♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓ 星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+ ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈ 作:lOOSPH
88人の少女達が勇者となって
長い時が流れ着いてきた、穢れを問題なく
討伐してきた勇者たちであったが、英雄たちの表情は
どこか浮かない様子のようにも思えた、その理由は
日に日に強大になっていく穢れの力であった
「ふう‥‥
ここ最近の穢れは
だんだんと強くなってきている‥‥
たくさんの人々から多くの穢れが
生み出されていると仮定しても、これは異常だ」
その問題をどうにかしたいと英雄
その中でも組長と呼ばれる四人の人物が集まっていた
「…そうだよね…
勇者のみんなにはしっかり
訓練の場を与えているけれども…
やっぱり人として強くなっていくのには限界がある…」
春組の組長
春の大曲線の槍使い
東龍 春三
彼が議題を述べると勇者の成長が
穢れの成長に追いつけていない現状を憂うのは
秋組の組長
秋の大四辺形の長刀使い
西虎 秋四
彼女が述べていく
「そうだ‥‥
もちろんだからと言って
あいつらへの訓練を厳しくするつもりはない
訓練で体がボロボロになっては意味がないからな」
「やはり…
勇者システムをアップロードするほか…」
秋四がシステムの強化を提示するが
「やめておきな…
勇者の力はただでさえ
人の身には過ぎているんだ
適性があるとはいえ
まだ成熟しきっていない娘たちに
過ぎたる力を与えれば今後の活動にも
支障をきたす恐れがあるぞ、俺は反対だ」
それに反論したのは
夏組の組長
夏の大三角の矛使い
南雀 夏三
彼であった
「しかし…
穢れの成長の速度を考えると
ほかに方法も見つけられないし…」
「だからと言って、いつ終わるのかも
わからぬ状態でそんな一か八かの方法など
後遺症が起こった後のリスクも高い!」
秋四と夏三が口論していると
「はっはっはっはっ‥‥
秋四殿も夏三殿も落ち着いて下さい‥‥
確かにお二人の心配もごもっとも
確かに勇者の皆さんが強くなることは
システム面でも肉体面でも重要でしょう‥‥
しかし、皆様方はもっと
根本的な事に目を向けておりません」
そう言って場を収める老人は
冬組の組長
冬の大六角の杖術使い
玄亀 冬三
彼はそう言って口論を沈めた
「根本的な問題?
それは一体?」
「何ゆえ穢れは驚くべき速度で
早く大きくなっているのかですよ
そこをどうにかしなくては
システムも肉体もいくら強化しても足りますまい」
冬三はそう言って意見を述べる
「それは、そうだが…」
「でも、その原因っていうのは…」
「ええ、ですがいずれは
戦わなければならない相手‥‥
避けては通れぬ道では?」
「‥‥そうだな‥‥
引き続き似非の奴にも
調査の方を進めていこう‥‥
勇者たちの活動も当面は
穢れ退治に当てて実戦経験を積ませる‥‥
時が来れば、また別の訓練も始めなければな‥‥」
冬三の意見を指示する春三だが
その表情自体はどこか物欝気であった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
秋組、控室
そこでは何人かの少女が集まっていた
「‥‥ようし、集まってるね!」
「イエス!
山羊座の勇者
三等級勇者の白鳥 歌野!
すでにここにウェイトしているわ!!」
その中に入ってきた、一人の少女を見て
一人の少女が元気いっぱいに挨拶をする
「相変わらず元気ね、歌野
それじゃあ、他の子達はもう集まってる?」
「イエス!
とはいってもどのくらい集まるのかが
アイドンノーなんだけれどね、ウフフフフ」
その少女、歌野の明るさに
入ってきた少女、御波は若干呆れながらも笑みを浮かべる
「まったくもう‥‥えーっと…」
御波はじっと周りを見渡していき
そこにいる全員を確認していく
「えーっと、恵ちゃんに宇津美ちゃんにそれから…
千景ちゃんもいるわね」
「っ!」
名前を呼ばれて、部屋の隅っこで
そわそわしていた千景はピクリと体を震わせる
「うん、全員揃ってるわね
それじゃあさっそく場所を移動してもらうよ?」
「ちょっと待ってください?
