♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓     星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+       ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈   作:lOOSPH

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小犬座に懐かれた勇者・・・・・・・・・


小犬座の勇者

 

 

あの日から七年後

 

一人の少女が一本の刀を構えて

目の前の相手を見据えるように構えていた

 

目の前にいるのは、どこか優し気な

雰囲気を持った一人の少年にも見える人物

 

その人物も同じように剣を構えて

目の前の若葉を睨むようにして見つめている

 

「はああ!!!」

 

まず先手を取ったのは若葉の方

若葉は素早い身のこなしで一気に距離を詰めて

 

素早く刀を抜いて相手を斬らんと刀を抜く

 

だが、相手の方はそれを予期していたかのように

その一撃を自分の刀のあろうことか柄で撃つようにして返す

 

「ぐう!」

 

カウンターを返され、声を上げてしまうが

すぐに体勢を立て直して、すぐさま次に構えていく

 

「はああああ!!!!」

 

だが相手の方がそうはさせないと距離を詰めて

一気に若葉に一撃を食らわせんと攻撃を繰り出す

 

若葉もそれを見て刀を抜き

祖の一撃を受け、返すようにして威力を殺し

 

すぐさま次に攻撃を繰り出していく

 

相手の方もすぐに返しと攻撃を繰り出していく

 

やがて始まったのは刀の激しい打ち合い

その間にはお互いに打ち合う激しい音が響き渡る

 

「やああ!!!」

 

若葉は隙をついてとどめを刺さんと攻撃を繰り出すが

 

「甘い!」

 

見事に刀を弾かれてしまい

その首元に刀を突き付けられてしまった

 

「‥参りました」

 

若葉はそう言うと相手はゆっくりと刀を首元から放す

 

「ほっほっほっほっ‥‥

 

 いやはや、今の一撃はお見事でした‥‥

 

 よくぞ私にここまでついてこれましたね」

 

「ありがとうございます…

 

 ですが私、まだ冬三さんに

 一度も勝てたことがないんです

 

 勇者を引っ張っていく立場である私が

 この体たらくで、果たしてうまく戦えるのか…」

 

「若葉殿‥‥

 

 そうやって何もかも

 自分自身の責任を自分一人で背負おうとするのは

 

 貴方の悪い癖ですよ、これからともに戦うことになる

 勇者は何もあなた一人ではないのですから、貴方は強くなった

 

 三年間貴方を見てきた私が言うのです、もっと自分に自信を持ってください

 

 貴方は決して、弱くありませんよ」

 

そう言って若葉に言い聞かせるように呼び掛ける青年、冬三

 

「いいえ、弱いです…

 

 私はあの時、誰も守れなかった

 全員を守り切ることができなかった…

 

 私はもう二度と、あのような悲劇を繰り返したくありません…」

 

「本当に若葉殿は責任感がお強い‥‥

 

 ですが、そうやって自分の弱い部分ばかりを

 気にしていては、物事の本質を見誤ってしまうこともあります‥‥

 

 弱さを受け入れらることもまた、強さの証ですよ

 

 さあて、それではそろそろ急ぎましょう

 貴方は勇者ではありますが、同時に学生でもあるのですからね」

 

冬三にそう言われて、慌てて後をついていく若葉であった

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

「はい、本日の授業はここまで

 それではこれより連絡事項があります

 

 一等級勇者の皆さんは至急、春三さんのところに

 集まってください、これからのことで皆さんにお話があります」

 

そう言って教壇でトントンと資料の方をまとめている女性

優生はその場にいる少女たちの一部の者達に連絡を伝えていく

 

「…それから土居さん

 

 授業中に居眠りをしていた責任として

 放課後、特別授業を行いますので、必ず来るように」

 

「ふぎゃ!

