コールドスリープから目覚めたら未来の世界だった話。


けものふれんずっぽい感じでダイナ様書こうとしたら全く書けなかった失敗作です。

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だいなふれんず

 冷凍睡眠(コールドスリープ)装置が開く。

 その中から現れた彼は周囲を確認する。

 この遺伝子保管施設の管理官として、有事の際まで冷凍睡眠(コールドスリープ)を行い、待機するのが彼の役目であった。

 そこまで思い出して、自身の名前を思い出せないことに気付く。

 『何をするべきか』『これが何か』の使命や知識を思い出すことはできるが、思い出や自身が誰なのかの私的(パーソナル)な記憶が思い出せない。

 しかし、いま、ここでとどまっていてもどうしようもないので、彼は自身の記憶を探すついでに周囲を探索してみることにした。

 彼が確認すると、他の冷凍睡眠(コールドスリープ)のためのカプセルはすでに解凍済みであり、彼のカプセルだけが残っている有様であった。

 日付を表示するはずのモニターには何も残ってはおらず、残ったアナログ式の時計は三千九百九十九年で止まっていた。

 他の機械は動いてるものの、明かりは弱々しく、どうやら非常事態のための緊急措置としてコンピューターが判断し、彼の解凍が行われたようだ。

hurm(ふーむ)、さかのぼれる記録は……二百年ほど前か」

 まだかろうじて使用できるモニターを操作し、彼は顔をしかめた。

 冷凍睡眠(コールドスリープ)を行い、長い年月を待機すること前提とした保管所であるが、二百年も放置されることは異常といってもいい。

 メンテナンスも兼ねて五十年に一度は最低でも起こされるはずであるが、それがなされた形跡すらもない。

「なんらかの災害が起きて、放棄されたか……?」

 施設内を見て回ると、亀裂が壁に走り、水が染み込んでいたり、苔がこびりついている外壁が見える。

 遺伝子サンプルが並べられている保管室も被害を受けており、サンプルをいれたガラス瓶はすでにひびが入り、その多くがだめになっていた。

 他の場所も見て見たが、かろうじて機能が生きているだけであり、むしろ、彼が冷凍睡眠(コールドスリープ)から起きることができたのは奇跡に近いことがらであったと、彼の持つ知識からは察することができた。

hurm(ふーむ)……」

 この遺伝子保管庫の保安要員として冷凍睡眠(コールドスリープ)されていたことは覚えている。しかし、この施設にとどまっていても、何も手がかりはなさそうだった。

 ならばと、彼はおぼろげな知識を振り絞る。

 ここをふくめ、数か所に遺伝子管理施設は別れていたはずである。

 もし、人類が滅ぶほどの大打撃を受けたとき後世に対して遺伝子サンプルを残すのが施設の目的である。そのため一ヵ所だけに集中的に残すのではなく、それぞれの場所で別々の防護手段に守られ保護されているはずである。

 そのうえで、それらを管理する管理塔が中央部には存在していた。

 どうなっているかは不明であるが、場所が不明な他の管理施設よりも場所が分かっている中央塔に行く方が手がかりを得られる可能性は高い。

 そうと決まれば、と、使えそうな道具を集め、リュックに入れると、中央の管理塔を目指して外へと彼は歩いて出た。

 

 

 どういうことだ、これは、と彼は訝しんだ。

 あつい。

 気温が異常に上昇している。

 加えて、周囲は背丈の高い草が多い茂っており、歩きづらい。

 先ほど、小高い丘からは砂漠が見えたが、巻貝のような殻を背負った人間大のカタツムリがジャンプしながら移動していた。

 砂漠を飛び跳ねながら移動するから、さながらデザートホッパーか、と彼は思った。

 ほかにも森林を触腕で歩く巨大なイカや、猿のように木々を飛び回るイカなども存在していた。

 それらに驚きながらも、なんとか遭遇を避けつつここまでやってきた彼であった。

 ここまでは幸運だったと言わざる得ない。

 彼は閉口した。

 なんとか森を抜けて出た先の草原、そこでいまだ稼働している機械を発見した。

 成人男性の身の丈を十並べても届かないであろう、巨躯。

 整備担当だった彼にはわかるが、これは環境整備用の整地機械であった。

 八本脚で移動しながら、小高い丘をロボットアームで崩し、背に背負った巨大な籠へと入れ、地形を何らかの形に整形していく、その姿はまるで巨大な蟹のようであった。

 整地機械の赤いカメラアイが彼を捕らえ、動きが止まる。

「――――」

「…………hurm(ふーむ)」 

 整地機械はカメラアイで彼を観察しているようだ。もしかすると、認知機能が生きており、彼を乗せて移動してくれるかもしれない。

 わずかな希望をかけて、首から下げているIDカードをカメラアイに掲げてみた。

「―――駆除対象、確認。排除します」

 駄目だった。

 そしてどうやら命の危機であると悟った彼は、一目散に向きを変えると、今まで来た道へといそいで駆けだす。

 重々しい音が連続的に聞こえ、後ろから整地用の機械が追いかけてきていることがわかる。

 どういうことだろう。障害物と認識されるのならまだしも、『駆除対象』と明言されていたということは、彼が生きているとこまるものがいるということだろうか。

 しかし、いまはそれを細かく考えてるよゆうはなく、息を切らしながら必死に整地機械から彼は逃げる。

 八本の足で疾走しながら、邪魔な木々をアームでなぎ倒して整地機械が追いかけてくる。

 巨躯の機械と人間なら小回りの利く人間のほうが森では有利そうだが、障害物となるはずの木をいとも簡単に叩きおりながら追跡されたのでは、むしろ、邪魔となる木をちくいち避けないといけない人間のほうが不利である。

