頭ふっわふわな短編集   作:サラダ豆乳パン

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fate セイバー、凛、桜、イリヤのハーレム(セイバー落ち)


 衛宮邸、居間 

 

 

「お兄様。はい、あ~ん」

 

「あ~ん」

 

 

 容姿のよく似た兄妹が食べさせ合いっこをしている。妹である小さい方のイリヤが、兄である大きい方のシャドーにおまんじゅうを食べさせては、兄が妹であるイリヤをドロドロと甘やかしつつおまんじゅうを食べさせ返す。見た目は年の離れた兄妹であるが、本来は1つ違いでしか無いとは誰が分かるだろう。兄の方は最初から、“聖杯”を守る盾であり矛になるために作られたため肉体的スペックはサーヴァントを排除することはできないが撤退させるほどである。なにせ、父親である切嗣から射撃等を学んでいたため遠距離攻撃は勿論のこと近距離攻撃も某麻婆神父と互角にやりあえる。しかも、“聖杯”としては欠陥品だが、その魔力は一流であり魔術回路も申し分ない。容姿も母親であるアイリスフィールのような妖精の如き美を持ちながら、彫像のような固くも男らしさを持つ男。それが、シャドー・フォン・アインツベルンである。

 

 

「…………」

 

 

 微笑ましい兄妹の姿を見守る男一人と監視している三名の女性。セイバー、遠坂 凛、間桐 桜。この三人の目は、まるで目の前で浮気をされている女の目で兄妹を見ている。

 セイバーは、兄妹らと同じようなおまんじゅうがあるというのに手を付けずお茶を時折飲んでは監視を。凛は、シャドーが褒めてくれた長い髪を弄び、如何にも退屈してます感を出しながら監視を。桜は、いつでもお茶のおかわりをと準備しつつ何やら黒いものを少し蠢かせながら監視を。残りの男、士郎といえば遠い目をして亡き父に助けてと救援を出していた。

 

 

「イリヤ、美味しいか?」

 

「うん! とっても、美味しいわ!」

 

 

 実に和やかな様子である。小さな妹を膝に乗せ抱きかかえて団欒している。しかし、年齢差は僅か一つ。ただの誤差だ。仲がいいことはいいが、良すぎるという方向である。

 

 

「あぁ、イリヤ。あんこが口の横についてるぞ」

 

「えぇ~? どこ?」

 

「ここだ」

 

 

 左の口の端に少しあんこがついてしまったらしい。イリヤが他の誰よりも妹らしく可愛らしく甘えた声で態とわからないふりをする。それを分かっているのか分かっていないのか、相変わらずのこちらも甘い声でシャドーは自分の口元を指差してついている部分を教える。

 

 

 ここまでなら、戦争など起こらなかった。

 

 

 イリヤがシャドーの行動で気づき 自分で 側にある布巾なりテッシュなりで口元を拭うなり何なりしていれば。

 

 

「じゃあ、お兄様がとって?」

 

「しょうがないなぁ。ちょっと待ってろよ?」

 

「いいえ。お口で取って?」

 

 

 可愛らしくもあざとく、兄でも好きな人に、甘えながらアプローチする。

 

 

 開戦のラッパが鳴った。もしくは、終末のラッパが鳴った。

 

 

 士郎は、声にならない悲鳴をあげた。イリヤを除く女性陣の背後に嫉妬の炎(オーラ)を漲らせ勢い良く立ち上がったのだ。恐ろしい。養父に女の嫉妬ほど恐ろしいものはないと教えられ、義理の兄に当たるシャドーのとばっちりを受けてきた身は、どんなに鍛錬をしても容易くすくんでしまった。他の調停役、タイガーは学校。ライダーは、バイト。もうどうしようもない。非力な自分はなんとかいざという時助けられるよう、しばし存在感を消すことに専念するのみだ。居ても、流れガンド等ぶち当たる。逃げるのがいいはずだが、彼は正義の味方。どんなに恐ろしいものが前でも、守れるものがあるならその身を犠牲にしてでも守りたい。流れガンドを受けつつ義兄を守るのだ。自己犠牲者がいなくてもシャドーは余裕で自分の身は自分で守れるので心配も何も要らないが、自己満足でも誰かを守るべきという欲望に逆らえない哀れな男、衛宮 士郎。感謝の意や労いを義兄から受けるのが、己を犠牲にしても得られるものはそれしかなかった。だが、それだけでもいいと言えるのが士郎である。

 

 

「ちょっとそれはないんじゃな~い?」

 

 

 凛が引きつった口元と笑ってない目でイリヤに言う。

 

 

