♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓ 星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+ ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈ 作:lOOSPH
冬組は四つの組の中では比較的穏やかな雰囲気の組である
その冬組の組長、北亀 冬三の雰囲気のおかげで
どこか和やかな雰囲気が漂うこの組には穢れに襲われ
身寄りのなくなった子供たちが多く引き取られて行く
冬三はそんな子供たちを引き取り
親代わりとなる人物のもとに養子縁組をしている
冬三の人柄のおかげで最初は悲しみに暮れて
心を開かなかった子供も、今や彼のことをとても慕っている
冬三は自分のことを慕って
心を開いてくれる子供たちのことを本当に大切に思っている
しかし
すべての子供たちが彼の思うように成長してくれるとは限らない
中には人格そのものに異常をきたし、恐ろしいことを執行する者もいる
その中には、あの冬三でさえも頭を抱える一人の少女がいた
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「施設長!」
机に向かっている冬三のもとに
一人の女性が慌てるように駆け寄っていく
「おや、どうしたのですかな青子さん?
何か問題でも?」
「問題も問題ですよ
子供たちが喧嘩を起こしまして」
うんざりするかのように髪を激しく
かきむしっていく青子と呼ばれた女性
「おやおや、いったい何が起こったのですか?」
「例のあの子ですよ!
あの子がまた癇癪を起してしまって…」
霊のあの子、それを聞いて若干
表情を険しくしていく冬三はどうやら
その一言で、状況を理解したようである
「また‥‥あの子ですか‥‥
どうにもあの子はいかんせん
日に日に手に負えなくなってきていますね‥‥」
そう言って重い腰を上げていく冬三
「ふう…
もうさすがの私ももう
あの子を引き取ってくれる人は
いないんじゃないかなって思えてきましたよ…
あの子は人格に問題がありすぎです…」
「だからと言ってここで折れても
何の解決にもなりません、あの子も他のことと同じく
身寄りのない子供たちの一人なのですから‥‥」
そう言って、ゆっくりと部屋を出て
子供たちのいる場所に向かっていく冬三
誰もいなくなった施設長室の中で
一人となった青子が静かにつぶやいた
「…最悪、お兄様に話を付けてみるといいかもしれませんね…
幸か不幸か、あの子は適性と条件がありますから」
そう言って冬三を追いかけていく青子であった
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施設の中には当然
子供たちがお互いに交流を持ち
なおかつ、遊びの場でもあるこの場所
今この場所では問題が起こっていた
そこにいたのはボロボロになった何人かの子供達と
その様子を見て部屋の隅っこでぶるぶる震えている子供達
一人の女性が息を切らしながら、何かを睨みつけている
そこにいる一人の少女は無邪気な笑顔を浮かべているが
その表情は不気味なほどに恐ろしく感じられるものであった
「ウフフフ‥
どうしたのどうしたの?
こんなので倒れられちゃったら
私、つまんないよ、もう一回来てよ?」
「間衣!
これ以上貴方のわがままのせいで
他の子供たちを傷つけるのはさすがに許せないよ!!」
そう言って相手の少女、間衣を睨みつける
なんとしても取り押さえようとにじり寄っていく
「許さないってなんで?
私はただ、みんなと遊びたいだけだよ?
ここにいるみんなだって間衣と一緒に遊びたいっていうから
一緒に遊んであげたんだよ、どうして私はみんなと一緒に遊んじゃダメなの?
どうして私はお友達と一緒に遊んだらいけないの?
ねえ…どうして‥どうしてなの…‥?」
間衣の言葉には怒りも悲しみも感じられない
悪意がなく本当に疑問に思っている様子である
「友達っていうのは一緒に笑いあって
お互いに好きなことをやったりするものだよ
貴方のそれは友達と一緒に遊んでいるんじゃない
この子たちを自分の玩具の様に扱っているだけだ
幼い命を、玩具の様に扱うな!」
女性は荒げた声で間衣に突っ込んでいく
だが間衣はそれをかわすとその女性の体にあるものを突き付ける
それは何と、長い包丁であった
「っ!」
幸いにも刃物は当たることがなく
女性は急いで間衣から離れていった
間衣は手に持った包丁を
まるでフェンシングの様に構える
「闘牛ごっこしよ?