移動って、どういうことです?
ここにいる全員で
今回のお役目に行くのではないのですか?」
待機していた一人が御波に質問する
「実はどうやら今回発生した穢れは
妙に規模が大きくなってる見たいで
ほかの組と合同になって活動していくことになったの…
これからそのチームの子達と会ってもらうことに
なってるから、すぐにここから移動してもらうわ」
「ワアオ!
それって前代未聞じゃない?
すっごくアメイジングなケースね」
「それで、御波さんは私たちの指揮を?」
歌野はかつてない例に驚きを隠せない様子
すると、隣にいるどこか気の強そうな少女が聞く
「いいえ、残念だけれど私は別のお役目に行く必要があるから
皆と一緒にはいけないわ」
「え…!?」
御波の言葉を聞いて、驚愕の表情を浮かべる千景
彼女の中で御波は良くも悪くも自分に構ってくれていた
そんな彼女とこれから別々に行くことになると知り、千景は
自分の心の中に不安が大きく渦巻いているのを感じていたのだった
「あ…あの…
それじゃあ…誰が私たちの指揮を…?」
千景は思い切って御波に質問すると
「大丈夫よ、千景さん
これから一緒に戦う冬組の勇者さんの中に
一等級勇者の子がいるから園子が指揮を執るわ…
その人はね…」
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
「フン!
はああ!!!」
「ほっ!
やああああ!!」
鍛錬場において二人の少女が手合わせをしていた
その二人はともに同じ剣を武器にしているが、技術が違う
一方は日本剣術の抜刀術、一方は西洋剣術のフェンシング
だがそれぞれのスタイルは違えどその実力はほぼほぼ互角であった
やがてしばらく手合わせをすると、ふうと一息をつき
ゆっくりと床の上に腰を下ろし、それぞれ水分を取っていく
「ふう…
相変わらず容子のフェンシングの腕前は見事だな」
「ありがとね…
若葉の剣術は、どこかぶれてる感じがした…
何か迷いや悩みみたいなのがあるの?」
そう言ってお互いの評価を口にする二人の少女
剣術を使う少女は
小犬座の勇者
乃木 若葉
フェンシングを使う少女は
一角獣座の勇者
一ノ瀬 容子
二人はともに冬三が指揮する
冬組に所属している勇者である
二人は習う剣術こそ違うが
同じ剣を使うものとして何か通じるものがあるのか
こうしてお互いの剣をぶつけたりと
気の置けない友人関係を築いていた
「‥‥やっぱり、これからの合同任務について
不安みたいなのでもあるのかな、確か秋組の子だよね」
「ああ、秋組には鍛錬時代の時からの友人の
白鳥 歌野と言う者もいるんだが、いかんせん
ほかの者達とはあまり面識がないのでな、いずれ
顔を合わせないといけないとはわかっているのだが…
それでもどうにもな…」
そう言ってやや緊張気味に話をしていく
「フフフフ、若葉ってば
ほんとに真面目だよね
これからのことで
そこまで考えるなんてさ」
「そ、そんなことは…」
すると、若葉の手にポンっと優し気に肩を置く容子
「そうやって一人で何でも
抱え込んじゃうところ若葉の悪い癖だよ
大丈夫だって、歌野ちゃんも私もついてるんだし
いざってときは私が出来るだけサポートしていくからさ」
「容子…」
容子は笑顔を浮かべて言いきると
若葉の表情にも自然と笑みが浮かんでいく
「ありがとう、少し気が楽になったよ…
そう言う事だったら遠慮なく頼らせてもらうぞ?」
「ええ、まっかせなさい」
二人がそう言っていると
「若葉、容子!
二人ともそろそろ出ないと
もうこの鍛錬場は締め切るわよ
ほら、早く着替えてしまってしまってちょうだ頂戴」
部屋に入って呼びかけるように言ったのは
大犬座の勇者
大居 稚菜
彼女であった
「分かったすぐに準備をする!