「イリヤちゃん、自分で拭けますよね? あぁ、私が拭いてあげますよ。えぇ、これで」

 

 

 桜は黒いもので優しく微笑みながらイリヤに圧をかける。

 

 

「シャドーはイリヤスフィールを甘やかしすぎです。兄離れしなければイリヤスフィールがダメになってしまいますよ」

 

 

 セイバーは真面目に忠告しているが言葉の中には嫉妬が深くあるのがあからさまだった。

 

 

「なによ、三人共。わたしは、お兄様に頼んでるのよ。ね? お兄様?」

 

「俺にシューマンのようになれみたいに聞こえた」

 

「兄妹の関係を超えたいのね!」

 

「シャドー!!」

 

 

 イリヤの本気なのかどうかわからない言は置いておいて、他の女性陣の圧が大変なことになっている。

 

 

「おいおい、上等なワインを床に流す真似はやめてくれ」

 

「そのワインに入っている毒は毒でもお薬よ」

 

「なら、なんて甘いお薬だ! 糖尿病になんかなってもいいから君達という甘味を味わいたいさ!!」

 

 

 イリヤを強く抱きしめて首元から甘さを撒く。イリヤはその甘さに引っかかり沈んだ。

 

 

 

「それほど甘いのかしらね?」

 

 

 凛が目を細め、まだくっついたままの二人を睨みつける。桜は笑っている。セイバーは、何故かシャドーの口元を見ている。士郎といえば、隙きを伺いなんとか助けようとしている。

 

 

「リン」

 

「なによ」

 

 

 手招きして凛を近寄らせるシャドー。凛の声は少々不機嫌気味だ。

 それもしょうがない。シャドー・フォン・アインツベルンと遠坂 凛の関係は奉仕愛誤だ。

 吊り橋効果、しかも向こうは意図していなかったがマッチポンプな危機的状況を退け、文字通り自分の身を斬ってまでの覚悟を見せて守ってくれた。同盟関係とは言え、シャドーの魔術を用いれば此方が一方的な従僕関係にすら慣れたと言うのに、それをせずひたすら共に戦い自身の限界が超えても守ってくれた。アインツベルンのホムンクルスだからと色眼鏡を使う前に、その魔力に魅せられた。纏うというより優しく包み込むという温かい魔力に。魔術師に必要のないそれに、唾棄すべきそれに。ただ、自分も包まれていたい。代価に遠坂 凛(貢物)を捧げる。奉仕することの愛に目覚め、その奉仕こそがシャドーのためになるという誤ちを凛自身が理解し納得している愛だった。それが、今、奉仕もできないのでは愛を示せない。それが気持ち悪く、嫌な状態なのだ。

 

 

「リン」

 

「だから、なに?」

 

「君の甘さは実に俺好みだ」

 

「……で?」

 

「端的にいうなら、そうだな…」

 

 

 もったいぶるように手招きした手を人差し指以外握って指を振る。凛は指を見てはシャドーを見てを繰り返す。そして、お茶会ではなく寝室に誘うような淫靡ま様子で口元に視線を誘われてしまう。

 

 

「リンを食べてみたい、だな」

 

「んなぁ!?」

 

 

 声に犯される。耳から入るシャドーの声に犯される。意味を理解し正常な判断をするべき冷静さを犯される。

 

 

「愛の甘さは深ければいい。そうだろう…?」

 

「ぅぁ…、あ……」

 

 

 甘さに一人沈んだ。

 

 

 

「シャドーさん!!」

 

 

 沈んだ姉を退けて隣に来た桜。セイバーは士郎に抑えられている。士郎から奉仕されるおまんじゅうとお茶にもてなされていた。食欲に負けたわけではなく、王としてもてなされれば、もてなし終えるまでもてなさらなければならない。正座し行儀よくお菓子とお茶を頂いている。だが、その目はシャドーから一切離さない。セイバーはひとまず抑えられている。

 

 

「どうした、サクラ?」

 

「深さなら私が一番ですよ」

 

「あぁ、そうだったな」

 

 

