インフィニティの主人公、リーパーくんです。
『警告、強力なECM!』
『総員第一種戦闘配置!』
『上空に多数の敵機を確認! レーダー員は寝てたのか!?』
山間部にある基地に警報音が木霊し、それをかき消すかのようないくつものエンジン音が空気を震わせる。それに混ざって聞こえてくるのは銃声。基地の一角で爆発が起こり、赤い火の玉が空へと立ち上る。爆発の度に、地面が大きく揺れた。
『こちらボーンアロー2。管制塔、状況は!』
蛍光灯の光に照らし出される掩体壕の中、並んで駐機していた二機の戦闘機から甲高いエンジン音が鳴り響く。垂直尾翼に稲妻と蟹のパーソナルマークを描いた
『くそっ! あんなデカい機体、どうしてこんなに近づくまで気づかなかったんだ!?』
開かれた掩体壕の扉から見える滑走路は、夕暮れ時のように真っ暗だった。今日の天気は曇り時々晴れ、しかし先ほどまでは雲の隙間から太陽が差していた。上空の何かが太陽の光を遮り、基地全体を暗闇に包みこんでいた。
『おいおい、この掩体壕大丈夫なのかよ? 奴らバンカーバスターとか使ってこないだろうな?』
オメガがキャノピー越しに掩体壕の天井を見上げた。頑丈な鉄筋コンクリート製の掩体壕は、ちょっとやそっとの銃撃や爆撃ではびくともしない。しかしこの攻撃がちょっとやそっとの規模でないことは、先ほどから聞こえてくる爆発音が教えてくれている。
近くで爆発が起き、掩体壕が震えた。もしかしたら掩体壕にも何発か爆弾が直撃しているかもしれない。
『ブロンコとゼブの機体は滑走路上でやられちまった。心配するな、脱出は出来たらしい。にしても離陸準備中を狙われるなんて、俺たちツイてないな』
滑走路の上ではいくつかの戦闘機が、真っ二つになり赤い炎を噴き上げていた。この基地が奇襲を受けた際、地上で撃破された機体だ。スクランブルに上がる間もなかった。
燃えている機体の中に、
幸いブロンコたちは攻撃を受けた直後、地上で射出座席を使用して脱出に成功していた。今はどこかの掩体壕に逃げ込み、他のパイロットや基地要員と共に攻撃をやり過ごしていることだろう。
『スクランブル出来るのは俺とお前だけだ、リーパー。対地兵装のままだが、大丈夫か?』
タイフーンの操縦席に座るオメガは、自機の隣に並ぶ
敵の爆撃を受けたちょうどその時、オメガたちボーンアロー隊は今まさに出撃しようとしている最中だった。任務は敵地上部隊への攻撃。すでにエンジンには火が入っていて、ミサイルと爆弾の安全ピンも引き抜かれ、さあひと稼ぎの時間だと今まさに掩体壕から出ようとしていたその時に、空襲を告げるサイレンが基地に鳴り響いた。
「換装している暇はない、このまま出る」
リーパーと呼ばれたSu-30SMのパイロットはそう答え、風防越しにオメガへサムズアップした。敵の第一波は過ぎ去り、基地にはつかの間の静寂が訪れている。
複座であるSu-30SMの機体には、リーパーしか搭乗していない。戦闘爆撃機としても運用可能なSu-30SMの後席には副操縦士か爆撃手が搭乗することになっているが、今の後席を占有しているのは奇妙な機械だった。射出座席に固定された筐体と、そのてっぺんから突き出た黒い球体。後席キャノピーの両脇にはライトのラインが引かれており、淡く青く発光している。
『まーた、うちのエース様は無茶をするねぇ…』
いつもと変わらないリーパーの様子に、オメガは嘆息した。どんな状況でも迷わず出撃、だからこそ彼はエースなのだ。
既に整備員と共に確認は終わっていたが、この状況だ。改めて互いに機体の動作をチェックする。フラップ、エルロン、ラダー、エレベーター、すべて操作通りに動く。火器管制システム、異常なし。エンジン、電気系統にも異常なし。オールグリーン。