急ぐぞ容子」
「ええ、其れじゃあちょっと待っててね」
そう言って二人は急いで脱衣所に向かい
着替えてさっそく集合場所に向かって行くのであった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
集合部屋
そこでは若葉たち二人の少女達がすでに集まっており
そこに秋組の少女達が扉を開けて入っていくのであった
「あ、若葉ー」
「歌野、久しぶりだな」
若葉の姿をかくにんすると手を振って声をかけ
若葉もまたそれに気軽に声をかけていくと、すぐに真面目な表情になる
「さて、秋組のみな
今回のお役目において
ここにいる者達の指揮を一任された
一等級勇者 小犬座の勇者
乃木 若葉だ…
今回お前たちと合同で役目に至るのは初めてになる
至らないところもあるだろうが、本日はよろしくお願いする」
そう言ってその場にいる秋組の勇者たちに自己紹介をする
「四等級勇者 一角獣座の勇者
一ノ瀬 容子だよ
ここにいる乃木 若葉と一緒に
今回のお役目に同行させてもらうことになった
一緒によろしく」
「三等級勇者 山羊座の勇者
白鳥 歌野よ!
こちらこそよろしくお願いするわね」
そう言って率先して自己紹介をする歌野
「貴方が白鳥さんね
貴方の事は若葉から聞いてるわ
農業が趣味でお蕎麦が大好きなんだって?」
「おお、私のこと聞いているのね
だったら私のことは名前で読んでオーケーよ
若葉とフレンズなら貴方ともベストマッチングしそうだしね
あとそれと、良かったら私とお蕎麦派の方に入らない?」
何故か蕎麦派に勧誘されながらも交流を深めていく二人
「そ、それじゃあ私も…
五等級勇者 顕微鏡座の勇者
加賀美 恵です‥
よろしくお願いします」
そう言ってやや自信なさげに名乗る恵
すると
「ああもう、じれったいわね!
仮にもこれから穢れ退治に行くんだから
もっと堂々としていなさいよ、そんな調子じゃ
こっちの雰囲気まで暗くなっちゃうっつーの!!」
「ひい!」
そんな恵の態度にややいらだった様子で言い張る少女
「うおっと…
随分とはっきりと言う子ね…あの子…」
「あの人は王野 宇津美さん…
二等級勇者 ケフェウス座の勇者よ」
余りにはっきりとした物言いにやや遠めに見つめて
歌野の説明を受けて、彼女のことを理解する容子
「二等級勇者か…
貴重な上級戦力がいるということは
今回対峙する穢れはそれだけ手ごわいという事か…
これはより一層気を引き締めないといけないな」
「フフフフ、ほんとそういうところ変わらないわね若葉
そんな若葉になんだけれど、ちょっと紹介しておきたい人がいるの」
そう言って歌野はある人物の方に目を向ける
若葉と容子はその視線の先を見ると、そこには
ワインレッドのカーディガンを着た、黒い長髪の少女
彼女は部屋の隅っこの方で
誰ともかかわろうともせず壁にもたれてゲームをしているのが見えていた
「あの勇者は…?」
「郡 千景さん…
鶴座の勇者で宇津美さんと同じ二等級勇者よ
あの子っていつもああやって誰ともかかわろうとしなくって
どこか距離があるというか、壁を作っているというか…」
「そうなのか…」
若葉はそんな少女、千景の方を見てゆっくりと近づいていく
「えーっと、郡 千景だな?
私は今回の任務で君たちのリーダーを任せられている
一等級勇者 小犬座の勇者
乃木 若葉と言う…」
「…知ってる、さっき聞いたわ…」
若葉はおそるおそる話しかけるが
当の千景はきっぱりと突き放すような口調で言う
「ちょっと!
話しかけられているのに何その態度!!
仮にもこれから一緒に
穢れ退治にいくんだから挨拶ぐらいできないの!?」
「…別に仲良くしたいわけじゃない…」
見るに見かねた、宇津美は
態度の悪い千景に対して厳しく注意するが
千景の方は特に気にすることなく、態度を変えない
「あんたね!
