魔法少女リリカルなのは 蒼の守護者   作:みずき

8 / 11
七話です。


第七話 聞こえても届かない声

 

「え、喧嘩?」

「うん・・・」

「アリサちゃん達と?」

「うん・・・喧嘩っていうより一方的に怒鳴られたみたいなものだけど、悪いのは私だし」

「ふむ・・・どうせなのはちゃんのことだから疲れた顔してる理由を聞かれて答えられなかったんでしょ」

「・・・鋭いね。瞬兵くん」

「誤魔化す方法なんていくらでもあったでしょうに」

「だって・・・誤魔化したくなっかったんだもん」

「だったら、理由を話せばいい、聞こえても届かない声があるんだって」

「・・・聞こえても届かない声?」

「そのとおりでしょう、フェイトちゃんにもファルさんも」

「フェイトちゃん?」

「あれ・・・ひょっとして名前まだ聞いてないの」

誰それって言わんばかりのなのはちゃんの声に僕は思わず聞き返した。

「・・・ねぇ、誰なのかなそれ」

「ちょっと、さっきまで落ち込んでたしおらしいなのはちゃんはどこにいったの」

「そんなこといいから、そのフェイトちゃんって誰なの」

さっきまでの落ち込んだ姿を消して黒オーラ全開でなのはちゃんが問いかけてくる。

「だから、ジュエルシードを集めてる女の子だよ」

「あの子、フェイトちゃんって言うんだ」

「それよりもだ。友達になりたい子がいるんだけど上手くいかない、それだけでいいのに」

「だってその子を紹介してって言われたら」

「私が一人でやりたいのって言い張ればいいのに・・・二人ともなのはちゃんが頑固なのを知ってるから、待っててくれるよ」

「・・・・・・じゃ、ひょっとして」

「うん、おもいっきり無駄な喧嘩だね」

あ、落ち込んだ・・・暗いなあ・・・

「ねえ、今からでも話しておいでよ」

「でも・・・」

「大丈夫、アリサちゃんやすずかちゃんにはちゃんと届くよ。なのはちゃんの言葉、なのはちゃんの想い」

「瞬兵くん」

「親友でしょ、信じなよ。分かってくれるって」

「うん、私、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい、僕も出かけるから、頑張ってね」

「うん!」

うん、元気になったね。

やっぱりこうじゃなきゃ・・・声は聞こえても届かない、そんなことはいくらでも世界にある。

それでも、声はださなきゃ届かない、想いは伝えなきゃ届かない。

僕はまだ諦めないよ。

ファルさん、フェイトちゃん、絶対に僕の声を、僕の想いを届けてみせる。

さてと、はやてちゃんにお土産を届けに行かないと・・・

「ユーノくんはなのはちゃんについていってみたいだし」

僕も出かけるかな・・・

「あ、その前にクッキー焼いていこうかな」

というわけで小麦粉、牛乳、バターと材料をかき集めてクッキーを作り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~や~て~ちゃ~ん」

「は~い、ちょっと、まっとってな」

あれから二時間後、僕は今はやてちゃん家の前にいる。

なぜかインターホンを使わないで直接よんだ。

温泉旅行のお土産とクッキーを渡しに来たんだけど、

「こんにちわ、瞬兵くん、待たせてごめんな」

「それは別に、構わないんだけど・・・はやてちゃん」

「ん、なんや」

何だか凄く嬉しそうな顔をしてる。

「なんか、嬉しそうだけどなにかあったの?」

「ん・・・ちょっとな(シグナムたちが言うには本を開いた人物は危険かもしれないっちゅうことやけど)」

「なんですか・・・人の顔をジッと見つめて」

むぅ、僕の顔に何かついてるのかな?

