(レイラ視点やクロコダイン視点があります)
◇
レイラは夜明けを待ち、自分の夫、ロカの再捜索を行っていた。
娘のマァムはぐっすりと眠っている。昨晩でろりんたちとたっぷり遊んで疲れたのだろう。
旅の一行は朝早くにネイル村を出発しており、今はレイラ一人で森の中を探しているところだ。
でろりんには人探しの手伝いを打診された。だがロカの迷子はこれまで何度もあったことだ。
彼らの予定を乱すのは忍びなかったので遠慮してもらい、先ほど新聞を手渡して見送っている。
もっともロカが明け方まで戻らないのは珍しい。レイラが少し心配しているのは事実だ。
「ねえあなた! ロカ! ロカ! どこにいるの?」
マァムの母親であるレイラが叫ぶ。さらに明るくなると魔の森が荒れされていた。
朝日が差し込む中、ついにレイラは激しい戦いの痕跡を見つけて走り出す。
辺りはまるで台風の通過後のように木の枝が散乱。草は横倒しになっていた。
昨晩の戦闘の痕を追いかける。強大な敵と戦ったのだろうか?
胸さわぎがする。やがて戦闘の終着点に辿り着くがそこにロカの姿はなかった。
代わりに『盛り土』がしてあり、その前にうつむく一人の女性……。
いや、人型女性に扮した魔族が下を向いてへたりこんでいた。
「ロカー! ってあなたは? ちょっと! それ私の服じゃない? ボロボロになってるけど、下の汚れたスカートは私のものに間違いないわ」
「……。」
「私の服着て何してくれてんのよっ! バカ! 変態! じゃあ森の惨状はあなたねっ」
「……。」
「それよりロカをどこにやったの? ロカー!」
「……ロカは、旅に出ると言っていましたわ。自分は再び剣の道を選ぶと。そして家族にさよならと……。元々剣を諦めたのでしかたなく家族を作ったそうですわ」
「彼が剣を諦めて私と結婚したことは知ってるわ。やはりあなたがロカを……!」
「ロカ……さよなら、ですわ」
◆
その頃、俺たちでろりん一行は新聞を読みながら魔の森を歩いていた。
「おい! ずるぼんまぞっほ。見てみろよ。ロモスで武術大会があるらしいぜ」
「ほんとだー。でも王様が開くんじゃないんだ。ほらっ、新聞欄の扱いでも分かるけどすごく小さな大会みたいよ」。ずるぼんがそう示した通り、下の方に小さな記事が書いてある。
「そういう大会は内輪の選手ばかり出るんだよな。大会と銘打ちながらいつもの仲間同士でやってるのと実際は変わらないやつ」
「ほっほっ。じゃが実績のない大会などそんなもんじゃよ」
「ずるぼん、これに出てみたらどうだ? 機転きくし呪文もアリだから意外といけるだろ」
「えーー? あたしなの?」。自分に振られるとは思わなかったようだ。驚くずるぼん。
「でろりんよ。よく見ると出場資格はロモス出身者に限るようじゃぞ」
「大丈夫大丈夫、ずるぼんはロモス出身てことにしちゃえよ。バレないって。ほらっ、俺の身分証。お前の名前と顔上乗せしてコピー取れば大丈夫だ」
「でろりんよ。ずるぼんを正式なロモスの臣民にするのはどうじゃな? シナナ国王に目通りも済ませた身じゃ。事情を説明すれば何とかなるじゃろうて」
ずるぼんはパプニカ王国のとある村で生まれたらしいが、魔物に滅ぼされて故郷を失った身。
まぞっほが言うように俺たちの故郷ロモスに移住して、第二の人生を歩むのもいいかもしれない。
「みんな本気なの? じゃあ、でろりんは出ないつもり? まぞっほは?」
「わ、わしは呪文が苦手なので無理じゃ。観戦してムーブを勉強するわい」
「だとよ。こういうのは味方同士で潰し合っても意味がないからな。ずるぼんにとって無理っぽい相手がいたときだけ俺が出るのもいいかぁ」
「アイテム使用禁止なのよ。さすがにあたしじゃ厳しいわよー武器もないし」
「どうせ非公式の大会だろ? ドーピング系なら試合前に使えばバレないって」
「ずるぼんよ。世の中には『理力の杖』という武器があるぞい。MPを一定の割合で攻撃力に変換して相手を殴るのじゃ。本来は殴り魔法使い向きとされるが僧侶でも装備可能じゃよ」
「いやよ。そんなので戦士と殴り合うなんて。まぞっほはあたしを何だと思ってるの」
「まぁ。とりあえずだ。向こうで参加者を見てから決めても良いんじゃないか? 俺かずるぼんのどちらかは出るってことでいいだろ」
「もうっ仕方ないわねー、とりあえず歩きながらバギの特訓をするわ」
俺はといえば歩きながらドーピングに使えそうな素材を探している。
森の泉に生えていたのは魅力アップの草だった。もっと戦闘用に使えそうな素材が欲しい。
◇
一方その頃、でろりん一行から離れた場所、森の泉で倒れていたリザードマンが復活していた。
生死の境を彷徨っていたものの、激しく損傷した体を脱皮して新しく生まれ変わったのだ。
本人は知らないが、昨日のでろりんとずるぼんによる『薬草ホイミ回復競争』のおかげである。
かつての彼はただ強いだけのリザードマンだったが、知力も大幅にアップ。
今回の進化によって言葉を喋れるようになっていた。
ウオオオオオオオオォォォォォォ! なぜ助かったのかわからんが、
ついに進化したのだアァァッ! オレは今から獣の王を名乗るゾオォォォォ!