先生が牛さん役ね」
「く、出来れば傷つけたくはなかったけれど…
もうこれは無理やりにでも抑え込まないと!」
自分に容赦なく刃物をふるってきた間衣の様子を見て
これはもう普通に対処することができないと判断して
武器を手に取ることにする、とはいってもあくまで
捕まえるようのものであるため本場の武器とは違う
言うならば、捕縛用武器である
「ごめんね、出来ることだったら
これは使いたくなかったんだけれども…」
「わあ、やっと先生が本気になってくれたんだね
それだったら私も絶対に負けないんだからね」
にらみ合っていく双方
するとそこに、間衣の体に何かが押し付けられる
それは、刺又で、それによって間衣は地面に押さえ込まれる
「ぐえ!
な、なに!?」
「悪いけれども、おとなしくしていてもらうわよ!」
その刺又で間衣を抑えこんだのは、青子であった
「青子ちゃん…」
「まったく、相手が子供だからって
自分を殺しに向かっている相手に隙を見せるなんてね…
まあ、ここは私に任せておきなさい!」
そう言って青子は結束バンドを取り出して
それで間衣の両手足を拘束して動きを封じた
「うー、動けないよー」
地面をゴロゴロと転げまわっていく間衣
それを見て他の子どもたちも安心したのか
小さいながらも話し声が聞こえていくのを感じた
「青子ちゃん、ごめんなさい…
おかげで助かったわ」
「まったく…
貴方は本当に相手に対して甘いわね…
まあ相手は子供なんだから、それは普通なんでしょうね」
彼女はそう言って
拘束されて地面でゴロゴロ転げまわっている間衣の方を見る
すると、青子は彼女の動くを止めて
地面にうつ伏している彼女の視線に合わせるように
彼女に対して跪くようにして姿勢を落とす
「貴方は確か、間衣ちゃん…だったわね?
そんなに遊びたいのなら
ぜひとも連れていってあげたい場所があるわ…
貴方の事を、紹介してあげたい人がいるの?」
「ふえ?
合わせたい人?
私に?」
「ええ…
そこだったら絶対に
貴方の言う、お友達になりうる人がいる…
それでもしもよかったら、会ってもらってもいいかしら?」
「う、うーん‥」
青子にそう言われて、間衣は悩むように唸る
「青子さん‥‥
貴方は一体何を言って‥‥!?」
様子を見に来た冬三は慌てて青子の方によって行く
「あら?
この子だったら問題はないと思うわよ?
三葉さんとほぼ互角に渡り合ったこの子なら
きっと今よりも強い子になれると思うし、悪くないと思うけれど?」
「青子ちゃん…
いくらなんでもそれは…」
青子が何をしようとしているのかを
理解した冬三と三葉はあまり乗り気ではない口調である
「大丈夫よ、お二人とも…
私も他の御巫女子もそう簡単に
この子に不意を突かれることはないわよ
その方がきっとこの子にとっても
いい遊び相手になると思うし、何より…
ここにいる子供たちも安心できると思うけれどね・」
「「っ‥!」」
青子の言葉に何も言えなくなってしまう冬三と三葉
こうして間衣は青子の手引きにより
星座宮の御巫女子に招待されたのであった
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「ふうん…
その子、本当にうちに入れて大丈夫なの?
青子さんの見る目を疑うわけじゃないけれど
人格に問題がありすぎって感じがするんだけれど…」
薄暗いその場所でパチンパチンと
何かを討つ音が静かに響いていく
「でも聞くところによると彼女の星の力は
あたい達に比べると小さい方だけれども、素質はある
青子もお兄様に行って近いうちに顔合わせをするみたいだしね…」
「そう…
まあお兄様でしたら
そう簡単に落ちたりはしないだろうし…
しかし、うちもだいぶ変わってきたわね…
周囲からの評価もまちまちになってきているし
中には根も葉もない批評も入り混じっているわ…
本当にここから先、進んでいいものなのか…」
不安を口にする
「評子…
お主は本当に踏み込みが甘いわね…
そんなふうだから‥‥王手!」
「え!?」
相手が駒を打った盤面を見て目を見開く少女、評子
「たまには大胆にやってみるのも悪くないだろう?