これから一緒に戦う仲間なのに
損な態度ばっかり取ってていいと思ってんの!?」
「私は別にいい…」
宇津美はその態度に
段々と腹を立てているのか
錨の形相を浮かべていくが
彼女と千景の間に割って入る者が現れる
「まあまあ待ってくれ
今回初めての合同任務で
緊張しているのだろう、だから
ここは抑えてくれ、まあとにかく
今回はよろしくな郡」
「……」
若葉が同に過疎の場を取り持っていき衝突は避けられる
宇津美は千景を睨みながら彼女の元を離れていくのだが
千景の方は相変わらずゲームの方に没頭しているのだった
「ナイス、若葉!」
「ああ、さすがに任務が始まって
勇者同士の関係がこじれるのだけは避けたいからな
それにしても歌野、郡はいつもあんな感じなのか?」
若葉は歌野に千景のことを尋ねる
「ええ‥‥ほとんどの人にはあんな感じよ…
でも、あの子って冷たいんじゃなくって
他人と付きあうのが苦手って感じなのよ
だってうちの組長と仲良く話をしてるところ見かけたし…
「秋四さんと、か…
だとすると、私もせめて
気のおける中になれるように努めないとな…」
そう言って千景の方を見つめながら決意を新たにする
するとそこに
「みなさん、揃っていらっしゃいますね」
一人の年配の人物が部屋の扉を開いて入ってくる
「冬三組長!」
若葉がそう言うと、一同は素早く控えていく
ゲームをしていた千景の方もゲームを中断して控えていく
「ほっほっほっほっ‥‥
楽にしていて構いませんよ皆さん‥‥
さて皆さん、皆さんも大体は察していると
思いますが今回の穢れはとても大規模です
一組の勇者のは剣のみでは追いつけないほどに‥‥
そこで先ほど、他の組の方々と話をした結果
秋組の皆さんと合同で討伐に向かうことになりました
突然のことで何かとなれない部分があるでしょうが
組は違えどともに穢れの脅威よりこの世界を守るための
同じ勇者なのです、同じ志ウがあるのならば何も問題はないでしょう
私からは以上です、其れでは早速向かいましょう…
若葉嬢、勇者の皆さんの指揮、お任せいたしましたよ」
「はい!
一等級勇者の位と
小犬座の勇者の名に恥ぬよう
精一杯お勤めをさせていただきます!!」
若葉はそう言って決意を表明する
「はっはっはっはっ‥‥
いやはや、本当に若葉嬢は
しっかりしたお嬢さんですな…
では向かうべき場所に行きましょう…
では‥‥」
冬三が歩いていくに対して
若葉を先頭に六人の少女も後をついていくのであった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
さっそく、穢れの発生した場所に到着する四人
「うわ、あっつい…
こんな火山地帯に穢れなんているの?」
「いるもなにも、この場所こそが穢れですよ」
冬三がそう言うと、少女達は吃驚したように冬三の方を見る
「なるほど…
ここは、配置系の穢れですね」
「さよう、この場所はもはや
この穢れが広がったことで原型を
もはや、とどめてはおりません、しかし‥‥
それでもこの穢れがこの世界を
覆いつくすには猶予があります、ゆえに
こうして私達がここに来たのですからな‥‥」
「確か、配置系の穢れの特徴は
その場所の奥のどこかに核になるものがあるんでしたよね」
恵が恐る恐る、冬三に聞いていく
「恵、あんたね!