「オレはやがて食物連鎖の頂点に立つ! 獣王クロコダイン様だアァァァァァ!」
――フククッ、まずはオレを半殺しにしてくれたヤツにお礼をしなければな。
血の匂いが近くにする。ヤツを食い殺すことで我が体はさらに強くなるのだ。
そして分かるぞ、オレの獲物は今とても弱っている。
ドドドドドドッ! 地響きとともにクロコダインが走りだすと、
獣たちや木々の枝はその邪魔をすることはない。森の主のために皆は道を開ける。
「見つけたぞ……。我が森を散々荒らした不届き者よ」
「こっ、このモンスターは、いつぞやのワニ型? と少し感じが違います……。
どうやらパワーアップして、言葉も喋れるように……な、なったみたいですわね」
「その通り。だが我が体は進化したての状態。まだレベルが低いのだ。
おまえを倒して食い殺すことでオレは食物連鎖の頂点に立てる。悪いが死んでもらうぞ」
「つ、強くなったとは言え、たかがワニ型ごときにそれはできませんわ」
「フフッ、強がりはよせ。そんな体でおまえこそ何ができるというのだ」
クロコダインの標的になったルーティアは、運命を呪うかのような表情をしている。
相手は復讐に燃えるクロコダイン。満身創痍の状態で遭遇したのは不本意なのだろう。
「た、確かに強がっても意味はないようですわね。ロカにやられた怪我は治りませんしザムザ様は人間の王都にお出かけ中。どうやらあたくしの命もここまでのようですわ……。ザムザ様のお役に立てることがあたくしの唯一の幸せでしたのに、何もできずに終わってしまいそうなのが悔しいですわ。ザムザ様……」
「だがおまえも戦士なのだろう。さあ覚悟を決めてオレと向き合え」
今のクロコダインは武人の心が芽生えつつあり、圧倒的に有利な形勢が余裕を与えている。
すぐに攻撃して倒してもいいのだが、戦闘態勢に入っていない相手を倒してもつまらない。
ルーティアが心を整理する時間ぐらいは与えてやろうという気持ちになっていた。
「あたくしの短い人生、ロカとの戦いがちょっと楽しかったぐらいでした。……せめてロカのように、そして自分らしく最後まで綺麗で美しくありたいですわ」
そこまで言うとルーティアは顔を上げた。クロコダインを睨みつけ戦闘態勢にはいる。
「これでも喰らいなさい! ベ・ギ・ラ……」
――クハアアアアァァァァッッ!
弱ったルーティアは呪文でクロコダインに対抗しようとしたが、
先手を取られ、相手の焼けつく息をまともにくらって動きを阻止された。
「ムムム、おまえは呪文を使えたのか。先に奥の手を出しておいてよかった。だが、オレの『ヒートブレス』。その傷ついた体には堪えるだろう?」
「か、体が、う、動かな……。やられて、しまいました……わ」
「おまえほどの者をこういう形で屠るのは少々惜しい。だがオレもまだ完璧ではないのでな。森を荒らした悪行も許しがたい。自分で撒いた種だ。悪く思うなよ」
……。
ウオオオオオオオォォォォォォーーーーーーン!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーン!!
やがて、さらに力を増した獣王クロコダインの雄叫びが森中に響き渡った。
新しい森の支配者を歓迎するかのように、鳥は飛び立ち、獣は恐怖のダンスを踊り出す。
驚いたでろりん一行は、ロモスの王都へ一目散に走っていくのだった。
◆
一人称視点、三人称視点の混乱や
風景描写が足りない、言葉選びが稚拙などあったようなので
ちょっと作り方を変えようと思います
やめてしまうのではなく、ちょっとずつレベルアップしていきたいです