 

 今回こそはばれてないって思ってたのに」

 

「タマっち先輩、そもそも居眠りがだめなんだってば」

 

優生に呼ばれた少女はがっくりとうなだれ

そんな彼女に呆れつつも声をかける大人しめの少女

 

「ぐーんちゃん、一緒に帰ろ?」

 

「う、うん」

 

様々な少女たちが、仲のいいグループでその場に残って

帰り支度をしたり、しばらくおしゃべりをしたりとさまざまである

 

「一等級勇者‥か…」

 

そんな中、若葉は優生の言った

その言葉を反芻するようにつぶやいた

 

英雄達が来るべき戦いのために集めた88人の勇者

 

勇者はそれぞれ加護を受けた星座一つにつき

一人いるために、必然的に総数は88人となる

 

勇者の力はその星座の中でひときわ輝く星

最輝星に比例して、その強さが決まっていく

 

その中で最も輝く星の加護を受けたものが一等級

そこから二等級、三等級と分けられていき、その中で

 

最も強く力を受けているのが大犬座の勇者で

逆に最も弱いのがテーブル山座の五等級勇者である

 

小犬座に懐かれた若葉もまた

勇者の中で最も強く力を受けた一等級勇者の一人なのだ

 

「どうしたの乃木さん?

 

 いきなり呼び出されたんで緊張してる?」

 

「歌野か、まあそれもあるんだがな…

 

 正直に言うと本当にこんな私が

 勇者を率いるという立場に立っていいものなのかと思ってな…」

 

そんな彼女に話しかけてくる一人の少女

 

「ほんとに乃木さんは生真面目よね~

 

 でもさ、私たちがこうして勇者に選ばれた以上

 すでにいろいろと覚悟の方を決めたとはいっても

 

 やっぱりみんな、思うところがあるわけじゃない?

 

 だからこそこういう時に頼りになるリーダーが

 必要になってくるんだって私は思ってるわ、それに

 

 乃木さんは別に乃木さんらしくやってもいいって私は思うわよ?

 

 だって私はそう言う乃木さんの方がすっごく頼りになると思うし」

 

「そうか…

 

 ありがとう白鳥さん

 

 少しだけだけど吹っ切れたよ」

 

だれに対してもフレンドリーに接してくる彼女、白鳥 歌野は

まじめでかたい部分もある若葉にも分け隔てなく接してくれるので

 

若葉自身にとっても気の置けない仲になっていた

 

「よかったら放課後、奢るわよ

 

 もちろん、蕎麦をね」

 

「あいにくだな、私の推しはうどんだ

 

 こればかりは譲れん」

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

そして

 

「ようし、全員集まってくれているな‥‥」

 

そう言って目の前の青年

春組の組長、東龍 春三は

 

自分の目の前できれいに整列した

十八人の少女たちを見回していく

 

「お前たちがどうしてここに呼ばれたか‥‥

 

 まあ、その理由については薄々感づいているだろう‥‥

 

 俺様たち英雄がどうしてお前達勇者を集めたのか

 その理由については特別授業の方でいくつか聞いているな?」

 

「はい、この世界を犯さんとする脅威と戦うために

 英雄の皆さんを集めていってくれたんですよね」

 

少女の一人が春三の問いに答える

 

「そうだ‥‥

 

 穢れはあいにくといかなる武器や力をもってしても

 決して倒すことはできない、唯一穢れを払えるのは

 

 星の力だ、そして星の力はどういう人間に宿る?」

 

「はい、心に穢れを持たない

 純粋無垢な心であればあるほど

 

 得られる星の力は大きくなります‥‥」

 

春三の別の問いに、また別の少女が答える

 

「そうだ、ではどうして少女なのか

 それは力のあり方にある、男の場合は放出

 女の場合は吸収、これはそれぞれの性を受けた時点で

 

 決まっているものだ、ゆえにお前たちに

 力を与え、勇者として備えさせた、近い将来にお前たちのもとに起こる

 穢れとの戦いに備えてな、そして、お前たちをここに集めさせた理由は‥‥」

 

