頭ふっわふわな短編集   作:サラダ豆乳パン

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TOS コレット・ブルーネル

 ミトス。否ユグドラシルと戦う。そのためにはオリジンと契約する必要があった。そのためにクラトスと戦わねばならない。世界のために。

 

 わかってはいる。今は止まるときだ。

 

 物事には優先順位があって、こなすのにも時間が必要で、何かを消費して進むのだ。

 

 穏便な例をあげれば、ごはんを食べるためには食材や調理道具が必要だ。食材は育てるのに時間が、調理器具は作るのに時間が。育てるために水や飼料を、作るために鉱石を。ようやく揃っても、調理に時間を取られる。簡単なものや、手抜きでも一秒でできるものはない。洗ったり、切ったり、炒めたり。たまねぎを炒めただけのスープだって、5分以上かかる。そうまでしてようやく口に入る。

 

 物騒な例をあげれば、戦うためには自身の力と武器や防具が必要だ。腕力、俊敏さ、機転、それぞれ能力と剣や槍、杖だって木や鉱石を使う。符だって、特殊な紙やインクを使う。強くなるために強くなるための犠牲がいる。それはモンスターであったり人であったり。最大能力をあげるために人の命を吸ったエクスフィアであったり。剣などの素材のためにモンスターの牙を使う、防具の素材のために毛皮を剥ぐ。

 

 例の共通していることは生きるために必要なこと。

 

 生きるために順位をつけて、生きるのに時間をかけて、命を消費する。

 

 生物の摂理である。無から有は生まれない。魔法だって錬金術だって命は生まれない。不可能だ。

 

 シャドーは農作物を育てる家の出だ。作るものに何が必要なのか分かるし、今もこうして生きているのだから何を消費して生きているのかも分かっている。初めは何がどうかはまるっきりわからない。わかったのは父母や同じような農民、イセリアの教師であるリフィルらによって教えられてから。理解力は年相応だった。なんでなんでと質問攻めにするだけだったのが、自分で何故か考えるという感じに変わっていくのに年を重ねてようやくだった。ジーニアスのように聡い子ではなかったが、当たり前に生きていく普通の子だ。

 

 当たり前に前を見て生きてきたのだ。

 

 家族からも友人や先生やパーティメンバーにもシャドーは、前向きな楽観的な性格と言われる。

 

 後ろ向きでうじうじするタイプではなかった。

 健康で丈夫な足があるから歩くし、走る。転んでも程よく筋肉の付いた腕に力を込めて立ち上がった。身体的に見るならこれぐらいだろう。

 思考は旅をしてからより強くなった。子供の頃はそれなりに人並みに人見知りしたり、いたずらをして怒られたり、普通だった。

 

 コレットを“神子様”と一歩離れていたのだって普通だった。子どもから老人に至るまで、コレットは世界再生をしてくださる“神子様”だった。

 

 それが変わったのはロイドがコレットに声をかけたからだ。当たり前のこと? 変だった。変わっていたのだ。

 

 神子様とは気軽に話してはいけません。

 

 イセリアに居た子供は皆小さい頃から、そう親や祖父母、近所の人、先生に言われてきたから。言った人々も気軽に話したりしない。暗黙のルールであった。

 

 それをまずロイドが破った。ロイドは正確にはイセリアの子供ではなかったから少々変わっていた。人間であるのに人間の親ではなく、血のつながりがないドワーフの養父とイセリアから離れて暮らしたせいもあったのだろう。

 

 長々としたが、コレットと仲良くなるきっかけはロイドだ。ロイドと友だちになったジーニアスとシャドーもコレットと仲良くなった。

 

 大人たちには注意された。神子様に無礼でしょうと。

 

 その方が無礼でしょと言い返したのはシャドーだ。神子様と仲良くしちゃいけないの? 皆と仲良くしようねって皆いうのになんでそんなこと言うの と言い返した。ロイドもそうだと言う。ジーニアスも小さな声で、でもしっかり言う。

 

 諭されたり怒られたり、始めは三人だけなのが、コレットも交ざって四人でになったりした。

 

 いたずらをして怒られたりもした。そこにコレットも入って。大人たちは困った。だからリフィルに全任せだ。

 

 神子様を叱ってはバチが当たる。そう皆信じていたから。

 

 リフィルは対等に叱った。筆頭のロイドと仕掛け人のシャドーと嫌がりつつもやったジーニアス、そして悪いとは思いつつ楽しんでやってしまったコレットも。

 

 とても怖かったけど、楽しかったのだしそれでよかった。

 

 

 これが何度もおきた。いたずらだけではなかったけど、毎日楽しかったのだ。前を見ることが、行くことが楽しかった。

 

 

 だから、シャドー・アンドロシュは前向きで楽観的な性格なのだ。

 

