現代にTS転生したけど馴染めないから旅に出た 作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)
「せーのっ」
「「日本最北端到着~!!」」
: やったぜ
: あっという間だったな
: 君たちは何かを忘れているのでは?
: 嫌な事件だったね・・・
: チェリーはまた伝説を作ってしまったな
: やめたげてよぉ!
「や、やかましいっ! トライクも車も運転できるけど、船は無理なのっ」
: ゲロイン
: リバースチェリー
: チェリーを経て大海原に還る
: (¥30000)
: 無言ニキ何回目だよwww
さて、相も変わらずわちゃわちゃしているけれど、わたしたちは日本最北端の地とされる稚内市にある宗谷岬にやってきた。
目の間にひろがる大海原。近場の海底は砂じゃなく玉砂利が多いからか、驚くほどに水が透き通っている。
わたしたちがいるのは三角のオブジェの場所で、ほかにも観光客はまばらだけどいるね。
テンションをあげてカメラに向かって喋るわたしたちを不思議そうに見て来るけど、そこは姉さんに抜かりはない。
いつの間に作ったのか、チャンネル『涅槃の住人』のチェリー名義のポップな名刺を配って宣伝していた。卒がない……。
ま、最北端と言ってもあくまでも”人が行ける”って意味で、正確に言うと、岬から先に見える小島が本来の最北端らしいけどこまかいことは良いのだ。
そしてお約束のセリフを言いながらジャンプ!
苫小牧からスタートしてからの今日までの日程としては、四日目という事になる。
ざっくりというなら、初日は南幌温泉で一泊。
二日目は旭川市内のシティホテルでの一泊。
理由はリスナーからの投票で決まった行先が、某孤独にグルメを楽しむのが大好きな独身実業家のドラマのロケ地となった居酒屋になったから。
なので旭川周辺の温泉地にはいかずに市内泊になったんだ。
翌日は朝から旭山動物園を足早に堪能すると、お昼前に旭川ラーメンを食べて出発した。
ちなみに入ったお店も地元リスナーにオススメされたところで、野菜醤油ってのがとても美味しかったなあ。
スープ表面にラードが張ってあって全然冷めないけど、でもベットリ感もなくて。
姉さんは当然の様におかわりしていた。
その後は一路稚内へ向かい、フェリーで利尻島へ。
礼文島と並んだ離島で、ウニが美味しいと聞き姉さんが絶対に行く! と主張したのさ。
これが三泊目となる。
ちなみに旭川は割と街中だったのもあって配信し辛い場所で、移動中のみだけ行い、施設内や居酒屋での出来事は別途旅動画の方でみんなには見てもらうのだ。
焦らしプレイか!? とリスナーがざわついていたが、貴方たちはわたしに何を求めているのか。
わたしも覚悟を決めたのだよ。ここまではビジネスだとね!
さて、リスナーが騒いでるのは、利尻富士とウニを満喫するために立ち寄った利尻島での事だ。
小さなフェリーで行くのは揺れるから嫌だったけれど、島自体は良かったよ。
まあ離島だから期待のハードルを上げすぎると拍子抜けするかもだけど。
ただ利尻島の真ん中にそびえる山が利尻富士と言われるだけあってさ。
角度によっては本当に富士山に見える。
北海道側から見るとね、海の中にニョキっと巨大で綺麗な三角が生えているように見えるから迫力があるね。
ウニも美味しかった。
民宿に一泊したんだけど、食べきれないほどに豪華だったなー。
ムラサキウニとエゾバフンウニの食べ比べ……贅沢だったなあ。
殻のまま焼いたウニは、前世の”オレ”時代も含めて、わたし史上で一番美味しい食べ物になったかも。
旅行先というバイアスはあるかもだけど。
姉さんは……わたしは語るまい……。
通常営業だよ。
素でドカ食い気絶部。
食べ方は上品だし気絶もしないけど(笑)
ただ帰りのフェリーでね、酔い止め飲むのをすっかり忘れてさ。
フェリーからイルカが見えるって事でデッキに出てたんだけど、急に吐き気に襲われて、海に全部リバースさ……。
ウニ色のアレがドバーって……。
もうね我慢する間がなかった。
しかも心配したのか姉さんが駆け寄るから、カメラに全部映ったじゃん……。
ところがだよ? あろうことか、姉さんはわたしの背中をさすりつつも、カメラの画角を懸命に調整して『撮れ高』を確保しようとしていたんだから驚きだよ。
後から録画データを確認して、わたしは絶叫したね。鬼! 悪魔! 姉さん! って。
船だけはダメなんだよぉ……。
「とにかくっ、旅動画の方では全カット」
: 横暴だ!