仮にも英雄様に対しても
なんでそんなにびくついてるのよ」
「まあまあ、宇津美譲‥‥
恵嬢は意を決して質疑をしたのです
どうかそれを咎めないで上げてください‥‥」
冬三に言われて、宇津美は口ごもってしまう
その冬三はさてと、と一息を突きながらつぶやいた
「恵嬢の言う通り、配置系の穢れは
その奥に核とも呼べる心臓部があります
その場所こそが一番に狙う場所ですが
何分この穢れは範囲が大きく、探索が困難です‥‥
よって、まずは探索しつつ
核があるであろう、最深部の方を目指しましょう‥‥
若葉嬢、お願いします」
「分かりました…
先程冬三組長が言った通り
この穢れは今も拡大を続け
この世界を飲み込まんとしている…
だが、配置系の穢れである以上は
必ずどこかに核と呼べるものがあるはずだ
よってここから、探索をしつつ穢れの拡大を
止めるためにこちらからの攻撃もしていこうと思う
其れでは早速始めよう、任務開始だ!」
若葉の言葉にその場にいた五人の少女も頷く
こうして、冬組と秋組の合同任務が開始されるのだった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
その場所はまるで
焼却炉か何かに入っているように
辺りにごうごうと炎が燃え盛っていた
その炎に注意しつつ、穢れの核の探索にいそしむ
「それにしても、本当にホットな場所ね…
何だか、炎が燃えている炉の中を
スモールになってウォークしてる気分よ」
「確かに炎が激しいな
勇者服のおかげなのか
それほど熱くは感じないが…」
歌野の言葉に若葉は賛同しつつ
辺りに噴き上げている炎を見回していく若葉
「ほっほっほっほっ‥‥
勇者の皆さんは
星霊の力に守られていますからな‥‥
この噴き上げている炎は言うならば
融合と分裂を繰り返した際に噴出した穢れそのものなのです‥‥
ですから、皆さんは炎の熱による影響を受けていないのですよ」
「そ、そうなんですね‥」
「どんな相手であろうと関係ないわ!
私達は穢れを倒す、それだけよ」
宇津美がそう言ってあたりを見回していく
「うん、王野の言う通りだ…
確かにこの穢れは今までにないほどに
大きく広がっている、だがそれでも穢れである以上
ここで何としてでも倒しきらなければならない…
私達はそのために来たのだからな」
「そうね…
私達勇者は、そのためにいるんだもの…
やるべきことはやるわ」
若葉の言葉に千景がやや冷たくも
はっきりとした声で言いきって見せる
「その通りです‥‥
しかし、お気を付けください‥‥
本来ならば噴き出された穢れは
何をするまでもなく、消滅していきますが
どうやら、この穢れも例外なく最近の穢れと
同様の現象が起こっているようですな、皆さん!」
冬三が呼びかけるように言うと
噴き出した炎がまるで骸骨と肋骨と背骨のみのような形で
長い体躯を持った、怪物の姿になって一同に襲い掛かっていく
「若葉さん!」
「はい!
どうやら敵も私達を
迎え撃つ、つもりのようだ…
ならば戦うのみ
行くぞ、私に続け!!」
冬三に号令され、若葉が全員に声をかける
それを聞いて若葉を先頭に迫りくる巨大な怪物たちに
戦いを挑んでいく、若葉は自分の得物である刀を構え
そのまま、怪物の方へと向かって行く
「やああ!!!」
若葉はそう言うと、居合抜きのように
勢いよく刀で前の方を切り、目の前の怪物に斬りかかっていく
怪物は切られてしまい驚いたように仰け反るが
すぐに元に戻し、再び若葉の方へと向かって行く
「フン!」
若葉はそれを抜いた刀を上手く使って防御し
勢いよく吹っ飛ばされて行くがすぐに体勢を立て直す
その際にうまく攻撃を切り返して
相手の直撃をそらしたのはさすがと言うべきか
「く…
さすがに素のままでは
決定打にかけてしまうか…
だったら!」
そう言って若葉は剣を顔の横にまでやって構える
すると、若葉の刀にまとわりつくように地面に纏わりついていく真っ暗な何か
それが、若葉の刀を真っ黒に包み込むと
「悪鬼、召喚!」
そう言って地面を刀に突きさすと
刀を中心に若葉の周りに、陣のようなものが広がっていく
それはまるで、若葉に纏われて行くように
彼女の体を包み込んでいき、彼女もそれに
身をゆだねるようにして力を抜くように目を閉じていく
