♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓ 星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+ ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈ 作:lOOSPH
とある場所
なにやら急いで走っていく
一人の人物の姿がその夜に見えた
「はあ‥‥はあ…はあ‥‥…」
なにやらその表情は
焦っているようにも見える
その青年はどこかに向かっている
「‥‥先生が大変なことに…
そんな‥‥どうして…こんな‥‥…」
すると、青年の目には
驚くべき光景が映し出されて行く
そこには見上げるほどに巨大な怪物
よくよく見ると、その怪物の周りを
何やら小さな何かが纏わりついているようだ
「なんだあれは…
というよりあそこは…
先生の…!?」
その怪物のいる場所の近くに
ある何かに気づき、ハッと眼を見開いていく
「どうして…
どうしてあんな怪物が…
先生は‥‥先生は無事なのか…」
そう言って向かおうとする青年だが
足がすくんで動けなくなってしまっている
無理もない、その近くでは
見上げるほどに巨大な犬の怪物がいるのだ
普通なら当然の反応である
「早く‥‥行かないと…
でも、もしも‥‥あの怪物に近付いて…
襲われでもしたら‥‥しんでしまうかもしれない…」
ふるふると体をふるわせていく青年だが
青年は自分の心に有る言葉をかけていく
ー対局において、一番の敵は迷う事だ
迷えば迷うほど、その一局にためらいができてしまう
考えるのは大事だ、感じたままに行くのもいい
打が絶対にこうだと思ったことをためらうな
自分がこうするべきだと思ったら、迷う事なく打てー
ある日、自分の師匠に言われた言葉だ
「‥‥将棋において一番の大敵は迷い…
どんなことがあっても自分がこうだと
思ったことにためらうことなく、打つ!」
そう言って青年は、自分の目の前にある光景に目をやる
「どうか無事でいてください、師匠!
俺、絶対に迷いませんから」
そう言って戦いの場に、いや
その近くにある有る場所に向かって行く
そこはかつて、彼が
自分の師匠に教えをこいていた自身の家
「俺は絶対に迷いませんよ!
清滝先生!!」
そう言って、走り言って行く青年であった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
そのころ
グアアアア!!!!
悪魔を彷彿とさせる犬のような
大きさ五百メートルの怪物、それに向かって行くのは
「はああ!!!」
「やああああ!!!」
「はああああ!!!」
「やああああ!!!」
「たああああ!!」
「はあああああ!!!」
六人の勇者の少女達であった
六人はそれぞれの攻撃で怪物たちに挑んでいく
「はあ!」
まずは一人の少女が、手に持ったボウガンから
連続の攻撃を仕掛けていき、それで敵の注意を引き付けていく
グルルルル‥‥
「くっ…
さすがに、このくらいの攻撃だと
簡単には効きませんか、でもこれなら!」
杏は真剣に表情を切り替えていくと
敵の真横から勢いよく飛んでくる何かが
それは
「そおおりゃあああ!!!!!
タマの一世一代の一撃を受けてみタマえ!」
球子はそう言って武器である旋刃盤を
投かんするように投げつけていく、それは
まるで翼のような八枚の刃が大きく展開され
まるで、鋸のようにして怪物に向かってふるわれて行く
そのまま、怪物の方へと向かって行く球子の攻撃
しかし
ギャン!
攻撃は当たったものの
当たった衝撃に驚いただけで
ダメージ自体は追っている様子はない
「ぐう…
こいつもさっきのに
負けず劣らず頑丈だな…」
「はああああ!!!」
すると、棗が怪物の背中に乗り
そこに必殺の一撃を当てんと武器である双節棍をふるう
しかし、何度も何度も打ち付けていても
特にダメージが入っているようには見えていない
「ぐう…
やっぱり硬い…」
そう言って表情を強張らせていく
すると、そんな彼女に向かって鎖が振るわれて行く
「棗ちゃん!」
彼女に向かってふるわれて行く一撃を
武器である棍をふるってはじいていく
さらに
「棗ちゃん、降りて!
こいつは私が抑えるから!!」
「分かった…」
そう言って棗を下に降ろし
帆波は背中からマントのように垂れ下がっている
マフラーの端と橋を、触手あるいは鞭の様に伸ばし
それで怪物の身体を縛り上げていく
怪物は自分の身体が縛られているのが分かり
その拘束を力づくで引きちぎらんともがいていく
帆波はそれを感じて必死の様子で
怪物の身体をどんどんと締め上げていく
「おらああああ!!!!」
そこを春三が通り掛かり
怪物の顔に必殺の一撃を加えていった
ギャウン!