それに、周りがたとえどう思っていたとしても
あたい達の進むべき道はすでに決まっているんだしね…」
「うう…」
負けたショックでがっくりとうなだれる評子
それを見た相手の少女はゆっくりと立ち上がる
「あたい達はもうすぐ…
この真っ暗な世界から
ようやく出ることができる…
そうしたら思い知らせてやれるわ…
あたい達のことを忘れてぬくぬくと過ごしている
愚か者たちにあたい達の過ごしてきた苦しみの日々をね」
「‥‥…」
不敵な笑みを浮かべながら、その場を去っていく友倫
「‥‥私たちの苦しみか…
お兄様の苦しみと言うのは
そこまで私たちが共感するに
値するほどに大きなものなのか…
もしもそうだとしたら、私達は…」
すると、後ろの方で何かが歩いてきた
「おや、何か不安なことでもあるのかね御車君」
「ふえ!?」
突然話しかけられて少し驚きの様子を浮かべる評子
その話しかけてきた相手と言うのは、彼女にとっても親交のある相手
「百子さん…
どうしてあなたがここに…」
「フフフフ、静かなこの場所で
何かを打つ音が響いたから、誰かなって思って…
まあ、大体予想通りだったけどね…」
星座宮の御巫女子の中で位が高く
その中でも飛びぬけ明るい、百子が話しかけてきたのだ
「結果はどうだった?」
「ふう、私の負けですよ…
と言うより、実のところ
百子さんはわかっていたでしょ?」
評子はややジト目で睨むと百子は笑顔を浮かべながら謝っていく
「ごめん、ごめん…」
「百子さん…
貴方はお兄様がかねてより
立てている例の計画について
どのように考えていますか?」
評子は不意に百子にそんなことを聞いていく
「お兄様は妹様方と、ともに
かの計画を立てている、そして
その計画のために私たちを集めている
これまでに多くの同志を集めているが
本当にそれは単純に戦力を整えるためだけなのか…
私にはどうしてもそれだけには思えないのです」
「うーん…
僕的にはその問いには
答えられそうにないね…
自分で言うのもなんだけれど
僕はそう言う難しい話とかはあんまり得意じゃないし…」
評子の言葉に百子は首を傾げていく
「‥‥でもさ、僕は大丈夫だって思うよ
だって兄さんは僕たちのことも考えて
その計画を進めているんだもの、だからね
僕は兄さんに全部任せることにしてるんだ」
「私は時より、貴方の事が羨ましく感じますね…
しかし、物事の先を考えてしまうのは
やはり性格のこともあるのかもしれませんね…
本当に私はこれで、こんな調子でいいものなのでしょうか…」
すると、評子の座っていた車いすを
百子はやや強引に引っ張って評子の思考を中断させた
「うわわわわ!?」
「そうやってしたばっかり見てても
余計に気分が暗くなるだけだよ、だから!
少しくらいはのんびり上を見ていればいいと思うよ?」
そう言って百子は評子に向かって笑みを浮かべて言う
評子はそんな彼女を見て少し笑いを浮かべていった
「百子さん、それを言うなら前を向いた方がいいじゃないですか?」4
「ふえ?
そっちの方がよかった?」
評子はそう言いながらも車いすの背もたれに
背中をもたれさせて力を抜くように一息つく
「でも…
そうですよね
たまにはそう言うのも悪くないかもしれないですね…」
「うん!
それじゃあ、そろそろ戻ろうか?」
そう言って百子は評子の車いすを押して
自分たちの拠点の方へと戻っていく、すると
「なんだか百子さんが私たちの指揮を
任されている理由が何となくわかった気がします」
「そうかな?
僕はそう言うのはよくわかんないけど
兄さんから僕が思った通りにやっていいって
言われているからそうしてる、それだけだよ」
評子は百子のその言葉を聞いて
やはり自分の言ったとおりだと感じていた
「お兄様の計画…
必ず私たちの手で成功させましょう」
「もっちろん!
兄さんといつでも一緒にね」
二人はそう決意を新たにするのであった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
そのころ
一人の少女が座っていると
そこに二人の少女がゆっくりと近づいてきた
「こんなところで何をしているんですか?」
「なんだよ、お前ひょっとしてさぼりか?」
「…‥あなたと一緒にしないでくれる真名?
