魔導王の姉〜異世界行っても知識は役立つ〜   作:はる

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5 限界サバイバル

おはよう弟よ。お姉ちゃんは昨日言った通り、他の人に会いに行ってくる。お留守番、宜しくね。

 

「ねーた」

 

ダメだ。危険だって言ったろ?

お姉ちゃんだけで確認してくるから心配するな。杖が一体何を意味しているか、知りたいんだ。これはただの私の好奇心だから、それにお前を巻き込むわけにはいかない。絶対帰ってくるから心配するな。

 

 

 

 

ピッ…ピッ

 

よしよし、まだ音が鳴っているな。これを家の前に置いて。ドアをノック。

…ピンポンダッシュ!!、、は出来ないから早歩き。

 

「はーい、今行きますよー。こんなド田舎にどちら様かねぇ。」

 

よし。こっちの言葉はわかるっぽいな。出てきたのは、何処にでも居そうなおばちゃんだった。しかし、とても日本語が堪能な人種には見えない。しかも服装が中世ヨーロッパのようだ。

 ここは私の知ってる地球でも無いようだな。

おばちゃんは、キョロキョロと辺りを見回して杖に気がついたようだ。

 

「ありゃ、何でこんな所に魔道具なんかあるんだか。」

 

…⁉︎魔道具だと。魔道具ってあれか、魔法で動く物ですか。という事はこの世界では魔法があるという事⁉︎

 

「魔道士が落しでもしたかね?まったく、商売道具だろうに。ん?何か書いてあるね。「計測不能 通信が途切れました」か。何かの監視魔法だねこりゃ。」

 

え。

 

ドゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!

 

「何だい⁉︎…こりゃ凄い土砂崩れだね、」

 

…、まさか、冗談半分で作った罠が作動したのか⁉︎それに監視魔法って、、、くそっ!もし本当なら私達姉弟は監視されてたって事じゃないか!

 

「近頃は子供狩りも落ち着いたってのに、縁起悪いねぇ。」

 

子供狩り⁉︎

何てオンタイムな…

さっきの土砂崩れと言い、弟が危ない!

戻らなきゃ。

 

ヨチヨチ

 

クソ!

急がなきゃ行けないのに、、、

早く、もっと早く、行かなきゃ。行かなきゃ。

…、いつもより速い?

って、うわぁ、何て強い風!でも追い風だ、速く動ける。

 

びゅゅううぅうう

 

いつもよりずっと速い。もう農場を通り過ぎ、家の近くたどり着いた。

 

無事で居てくれ、弟よ。

 

ブォモオオオン!!

 

デカい猪。いつもなら食べられてしまうと慌てる所だが、今はそんな時間無い。猪がこちらに気づいて突進の構えをとる。

 大丈夫。最初の日みたいに、願うんだ。「死んでしまえ」と。

弟の為にも、今はお前なんかに構ってる時間はない!

 

 

邪魔だっ、死ねェエエエエエ!!!

 

ブォオオオッオォ「バタァンッ」

 

 

やっぱり、望めば相手が死んだ。

よし、この力があれば私は弟を助けられる!

 

待ってろ、すぐに行くから!

 

「全く、何で俺らがこんな森ん中来なくちゃいけないんだっぺ。」

「まぁそう言うな。測定器付きの連絡ラクリマなんて、俺等の給料じゃ一生買えない物の捜索だぞ?」

 

、、鎧に剣、何処かの兵士か⁉︎何でこんな森の中に…そうだ、警察みたいな物だし助けを「こちらD班、魔道具は見つかったか。」

 

「こちらC班、以前見当たりません。」

…声が聴こえるあの杖、私が持ってた杖と一緒だ。杖が通信機だったのか!

 

「最後に杖を持った金髪の赤子も捜索対象だ。あの子の魔力は素晴らしかった。」

 

…相手の容姿が見れるなんて、ビデオ電話タイプかよ!

 容姿がバレているのは非常に不味い。

 

いや、不味いのか?

兵士なら流石に子供を保護してくれるんじゃ。

「あの赤子はいい兵器になる。絶対に逃すな!

  逃すくらいなら、最悪殺しても構わん!!!」

 

…兵器?

殺しても構わんって何て事言ってるんだ?

 

「こちらA班、川の近くに薪木の後を見つけました!」

 

、昨日の焼き魚の跡か。何で跡処理をしなかったんだ私は。

 

「こちらB班、不自然な爆発の痕を発見。調査します!」

 

不自然な爆発の痕だって?

それって、、ダメだ、考えるな。違うに決まってる。私の所為で弟が捕まるなんて事、あっていい筈がない。

 

「うわぁぁぁん!!」

 

…違う、弟の声じゃない。幻聴だ、家は大人は入れない樹洞の中にあるんだ、気付くわけない。あの子には家で静かに待ってろって言っておいたから…

 

「っ!樹洞の中に子供を発見、ラクリマで見た容姿と相違ありません!」

 

「了解、貴重な戦力だ。回収せよ!これより首都に帰還する!」

 

何言ってんだ。何言ってんだよ。意味わからねェよ!!!

 

「あ、何かコッチにも赤ん坊いるっぺ。」

「んじゃ一応報告するか「こちらC班、赤」、、?おかしいな。何か急に通信が途絶えたぞ。」

 

コイツ等は敵だ。

やはり私は合っていた。人の敵は人、この世界の常識が子供にとって不利かもしれない…と。

 

「何かこの子、不気味でねーが?」

「確かに。気味悪ィし、コッチは上も要らねーだろ。テキトーに処理しておこうぜ。」

 

兵士二人が近づいて来る。

 

「赤ん坊なんてほっとけば死にそうだが、念の為。」

「戦争中じゃなきゃ、国で保護してやれたんだが。

 悪く思わないでくれよ、こっちも仕事なんだ。せめて苦しまずに灰にしてやる。炎魔法 火拳ッ!」

 

そう言って兵士の片方が拳から炎を出し、私に殴りかかって来る。

あぁ、やっぱり魔法は存在したのか。

 

「悪く思わないでくれ」か。

自分を殺そうってのに、そりゃ無理な相談だろう。

 

 

だから、私の事は、悪く思っていい。

 

 

 

 

死ね

 

 

 

 

————————

 

名前:姉

魔法:死?(転生特典)

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル 杖

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル

 

————————

 

 

 

 

 

 


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