甲程度じゃなぁ。

毎回防具を使わず制服姿なのも、そりゃ確かに興行として考えれば正しいんだろうけどさぁ…

制服に色々して防御力高めてます!とは言ってたけど、それでも毎回服ボロボロにされるわけじゃん?女性陣なんかは困らんの?

せめて内側にも何か仕込んでおくとか…

つーかゼノヴィアさんやアルジェントさんも加わって統一感もないんだから制服じゃなくて良くない?

で、まぁそんな装備面だけの問題でもなく…

 

『「魔眼の生む枷」!』

 

視線の先に重力球を発生させる神器や本人の剣技も軽視出来ず、塔城さんが劣勢なギャスパーたちの方に合流しようとすると…

 

『氷よ!』

 

魔術で妨害。この氷のチョイスも視線を反射させてるため神器の範囲が増えてて厳しいところ。

この騎士の神器は事前にわかってたからバラけたんだろうけど、それが逆に仇となったかな。

 

で、ギャスパーたちの方に目を向けると、ギャスパーが戦車に殴られてるところだった。

ゼノヴィアさんにかけられた神器を解呪するための時間稼ぎをしてるらしい。殴打痕を見るに、そのゼノヴィアさんを探す戦車の邪魔をするたびに…と言った感じか。

戦車はかなり抵抗力が高いらしく、停止の魔眼も減速する程度で効きは悪い。

時間稼ぐんならさっきのコウモリワープで逃げ続ければ…と思ったが、よく見ると戦場の岩の数が減っている。

確かにそれだとジリ貧だったろう。

 

『グレモリー…眷属…男子…訓戒…』

 

倒れたギャスパーが立ち上がり、また戦車を妨害しようとするが…

 

『もう邪魔はさせんぞ』

 

多少持ち直した僧侶が杖を武器に殴打し、それの妨害をする。

更に、戦車への視線を遮るようにローブを広げる。

そのまま戦車はゼノヴィアさん探索に戻る、が一歩遅かった。

 

『またせたな、ギャスパー。

 …よくやってくれた!』

 

ゼノヴィアさんが、隠れていたであろう岩の上に現れギャスパーに声をかける。

その体に先程の紋様はもうない。

 

『もう解けただと!?ならばもう一度…』

『遅いッ!』

 

ゼノヴィアさんが僧侶に斬撃を飛ばす。その威力も速さも開始時のソレとは違う。

 

『ぐっ!』

『なっ、ミスティータ、がっ』

 

僧侶は斬撃を避けきれず、リタイアの光に包まれ、倒れる。

騎士はそちらに意識を向けてしまい塔城さんに殴られ、倒れる。

 

『…サイラオーグ戦を見据えてしまったのが仇となった。最初から全力で当たるべきだった。

 ギャスパーのようにッ!』

 

エクス・デュランダルの鞘部分がスライドし、聖なるオーラを迸らせる。

そして、ゼノヴィアさんが戦車に向けて放とうとする。

が…ゼノヴィアさんを中心とした重力球が現れた。

 

『倒した…と思ってる時が一番を生むんだぜ…?

 行け!ガンドマ!』

 

騎士は仙術を打ち込まれ体が動けないまでも、氷で視線を通し援護していた。合流するべく駆けていた塔城さんはその声に引き返す。

そしてその騎士の言葉に呼応するように戦車が動く。

 

『ぬんっ!』

 

がしかし、戦車の巨大な拳が止まる。ギャスパーの停止の魔眼だ。

一部分とは言え、先程まで止められなかった相手を完全に停止させる為に出力を相当あげたのか、ギャスパーはそのまま意識を失う。

その腕が停止した間に、重力下でありながらゼノヴィアは莫大な聖剣のオーラを放つ。

オーラに飲み込まれ、リタイアの光を放ちながら、戦車は吹き飛んでいった。

 

『ギャスパー…男だよ、お前は。立派な男だ』

 

涙を流しながら、リタイアの光に包まれるギャスパーを抱き起こすゼノヴィアさん。

 

そしてその直後に塔城さんが騎士を倒し――

 

『サイラオーグ・バアル選手の戦車一名、騎士一名、僧侶一名。

 リアス・グレモリー選手の僧侶一名、リタイアです』

 

第四試合は終了した。

 

 

 

『さぁ、戦いも中盤を超えようとしているのかも知れません!