貴方が最近任務を抜けがちで
その分仮名の手を煩わせていることは
もうとっくに耳に入っているわ、それに…‥
いよいよその時が近づいているからね…‥」
そう言って彼女が見つめるその先には
星座の都の暗闇に照らされた街並みを眺めていた
「それにしても、双子座の巫女に選ばれたのが
まさか本当に双子だなんてね、星の運命は本当に
面が白いようにその星座に合った運命を運んでくるなんてね…‥
ほかに帆二人ずつで選ばれているのは、魚座と猟犬座…‥
お兄様ももしかしたらそこがわかっているのかもね」
「そう言うあんたこそよく似合ってると思うぜ?
オリオン、巨人の血を引く英雄にして狩人‥
あんたほどの猛者にはぴったりの星座だと思うぜ?」
その場に座り込んでいる少女に対して
双子の荒っぽい方の少女がそのように返していく
「私はあいにくとそこまで
立派な英雄ってわけじゃないさ…‥
私は仲間の死を元に生き延びた…‥
それは決して許されない罪だ、でも
お兄様に出会って星座宮の御巫女子と言う
お兄様に仕えている仲間に出会えたことは
本当に私にとっては救いであるとも受け取れた…‥
だから決めたのさ、私に生きてほしいと支えてくれた
お兄様や妹君方、あんたたちのために戦うってね、だから…‥
最後のときまで私は星座宮の御巫女子の一人
オーリーオーン座の巫女として戦わせてもらうよ…‥
もう二度と、何も失わないためにね…‥」
「…そっか‥
あたしもお兄様のおかげで
仮名と二人で一緒に居続けられているんだ‥
私たち双子は忌み子として殺される運命だった‥
故郷を飛び出し、私たちを受け入れてくれる場所を
探していくうちに身を隠していく戦い方をしていくうちに
身を隠していくことにつかれて一時期は死ぬことも考えた‥
でも、そんなときにお兄様に拾われて
私も真名ちゃんも彼のもとに率いられた‥
お兄様との出会いが私たち二人の命を紡いだんだ‥
だからこの先、なにが待ち受けていようとも
私たちは最後までお兄様の方につくよ、たとえこの先
英雄たちと敵対することになったとしてもね‥
ね、真名ちゃん?」
笑顔で聞いていく仮名の問いに
真名は笑みを浮かべて返事をするのであった
そして
運命は動き出す
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
星座宮の御巫女子、総勢百数人
主力は主に88人、そのうち精鋭は48人
そしてそのうち幹部クラスは12人と28人
その中で指揮官は11人
その11人の目の前には玉座に静かに座る彼
彼の後ろに六人の少女、彼の両側に一人ずつ
そして彼の前に立ち、指揮官の前で控えているのは三人
少女達はそれぞれ、彼のもとに控えている
やがて彼は、自分の前に集まった一同を見下ろして
全員そろったのを確認すると、ゆっくりと玉座から腰を上げた
そして
「僕たちはかつて、それぞれがそれぞれ
自分たちの世界で過ごしていた、本来ならば
僕たちはここで会うことなくそれぞれの世界で
それぞれの生を謳歌していた、謳歌してたはずだった
だが、世界は僕たちの存在を否定しあろうことか
僕たちをこのような暗闇の奥深くに追いやった、まるで
僕たちが世界で生きていく価値のない存在だと決めつけたかのように
生きていくことの何が悪い
ただそこにいることの何が悪い
愛するものとともにたった一度の生を謳歌する事の
何が悪いというのだ!
世界は僕達を否定し、存在そのものを否定した
僕たちはただ小さな望みをこの胸に抱いていた
だが世界はそんな願いすらもこの手に抱くことを許さなかった
もしも、僕達の存在を決めつける権利が世界にあるというのならば
その世界の在り方を僕たちが決めつけるのもまたしかり、そうだ
今の僕達には力がある、だが世界に挑むにはまだ足りない
僕たちが今なすべきことはその力を手にし、世界を新たに
いいや、あるべき姿に戻す、だからこそここにいる全ての
力を一つに結び、世界に向けて宣戦布告を成す、そのためにも
僕たちの邪魔をするであろう者たちをここで倒しつくす
それを成しえた時こそが、僕達の戦いの始まりだ
それじゃあいこう、みんな
世界を否定するための戦いに…‥‥‥」
不穏な空気・・・・・・・・・