それを受けて、おおきくひるんでいく怪物
「行け、帆波!」
「おりゃあああ!!!」
やがて、帆波はその隙に
怪物の身体を再び縛りあげていき
どうにかその動きを抑えることに成功するのであった
「ようし…
杏ちゃん!」
「了解です!」
杏は金属性の力によって
生成した矢を武器である連弩に装填する
そして、祖の標準を怪物の方に向けていく
「(召喚系の穢れは、その性質が限りなく
生き物に近くなると言われている、もしも
あの外皮が筋肉による物だったら、これで行けるはず)」
そう分析して、矢の先を怪物の方に向ける
「いっけえ!
杏!!」
球子がそう言って呼びかけていく
杏はそれに答えるように首を縦に振る
「これが、私の全力!」
そう言って矢を発射し
その一撃一撃を次々とある場所に放っていく
そこは
ぎゃうううう!!!!
目であった
目に一本の矢が突き刺さると
それは爆発、貌の三分の一ぐらいが損壊し
底から勢いよくオーラが噴き出していく
「やりましたね、杏ちゃん!」
「これで、こっちの攻撃が通るはず
みんな、貌のダメージの入ったぶぶんを狙って!」
杏はそう言って一同に呼びかける
「ようし!
それじゃあ、タマの全力も
ここでいかんなく発揮させてやろう…
くらいタマえ!!」
「おっと!
悪いけど一番槍は譲らないわよ!!」
そう言って前に出ていく球子と令
二人はそれぞれの武器を飛ばしていく
ギャアアアア!!!!
貌のダメージを受けた部分に集中的に
攻撃をくらわされて、大きく悲鳴を上げていく怪物
すると、怪物は頭に来たのか
首から伸ばしている鎖を飛ばしていき
それで、二人に攻撃を仕掛けていく
だが、二人の前に十字型の結界が展開され
二人を鎖による攻撃から即座に守っていく
「お二人とも、油断はなさらないでください
仮にも相手は穢れです
杏さんが攻撃の糸口を開けてくださったうちに
急いでとどめを刺していきますよ、一緒にやりますよ!」
「お、おう…」
「了解‥」
呆れた様子ながらも
優し気に提案していく美南に
球子と令は思わず了承していく
「さあて…
それでは一気に
決めさせてもらいましょうか!」
そう言って武器である十字槍を構えて
攻撃をふるおうとする美南であったが
そこで異変が起こった
グアアアア!!!!
穢れから藍助に繋がっている鎖
その鎖から何やら、黒い何かが
真っ黒い何かを藍助の身体から
吸い取っていくように取り込んでいく
すると、なんと
グルルルル‥‥
損傷した部分の顔がみるみると修復されて行き
瞬く間に元通りに回復していってしまうのだった
「うそ…‥どうして…」
「ひょっとして…
藍助さんの身体から
体に残っている生命力を吸い取っているんじゃ…」
動揺する美南に対して、杏は絶句するように言う
「だったら、あの鎖をぶった切ることが出来れば…」
「馬鹿、生命力が吸い取られてるってことは
命に直接つながっているようなものなのよ!
下手にそんなことをしたら、あの人は死んでしまうわ!!」
球子は強行しようとするが、それを令が止める
「じゃあ、どうしたら…」
「‥‥直接、穢れを倒すしかない…」
棗は物静かに、そう提案していく
「そんなことしたら、藍助さんがまた…」
「回復される前に倒す…!
幸いにも奴が回復するまでには
わずかながらもタイムラグがある…
そこを狙えば‥‥倒すことが出来る…!」
「‥‥正直に言うと、反対ですけれど…
古波蔵さんの言う通りです
あの穢れの守りは正直言って
最初に戦った穢れよりもはるかに固い…
攻撃が通るのは、目と口の中…
目を狙っても、回復されるなら」
「なるほどな、あいつの口を
こじ開けさせて、そこを一斉攻撃ってことだな…」
杏の提案に球子はそう解釈する
「なるほど…
ようはダメージを
なるべく与えないようにすれば…」
「そういう事だったら…
私もやってみるよ
正直に言うとちょっと抑えられるか
わからないけれども、みんなの事信じるよ!」
そう言って、背中の布を
両腕で持ち、ハングライダーのように飛んでいく
穢れの方もそれに気づいたのか
背中から生えた翼を広げて、襲い来る
「うそ!?
