荒野のリボン付き   作:野獣後輩

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「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」MX4Dを視聴致しました。
コトブキ飛行隊結成初期のエピソードを見られて妄想が捗ります。
あとイサオについて掘り下げてくれたのも良かったです。フクセンことサネアツが漢を見せたのもGOOD。

不満点はTV版11話、12話に当たる部分を除いて駆け足気味だったことです。まあ全12話のアニメを2時間の映画に納める以上仕方ないことですが。
あとなんでブリッジクルーのお風呂シーンがあったのにコトブキ飛行隊の分はないんですか(憤怒)。


第三二話 First Contact

「まもなくイケスカ機がレーダー圏内に入ります」

 

 羽衣丸の船橋(ブリッジ)で、レーダースクリーンを注視するアディが声を上げる。進路を反転してから4時間、そろそろユーリア経由で伝えられた、イケスカ内でも極秘のルートを使ってやってくる新市長と合流できる時間だった。

 

「正面に機影、機数二。戦闘機と思われます。こちらに向かって飛行中」

「お客さん…かな?」

 

 この辺りは空賊もそれほど多くはない土地だが、だからといって油断は出来ない。時間と方位、進路から考えて間違いなく今回の輸送対象となるイケスカ新市長とその護衛の機体だろうが、万が一ということもある。コトブキ飛行隊に空中警戒と接近する機影の確認のために上がってもらおうと、サネアツはマイクを手に取った。

 

「隊を二つに分ける。キリエとチカ、ザラは羽衣丸周辺の警戒。ケイトとエンマは私と共に新市長を迎えに行く」

「俺はどうすれば?」

「君も私たちと来い。ユーリア議員が私たち以外にこの話をしていなければ何も起きないはずだが、念のためだ」

 

 頼りにされてるということか。リーパーは愛機の操縦席に身を沈み込ませ、ヘルメットを被った。「今度雷雲に突っ込んだらタダじゃおかねーぞ!」とイナーシャハンドルを振り上げるナツオに、「今日は晴れなんで大丈夫ですよ」と返す。

 

「そういう意味で言ったんじゃないんだが…まあいい。行ってこい」

 

 整備員たちが隼の下に潜り込んで、イナーシャハンドルを回す。エンジンを始動した隼の群れが、羽衣丸の飛行甲板を動き出す。

 

「なんで私たちは羽衣丸の警備なの?」

「それはお前たちの辞書にマナーという言葉が載ってないからだ。相手は仮にも大都市の市長、お前たちの言動は向こうへの失礼に当たりかねない」

「えーっ!? そんなことないよ! まあキリエの口が悪いのは本当のことだけどさ」

「うっさいバカチ! あんただってよく街でいろんな人に喧嘩吹っ掛けてんでしょ! だいたい、私らが駄目ならなんでリーパー連れてくのさ! こいつなんて無愛想の塊みたいな奴じゃん!」

 

 ぶーぶーと口を尖らせるキリエとチカ。そんな彼女たちを見て、「お子様ですわね…」とエンマが呟く。

 

「あら、確かに彼は愛想がありませんが、必要ない時には黙っていられるというのはあなたたちには出来ない真似ですわよ? 少なくとも、何か非礼に当たる言動を取る心配はありませんから」

「エンマ! あんたどっちの味方なの!」

「そーだそーだ! それに無愛想だって言われてリーパー傷ついてるぞ!」

 

 チカの言葉で、エンマはリーパー機の操縦席を見た。被ったヘルメットと下りたバイザーで、リーパーの顔はよく見えない。

 

「まぁまぁ、羽衣丸の護衛も重要な任務よ? 皆が帰る場所を守るっていうのは大事な仕事なんだから」

「そういうこと。ザラ、そちらの指揮は任せる」

「りょーかい」

 

 信号灯が赤から緑に切り替わり、次々と隼一型が飛行甲板から青空へと飛び出していく。いつも通り、リーパーは最後に発進した。ザラが率いる空中警戒待機(CAP)チームが、大きく旋回して編隊を離れていく。レオナを先頭に、4機の隼がイケスカ新市長との合流地点(ランデブーポイント)へと進路を取る。