 まだ捕まっていないのをほめてほしいぐらいである。

 しかし、それもここまでだった。

 斜面を登った先は崖であった。

 背後からは機械の足が斜面をのぼってきている。

 いっそのこと機械が自分を見失うことを期待して、崖から跳ぶべきかどうか悩む。

 飛ぶか、飛ばないか。崖の先は真っ暗闇ではなく、先ほどの奇妙なカタツムリ(デザートホッパー)が飛んでいた砂漠であった。

 飛ぶべきか、降りるべきか。

 この重たい荷物をもったままそれができるか。

 不安が胸の中を渦巻くなか、しかし、機械から感じる振動の圧におされるように動こうとして――、奇妙なことに気付いた。

 整地機械が進んでいないのだ。

 無理矢理に前に進もうとしているのだが、なにものかに引きずられるかのように、後退すらしている。

 そのとき、ひょい、と軽い調子で整地機械が持ち上げられ、遠くへ放り投げられる。

 小石をなげるかのように宙を舞うと、それは森の方向へと逆に投げられ、轟音と共に地に落ちた。

 その時の振動で、崖から滑り落ちるのではないかと彼が心配になったほどだ。

 

 そこにいたのは奇妙な少女であった。

「ぎゃお?」

 見た目は通常の少女と変わらず、彼の姿を認めて小首をかしげていた。

 違うのは臀部の腰から生えている恐竜の尻尾であった。

 恐竜人とでもいうべきなのだろうか、どのように命名すべきなのか彼は迷う。

 恐竜人類、あるいは恐竜類人、前者であるなら恐竜の形質を持った人、であるが、後者は恐竜が進化して人に近い外見になったと言うべきだろうか。

 と、そこまで考えたところで、首を振る。

 まだあの少女が味方と決まったわけではないのだ 

 ぎゃおぎゃお、と鳴き声のようなものをあげながら彼の元へと歩いてきた。

 尻尾を振りながら、

「ぎゃお?」

 困った。

 少女がなにをいっているのか彼にはわからない。

 興味深そうに彼に近づきながら、くんくんと匂いをかぎ、首をかしげた。

 言語らしきものを発し、襲い掛かってこないあたり、相応の知能はあるようであるが、意味があるような言葉ではなく、鳴き声のようなものであるということは、やはり獣に近いのだろうか。

 というと、この個体が特別に人なつっこいのだろうか、と彼はいぶかしがんだ。

 しかし、服はぼろきれではなく、きちんと整えられたものを着ているので、どこかに文明があるか、この少女が作ったのだろうか。

 とりあえず、餌付けできないか、と持っていた缶詰を渡してみた。

 少女は渡された缶詰をくんくんと匂うが、首をかしげ、裏返してみたり、缶詰そのものを舐めて渋い顔をしたりしてる。

「ぎゃお! ぎゃおぎゃお!!」

 彼は無言で缶詰を取ると、プルタブをひねって中身を空けた。

 ツナの缶詰を少女に渡すと、少女はクンクンと匂った後に、目を見開き、夢中でそれを食べ始めた。

「ぎゃお!」

 気に入ったのか、せがむように裾をひっぱってくる恐竜少女。

 もう少し缶詰を渡すかどうか迷ったが、これ以上は自分の食べる分もなくなるかもしれない、と首を横に振った。

 サバイバル訓練は冷凍睡眠(コールドスリープ)前に受けているので、食糧確保には自信はあったが、環境が大きく変わってることからきちんと食べれる食糧は手放したくない。

hurm(ふーむ)。君は何という名前だね?」

「ぎゃお!」

「ぎゃお、と言う名前なのか?」

「ぎゃお! ぎゃおー!」

 少女が首を横に振る。

「文字は書けるかな?」

 文字と言う言葉に首をかしげる少女。

 そもそも文字というものが何か知らなさそうだ。

 言語が違う可能性があるが、さきほど缶詰をわたしたときにもほとんど文字に興味を抱かなかった。

hurm(ふーむ)……」

 やっと会えた人型の生物であるが、このまま意思の疎通を行うのは難しそうだ。

 しかし、先ほど見た通り環境整備機械が暴走している可能性が高く、機械もアレ一つであるとは限らない。

 他にも中央塔にいくまで怪物の類に出会わないとは限らないだろう。

 となると、善良な――とおもわれる――人型生物とはぜひとも友好な関係をきづいてついてきてもらいたいものである。

「これ、欲しいか?」

「ぎゃお!」

「なら、一緒についてきてくれないか? もし目的の場所までたどり着いたらいくらでも缶詰を渡そう」

「ぎゃおー?」

 だめか、言葉が通じてないようだ。

 ため息をひとつ。交渉が通じれば、と思っていたが、どうやら無理なようだ。

 しょうがない、と空いた缶詰を少女に渡すと彼は歩き出した。

 困ったように缶詰をころころまわして手遊びしていた。

 しばらく、去っていく後ろ姿を見ていた少女であったが、何かを考えるように缶詰に視線を落とすと、その背を追って歩いて行った。

 


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