荒野のリボン付き   作:野獣後輩

11 / 42
第一一話 始まりの笛音

「こちらラハマ自警団哨戒二号機、空賊の爆撃機を視認! 富嶽が1、未知の4発爆撃機が2! 護衛機が6、ラハマに向かって真っすぐ飛行している」

 

 哨戒飛行に出たラハマ自警団所属の赤とんぼこと九五式練習機は、さっそく遠い西の空に複数の機影を見つけていた。後部席の団員が双眼鏡を覗き込み、一機の超大型爆撃機と、その両脇を飛行する二機の大型爆撃機を視認する。一機は以前、自由博愛連合が各地の都市を空爆するのに用いていた超大型爆撃機、富嶽だった。

 

「くそっ、空賊どもめ! こっちが本隊か」

「九七式が2機だけじゃ話にならないぞ。早くコトブキ飛行隊をこちらに向かわせてくれ! ガドールの鍾馗もだ!」

 

 ラハマ飛行場では待機していた自警団の九七式戦闘機が離陸したが、会敵することにはラハマまで目と鼻の先まで迫ってしまっているだろう。何より、7.7ミリ機銃を二挺しか積んでいない九七式では、装甲の厚い富嶽を落とすことなどできない。その前に護衛機に撃墜されてしまうだろう。

 ガドール議員団の護衛の鍾馗も2機、ラハマで待機していたが、出撃する気配はない。何をやってるんだと、赤とんぼの乗員は苛立った。

 

 ラハマの街では対空砲を積んだトラックを自警団が展開させ、住民の避難が始まっていた。普段は町長専用機である雷電を格納している飛行場脇の洞窟に、住民たちが続々と逃げ込んでくる。命は助かるが、爆撃で街は焼け野原にされてしまうだろう。裕福とは言えないラハマの街にとって、それは致命的だった。

 

 

 一方でガドールからやって来た議員団は飛行船に乗り込み、さっさと逃げ出す準備をしていた。飛行場に残していた2機の鍾馗に離陸するように命じたが、目的は爆撃機の迎撃ではない。ラハマを脱出する飛行船の直掩のためだ。

 

「ちょっとあんたたち、自分たちだけ尻尾巻いて逃げるなんて情けなくないの!? それでも市民に選ばれた議員なの?」

「私を選んだのはガドールの住民だ、ラハマの人間ではない!」

「こんな街のために命を危険に晒せというのか! まったく、こんなことになるなら訪問団に選ばれなければよかった」

「護衛機が2機では足らん。早く鍾馗隊を呼び戻せ」

 

 そう言って、コトブキ飛行隊の増援に差し向けていた残りのガドール所属の鍾馗隊を呼び戻そうとする。ユーリアはその議員が握っていた無線機のマイクを奪い取った。

 

「何をする!」

「30機を相手に6機で戦ってる彼女たちを見殺しにするの? ほんと最低な男たちね、このタマ無し野郎!」

「なんだと、我々を侮辱するのか!」

「まだ議員の地位を剥奪されたいようだな」

 

 羽衣丸に戻ったルゥルゥとサネアツは、ガドール議員団の醜態を遠巻きに眺めていた。ガドール飛行船のキャビンには、言い争うユーリアと議員たちの姿が見える。

 

「普段は威勢のいいことを言っておいて、いざ危険が迫ったら真っ先に逃げ出す。情けない連中ね」

「ルゥルゥ、我々もここを離れなくていいんですか? 爆撃機が迫ってるんですよ?」

「飛行船の速度じゃどのみち逃げきれないわよ。それに…」

「それに?」

 

 サネアツがそう聞き返した直後、レーダー画面を見ていたアディが口を開く。

 

「方位090、機影を探知。この速度はユーハングの機体(フランカー)です!」

「あら、やっぱり彼はいい人みたいね」

 

 ジェットエンジンの轟音で空気を震わせ、戻ってきたフランカーが飛行機雲の尾を引きながら、爆撃機が飛来する方向へと飛んでいく。

 