「あ、いや、なんでもないんよ(とても、そんなふうに見えへん)」

でも、変だな・・・

はやてちゃんから強い魔力を感じる。

この前はなかったんだけど、思い当たる原因はあの本かな・・・

けど、はやてちゃんは幸せそうだし・・・

ジュエルシードでもないから、きっと大丈夫だよね。

「それで、何の用や?」

「あ、忘れてた。これ温泉旅行のおみやげと焼きたてのクッキーだよ」

「ホンマに?ありがとう瞬兵くん」

「本当は一緒に行ければよかったんだけど・・・僕が連れて行くわけじゃなかったから」

「そんなん、気にせんでええよ(というかシグナムたちがおるからどっちにしても行かれへんよ)」

「それは、万華鏡なんだよ」

「へぇ、そうなんや」

うん、嬉しそう、よかった。

でも、本当に一緒に行ければよかったのに・・・

「あ、瞬兵くん、せっかくのクッキーやからな、お茶飲んでいかへん」

「お誘いは嬉しいですけど・・・今日は、それにはやてちゃんの所、今は誰かいるんでしょう?」

「何で分かるんや」

あ、驚いてる。

だって、靴が見えてるし・・・相変わらず妙な所で抜けている。

知られたくないなら靴は隠すべきだよ。

「靴が」

「靴?」

「明らかにはやてちゃんのサイズじゃない靴が四足もあったし・・・」

「・・・なるほど、それは分かりやすいなあ」

「だから今日は遠慮しますよ」

「すまんなあ、今度こっちから誘うわ、そんときはお茶しよな」

「はい、じゃあまた・・・あ、それとこれも渡しておきますね」

「腕輪?」

「お守りです・・・きっとはやてちゃんを守ってくれますよ」

とは言ってもアルフさんにあげたのとは違って魔力を少々、遮断するくらいしかできないけど・・・

う~ん、はやてちゃんがなんか幸せそうで・・・

それはいいんだけど、嫌な感じ・・・

僕の予感は基本的に当たるからなあ。

変なことにならないといいけど、

「綺麗やな」

「まぁ、木を削って僕が作ったんですけど」

「・・・は?」

あ、固まった・・・そんなに以外かな・・・

「そんなに以外ですか?」

「あ、いや・・・そうゆうわけやないんやけど・・・凄く上手やから」

「そう言ってもらえると作ってよかったと思いますね」

「はあ、しかし、こんな才能もあったんやな」

「それ、できるまでに失敗作が五十個くらいあるんですよね」

「そ、そんなに作ったんか!?」

「ええ、まあ」

「そんな苦労したもん、私が貰ってええんか?」

「だってその為に作ったんですから」

「わ、私の為に・・・///」

まぁ、確かにはやてちゃんの為に作ったのは確かだけど・・・

単なるお守りでしかない。

「さっきも言った通りそれはお守りですから・・・何か災厄を回避すると汚れてくるはずです」

「は?」

「いえ、そういうふうに作ったので・・・もし壊れたり汚れきってしまったら捨てるか僕に教えてください」

「(いや、そういうふうにって)りょ、了解や」

「そしたらまた新しいのをあげます」

「瞬兵くん、これどういう意味で私にくれるん?」

「ただのお守りです。それ以上でもそれ以下でもありません」

「(別に好きやからやないんやね)」

「まぁ・・・どうでもいい人にわざわざ作ったりしませんよ」

「(くうっ・・・な、なんて狡猾な)」

「本当にただのお守りですから」

「心配してくれてありがとうな」

僕はこの家に近づいてくる魔力を感じてそちを振り向く。

「あれ・・・」

「え、なに、どうかしたん?」

犬・・・いや狼?

あれ、でもこれは・・・魔法生物?

「ザフィーラ、おかえり」

「え!?」

ザ、ザフィーラってこの狼の名前?