 サイラオーグ・バアル選手のチームは残り三名!リアス・グレモリー選手のチームは残り七名となっています!

 グレモリーチームが数の上では有利ですが、バアルチーム、巻き返しなるか!』

 

サイラオーグさんの残りは本人と女王と兵士のみ。

その中で最低コストは兵士の7。

何度か振り直しもありながら、今回出た目は9。

 

一面石の塔だらけのフィールドに現れたのは姫島先輩と女王、クイーシャ・アバドン。

ここのアバドンの特色は穴。空間に穴を開け、それになんでも吸い込むらしい。

そんな事前情報がありながら、なんで遠距離攻撃しかしない姫島先輩を選んだんだろう?

兵士読み?

 

『第五試合、開始してください!』

 

まぁ見ればわかるか。

 

開始すると同時に両者ともに翼を出して空中戦に移行する。

石の塔ばっかで地上は移動しづらいし、それ自体は納得なんだが、フィールドとかって会場のヒトが試合参加者見て決めたりしてるのかな?

だってこれを今までの試合の会場にしてたら盛り上がらないだろうし。

ここまでで飛んでたのってフールカスさんとギリでギャスパーだけだろうし。

 

空中戦は姫島先輩が大規模に炎を放てば相手は氷を放ち相殺。水を放てば風で相殺。

基本スペック的にはトントン?

あとは両者の奥の手の雷と穴の差だろうか。

 

姫島先輩が魔力で上空に暗雲を作る。

あれを媒体にして強力な雷を作るんだろうけど、穴ってそれでどうにかなるか…?

予測どおり姫島先輩が巨大なな雷光を放つ…が案の定、あたる直前に穴に吸い込まれていく。ダメじゃん。

 

『ここですわ!これならどうでしょう!』

 

穴が開いたのを見てから、暗雲から更に空一面を覆い尽くすように雷光を絶え間なく落とす。

うーん火力。

余力すら残さない脳筋戦法ではあるけど、まぁ通ったら勝ちよね。

そんな、質と量で攻めていく姫島先輩だが…

女王の方は穴を広げ、増やし、そっちも質と量で対応していく。

 

『私の穴は広げる事もいくつも出現させる事もできます。

 そして、穴に吸い込んだ攻撃をそのまま返す事も』

 

対処しきった女王が手を振るうと、姫島先輩の周囲を大量の穴が囲む。

そしてそこから雷光が撃ち込んだ時と同じような威力で現れる。

相手の女王は吸収・射出できるのに今までの戦闘では伏せてたわけか。

姫島先輩は避けたり、撃ち落としたりで対処をしていくが、先程のハイペースが祟り、被弾は免れない。

このまま防戦一方になるわけには行かないと思ったのか、正面に魔方陣を張り、女王の方へ一直線に素早く向かっていく。

避けきったところで相手の魔力が消耗するわけでもないしな。

 

『自分自身の攻撃をそのまま返すだけなら大丈夫、と思ったでしょう。

 しかし吸い込んだ攻撃を分解し、特定の力だけを重ねたりもできるのですよ。

 ――このように』

 

穴から光の塊のように太い光力を放つ。

それは姫島先輩の魔方陣の防御を容易く打ち破り、姫島先輩を飲み込んだ。

 

『リアス・グレモリー選手の女王一名、リタイアです』

 

第五試合は今まで最速で終わりを迎えた。

 

 

 

そして第六試合のダイスロール。ここで出た合計は…12。

それはつまり…

 

『出ました!ついに12が!この数字が意味する事は、サイラオーグ選手が出場できるということです!』

『『『『『おおおおおおぉぉぉ!』』』』』

 

今まで高まっていた試合の熱が一気に爆発するように観客が沸く。

それに応えるように、サイラオーグさんは不可視になる前から上着を脱ぎ、出場ゲートへ進んでいく。

 

その数分後、先に湖畔のフィールドに転送されたサイラオーグさんの元に現れたのは、木場先輩とゼノヴィアさんと塔城さん。

 

『リアスの案か?』

 

現れた三人にそう投げかける。

何が気になったんだろう?残りの中でとにかくサイラオーグさんを削る順当な作戦じゃないの?