 間桐 桜とシャドー・フォン・アインツベルンの関係は重終絶愛だ。

 アハト翁の命により間桐家に訪問したのが最初の出会いであった。家族から引き離され間桐の魔術に馴染むための陵辱に心を食いつぶされかけた時に出会った、光、だった。目を射るようではなく、包み込むような光、そう感じたのだ。包み込むという表現を同じくするのは、彼女の中の遠坂の血がまだ生きていることを指していた。即ち、間桐 桜になりかけていたのを遠坂 桜に少し戻ったのだ。魔術の変容はどうしようもなく、それは間桐のもの。しかし、桜の本質が間桐から離れた。白い絵の具に黒を足し続け元の白い色がわからなくなった所に、また白い絵の具を混ぜた。汚い色だろう。灰色になろうとも黒色が強すぎる。でも、徐々に白を足していけばどうなるか。白に近くなる。真っ白とは言えないが白に近くなる。だが、汚い色であることはどうしようもない。自分を捨てた家族、間桐の人間への怨嗟、憎悪、負の感情を溜めに溜めた汚い物。それをシャドーに開示してみせた。助けてほしいからではない、お前もこうなれと乞うたから。五感を全て閉じたくなるような暗闇。それでも、シャドーはなんともなしに受け止めた。自身に降り注ごうものを全て飲み干してしまったほどに。桜は、どうすればいいのか、泣いた。解決方法がわからない。そもそも、何を解決すべきかもわからない。ただ、枯れたはずの涙を流す 桜 をシャドーは包み込んだのだ。それに感じ、思う。潰れるまで重く、終わりがなくとも絶てぬ愛があれば解決できると。間桐 桜でも遠坂 桜でもなく 桜 がはじめて見つけた解答。

 解答がバツならば問題文を解答に合うように書き換えなければと、(シャドー)を補填しようとしていた。できなければ、バッドエンド突入である。

 

 

「サクラ」

 

「はい」

 

 

 名前を呼ばれただけで嬉しそうに笑う。その彼女の頬に触れた。

 

 

「あ、あの…!」

 

「じっとして」

 

 

 身を乗り出すほど積極的だったくせに、仕掛けられると顔が真っ赤になり俯こうとする。だが、それは許されなかった。恥ずかしい。自分の全てなど、とうに見せたと言うのに。いや、だからこそ恥ずかしいのだろう。汚いところまで、全てシャドーは包み込んでくれた。だから、より解答が間違わないように気をつけねばならないのだから。

 

 

「綺麗な、目だ」

 

「!」

 

「それに、髪も綺麗だ」

 

「………」

 

 

 遠坂から間桐に変わったことを証明する物達、それに負が集中する。そんな桜を、優しく、見てくれた。

 

 

「俺の知ってるサクラの色だ」

 

 

 濁る視界に光が。

 

 

「俺の好きなサクラだ」

 

 

 覗き込まれる。深い所を。深淵を。汚濁としかいえないものを。ただ、優しく、見た。

 

 

「サクラ」

 

 

 目の中の甘さを味わい沈んだ。

 

 

 

 

「………………」

 

 

 沈んだ三人を部屋に寝かせ、セイバーとシャドーは外に買い出しに行く。タイガー分までおまんじゅうをい食べてしまったため、その補充と夕飯の買い出しだ。

 

 だが、会話はない。ムスッとしているセイバーを後ろに、シャドーは士郎からのメモをたよりに道をゆく。

 

 

「うーん…。おまんじゅうだけでいいのか?」

 

「………」

 

 

 セイバーに尋ねているようでもあるし、独り言を言っているようでもある。すれ違う人は、不思議そうに彼らを見るが一部を見ると微笑ましそうな顔をしたり苦そうな顔をしたりしている。そして、彼らが通り過ぎるとぼうっとその姿を見続けていた。

 

 

「セイバー」

 

「………はい」

 

 

 繋いでいる右手を支点にセイバーの方へ振り向く。

 

 

「まだお腹は空いているか?」

 

「え? 食べられるものがあるならば入りますが………」

 

 

 常人ならばお腹を壊すほど食べていたのに、まだ入るらしい。セイバーの腹の好き具合を確認すると、公園にある何かを指差した。

 

 

「アイスクリーム、さ」

 

 

 ベンチに座りアイスクリームを食べる二人。黙々と何段にも重なったアイスクリームを食べるセイバーを見つつ、二段重ねのアイスクリームを食べる。

 

 

「セイバー」

 

「んむ。 はい?」

 

「口についてるぞ」

 

 

 イリヤのときのように自分の口元を指して教える。それに、はしたないとアイスクリームが落ちないよう慌てつつポケットを探ろうとする。仕草まではいった。そこで止まる。

 

 

「………」

 

「セイバー?」

 

「…その」

 

「あぁ」

 

「とって頂けませんか…?」

 

 

 頬を染め口元を見せるセイバーにシャドーは少し目を瞬かせる。

 

 

「………口で?」

 

 

 冗談で言った。いつものような軽口だ。

 

 

「………はい」

 

「…………………………」

 

 

 まさかの返事に固まる。だが、アイスは溶ける。

 

 