 

「イケスカの新市長がどのような方なのか、興味がありますわね。イサオのような糞野郎でなければよろしいのですけど」

「レナ氏は市民からの評価が高い人物と聞いている。このイジツをより良い世界にすることを主張しているようだ」

「それは本当なのですか?」

 

 エンマの問いに、「あくまでも新聞に書いてある噂に過ぎない。イケスカの現状を正確に把握している者はほぼいない」とケイト。

 

「前は人も物も金も、あらゆる情報すら集まる都市だったのにな」

「イケスカってそんなに大きな都市だったんですか?」

「ええ。イケスカ動乱の前は世界の中心と言われるほど、人も物もお金も集まっていた都市ですわ。もっとも、あなたに見せて頂いたユーハングのトーキョーほどではありませんが」

 

 だが今となってはイケスカは陸の孤島も同然で、そこで何が起きているかを正確に知っている者はほとんどいない。イケスカの内戦では数多くの用心棒が雇われていたようだが、内戦が終結に向かうにつれ、契約を解除された。

 それでも多くの用心棒が新イケスカ飛行隊のパイロットとして今も雇われているようだが、契約を解除された用心棒たちは半ば追い出されるようにしてイケスカを後にしたらしい。おかげで、現在のイケスカの情勢については誰もわからない始末だった。

 

「新聞の噂が本当なら、その新市長さんは皆のために働いてくれる立派な方なんでしょうね」

「甘っちょろいですわね、リーパー。世界のために、皆のために、自由のためになどという言葉は最も信用なりませんの」

「え、なんでです?」

「世界のために、といういかにもな大義名分を掲げて人々を惑わし、皆のためにという言葉で集団への無償での奉仕を要求し、挙句の果てに自由のためになどと言いながら、本当は自分の自由のために他者の自由を侵害するような輩がほとんどだから、ですわ。あのイサオだっていかにもな大義名分を掲げて自由博愛連合を結成しましたが、その目的はただ一つ、自分の欲望のために穴を独占するということだけ」

 

 エンマの実家は貴族の家系で昔は裕福だったが、お人好しな彼女の両親は空賊から詐欺紛いの要求をされ、財産を巻き上げられてしまったらしい。だから彼女は空賊や、善良な人間を装う輩が大嫌いなのだとキリエは言っていた。

 

「私は理想も大事だと思うけど。まずは信じてみるってことも必要だ」

「レオナは甘いですわね。イサオを信じてみたせいで酷い目に遭ったことを忘れたのですか?」

「それは確かに…そうだな」

 

 昔のことを思い出し、レオナは口籠る。富嶽製造工場を襲撃した際、レオナはイサオにかつて受けた借りを返すことばかり考えていて、現在の彼がどんな人間かをよく知ろうともしなかった。当時抱いた勝手なイメージでイサオは立派な人間だと信じ込み、結果本性を現した彼に撃墜された。

 

「もうすぐ合流地点」

 

 ケイトが地図とコンパスを見比べながら告げる。あと数分もしないうちに、イケスカからやって来た二機の戦闘機が視認できるだろう。

 

 

 

 

 

「…っ、これは」

 

 その頃羽衣丸の船橋では、レーダー担当のアディが僅かに目を見開いた。コトブキ飛行隊とリーパー、そしてイケスカ新市長機とその護衛機。さっきまでレーダースクリーンには6つの輝点(ブリップ)が表示されていたが、そこに唐突に新たな機影が現れた。

 

「副船長、イケスカ使節団の後方に複数の機影を探知。機数4。速度と高度から考えて戦闘機、低空に潜んでいた模様」

「え、敵襲!? このルートはユーリア議員以外知らなかったんじゃないの!?」

 