: チェリー議員には説明責任を果たしてもらわねば
: チェリーが出馬するなら投票いくわ
: 草
: ゲロを吐きたくない吐きたくないおもてウワーン
: 古いよwwwいつの時代のネタだよwww
そんな茶番を挟みつつ、わたしたちは雨竜で会った前田さんご夫婦が通って来たルートを逆走する。
稚内からオホーツク海を左に見ながら海沿いルートを南下だね。
目的地はもちろん知床半島だ。
前世でもここでも知床は世界遺産。
リスナーの強いオススメでもあり、ぜひ行ってほしいってさ。
とにかく綺麗で幻想的な場所だそうだ。
北海道は大自然とは言うが、殆どの田舎は人の手が入っている。
けど知床だけはガチで手つかずの大自然だ。
これは行くしかない。
ここまでトライクの調子も特に悪くない。
一応要所要所で見つけたハーレー直営店か、なければブラックバロン系列を見つけると入り、メンテナンスをこまめにしていたのも良かったね。
ハーレーはEVO以降、電気系統まで含めた信頼性が大きく増して、パンやショベルみたいなヴィンテージエンジンのような神経質なチェックは必要ない。
けど長距離ツーリングは何があるかわからないから備えるのは大事だ。
「うー……この辺りも寒いなぁ」
「オホーツク海、ずっと続くんだねぇ~」
「姉さんはいいよね。防寒マシマシだもの」
「運転もしなくていいから楽よ~。チェリーちゃん頑張って~」
「ぐぬぬ……」
: 姉より優れた妹(ry
: ヒマDがブランケット巻きすぎてマトリョーシカに見える
: かわいい
: ちな地元民やけど、これからずっとこんな感じやぞ
: まじかよならチェリーの鼻聖水ずっと見れるやん
: やめたれwww
: (¥10000)
: 無言お布施ニキェ……
でもさ、これでも随分マシになったんだよねえ……。
稚内で寒さ対策にユニクロに寄り、アウターの下にフリースを一枚加えた。
ヒートテックな肌着は既に装着してるしね。
ついでにメンテで寄ったバイクショップでクシタニの黒い冬用のジャケットに更新した。もうムリ……革ジャケは。姉さんはネイビーでわたしは黒にした。あったかい。
けど姉さんはさらにブランケットを数枚増やして足・腰・顔とグルグル巻きでひよこ饅頭みたいになってる。
まあわたしは景色を楽しみにながら運転をするのみ。
で、稚内だけど、正直見る所があまりなく、岬で大騒ぎした後はそのままオホーツク海側に向かう事に。
いや海は鈍色で風も冷たいし、映画の南極物語関連の展示が見れる公園があるけど、まあうん。
稚内近辺在住のリスナーが必死にアピールした結果、とても美味しいと評判の回転寿司屋さんに寄ったけどね。
寿司はうん、とても美味しゅうございましたわ。
そして稚内を出て暫く走り、猿払村というところを通っている。
この周囲は稚内周辺にもあった湿原があって、そこに幻の魚と言われるイトウがいるそうな。
ネットで調べると、ずんぐりむっくりした巨大なマスみたいな感じ?
なんか可愛く見えた。
まあそれはそれとして。
「旗増えすぎだよねえ。後ろからバサバサうるさい」
「ねー」
: それな
: まあ北海道ツーリングの醍醐味みたいなもんだし多少はね?
: 今何本だ?
