♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓     星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+       ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈   作:lOOSPH

10 / 42
異変の中心


死神と呼ばれた少女

 

今よりも遥か昔の事

 

夜のとある町の中を

一人の黒い布をまとった少女が通っていく

 

すると少女は足を止めると

自分の後ろ隣の建物において

ひっそりとたたずんでいた一人の青年を見つける

 

「‥‥本当に抜けてしまうのか‥‥」

 

「‥‥だってこれ以上ここにいても…

 

 苦しいだけなんだもの…

 

 そんな思いをしてまで、貴方の元にいたいとは思わない…」

 

「だからってここを抜けたってどうにもならないだろう!」

 

青年はやや声を荒げて声をかける

だが少女は振り向くこともせずに再びゆっくりと歩みを進めていった

 

「‥‥私、貴方に何度も何度も頼んだよね…

 

 私のこの力をどうにかしてほしいって

 どうにかして周りに認めさせてほしいって…

 

 それで結局、何か変わった?

 

 みんなは私の事冷めた目で見続けてる…

 

 最初のころからずっと、変わらずに‥‥そうだよ…

 

 何にも変わってないんだよ、変えられないんだよ結局

 これ以上自分を苦しめてまであそこにいたいと思わない…

 

 そんな思いをして生きていくくらいなら死んだほうがましよ!

 

 私はもう死にたいのよ、そんなことばっかり考えてるのよ!!

 

 何度も何度も死のうと思ったのよ‥‥でもそれだってかなわなかった…

 

 生きていてもいい事なんてない‥‥だからって死んで楽になることもできない…

 

 だったらせめて‥‥逃げるくらいの自由はさせてよ!!!」

 

「っ!」

 

彼女の苦しみを帯びた言葉に春三は何も言うことはできなかった

 

「‥‥春三さん…

 

 結局あなたは何にもできなかった

 あなたの意志とも関係なくあなたは私に嘘をついた…

 

 私は‥‥もう、何もかも投げ捨てて生きていく

 夢も‥‥希望も‥‥未来も‥‥何もかももういらない‥‥

 

 だからもう貴方と会うこともないしそうしたいとも思わない‥‥

 

 だから‥‥もうさようならだよ…」

 

そう言って彼のもとを去っていく少女であった

だが、春三は自分に振り向こうともしない少女に言う

 

「俺様は、俺様はあきらめないぞ!

 

 どんなにかかったっていい、絶対にお前を

 その苦しみから救ってやる、だから‥‥だから‥‥

 

 生きるのに臆病にならないでくれ!!」

 

春三は必死の思いを少女に大きく訴える

だが、そんな彼の必死の言葉も、少女には届かなかったのだった

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

「‥‥ふう‥‥」

 

春三がやや思いつめた様子でため息をついた

 

「…‥どうしたの、春三

 

 随分と思い悩んでいるように思えるけれど?」

 

「‥‥ああ、ちょっと昔のことを思い出してな‥‥

 

 あの時、俺様は苦しんでいる一人の少女の心を

 救ってやることができず、やがて死に場所を求めて

 去っていく彼女を引き留めることもできないまま‥‥

 

 あれからもう長い年月が経ってしまった‥‥

 

 結局、俺様はまたあの子を救ってやることができなかった‥‥

 

 俺様は俺様自身の無力さを痛感したよ‥‥」

 

「…そんなことがあったんだ…」

 

「‥‥春三殿、貴方の後悔はある程度の理解はできますが‥‥

 

 今は組長会議の途中であるということを、どうかお忘れなく‥‥」

 

年配の男性、冬三に言われ

春三は意識を今の状態に向けていく

 

「‥‥そうだな、それで今回の議題は‥‥

 

 ここ最近の穢れの不穏な動きについてだ

 それぞれの組においての動きに何かないかを教えてもらいたい‥‥」

 

春三がそう切り出していくと、まずは四人の中で

比較的に若く見えるこの中で唯一の女性、秋四が先に証言する

 

「…ええ、ここ最近の穢れは

 異様なまでに力が上昇しています…

 

