予測変換でぜんぜんでてこないんだもん
ユウキ、友奈、ひなたの三人は、突然の轟音に驚いて病室の外から窓を見た。
さっきの葬儀場。その屋根を突き破り、地上に立っている巨大な生物。
いや、生物と表現して良いのかも、三人はわからなかった。
まず、それには巨大な黒い翼があるのだが、もう大きいとかいうレベルじゃない。
地上からビルの高さまで、その大きすぎる翼で立っている。もうあのサイズでは、重すぎて羽ばたけないのではないだろうか。
「な、なんだろう、どうしよう!?あれ何?バーテックス!?」
「つ、翼ですか?大きい……!あんなのに暴れられたら、四国が壊滅してしまいますよ!」
友奈とひなたは、普通の人間なので分からないだろうが、ユウキは感じた。
彼の鼻をつくような、流れの激しい地の霊力。
そして2本のアーチ上に伸びた先、上空数十メートルにぶら下がった、意思なき本体。
「お姉ちゃん……!ひなたさん、友奈さん、僕行ってきます!」
あっけにとられる二人を無視して、ユウキは病室から飛び出した。
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ユウキが向かっている翼の根本では、悠城が降ってくる羽を避けながら、その翼の頂点にいる若葉を見上げた。
彼の足元には、若葉の右腕と彼女の刀が落ちている。
「いい格好だねぇ……。見えない腕が残ってたから、霊力流し込んで動かして、腕切り落とされて逆上でまた暴走して。ホントに救いようが無いよね……。」
悠城はそう言いつつも、若葉の翼から降ってくる羽の位置を見逃さない。
フワフワと幻想的に舞っている羽も、霊力の塊だ。触れれば傷を負うし、暴走状態の相手に受けた傷はなかなか癒えない。
「でもまあこれでお前は、僕の想像どおりに動いてくれたんだよ。ここからはどう動いたって、僕の予想通りになるからね……。」
「それ僕に言ってんの?」
悠城が後ろを振り向くと、そこにはユウキがいた。彼の手には姉の使っていた刀ーー
悠城は身構えたまま、目だけ動かして足元を見る。生太刀はない。
こいつ、どうやってこの刀をーー?
「すごいね、お前。どうやってここまで来たの?全然気づかなかった。それにその刀もどうやって?俺も目は良いから、大抵のもんは見えるつもりだったんだけど。」
「返ってこないと分かってる質問するのやめろよ。僕はお前の問に答えるほど、仲良くない。」
悠城はそりゃそうだと呟いて、ユウキをもう一度見直した。今度は鋭い、戦闘中の目だ。
ユウキは刀を構える。先刻ひなたに言ったように、ユウキに戦う力はない。
でも彼の力を応用して、刀を通して神樹の中の精霊のデータにアクセスできればーー
ユウキの目が青く燃える。そして彼の肩や背中から、霊力でできた見えない腕が無数に生える。
「ーーお前の力をもらうよ。」
「ーーお前の身体、乗っ取ってやる。」
悠城とユウキはその瞬間、消えた。直後にあらゆる所で壁や床の崩壊が起こり、二人がもう一度現れたときにはもう、葬儀場は原型を留めていなかった。
悠城は部屋の隅に着地し、ため息を一つ吐いただけだった。しかし、ユウキはーー
「フー、フー、うぐ……っ。」
ユウキは膝をつき、生太刀を床に突き立てた。身体にかかる想像以上の負担に、我が身ながら愕然とする。
「……想像以上の強さだね。でも身体にキツそう。たったこれだけの事で息も荒れてるし、顔色も悪そうだしさ。まあ、『暴走を制御する』なんて矛盾してることをやってるんだから当然か。」
悠城は彼のことを見て笑う。しかし、目だけは笑わずに、ユウキに自分の手を伸ばす。
その瞬間、ユウキの皮膚が裂けた。
しかし、そこから血は出ない。代わりに煙が出て、即座にユウキの傷を修復していく。
「さっすが霊力の塊。人間と違って、ちゃんと自己修復出来るんだねぇ。」
「修復じゃないって、分かってて言ってるだろ。お前……。」
ユウキが自分の顔に手を触れた。
さっき傷があった場所が、少し凹んでいるのを、ユウキは感じた。
「まあそれもしょうがないかぁ。君は僕と違って、生身の肉体を持ってないんだもんね。」
悠城は今度は黒い光球を作り出し、ユウキに投げつける。
ユウキは幾本もの見えない腕で防御し、悠城に再撃の隙きを与えない内に悠城に肉薄した。
「アレぇ?ちょっとちっちゃくなちゃった?俺とお前って身長おんなじじゃ無いのかなぁ。」
「お前ってほんとにムカつくよな……。」
悠城は腕を容赦なく奮って悠城をふっとばす。
腕の一本くらい取れればよかったが、それは、ユウキ自身の性質が許さない。
「その霊力の腕を全部もげば、君の身長はもっとちっちゃくなるの?」
悠城は床にめり込んだクレーターの中から聞いてくる。勇者たちからしてみれば奇妙な光景だが、不死身の悠城にとっては普通のことだ。
でも、ユウキは違う。
悠城が彼をからかっている通り、ユウキは生身の肉体を持たず、だんだん身長を縮めている。
彼の霊力は天使である悠城や勇者と違い、神からの供給はない。
だから彼は、体を構成する霊力を削って力を振るうしかない。
一応、ユウキは見かけ上は悠城と同じ不死身だ。
しかし一方で、手持ちの霊力をすべて使い果たしたとき、彼はーー。
だんだん文字数が減ってきているような気がします。がんばれ俺。