♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓     星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+       ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈   作:lOOSPH

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運命はあの時から・・・・・・・・・


きっかけ

 

 

彼の一団がまたも大きくなっていったころ

彼の目の前に、一人の少女がやってくるのが見えた

 

「なんだろう…」

 

彼の横を歩いていた陽菜子がそう言って前を走っていく

 

「貴方が時の御人だね‥

 

 ワタクシ、藤多 佐紀と申します‥

 

 貴方に用があってきたの、少しワタクシと

 御手合せしていただけませんでしょうか‥」

 

そう言ってどこか高貴な家系のご息女のような雰囲気の少女が

彼の前に立って、そのようなことを言い放ってきた、その瞳はどこか

 

面白いものを見つけたような目つきだ

 

「ちょっと、なんなの貴女いきなり…

 

 どこのだれか知らないけれども

 貴方に付き合ってあげている暇なんて…」

 

「ふう、しょうがないですね…

 

 私が行って、注意してきますよ」

 

陽菜子はめんどくさそうな口ぶりを見せる

それを真紀子が率先して目の前の少女、佐紀の前に出ようとするが

 

「‥‥待ってください、そのお役目‥

 

 私が御引き受けましょう‥」

 

そう言って真紀子を止めて

ゆっくりと前に出ていくのは

 

「誰? 貴方‥

 

 ワタクシはそこの御仁に用があるのです

 

 下賤の者は下がっていなさい‥」

 

「下賤なのはそっちでしょ?

 

 あっていきなり絡んでくるなんて

 

 私は愛理、来村 愛理‥

 

 貴方のどうでもいい用事に付き合うつもりはないの

 だから、さっさと道を開けて彼を通してもらうわよ」

 

そう言って前に立つのは凛々しい顔つきの女性

愛理と言ったその女性の言い方に腹立たしさを覚える佐紀

 

「ワタクシにたいして、散々な無礼‥

 

 もう許しはしませんわよ!」

 

「まったく、手のかかるお嬢様ですね」

 

そう言って矢を放って佐紀の動きをけん制しようとする愛理

佐紀の方も、爪を武器に素早い動きで愛理の元に向かっていく

 

激しくぶつかり合っていく双方を見つめる面々

 

「‥‥さすがはお兄様ですね…

 

 あの愛理を引き込んでしまうとはね…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

百合子は素直に彼の人徳を評価する

彼と陽菜子はただその光景を静かに見守っている

 

「っ!?」

 

佐紀の眼前に矢の先が突き付けられる

愛理は弓を引いた状態で彼女を睨みつけていく

 

「‥‥おとなしく下がりなさい‥

 

 そうすれば、命は奪いませんよ」

 

「…これで勝ったつもり?

 

 舐めないでよ、戦いに求められるのは

 勝つか負けるかじゃない、生きるか死ぬかなんだよ!」

 

そう言って爪を下から一気に振り上げていき

愛理の構えを大いに崩し、隙を作りだした

 

「っ!?」

 

「これで終わり!」

 

そう言って爪を彼女に向かってふるう佐紀

 

だが

 

「そこまで!」

 

「っ!?」

 

佐紀の爪による一撃は陽菜子の短刀によって

そのすべてが止められてしまうのだった

 

「これ以上は見過ごせません…

 

 それでも続けるというのなら

 次は私が相手をして差し上げましょう?」

 

「…っ!」

 

佐紀は目の前の少女から出る威圧感から

思わず攻撃の手を引いてしまった、すると

 

「愛理、貴方も熱くなりすぎです…

 

 貴方の役目は彼女と戦う事ではありません

 次はないと思って、それを忘れないください」

 

「‥‥申し訳ありません‥」

 

陽菜子の厳しい言い方に愛理は思わず、頭を下げて謝罪する

 

「…‥‥‥それで、どうかな?

 

 僕たちには君が納得するだけの力があるかな?」

 

「…そ、それはあくまで

 あちらの方の力であって、貴方の力では‥」

 

佐紀はそこまで言うとややむくれた様子で

彼からそっぽを向くように顔をそむけた

 

「…‥‥‥だったら君が納得するまで

 何度でも君の挑戦を受けてあげよう…‥‥‥

 

 それでもしも、君が満足する結果になったら

 君も、僕たちのところに来ないか?」

 

「…え!?」

 

佐紀は彼の言葉に耳を疑った

さっきまで自分に刃を向けていた人物を

自分の元に引き入れようとするその言い方に

 

「兄さん、何を言っているのかわかってるの…?」

 

「そうですよ、仮にも彼女は貴方に刃を向けたのですよ!?」

 

陽菜子と愛理が率先して言う

その場にいる彼の元にいる者達も同様のようだ

 

「…‥‥‥そうだよ?