『敵の第一波が通り過ぎた。ボーンアロー隊、直ちに離陸せよ。滑走路までは対空砲が援護する』
破壊された管制塔に代わり、生き残った管制官たちが退避した予備の管制室から指示が出る。『了解』と返し、オメガはリーパーに続いてスロットルレバーをゆっくりと前進させた。爆撃を生き残った対空砲が基地への再接近を試みる敵機へ向けて弾幕を張り、放たれた曳光弾が空に美しい軌跡を描く。
「地上で撃墜されるなよ、オメガ」
『うるせぇ! 墜とされるんなら空の上だ!』
「いや、まず墜とされないようにしようよ」
二機の戦闘機がゆっくりと掩体壕から出て誘導路へタキシングを開始する。リーパーたちの隣を、空へ砲口を向けた
『何としても死神を上げろ! 彼さえ空に上がれば俺たちの勝ちだ!』
『緊急発進急げ!』
滑走路に向かおうとするリーパーたちの機体を認めた敵機が、高度を下げてまっすぐ突っ込んでくる。対空砲が火を噴き、基地の防空要員が肩に担いだ携帯
地面に突き刺さった翼の破片には、赤黒の帯に6つの輪になった星の国旗が描かれていた。ユージア連邦。今まさに世界に戦火を振りまいている連邦国家の軍隊が、この基地を襲っている。
『おいおいおい、地上でやられるのはごめんだぜ!』
敵味方問わずに残骸が転がる地上を、三つの
『ボーンアロー隊、準備が整い次第離陸を許可する』
こんな時でも管制官は冷静だった。いつもの通り風速、風向を告げる。指示を発する管制塔と敵機を捕捉できるレーダー群は爆撃で壊滅しており、地上からの管制は不可能。離陸後は各自の判断で敵と交戦。基地を襲撃した敵の重巡航管制機を撃墜せよ、と命令が下る。
3本ある滑走路の内、二つは敵の爆撃を受けた上に、戦闘機の残骸が滑走路を塞いでいて使用不能だ。しかし第1滑走路のみ、路肩に大穴が開いているくらいの被害で何とか済んでいる。離陸は可能だ。
リーパーはスロットルレバーを前に押した。アフターバーナーに点火し、推力変更ノズルから青い炎が噴き出す。滑走を開始した機体がふわりと宙に浮き、ランディングギアを格納した機体が一気に上昇する。続いて離陸したオメガのタイフーンもギアを格納し、二機の機体は灰色の空を駆ける。
『よし、死神が行ったぞ!』
『頼むぞリボン付き! 仲間の仇を討ってくれ!』
ボーンアロー隊が離陸したのを見て、地上の味方から歓声が上がる。死神、リボン付き、と呼ばれたリーパー搭乗のフランカーには、確かにリボンのようにも見えるピンク色の∞のマークが、大鎌を抱えた死神のエンブレムの頭にくっついていた。
『酷くやられたみたいだな』
地上の様子をうかがったオメガがそう漏らした。山間部に建設された基地のあちこちから、黒煙と炎が立ち上っている。撃墜されたのか、すでに基地上空を離脱したのか、すでに基地周辺に敵機の姿はない。消火班があちこちを駆けまわり、火の回りを食い止めようとしている。幸いなのは山間部にあるという特性上、基地周辺に巻き添えで被害を受ける民家がなかったことか。
『あら、空賊さん。久しぶりですね』
『その声は―――!』
リーパーたちの機体の後方から、4機の機影が近づいてきていた。味方の識別信号を発しているその機体のパイロットの声に、オメガは聞き覚えがあった。
『リッジバックス隊! どうしてここに?』
前進翼に加えて、双発エンジンを上下に束ねた特異な機体形状。それに加えてダークブルーの塗装と機体上部に走る一本の白いライン。国連軍第19特殊飛行隊「リッジバックス」の
正確には「元」第19特殊飛行隊というべきか。リーパーのボーンアロー隊もリッジバックス隊も、今や国連軍タスクフォース118「アローブレイズ」傘下の一部隊として編入されている。
『