「は、はやくしてください! アイスが溶けてしまいます…」

 

「いや、あぁ、うん。そうだが、いや…」

 

「は、はやめにお願いします」

 

「………」

 

 

 目を閉じられてしまい、まるで口付けのシーンのようで、困る。が、今までにも何度も、そして彼女に対してだけある、その衝動に抑えることなどできなかった。

 

 

「!!」

 

 

 ペロリと熱い舌の感覚。ぞわりとする。嫌悪ではない何かだ。唇に触れないよう、じっとり丁寧に動く。もう少し。あともう少しで唇に当たる。でも当たってはくれない。

 

 長い間、そうしたせいでアイスは溶け落ちた。

 

 

「セイバー…」

 

「………」

 

 

 シャドーから出される、甘い匂い。甘い声。甘い瞳。どれもが女を堕す。計算しているわけではない。そのように作られたから、意図せずできてしまっている。

 

 

『どうか、効かないで……』

 

 

 頭の片隅に深く根付いた声に意識を戻す。ここで、シャドーに負けてはいけない。

 

 

「シャドー」

 

 

 少し強く名前を呼ぶと、向こうも我に返ったのか食べ終えたアイスのコーンを持たない別の手で顔を覆い顔を離した。

 

 

 

 そして深呼吸。一回、二回、三回、四回、五回。

 

 

 シャドーと同じようにセイバーもする。

 

 

 そして、三分ほどだろう。落ち着いた様子で話す。

 

 

「すまんな、セイバー。これはどうしようもないのが、歯がゆいが…」

 

 

 いつもの涼しげな顔を歪め隣に声を聞かせる。

 

 

「いいえ。大丈夫ですよ、貴方のそれは正常です。お気になさらずに」

 

 

 頬をまだ染めつつ隣に声を聞かせる。

 

 

「こんな属性は少々困るんだがな………」

 

 

 父親である切嗣から引き継いだ【結合】と自らの特性の【誘惑】の性。心を迷わせて、さそい込み、逃げ出さないよう結び合わせる。淫魔と呼ばれるほどの魅了感は彼の属性、土と水の二属性だ。聖杯の器として生み出されたのでなく、聖杯の護り手として生み出された彼はイリヤスフィールと違って胎児段階に魔術的操作は行っていない。だが、調整はされていた。非凡な才能と容姿は、生まれる前からこうなると確実に決まっていた。特性を除いて。目で、声で、匂いで、体液まで、全て、誰を彼もを【誘惑】してしまう。対魔力が高ければいいとものでなく、生き物であれば老若男女問わず【誘惑】してしまうのだ。但し、条件はある。目を合わせなくてはならない、声を聞かせなければならないこういった制約があっても、自然と【誘惑】してしまうことがある。発汗し蒸発したものでも、彼はできてしまう。彼の性格が天性の悪魔のものであれば開き直りができる。だが、彼の中身は【善】だ。周りの様子に自分の力の制御に苦悩していた。根っからの【色情魔】なぞにはなれなかったのだ。ホムンクルスと言えど生き物の形をしている。【誘惑】が効かないものなど極少数であった。その中に、辛くも妹は含まれていなかった。

 胎児段階で、彼の特性に気づいたアハト翁はすぐさま抗体となる魔術を行使し何とかなったものの、それも効く相手が限られてしまう。そして、なによりすぐに効果が失くなってしまう。それが変異なのかどうかは分からない。だが、いつまでも【誘惑】が続くのかというと、そういうわけでもない。常に行使されてはいるが、中断することもできるのだ。中断だ。途中で断つ、だ。麻薬常習犯がなぜ完璧にやめられないのか、という話をしよう。麻薬は、簡単に止められるほうからスタートするのがほとんどだろう。いい気持ちが続く、ずっと続くわけではない、また味わいたいがために余計に麻薬に手を出す。これの繰り返しだ。“常習”なのだ。此処がポイントである。何度も繰り返して、習慣のようになっているのだ。習慣が崩れるとどうなるか、全ての崩壊である。大げさと思うだろうか。大袈裟ではないのだ。もし、もう息を吸ってはいけないとなったならどうだろう。そう、“死んでしまう”。定期的に彼の成分を摂取しなければ、良くて衰弱死になってしまうのだ。バイオテロにはもってこいの代物というわけだ彼は。

 だが、何処にも例外というものはある。

 

 

「どうにかしたいからどうにか頑張ってはいるが。やはり、シューマンみたいにはなれんのだろうな、俺は」

 

 

 こぼす言葉に苦々しさが混じる。好きでこのような特性になったわけではない。だが、諦めはしていない。もう何も見たくないと閉ざせばいい赤い瞳を地面に落ちたアイスを見ていた。