何で・・・

「えと、この子、ひょっとしてはやてちゃんが?」

「そうや、家で飼ってる子や」

「でも、犬小屋とか見えないけど」

「家の中で飼ってるからな」

・・・・・・どうしようか、この事態、

1、何も言わずに去る。

2、とりあえず事情を問いただす。

3、はやてちゃんたちの記憶を封じて逃げる。

4、とりあえずぶちのめす

・・・・・・

は・・・何か選択肢が頭を過ぎったけど、

「えと・・・いつから?」

「この前、瞬兵くんに送ってもらった日の夜や」

「そ、そう・・・ん」

何か狼が擦り寄ってくる。

「お、瞬兵くん、ザフィーラに気にいられたみたいやな」

「ああ、そう・・・」

ど、どうしたら・・・や、やっぱり・・・逃げる?

ってそれは、怪しいよな・・・あ、そういえばまだ魔法の込めてないリボンをもってたっけ、

「じゃあ、ザフィーラちゃんにはこれをあげるね」

そう言って僕はザフィーラちゃんに青いリボンを結んであげた。

「ぶはっ・・・」

何故かはやてちゃんが噴出した・・・なんか笑いをこらえてる・・・?

「はやてちゃん?」

「あ、いやいや、ザフィーラは男の子やから」

「じゃあ、ザフィーラくん?」

「まぁ、そうやな(・・・ザフィーラにリボン・・・おまけにザフィーラちゃんにザフィーラくん・・・に、似合わへん・・・特に人型ザフィーラのリボン・・・暫くはからかって大笑いできそうやな)」

「ふうん、ごめんね。ザフィーラくん」

む、この子全然吼えないね。

「あ、じゃあ用事もすんだから、またねはやてちゃん」

「ああ、またな、瞬兵くん、気ぃつけてな」

「はい」

 

 

 

 

 

「ああ・・・何か決定的な間違いを犯したような気がする」

はやてちゃんたちと別れてから僕は近くの公園に来ている。

「何でだろう・・・」

僕はこのときこの感覚の意味をそう遠くない未来に知ることになる。

はぁ、さてと今日はこの後は予定はないんだけど・・・

どうしようかな、ファルさんでも来ないかなぁ・・・

「ってさすがに来ないよね」

「誰がですか?」

「だからファ・・・」

「はい」

「な、なんでここにいるのかな・・・ι」

「通りすがりです」

「嘘つけっ!」

僕は思わず即答してしまった。

この人、本当にストーカーなんじゃ・・・

「いえ、実はこの間巻き込んでしまったので・・・狙われていないかなと思いまして」

「うん、きっとその内襲われるだろうね・・・」

それはもう既に決まったことだ。

あの日、ファルさんの事情に巻き込まれたときから確定した未来だ。

「でも、気配を消す結界を張ってるから簡単には見つからないよ」

「なるほど・・・どおりで探すのが大変だったわけですね」

「でも、この結界は外からの気配も遮断するから、いつもより鈍くなってるんだよ」

「ああ、それで気がつかなかったんですか」

「ところで・・・その口ぶりだと少し前から居たみたいだけど」

あ、ちょっと顔が引きつった。

「いつからいたのかな?」

「それは秘密です」

あなたはどこぞの怪しいプリーストですか?

「とりあえず、一発殴っても許されると思うんだけど」

「そんなことよりも、身体に異常はないですか?」

「別に平気だよ・・・あの触手は気持ち悪かったけど何せ服の中にまで入り込んでたから」

「服の・・・中?(・・・くっ、殺し損ねたのがこれほど悔しいとは)」

「まったく失礼な触手だったよね」

「それはつまり触手プ」

ドゴンッ!

