♈ ♉ ♊ ♋ ♌ ♍ ♎ ♏ ⛎ ♐ ♑ ♒ ♓ 星座宮夜宵之闇物語之神話書記 ANAVIOSI SYN+ ♓ ♒ ♑ ♐ ⛎ ♏ ♎ ♍ ♌ ♋ ♊ ♉ ♈ 作:lOOSPH
とある日の訓練場
彼はそこで訓練生が正組員になる
試験を受けている様子を火麻里とともに見つめていた
「…兄さん、本当にこの中から見つけられるの…?」
「………さあね、でも可能性としてはあり得ない話じゃない………
可能性があるのならば、それにかけてみないとわからないものさ………」
そう言って彼は見学スペースの方から
しばらく様子の方を見ていると、二人のもとに近づく二つの影が
「あれ?
君もここにいたんだ」
「久しぶり、火麻里ちゃん」
「七誠さんに優生さん…
お二人も見学の方に?」
そう言って、近づいていく二人の男女は
二人のそばにまでよって行って、ともに訓練の様子を見る
「…そう言えば聞いたよ?
結構な大所帯になってきてるんだって?」
「七誠さんには関係のない話です…
それに、大所帯って言っても
皆さんの方に比べれば多くなんてありません」
「でも、グループとしては十分だと思うけれどね?
それにしてもお兄さんは本当にモテモテね
彼のもとに所属する子たちはみんな、彼を慕ってるんだもの」
優生は微笑ましそうに言うが、彼は特に何も言おうとはしていない
「…でもあんまり女の子ばっかりだと響子さんがヤキモチ焼くんじゃない?
今日も最近会ってくれないって、拗ねていたわよ?」
「………響子さんには悪いとは思っているけれど
僕の方もいろいろと忙しいから、どうしてもね
あんまりかまってあげている時間が取れないんだよ」
彼は優生から恋人の話題が出ると
やや冷たい感じで返答した、それを見てやや二人は彼を見る
「…なんだか変わったね…
最初のときは優しい感じがしたのに
今じゃあ、どこか冷たくって無関心な感じがする…」
「………僕はもともとこんな感じだよ………」
そんな話をしていると、試験の結果が出て
選ばれて喜ぶものや落ちて悔しさを浮かべるもの
反応の違いはあれど、各々がその二つの反応を見せる
そんな中で彼はふと、一人の少女に対して目にとまった
「…‥」
その少女は結果を聞かされても
特に何の反応も示さずに、だた呆然とその場に立ち尽くしていた
「………あの子、他の訓練生徒は何か違う雰囲気だ………」
「…ああ、那奈ちゃんね
また落ちちゃったみたいね…」
「あの子ってどんな子なんですか?」
「…うん、あの子、七海 那奈ちゃんって言うんだけど
試験を受けて訓練生になったまではいいんだけれども
何度も何度も正組員になれなくってね‥‥
今回で九回目だったかな、最後のチャンスだったのに‥‥」
七誠のつぶやきに彼はふときく
「最後のチャンスって?」
「あの子ね、この九回目の試験に落ちたらここから出ていくように
戦力外通告を組長たちから受けているんだって春三が言ってた
さすがにもうこれ以上あの子を引き留める余裕はないって…」
「…仕方ないですよね…
これから向かうのは下手をすれば
死ぬかもしれない戦場なんだもの…
むしろあのまま、あの子に戻ってもらうのもあの子のため…」
火麻里がそこまで言うと、彼は見学スペースから
大胆に飛び降りていき、ゆっくりと歩いていく
「な、なんだ?」
「あの人って?」
突然の飛び込みに驚きを隠せない面々は、彼に注目していく
「………訓練生 七海 那奈………」
「‥‥え?」
彼に話しかけられて、驚いた様子で彼を見上げていく那奈
「………君の目にはまだ、強い投資のようなものが感じられる
悔しさ、絶望、足掻き………君は決してこのようなところで終わりはしない………」
「‥‥でも私は、英雄の試験に落ちた‥
だからもう、ここにはいられない‥」
那奈はやや暗い声色でそう答えると、彼は言う
「………だったら、僕のもとに来るといい
そこだったら誰も君の力を否定なんてしない………
ううん、僕自身がぜひとも、君という力が欲しいんだ………
君には力がある、でも君も君の周りもそれに気づいていない
でも僕だったら、君のその力を目覚めさせてあげることができる
僕はぜひとも、君の中にある力を見てみたいんだ………」
そう言って右手を差し出していく彼
不思議とそんな彼の姿に話しかけられている那奈だけでなく
周りにいるほかの訓練性や、それを見ていた火麻里や七誠、優生
その様子を見ていた全員が彼のその姿に畏れを抱いていた
「…あなたのところに行けば、私はあなたのようになれますか‥?」
「………さあねえ、でも君はきっと
僕にとってきっと何よりも大きな存在になるだろうさ
きっとその時には僕が知る中でもっとも大きな存在になる………
だから、おいで那奈、僕は、ううん、僕たちは君を歓迎しよう………」
その言葉を聞いた瞬間に那奈は、彼の手を取ったのであった
のちに彼女は彼の言う通り、彼のもとにいる者たちの中でも強大な者となるのであった
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ある日の事
彼は陽菜子、月夜美、火麻里とともに
百合子に連れられてある人物のもとに連れてこられる
「こちらです…」
そう言って入っていったそこにいたのは
ベッドの中で死んだように眠っている一人の少女と
少女を介抱している二人の少女に
友里の三人であった、彼は恐る恐るその中に入っていく
「………お加減の方はどうかな?