 この前にはたった一体の穢れに

 うちの組員、1760人で挑んでようやく倒せました…

 

 ですがその時にほぼ無事だったのはそのうち176人でした…」

 

「なんと‥‥

 

 確かにそのような報告は上がっていますが

 まさか、立った一体の穢れにやられたとは‥‥」

 

「でも、秋四の組は平均年齢がわかめだから

 実戦経験がなかったことも手伝ったんじゃ…」

 

そう言って若者、夏三はそのように発言する

 

夏三自身は別に秋四の組員の実力を侮っているわけでも

見下しているわけでもない、ただ秋四の報告が信じられない

 

ゆえに自分がどうにか納得のいく答えを発言したに過ぎない

 

しかし

 

「‥‥私の方も同じような結果ですな‥‥」

 

年配の男性、冬三の発言に

他の三人は思わず彼の方を見る

 

「‥‥ここのところ穢れ一個体の力が

 日を追うごとに大きく強大になっているように感じられました‥‥

 

 私の組においても、対応が追い付かないのが現状です」

 

「冬三さんの組が!?

 

 まさか、そんなことが…」

 

「…‥ねえ、春三…

 

 これってひょっとして

 誰かが穢れの力を強くしている

 

 そうとしか思えないくらいに

 穢れに異常が起こってるとしか言いようがないよ…

 

 早く原因を突き止めて、早々に問題を解決しないと」

 

「わかっている‥‥

 

 そのことについては俺様の組でも

 もちろん対応するさ、そしてもちろん‥‥

 

 あいつにもこの件を放そうと思う‥‥」

 

春三の言葉にほかの三人はただ静かに彼を見つめていた

 

そして、肝心の春三の心中はとても穏やかではなかった

 

「(‥‥穢れが強く‥‥

 

  まさかあいつが‥‥

 

  でもまさかそんなことが‥‥

 

  もしもそうだったら

  俺様は一体、どんな顔で‥‥)」

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

そのころ彼は、ある場所を歩いていた

 

水波夜とともにとある場所を目指すために

やや水が張っているその場所を歩いている

 

「…‥‥‥ここか、穢れの力が

 大きくなっていく異変の中心は…‥‥‥」

 

「…ええ、組長会議での会話の内容を

 読み取っていった結果、ここにたどり着いたよ…

 

 このあたりのどこかにその手掛かりがあるはずだと思うけれど…」

 

そう言って二人はそのあたりを歩いている

何やら大きな何かが張ってきているのを感じてきている二人

 

「…‥‥‥あそこかな、なんだか黒い何かが噴き出してる…‥‥‥」

 

そう言って彼はその黒いオーラが噴き出して居る方の中心部へと

急ぎ向かっていくのを見た水波夜は急ぎ足で彼の後を追いかけていくのであった

 

するとそこに合ったのは、ボロボロになった古い建物だった

 

「…なんだか不気味な建物だね…

 

 とても人が住んでいるようには思えないけれども…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

すると、二人の方に向かって巨大な穢れが勢いよく襲い掛かっていき

彼も水波夜もそれぞれ武器を手に取って応戦していくが、どんどんと押されていく

 

「…ぐう!?

 

 なにこれ、すっごい力…

 

 とてもじゃないけれど

 私でも対処しきれないかも…」

 

押されていく水波夜だったが

穢れは突然、体が二つに分かれて消滅する

 

その向こう側に立っている

彼の姿を見て安どのため息をつく水波夜

 

「…ごめんお兄ちゃん…」

 

「…‥‥‥無事で何よりだよ

 それにしても、ここまで穢れが強くなるなんてね…‥‥‥」

 

武器を収めて改めて向こうに見えるボロボロの建物に目をやる彼

 

「…やっぱりあそこには何かがあるってことなのかな…」

 

「…‥‥‥いずれにせよあそこには

 何かがあると考えて間違いないだろう…‥‥‥

 

 行くよ、水波夜…‥‥‥」

 

彼がそう言って目的の場所に行く

水波夜は一緒に向こう側に見えている

その目的地の建物に入っていくのであった

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

その建物の中は外見から見てもわかるように

とても人が住んでいるようには思えないほどにひどい場所だった

 