「それ以上はNGだよ」

やばげな事を言いそうになったファルさんをとりあえず裏拳で黙らせる。

「す、すみません」

「コホン・・・ファルさんにも気配隠しの結界を張るので気配に鈍くなりますが我慢してくださいね・・・いつも助けに行けるとは限りませんし」

「あの・・・何故、助けてくれるのですか?」

心底不思議そうに訪ねてくる。

「別に危ない目にあってる人を助けるのに理由なんか必要ないでしょ」

「それは、甘くて危険な事ですよ」

「そうだろうね・・・まぁ、ファルさんはお友達だしね」

「私は敵です」

「あのね。フェイトちゃんもファルさんもそんな顔で言っても説得力なんて微塵もないの」

そう、そんな泣きそうで悲しそうで壊れてしまいそうな、そんな顔で何を言っても無駄・・・

まったく、大人しく頼ればいいのに、まあ、自分でも甘いなあと思うけど・・・

「まったく・・・子供じゃないんだから人に頼るのも選択肢の一つだよ」

「言ってくれますね・・・」

「ふふん、悔しいならほれほれ事情を話してみい」

「そ、それは・・・」

「ほれほれ」

ああ、楽しい・・・ファルさんをこんなに一方的にいじれるなんて、初めてのことだ。

「まあ、いいや」

「え・・・?」

「その内、嫌でも話すことになるからね」

きっとジュエルシードはファルさんの役には立たない。

だって、ジュエルシードとあの怪物たちは力の質がそっくり。

ジュエルシードじゃ、あの怪物たちは倒せない逆に吸収して強くなるのがおちだ。

けど・・・言えないよなあ・・・言ったほうがファルさんの為になるんだけど、一人で頑張ってる人にあなたがしてることは無駄ですとはさすがに、

これが優しさじゃないことぐらい分かるけど・・・うう、どうしよう・・・

「ま、とにかく、彼の者を悪しきものより包み隠せ、彼の者に世界の加護を!」

ファルさんの周りに結界を張り巡らせる。

「気をつけてね。この結界はあくまでも気配を遮るもので魔法とかは素通しだからね」

「あ、はい・・・分かりましたけど」

これから忙しくなりそう、ジュエルシードも、残り少ないし。

それにしても・・・フェイトちゃん、大丈夫かなあ・・・

あの怪物たちとジュエルシードは同種の物だ。

それに気づけば必ずジュエルシードを狙って動き出すだろう。

「もう一つ」

「はい?」

「もう一つ、聞いてもいいですか?」

「何を?」

そんな真剣な顔で何を聞こうと・・・

「私がジュエルシードを集めて・・・いえ・・・瞬兵くんは恋人は居るんですか?」

「居ません」

ファルさん・・・気がつきはじめてるんだね。

ジュエルシードを集めても無駄だってことに・・・

でも、ここまで来て、それを認めたらやっと見つけた希望が無くなる。

口に出したくないよな・・・

でも・・・ここで告げないと

「あの、ファルさ」

「「!?」」

「ジュエルシードの気配・・・しかも、魔力を流して強制発動させたみたいだし、無茶するなあ」

「ふむ・・・では、私は先に行かせてもらいます」

「え!?ちょっと、まっ」

もう、転移しちゃった。

「・・・言い損ねた」

なのはちゃんにもフェイトちゃんと話す機会は必要だよね。

今日は行くのやめよう。

僕はその場で戦いの場の魔力を探る。

「あ、瞬兵」

「星夜!?」

「行かなくてもいいのか?」

「うん・・・なのはちゃんにも話し合う機会は必要だから」

「なるほど・・・まぁ、話し合いは大事だからな」

「でも星夜の感覚も段々鋭くなってきたよね」

「そうなのか?」

始めの頃はジュエルシードの発動も分からなかったのに、

「だってジュエルシードの発動をちゃんと感じ取れるようになってるもん」

「そういや最初は分からなかったな」

「ねえ、エリアサーチの練習してみない?」

「エリアサーチ?」

「探索魔法だよ・・・なのはちゃんや僕は魔法を練習してるから色々とできたけど星夜はちゃんと練習を続けてたわけじゃないでしょ?」

「まあ、偶に防御魔法や結界の練習はしたけどな」

「それでも探索関係は教えてもいないのに」

「俺ってひょっとして凄いのか?」

「まあ・・・才能はあるだろうね(なのはちゃんと同じかそれ以上に)」

「そっかそっか」

すぱーんっ!

