夜光
「嘘だ…こんなことって…ッ!?」
あまりにも悲惨な光景にその場で嘔吐する夜光…
夜光がいるのに気にせず父親と祖母を喰らい続ける楓と楠葉。
父親と祖母から匂う死臭に顔色が悪くなる夜光だが力を振り絞り立ち上がる。
夜光
「やめるんだ!楠葉ァ!楓姉さん!!」
楓と楠葉を父親と祖母から離そうとする夜光だが…
楓
「ガアアアッ!!」
楠葉
「ガアッ!!」
食事の邪魔された怒りで夜光に襲いかかる楓と楠葉。
夜光
「がッ!?」
楓の爪で胸元が裂け、楠葉の蹴りをくらい家の外へまで吹き飛ばされた。
夜光
「ハァハァ…(なんだよ…あの力は…いまの蹴りであばらが痛い…骨が折れたのか…)」
必死で立ち上がろうとする夜光だが家から出て来た楓と楠葉は再び夜光に襲いかかる。
夜光
「ぐッ!!やめてくれ姉さん!楠葉!俺が解らないのか!?」
夜光の必死の言葉も虚しく姉と妹には届かない。
楠葉
「ガアアアッ!!!」
夜光
「がはッ!く、楠葉…」
楠葉に押し倒され楠葉の牙が夜光を襲いかかった。
だが…
楓
「ガアアアッ!!」
楠葉
「ッ!?」
俺を襲いかかっていた楠葉に楓が襲いかかったのだ。
夜光
「姉さん?助けて……」
姉が助けてくれたと一瞬、思った夜光だがそれは違うとすぐに気付いた。
姉は俺を助けたのではない。
姉は妹に“獲物”を取られまいと妹に襲いかかったのだ。
争い続ける姉と妹の姿に涙を流す夜光。
夜光
「もう…2人は人じゃない…化物なんだ。」
夜光は必死に立ち上がり、解体小屋へと向かいそこに飾られている祖父の刀に手を伸ばした。
夜光
「俺が…俺がやらなくちゃ……」
刀を鞘から抜いて再び2人の前に立つ。
夜光
「楓姉さん…楠葉…」
たった1日半だ…
たった1日半ですべて失った。
親父と祖母は喰われ…
武蔵じいちゃんも死に…
楓姉さんと楠葉は化物に変わってしまった。
夜光
「ッ!?うわァァァッ!!!」
刀を強く握り、駆け出す夜光。
2人は争っているからか夜光に気付いていない。
姉の背後をとった夜光は狩人の本能なのか楓の頚を狙って刀を振り下ろした。
夜光の攻撃に寸前で気付いた楓は攻撃を避けようとしたが…
楠葉
「ガアアアッ!!」
前から来る楠葉の攻撃に気をとられ回避できず…
ザシュッ!
楓の頚は斬られ、地に落ちた。
夜光
「あ…あぁ……姉…さん……」
自分が姉を斬ったことに罪悪感に染まる夜光だがそんなことを気にしてる余裕はなかった。
楠葉
「ガアアアッ!!」
邪魔者がいなくなり問答無用で夜光に襲いかかる楠葉。
夜光
「糞ッ!!クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソッ!!糞ッたれがァァァッ!!!」
激しい感情の揺らぎに何を考えれば解らない夜光。
夜光は必死に楠葉の攻撃を避け続けた。
夜光
「ッ!!(なんでだよ…なんで…なんでこんなァッ!!)」
先程から涙が止まらない夜光。
楠葉
「ガアアアッ!!」
夜光
「ッ!?(ヤバい!これは避けられな…)」
夜光の隙を狙った攻撃に対処できない夜光…
その時だった。
ガシッ!!
楠葉
「ガッ!?」
夜光
「あれは…」
夜光が目にしたモノ…
それは…
頚を失い、頚がないままの楓の体が楠葉を押さえつける光景だった。
すぐさま夜光は姉の頚が落ちた場所へと視線を向けた。
落ちた頚は何故か半分ほど焼け落ち口元まで無かったが姉の瞳から落ちる涙を夜光は見過ごさなかった。
“楠葉を助けてあげて…ゴメンね…夜光…”
夜光
「…ウオォォォッ!!!」
渾身の力で夜光は刀を高く上げ…
そして…
ザシュッ!!
振り下ろした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「…どうやら間に合わなかったようですね。」
焼け落ちた村に黒服を着た人物達がいた。
「隠の皆さんは亡骸の処理を他の隊士は生き残りがいないか探して下さい。」
その人物の言葉を聞きその場にいた人達はバラバラに別れた。
「さて…生き残りがいるかどうか…」
そう言ってその人物は歩き出すのであった。
第3話 終