 楽しいことに優先順位を付けて、楽しむために時間をかけて、楽しいを消費していく。

 

 人生は楽しい、それがシャドーの人生だ。

 

 

 

 

 

 コンコンと小さくノックの音がする。

 

 

「コレット、起きてる?」

 

 

 今からシャドーのところに行こうとしたコレットは、少々びっくりして頭をドアにぶつけた。

 

 

「うん。起きてるよ、どうしたの?」

 

「夜の散歩でもしないかと誘いに来たよ」

 

 

 フラノールではコレットが誘ってくれたしね、と付け加えてシャドーがぶつけた頭を擦ってくれながら言う。うん、と頷き返して共に宿舎をあとにした。

 

 

「こうしてコレットと夜中に歩くのやってみたかったんだよね」

 

「え? イセリアでもやったことあるよ?」

 

「堂々とは無理だったでしょ? 結局先生に怒られたりしたし。楽しかったけどね」

 

 

 少し開けたところにあるベンチに腰を下ろしシャドーは、リフィルに昔本の角で叩かれたところを擦る。実際に痛みはないが少し痛みを思い出した。

 

 

「わたしも楽しかったよ。今も楽しい」

 

「うん、ならよかった」

 

 

 家から漏れる光は僅かで、後は星の灯りだけな今。旅のときも火の灯だけのときもあった。後者より、本能的に安心する。近くに誰かがいるということは一人でずっといることよりは遥かに安心度が違う。

 

 

「コレットを護るために世界再生の旅について行ったんだ」

 

「フラノールでも言ってたね」

 

「うん。物知らず過ぎたね。コレットを護れなくなる旅だったことに気づいたら…。あのときは怒っちゃってごめんね」

 

「ううん。わたしのこと大事に思ってくれてるんだって思ったら嬉しくて。怒ったことなんて気にしてないよ。わたしの方こそ言わなくてごめんね」

 

 

 しゅんとするコレットにシャドーはエクスフィアのついていない右手の方でまたコレットの頭を撫でた。

 

 

「僕のごめんねは言いけど、コレットの『ごめんね』はだ~め」

 

「え、なんで?」

 

「なんでも。だめ。今日、もう『ごめんね』禁止」

 

 

 ポンポンと優しく叩いて、もうごめんねを言わせなくした。強く叱るのではない、優しく叱ったのだ。

 

 

「仲直りの『ごめんね』はいいけど、コレットは僕と喧嘩したわけじゃないんだから『ごめんね』はいらないよ」

 

 

 旅が始まった頃のロイドとクラトス、最初はコレット暗殺のために送り込まれたしいなとリフィル。そんな彼らが揉めた時、シャドーが間に入り仲を取り持ったのだ。前者は剣の稽古で仲を深めた。男同士、本来は親子だったのだし割りと簡単だったが。後者は中々上手くいってはなかった。女同士の特有のとげとげしい会話を上手くごちゃごちゃにして話を変えたり、個人個人良いところや改善点を教えてあげてようやく普通ぐらいになった。その普通の後は各人に任せたけれど。

 

 仲良くなるにはちょっとした計算が必要だった。会話を合わせるという足し算、意地を失くすという引き算。会話の回数だけ好感度を増やすという掛け算。お互いの印象を良い方に同じずつ分けられる所まで分ける割り算。

 

 掛け算までは割りとできるのだ。割り算は難しい。足し算、引き算、掛け算を全部使わねばならないからだ。

 

 会話をする。旅、モンスターとも戦うのだから嫌でもする。意地を失くす。ご飯時などご飯がまずくなりたくないからなくなる。会話の回数だけ好感度を増やす。少し難しいが、寝食をともに命を預けあっているのだ。問題はない。

 

 ここまで来てようやく割り算だ。するのも大変だ。どちらか一つでも多ければ、プラスよりマイナスに働くことが多い。自分はあるのに、相手の方はないのか。相手はあるのに、自分はないのか。無意識に比べてしまい瓦解する場合がある。上手く余りが出ないよう調整する。

 

 これらはシャドーが無意識にしていた計算だった。本人も説明できない。よくいるちょっと計算が得意なだけの子供だ。パルマコスタの学問所でもコレットよりも下の点数であった。

 

 

 

 

「さて、こんなことを言いに誘ったわけじゃないんだった」

 

 

 頭を軽く叩いていた手を離し、空を見上げる。

 

 

「コレットは、この旅が終わったらどうする?」

 

 

 つられて空を見ていたコレットはシャドーに視線を移す。

 

 

「僕はイセリアには戻らないからどうするのかなって」

 

「え? どうして?」

 

 

 そう聞くと、シャドーは右手で左手の要の紋に使っているエクスフィアを撫でた。

 

 