三人は沈黙で答える。

 

『そうか。

 リアスは一皮むけたようだ』

 

え、何?なんか成長要素あった?

 

『お前らでは俺に勝てん。いいんだな?』

『ただでは死にません。

 …最高の状態であなたを赤龍帝に送り届ける!』

『いいセリフだ!

 お前達はどこまで俺を高まらせてくれる…!』

 

何がいいのかよくわからんがサイラオーグさんは楽しそうにしている…

 

『第六試合、開始してください!』

 

そう審判が告げた瞬間、サイラオーグさんの四肢に紋様が浮かび上がる。

 

『これは俺の体を縛り、負荷を与える枷だ。

 …俺はこれを外す。全力でお前達の覚悟に応えるためにッ!』

 

その言葉通り、紋様が消失すると、サイラオーグさんから気が吹き出し、周囲に圧がかかる。

 

おぉ、リアル開(アンテ)だ。

…あぁいう系って、つけっぱでも負荷が気にならなくなるまで使うと加減がバカになるから困るんだよな。

 

『…なんて奴だ。闘気を纏ってやがる。

 しかもここまで可視化するほどの濃厚な質量…』

 

闘気?なんじゃそら。

 

『となりますと、サイラオーグ選手は気を扱う戦闘術を習得していると?』

『いや、サイラオーグが仙術を習得しているという情報は得ていない』

 

気を扱うのは仙術だけじゃないだろ…

つーか仙術は相手の気を乱す系の気功術って認識だったんじゃないのか?

 

『はい。彼は仙術を一切習得していませんよ。

 あれは、体術を鍛え抜いた先に目覚めた闘気です。純粋にパワーだけを求め続けた彼の肉体はその身に魔力とは違う、生命の根本と言うべき力を纏わせたのです。

 彼の有り余る活力と生命力が噴出して、可視化したと言っていいでしょう』

 

皇帝が解説する。

えーと…つまり技能面での習得ではなく、肉体の修練で身につけた気を闘気って呼んでるってこと?

でもさっきアザゼルは闘気とやらを仙術を結びつけたよな?

どういうこっちゃ…

 

『貴様達は死すら覚悟した戦士…ならば俺も一切の容赦もせず闘う!

 それこそが戦士への礼儀!』

 

…おっといかんいかん。戦闘に集中しよう。

 

サイラオーグさんが足に力を入れ、地面を蹴り出し、三人の方に高速で接近していく。

最初の一歩目に蹴った砂柱以外、動きの痕跡を感じさせないようにしてるあたりはさすがパワーだけのヒトでない感じ。

一番速度に慣れてる木場先輩が、すぐさまサイラオーグさんとの間の地面にまばらに聖魔剣を出現させる。

急接近阻止の為だったんだろうが、サイラオーグさんはその剣の山を軽々と飛び越え近づく。下の剣山が伸びようと対処できる自信の現れなんだろう。

そのままの勢いでサイラオーグさんは拳を振るうが、木場先輩の盾になるように塔城さんが前に出る。

塔城さんは両腕を交差させて受けるが、質量差もあり吹っ飛ぶ。

 

『うおおおっ!』

 

その一瞬、サイラオーグさんの動きが止まり、ゼノヴィアさんがサイラオーグさんに斬りかかる。

が、サイラオーグさんはデュランダルが振るわれる前に移動し、逆に背後からゼノヴィアさんを蹴ろうとする。

ゼノヴィアさんもデュランダルを振るうのを止め、それを躱す。ただ、蹴りの風圧で追撃には出れず、後ろに下がらされる。

 

『…手加減したつもりはないんだがな。これが仙術か』

 

ゼノヴィアさんに追撃せず、拳を握り感触を確かめるサイラオーグさん。

その言葉どおり、視線の先には吹き飛ばされた塔城さんが大した傷もなく戻ってくる姿が。拳を受けた腕も痣などはない。

サイラオーグさんの隙を突こうと、ゼノヴィアさんは先程の斬撃の為に溜めていたデュランダルの聖剣のオーラを放つ。

 