「…果たしてこのようなところに

 ここ最近の穢れの異変の原因があるのでしょうか…?」

 

「…‥‥‥少なくとも人為的であるという可能性は低いだろう…‥‥‥

 

 かりに誰かがかかわっていたとしても

 こんなところにこもっている理由もないだろうしね…‥‥‥」

 

とにかく奥の方へと進んでいく二人

やがて蜘蛛の巣や壊れた家具などをかき分けて

たどり着いたそこにあったものを見て、二人は息をのむ

 

「…あれって…」

 

そこにあったのは黒い布に包まれ

後ろにある壊れた木材に寝転がるように動かない

人型の何かがそこに眠り込むように倒れていた

 

水波夜は恐る恐る近づいて、動かない人型の方に近づいていく

 

「…これって、死体…?」

 

そう言ってじっと倒れている人型を見ていると

不意に水波夜は何かに近づいてくるのを感じて

急いでその場から離脱すると、何かが水波夜に攻撃を仕掛けてきた

 

「…何者!?」

 

そこにいたのは、大きな鎌を振り上げて

襲い掛からんとしていく一人の男性である

 

「‥‥出ていけ…ここから‥‥…

 

 死にたくないなら‥‥早く…」

 

そう言う彼の目はとても虚ろなものであった

目じりにはカラスの足跡が真っ黒に映っている

 

「…あなたは一体何者…?

 

 ひょっとしてだけど

 穢れが異様に強くなっている原因に

 心当たりがあるのかな?」

 

そう言って杖を構えていく水波夜

だが目の前の男性は特にそれを見て反応を見せることはない

 

「‥‥出ていかないのなら…

 

 無理やりにもここから追い出す!」

 

「ぐう…」

 

そう言って大鎌をふるって、水波夜に襲い掛かっていく

水波夜は巧みな動きと体さばきで、その攻撃をいなしていく

 

「‥‥出ていって…出て言ってってば…

 

 出ていけええええ!!!」

 

「っ!」

 

先ほどまで静かな雰囲気だった男性は

急に声を荒げながら、水波夜に攻撃を仕掛けていく

 

「…なんなのこいつ…

 

 まさかここまで、押されるなんて…」

 

「うああああ!!!」

 

そう言って水波夜の杖による一撃をはじき

彼女の首元に大鎌を構えていこうとしていく

 

「っ!?

 

 (まずい…やられる…!)」

 

「ああああ!!!」

 

だがその一撃は第三者による一撃がその一撃を止める

 

「…‥‥‥僕の妹に何をしているのかな…‥‥‥?」

 

「お兄ちゃん!」

 

そう言う彼の冷たい一言とともに

男の首は落とされて後ろの方に転がり込んでいき

 

斬られた個所から勢いよく血が噴き出していき

どさっと体の方もうずくまるように倒れこむのであった

 

「…ごめん、お兄ちゃん…

 

 私としたことがこんな失態を…」

 

「…‥‥‥気にしないで、無事で何よりだよ…‥‥‥

 

 それに、多分あれは本体じゃないよ…‥‥‥

 

 そうだよね、さっきからそこで死んだふりしてる人?」

 

そう言って、先ほど最初に見つけた死体に目をやる彼

 

「待ってください、あれは死体ではないのですか!?」

 

すると、ピクリと指が動き

ゆっくりと黒い布に覆われたその人物が起き上がっていく

 

「…っ!?

 

 生きていた!?」

 

水波夜が驚いた様子で目の前の人物を見ている

 

「‥‥私を殺しに来たんですか?」

 

「…‥‥‥どうしてそう思うの?」

 

立ち上がってゆっくりと歩み寄っていくその人物は

先ほど彼が首を落とした男性の体の方に目を向けるように

フードに覆われた頭を動かなくなったその男性の体の方に向ける

 

「‥‥この人や、今までやってきた人たちも

 例の異変の原因として私の命を奪おうとしていて…

 

 多くの場合は返り討ちか、この人のようにしてきてる…

 

 私はこの力のせいで人にできないことをやることができる…」

 