リッジバックス隊を率いる若き女性パイロット、エッジが言った。彼女の謝罪を聞いて、相変わらず生真面目な奴だな、とオメガは思う。しかし最初に出会った頃と比べると、だいぶ砕けた方だ。彼女が変わったきっかけは敬愛していたリッジバックス隊前隊長の死と、何よりリーパーと出会ったことだろう。
それにしても、なんだあのデカブツは。オメガは西の空を見て、思わずそう呟いた。雪に白く積もった山脈が遠くまで連なり、その上空をまるでエイのような形状の航空機が悠々と飛行している。形状はB-2ステルス爆撃機に尾翼を生やしたようなものだが、大きさが違う。上空を飛んだだけで基地を暗闇に落としたその機体の大きさは、目測だが全幅は500メートルはあるかもしれない。
それにしてはレーダーの反応が小さい。どうやらステルス性能を持った機体のようだ。護衛機に囲まれたその機体を見て、オメガは言った。あのシルエット、どこかで見たことがある。
『あれは…アイガイオンか?』
以前
『いえ、違います。XB-0、フレスベルグ。アイガイオンよりも前に作られた、いわばプロトタイプの機体です。以前は爆撃能力しか有していなかったようですが、あれはどうやら艦載機運用能力も加えられた改良型みたい』
エッジがオメガの推測を否定した。追撃に上がったオメガたちを探知したのか、護衛機が何機か反転し、こちらに接近してくる。どうやら護衛機たちはフレスベルグから発艦したらしい。
『どうする、リーパー?』
本来の任務では制空戦闘を行う予定だったので、オメガのタイフーンの武装は全て
普通に考えれば制空戦闘は無理だ。しかし―――。
『ボーンアロー1、そちらの指揮下に入ります。命令を』
エッジが進んで編隊に加わってくれた。以前の彼女たちであれば、空賊の指揮下に入るなんてとんでもない、自分たちだけでやる、とけんもほろろな態度だっただろう。
しかしリーパーと共に飛ぶようになってから、彼女たちは変わった。プライドの高い精鋭部隊だが、最近はリーパーに感化され始めたらしく、発想が柔軟になってくれているらしい。今はいかにあの重巡行管制機を撃墜するか、それが重要だった。序列の争いなんてやっている暇はない。
「リッジバックス隊、敵護衛機を頼む。ボーンアロー隊は敵重巡行管制機に突入し、これを撃墜する」
まだ若いリーパーの声が無線機から流れる。その指示に異を唱える者はいなかった。
『了解! リッジバックス隊、敵護衛機をやる。空賊たちに後れを取るな、腕を見せつけろ』
エッジの言葉でリッジバックス隊の震電Ⅱが一気に加速し、敵護衛機のラファールMと交戦を開始した。空に青と赤の軌跡が描かれ、その中をフランカーとタイフーンがフレスベルグへ向かって真っすぐ突っ込んでいく。
『リーパー、お前は攻撃に集中しろ! 俺が背中を守ってやる』
爆装したリーパーの機体で空戦は難しい。以前のアイガイオンは航空自衛隊やリッジバックス隊、そしてボーンアロー隊の総力を以てどうにか撃墜できたが、今この空域にいるのは六機だけ。しかし何を考えているのかは知らないが、リーパーはあのフレスベルグを撃墜する算段があるようだ。
オメガは敵のラファールMの背後を取り、AAMを発射した。熱源感知式のサイドワインダーが、敵機のエンジンからの排熱を感知しまっすぐ突っ込んでいく。フレアを放出してミサイルを回避することは読めていたため、オメガは少し間を開けてもう一発ミサイルを発射した。
予想通り、ラファールはフレアを放出した。ミサイルのシーカーは放出された火の玉を敵機の熱源と勘違いし、虚空へ突っ込んで爆発した。
一発目を回避したことで安堵したのか、動きが鈍った敵機にもう一発のミサイルが命中する。燃料と弾薬に引火した機体が爆発し、内部から弾けた。