 このルートはオウニ商会と彼らに話を持ってきたユーリア、そして今回やってくる新市長とごくごく一部の人間しか知らないはずだ。もしも新市長を狙った襲撃者だとしたら、どこかで情報漏れが起きたか、あるいはユーリアが襲撃を命じたということになる。

 

「コトブキ飛行隊、護衛対象に不明機が4機接近中。直ちに急行してください」

 

 サネアツが無線機のマイクを握る前に、ベティが既にコトブキ飛行隊へ警告の一報を出していた。不明機が空賊なのかそれとも暗殺者なのか、あるいはまったく無関係の民間機なのかはレーダーの輝点からではわからない。だがサネアツはこの4機が、偶然現れた空賊であることを願った。

 

 

 

 

 

「…了解した、直ちに急行する」

 

 一方新市長一行との合流を目指すレオナたちも、羽衣丸からの警告を受けてスロットルを上げ、全速力でイケスカ機のもとへ向かう。

 

「まさかユーリア議員が?」

「その可能性は少ない。もしユーリア議員がイケスカ新市長の抹殺を図っている場合、オウニ商会に護衛の依頼を行う必要性がない」

 

 ケイトの言う通り、仮にユーリアがイケスカ新市長を危険視し、排除に乗り出したのだとしたら、そもそもオウニ商会に話を持ってくるはずがないだろう。最初から新市長らの抹殺を目的とした部隊を、第三ルートの合流地点に差し向ければいい。

 

「機数も4と少ない。確実に新市長の排除を図るのであれば、もっと襲撃者の数は多いはず」

「となると、空賊の可能性が高いってことか…」

 

 空賊はどこにでも現れる。今回はたまたまこの近くを根城としていた空賊が、乗っているのがイケスカ新市長だと知らずに襲いにかかったという可能性が高い。

 だが相手が暗殺者だろうが空賊だろうが、新市長一行の編隊が狙われているということに変わりはない。レオナは無線機の周波数を、事前に指定されていたものへと切り替えた。

 

「こちらオウニ商会所属、コトブキ飛行隊。イケスカ機へ、そちらの後方から4機の戦闘機が接近している!」

 

 返事はない。新市長とその護衛の機体は、発見されるのを防ぐために無線封止を行い、一切の電波発信を行わないことになっている。こちらから呼びかければ向こうには伝わるが、向こうは合流するまで返事をしてくれない。

 

「現在そちらへ急行している。合流地点まで急いでくれ」

 

 とはいえ、全速力で飛ばしても合流地点まであと2分はかかる。その間にイケスカ機がやられてしまえばおしまいだ。

 

「羽衣丸、イケスカの編隊はどうなっている?」

『こちら羽衣丸。イケスカ編隊の内、護衛機と思われる1機が反転しました。不明機に向かっていきます。まもなく交戦に入るものと…えっ?』

 

 シンディが息を飲む様が、無線機を通じて伝わってきた。「どうした? 何があった?」とレオナが問い質す。

 

『4機の不明機がレーダースクリーンからロスト。護衛機に撃墜されたものと思われます』

「この一瞬でですか?」

 

 羽衣丸のレーダー画面では、護衛機が空賊と思われる不明機に向かっていくところまでは把握できていた。だがレーダーの走査が完了した次の瞬間には、4つの輝点が一瞬にしてスクリーンから消滅していた。

 残っているのは元の進路を維持するイケスカ新市長の機体と、再度反転してその後を追う護衛機と思われる二機のみ。空賊と思われる4つの機影は影も形もなかった。

 

「前方に黒煙を確認。撃墜された機体のものと思われる」

 

 ケイトの言う通り、遥か遠くにうっすらと、荒野から立ち上る黒煙が数本見えた。黒煙の数は4本、さっき出現した空賊と思われる機体の数も4だ。

 

「向こうの護衛機は腕が立つ、というのは本当らしいな」

「その通りですわ。…前方に機影。双発機と単発機が1機ずつ、お客様ですわね」

 