『ぬぅん!』

 

…が、サイラオーグさんは気を高め、デュランダルの攻撃を受け止める。

聖剣のオーラが消失すると、無傷のサイラオーグさんが。

 

『…聖剣を苦にしない悪魔か。とんでもないね』

『仙術、聖剣…なるほど素晴らしい。

 ――さて』

 

サイラオーグさんが木場先輩に目を向ける。

風と炎の聖魔剣を作り出していた木場先輩は、熱波を飛ばすが、サイラオーグさんはものともせず突っ込んでくる。

木場先輩は近接戦は避け、距離を離そうとしながら属性聖魔剣で遠距離攻撃を行っていく。

が、段々と距離を縮められる。そして湖の近くについた時――

 

『水よ!』

 

水の、と言うか水を操る聖魔剣を作り出し、大量の水で飲み込もうとする。

もちろんサイラオーグさんは大したダメージもなく、水流をものともせずそのまま近づこうとするが…

木場先輩は作っていた氷の聖魔剣を取り出し、水に投げつける。

当然水は凍るが、その程度ではサイラオーグさんは止まらない。

木場先輩は雷の…帯電してるし電気か。

電気の聖魔剣を作り、濡れたサイラオーグさんを攻撃する、がサイラオーグさんの拳はその聖魔剣をへし折り、そのまま木場先輩をふっとばす。

聖魔剣ごと殴られた感じだからダメージはそうでもないか。

 

『いくぞっ、小猫!』

『…はい!』

 

そこにゼノヴィアさんと塔城さんも来て、同時にサイラオーグさんに攻撃を加えていく。

だがその二人の、聖剣と拳も難なく避けられていく。

 

『いけぇっ!』

 

吹っ飛んだ木場先輩も聖剣を周囲に展開し、さっきの騎士団を向かわせ、本人も聖剣を手に走る。

騎士団は二人の攻撃の隙間を縫うようにしていくが、聖魔剣をへし折ったサイラオーグさんが今更聖剣の騎士団を苦にするはずもなく、一つ二つと壊されていく。

 

『この禁手、数は多く、速さも本人に劣らない、いい能力だ。

 …だが俺には脆すぎるな』

 

そして最後の一つが壊される…その瞬間を狙い、三人が同時に攻撃をする。

が、逆に三人同時に反撃をくらい、同じように吹き飛ばされ、倒れる。

戦車としての補正のおかげか、一番先に塔城さんが立ち上がるが、そのせいでサイラオーグさんに追撃されてしまう。

 

『なるほど…

 両腕で受ける条件の防御か?』

 

もうバレたか?

サイラオーグさんの言うように、開幕の攻撃を防げたのは以前俺が塔城さんに渡したスキル、「ガード」のせい。

本来なら顔前でバツ字に腕を組んで腰を落とし踏ん張るだけで防御力が格段に上がるんだが…ゲームのキャラじゃないから渡されたらすぐ習得なんて出来ないしな。そもそも仕様が違うし。

…まぁとにかく、気を併用して両腕を交差させるガード方法を習得したわけだが、防げるのはそこだけなわけでフェイントでも入れられたらたまったもんじゃない。

さっきも攻撃の瞬間に反撃食らってうまく防げなかったし。

 

…が、サイラオーグさんはわざと防がせるようにじっくりと右腕に気を込める。

 

『その防御、俺の力で打ち砕いて見せる…!』

 

言葉通り、今までで一番の気が右腕に集まる。腕が膨らんだかのよう。

そして放たれる右ストレート。

その際のとんでもない力の移動で衝撃がおき、土埃で見えなくなる。収まる時には、拳の直線上にはえぐれた地面しか見当たらない。

 

『リアス・グレモリー選手の戦車一名、リタイア』

 

気を蓄えた右腕を振り抜いたままだったサイラオーグさんがゆっくりと振り返る。

そこには聖剣に力を溜め続けているゼノヴィアさんが。

 

『また聖剣か。全快しているならともかく、消耗したままの生半可なソレでは――』

『それ「だけ」ならそうでしょう。でも…』

 

隣の木場先輩が言うやいなやデュランダルの柄を握り、デュランダルを包んだエクス・デュランダルを、更に聖魔剣で包む。

更にその聖魔剣には銃口のように穴が空いており、サイラオーグさんを狙っている。

 

『!