「その来たるべき戦いの時が来た…

 

 そう言うことですね」

 

春三の言葉を遮るように若葉が答える

説明を遮られた事に対して春三は特に何も言わずに話を続けていく

 

「‥‥そうだ、そしてお前達一等級勇者は

 88人の勇者の中で最も強い力を持つ者達だ

 

 だが強すぎる力を持つ者は当然それに見合う責任を

 伴うのが、世の摂理と言うもの、そこでお前達には‥‥

 

 それぞれの組する組の勇者たちのリーダーとして

 勇者達を率いる立場となってもらいたい、俺様たちが

 それを担うべきなんだろうが、穢れは実質世界中に起こりうるもの‥‥

 

 時には別々の組同士で協力することもあるだろう

 なにより、俺様たちだけでは手が足りなくなる事態も起こりうる

 その足りない部分をお前たちに補ってもらいたいのだ、もちろん

 お前たちがそのすべてを背負う必要はないお前たちの思うようにすればいい

 

 其れがおのずと、お前達の力となるだろう

 

 俺様からは以上だ、それぞれもうところがあるだろうが

 気負うことなく過ごしてくれ、もちろん備えも忘れずにな

 

 では、解散」

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

「ふう…

 

 いつも通りに、か…

 

 覚悟はしていたつもりだが

 いざ、その時が来るとなると緊張するな…」

 

闘いの時が近くなってきたことを察し

改めて自分にのしかかる重圧に打ちひしがれそうになる若葉

 

緊張をほぐすために軽く深呼吸をしていた、その時

 

「ひゃ!?」

 

突然、若葉は自分のお尻を触られて

なんとも情けない声を上げてしまう

 

「ふっふっふ~

 

 なんとも隙だらけだぞ、若葉」

 

そこにいたのはいたずらが成功したような

無邪気な笑みを浮かべた一人の少女がいた

 

「わぁ~かぁ~なぁ~…

 

 おまえはまたそう言う人の嫌がることを」

 

「はっはっはっ…

 

 若葉って意外に隙が多いから

 からかいがいがあって楽しいんだよ

 

 それに、僕から見ても結構好みの部類だって思うし」

 

赤面してセクハラの犯人たる少女を鋭く睨みつける若葉

対するその少女は若葉のそんな様子を明るい様子で受け流している

 

「まったく…

 

 仮にもお前は私たち全員を取りまとめる

 立場なのだから、それにふさわしくふるまうことはできないのか?

 

 大犬座の勇者

 

 大居 稚菜」

 

「いいじゃない、こういう日常の時ぐらい

 少しでも安らげる時間を作っておかないと

 

 それこそ戦いのときに異様に力が入って

 すぐにへばっちゃうんだよ、若葉もさそうしてみたら?

 

 そうだな、それじゃあ今晩僕の部屋にいらっしゃい

 じっくりたっぷり可愛がってあげるからさ~」

 

そう言って指を卑猥な感じに動かして若葉に迫っていく

 

「嫌に決まっているだろ…

 

 少なくともお前の部屋にはいかん!」

 

「あら残念、でもさ

 

 僕はそう言うのも大事だって思うけれどね?

 

 若葉もさ、少しくらい自分の時間作ってもいいんじゃない?

 

 友達作って、いろいろバカやる時間だって大事なものだよ

 ましてや生きるか死ぬのかわからない、戦いにおいてはなおさら、ね」

 

稚菜の言葉に不思議と説得力を感じる若葉

 

稚菜の方はそれじゃあねと手を振って、その場から去っていくのであった

 

「友達‥か…」

 

若葉はふとそんな言葉を意味深につぶやくのであった

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

若葉は七年前までは

何気ない日常を過ごしていた

 

同級生たちから

まあ距離こそおかれていたが

別に疎まれているわけでもなく

 

ましてや嫌われていたわけでもなかった

 

その理由は自分の一番の理解者ともいえる

幼馴染の上里 ひなたの存在も手伝った

 