『こちらアレン、リーパーがやる気になったみたいだ。爆撃機は僕たちで何とかするよ』

 

 フランカーの後席に搭乗するアレンからだった。どうやら一緒に戦ってくれるらしい。だがサネアツは、いくらユーハングの戦闘機でも単機で何とかなるのか不安だった。

 

「コトブキ飛行隊でも撃墜するのにかなり手間取ったんですよ? 1機で何とかなるんですかね?」

「さあ? でもその性能を見せてもらういい機会にはなるわよ。双眼鏡はどこかしら?」

 

 ドードー船長が咥えてきた双眼鏡を受け取ったルゥルゥは、フランカーが飛んでいく方向にレンズを向ける。遠くの西の空に、針先ほどの大きさの機影が見える。今まさに、ラハマを焼き払おうと接近しつつある空賊の爆撃機の群れだ。

 

 

 

 

「さて、どうする?」

 

 羽衣丸との通信を終えたアレンが、前席で操縦桿を握るリーパーに問いかける。既にフランカーは哨戒飛行中のあかとんぼを追い越し、爆撃機をまもなく目視できる距離まで近づいていた。

 

「まずは警告する。従わなかったら、実力行使だ」

「その心は?」

「きちんとやるべきことはやった、って言い訳が立つようにするためだ」

 

 もしリーパーが地球に帰還し、その後イジツと地球の交流が再開された際、リーパーが問答無用で空賊を撃墜していたことが問題になるかもしれない。リーパーはラハマと空賊、どちらの味方でもないのだ。今はラハマの一般市民を守るため、という名目で爆撃機の迎撃に向かっているが、それでもいきなり撃墜するのは交戦規定上アウトだ。これは正規の作戦に基づいて行われる戦闘行動ではない。

 

 リーパーはヘルメットに取り付けられたカメラがきちんと作動していることを確認した。グランダー社が取りつけたもので、リーパーの戦闘機動を記録するためのものだ。今後リーパーが交戦したことを問題にされても、きちんと警告したという証拠が残っていれば罪には問われないだろう。

 

「さて、それじゃあユーハングの最新鋭戦闘機の実力を見せてもらおうかな」

「最新鋭じゃないんだけどな。こいつが初飛行したのは30年以上昔だ」

「ということは、もっと優れた戦闘機もあるのかい? それは楽しみだな」

 

 そう言いつつ、アレンが機内に持ち込んだ双眼鏡とカメラを用意する。レーダー画面上には、大型機の反応が3つと、その護衛機らしき反応が6、合計で9つ表示されている。

 

不明機(ボギー)は9。護衛機は爆撃機1機につき2機か、少ないな」

「戦闘機はコトブキ飛行隊をおびき出すための囮部隊に回しているんだろうね。でも、自警団の九七式が二機だけじゃ太刀打ちは無理だ」

「敵爆撃機の種類は?」

 

 アレンが双眼鏡を覗く。

 

「富嶽が1、それと4発爆撃機が2。4発機は連山かな?」

「富嶽? そんなものが飛んでいるのか?」

「地球じゃ富嶽は飛ばなかったのかい?」

「試作どころか、工場を作る前に『これは無理があるでしょ』って放棄された代物だ」

 

 太平洋を横断し、アメリカ本土を爆撃するための6発超大型爆撃機「富嶽」。しかし当時の日本には富嶽を作る技術も資源もなく、設計図の段階で開発が中止になっていた。それをイジツでは70年かけて完成させていたとは。イジツの技術者は優秀なのかもしれない。

 

 連山も日本軍が開発した4発爆撃機で、それまでにない重武装と爆弾搭載量、高速性と防弾性能を誇っていた。しかし試作機が完成したのが戦争末期であったため、量産に入る前に終戦を迎えてしまった。

 

「あんな爆撃機、どこで作ってるんだ?」

「イサオが各地で確保していたユーハングの兵器工廠は、まだそっくりそのまま残されているらしいからね。自由博愛連合の残党が接収して、完成させたんじゃないかな?」

「まだ、ってことは前にも作ってたのか?」

「もちろん。以前もラハマを富嶽が5機編隊で爆撃しようとしていたね。その時はコトブキ飛行隊が4機落としてくれたけど、結局1機は最後まで撃墜できなかった」

 