 

 

「私はなんとか戻れますが、どうしてでしょうね」

 

 

 真実の愛を誓ったカップルでさえ彼が近づいてしまえば、そんなものまやかしであったと証明されてしまうほどだ。どんなに愛が強くとも、どんなに愛が深くとも、どんなに愛が綺麗でも、意味がなくなってしまうのだ。

 

 

「ん、あぁ。それは……何故だろう」

 

「分からないのですか?」

 

 

 思いもよらない解答に隣を見上げるセイバー。シャドーは銃を使いすぎてできたタコを撫でつつ頷く。

 

 

「今まで、と言ってもそんな外には出ていないが、分からない」

 

 

 服の上からでも分かる筋肉は威圧を与えるだろうが、それもすぐに感じなくなる。

 

 

「英霊にも効く奴と効かない奴がいたな」

 

「ギルガメッシュとライダーとバーサーカーは効きませんでしたね」

 

 

 三英雄が同じく持っている特性とは何か。

 

 

「神性、か?」

 

「それなら、ランサーも入っているはずです。でも、すぐに解けはしませんでしたから違うのでしょうか?」

 

 

 ギルガメッシュは宝物庫に対応できるものがあったのかもしれない。ライダーは元は女神であるし、バーサーカーは十二の試練があるからなんとかなるのだろう。

 神性では無いが、セイバーには竜の血が混じっているので、それのおかげだろうか。だが、そんなつまらない話にはなっていない。

 

 

「基本的に女性であれば老若問わず強くやられる」

 

「はい」

 

「そして、俺が止めるまでやられたまま」

 

「はい」

 

「だけど、セイバーは止めなくても戻れる」

 

「そうなりますね」

 

 

 二人で考え込む。隣から来る異性の香りにお互い惑わされながら。

 

 

「セイバー」

 

「はい?」

 

「その、目を見てもいいか?」

 

 

 【誘惑】の特性がまた出たのかと思ったが、声に強制力はない。

 

 

「………」

 

 

 赤い瞳。アイリスフィールとイリヤスフィールと同じ赤い瞳。だが、深く愛されるようような感覚が脳まで浸透するような感じは彼だけだ。彼、だからだ。この感情を彼に打ち明けていいのか。【誘惑】のせいと嘆かないか。少しどろりと濁る。

 

 

「セイバー」

 

「! は、ぃ…」

 

 

 また沈みかけた。が、やはり戻ってこられる。ふと、意識を戻すと彼は何か得たのか、何度か頷いていた。

 

 

「分かりましたか?」

 

「あぁ、分かった。なんとも、まぁ、分かれば簡単。いや、色々と複雑、だな」

 

 

 そう言うと彼はベンチから立ち上がった。

 

 

「セイバー、どうかきかないでほしい」

 

 

 どれの意味だろうか。効く、か、聞く、か。だが、どちらもできない。片方は対処できないが、もう片方はする気はないのだから。

 

 

「アルトリア」

 

 

 負傷したシャドーの枕元で教えた真名を呼ばれた。どうしようもなく身体が熱くなる。心が歓喜で満ち騒ぐ。

 

 

「俺は」

 

 

 晴れやかな午後に、晴れやかなシャドーの声。

 

 

「君を愛しているんだ」

 

 

 ありえないくらいの衝撃が身体に走る。稲妻が落ちた、そのような感覚。

 

 

「きかないでくれたか?」

 

 

 そんなの。

 

 

「効いていませんし、聞いていました」

 

 

 そして。

 

 

「私もです」

 

 

 同じく立ち上がり、赤い顔のまま。

 

 

「私も、愛しているんです」

 

 

 私の言葉にしばし固まり、その後必死に私の目線まで顔を近づけながら中断をかけているシャドーに背伸びしてもう一度。

 

 

「シャドー、愛していますよ」

 

 

 効いていないし、聞いている。

 

 いつものクールな様子は何処へいったのか、子供のような無邪気な顔で。

 

 

「アルトリア」

 

「シャドー」

 

 

ちゃんと、きいている。

 

 

〘愛しています〙

 

 

私達の関係はは相思相愛。




主人公設定


・衛宮切嗣とアイリスフィールの実子にしてイリヤの実兄
・性格はクール(MGSソリッド・スネークのような感じ)
・父親譲りの射撃と言峰綺礼と互角の武術
・かなりの魔力をもっている

リクエストしていただいた方のお名前 シャドー 様

どれぐらいのヒロイン数がいい

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  • 二人ぐらい
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