「調子に乗らない!」

「ま、またハリセン」

「才能が有ろうと無かろうとまずは練習!」

「はい・・・」

「魔法って才能があっても修行しなきゃなんの役にも立たないんだから」

「修行って言ったってよ」

「術式の構築の仕方は防御魔法で覚えたよね」

「ああ・・・」

「なら今度は理論かなどこをどうすればどうゆう魔法になるかとか」

なのはちゃんは術式の構築がまだまだデバイス任せだからね。

後でそこらへんをじっくりと教え込まないと・・・僕もシュテルシアなしで魔法を扱うのをもっと頑張らないとね。

「じゃ、ちょっと練習してみようか」

「練習?」

「エリアサーチの練習だよ」

「でも今はなのはさんたち戦闘中だろ?」

「あ、そういえばそうだったね・・・」

「今ここで結界を張るのはまずいだろ」

「戦いは何があるか分からないもんね」

「また、今度教えてくれよ」

「うん」

「「!?」」

感じたのは膨大な魔力・・・

「・・・なにこの魔力、まさかあの三人が居て封印が失敗したなんてことは」

本当に何この馬鹿魔力は、このまま爆発したらここらへん一帯が吹っ飛ぶ。

とにかく行くしかないか・・・

「シュテルシア、セットアップ」

『イエス』

「瞬兵、気をつけろよ」

「うん・・・大丈夫だよ」

やばいかもしれないけど放っておくわけにはいかない。

何が何でも止めないと・・・

「じゃ・・・行ってこい」

「うん、星夜は帰ってて・・・いってきます」

僕は転移する。

転移して見た光景は今にも暴走しそうなジュエルシードと壊れたレイジングハートとバルディッシュ、エールを持ち吹き飛ばされそうな三人の姿・・・

そして何か吹き飛ばされてきた物体を思わず受け止め。

「うわっ!」

吹っ飛んできたアルフさんに潰された。

「いたた・・・アルフさん、どうなってるのこれ?」

「フェイトとあいつ等がジュエルシードの近くでぶつかったんだよ」

「じゃ、周りからの過剰魔力のせいで暴走してるんだね」

ということは・・・周りの魔力を遮断して三人を引き離してから封印しないとかな、

「あの三人の魔力を排除か・・・難しいな・・・けど、やるしかないか」

僕は杖の先端をジュエルシードに向けて構える。

「アルフさんバインドで三人をジュエルシードから引き離して」

「わ、分かった」

「全ての力よ。闇へと堕ちて消えよ。暗き深淵、虚空の狭間、真空の呪縛よ。彼のものに宇宙(そら)の鎖を!」

「チェーンバインド!」

アルフさんが三人をジュエルシードから引き離したのを見て僕は術を発動させる。

「アブソリュート・ゼロ!」

ジュエルシードの周りに全ての力を無に返す鎖が絡みつくフィールドを作り出す。

「っつ・・・」

身体にかなりの不可がかかる。

「くうっ・・・凄い重圧・・・」

気を抜くと杖が弾きとばされそう・・・でも、ここで杖から手を離したら暴走するのは間違いない。

「・・・・・ぐっ」

放出する力に耐え切れずに手から血が流れ出す。

「・・・とっとと」

僕は流れ出る血に構わずに杖を強く握り締め、

杖を大きく振るった。

それと同時に腕からも血が流れた。

「・・・消えろぉぉぉおっ!」

空が一際強く輝き背の翼の輝きがます。

そして・・・光がきえた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・なんとか収まった・・・早く、封・・・印」

そこで僕の意識は途切れた。

 

 

 

 

