ウルトラマンオーブ 無限の成層圏 銀色の流星   作:木原@ウィング

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始動 ULTRAMANスーツ

「ねぇ、二人はどんな大人になりたい?」

 

 

「突然どうしたんだよ?」

 

 

「こいつが突然ヘンテコな事を言うのは何時もの事だろうに」

 

 

「良いじゃん! で、将来はどんな仕事に就きたいの!?」

 

 

「俺は勿論! 親父みたいな宇宙飛行士だね!!」

 

 

「違うだろ? お前はふらふら何処かへ行くんだから風来坊だろうが」

 

 

「何だとぉ!?」

 

 

「はいはい、二人ともそこまで! で? ■■■■は?」

 

 

「……俺は」

 

 

 

 

ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ

 

 

「……夢か、随分と懐かしい夢を見たな」

 

 

カーテンの隙間から春の日差しが差し込んでくる部屋でそう呟きながら布団から出てくる一人の青年。

黒髪で綺麗な色をした瞳の青年は少し懐かしむかのように寂しそうに呟く

髪の毛は寝癖のせいでとても面白い事になっている

 

 

「お~い! 伊吹!! 飯出来てるからさっさと来~い」

 

 

「う~い、分かったよ。じいさん」

 

 

少しそう考えていると下の階から大きな声で呼びかけられ欠伸をしながら階段を降りていく青年の名前は岡田 伊吹。

日本のとある村に住む数少ない20代の男である。

リビングに到着するとそんな伊吹に対して少し呆れたように肩を竦める老人が一人。

彼は伊吹の祖父である岡田 凱。

元は宇宙飛行士として活躍しており、引退した後は世界中を渡り歩いた風来坊だ。

 

 

「随分と遅い起きだな? 伊吹」

 

 

そんな二人を見つめながら椅子に腰かけるもう一人の少し目つきの悪い顔に傷が有る男がからかう様に言う。

伊吹はそんな二人に対して頭を下げて事情を説明し始める。

 

 

「いや~悪い、昨日はちょっと『アレの調整』に手間取ったからさ」

 

 

「ほぅ? 『アレ』は既に完成はしているのにまだ先を目指すか……」

 

 

「当然だろ? だって俺と爺さんの夢の先の為に絶対に必要だからな」

 

 

「俺達の夢の先も良いがな? 今は取りあえず、お前は目の前の飯を食らえ」

 

 

「ごめんごめん! すぐに食べるって!!」

 

 

凱に促されて頭を下げながらも目の前の朝食を急いで食べ始める伊吹。

そんな伊吹を呆れたように眺める傷の有る男はそのまま部屋から出て行ってしまう。

 

 

「あれ? イゾウは? 飯食わねぇの?」

 

 

「あぁ、アイツはもう喰い終わってる。」

 

 

「え? じゃあ、アイツ何処に行ったの?」

 

 

「今日はこの後に修行しに行くって言っとったよ」

 

 

「修行? また裏山に?」

 

 

「だろうな、あそこは修行するには持ってこいだからな」

 

 

「それって絶対に後で俺と手合せするためだろうな……」

 

 

「良いじゃないか、あの発明を『人間が』身に纏った時の行動制限を無くすのも課題の一つだったんだろう? それの練習には丁度いいだろう」

 

 

「まぁ、そうなんだけどさぁ……アイツ、気分が乗るとトコトンやるから」

 

 

少し憂鬱気に呟く伊吹とそれを苦笑い気味に茶化す凱。

彼もイゾウがどの位の戦闘狂かは充分に理解しているからこそ伊吹の苦労を察しての苦笑いだ。

朝からテンションが少し下がる伊吹だったがそれはそれとして今は凱の作った朝食を美味しそうに食べ進めた。

これが岡田家の朝のゆっくりとした風景であった。

 

 

ーーーーーーー      --------

「おぉ、居た居た」

 

 

「遅いぞ、待ちくたびれてしまった」

 

 

「あのなぁ、そもそも今日は鍛錬に付き合うって一言も言ってないからな!?」

 

 

「そう言いつつも律儀にここに来るのだな」

 

 

「いや、俺が来ないとイゾウは絶対に帰ってこないじゃん」

 

 

「……ふん、それで? 『アレ』は着ているのだな?」

 

 

伊吹にジト目気味に突っ込まれ少し顔を横に向けて話題を逸らすイゾウ

彼としても以前に伊吹に鍛錬に付き合って貰えなかった時は拗ねて夕食まで帰らなかった事が有り、その辺りに関しては特に何も言えないのだ。

そんな外見にはあまり似合わない仕草を見て苦笑いしながらイゾウのその問いかけに頷いて答える伊吹。

 