一方リーパーの方も、爆弾をぶら下げていて重い機体にも関わらず、ドッグファイトで敵機を撃墜していた。敵機にぴったりと追随し、
まさに死神が大鎌を振るうがごとく、曳光弾の混ざった砲弾が空中を走り、敵機をズタズタに引き裂いた。パイロットが脱出した直後、黒煙を吐いて落下する機体が爆発する。
空中で開いたパラシュートに一瞬だけ目をやり、リーパーは機体をフレスベルグへ向けた。接近してくるリーパーのフランカーを探知したフレスベルグから、一斉に対空砲火が打ち上げられる。機体各所に搭載された対空機関砲が弾幕を張り、分厚い主翼と胴体に埋め込まれた
『敵機直上!』
『弾幕だ、弾幕を張れ! 敵機を寄せ付けるな!』
フレスベルグの機内ではそんな言葉が交わされていることも知らずに、リーパーは機体を急上昇させ、フレスベルグの上方に躍り出た。そして一気に機体を下降させ、機首をフレスベルグの大きな主翼へ向ける。
リーパーは武装をUGBに切り替えた。HUDに着弾予測地点を示す
『まさか、爆弾でやるつもりか?』
もう一機、敵機を撃墜したオメガが、フレスベルグへ向かって急降下していくフランカーを見て目を見開いた。飛行中の航空機を爆弾で撃墜するなんて正気の沙汰とは思えないが、リーパーはどうやら本気のようだ。まるで大昔の急降下爆撃機のごとく、リーパーはまっすぐフレスベルグへ向かって降下を続けている。
リーパーの操るフランカーから爆弾が投下された。投下された3発の爆弾はフレスベルグの右翼へ埋め込み式で配置された三つのエンジンのノズル部分に直撃し、即座に起爆した。爆発でエンジンが破壊され、一気にフレスベルグの飛行速度が低下する。大きくバランスを崩した機体の中では、搭乗員たちがパニックに陥っていた。
『なんだ、何が起こった!?』
『第1から第3エンジン停止! 爆弾です!』
『バカな、飛行中の機体を爆撃だと…!?』
フレスベルグの操縦士の一人が、今まさに自分たちの機体を爆撃した機体を目視し、呻く。
『死神だ! 俺たちを攻撃しているのはリボン付きの死神だ!』
『くそっ、死神を相手にするなんて! 第4から第6エンジン全開、姿勢を立て直せ!』
『全対空火器を死神に向けろ! 他の機体はいい!』
『もうダメだ、お終いだぁ…』
一度フレスベルグの下を通り抜けてから、再び機首を上げて上空に戻ってきたフランカーが、再度フレスベルグへの急降下爆撃を敢行する。打ち上げられる機関砲弾を、対空砲の砲口の向きを見て躱す。ミサイルを回避するために放出したフレアが、灰色の空に天使の翼のような白煙の軌跡を描く。しかしフレスベルグの乗員たちには、それが死神の翼のようにしか見えなかった。
左翼のエンジンにも爆弾を命中させ、推力を失ったフレスベルグがゆっくりと降下を始める。しかし乗員たちは、まだ操縦桿を手放していなかった。
『近くの町へ機体を落とす! 地上の連中も道連れだ!』
フレスベルグが降下していく先には、小さな町があった。人口は数万人程度。燃料と弾薬を満載した全幅500メートルの機体が落下した場合、甚大な被害が出るだろう。
『奴ら町へ機体を墜落させるつもりだ!』
オメガはその意図に気づき、フレスベルグへミサイルを発射した。ミサイルはフレスベルグの翼に命中したが、わずかに外装部品が剥がれただけだった。どうやらフレスベルグには分厚い装甲が施されているらしい。
敵の護衛機を全て撃墜したリッジバックス隊も、オメガに続いてフレスベルグへ攻撃を開始する。しかし効果はほとんどない。エンジンを全て破壊され推力を失ったフレスベルグだが、グライダーの要領で滑空を続けていた。このままでは後数分で、あの巨体が町へと墜落する。
『町から住民を避難させないと!』