「本来ならばこのような力…
勇者としてはあるまじきことなのだろうが
それでも私にはお前の力が必要だ、だからまた…
私に力を貸してくれ!」
そう言って目を開ける若葉の目は赤黒く光っていた
手足は黒いオーラにつつまれ、若葉は再び剣を構える
「はああ!!!」
若葉は勢いよく目の前の怪物を斬りつけていく
斬りつけられた怪物は、その箇所から勢いよく
黒いオーラを噴き出し、爆発するように霧散し消滅した
「ぐう…
さすがに悪魔の力を
その実に宿していくのは負担が大きいか…
一瞬だけだから大した問題ではないとはいえ…
早々、何度も使うわけにもいかないな…」
一等級勇者 小犬座の勇者
乃木 若葉
彼女の武器は彼女の戦闘スタイルに合わせた刀で
幼少の頃より剣の手ほどきを受けていたためにとてもあっている
しかし、彼女の武器はあっているが属性はあっているとはいいがたい
彼女の勇者としての属性は、冥
冥とは死者の怨念や魂が集まっていく冥府のこと
冥属性はゆえにその怨念の力を
纏う事によって、攻撃の威力を大きく上げていく
だが、冥属性が使うのは其れだけでなく
地獄に住まう悪魔を呼び、使役することもできる
ともに戦うことのできるパートナーとして
その身に纏わせることで勇者としての力も大きくできる
だが、若葉はどうにもこの力を使うのに抵抗を覚えている
其れは彼女の家柄や性格、いわば精神面が影響されている
彼女の家は信仰心の強く、良くも悪くも厳格な家
ゆえにいくらそれが勇者としての属性であるとわかっていても
自分の家が侵攻している神や仏と対局の存在たる
悪鬼や死せる者達の力を使う事にはどうしても嫌悪感がでてしまう
冬三の教えのおかげである程度は割り切れたが
それが原因で体に大きな負荷が出来てしまうためにあまり多くは使えない
「やはりここは‥抑えめで行くか…」
若葉は故に、刀に怨念を纏わせて武器の威力を上げる
元々若葉の戦闘センスは良い方の良いためにこれで充分である
「やああああ!!!」
そんな若葉のもとに現れて
武器であるレイピアを勢いよく突き出していく容子
「まったく、相変わらず無茶するのね若葉」
「容子‥すまない、助かった」
若葉の横を通って、突き出された突きの先には
さらに現れた怪物の姿があり、若葉は感謝を述べる
「なあに任せておきなさいよ
若葉たちには遠く及ばないけど
私だってそれなりに強いんだから!」
そう言って容子は武器であるまるで
大きな一本の角を思わせるレイピアで空を切り
その切っ先を自分と自分のともに向かってくる怪物の方に向ける
「行くよ」
そう言って容子は、ゆっくりと
レイピアを振り回していくと、まるでそこには
容子の姿がいくつにも分かれていくように見えていく
怪物は構わずに向かって行くが
自分の攻撃は見事に、容子の体をすり抜けていってしまう
怪物はあまりのことに大いに動揺してしまった、そこに
「やああああ!!!」
容子の必殺の一撃が怪物に勢いよくつかれ
その一撃を受けた、怪物は頭部の骸骨の部分に大きな風穴があけられる
「ふう…
ま、こんなものかな?」
容子はそう言ってヒュンっとレイピアで空を切る
「すごいですね、容子さん‥
ようし、私も頑張りますよ!」
恵がそれを見て、両手に杖型の鞭を持ち
それをふるって、自分に迫っていく怪物と対峙していく
怪物もそれを見て恵をかみ砕かんと
大きな口を開いて迫っていくのであった
すると
ギャ!?」
かみ砕いたはずの恵はそのまま消滅し
怪物の歯が勢い余って激しい音を鳴らしていく
するとその怪物の後ろの方から
「えええい!!」
恵が鞭をのばして、それを勢いよくふるって行く
怪物の後頭部は勢いよくバツ字に裂けられる
怪物は爆発するように霧散し、消滅していった
傍にいた怪物は分が悪いと考えたのか
ふと一人、孤立をしている少女に気づいて向かって行く
「千景!」
若葉がそれに気が付いて
千景のもとに向かおうとするが
声をかけられた千景は手に持っている
大鎌を構えていき、勢い良く踏み出していく
すると
「はあ!」
千景の人数がなんと、七人に分かれ
それが一斉に怪物に切りかかっていく
その殆どの攻撃は怪物に対したダメージを
与えていくことはないが、最後の千景が飛び出し
「はあああ!!!」
大鎌を勢いよくふるい