 

「あぁ、ちゃんと『スーツ』は着ているよ。じゃないとこっちも怪我するからね」

 

 

「そうか。生憎と俺は手加減が苦手だからな」

 

 

「今更だよ。それは」

 

 

呆れたように呟く伊吹とそれを気にした素振りすら見せないイゾウ

しかしすぐに真剣な目になったイゾウとそれに釣られて真剣な雰囲気を纏っていく伊吹

 

 

「ルールは?」

 

 

「いつも通りだ」

 

 

「一本取った方が勝ち、それを三セットで時間制限は無し……ね」

 

 

「そうだ。準備は?」

 

 

「もう出来てるよ」

 

 

伊吹がそう言うと体を光が包み、手には銀色の長い剣が握られ体の色も赤と銀色のプロテクターに覆われた姿に変わっていた。

それを見るとイゾウも嬉しそうに目を細め、自分の腰に差していた一本の日本刀を抜き構える。

二人のその姿は普通の人間とは思えない程の気迫と威圧感が有り、そのそれは最早歴戦の戦士の様に感じ取れた。

 

 

「……それじゃあ」

 

 

「あぁ、始めようか!!」

 

 

イゾウのその発言で二人は同時に構え、互いに名乗り上げる

 

 

岡田伊吹! 切り裂け闇を、光と共に!!

 

 

宇宙剣豪、イゾウ!! 全力で手合せ願わん!!

 

 

「「いざ、尋常に……勝負!!」」

 

 

いつもの掛け声で二人は目にも止まらない速さで動き出した

イゾウの神速の剣と伊吹の重い剣がぶつかり合った瞬間、衝撃で辺り一帯に爆発の様な風が吹き荒れる。

そんな中、二人はただ楽しそうに笑みを浮かべたままであった

 

 

「相変わらずの腕だな!! そそられる!!」

 

 

「そっちこそ!! また一段と腕を上げたじゃないか!」

 

 

「だが! まだまだこれからだ! さぁ……来い!!」

 

 

「よぉぉぉっしゃぁぁぁ!! 行くぜぇぇぇ!!」

 

ーーーーーーー      --------

「はぁ、はぁ……全くイゾウめ、生き生きとした顔で帰っちゃって。お蔭でこっちはクタクタだよ。まぁ、俺も俺でそこそこ盛り上がっちゃったから強くは言えないけど……」」

 

 

日が傾き始めた時間、村の奥に存在する山中の開けた場所。そこには仰向けで地面に寝転がっている伊吹がいた。

つい先ほどまでここでイゾウとの傍から見たらただの殺し合いと見られてしまう様な手合せを行っていたのだ。

伊吹の額からは大量の汗が噴き出ており、壮絶な修行が行われていたのを想像させるには容易いほどであった。

 

 

「ふぅ……さて、ようやく動けるし早くメンテナンスに行かないとね」

 

 

手を軽く握ったり開いたりする動作を少し繰り返して伊吹は地面から飛びあがる

そして寝転がっていたせいで自分の体に付いてしまっていた砂などの汚れを軽く払って叩き落とす。

 

 

「にしても……」

 

 

伊吹はそう言って自分の手を胸に当てる

そこには先程までは赤色の模様と銀色のプロテクターが有ったが、今は赤色と銀色、そして紫の模様が書かれた体にフィットした金属製の『スーツ』らしき物が有った。

 

 

「戦闘データも大体問題は無し。みんなが提供してくれたデータから乖離してないし稼働状態も良好……これだったらもう量産に入っても大丈夫だね」

 

 

先程までの訓練で手に入った内容に嬉しそうに笑いながら伊吹は訓練所から少し離れた所にある建物に到着する。

建物のゲートで一枚のカードをかざして建物内に入っていく伊吹。

そこは外装からは考えられない位に綺麗な研究施設の内装をしていた。

 

 

「お~い、エスペランサ? いる?」

 

 

「ここに居るぞ。伊吹」

 

 

伊吹が進みながら声を張ると奥の方からそれに答える様に響いて来る声が聞こえてくる。

少し駆け足で向かうと、そこには大量のパソコンに囲まれた黒縁メガネをかけた一人の男が座っていた。

一瞬だけ伊吹にチラっと視線を向けてすぐにパソコンの画面に集中して向き直るエスペランサ

それを見て少し呆れたように肩をすくめる伊吹はエスペランサの座る椅子に体重をかけて同じようにパソコンの画面をのぞき込む。

そこには先程のイゾウとの戦闘訓練の映像と二人の横に大量のグラフが表示されていた

 