『間に合わない、あいつが地上に落ちる方が先だ!』
いつもは冷静なエッジも、この時ばかりは慌てていた。ただ「敵」陣営に属している町というだけで、ユージア軍は何の罪もない人々が暮らす場所へ巨鳥を墜落させようとしている。
『リーパー、何をするつもりだ?』
フランカーがまたもフレスベルグへ向かっていく。リーパーが何を考えているのかはわからないが、きっと何かをしようとしているのだろう。オメガとエッジはリーパーを援護すべく、未だに生きているフレスベルグの対空火器を攻撃した。
フレスベルグの前方に躍り出たリーパーは、残っていた最後の爆弾の安全装置を解除した。先ほどは着弾と同時に爆発し、破片を撒き散らす着発信管の爆弾を投下したため、露出している脆いエンジンノズルにダメージを与えることが出来た。しかし機体自体にダメージを与えるには、着弾と同時に爆発では不十分だ。
地上で搭載兵装を換装しなくてよかった、とリーパーは思った。スクランブルする前の本来の任務である敵要塞の攻撃用に搭載しておいた「とっておき」の兵装だったが、防御の固いフレスベルグを落とすには何よりの武器だ。もっとも、本来の用途とはかけ離れた使い方になるが。
『死神がこっちに向かってくる!』
フレスベルグの副操縦士が叫び、機長は前を見た。胴体に爆弾をぶら下げたフランカーが、まっすぐ操縦席へ向かって突っ込んでくる。護衛機は全て撃墜され、対空砲も沈黙した。あの死神を阻むものは、何もない。
だが機長はニヤリと笑い、操縦桿を握り直した。操縦席を覆うキャノピーは分厚い防弾ガラスで覆われ、戦闘機のAAMの炸薬程度ではヒビ一つはいらない。爆弾が表面で爆発したって、操縦席には被害が及ばないだろう。確かにフレスベルグはエンジンが破壊され、滑空することしか出来なくなっている。それでも自分たちが操縦桿を握っている間は、機体を落とさせはしない。何としてもこの機体を町へと墜落させ、反ユージアの連中たちをあの世への道連れとしてやる。
『構うな! 奴に出来ることはない、このまま飛行を続ける!』
機長がそう指示を出した直後、乗員の一人が悲痛な声で叫んだ。
『敵機、爆弾投下!』
せめてものあがきか。機長はまっすぐ突っ込んでくるフランカーを見据えた。その機体下部から切り離された爆弾が、フレスベルグへ向かってくる。
そこで機長は気づいた。なぜ爆弾が真正面に見えるんだ? その答えはすぐにわかった。死神はこの操縦席を狙って爆弾を投下したのだ。
『バカな…!』
いくら巨大な機体とはいえ、操縦席は大型貨物機と同じくらいの大きさしかない。そこをピンポイントで狙うだと? そんなこと、常人に出来るものか。
いや、あいつは死神だ。人間ではない死神であれば、それくらいのことは当たり前に出来るのかもしれない。
機長は出撃前に仲間から聞いた話を思い出した。国連軍の死神。大鎌を振るい、どんな敵であろうと次々に屠っていくリボン付きの死神。
『死神め…!』
機長がそう罵った直後、バンカーバスター爆弾がフレスベルグの操縦席を直撃した。いくら頑丈な防弾ガラスでも、2トン以上の重量がある爆弾の直撃には耐えられない。
風防が粉々に砕け、機長が冷たい風が顔に吹き付けるのを感じた直後、フレスベルグの操縦席を貫通したバンカーバスターが機内で爆発した。爆炎と破片が操縦席を吹き荒れ、機内に搭載された燃料と弾薬が誘爆する。
コントロールを失った機体は大きく降下していき、雪山の山肌へとその巨体を叩きつけた。地上で大きな炎が吹き上がり、大地が震える。直後発生した雪崩が、燃え盛るフレスベルグの残骸を雪の下へと覆い隠していった。
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