「ロイド達と出ていく時、お父さんとお母さんから勘当されちゃってね。居づらいなぁーって」

 

 

 人間牧場での件だ。マーブルが怪物と化し村に多大な被害を与えた、その原因がロイド、ジーニアス。そしてシャドーだとされたのだ。村長から追放処分とされた。後日、色々あってそれをなくしたものの、シャドーの家族は息子に『お前は自分たちの息子ではない』と言われてしまったのだ。ロイドもジーニアスも、言ってしまえばイセリアのよそ者。捨て子のようなロイドとその養父であるダイクは村に住んでいないし、ジーニアスも先にコレットと共に旅に出たリフィル以外家族がいなかったので特に家族に害はない。だが、イセリアの村人として家族は息子を処分せずにはいられなかった。村社会とは結束が強い。その分、何かあれば村八分にされることはよくあることだ。傷があれば治すより失くす方を求められる。だからだ。

 

 

「そっか…。………旅に出るの?」

 

「パルマコスタを復興しようと思うんだ」

 

「パルマコスタを?」

 

「うん。クララさんやショコラみたいにまだパルマコスタの人たちのためにも、他にも人間牧場に収容された人達のためにね」

 

 

 まだ具体的にどうしようってのはないけどと笑う。

 

 

「ルインもあんなに立派になったんだ。パルマコスタもできるだろうって、やってやろうって、なんとかしようって。そう、考えてる」

 

「そうなんだ。…ねぇ、シャドー」

 

「ん?」

 

「それわたしも手伝っちゃダメかな?」

 

 

 にこっと笑いながらシャドーは返した。

 

 

「手伝ってほしいから言っちゃったんだ」

 

「ふふ。わたしにもやらせてください」

 

「うん。お願いします」

 

 

 にこにこといつものように笑い合う。その後、少しの沈黙が降りる。

 

 

「子供の頃、コレットと初めて会ったときさ」

 

「うん?」

 

 

 唐突な始まり。首をかしげるコレット、そんな彼女を見ないで続ける。

 

 

「ほら、最初はロイドが声かけたじゃない」

 

「うん。それから、村のみんなとも仲良くなれたよね」

 

「そうだね。それで」

 

 

 柔らかく笑う顔が少し黒くなる。

 

 

「『取られちゃった』って思っちゃたんだ」

 

「え?」

 

「最初に声かけたかったのは僕で、仲良くなるのは僕が最初。笑ってもらえるのも最初は僕にって」

 

 

 コレットの方に顔を向ける。柔らかく笑う女顔のシャドーはコレットの知らない顔をしていた。

 

 

「だからね。次は僕がもらおうって。これからも僕がもらおうって」

 

 

 笑う顔はいつもと同じようなのに、暗さのせいに出来ないくらい不思議に違う顔に見えた。その違う顔は見たことがない。喜んで笑っているわけではないし、怒って笑っているわけではない、哀しんで笑っているわけでもなく、楽しんで笑っているわけでもなくて。とても不思議な顔だった。

 

 

「これからって?」

 

「あ、分かんなかった? さっきのは、ね」

 

 

 隣りにいるコレットの手を取り、指で文字を書く。天使化の影響で声を出せなかった時のコレットの会話方法だった

 

 一文字目が書かれる。分からない

 二文字目が書かれる。分からない。

 三文字目、四文字目。どんどん続いて言葉になる。

 

 

“ずっと一緒に居てください”

 

 

 読み取った言葉は、それで。

 

 

「プロポーズ、なんだよ?」

 

 

 思わず言葉を失う。思ってもいなかった、思っていた台詞だったから。

 

 

 

 

 

「好きになったのはね」

 

 

 固まるコレットに相変わらずニコニコと笑いながら語りかける。

 

 

「笑った顔を見てから。本当の笑顔を見てから。ずっと本当のが欲しかったんだ。笑って欲しかったのは、子供心に可愛い子には笑ってほしいって思ったからだよ。笑ってくれたら、今度はそれを護らなきゃって思った」

 

 

 そして少々意地悪く笑う。

 

 

「その時からだよ。諦めが悪くなったの」

 

 

 ひどく意地悪く優しく笑う。

 

 

「コレットの笑顔を壊したくないから、無くしたくないから、忘れたくないから。だからコレットをまるごと護らなきゃって。男の意地とかじゃないよ。そんなもの僕持ってないもん」

 

 

 無責任な有責な台詞。

 

 

「意地じゃない。意思だよ。僕の。僕が初めて持って、今も持って、これからも持つものだよ」

 

 

 そういうわけで、と言葉を置いて。

 

 

「お返事。さっきのでいいんだよね?」

 

「ひゃぅっ!?」

 