 

 だからこそ、僕はこの子の力を

 ぜひともその手に納めたいって思ったんだ…‥‥‥

 

 この子の力はきっとこの先僕たちの役に立つ

 だったら懐に納めておきたいって思うのは当然だと思うけど?」

 

「…‥」

 

彼のその言葉に佐紀はやや警戒心を抱きつつも、彼に言う

 

「…もしも私があなたの元についたら

 私の子の爪で貴方の命を奪うのかもしれませんよ?」

 

佐紀のその言葉に彼は言う

 

「…‥‥‥それでいい…‥‥‥

 

 僕はいつでも君を歓迎するよ…‥‥‥」

 

そう言って彼は佐紀に背を向けて去っていく

その場にいた者達はやや困惑しながらも付いていく

 

「…‥」

 

佐紀は自分の胸の内に、なぜか熱い何かを感じ

服の上から自身の左胸を力強く握りしめていた

 

「…ふ、ふふふ‥

 

 想像以上の人でした‥

 

 まさかこんなワタクシを

 自分の元に欲しいだなんてね‥」

 

佐紀はどこか満足げな笑みを浮かべてそうつぶやいていたという

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

彼は、ある日の内で

ある部屋の中に入っていく

 

そこには、ベッドで横になっている月夜美がいた

 

「…‥‥‥隊長の方はどう?

 

 月夜美」

 

「…はい、だいぶ楽にはなりました…

 

 でもごめんなさいお兄ちゃん

 私の体が弱いせいでお兄ちゃんやお姉ちゃんたちに迷惑をかけて…」

 

ベッドからゆっくりと体を起こして

彼に笑いながら話しかけていく月夜美

 

彼はふと、隣のベットに横になっている少女を見る

 

彼女は、体中にチューブを伸ばしていて

もはや自由に動けるのかどうかしらも分からない姿である

 

「……」

 

そんな彼女はじっと彼の方を見つめている

その目はどこか虚ろながら寂しそうな雰囲気を漂わせている

 

「…‥‥‥この子は?」

 

「ええ、この病室で私よりも前から

 この部屋に入院しているみたいなの…

 

 確か名前は、コッチさんだったと思う…」

 

月夜美の説明を受けて彼はゆっくり

彼女の隣の方にゆっくりと移動していく

 

「……」

 

「…‥‥‥こんなところにずっと一人で

 過ごしていたなんて、寂しかったんじゃないかな?

 

 君の事を見ていると、本当にどこか放っておけないね…‥‥‥」

 

彼はそっと、彼女の右手の方をすっと握ってやる

 

「…‥‥‥大丈夫、僕が相手になってあげるから…‥‥‥

 

 僕が君の友達になってあげるよ、よろしくねコッチ…‥‥‥」

 

「……」

 

彼の優し気な表情を見て、不意にコッチは

虚ろなその瞳から一筋の涙がゆっくりと流れていく

 

「…貴方は…神なのですか…?」

 

そんな声が少女の口から発せられた

 

「…‥‥‥僕は神様なんかじゃないさ…‥‥‥

 

 僕はただ、何者でもないんだよ…‥‥‥

 

 たった一人、たった一人の大切な人を守ることのできなかった負け犬…‥‥‥

 

 それだけが……僕さ…‥‥‥」

 

「兄さん…」

 

彼の言葉に月夜美は悲しそうに辛そうにひねり出すように言った

 

すると、コッチは彼の手を強く握り返した

 

「…確かに…あなたは…とても…儚い…

 

 時折…貴方が…そこに…いるのかも…

 わからないほどに…でも…あなたには…

 

 あなたを…大切に…思う人たちが…いる…

 

 妹さんが…この世界で…出会った…人たちが…

 

 私も…その人達の中に…入れてもらえませんか…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

彼女のその言葉に彼は答えず

ただ単純に自分の手を握ったその手をそっと握り返してあげた

 

