魔導王の姉〜異世界行っても知識は役立つ〜 作:はる
1 限界サバイバル
気がついたら森の中にいた。
何を言っているんだと思うかもしれないが、私も混乱しているので少し整理させて欲しい。
ただただぐうたらしていただけなので、何やっていたかなんて覚えていないが、たしか昨日は一日中ベッドの上から動かず、漫画をごろ寝で読んでいた筈だ。間違ってもトラックに轢かれたとか、誰かを庇ったとかした覚えはない。死んでないんだから転生なんてありえない。
なら私のこの手は何だ⁉︎
この紅葉のような小さな手は!
森の中タオル一枚で包まれた
ダメだ。生きれる気がしない。あぁ、神様!せめて動物に食べられる終わり方だけはやめて下さい、…食べられてもいいから先に殺して下さい。生きたままはダメェ!!
「あぅあ」
…⁉︎誰だ!同士か?
「ああぅ」
金髪くりくりお目目のちみは一体誰だい?
「ぅう?」
…何だ、ただの赤ちゃんか。
じゃなっーい!!不味いじゃん。私ならともかくマジの赤ちゃんはダメだ。所構わず泣いちゃうって。森の肉食獣達に「餌はここですよ」しちゃうよ。
「う…ぅう…、」
ダメだぁ!ほらぁ、いい子いい子、ね?
うんうん、姉ちゃんのタオルしゃぶってもいいから黙ろうね?…う、寒い…
☆
赤ん坊をあやし初めてから3時間くらい、気付いた事がある。
誰も、どの生物も私達に近寄らない。
いや、怖そうな豚?猪?みたいのが近寄ってきたんだけど、心ん中で「頼むからお亡くなりやがれ下さい」って念じていたら、実現した。
何を言っているのかって?
私にもわからないがたぶん転生特典とかそんなんだと思う。やったね!…何て言うかボケェ!
寒いんじゃ、眠いんじゃ、怖いんじゃ!
いつ襲われるかもしれない恐怖。いっそ襲ってくれ…とか思ったり思わなかったり。、やっぱ襲わないで。
そろそろ日が暮れる。
本格的に寒くなりそうだ。大人の身体なら今頃は近くの薪木かなんかを集めて暖をとっていたものを…この
だいたい寝返りがギリギリできるくらいって何歳よ?
絶対半年チョットだ。そんな子供を森に置いてく親って何やねん。せめてもうちょい面倒みて下さい!具体的に言うなら大学卒業の年齢くらいまで。
「あぅう(寒い…)」
息が白い。赤ちゃん特有の赤い健康的だった肌が、今は真っ白になってブルブルと震えてる。タオルは弟?にあげたがタオル二枚でも辛いだろう。そしてタオル0枚じゃ寒いどころじゃないよマミィ。ダディかもしれないけど。
「う…ぅう…うわぁああん!」
あぁ、弟が遂に泣いてしまった!
お姉ちゃんも泣きたい!…でも、精神年齢的にも私が弟の面倒を見なくては。保育選択の知識を見せてやる。唸れ私の筋肉達…!
うぉおぉお!必殺「寝返り」!!
ズリィ…ゴロン
ふぅ、何か一生分の体力を使った気分だ。しかぁし、弟の体温と動物を近寄らせない為お姉ちゃんは火を焚かなければいけぬのだ!
うおぉ!唸れ私の上腕二頭筋、今が6ヶ月くらいと仮定すると2ヶ月程速いが姉ちゃんはやってみせる!これが奥義「ハイハイ」だぁー!
「うぅ…ぅ、うわぁぁぁん」
な、何故だ、弟よ!チョット遠くに行くだけだ。お前を見捨てるなんてしないぞ⁉︎ えぇーい、泣くな!姉ちゃんは枝と枯れ葉を集めて暖を取らねばならぬのだっ、お前の為にも!
「うっ…うっ…うぅ」
わかってくれたか、弟よ!
よし、今の内に沢山集めるぞ!
ふぅぅ…のぐぅおぉお!
必殺「は!」「い!」「は!」「い!」
枯れ葉を集めれば、暖を取れるはず!
そうとわかれば先ずは探すゼェ!
☆
そう思っていた時期が私にもありました。
しかし、赤ちゃんが枯れ葉を集めたって火を起こせるわけがなかった。逆に赤ちゃんが火起こせたら今頃赤ん坊の居る家庭は皆火事になっていただろう。何故私はこんな簡単な事に気づかなかったんだ。
まぁ、枯れ葉も集めれば中は意外と暖かい事がわかっただけ良かったとしよう。弟を中心に枯れ葉の山を作ってっと。勿論顔の部分は息が出来るようにしておく。こうしておけば、暖かいし、動物に狙われづらいだろう。我ながらよく頑張った。
…今日はもうこれでいいだろう。まだちょっと寒いし、弟にはポッカイロになってもらおう。うん、暖かい。
————————
名前:姉(名前はまだ無い)
魔法:わからない(転生特典あるっぽい)
年齢:およそ半年?
持ち物:無し
名前:弟(名前はまだ無い)
魔法:わからない
年齢:およそ半年?
持ち物:タオル二枚
————————
…無理があってもツッコんではいけない、、、