 残った一機がまさにラハマに爆弾を投下したタイミングで、その時ラハマ上空に開いていた「穴」に撃墜された富嶽が突っ込み、搭載された爆弾が爆発した。その爆発で穴が消失し、その際に周囲のものが投下された爆弾を含めて吸い込まれてしまったため、奇跡的にラハマの街は被害を受けずに済んだ。

 

「前はどうやって撃墜した?」

「高高度を飛行中にロケット弾を撃ち込んで、低高度では翼とエンジンを集中的に狙った。コトブキ飛行隊がね」

「隼で高高度は難しいんじゃないか?」

「まあね。その時はロケットブースターを取り付けて無理やり飛ばしたけど、この戦闘機なら必要ないだろ?」

 

 アレンの言う通り、前方に3機の爆撃機を中心とした編隊が見えてくる。中心の緑色の超大型爆撃機が富嶽で、その両脇の銀色が連山。護衛機として疾風が6機、爆撃機を囲むように飛行している。

 

敵機視認(エネミータリホー)。まずは警告だ」

「素直に帰ってくれればいいんだけどね」

「そうなることを祈っててくれ」

 

 リーパーは大きく迂回するコースを取って、ラハマへ向かう爆撃機編隊に背後から接近した。そして無線をオープンチャンネルにする。

 

「あんたがやってくれ」

「僕が?」

「俺がもし間違ったイジツ語を話して、向こうを刺激しちゃかなわないからな」

「ま、フランカーに乗せてもらってるんだし、それくらいのことはするよ。あー、こちらオウニ商会。ラハマへ向かって飛行中の爆撃機に告げる、直ちに進路を180度変針し、引き返せ。指示に従わない場合、撃墜する」

 

 アレンが告げる。リーパーはスロットルを上げ、フランカーが爆撃隊の前に躍り出る。突然現れた正体不明のジェット戦闘機に驚いたのか、編隊が乱れた。だが進路は変わらない。

 

「聞いてないみたいだね」

「もう一回警告を頼む」

「はいはい、っと…!」

 

 アレンが言い終わる前に、富嶽の機体上部に設置された20ミリ連装機関砲が火を噴いた。連山からも対空砲火が上がり、青空を曳光弾が引き裂く。リーパーは操縦桿を倒し、一度編隊から離れる。爆撃隊を守るためか、疾風が数機、フランカーを追ってくる。

 

「撃ってきたね。どうする? もう一回警告するかい?」

「…こうなったらもう仕方がない。相手に引き返す意思はないみたいだからな」

 

 速度を活かして追撃してくる疾風を容易く振り切ったリーパーは、フランカーを爆撃隊の後方数キロの位置につけた。逃げたと思ったのか、疾風の群れが編隊に戻ろうとする。爆撃隊は後数分で、ラハマの上空に到達するだろう。

 

 

 HUDに表示される富嶽の機影に、緑色の目標コンテナが重なる。火器管制レーダーが照射され、富嶽に重なったコンテナがアラームと共に赤く変わる。

 ロックオン。後は引き金を引くだけで、ミサイルは獲物を見つけた猟犬のごとくまっすぐ富嶽に向かって飛んでいくだろう。

 

 リーパーは大きく息を吸い、吐いた。もう迷わなかった。

 

「FOX3」

 

 操縦桿の発射ボタンを押す。胴体下に懸架されていた中距離空対空ミサイル(AAM)が発射され、白煙の尾を引きつつ一直線に富嶽へ向かって飛翔する。

 この距離からならば母機からの中間誘導は必要はなかった。発射と同時にミサイルは搭載したレーダーを起動させ、母機がロックオンした目標―――富嶽へと突っ込んでいく。数キロの距離をミサイルはあっという間に飛びぬけ、そして富嶽の直上で近接信管を作動させた。

 