あいつ、空飛べるの!?」
それを見て、驚きの様子を見せていく帆波
それでも、武器である棍をふるって
そのまま上空から立ち向かおうとしていく
ガアアアア!!!!
「ぐう…」
齧りつかんと襲い来る穢れの突進を
帆波は、どうにかかわしていき、そこから
「やああああ!!!」
背中のマフラー状の布を
ロープのように振るって行き
それで穢れの上あごと下あごをどうにか広げていく
「ぐう…
抑えたよ!」
帆波がそう言って、必死に抑えていく
「私が行く!
これで一気に…」
杏はそう言って連弩を構えていく
だが、そこに
「うわああああ!?」
突然、男性の悲鳴が響き
一同は一斉にそっちの方を向く
そこにはなんと、一人の男性が
怪物の姿を見て、腰を抜かしていた
「っ!?
嘘だろ!?
こんな時間に人が…」
「いいえ、それよりも…」
男性の姿を見て、動揺を見せていく球子
令の方もまた同じように驚いた様子を見せていくが
彼女は其れよりも気にしていることがある、それは
グルルルル‥‥
怪物は、だらだらと口から
涎を垂らしながら、男性を見つめている
「ひ、ひい…」
それを見た男性は思わず悲鳴を上げる
すると、穢れは男性の方二狙いを定めていく
グアアアア!!!!
「うわああああ!!!」
穢れは男性に襲い掛かろうと
その男性に襲い掛かっていった
「そうはさせない!」
美南が前に出て
男性の方二向かって十字型の結界を張る
だが、穢れはそれを
いともたやすく打ち破っていく
「帆波…!
穢れの動きを…!!」
「ダメ、間に合わない!」
棗は帆波に動きを止めるように言うが
残念ながら間に合うことはなく、やがて
「うわああああ!!!!」
怪物が男性にかぶりつかんとしたその時
「おりゃあああ!!!!」
七誠が武器である剣をふるい
穢れを勢いよく切り付けていき
穢れを横の方へと吹っ飛ばしていった
「はあ…はあ‥‥はあ…‥‥
何とか間に合った…大丈夫?」
「は、はい…
ありがとうございます…」
そう言って助け起こされる男性
七誠は男性の顔を見て、眼を見開いた
「貴方は確か…有名棋士の‥‥
九頭竜 一プロ!」
「あ…」
助けてくれた人物が自分のことを
知っていたことに驚き、少し声を漏らす
「どうしてあなたがここに‥‥
あ、そう言えば貴方は清滝一門の‥‥」
「そ、そこまで…
貴方は一体…」
少し驚くも、自分を助けてくれたので
悪い人ではないと感じたのですぐに落ち着きを取り戻していく
「僕は、七誠‥‥
北斗 七誠‥‥
ただのお節介な英雄だよ」
「‥‥英…雄‥‥…」
七誠葉そう言うと、一に言う
「一さん、早くここから離れて!
ここは、あぶないから」
「待って下さい、ここに師匠…
清滝 藍助さんはいませんか!?」
七誠が避難するように進めていくが
一は、そう言って藍助の安否を尋ねていく
「僕は、お爺ちゃんに勧められたこともあって
本当に将棋が大好きだったんだけれど、周りには
古く臭いとか年寄りのやる事っていじめられていて
それで、いつしか部屋に引きこもるようになって
そんな僕にとっての心の支えが藍助さんだったんです
だから藍助さんが現役を引退して
後進の育成に生を出すと決めた時には
僕は迷うことなく、師匠の下に入門しました
元々やっていたこともあって
師匠の教えもあって将棋の腕はめきめきと上がって
それで、やっとの思いでプロになれた時には本当にうれしくって
師匠もお嬢さんも、本当に自分の事のように喜んでくれて…
でもここ最近は、将棋の競技人口が減っていって
師匠の方も将棋に興味を持つ若者が少なくなったことに憂いていました…
別に若者それぞれにはそれぞれの道もある
でもせめて、将棋の楽しさは知ってもらいたい…
師匠は‥‥いつも譫言の様につぶやいていました…」
「なるほど‥‥
現代が進みすぎて
逆に昔ながらの将棋に
興味を持つ若者が減っていってる‥‥
それで藍助さんは、穢れを‥‥」
七誠はそう言って後ろの方を見ていく、そこには
グルルルル‥‥
七誠、正確には彼の後ろにいる
一のことをじっと睨みつける穢れ
「…勇者のみんな!