有希夜………」
彼はそっと優しく声をかけると
少女はゆっくりと瞳を開けて、彼を見る
「あ…お兄ちゃん…
今日も会いに来てくれたんだ…」
「体の方は大丈夫かな?」
有希夜と呼ばれた少女はゆっくりと体を起こして
彼の方を向いて、力はないがそれでも精一杯の笑みを浮かべていく
「…はい、友里さんが処方してくれた薬のおかげで
すっかり落ち着いていられるようになりました…
でも、ごめんなさい…
有希夜の体が弱いせいでいっつもお兄ちゃんに
私のお部屋にまでお邪魔させることになってしまって…」
「謝ることはないよ
とにかく無事そうで何よりだ
この調子ならどのくらいで歩けそうかな?」
「‥‥はい、この調子で体が戻っていけば
推定、十二日後には日常生活を送れるようになれるので
例の数にそろえるには最低でも、四十日はかかるかと…」
彼の問いに友里はそう答えた
「‥‥四十日、思っていたよりは病状の経過は順調のようね…」
「ええ、これだったらあなたの
お姉さん達もきっと喜んでくれると思うわよ
さすがは友里ね…」
百合子は素直に感心し
陽菜子も彼女の腕に感服する
「いえいえ、お兄様のご尽力があればこそ…
それに私の力ははっきり言って
戦いの場においては何の役にも立たぬものだと思っていました…
でも兄上様はそんな私の能力を引き出し、重宝してくださった
やはりあの時の私が兄上様のもとに従ったのは間違いではなかった…
この友里、今まで以上の忠誠をお誓いいたします」
そう言って改めて彼にかしこまる友里
「友里さん、意志を示すのは結構だけれども
自分の役目の方もしっかりこなしてもらわないといけませんよ?」
「お前に言われなくてもわかっているわ、百合子
彼女の治療の方は順調に進めている
お前が心配するころはないわ、なあ、陽子、陰子…?」
すると、有希夜に付き添っている二人の女性がこちらを向く
「…ええ、もちろんですとも友里様…」
「‥‥私たちも尽力していますゆえに間違いありません」
そう言うと友里は胸を張ってどや顔を浮かべる
「…あの、お兄ちゃん…
有希夜、お兄ちゃんに一つだけ
お願い…聞いてもらってもいいかな?」
「………何かな?」
有希夜は彼に何やらお願い事を
聞いてほしいと、少しもじもじしながら彼に聞く
「…もしも、身体が良くなって
外にも出られるようになったら
お兄ちゃんと一緒に外に出て
二人で見た景色を絵にかいていってみたいの…」
「………そっか………
じゃあ治ったら僕と有希夜
二人のそれぞれ行きたいところに行ってみようか?」
彼が笑顔でそう言うと有希夜は笑顔を浮かべて頷くのであった
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有希夜の様子を見て、部屋を後にする彼
するとそこに、一人の少女がゆっくりと近づいてくる
「あ、兄さん‥‥
来てたんだ」
「亜希子か………
お前の方も変わりはないようだな」
そこにいたのは先ほど部屋であっていた有希夜
彼女とうり二つだが、大人しめな有希夜と比べると
元気がいい印象を受ける少女であった
「兄さんには本当にどんなに感謝してもし足りないくらいだよ
あの時、引き離されかけていた私達を
助けてくれた上に有希夜の病気も治してくれたんだもん」
「さすがに亜希子のように元気とまではいかないが
外出する分には問題はないくらいにはなるはずだ………
もしもあの子が元気になったら、僕のもとに来るといい
僕たちはいつでも二人のことを歓迎しよう、考えておいてくれ………」
彼の申し出に亜希子は笑顔を浮かべて即答する
「もちろんだよ!」
それを聞いて笑みを浮かべる彼
陽菜子はそれを見て、思うところがありそうな表情である
「それじゃあ、私
有希夜にあってくるから
兄さんのさっきの話の事
早速話してくるから、それじゃあ…」
そう言って彼の横を通って去っていくのであった
「………仮名と真名、と言い有希夜と亜希子といい
何で仲の良い双子や年子を引き離そうとするのやら………」
「…本当に複雑よね…
私と兄さんは双子で、地花乃と兄さんはあの二人と同じく
年子だから、最初のときは本当に白い目で見られたわよね
この星座の都では双子や年子は神聖な存在であるがゆえに
人の双子と年子は神の意志に反するものとして迫害されているって
今ではその習慣は古いものだって言われて廃れていってるけど
いまだにその習慣が抜け切れていない者たちも多かれ少なかれいる
どうしてあんな理不尽な仕打ちを受ける子たちが多いのかしらね…」