 爆発。富嶽の機体を無数の破片が引き裂き、途端にその大きな機影が炎に包まれる。主翼が折れ、黒煙の尾を引きながら富嶽が急降下していく。燃料と満載した爆弾に引火したらしい、ひときわ大きな爆発が空中で起こり、その機体が大小いくつもの破片となって地面に降り注ぐ。

 

 空賊たちが驚く間もなく、続いて二機の連山が火だるまになった。バランスを崩した連山が一機、すぐ近くを飛んでいた護衛機を巻き込んで墜落していく。爆撃機の乗員たちが脱出する間もなく、一機は空中で爆発し、もう一機は地面に叩きつけられてバラバラになった。

 

「なんだ! 何があった!」

「攻撃です! ロケット弾です!」

「馬鹿な、あの距離からロケット弾が命中するものか…!」

 

 しかし護衛部隊の隊長は、本能的にこの場に留まるのは危険だと察知していた。今まで見たこともないあの青い戦闘機。あれは自分たちがどうにか出来る相手ではない。きっと今爆撃機を撃墜したのも、さっき猛スピードで飛び去って行った青い戦闘機だろう。自分たちの疾風では、あの機体には勝てない。空戦で磨いたパイロットとしての本能がそう告げている。

 

「撤退だ。爆撃機を落とされては作戦を続ける意味がない。陽動部隊にも撤退するように伝えろ」

「陽動部隊からコトブキ飛行隊を見つけたと連絡が入りました。あいつらを撃墜するまで帰投しないとのことです」

「あの馬鹿どもが! 死にたい奴らは死なせておけ」

 

 隊長はそう言って、進路を反転させた。命あっての物種だ。青い戦闘機は追って来るかと思ったが、何もしてこない。

 隊長はすれ違った青い機体の尾翼に、死神のマークが描かれているのを見た。ピンク色のリボンを付けた死神、なんて不気味なのだろうか。

 

 青い戦闘機は撤退していく護衛機には見向きもせず、今まさに陽動部隊がコトブキ飛行隊と戦闘中の空域に向かって飛行していく。あの速度の機体に追われていたら、きっと逃げることも出来なかっただろう。あるいは何が起きたのか自覚する間もなく、機体が爆散していたに違いない。

 

 どうやら自分は、死神が振り下ろした鎌を間一髪避けられたらしい。隊長はその事実に安堵していた。

 

 

 

 

 

 ラハマの街からも、空賊の爆撃機が撃墜された様子は目撃されていた。

 遠くの空で突如爆発が起こったかと思うと、続けて二回爆発が起きた。双眼鏡を持った住民が空を覗くと、炎上しながら墜落していく爆撃機の残骸が見えた。

 すぐに自警団の赤とんぼから通信が入る。街へ接近していた爆撃機は全機撃墜され、護衛機は撤退していく。撃ち落としたのは昨日やって来たユーハングの戦闘機だと。

 

「富嶽をあっという間に…」

 

 ルゥルゥも流石にこの展開は予想していなかった。まさか一分もしないうちに、3機の爆撃機を撃墜してしまうとは。あの戦闘機の性能は、予想以上のものらしい。

 

 ラハマの住民たちが洞窟から出てきて歓声を上げる。その上空を、死神のエンブレムを描いたフランカーが飛び去って行く。

 

 

 

 

 

 

「敵爆撃機、3機撃墜。さすが、あっという間だね」

 

 カメラを構えていたアレンが驚嘆の声を上げる。コトブキ飛行隊が6機がかりで、しかも必死になってどうにか撃墜した爆撃機を、リーパーは瞬く間に撃墜して見せた。

 

「護衛機は追わないのかい?」

「連中の任務は失敗した。逃げていく連中に無駄弾は使いたくない」

 

 それは事実だった。ミサイルを使えばレシプロ戦闘機は簡単に落とせる。先ほど試しに連山の一機に対して赤外線誘導方式の短射程AAMを発射したが、シーカーは問題なくレシプロエンジンからの排熱も感知し、命中して見せた。レーダー、赤外線のどの誘導方式であっても、この時代の飛行機を撃墜することは容易だろう。