: 10本は余裕でこえとる。これでも厳選してるというね。
: チェリーを知っている奴結構いてびびったわ
: だなー
「姉さんが頑張った結果だね。この人はみんなが思っている以上に腹グ……有能だから」
「チェリーちゃん?」
「…………姉さんごめん」
: 姉より(ry
: つよい
: (チェリーは)よわい
: クソザコナメクジ
: まあでもそうね。ヒマDは有能だよ(震え声)
: スレで見かけた
: 特定やめろ死にたいのか
: 草
旗ってのはあちこちでもらえるライダーの荷物に指すミニフラッグ。
これはわたしも欲しかったんだよね最初は。
元々は北海道のホクレン、そのガソリンスタンドがやっていたサービスで、北海道を4分割した地域ごとに色の違う旗があって、それを給油したライダーに無料配布してたんだ。
で、4つ全部集めると、北海道を制覇した証みたいな感覚?
もっともこれは、無料ではなくなったけど。
調べると納得したけどね。有料とは言っても300円だし。
フルサービスのSSが淘汰されてセルフSSが全国に台頭した。
なのでホクレンSSは経営的に無駄な出費がしづらくなり、結果有料化にしたとか。
世知辛い事情ですねえ……。
なんだけど、姉さんが宣伝の為だ! とかで、密かに作っていたらしいプレートをトライクの後ろにつけてるんだよね。
――ムーチューバー『チェリー』 北海道一周中!
――チャンネル登録はこちら【URL】
北海道の市区町村が記載された地図にさっきの文言が載っててね。
通った所は制覇ってことらしく、赤く塗られてる。
まあそういうアピールとしてやるんだ! って言うのは良いんだけどさ……。
これねえ……旭山動物園を出る時に、急に芝居がかった姉さんがハンディカメラを回しながら渡してきたんだよね……。
一応別枠の動画分として撮ってるのはわかるけどさ。
でもなんで最初から渡さなかったのかと聞けば、目を泳がせながら「き、企画の都合だよ~……」って、姉さんさ、普通に忘れてただけだよね?
で、コレを付けた結果、SSで停まったりコンビニ寄ったりすると目立つようで、見た人が「配信見てます!」とか「握手してください!」とか声を掛けられるようになったんだ。
応援してくれるのは嬉しいし、ダラダラとやってた筈の配信に、生のレスポンスがあるのは驚き。
で、その流れで道の駅とかで旗もくれるんだよ。
わたしを知っている職員さんとかがニッコニコしながら。
なのでホクレンの旗とは違う、自治体の地元色の強い旗とかが増えたんだ。
嬉しいんだけど、いっぱいつけると音がねえ……。
ただ旅をしている感は凄いね。
実はつけきれない旗も荷物の中に結構しまってある。
東京に戻ったら地元色の強いこの旗たちを紹介する動画を作ってもいいかも。
とか、まったり考え事をしているのは、ほとんど信号待ちも無いままに一直線の海岸線を延々と南下してるから。
正直長距離の移動って喋る事ないんだよね。
コメントの読み上げも切ってるし。
時折姉さんが反応してるけど、運転に集中しないとだしね。
なので気を使わなくていいので楽ではあるんだ。
もうすぐ夕方なので太陽が陰りつつある。
さっきの標識で”紋別市”があと40kmの表示があった。
だから17時くらいには市内に入れると思う。
いやー北海道入りしてそんなに経ってはいないけど、いろんな感覚がマヒしたなあ。
それの一番すごいのがこの看板だよね。
走ってみればわかるんだけど、40kmって大したことないって感覚になるんだよ。
都内の感覚だとさ、10km先でもかなり時間がかかる。
渋滞と細かいスパンでの信号待ちがあるから。
こっちは40kmの表示距離を時速60kmで走ったなら、そのまま40分で到着するんだよね。
これが凄い。
いやまあ札幌市とかみたいな、北海道での大都市では別だろうけどさ?
けどツーリングだけで考えると、ほとんど狙った時間に到着できるんだよ。
そりゃライダーたちの聖地と呼ばれるよね。
いいなあ北海道。
と言いつつ、試される大地の呼び名を考えると、住もうとは思わないけどね。
旅行で来るからいいんだろう。
聞けば沖縄と並んで就職率も低いというし、ここにはココの苦労がある。
なので気軽に住みたいなんていえないなあ。
「うおっ、みんな見て見て! でっかいカニのつめ~~」
「おいしそぉ~!」
そんなこんなで突如視界に入る謎のオブジェ。
夕暮れの高台に赤くそびえる大きなタラバガニの爪!