「う・・・あ・・・」

「瞬兵くん!!」

意識を取り戻した僕をなのはちゃんが心配そうな顔で僕を覗き込む。

「なのは・・・ちゃん?」

「よ、よかったぁ」

僕は上半身を持ち上げる。

するとなのはちゃんは突然すがり付いて泣き出した。

「え、あ・・・ちょっ、泣かないでよ」

「し、心配したんだから」

「ごめん」

あれ、そういえば手と腕・・・手当てされてる。

「ねえ、これなのはちゃんがやったの?」

「・・・右はファルさん、左はフェイトちゃんが」

あの二人・・・後でお礼を言わないとね。

「ジュエルシードは?」

「フェイトちゃんが」

そっか・・・フェイトちゃんが・・・

「痛っ・・・」

「だ、大丈夫!?」

「うん、ちょっと手が痛んだだけ」

「本当に大丈夫なの?」

「うん、強い力を長い間出し続けて体が耐え切れなかっただけだからね」

「そう・・・」

何せ三人分とジュエルシードだからね。

「なのはちゃんも気をつけてね。人の身体は強い力に耐え切れない。それを補うために人は訓練をする。身体を鍛える」

「・・・・・・・・」

「それでも、追いつかない場合はこうなる。僕はお父さんやお兄ちゃん、美由姉との訓練もしてる。それでもこうなった」

「うん、気をつける・・・無茶はしても、無理はしないよ」

「うん、なのはちゃんは頑固だからね。心配だよ」

「・・・反論できないけど、瞬兵くんも無茶しないでね」

しまった、返された・・・

そりゃ自分でもちょっと無理しちゃたかな~とか思わなくも無いけどさ。

「わ、分かってるよ。今回は緊急事態だったから」

う~ん、しかしファルさんもフェイトちゃんも包帯巻くの上手いな・・・

「あ、ねえ、どうして今日は遅れて来たの?」

「必要だと思ったからね」

「どういうこと?」

「ちゃんとフェイトちゃんの口から名前、聞けたでしょ」

「え、うん」

僕の言葉に頷きそれがどうしたのと目で問いかけてくる。

「なのはちゃんの名前も伝えられたでしょ」

「うん」

「僕が行くとできないから」

そう、僕が行けばきっと二人は満足に話せないで終わるだろう。

「・・・ありがとう」

「お礼を言うことじゃないよ。何せ僕はさぼったんだから」

「ううん、私、もっとフェイトちゃんの事知りたい、友達になりたい」

ああ、なのはちゃんのスキル、頑固が発動中だ。

「じゃ、頑張ろう、僕たちの声を、想いを届かせよう」

「うん」

「あ、そういえば喧嘩はどうなったの?」

「無事に解決したよ。本当にありがとう瞬兵くんのおかげだよ」

嬉しそう・・・よかったよかった。

まあ、大して心配はしてなかったけど・・・なのはちゃん達だからね。

「違うよ」

「え?」

「三人が友達だからだよ」

「あ・・・うんっ!」

三人はこれからもっと仲良くなれるだろうから、ちょっと羨ましいかな。

僕も星夜も偶には喧嘩があるし・・・いや、喧嘩と言うより僕が怒ってるんだっけ・・・

星夜、懲りないからなあ。

「あ、この怪我は治さないと」

「あ、お母さんがどうしたのって大騒ぎするよね」

「なのはちゃんもそう思う?」

「うん」

さて、本当はこれくらいの怪我は自然治癒のほうがいいんだけど、

まだ、魔法とかジュエルシードとかの話はしたくないしね。

「仕方ない、ティンクル・キュア」

光が手の怪我を癒していく。

「すごいね。こんな強力な回復魔法はそうそうないよ」

「ユーノくん・・・居たんだ」

「ひ、酷い・・・確かに話に入れなくて黙ってたけど」

「あ、あはは・・・ιご、ごめんね。ユーノくん、あ、後でクッキー焼いて上げるから」

「・・・瞬兵のクッキーはおいしいけどさ」

「あ、ねえ、レイジングハートは大丈夫なの?」

「それが・・・」

なのはちゃんの赤い宝石には罅が入っている。

「心配しないで自己修復してるから明日には直ってるよ」

「そか、よかったね。なのはちゃん」

「うん・・・」

「ふぅ・・・そろそろ帰ろうよ」

「・・・そうだ。私がおんぶしてあげるよ」

「え゛・・・」

「なに、その反応」

「だって運動音痴のなのはちゃんが僕を背負えるの?」

「あのね。瞬兵くん、自分の小ささを忘れてない」

どしゅっ!