怪物の胴体を縦に真っ二つにした
「ふう…」
大きく振り下ろした大鎌をゆっくりと持ち上げ
その柄を抱えるようにして自分の肩に置いていく
「あれは…!?」
「月属性の力で作った分身ね…
まさか、ここに月属性の力を持った
勇者が三人も居るだなんて、何だか吃驚」
月属性
若葉の使う冥属性と同様
闇の力を扱うものである
だが、若葉のそれと違うのは
月属性は幻想的な魅力を醸し出している月夜の如く
相手に幻想を見せて、翻弄していくというものだ
相手に幻覚を見せて翻弄したり
相手に自分がいると思わせたり
自分自身を増やして、いわば分身を見せたりと
とにかく、相手を翻弄するのに特化しているのが特徴
「みんなやるわね、グッドファイトよ
さあて、私もルーズしてられないわ!」
そんな一同の戦いを見て、歌野もがぜんやる気になり
びしっと武器である鞭をのばして構えて、目の前の怪物を見据える
恵の使う鞭は言うならば教鞭のような伸ばして転回するタイプではなく
一般的に良く知られているひも状の鞭であり、一番なじみのある形だ
「さあ、アタック!」
そう言って歌野は勢いよく、鞭をふるって行く
その鞭はまるで目にも止まらないという言葉が似あうほどに素早いものだ
さらによく見てみると、鞭の攻撃を
当てている部分には、何やら光っているものが見える
「やああああ!!!」
それによって放たれた鞭の攻撃は
何と瞬く間に怪物の大群を切り裂き続けていった
「鞭による攻撃が、まさかここまで…」
「なるほど、日属性を鞭に付与しているのね」
若葉と容子が、歌野の戦い方を見ている
山羊座の勇者 白鳥 歌野
彼女の属性は、日属性
日とは太陽、世界にひるまをもたらしている光を生み出している
ゆえに日属性は、光の力を主に使うことが出来る
光そのものに攻撃力はないが、それを武器あるいは自身に
付与させることでその真の力を発揮させることが出来る
歌野のように鞭に日属性を付与させることで
攻撃の威力を上げ、相手に確実にダメージを与えることが出来る
「フフフフ…
新鮮な野菜を育てるには
良質な土と豊富な水、そして…
暖かい日差しなのよ!」
そう言って決めポーズを決めた歌野
「フン…
なんだかんだ
うまくやっているみたいね…
でもね、それだったらこっちも
負けてなんていられないってのよ!」
そう言って宇津美は手に持っている
斧を上げ、それを大きく振りかざしていった
「うおおお!!!」
宇津美が斧を高く掲げると
その彼女に向かって天から光が照らす様に差し込み
さらには、その彼女の周りを風が吹きあがっていく
ケフェウス座の勇者 王野 宇津美
その属性は天属性
天とは神や仏のような神聖なるものが住まう場所とされている
ゆえに天属性を持つ者は特に神の加護を受けているとされている
天属性は言うならば天候、雨や嵐などの
古来から神の御業とされていた力を扱うことが出来る
勇者が使うそれは、本来の天候には遠く及ばないが
それでも戦闘においてはとてもたのもしいくらいの力になる
「はあああ!!!」
宇津美は斧に竜巻を思わせる風を纏わせ
それを敵である怪物に向かって勢いよくふるって行く
見事、剣でたたきつけられた怪物は
そのまま、体が吹き飛ぶほどの暴風によって散り散りにされ
跡形もなく吹っ飛ばされて行ってしまうのだった
「おお…」
「すごい…」
その力を間近で見た若葉と容子は
素直にその一撃を見て驚愕と感服の声を上げる
「ま、このくらいは勇者として当然よ」
そう言って武器の斧を肩に背負うように置いていう
みると、怪物はすでに一体もいなくなっていた
するとそこに
「ほっほっほっほっ‥‥
どうやら皆さん、これまでの鍛錬や
戦いの成果が出てきているようですな」
「冬三翁!」
冬三が一同のもとに合流する
「冬三さん、無事でよかったです」
「なあに、このようなご老体でも
皆さんの足を引っ張るようなことはしませんよ‥‥
さて、どうやら湧き出した穢れはあらかた片付いたようですな」
そう言ってあたりを見回していく冬三
彼の言う通り、湧き出していた怪物は見当たらない
「ようし…
とりあえずこの場に居る
怪物たちはあらかた倒しきったようだ…
だが、ここは穢れの中で
怪物は実質、無限に湧いて出てくる
敵の勢いがないうちに、穢れの核に向かおう」
「イエス!