どうやら紋別市に到着したみたいだ。
今夜は既に宿を予約してある。
料理屋もね。
こっちで初めて食べる本格的魚介類。
グルメ系回転寿司とかは行ったけど、フルコースでは初だからね。
考えるだけでじゅるりとヨダレが……。
しかしオブジェに対しての姉さんのリアクションがあんまりで、コメントで揶揄われている。
よかった、わたしが突っ込まなくて済んでさ!
☆
「おいしかった。それしかない……真なる美食の前では語彙力など消える」
: 草
: (チェリーに食レポは)ダメみたいですね・・
: 知ってた
: ヒマDもおいしい! と咀嚼音しか聞こえなかった件
: 職人、わかってるな?
: こちらご査収ください(※ヒマDもぐもぐMP3のアップローダーのURL)
: (¥10000)
: 天才
: やったぜ
やかましい。
むしろ味を事細かに食レポする方が胡散臭いでしょう。
おいしい。それに勝る称賛はないんだよ。
「これはメッしなきゃだけどぉ~お腹いっぱいだから許す~」
: ・・・
: こいついつもお腹いっぱいだな
: www
: そら(あんだけ食べりゃ)そうよ
: 残当
: ワイ気が付いた。この姉妹は超絶美人だけどそれぞれ残念だって
: あっ(察し)
: どこが残念だ言ってみろ
: パワハラ上司やめろwww
: でも姉妹で並んで浴衣姿で寝転んでるんやぞ
: ●REC
「ふへへ……アーカイブは残さないからね……でも今日は流石に疲れた。おしりが痛いし体中が振動している錯覚がするもん……」
今日で四日目の晩。自宅からも含めると、結構な距離を走破したことになる。
だから体が結構疲れてるのが表面に出てきたかもねえ……。
女性の身体ってさ、筋肉が男性ほどないし、わたしの場合は細いから皮下脂肪も少ないし、シートに跨り続けているって結構ダメージが大きいんだ。
今日は美味しい物を食べて、その後のんびり1時間ほどお風呂に使ったから余計にぐったりしてるよ……。
: いやマジですげえよ
: 見てる以上に楽じゃねえからなバイクで長距離はよ
: 大型転がすのは男でも骨だぜ
: チェリーは背高いけどガリガリやもんなあ
: おいやめろ
: 察し良すぎて逆に煽りになってて草
: おいおいおいアイツ死んだわ
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: 草草の草
: 俺のログには何もないな
: 当たり前だよなぁ?
: 名前がひどいwwww
「ふっ、ヒマDほどのスキルはないけど、最近この程度の操作くらいはできるんだよ? 反省の色が見えたら解除するけどね。ダメだよ、乙女を傷つけたら」
: ん?
: 乙・・女・・・?
: ああ、はいはい、ヒマDの事ね
: (¥30000)
: だから無言ニキは何に払ってんだよwwww
「二度目は……ないよ?」
: お姉さん許して!
: チェリーは希少価値!
: チェリーカワイイヤッター!
「てのひらクルックルーだね……ま、嫌いじゃないけど。ブロック解除っと。君は反省するように」
食後のひと時。
紋別の観光ホテルに到着したわたしたちは、オーシャンビューのスイートルームにチェックインした。
ここまで結構走り続けてるから、ここに二泊する予定だ。
疲れを抜かないと持たないと判断だね。
いまはGWも明け6月初頭。なので観光シーズン外だから、宿泊費は素泊まりで一人3万円とお安め。
部屋自体は結構な平米数があって、その中に和室と洋室の寝室&ベッドルームがあり、和洋折衷な内装の大きなリビングがある。
小さなキッチンにバーカウンターもあって自炊も出来るから、明日は海の幸を買って何か作ろうって姉さんが息巻いていた。
お風呂も客室露天風呂があり、オーシャンビューで最高だった。
食事は1階にある炉端焼きの和風レストランで食べた。
凄いねえタラバガニ。
別料金で一匹、いや一杯か。
3万円もする。でもね、大きさが尋常じゃないからその位はするんだろうね。
ここからは怒涛の無言タイムに突入。殻を割って身を取り出す作業に全神経を集中させる姉とわたし。カニの身をほじることに必死すぎて、会話が完全に途絶える。しかし配信画面には、わたしたちの咀嚼音と、殻を割る音、そして『ふんっ!』と身をほぐすために力を込める姉の吐息だけが響き渡る。コメント欄は、そのストイックな食事風景と音に興奮するリスナーたちで埋め尽くされていた。
食事風景は撮影OKだった。
宿名も出していいってさ。
姉さんがフロントで交渉したら、広報の人が対応してくれて、ちょっとしたタイアップみたいになった。
具体的には館内の撮影は浴場以外OK。
ムーチューブでの公開には、広報にデータを送ってOKが出れば流してもいい。
そして一泊分の宿代が無料! お酒も! オホーツクの地ビールも!