 …ふふ、そうだな。お前達があの程度で終わるはずがないものな!』

 

嬉しそうに再び気を高めるサイラオーグさん。

そして、あの二人は合体剣から一点集中した聖剣のオーラをレーザーのように飛ばし、サイラオーグさんはそれを迎撃せんと闘気右ストレート。

レーザーと拳の衝撃が衝突した影響で激しく発光し視界を奪う。

 

それが晴れると、現れたのは焼け焦げたような右腕を突き出したサイラオーグさんと、全身傷だらけのボロボロになりリタイアの光に包まれてもはや意識もないだろうに、それでも剣を放してない二人。

 

『見事だ。

 これでは俺はフェニックスの涙を使わねばなるまい』

 

どことなく嬉しそうにサイラオーグさんは言う。

自分に回復が必要なダメージを与える「敵」と戦えるのが嬉しかったんだろうか。

 

『リアス・グレモリー選手の騎士二名、リタイアです』

 

 

 

第六試合が終わり次は第七試合になるわけだが…

その第六試合が終わって、陣地の不可視状態が解除された時、何故か兵藤先輩が明らかにブチギレていた。

え?なんで?

 

『さぁ、終盤も終盤!両キングはダイスをシュートしてください!』

 

今回は9。

相談する事もなく、兵藤先輩が前に出る。

おいおい…と思ったけど、流石に事前に展開を予想して決めてた…んだよな?

 

第七試合のフィールドは闘技場。

突っ立ってる兵藤先輩の前にサイラオーグさんの女王が現れる。

 

『兵藤一誠、妙な落ち着きを見せますね。

 女である私が空いてならばもっと喜ぶかと思ったのですが…』

『……

 うれしいっスよ!美人は歓迎します!』

 

兵藤先輩はわざとらしい、作った笑顔で応える。

かと思いきや…

 

『もう、いいよな?

 もう、我慢しなくていいよな?

 木場、朱乃さん、小猫ちゃん、ゼノヴィア、ギャスパー…

 俺、もう無理だわ』

 

両手を広げ何やらわけのわからんことを言っている。

いや、これは興行で見世物ったってそんな変なことしなくていいから。

女王さんも気味悪がってるぞ。

…ん?なんか俺まで悪寒がしてきた。

何か、嫌な予感が…

 

『第七試合!開始してください』




>次の日(追記
この作品の作戦会議は前日~直前のイメージ

>72柱の元一位
これ原作だと「元72柱の一位」表記なんですけど
「元、72柱の中の一位」ですよね?
後々「元一位」って言ってますし、
「元72柱」という枠組みの一位ではないですよね?
位が実力と=ではない、ってのは聞いたんですが、
別に新魔王がいようが72柱は貴族のまんまですし廃されてるわけじゃないですよね?
原作は今後ずっと○○家=元72柱の○○家表記なんですが、
72柱って元がつくようなものなの?って…
書いてるヒトもなんで元表記なのか説明できるのかと思ったり

そもそもの72柱(神様の数え方)って言い方もソロモン72柱(これは日本独特の呼び方らしいですが)からですよね?
元ネタの方ならキリスト教以外の神だったりとかもあるんでまだわかりますけど
HSDD世界じゃ元神でもなんでもないですし

>眉をひそめる
原作だと「目を細める」表記
調べたら目を細めるって「嬉しさで笑みを浮かべる」んだそうですね
^^
みたいな感じなんでしょうか
自分も間違って覚えてました

>魔力なしハンデ
HSDD世界の悪魔が魔力がなかったことでどういう不便さを被るのか…よーわからんのですよね
冥界・悪魔世界の動力はすべて魔力、とかなら
人間で言うなら夜暗くなって電気のスイッチを押しても電気がつかないくらいなのかなぁ、
とか思えるんですが…
転移出来ないから長距離移動は不便、ぐらいにしか感じれなくて