いつだって彼女の支えや仲介のおかげで

同級生たちとはそれなりに仲は良かったし

 

あの日だって、友達だと同級生に言われたときは

心の底から嬉しいと思えた、ううんうれしかった

 

もしも戻ってこられたのなら

もしかしたら楽しいことが待っているのではないか

 

年相応に喜ぶ自分を、若葉は感じていた

 

だがその未来は、決して訪れることはなかった

 

突如発生した穢れにすべてを奪われてしまったのだ

 

同級生はもちろん、人々は次々と殺され

自分とひなたも自分が生き残ることに必死で

 

ただ逃げ続けることしかできなかった

 

そんなところに、彼女は一匹の小犬とであったのだ

 

こうして若葉が小犬座になつかれて勇者となった

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

「もう私は、何もできずに

 ただ逃げるだけだったあの時とは違う…

 

 今の私には、奴らと戦えるだけの力があるんだ…

 

 私は必ずこの世界にはびこる穢れをすべてせん滅し

 報いを受けさせる、そして奪われた日常を取り戻す!」

 

ぐっと握りこぶしを作って決意を新たにする若葉

 

するとそこに、パシャリとカメラのシャッター音が鳴り響く

 

「フフフフ、決意を新たにする若葉ちゃん

 素敵です、これでまたも私の若葉ちゃんフォルダーが増えましたね」

 

「うわああ!?

 

 ひ、ひなた!?

 

 何時からそこにいたんだ!?」

 

そこにいたのは彼女の幼馴染のひなたであった

 

「若葉ちゃんのいるところでしたらどこにでもいます

 

 ベストショットは片時も逃しません」

 

「冗談に聞こえないからやめてくれ…」

 

真顔でそう答えるひなたに苦笑いを浮かべて返す若葉

 

「‥‥いよいよですね、若葉ちゃん…

 

 できることでしたらこのまま

 来てほしくは、なかったのですがね」

 

「‥私だって同じ気持ちさ…

 

 だが、穢れは自然に発生するもの

 遅かれ早かれ現れることは定められている…

 

 それが今だというそれだけのことだ…

 

 私は必ず、この戦いを制して見せる」

 

そう言って窓の外から見える星空を見上げる

 

「若葉ちゃん

 

 やっぱり若葉ちゃんは

 その方が似合っていますよ

 

 でも、もしも困ったことがあれば

 その時は遠慮しないで弱いところも見せてくださいね」

 

「‥ああ…

 

 その時はよろしく頼む」

 

そう言って二人は一緒になって夜空の星を見上げていた

それを見ていた二人は不思議な気持ちになっていた

 

まるで星空の輝くその夜空が

不安で押しつぶされそうな自分たちを包み込んで

 

安心させてくれるような、そんな気がしてくる

 

「‥‥いまの時期で見える星座は

 七夕で有名な彦星と織姫星…

 

 そこに橋を作って

 二人を合わせてくれるカササギ

 

 その伝承のもとである、夏の大三角でしょうか?」

 

「冬三さん」

 

不意に話しかけられてその方に顔を向ける二人

 

そこにいたのは

 

「いやはや、この年になると

 夜に目がさえてしまいましてね

 

 少し散歩をしていたのですが

 まさか若葉殿やひなた殿にお会いするとは‥‥」

 

「‥申し訳ありません…

 

 どうしても戦いの時が近いと思うと

 どうしても寝付くけなく、それで…」

 

若葉は頭を下げて謝罪する

 

「でしたらすぐにでも部屋に戻って

 少しでも睡眠をとった方がいいですよ

 

 闘いは万全の体調で臨まなくてはなりませんからね」

 

「「はい」」

 

冬三にそう言われて慌てて自室に戻っていく若葉とひなた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは小犬座に懐かれし勇者の戦いへの序章

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    




一握りの不安を抱えて・・・・・・・・・
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