あ、カニは追加だからもちろん有料ね。
でも充分すぎる。ありがとうございます。
案件としての条件は、広報の人が後で姉さん宛に、宿が北海道ローカルテレビ局でコマーシャルを打った時の動画データで送ってくれるっていうから、それを動画内に入れる事。
そして動画内で宿の名前を演者であるわたしが3回ほどいう事で結ばれたのがタイアップの全貌なのです。
生配信に関しては検閲ができないから、部屋内とレストランの個室内だけOK。
まあ一般客が写ると面倒っていう理由だよね。
不倫カップルでも背景に写ってたら宿に大クレーム来るだろうしね……。
触らぬ神に祟りなし、だね。
まあそんな訳で、豪勢な食事を貪り食べたわたしたちは、リスナーに酷いメシテロだ! と揶揄われつつも満喫したのだ。
そして一度配信を切ってお風呂へ。
お風呂は普通に考えると食事の前に入るべきだけど、到着後すぐにトライクを駐車した時にめまいがしたんだよね。
疲れすぎっていうの? なので風呂に入る気力がね……。
結局食事でお酒も入って気怠かったんだけど、そこは姉さんがわたしを引きずるように大浴場に。
姉さんってザルだからなぁ……。
酔って正体不明になったりとか絶対ないもん。
で、疲れと満腹と酔いと湯上りの倦怠感が合わさり今の状態へ。
温泉のレンタル浴衣を纏って大きなベッドでゴマフアザラシの赤ちゃん状態。
例のバイノーラルは今回はなし。
ただ姉さんもわたしもグッタリしてるので、コンプラ的に見えたら色々まずい部分に対策をしつつ、雑談配信。
だってねえ、自宅なら下着はつけないからね,後は寝るって段階で。
けどここではカップ付きキャミを装着して対策している。
迂闊なエロでBANされたくないしねえ……。
まあ普段なら配信は1時間とかで終わるんだけど、みんなのお金で来た旅行だしね。
できる限り配信して、みんなも一緒に旅行している気分になってもらう! っていうのがそもそものコンセプトなんだ。
リスナーたちは喜んでくれてそうで安心だけど。
配信開始すると常時同接2万人とかいてびっくりしちゃうけどね。
それでもこの旅の間は彼らとのコールアンドレスポンスを目いっぱい楽しむつもりだ。
って姉さん寝てるじゃん。
静かだなと思ったら、寝息が聞こえてるもの。
姉さんも疲れてるよね。
サイドカーに乗ってるのって自動車より大変だもの。
「ぅうん……もう食べられないよぉ……」
「……………………」
: でしょうね
: ベタな寝言ですな
: 可愛いから困る
: それな
: もう開き直って二人とも顔出しだしだから寝顔の破壊力エグいねん
: チェリー疲れてるだろうしもう寝ろ
: うん明日動けなくなって見れなくなる方がつれえ
: 同意
うん、うちのリスナーは良い奴らだ。
配信始めてよかったな……。
だから気遣いへの感謝として、一瞬だけバイノーラルマイクを繋いで「おやすみ」と言ってこの日は終了。
と言っても、寝落ちした姉さんをベッドの中に入れるというミッションは発生したんだけど。
それも含めて楽しかったのだ。
ちなみに今リスナーも言ってたけど、稚内からマスクはやめた。
寒くても内側で汗をかくし肌のダメージがエグいから。
それはそれとして、姉さんの幸せそうな寝顔を見ながら、わたしはわたしとして、一つの事を決意した。
「…………旅の終わりまで、待っててね姉さん」
ここまでの旅の中で、いっぱい考えてた。
これまでの事。
これからの事。
だから、もう少し待っててほしい。