黒歌との話を終えた武昭はさっきまでいた場所とは違う離れた山中にいた。
「えっと……武昭様、これからどこに行くのですか?」
「うーん……別に様付けや敬語じゃなくて良いよ、俺も黒歌って呼ぶから」
「は、はい分かり……分かったにゃ、それで武昭はこれからどうするにゃ?」
《何、人間界に来たら会わねば成らぬ者達がいてな……》
「まぁ、ちょっとした用事もあるしな……うん、ここら辺で良いか……」
武昭達は山中にあった大きな石の前に到着した。
「うにゃ?ここが来たかった場所かにゃ?」
「そうだけど、正確に言うとここはまだ目的地じゃないんだ」
《ここから我らが向かう場所に行けるのだ、簡単に言うとここが入り口なのだ》
「入り口って……ここからどこに行けるのにゃ?」
「まぁ行けば分かるよ……---------」ピカーッ!
「んにゃ!?な、何にゃ!?この光は!!」
黒歌が聞いた事が無い言葉を武昭が呟くと目の前にある石が輝きだした。
それから少し経って光が消えると、そこには誰もいなかった。
「黒歌、目的地に到着したぞ」
「そうかにゃ……え?」
光の眩しさに目を瞑っていた黒歌が目を開くと周りは雲だらけだった。
「一体、ここは……?」
「あぁ、ここは……っと!」ガキン!!
「武昭!?何者にゃ!?」
武昭が黒歌に事情を説明しようとした時に頭上から何者かが襲いかかって来たがそのまま左腕で受けて相手を確認すると黒い髪にヒゲを生やした簡単な着物を着た筋肉質の体の男性だった。
「ハッハッハッ!懐かしい気配を感じたと思ったら、やっぱりお前だったか!武昭!!」
「全く、なんで俺がここに来たら襲って来るんですか!
「にゃっ!?す、スサノオって……もしかして……」
「あぁ、我等の弟だ……全く、あいつは……」
「けど、武昭が来た時は必ず相手をしてくれますから」
黒歌の後ろに肩までのストレートの黒髪で細身の女性と長い黒髪でスタイルの良い女性が立っていた。
「あ、あの……もしかして、あなた達は……日本神話の……」
「あぁ、我の名前はツクヨミという」
「私はアマテラスオオミカミです」
「にゃはは……アッ……」
黒歌は自分の後ろにいた存在に気づくと青い顔をして苦笑しながら気絶した。
しばらくして……
「うにゃ?……ここは……」
黒歌が目を覚ますと何処かの和室だった。
「確か私は武昭と一緒に……」
「おや、気がつかれましたか」
黒歌が状況を確認してると黒い髪に桜を模した髪飾りを付けた女性が入ってきた。
「えっと、貴女は……」
「私の名前はコノハナサクヤヒメと申します」
「もしかして……武昭と知り合いですか?」
「まぁ武昭様とは知り合いと言えば知り合いですね、それよりも体を起こす事は出来ますか?」
「アッ!は、はいっ!大丈夫です!!」
「そんなに慌てなくても良いですよ、それでは私の後に着いて来てください」
黒歌はコノハナサクヤヒメの指示に従った。
黒歌が連れられて来た場所はとても広い宴会場で、その中では……
「プッハァ〜!やっぱりここのお神酒は旨いなぁ!」
「ハッハッハッ!良い飲みっぷりだなぁ!武昭!ほらもっと飲め!!」
「ちょっとー お酒ばかりのませるんじゃないわよ、ほら私が作った料理も食べなさい」
武昭が鎧姿の男性と酒を飲み、薄い衣を纏った女性から料理をすすめられていた。
「すみません……あの武昭と一緒にいる方達って、まさか七福神の……」
「はい、毘沙門天様と弁財天様になります」
「にゃはは……もう驚くのにも疲れたにゃ……」
「おっ!おーい!黒歌、こっちに来いよー」
「んにゃ!?私は端っこでいいにゃ!!」
「そんな事を言わずに、こちらへどうぞ」
黒歌は抵抗したがコノハナサクヤヒメの力が強く無理やり武昭の近くに座らせられた。
その後……
「にゃはは!もっとのませるにゃー!!」
「そうだそうだ!猫の嬢ちゃんも沢山飲みなよ」
黒歌は七福神の大黒様から酒を注がれていた。
「どうやら黒歌も馴染んできたみたいだな……アッ、アマテラスさん」
武昭が黒歌の様子を見てるとアマテラスが横に座った。
「どうですか?一杯?」
「いただきます……ふぅ美味しいですね」
「そうですか、それで今日はどの様な用事でここに来たのですか?」
「あぁ……実は……」
アマテラスが武昭に訪問した理由を聞くと事情を話し出した。
話を聞いて……
「なるほど……彼等のトップが、その様な事を……」
「それでアマテラスさん達と繋がりがある俺が来たんです」
「私達は構いませんよ……但し、もう少し後になりますが……」
「分かりました、じゃあ、向こうにはそう伝えておきます……こっちに来たからには
「ふふっ
「えぇ、いただきます……そうだ、後もう一つ頼みたい事が……」
武昭はアマテラスから酒を注がれると、ある事を頼んだ。
オリジナル設定。
日本神話
アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三神からなる神話形態。
その中には七福神なども所属してる。