「…どういうこと?」

 

目の前の人物の言葉の意図が読めずに聞き返す水波夜

 

「‥‥とある星座に生まれた人が私であるのならば

 私はとある星座に生まれた人なのであると私の能力が証明している…

 

 言うならば私は、私と同じ星座に生まれた人々そのもの…

 

 故に彼は私であり、私は私と彼や彼と同じ星座に生まれた人々その者たち…

 

 言うならそれが私なの…」

 

「…‥‥‥なるほどね…‥‥‥

 

 待遇論法に基づいた能力ってことか

 言うならば君がある星座のもとに生まれたことを証明するために

 同じ星座のもとに生まれた人々を集めることで証明しようとした

 

 そしてそれは…‥‥‥君がその力に

 目覚めてしまったことで証明されてしまった、そういうことだね」

 

彼の問いに相手は沈黙する、それを肯定とみなす二人

 

「‥‥私は存在そのものが…

 

 私と同じ運命に生きたものたちの人生を

 狂わせてしまうものであると悟った、だから私は…

 

 人目を避けて、誰も通らないこの場所で余生を

 過ごそうと思ったの、誰にも関わらず寄り添わず

 

 私は生きていちゃいけない存在なの‥‥私はもう…死にたいのよ‥‥…」

 

そう言って後ろ向きな発言をしていくと

その人物に向かって彼はゆっくりと近づいていき

 

「…‥‥‥そんな悲しいこと言わないで…‥‥‥

 

 自分の力が周りの運命を狂わせてしまうからって

 それで自分の人生を狂わせてしまう必要なんて、ないんだよ…‥‥‥」

 

「‥‥無責任なこと言わないでよ!

 

 私がこの力のせいでどんなに苦しい思いをしたのか知らないくせに!!」

 

「でも君が苦しんでいるのは見ていればわかるよ!」

 

彼が初めて声を荒げるのを見て目を見開く人物と

その様子に驚いたように口元に手を添えていく水波夜

 

「…‥‥‥確かに僕には君の苦しみを理解しきる事はできない…‥‥‥

 

 君にこうやって手を伸ばしてあげることぐらいしかできない…‥‥‥

 

 だけれどね、そうやって少しでも君の心を救えるのなら

 僕は絶対に君のことをあきらめない、諦めたらそれこそ…‥‥‥

 

 君をその暗闇から助け出すことは絶対にできなくなってしまう!」

 

「‥‥私は…助けてほしいなんて‥‥…」

 

目の前の人物は口ごもりながらも拒絶の言葉を口にしていく

 

「…‥‥‥だからって、目の前で苦しんでいる君を

 見捨てるなんて、僕にはできない、絶対にしてはいけないんだ!

 

 もう二度と、同じ過ちを繰り返さないために…‥‥‥」

 

「‥‥同じ…過ち‥‥…?」

 

目の前の人物は彼の悲しそうな表情に

彼の不意に出た言葉が気になって尋ねるようにつぶやく

 

それを聞いて不意に彼を見上げた少女が見たその瞬間に

 

「‥‥なんて冷たくって…暖かい人‥‥…

 

 こんなにも不思議な人‥‥私は…初めて会った‥‥…」

 

彼女は思わずは手を伸ばしていく

不思議と伸ばせば届くのではないかと感じた

 

自分の心の底からの望みに

 

「‥‥きたい…です‥‥…」

 

「…え?」

 

目の前の人物が不意につぶやいた言葉に

水波夜は思わず聞き返した、するとその問いに

 

「私は生きたいです…

 

 もう一度望んでいいのなら

 私は生きてみたいんです、お兄様!

 

 私に生きる意味をください、私に

 生きているっていう証をください!!」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

その人物が顔を見上げると、やや顔が見えたので

彼はその布を払い、その素顔を見た彼はこうつぶやいた

 

「…‥‥‥もちろんだよ…‥‥‥

 

 僕も生きる意味を見つける、だから一緒に探そう…‥‥‥」

 

こうして

 

この世界においての最後の御子を見つけ出したのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の時は今、来る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          




死神は生きることを望む
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。