 エンマが隼の照準眼鏡を覗く。立ち上る黒煙をバックに、二機の戦闘機がコトブキ飛行隊と交錯するコースでまっすぐ飛んできている。ユーリアから事前に伝えられていた通り、二式複戦屠龍と護衛の単発機だ。

 護衛機は灰色の零戦(ZERO)だ。「片羽」の異名の通り、右の主翼端が赤く塗装されている。イケスカ編隊はコトブキ飛行隊を視認し、警戒態勢に入ったらしい。屠龍を庇うように、零戦が前に出る。

 

「こちらはオウニ商会所属、コトブキ飛行隊。ガドールのユーリア議員より依頼を受けてイケスカ新市長移送のためやってきた。こちらに攻撃の意図はない」

 

 レオナの隼が先頭に出て、翼を振っ(バンクし)て味方であることを伝える。数秒の後、無線機のスピーカーから若い男の声が聞こえた。

 

『こちらはイケスカ空軍(・・)ガルム飛行隊、ピクシー。そちらが味方機ならば合言葉を知っているはずだ』

「ユーリア議員から聞いている、どうぞ」

『おしゃべり小僧』

「チョッパー」

 

 ルゥルゥから合言葉を教えられた時は何の意味があるんだと思ったが、向こうが指定してきた合言葉なのだから仕方ない。「お喋り小僧チョッパーってなんですの?」とエンマが零したが、この場でその意味を知る者は誰もいない。もっとも、合言葉に意味などないのかもしれないが。

 レオナが合言葉を答えると、ピクシーと名乗った護衛機のパイロットは『確認した、確かにユーリア議員の派遣した者のようだ』と返す。

 

『コトブキ飛行隊か、噂は聞いている。かなり優秀な女用心棒集団らしいな』

「そちらもかなり腕が立つと聞いている。さっき撃墜したのは空賊か?」

『ああ、偶然この辺りを狩場にしていた連中だろう』

「イケスカ新市長の命を狙っている者たちがいると聞く。その手の連中の息がかかった奴らではないと?」

『襲ってきたのは古い一式戦が4機、おまけにパイロットの技量も未熟だった。本気で新市長を殺しに掛かってきたなら、腕の立つ連中を優秀な機体に乗せて、一個中隊は送り込んできているだろう。あんな素人同然の集団じゃ話にならない』

 

 つまりさっきイケスカ編隊を襲ったのは、政治的な思惑もバックに誰かがついていることもない、はぐれ空賊連中だったということらしい。たったの2機と侮って襲い掛かったのだろうが、相手が凄腕の用心棒だったことが空賊たちの運の尽きだった。

 

「了解した。これよりオウニ商会の飛行船羽衣丸まで案内する」

『よろしく頼む』

 

 コトブキ飛行隊と、イケスカ使節団の機体が交錯する。レオナはすれ違うその一瞬に、「片羽」と呼ばれる用心棒の零戦に、赤い猛犬のエンブレムが描かれているのを見た。

 鎖を咥えた地獄の番犬(ガルム)。彼がどのような人物かは知らないが、空賊4機を一瞬で撃墜するとなれば、相当腕が立つ用心棒であることに間違いはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 一方羽衣丸では、ルゥルゥとサネアツがイケスカ新市長を出迎える準備をしていた。イジツ中に名を知られるようになったオウニ商会とルゥルゥだが、彼女は羽衣丸の社長室でふんぞり返ってイケスカ新市長が来るのを待つつもりはなかった。

 

「わざわざ飛行甲板まで出向く必要はなかったのでは?」

「仮にも相手は大都市の市長よ? 失礼があってはいけないわ」

「副船長である私が来る理由は…」

「あら、ドードー船長の方がよかったかしら?」

「いえそんなことはないです、はい」

 

 ルゥルゥとサネアツが見守る前で飛行甲板のハッチが開き、まずはレオナとケイトの隼が降りてきた。その後をイケスカ使節団の零戦と屠龍、最後にエンマとリーパーの機体が羽衣丸へ着艦する。ザラとキリエ、チカの機体は空中警戒待機を続行中だった。