 

「さっきの訓練データはこっちでもちゃんと取れてる?」

 

 

「あぁ、ばっちりだ」

 

 

エスペランサからのOKサインを貰いご満悦な顔をする伊吹。

キーボードを叩くエスペランサを尻目に自分は先程の戦闘訓練の映像をじっくりと見てみる。

暫くはただじっと映像を見ていた伊吹だったが、そこでふと目に入った自分の動きに眉をひそめた

 

 

 

「あぁ~やっぱり、この時の踏み込みが甘かったか」

 

 

「そうか? いや、全く……本当にお前は地球人なのか疑わしくなるレベルだぞ?」

 

 

「え~? まぁ、そりゃ~【自称】インドアなエスペランサからしたらだろ?」

 

 

「いや、これは俺以外でもそう思うと思う」

 

 

「またまた~エスペランサのガン=カタもインドアじゃ絶対に考えられない位凄いと思うけど」

 

 

「ガン=カタはそこまで大したことじゃないさ。俺達の星だったら士官クラスだったら強制的に覚えさせられるだけだ」

 

 

「ペダン星だっけ? エスペランサの母星って」

 

 

「あぁ、俺の誇りの星さ」

 

 

そう言ってエスペランサは壁に掛けてあった一つのヘルメットをただ熱く見つめる。

顔の部分に青いバイザー、周りを銀色のコーティングがされたヘルメットを愛おしそうに見つめ誇らしげに胸を張って言う。

 

 

「で、どうかな? このデータがあれば量産は?」

 

 

「あぁ、可能だ。キングジョーの生産ラインの縮小版の準備は既に出来ている。やろうと思えば今日からでも出来るぞ」

 

 

「流石、仕事が早いな」

 

 

「当たり前だ、俺を舐めるな。この星の『自称天才』がぶっ飛ぶくらいの発明だからな」

 

 

「じゃあ、今日から始めちゃおうか」

 

 

「了解だ……あぁ、それと」

 

 

「それと?」

 

 

「今、お前の着ている『スーツ』を強化した奴を作ってるがそっちも量産するか?」

 

 

「えぇ!? いつの間にそんなの作ったの!?」

 

 

「お前のその『スーツ』が完成する前からだ」

 

 

「随分前からじゃないか!!」

 

 

エスペランサがあっけらかんと答えるとずっこけてしまう伊吹。

そんな時、部屋全体が突如赤く光だし警報が鳴り響く

 

 

「どうした!!」

 

 

「焦るな、これはただのアラートだ」

 

 

「ただのアラートって何だ!? アラートにただの何て無いだろう!!」

 

 

「近くで何か爆発が起きたみたいだからそれを検知しただけだって」

 

 

「爆発? ……発生場所は?」

 

 

「ここから少し離れた研究施設兼工場だ。映像が出るぞ」

 

 

そう言って物凄い速さでキーボードを叩いたエスペランサは目の前のモニターに映像を瞬時に出現させた

映し出されたその映像には物凄い勢いで火の手が上がる工場らしき施設が映っていた

 

 

「あそこって確か……『IS』の研究施設じゃ!?」

 

 

「あ~そりゃヤバいな。もし工房とかにあるライフルとかビーム砲に引火したらあそこだけじゃなくて周りまでもが吹っ飛ぶぞ」

 

 

呑気そうに言うエスペランサと対照的に少し真剣な目をする伊吹。

その目は真っすぐに映像の中の施設に対して向いていた。

少し考える仕草をして何かが決まったのか、伊吹はそのまま研究所の奥の方に向かう

 

 

「エスペランサ! ホークガトリングに現在入ってるカートリッジの種類は何だ!?」

 

 

「氷系統の怪獣のデータが5体。あとは冷凍弾だな」

 

 

「水系統のカートリッジは無いのか?」

 

 

「あるがそっちも持って行くのか?」

 

 

「今回は水のカートリッジの方がメインだ。氷の方はどっちかっていうと水が駄目な場合の保険だ」

 

 

「あいよ、準備は出来てる。行って来いよ」

 

 

「あぁ、終わったらすぐにメンテナンスよろしく」

 

 

「良い活躍、期待してるぜ?」

 

 

「あぁ! 岡田伊吹、出る!!」

 

 

言うと伊吹は両肩にバズーカ砲の様な物を担ぎながら開いた天井から空に向かって飛び出して行った。

後に残されたエスペランサは少しそれを見ると再びパソコンのモニターに注目する。

 

 

「さぁ……頑張ってくれよ? 『ULTRAMANスーツ タイプオーブ』

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