>マネージャー
一誠ってレイヴェルの表向きの駒王学園に来た目的を信じてるのか信じてないのかわからねぇ…

>ハーデス
主人公が人間だからハーデスに声掛けられて…みたいなシーンでも入れようかと思ったけど
なんか違う気がしたのでボツ

>ギリシャ側の中であんただけが勢力間の協定に否定的
むしろ反対者をぶっ飛ばして牢屋に捕縛しておいて賛成してもらえると思ってるのが疑問
寛容になれって我慢の強要よね

>騒音対策
原作では「防音対策」表記

>悪い神様
ロキも悪神呼びだからって勝手に平和が嫌い扱いだったし
なんか悪役にする相手へのレッテルの張り方が露骨すぎる
ハーデスの場合、一応否定はされてるだけマシ…なのかなぁ
ただ、どこから「悪い神様」と思ったのかが一誠の地の文からでもわからなくて突飛すぎますけど

>オーディン
原作ではロスヴァイセに見られて「これはマズい!」と逃げ去ってます
つまりオーディンの方に非がある設定みたいですね

…オーディンが悪いならなんでロスヴァイセは帰らなかったんだろう?ってなるでしょ

>サーゼクス
自分の権力ゴリ押しで婚約パーティーぶち壊しておいて、
その相手が公式の場で挨拶に来たらそのぶち壊すカチコミをしたやつへの伝令頼むとか
どんな面の皮の厚さしてるんでしょうね

と思ったので多少変更

>ライザー
努力が嫌い、とかまーたわけのわからん設定を付けられてるので会話文再構築
まぁ嫌いだからしないとは限らないけど

そういえば2巻での発言と噛み合うようにするために
「自分は努力嫌いだけど眷属らを鍛えるのは好き」と解釈をしてるのを見ましたね

>ガミジン
こいつが元72柱の~とか言うからわけがわからねぇんだよな…
ガミジン家は没落してないからそっち方面でもないし

>読唇術
なお原作ではここは「読心術」表記
…マジで魔方陣もただの誤字がそのままになってるだけで意味はないんじゃなかろうか

>不可視化
選手選択~試合終了までずっと展開されてるっぽいんですが…
試合最中の待機選手の顔見れないのってつまらなくない?
ってか試合の最中に展開する必要は?
つーか
「フィールドに転送されるまでの間両陣営の陣地は結界によって不可視の状態になります」
「その状態が解かれるのは一つの試合を終えた後です」
どっちやねん!
一人のセリフの中で矛盾させるのやめてくれ

>第一試合
まぁ変わりはないです
ツッコミどころも聖剣創造禁手化ぐらいですし

*追記
でも努力ガーって努力推しの作品で、
木場は別の禁手に至る為に努力しました!
努力したシーンはカットだがな!
ってどうなんでしょうね
追記*

>大きなお姉さんたちが喜ぶ展開だな!
一応教え子なのにこいつらで掛け算して遊んでいいですよ、ってのはなぁ

>第二試合
ロスヴァイセが居ないから変更
つーか原作のほぼノーダメの状態から即落ちってバラムの攻撃力が高いのか小猫が脆いのか

点穴はオリ設定です
サイラオーグ対策考えないなんてないでしょうし

>兵藤先輩がグレモリー先輩の了承も得ずに勝手に受けて
割とこういう事多くてリアスがかわいそうに感じる
でもそれを怒らねぇからますます図に乗るわけで

>第三試合
原作だとその前の小猫リタイアで鬱憤が溜まってる感じなんですけど
そんな事思っておいて、
結局は試合より女性の裸優先してるのって最悪じゃない?
これがギャグなんですか?

いつもの「男だからしょうがないんだよ!」とか主語の大きい正当化の言い訳も順当にいつもどおり不快
これギャグ?
だとしても自分は面白くないです

しかし自らをエロの権化とか言ってる割に自分の好きな脱ぎ方しか許容出来ないのってどうなんでしょ
ウィキペディアでまでブラを先に脱ぐのはストリッパーの手法とか言われてるし

>第四試合
またロスヴァイセ不在の煽りを受け変更
どうせなら断絶した家チームにしたかったが、
原作描写的にバラムが単体だと小猫に封殺されてそうで、サイラオーグがそんな判断するかなぁ、と

しかしドラゴン化の際に禍々しいオーラだの
異能の棺に気色悪い模様だの
悪役アピールが激しいなぁ

>厄介者扱い
原作では「厄介払い」表記
保護の対象が厄介払いと蔑まれる、ってどういうこっちゃねん
居ない事にしたいのに保護対象だからそれが出来なくて厄介ってことじゃないの?