 しかしミサイルは撃ったらそれっきり、補充はない。今後何があるかわからない以上、今は極力武装を温存しておきたかった。

 

「それで、次はどうする?」

「コトブキ飛行隊を助けに行く」

「お人よしだね、君は」

「たまに言われる」

 

 スロットルを上げ、コトブキ飛行隊が戦闘中の空域に急行する。速度を上げると燃料消費量が急激に増えてしまうが、今は現場に急行することが第一だった。

 レーダーに表示される機影は僅かに減っていたが、味方が優勢なのか劣勢なのか画面の輝点を見るだけではわからない。IFFがあれば一発で味方機を見分けられるのだが、ないものねだりをしても仕方ないだろう。

 

「こちらアレン、爆撃機は全て片付けたよ。これから敵の零戦と交戦するから、近くを飛行中の機は注意してね」

『こちらレオナ。爆撃機を全て撃墜したというのは本当なのか?』

「本当だよ。それじゃ…うおっと」

 

 アレンが言い終わる前に、リーパーが機体を加速させる。自警団の九七式戦闘機が、空賊の零戦に付きまとわれている。

 あっという間にフランカーと零戦の距離が詰まっていく。HUDに機関砲のレティクルが表示され、リーパーは操縦桿のトリガーを引く。30ミリ機関砲弾が連続して吐き出され、零戦の機体をまるで紙屑のようにバラバラに引き裂く。いくつかの破片に分解しながら燃える零戦が、地面に落ちていく。

 

 交戦中のコトブキ飛行隊に、背後から襲い掛かろうとする零戦が数機接近しつつある。流石凄腕用心棒集団といったところか、コトブキ飛行隊に被弾した機はまだ一機も無いようだ。だがこれ以上相手にする機が増えるのもよろしくないだろう。

 

 リーパーはコトブキ飛行隊と零戦隊の距離が開いている間に、赤外線追尾式のミサイルを発射した。距離が詰まってしまえば、IFFを搭載していない味方の隼に命中してしまう可能性もある。

 発射されたミサイルは零戦隊のど真ん中で爆発し、破片の直撃を受けた2機の零戦から炎が上がる。防弾装備が整っていない零戦は、被弾に弱い。もっとも第二次大戦中の戦闘機なら、どんな機であろうとミサイルの被弾に耐えられるはずもないのだが。

 

「爆発?」

「なんか飛んできた。ロケット弾っぽいけど」

 

 キリエは青い戦闘機(フランカー)から何かが発射された途端、零戦の編隊の中で爆発が起きたのを見逃していなかった。ロケット弾にしては距離がありすぎるし、あの距離から命中させるのも困難だ。これもイジツの70年先を行くユーハングの兵器なのだろうか。

 

「どうやら助けてくれたっぽいね」

 

 チカの言う通り、フランカーは空賊の零戦を追いかけまわし、機関砲弾を浴びせ、撃墜していく。さっきまでは空賊に追いかけまわされていた自警団の九七式も、フランカーが時間を稼いでいる間に集結し、零戦に集団で格闘戦を仕掛けて追い込んでいる。

 

「なんだ、意外といい奴じゃん」

 

 さっき上空で待機するなんて言ってた際には情けない奴だと思ったし、我が身可愛さ故に高みの見物を決め込むのかと失望したけれど、案外そうでもないようだ。本当に冷たい奴だったら、ラハマに迫る爆撃機など放っておいて、さっさと逃げていただろう。

 

「この機を逃すな、敵を叩くぞ!」

 

 空賊の零戦は突然現れた未知の機体に総崩れとなっていた。連携が乱れ、逃げ出そうとする敵機をコトブキ飛行隊と自警団、ガドールの鍾馗が次々と撃墜していく。

 何機か逃げたようだが、彼らはもう戻ってこないだろう。尾翼に死神を描いた未知の機体。数キロ離れた場所からでも正確に攻撃してくるユーハングの戦闘機がラハマにあると知ったら、空賊たちが今後ラハマを襲うことはなくなるに違いない。




ご意見、ご感想お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。