一さんのことを頼む!!」
「え…?」
七誠のその言葉を聞いて
彼の一番近くにいた、棗が反応する
「…一さん、僕たちは貴方の師‥‥
藍助さんのことを助けたいと
思っています、絶対に助けます‥‥
だから、藍助さんが目を覚ましたら
貴方の心からの思いを、伝えてあげて‥‥」
「‥‥はい…」
七誠の優しくも真剣な言葉に
一もコクリと真剣にう頷くのであった
「‥‥了解した…
帆波、私達も急ごう」
「はい、あの人のことを
守ってあげないといけないしね」
そう言って二人が一のもとに辿り着き
彼の両側に立って、彼をその場から離していく
「七誠さん!」
すると、その前に一は七誠に呼びかける
「‥‥師匠の事…
よろしくお願いします!」
「もちろんだよ…だから早く離れてて‥‥」
一の必死な訴えに
七誠は振り向くことなくただ
言葉のみを告げる
「行くよ!」
そう言って両手に赤みがかった黄色い剣を
両手に持って、それを構えていきそれをふるって行く
「はあああ!!!!」
七誠が勢いよく切り込んでいくと
穢れの頑丈な体に大きなダメージを与えていく
グアアアア!!!!
穢れの方もそれが意外だったのか
悲鳴のような雄叫びをあげて、それがあたりに響く
夜のその場所に怪物の咆哮が響き渡っていく
「すっげえ…」
「私達でもなかなかびくともしなかったのに…」
七誠の一撃を見て、球子と杏は見やっていく
「く‥‥
さすがに頑丈だな‥‥」
攻撃をした反動で
後に大きく吹っ飛ばされて行くが
それを身体を反転させていく事で
威力を殺し、体制を保ったまま着地する
それでも再び剣を構えていくが
すると、彼の手にさらにそれぞれの手に一本ずつ
合計、四本の剣が携われて行く、さらに
「はあああ‥‥」
七誠がその手を広げるようにして
剣で空気が斬るようにして振るう
すると、彼の左側に巨大な翼が広げられる
「あれって…」
「あれが、星の力を真に引き出す最後の切り札‥
星座界放‥」
美南と令はその姿を見て
各々がそうつぶやいていた
「はあああ‥‥」
七誠は武器である四本の剣と
背中に生えた一枚の片翼を広げて
目のまえの敵の方を見据えていく
「行くよ、おっきなワンちゃん‥‥
これで一気に決めさせて貰うから!」
そう言って勢いよく飛び上がっていく七誠
七誠は勢いよく体を回していき、それで勢いをつけていく
「やあああ!!!!」
そして、必殺の一撃をきめていって見せた
アオオオオ!!!!
穢れは大きな体を仰け反りながら
辺りに響くほどの大声をあたりに響かせていく
「っ!」
それは、近くにいた一のもとにまで
飛びこんでいき、それが彼の体に大きく響いていく
「うおお!!!」
「球子さん、耐えてください…
しかし、なんと物凄い衝撃なのでしょう…」
球子と美南がその衝撃から一を必死に守っていく
やがて暫くが立ち、衝撃による
風もある程度収まったように感じ
守りに徹していた勇者達は恐る恐る
目を開けていった、目のまえは煙と
夜の暗闇も合わさって思う様に見えないが
次第に煙が晴れていき、目の前の景色が
少しずつながらも見え始めていった、そこには
「はあ…はあ‥‥はあ…‥‥」
やや息を切らしながら
剣を両手に構えた状態で身構えている七誠
「おっしゃ!
穢れを倒せたんだな!!
さっすが七誠!!!」
「…‥待って下さい…
少し…妙ですよ…」
美南がそう言って眼を凝らしていく
その目の前では七誠の身体から何かが
伸びているようにも見える、しかしそれは
「…ぐう‥‥」
七誠の体から、大漁の血があふれ出ていたのだった
「な‥‥なせい…さん‥‥…」
その光景を見て
一番に動揺の様子を見せたのは杏だった
段々と目のまえの景色が何なのかを理解していくと
「いやああああ!!!」
杏の声が響いていく
「杏、落ち着いてくれ!
