【完結】とある再起の四月馬鹿(メガロマニア) 作:家葉 テイク
序章 冗談は寝てからに
「チーター! お客さんが来たと思いますよ!」
「お、この閑古鳥映画館に客とは珍しい。ヘラジカでも遊びに来たかな」
「フッフッフ! 聞いて驚くといいと思いますよ。初めて見るフレンズだと思いますよ!!」
「…………初めて? 神様のフレンズでも来たか?」
「なんか、牛の身体のフレンズだったと思いますよ」
「牛? オーロックスかなんかの友達かね」
「でも、頭に角はなかったと思いますよ。どことなくかばんっぽかったというか」
「は? かばん? ってことは、顔がヒト……? 人面牛の架空生物なんていたっけなあ……」
「チーターにちょっと不吉な予言がしたいとかなんとか言ってたと思いますよ。確か名前は『
「完全にヤバい系のフレンズじゃねーか!! 丁重にお帰り願え!! この映画館ぶっ飛ぶぞ!!!!」
《ねね。どうかな、レイシアちゃん。今借りてるのは三期なんだけど、これけっこうよくない?》
夜、七時半。
匿名レンタルサービスにて借りた深夜アニメをレイシアちゃんに見せてから、俺は感想を求めていた。俺も見たことはないんだけど、作品の評価については名誉回復を目指してた時期にちょろっと見てて、その時から落ち着いたら見ておきたいなーって思ってたんだよね。
で、現に見てみたらなんかこの……ゆるーい感じが癖になるというか。長期シリーズだからか、ときたま変なシナリオが入るのも愛嬌として楽しめる。レイシアちゃんをオタクの道に引きずり込む作品としてはかなりよいのではないかと思うんだが……。
《……シレン。これ、大覇星祭の前日に見る作品ではないのではなくて?》
《ええっ!?》
意外なことに、レイシアちゃんの反応はあまり芳しいものではなかった。
馬鹿な……シチュエーションの問題だと!? なんかこう、血沸き肉躍る感じの深夜アニメを見繕うべきだったか!? それともニチアサ系の特撮作品とかの方がよかったかな……。でも俺、まだこの世界の特撮作品事情とか分かってないからな……。
《だ、ダメだった……? 面白くなかった……?》
《いや、面白いとか面白くないとか以前に、これめちゃくちゃ長編ではありませんの。早めに寝ないといけないのですから、ハンパなところまでしか見れませんわよ》
《あー。レイシアちゃん、アニメは一挙視聴したい派か~》
《何か都合のいいように納得されてる気がしますわ》
分かるよ。続きが気になるんだよね。俺は時間になったらアニメが途中でも一旦切り上げられるタイプだけど、レイシアちゃんは気になっちゃうんだな。
そこの配慮は確かに足りなかったかもしれない。ごめんね、レイシアちゃん。
《でも、そこは安心してくれ。さっき端末にDLしたアプリはこのプレーヤーと連動して保存したアニメを端末でも再生することが……、》
《だから明日から大覇星祭だと言っているでしょうが!!!!》
お、怒られた……。
《はぁ……。もういいですわ。ちょうど区切りもいいことですし、今日は寝ますわよ。アニメは大覇星祭が終わるまで禁止》
《ええっ!? 大覇星祭って一週間続くんだよ!? 一週間禁止!? そんな殺生なぁ!》
《大覇星祭に集中しろっつってんですわ!!!!》
お、怒られた……。口調が若干崩れるレベルで……。
《分かってるよ……。もちろんそっちにも本気は出すってば。せっかく色々と白井さんにレクチャーしてもらったんだし。アニメも……まぁ、落ち着くまで我慢するし》
《ホントに分かってるのかしら、このダメオタク……》
ひどい言われようだ。俺だってやらなきゃいけないことはちゃんと分かってるからね! むしろその面で言えば、レイシアちゃんより俺の方がしっかり分かってるまであるからね! まぁそんなこといちいち言わないけどさ。俺が言うべきは、この一言のみ。
《明日は頑張ろうね、レイシアちゃん。おやすみ》
あ、二言だった。
《……ええ。おやすみなさい、シレン》
その言葉を最後に、俺は夢の世界へと旅立った。
────そしてそれは同時に、長い長い一日の始まりでもあったのだ。
ちなみに作品分けしたのは、作品の空気感を考えたのもありますが、一番デカイ理由は最初の畜生道(作者の別作品です)ネタをやるのにクロスオーバータグをつけなくちゃいけなかったからです。