「撤回はしちゃダメだよ? しても、その撤回を撤回させちゃうからね? 知らなかった? 僕ってどんな困難だって諦めないんだよ。お母さんに嫌いなもの残したときだって、お父さんの大事なお酒間違えて捨てちゃったときだってなんとかなってきたからね。なんだってなんとかなったんだから。じゃあ、なんとかなるって思うじゃないか」

 

 

 脳の処理がビジー状態から回復して、そして急速に働かしショート寸前のコレット。そんな様子を見てもニコニコとしているシャドー。

 

 

「撤回する?」

 

「…え、えっとね。つまり、どういうことだっけ?」

 

 

 真っ赤っ赤な顔で目はぐるぐると渦巻いているように混乱を表しているコレットに、自身の戦闘スタイルである、スピードを生かしたアクロバティックな戦法を披露することにした。

 

 

「愛してる。結婚してコレット・ブルーネルから、コレット・アンドロシュになって僕の隣に、居て欲しい」

 

「………」

 

 

 ゆっくりとコレットの顔が下に下る。

 

 

「コレット?」

 

「はい…。お願いするね?」

 

 

 うん。と優しく頷く。

 

 

 

 

 

 コレットは嬉しさで舞い上がりそうな気持ちと、わたしでいいのか、別の人でも良いんじゃないかと混乱でいっぱいだった。

 

 混乱する原因の解明はされている。さっきシャドーが言っていたし、嬉しさは上がるばかりだ。

 

 混乱する中、自身気持ちを言っていなかったことに気づく。

 

 

「シャドー、あのね!」

 

「うん?」

 

「わたし」

 

「撤回はさせないよ?」

 

 

 首を振って違うと告げ、自身を告げる。

 

 

「わたしもね…、シャドーのこと好きだよ。大好き」

 

「………」

 

「『この手がある限りコレットに手を差し伸べるよ。だって君が握ってくれるってわかってるから』ってフラノールで言ってくれたよね。あれね、凄い嬉しかったの。情けないけど、わたし何もできないし迷惑ばかりかけちゃってるし良いのかなっておもったけど」

 

「それは」

「きいてて?」

 

「………」

 

 

 思わず口を挟もうとするシャドーに、まだ頬を赤くしままいつもより少し固めに笑って止める。

 

 

「わたしが喋ることも何もできなくなったときもね。シャドーが『痛いの痛いの僕の方へ飛んでこい。辛いの辛いの僕の方へ飛んでこい。シャボン玉みたいに僕の方へふわふわ飛んでこい。全力で捕まえてやる』って言ったのも『負けるな、コレット。負けないで、コレット。僕も、皆も負けないから。負けそうになったら助けるから。絶対勝つから。勝てるから。勝ってやるんだから』って言ったのも全部。全部全部嬉しかったの」

 

 

 目を細めて言うコレット。シャドーは黙ったまま聞き続ける。

 

 

「頼っちゃうなって思ったの。悪いことで、許されないことなの。そうだったの。でもね」

 

 

 シャドーの両手をギュッと包み柔らかく笑う

 

 

「シャドーになら頼りたい。悪いことで許されないことをしちゃいたくなったの」

 

「…コレットはつくづくいい子だな」

 

「悪い子だよ。結局頼ちゃったもん。救いの塔に行く前の日に『助けて』っていいそうになっちゃったもん」

 

「うん。いい子で悪い子だな、コレットは」

 

「えへへ。だから」

 

 

 握ったシャドーの両手を自身の胸元までそっと寄せて。

 

 

「わたしの初めて(好き)をあげるね? なくしちゃ、やだよ?」

 

「………」

 

 

 シャドーは我慢した。

 

 我慢したから。

 

 我慢を越えたものを、漏れたものを少し開放した。

 

 

「ぁ………」

 

 

 自身の両手の上にあるコレットの手に口を落とした。

 

 

「その言葉、生涯忘れないよ? 初めてのコレットをもらうね?」

 

「…うん。もらってください」

 

 

 神子は村人と結ばれる。

 

 童話でも題材にならないものだが、彼らの奇蹟は彼らの子々孫々に永遠に刻み込まれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 




主人公設定


シャドー・アンドロシュ


出身地:シルヴァラント
年齢: 17歳
性格:楽観的
一人称:僕
クラス:剣士
エクスフィアの位置:左手の甲



コレットを護るためにロイドと一緒に旅に出ることを決意し、世界再生の旅に同行
前向きで楽天的
性格とは逆に戦闘ではスピードを生かしたアクロバティックな戦法が得意
粘り強さは人一倍
どんな困難にも絶対に諦めない強い心を持つ
仲間が揉めた時にも仲を取り持とうとする





以上が、シャドー様の設定です。






どれぐらいのヒロイン数がいい

  • 一人
  • 二人ぐらい
  • ハーレム
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