美南、こっちは任せて貰えるか!?」
「わかりました…」
球子は思わず飛びだしていく杏のもとに行き
彼女を先に行かせまいと、必死に取り押さえていく
「離して、タマっち先輩!
このままじゃ、七誠さんが…!!
七誠さんがぁ…」
「落ち着け杏!
落ち着いてくれぇ!!」
必死に杏に落ち着かせるように言い聞かせていく球子
球子自身もどんな言葉をかけていいのかわからず
ただ簡単な言葉しか言えないのは、彼女自身も動揺を隠せていないからだ
「いやだ‥‥七誠さん…七誠さん‥‥…」
「落ち着いてくれ杏…
いま飛びだしたらヤバいだろ
敵がもしかしたら襲ってくるかもしれないんだ…
七誠のところに駈け寄りたいのはタマも一緒だ
でも、それで杏が死んだりしたらそれこそ七誠が悲しむ!
杏には身を守るすべがないんだから!!」
そう言う二人のもとに迫ってくる巨大な影
グルルルル‥‥
そこに現れたのは、一体の巨大な
悪魔のような面影を持つ犬のような怪物
穢れであった
よく見ると、穢れと宿主である藍助をつないでいる
鎖が引きちぎれており、そのせいなのかどこか弱っているように見える
「嘘‥だろ…
あの一撃でまだ死んでねえのかよ…」
余りのことに動揺
それを通り越して固まってしまう
すると
「‥‥くも…」
杏は静かな声色で呟く杏
いきおいよく顔をあげると同時に
涙を浮かべ、怒りに満ちた表情を向ける
「よくも七誠さんおおおお!!!」
杏子は叫ぶようにして武器である連弩を構え
そこから発射されていく矢を次々と敵に打ち込んでいく
だが、敵の丈夫な体の前に
空しく弾き返されて行った
さらに、そんな杏に追い打ちをかけるように
「ぐ‥‥ごほっごほっごほっごほっ…!!!」
先程の叫びでよほど体に負担をかけたのか
激しくせき込み、さらには身体を動かせなくなっていく
「やめろ杏!
それ以上無茶したら死んじまうぞ!!」
「ごほっごほっごほっごほっ…
畜生‥‥ちくしょう…」
普段の杏ならば口にしないであろう
荒っぽい口調がより悔しさを感じさせていく
すると
「まったく‥‥
頭脳面では優秀だが
感情面ではまだまだだな‥‥」
そう言って冷淡に話していくのは春三であった
「ごほっ‥‥春三…さん‥‥…」
「おい、春三!
いくら何でもこんな時に
言ってやる言葉じゃねえだろ…」
球子が春三の冷淡な言い方に抗議するが
「こんな時だからこそだ‥‥
今は戦いのさなかだ
感情を抱くなといは言わないが
感情にのまれて目先のことも見えなったら
それこそ、戦いにおいては生きられなくなるぞ‥‥」
春三はそれでも、その態度を変えることはない
「棗、帆波!
お前らは球子と杏のフォローに回れ
美南はその男を守って令は藍助を救出しろ‥‥
ここからは、俺様が戦ってやる!」
そう言って武器である槍をふるって行き
此方に向かって牙を向けていく穢れを見やる
グアアアア!!!!
穢れは自分の首輪より伸びている
鎖を春三の方に向かってふるって行く
だが、春三はそれを
槍を振るうことで何と細切れにして見せた
「刮目せよ!
これが俺様の伝説だ!!」
そう言って背中からなにやら長い
垂れ流しのような翼を左側から伸ばし
それによって、素早い動きを繰り出していく
「はああああ!!!!」
春三が槍を振るうと
穢れの頑丈な体をなんと
いともたやすく切り裂いていく
「マジかよ…」
自分達では打ち破れず
口の中や目など装甲に覆われていない
部分を攻撃することでしかダメージを与えられなかった
敵の身体をいともたやすく切り裂いて見せた春三の一撃に
呆気に取られて行く一同
「まだまだ終わりじゃないぞ!」
そう言って春三は大きく上に飛び上がり
その勢いを使って、再び攻撃を仕掛けていく
ギャアアアア!!!!