陽菜子はそう言ってため息交じりに愚痴るようにつぶやく
「………それは世界そのものが理不尽だから………
それゆえにあの子たちのもとにも私たちにも
その理不尽が降りかかっていく、それが答えだ………」
「…兄さん?」
彼の苦虫をつぶしたような発言に
陽菜子は様子のおかしさを感じていた
「………陽菜子、これから僕は
海香のところに行くけれどどうする?」
「…ごめんなさい、少し私の方も用事があって
どうしても行かないといけないから、ここで…
兄さんこそ、海香のところにどうするつもり?」
陽菜子は恐る恐る訪ねていく
「………海香が少し、興味のある娘を見つけてね
一緒にその子に会いに行こうと思っているんだ………」
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陽菜子と別れて、今度は海香と合流し
ある場所において、軟禁されている一人の少女を見る
少女はそこで絵を描いているが、その内容は
なかなか独創的で、なんとも感想に困るものであった
「…あの子がそうだよ…」
海香がそう言うと少女はゆっくりと作業の手を止めていく
「…誰?」
「…久しぶりね、私よ…」
そう言うと、少女はゆっくりと二人の方を向く
彼はそれを見て驚いたように目を見開いていく
「………有希夜と亜希子に、そっくりだ………」
「…え?
有希夜ちゃんと亜希子ちゃんの事、知ってるの?」
「…水波ちゃん…
この人がその二人がお世話になっている
私のお兄様だよ、あなたにどうしても合わせたくって…」
驚く少女、水波に対して、海香が舗装するように説明していく
「…そっか、亜希子ちゃんが言ってたよ
有希夜ちゃんの病気の治療をしてくれている
とっても優しい人がいるんだって、嬉しそうに話してたよ…
私からも言わせて、有希夜ちゃんを助けてくださって
本当に、本当にありがとうございました」
「………当然のことをしただけさ、それに僕一人のおかげでもない
僕のことを信じてついてきてくれている人達の力もあったからこそだよ………」
決して自分一人の評価にしない謙虚さに水波も好感を覚える
「それにしても、水波は絵を描くのが趣味なの?
見たところ部屋中になんとも言えない絵があるけれども…‥‥‥」
「うん、実は従姉の影響で始めたんだけれど
どうにもうまく書けてる様子がないんだよね
みんなあまりにも独創的だって言って」
あははは、と苦笑いを浮かべる水波
彼はしばらくそのアトリエを回っていくのであった
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すると
「ええ!?
冨士井姉妹とその従姉も加えるって
私たちのもとに、いくら何でも無茶じゃない!?」
陽菜子が海香から聞いて思わず彼に問いかける
「彼女たちの力には目を見張るものがある
あれに目を付けないわけには当然いかないだろう?」
「そんな、亜希子の方はもちろん私も賛成だけれども
有希夜の方はあんな体なのよ、コッチの時ときのように
体を改造して人としての尊厳を奪ってしまうつもりなの!?」
「………無力は罪、だよ………」
彼の言葉に陽菜子は言葉を失う
「…あの日から兄さんは変わった‥‥
あの子が死んで以来、あなたは誰もが
感じるほどに残酷な人になった、私にはそれが悲しいよ…」
「………世界はいつ誰にでも、残酷だ………」
絶句する陽菜子をよそに、彼は静かに歩き去っていくのであった
「…兄さん、私はやっぱり
あの時の兄さんに戻ってほしい…
でも、兄さんの気持ちも考えると
変わってしまっても無理はない…
でもそれが…私には余計に苦しい…」
陽菜子はそう言って悲しそうに言い放ち
胸元で右手を左手で包むようなしぐさを見せる
「私にできることはただ一つ…
兄さんのそばにいること
姉として、妹として
母として、娘として…
そう…兄さんの、家族として…」
そう言って陽菜子は彼とともに行く決意をその胸に秘める
同時に、もしも兄が道を踏み外してしまうことがあるのならば
その時は自分が、自分たちが彼を全力で止めて見せるとも
でも今は、彼のそばにいてやる
それが今の自分ができる限りで彼のためにやることなのだと
だが、彼女は気が付いていなかった
彼の心はもうすでに、自分の手の届かないほどに
施しようのないほどに真っ黒に染まってしまっていること
そして、兄は自分も知らない間に
恐るべき計画を立てていることもまた知らない
そして、その計画には
自分以外の妹たち全員も加担していることも
彼女は知らない
愚かなる無知・・・・・・・・・