 

「なんだあの機体、零戦52型…か?」

 

 飛行甲板に降りてきた赤い番犬のエンブレムの零戦52型、だが手が加えられている機体だと長年の経験からナツオは見抜いていた。

 左右の主翼からそれぞれ2本ずつ突き出した銃身を見れば、火力向上を図った零戦52型丙がベースとなっていることが分かる。20ミリ機関砲に加え、火力向上のため13.2ミリ機銃を主翼にそれぞれ1丁追加。さらに機首左舷の7.7ミリ機銃を撤去した上で右舷側の機銃を13.2ミリに換装した零戦52型丙は、数が少ないながらもナツオは見たことがあった。

 だが今下りてきた機体は、武装が撤去されているはずの機首左舷にも13.2ミリ機銃を搭載し、合計4丁の13.2ミリ機銃と20ミリ機関砲を装備と、火力のさらなる向上を図っているようだ。

 

「それにエンジン音も52型の栄とどこか違うな。エンジン積みかえたのか、改修したのか」

 

 触ってみたいと整備士魂が疼くが、他の都市の代表一行に失礼があってはならないとナツオも理解している。遠くから眺めるに留めていると、屠龍の後部キャノピーが開き、一人の小柄な女性が身を乗り出した。

 

 短い黒髪に透き通るような白い肌の若い女性だった。零戦から降りてきたパイロットが彼女に手を貸す。こちらは金髪で容姿端麗な、同じく若い男だった。

 

「初めまして。オウニ商会社長のルゥルゥと申します」

「イケスカ市長のレナです。この度は迎えにお出でいただきありがとうございます」

 

 レナと名乗ったイケスカの新市長は、そう言って頭を下げる。年頃はレオナたちとそう変わらないか、とルゥルゥは思った。零戦に乗っていた男の方は、レオナより少し年上といったところだろう。

 

「私はこの羽衣丸副船長、サネアツです。この度は当船をご利用いただきありがとうございます。さぁさ、こちらへ」

「副船長? 船長はブリッジに?」

「ええ、まあ…」

 

 船長がドードーだと教えたら、この新市長はなんて顔をするだろうか。

 サネアツについて貴賓室に向かおうとしたレナを、零戦の男が呼び止めた。レナがルゥルゥたちと挨拶を交わしている間、屠龍のパイロットから何かを伝えられていたらしい。

 

「レナ、第二ルートのグラーバク隊から通信が入った。予定通り(・・・・)、所属不明勢力の襲撃を受けたらしい。襲撃者は一個中隊で、それなりに腕が立つ連中のようだ」

「やはりね。こちらの被害は?」

「損害はゼロ。予定通りに第二ルートで待機していたガデン商会と合流済みだ」

「無事で何よりね。彼らも腕の立つ人たちだから、墜とされることはないと思っていたけど」

「敵は7機撃墜された時点で撤退した。現在は尋問のため、撃墜した機体のパイロットを捜索している。無駄だとは思うがな」

「実行犯が知っていることは少ないでしょうね。でも、これで誰が内通者なのかだいぶ絞り込める」

 

 その会話は、隼を降りたレオナたちの耳にも入っていた。

 

「仲間を囮にするなんて、捨駒として見ているのかそれとも信頼しているのか、どちらだと思います?」

 

 エンマの問いに、レオナは腕を組んだ。少なくとも、レナが悪い人間のようには見えない。もっともイサオの例もあるから、人は見た目だけで信用してはいけないことも十分理解しているが。

 

「仲間の無事を喜んでいるようだから後者だろう。だがあのレナという新市長、目的のためには手段を選ばないタイプに見える」

「ケイトもレオナに同意。スパイを突き止めるためとはいえ、仲間を敢えて危険に晒す行為を取れる人間は少ない」

「少なくとも、レオナには無理な真似ですわね」

 

 我らが隊長は、仲間を危険に晒す前に自分から危険に突っ込むタイプですから。エンマはそう続けた。




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