「兄さん…」

 

「すごく…あったかい…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

彼はその時、涙を浮かべていたのだという

 

‥♈…♉‣♊‥‥♋…‥♌…‥‥♍……♎‥‥‥‥♏…‥‥‥⛎‥‥‥‥‥♐‥‥‥‥‥‥♑…‥‥‥‥‥♒…‥‥‥‥♓‥‥‥‥‥‥‥

 

彼を覚えている者は彼のいた世界にはいなかった

 

彼には血を分けた実の妹達がおり

妹達が彼のことを慕い、寄り添っていくその時のみ

彼は初めて自分がこの世界に存在する意味を感じていた

 

だが、同時に彼は妹達にどこか劣等感を覚えていた

妹達は同級生から慕われ、はぐくまれ、気に掛けられていた

 

彼がそんな妹達の事がとても誇らしくも

同時に誰からも覚えていてもらえない自分はどこかむなしさを覚えていた

 

誰でもいい…‥‥‥僕の事を覚えていてほしい…‥‥‥

 

そんなことを考えて星々が夜に映っている時間

彼の目に一人の星を見上げている一つの影が見えた

 

「…‥‥‥あの子は…‥‥‥?」

 

年端も行かない少女がこんなに暗い時間帯に

一人でこんな場所で何をしているのかと思い、近づいていく

 

「あの…‥‥‥こんなところで何をしているの…‥‥‥?」

 

彼は恐る恐る、話しかけると

彼女は彼の方に気づいて顔を向ける

 

「…星を見ているの‥」

 

「…‥‥‥え…‥‥‥?」

 

そう言って再び星空を見上げる彼女に

彼は思わず、キョトンとした表情を見せる

 

「…こうして、星空を見上げているとね…

 

 私達はこの広い星空の中で、存在している

 そう感じられるんだ、それに星々が形を作って

 

 いろんなものが見えてくるのが、本当に不思議に感じるんだ…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

その場に立ちつくして、彼女の言葉に聞き入ってしまう彼

 

「…ねえ、よかったらこっちに来て

 私と一緒に星を見てみない?

 

 私が色々教えてあげるから…」

 

「…‥‥‥うん…‥‥‥」

 

それが彼と彼女の出会いだった

最初彼は彼女の話を聞いていただけだが

 

次第に自分から、彼女のために星の事について

調べていくようになっていき、彼は彼女とともに

星を見て、星の事でお話をするこの時間が何よりも

かけがえのないものになっていくのだった

 

だが、そんな日々も急に終わりを迎えることになる

 

「…ねえ、貴方に言わないといけないことがあるんだ」

 

「何?」

 

彼は急にそんな話を振っていく彼女に首を傾げる

そして彼女はついに、彼に最後の告白をする

 

「私ね、好きな人ができたんだ…

 

 ずっと前から好きだった人なの

 勇気を出して告白したら、私の気持ちを優しく受け入れてくれたの…

 

 ホントにこんなに幸せなことはないわ…」

 

「…‥‥‥…‥‥‥」

 

彼女の告白に驚きを覚える彼

少し胸のあたりに何やらチクチクとしたものを感じながらも

 

彼は自分の気持ちを押し込んで言う

 

「…‥‥‥そうなんだ、よかった…‥‥‥

 

 君がそんなに思うような人なんだ

 きっと素敵な人なんだろうな、その人は…‥‥‥

 

 もう一緒に慣れないのは残念だけれども

 僕はずっと、君たちの幸せを祈ってるから…‥‥‥」

 

「ありがとう

 

 私、本当に幸せよ…

 

 思いが叶って、私の事を

 支えてくれる人がいるんだもの…

 

 貴方はやっぱり誰よりも素敵な人よ…

 

 だって、私の事を幸せにすることができたんだもの

 きっとあなたはいろんな人の事も幸せにすることができる

 

 そうすればきっと、貴方の求めているものがきっと見つかるわ…」

 

二人はその言葉と共に別れて、それぞれの幸せに向かって歩いていく

 

歩いていく はずだった

 

「…‥‥‥あ、ああ…‥‥‥」

 

だがその幸せは

 

「うあああああああああ!!!!!!!!!」

 

彼女の死とともに一気に崩れ去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         




彼女の死とともに崩れ去る平穏・・・・・・・・・
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