何かが心を貫いた気がする・・・

そうだよね・・・僕、小さいもんね。

「(なのは・・・それ、結構酷い)」

結局この日僕はなのはちゃん背負われて帰ったのだった。

家についたら大騒ぎされたので貧血って言って誤魔化しました。

 

 

 

 

 

「はう~、疲れたよ~」

「ご苦労様、瞬兵」

「ユーノくん・・・ユーノくんはどうしてそんなに一生懸命にジュエルシードを探すの?」

「ジュエルシードを世の中に出したのは僕だから」

だって悪いのはユーノくんじゃなくて・・・

「ねえ、護衛とかいなかったの?」

「え?」

「だからジュエルシードなんて危険な物を運ぶのに護衛は居なかったのかって聞いてるの」

「それはもちろん居たよ」

「じゃあ、別にユーノくんは悪くないじゃない」

「でも・・・」

責任感が強いのは結構だけど正直無謀な行為だなと僕は思う。

それでも見捨てておけないんだけど・・・

「これは推測だけどね。そういう危険なものは専門に扱う機関もあると思うんだけど」

「確かにあるけど・・・」

あ、やっぱりあるんだね。

「深くは聞かないけどさ・・・誰かに頼るのも大切だよ。僕やなのはちゃんを頼ったみたいにさ」

「それは分かってるけど・・・本当は魔力が戻ったら此処から出て行くつもりだったんだけど」

なのはちゃんは頑固だしレイジングハートもなのはちゃんをマスターとして認めちゃったからね。

「つまりは一人でどうにかするつもりだったと・・・」

「うん・・・ごめん」

「ユーノくんが謝ることじゃないよ」

でもねえ、正直な話ただの危険物回収が厄介なほうに流れてる。

「ただの危険物の回収・・・のはずだったんだけどねえ」

「僕もそのつもりだったよ」

これ以上増えないよね・・・厄介事・・・

「ふぅ・・・寝ようか」

「うん・・・また明日も頑張ろうね。瞬兵」

「そうだね。早く全てのジュエルシードを回収しなくちゃね」

「戦いは避けて通れないと思うけど」

「仕方ないよ・・・二人は諦めない」

ファルさんもフェイトちゃんも諦めたりしない。

「そして・・・僕たちも」

「ごめんね瞬兵・・・巻き込んで」

「気にしなくていいよ。僕もなのはちゃんも自分で決めたことだから、ユーノくんが自分でジュエルシードを探すことを決めたのと同じようにね」

そう・・・自分で決めた。

だから逃げない、投げ出さない。

そしてそれはフェイトちゃんとファルさんについてもだ。

「ごめん・・・」

「え・・・なんで瞬兵が謝るの?」

「だってユーノくんの目的はジュエルシードの回収でしょ。フェイトちゃんのことも、ファルさんのことも関係ないじゃない」

「・・・それこそ謝る必要ないよ。二人と戦わなくてすむならそれに越したことはないし・・・何より僕は二人を危険な事に巻き込んだ側なんだから」

「ユーノくん・・・」

「だから瞬兵もなのはも思うとおりにやってくれていいんだよ。二人の想い、きっと届くよ。届かないはずがないよ」

「ありがとう、ユーノくん」

そして僕たちは眠りにつく。

みんなで仲良くお茶してる夢でもみたいな・・・それが現実になるにはまだまだたくさんの事件がありそうだけどね。

 

 

 

 