余りのことに怪物の方も
悲鳴に近い遠吠えをあげていくが
穢れの方も子のまま黙って
やられているつもりもないと考えたのか
自信の背中から生えている
悪魔のような、すなわち蝙蝠の翼のような翼を広げ
その勢いで、春三の方へと齧りつかんと向かって行く
「自分の方から弱点をさらしてくれるとはな‥‥
やっぱり畜生は単純でいいな!」
そう言って翼を轟かせて
勢いよく突っ込んでいき、穢れの
口の中へと自ら飛び込んでいった
春三が口の中へと突入したと同時に
「おおおおりゃああああ!!!!!!!!」
春三は強化された槍を振るって
穢れを上顎と下顎、この二つに分けるように
穢れを真っ二つにして見せたのだった
ガアアアア!!!!
穢れはその悲鳴とともに
斬られた部分から勢いよく黒いオーラを
まるで血のように噴き出していきながら
地面に伏せるようにして崩れ落ちていき
べったりと地面についたと同時に
爆発するように黒いオーラとなって霧散し
消滅するのであった
「ふう‥‥
まさかここまで、穢れの力が
大きくなってきているとはな‥‥」
そう言って穢れの消滅を確認した春三は
急いで勇者達と一たち一同のもとに戻っていった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
「七誠さん‥‥七誠さん!」
穢れが完全に消滅したのと同時に
急いで七誠が倒れた場所に向かって行く
「あ、おい杏!」
それに気づいた球子も
杏を追いかけるようにして向かって行く
二人がそこで見たのは
「やれやれ‥‥
相も変わらず、頑丈なやつだ‥‥」
槍を肩に置いて
呆れるようにつぶやく春三と
「運がよかっただけだよ
致命傷は負いましたけれど
即死じゃなかったおかげで
どうにか峠は越せたよ、ふう‥‥」
倒れて動けなさそうながらも
いつものような調子で話しをしている七誠がいた
「な‥‥なせ…いさん‥‥…?
無事‥‥何ですか…?」
杏がおそるおそる話しかけていく
「うん‥‥?
ああ、杏ちゃん‥‥
そっちの方も終わったみたいでよかった‥‥
これで改めて、この世界でのお役目も終わりだね‥‥」
七誠が笑みを浮かべてそう言うと
杏はなみだをじわじわと浮かべていく
「何が‥‥何が大丈夫ですか…
七誠が目の前で身体を撃ちぬかれて
本当に‥‥本当に心配したんですからね…
もうこんな事、絶対にしないでください!」
泣きながら起こった口調で七誠にいい放つ杏
七誠のことを本当に心配していたことは
彼女の様子を見ても明らかであり、七誠はそれを見て
驚きと申し訳なさ、その二つの感情がやや渦巻いていた
「…ごめんね‥‥心配かけちゃって‥‥
約束するよ…杏ちゃんをもう
悲しい気持ちになんてさせないから‥‥
だから笑って…僕は笑顔の方が好きだから‥‥」
そう言って杏の涙を指で拭ってやる七誠
「もう‥‥そんなのじゃごまかされませんからね…」
杏はそう言いながらも、笑顔を浮かべていた
「まったく、女を泣かせるなんて罪な男だな七誠…
おまけにそれが杏、これはごんごどーだんだな?」
そう言って杏の背後からぬっとあらわれる球子
「こ~れ~はぁ~…
責任を取らないとだめなやつだぞ七誠」
「あ、あははは‥‥
そ、そのことについてはまた帰ってからに‥‥」
「もんどーむよー!
タマの杏を泣かせた罪は重い!
というわけで、還ったらうどんを驕りタマえ!!
一番高い奴の特盛で!」
そう言って涎たらしながら七誠に迫っていく球子
「…はあ、分かったよ‥‥
好きなのをおごってあげるから
杏ちゃんも、それでいいかな?」
「むー‥‥タマっち先輩!
私の剣にかこつけて
帰りのうどんをおごってほしいだけでしょ!?」
「んな!?
違うぞ、別にこの間新しいアウトドア用品を買って
お小遣いがほとんどなくなってそれで金欠気味になっているからって
七誠におごってもらおうとか全然考えていないぞ」
「いやそれ、考えている人が言うセリフ‥」
慌てて本音鵜をぶちまけてしまう球子に
呆れの視線を向けていく令と杏であった
「はあ‥‥
ちゃんとお前の能力について
話しておかなかったお前の責任だ‥‥
驕るくらいしてやれ」
「…ははは‥‥
どうせだったらみんなで行こうか?