あんな怪物が外に漏れだして
被害が出るようになったら、それこそ大変だものね」
「私もそれに賛成…
進めるだけ進んだ方がいいわ」
若葉の言葉に歌野と容子も賛成する言葉を言う
他の面々も、口には出さないが特に反論はないようだ
「そうですな‥‥
ですがここは少し休んで
ある程度力が回復しだい、向かいましょう」
「待ってください、冬三さん!
あんまりのんびりしていると
すぐにまたさっきの怪物が現れるかも…」
「宇津美嬢‥‥
無理して行ったところで
無駄に命を散らすだけです
それに、穢れの発生は
このあたりの穢れの濃度が濃くなって
有り余るようになるのだからこそ引き起こされるもの‥‥
皆さんのご奮闘のおかげで穢れの群れは倒され
この通り、今はこの配置型の穢れの形を維持する
必要最低限の穢れしかありませんよ、それに万が一‥‥
再び、穢れに襲われてようものならば、その時は‥‥
冬組組長たるこの私が直々に穢れを切り伏せて御覧に入れますよ」
そういう冬三つの言葉は優し気ながらも
どこか威厳にある発言に聞こえ、圧迫感を覚えていく一同
冬三に意見した宇津美もそれを聞いて
納得したのか、それとも畏怖したのか
大人しく引き下がっていくのであった
「‥そうだな、確かに穢れの討伐は
大切なことだが、それと同じくらい
ここにいる全員が生き残ることも大事だ…
各自警戒しつつ休息をとっていこう…」
若葉がそう言って一同に声をかけていく
やがて、それぞれが仲のいいグループに分かれていく
しかし、グループとは言っても
「……」
「…ふん…」
「…あ、あわわわ‥」
千景、宇津美、恵は単独だった
千景はどこか、他の面々と距離を取るように
宇津美は一同をどこかうっとおしそうに見回し
恵は他の誰かのところに来たいが勇気が出ないといった感じである
そんな中
「お疲れ様、若葉」
「うまくまとめられているわね
さっすが私たちのリーダーね」
「いいや、まだまだだ
冬三翁にサポートされたようなものだ
はっきり言って今のままではいけないだろう…」
そう言って若葉はゆっくりと立ち上がって
刀をスッと腰に差して辺りを見据えていく
「私は必ず…
穢れと言う存在に報いを受けさせる
何事にも報いを、私の家の家訓に恥じぬよう
もっと力と能力を高めなくてはならない…
そのためにももっと精進しなくては…」
若葉はそう言って改めて決意を秘める
その様子を変わらないわねと見つめる歌野と
若葉らしいわねと笑みを浮かべる容子
その様子をなぜかかっこいいと見とれている恵
やる気はあるみたいねとまあいいやと言うような様子の宇津美
千景は特に何も思わず、ただ武器である大鎌の柄を抱えているのだった
剣が生まれる場所へ・・・・・・・・・