瞬兵「瞬兵くんと」
エリオ「エリオの」
二人「あとがきコーナー!」
瞬兵「今回のゲスト」
エリオ「アルフさんの登場です」
アルフ「こんちは、瞬兵、エリオ」
瞬兵「今回のあとがきですがそろそろ明かせない設定も増えたのでネタがないのです」
エリオ「というわけで、アルフさん何か質問はありませんか?」
アルフ「いや、そんな急にいわれてもねえ」
瞬兵「何かないの?」
アルフ「そうだね、じゃあ・・・この小説はずっと瞬兵視点だけど変わらないのかい?」
瞬兵「うん、本編はずっと僕の視点だね。だから敵も味方も他の人が何をやってるのかまったく分からないのが特徴」
エリオ「番外編は別の人の視点もありえますけど、今の所は・・・そもそもこの時点ではまだ番外編を書くかどうかも未定ですけど」
アルフ「なんでだい?」
瞬兵「まずはネタがない・・・番外編のネタがないんだよ」
エリオ「だから、こんな話が読みたいとかあれば送ってほしいですね・・・書くかわからないけど」
アルフ「所でさ」
二人「はい?」
アルフ「二人は仲がいいよね」
瞬兵「それはもちろん・・・僕にとってエリオくんは大事な子供で大切な親友だもん」
エリオ「瞬兵さんは僕にとってお父さんでお兄さんで弟で親友です」
アルフ「・・・何か凄い状態だね」
瞬兵「否定できないなあ」
エリオ「ですね」
アルフ「今回、瞬兵が怪我をしたのはなのはのプラスターシステムと似たような理由なのかい」
瞬兵「そうだね。限界を超える魔力って奴だよ」
エリオ「フェイトさんになのはさんにファルさんの三人分に加えてジュエルシードの分ですからね」
アルフ「あたしたちが無事だったのは奇跡みたいな状況だね」
瞬兵「そだね。実際やばかったよ」
エリオ「やばかったですんでしまう所が人間じゃないって証明しちゃいますよね」
瞬兵「そうだね・・・」
エリオ「あ、ごめんなさい」
アルフ「(く、暗い)ほ、ほらほら元気だしなよ。瞬兵はフェイトたちを助けたんだから」
瞬兵「ありがとう」
エリオ「・・・(瞬兵さんはいつもどうやって生きてきたのかな?)」
瞬兵「さて、次回のゲストは・・・誰にしようか」
エリオ「そろそろメインキャラはみんな出てきましたからね」
アルフ「クロノは?」
瞬兵「まだ、本編にでてないし」
アルフ「次の話で出ないのかい?」
エリオ「あ、そうですね」
アルフ「じゃあ、クロノでいいんじゃないかい」
瞬兵「う~ん、じゃあ、そうしますか」
エリオ「クロノさんはフェイトさんのお義兄さんですね」
瞬兵「よし、決定」
エリオ「はい、じゃあ、みなさま」
アルフ「次回も頼むよ」
三人「次回もよろしく~」
瞬兵「さて、おわったおわった」
エリオ「今日はどうしましょうか」
瞬兵「そだね。アルフもいるし、ボーリングにでも行こうか」
アルフ「楽しそうだね。あたしに依存はないよ」
エリオ「はい、僕もいいです」
瞬兵「じゃあ、これから三人でボーリングだあ」
二人「おーっ!」
瞬兵「じゃ、負けたら罰ゲームで・・・とってもおいしい麻婆豆腐をご馳走してあげよう」
二人「おいしいのに罰ゲーム?」
瞬兵「一口食べればあら不思議お箸が止まらなくなるのさ、しかも激辛」
アルフ「激辛?」
エリオ「別に辛いのは嫌いじゃないですけど」
瞬兵「甘い二日くらいは口の中が辛くてたまらないよ。でもおいしいから止まらないの」
二人「・・・・・・」
和気藹々と消えていく三人でした。
ちなみにボーリングは勝者、瞬兵、アルフとエリオの同点で終わり、この後エリオとアルフは辛くて痛い口に二日耐えることになりました。
エリオ「たひかにほいしかっはれすけろ(確かにおいしかったですけど)」
アルフ「ほ、ほう、にろとたへたふなひ(も、もう二度と食べたくない)」
二人「ふ、ふちがはらくれひたひ~(く、口が辛くて痛い~)」
瞬兵「ちょっと・・・やりすぎたかな・・・まぁ、罰ゲームだしね」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。