心配をかけてしまったのは、みんなにもだし
誰かを仲間外れにしていくのもちょっと気が引けるしね」
「やったー!」
「ごちそうになります」
「私は‥‥沖縄そばがいいです…」
「うーん、さすがにそれは難しいかな‥‥
うどんとお蕎麦を両方食べられる
お店に連れていくから、それで勘弁‥‥」
「まあ、沖縄そばなんてそんなピンポイントなメニュー
このあたりには売っていないでしょうしね‥」
こうして、なんやかんやで全員に
うどん(一人だけそば)を奢ることになった七誠であった
「そ、それと七誠さん…
わたしからも一つ、約束してください…」
その道中に杏の方から話しかけてきた
「約束…?」
「私は、真鈴先輩に誘われて
この連盟に誘われるまでは…
私は体の弱さを言い訳に
何もかもを投げ出していたのかもしれません…
生きる希望もなくて
誰とも一緒に遊べない…
本を読んでいるだけの日常…
そんな日常に光をともして
わたしに生きる活気を与えてくださったのは…
紛れもなく七誠さんなんです…
七誠さんと出会ってその人柄に触れて
私も七誠さんみたいな誰かをまもれる人に…
勇者になりたい、そう思えたんです…
私にとって七誠さんは誰よりも
強くって優しい英雄なんです、だから…
だからお願いです
自分の命もしっかり守ってください…
もしも‥‥もしも七誠さんがいなくなったら…私‥‥…」
杏はそこまで言うと、段々と瞳を涙で潤ませていく
七誠はそれを見て、瞳を大きく見開いていたが
暫くするとその表情が悲哀的なものになる
「…ごめんね‥‥
僕、杏ちゃんのことを
しんぱいさせてしまったのに‥‥
それに気づけなくって‥‥」
七誠はそこまで言うと
杏の頭にそっと手を優しく置いた
[七誠さん…」
「約束するよ‥‥
僕はもう、自分の命を
危険にさらすようなことはしないよ‥‥
皆のことも、僕自身のことも守って見せるから‥‥」
そう言って、七誠と杏の間に何か
特別なつながりができたのを互いに感じていた
一方
「なんだなんだ、杏ぅ~…
頭なでられて優しく話しかけられて
おまけに顔まで赤くするなんて、タマはジェラシーだぞ?」
「た、タマっち先輩!
別にそういうつもりじゃ…」
なにやらにやけ顔で話しかけていく球子に
杏は顔を真っ赤にして慌てて否定していく
「おうおうおう、ななせー…
うちの杏に手を出すんだったら
それなりの覚悟をもって挑んでもらうぞ?」
「あっはっはっはっ‥‥
うどんのほかに好きなの
もう一品追加してあげるから
それで手打ちにしてもらえないかな?」
「ようし、それじゃあ…
手打ちにかけて
手打ちそばで手を打ってやろう」
球子と七誠はそんなやり取りをしているのを見て
ほかの者達はどこか微笑ましそうに見つめていた
「春三さん‥
ああいうのっていいですよね」
「‥‥そうだな‥‥
お前達には申し訳ないが
俺様達は戦いの場以外ではほとんど関わらないからな‥‥」
「でしたら、機会があれば
みなさんと私たちでの交流会も兼ねた
イベントの様なものでも開いてみましょう…
私たちも皆さんもこれから一緒に
闘うことになる以上、お互いのことを知るのは
大事なことだと思いますし…」
美南が提案をしていく
「なるほど‥‥
提案としては悪くないな…
しかし、全員を集めるのは
まず無理だろうし、戦いの後の勇者の都合も
考えるとやはりスケジュールに余裕のある奴を
優先することになるが、まあそれも問題ないだろう‥‥」
「ありがとうございます…
さてと、それじゃあうどんを食べに行きますか」
そう言っても都の世界に戻っていく英雄と勇者達であった
‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥
その後
「先生‥‥先生…!」
一は、いまだに意識の戻らぬ師に
必死に呼びかけ続けていく、すると
「う‥‥うううう‥‥」
手がわずかにピクリと動き
瞼をやや動かしつつ、目を覚ましていく藍助
「師匠‥‥師匠!
よかったです…」
「一‥‥?
俺は一体どうなって‥‥」
藍助は自分の傍にいた藍助に
事の顛末を聞くと、一はこう答えた
「‥‥英雄と勇者の皆さんが
師匠の命を救ってくれたんですよ…」
彼はただ、そう答えたのだという
こうして、この伝説は幾百年の時がたっても
清滝一門において語り継がれて行くのであった
伝説の始まり‥‥‥‥‥‥‥‥‥