>異能の棺
原作だと極限まで消費しないと封じれない模様
それってハズレ神器じゃない?
あたりはずれが激しすぎるんだよなぁ
つーかそれだとしても、神器ですし下限が普通の人間の極限なだけって可能性もありますね
百鬼封檻みたいな

>ギャスパー
個人的にこういう、作者の意図でやられてないだけのゾンビ戦法あんま好きじゃないです
本気で耐えてるとしてもリタイア機能が働いてないように感じるのもありますし
まぁライザー戦の頃からですが

しかも原作じゃ
「フラフラな僧侶の杖の一撃でも必殺に近いダメージ」
なーんて言っておいて、そこからそれより強いだろう戦車の攻撃くらってもリタイアしてないとか意味不明だし
そもそもその状態のギャスパーを戦車がわざわざ殴ろうと時間をロスさせるのも意味不明だし
リアスも自分でリタイアさせてやればいいのに、
それはしないけど目をそむけて涙を流そうと…って

>第五試合
>今まで最速で
原作だと5ページ(挿絵を含む)で一蹴されてる試合
当然騎士の特性で速く動こうとしたり、戦車の特性で攻撃を防ごうとしたこともないです

>第六試合
原作の作戦会議でサイラオーグ戦の選出、一誠+騎士じゃダメなの?って話があって、
ざっくり言うと最終的に一誠とサイラオーグが闘う展開になるだろうから消耗させよう、って話だと思うんですが

これ、次の試合の出目が7だったら詰んでないですかね?
アーシアしか出せないし、当然即リタイア
すると残りは一誠とリアス。相手はサイラオーグと女王と兵士
8試合目一誠が女王を倒しても、その次にはリアス対兵士かサイラオーグで結局リアスに勝ち目がない
8試合目がリアスと女王のパターンだと、遠距離攻撃だけのリアスだと朱乃戦の焼き直しにしかならないだろうし
2dで7は期待値で一番高いし、16.6パーで一誠対サイラオーグの前に負けてたんじゃないかなぁと

>闘気
なんか唐突に出てきてよくわからない
持ってると仙術覚えたと思われるのもわからない
仙術って破壊力魔力よりねぇって言ってたじゃん?
破壊力がこんだけあるならなんで仙術と同じ枠になってんの?って

>エクス・デュランダルを更に聖魔剣で包む
オリ設定
でもグラムもやってたし…

ところで、なんで原作では木場がデュランダルの柄握っただけで「莫大な閃光とオーラを解き放った」んでしょうね
ゼノヴィアが扱えるデュランダルのオーラ+木場が扱えるデュランダルのオーラ、ってことですかね?

よくわからなかったので、ここではこんな感じに
デュランダルのオーラをいつものようにドバーッとするんではなく、
一点集中でサイラオーグの闘気を突破
そのかわりにその突破した一点以外には闘気をモロに受けるんでボロボロ→リタイア

>ブチギレ
>相談する事もなく、兵藤先輩が前に出る。
第六試合の地の文で元気に実況しておいてコレだからちょっとよくわかんない
さっきまでの一人称視点実況用一誠とリアス視点用で別の一誠を使ってるみたい

>『第七試合!開始してください』
あからさまなフラグを立てて、次回を煽る
みたいなのをやりたかった

元ネタ
>ガード
ギャラリーオブラビリンス
のジョナサンのスキル

まぁ本編での説明どおり?
あとはゲームなんで空中でも使えたりするぐらいでしょうか

この作品のスキルってのはMPを消費するサブウェポンなんですが
人から教えてもらったり、落ちているアイテムを拾ったりで習得します
じゃあ人にあげる事もできるタイプなんじゃないの?という感じで今回採用しました

…しかし、自分の家に伝わる防御の技法が悪魔城に転がってるのはなんでなんだろう
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