【凍結】魔法少女リリカルなのは!?「カイザーと呼ばれていた少年」 作:ヘルカイザー
ではよろしくお願いします。
「えへへ〜はへ〜……へぶしっ!? ……痛いの…………。もうっ! いきなり何するのアリサちゃん!? 」
「何するのじゃないわよ、その能天気なお花畑満開な頭を叩いてあげたのよ? 大体、気を抜けばすぐにへら、にへらと……」
「まぁ、まぁアリサちゃん。なのはちゃんも恋する乙女なんだから」
「にゃっ!? 違う!? 別にそんなんじゃ!? 」
「ど・こ・が! ち・が・う・の・よ!! 」
「ひたい、ひたいよ、ありしゃしゃん!? 」
私は今年になり、小学生3年生になった。今は友達アリサちゃんにほっぺを引っ張られている。と言うのも丁度半年前、公園で出会った男の子とデュエルしてからと言うもの、私はその時のデュエルが忘れられなかったのだ。凄く熱くなれて、幸せなほんの僅かだった時間。結局、あのデュエルは途中で中断され、あの子の名前も聞く事ができなかった。だから私は時より気をぬくとあの時のデュエルを思い出し顔がにやけているらしい。
「痛い……」
「全く。どうせその男の子だって、たまたま運が良かっただけよ。そうに決まってるわ。じゃなきゃなのはと互角になんて信じられるわけない」
「ア、アリサちゃん!? 」
「だってすずか! ……あ…………」
「……絶対……強かったもん……あれは運がいいだけのデュエルじゃないの……」
「ご、ごめんなのは!? 別にそんなつもりは」
例え、悪気がなかったとしても、私はあのデュエルを汚されたくはなかった。私は初めてだったのだ。心が沸騰し、永遠に戦っていたいと感じたのは。
「私は……デュエルしか能がないから……みんなと違って…………」
「いや……だからなのは」
「そう言えば、景君とはどうなのアリサちゃん? 人の事ばかり言ってるけど、アリサちゃんだって夢中だよね? 」
「なっ!? ち、違!? 景太とはただの友達で」
「アリサちゃんが自分からデュエル挑むくらいだからそれだけじゃないの。ラブラブだよね? 」
私は真っ赤なアリサちゃんにお返しのごとくつっかかる。アリサちゃんだって人の事は言えないのだ。3人でいてもいつの間にか景君の惚気話にすり替わるし、1番ラブラブしてるのはアリサちゃん。自分のことを棚に上げてとはまさにこの事だ。
「もう!? おしまいよ、おしまい! この話はおしまい!! 」
「あ! 景君だ」
「え!? 」
「ぷっ……何してるのアリサちゃん? 学校違うんだからいるわけないの」
「くっ……なぁぁぁのぉぉぉはぁぁあああああ!!! 」
「もう……2人は仲がいいね」
「「どこが!? 」」
◇◆◇◆
「いいわねなのは! 」
「勿論なの! このデュエルでアリサちゃんをボコボコするの」
「はぁ…………」
放課後、学校から少し離れた空き地で、2人は向かい合っていた。別に喧嘩をしているわけではなかったが、2人の意地はデュエルまで発展。これで負けたほうが正直な気持ちを言うという条件の戦い。しかしデュエルが始まるその瞬間、そこへなのはと同じ学校の上級生がやってきた。何の用があるかと言えば、ここは自分達の場所だからどけと言うものだ。だが反発気質があるアリサがそれを素直に受け入れるはずはない。
「ここは別にあんた達の場所じゃないわ! 上級生でもそれは関係ないでしょ? 」
「うるさいわ! 私は6年生なのよ? 下級生は黙って言う事聞きなさい」
「そんなの横暴だよ! 」
「そうだよ! 」
「ちっ……面倒な奴らね。あんた達? やっちゃいなさい」
なかなかどかないなのは達にとうとう実力行使を取り始めた上級生。しかもつるんでる他の上級生には男子もいる。全部で5人ぐらいのグループだ。だから抵抗してなのは達に部があるとは思えない。
「ア、アリサちゃん」
「だ、大丈夫よすずか……こ、こんな奴らどうせ口だけよ」
「震えて何言ってんだ? いいからどけ……!? なんだお前」
「「「えっ!? 」」」
「誰だって言われれば通りすがりだけどな? ちょっと強引過ぎないか? 年上なら譲れよ」
「何ですって? ふふ、頼もしいナイトの登場かしら? あら? あなた……どこかで」
突然なのは達の前に立った1人の少年。誰もが誰? と言う雰囲気の中、なのはだけは驚いている。見覚えがあると感じていたのだ。なのはの中では忘れる筈もない。望んだ相手。探し求めていた相手が目の前にいるのだから。
「おい、お前俺とデュエルしろ。それで俺が勝ったら、この子達に譲れってやれ」
「デュエル?いいわ! 身の程を教えてあげる」
突如の乱入で始まったデュエル。なのは達は自分達の所為で始まってしまったデュエルを黙って見守るしかない。
「「デュエル! 」」
先攻は彼女。だがこのデュエル……最初から勝負にすらなっていなかったのである。何故なら彼女に次のターンと呼ばれる物は残されていない。
「私のターン! 私は魔法カード、古のルールを発動。このカードの効果で、レベル5以上の通常モンスターを一体特殊召喚できる。私はコスモ・クィーンを特殊召喚! 」
コスモ・クィーン。通常モンスターで攻撃力2900ある上級モンスター。もしこれが普通の相手ならこのモンスターであっても驚く筈だ。彼女達は仮にも小学生。最初は高攻撃力で攻めると言うのが定番だろう。だが、この時点で目の前の少年とは差が出てしまっている。
「カードを1枚伏せてターンエンドよ」
彼女が今伏せたのは聖なるバリアミラーフォース。このカードは発動時に攻撃表示モンスターを全て破壊できる。だから彼女は慢心した。たかが1枚の防衛ラインで。
「俺のターン、ドロー! 俺はサイバー・ドラゴンを特殊召喚」
「攻撃力2100!? 」
「まだだ、さらに俺はこのサイバー・ドラゴンをリリースし、サイバー・ドラゴンをアドバンス召喚! 」
「「えっ!? 」」
同じモンスターをリリースして同じモンスターを召喚するという謎の行為。この行動には見ていたアリサとすずかも困惑していた。ただ、なのはだけはジッとそのデュエルを凝視している。サイバー・ドラゴンが出た時点で、なのはは確信と共にこのデュエルに夢中なのだ。
「ふふ、あっはは! 何それ? ふざけてんのかしら? 」
「……ふ。底が見えたな」
「あ゛あ゛? 」
「俺はさらに死者蘇生! 墓地からサイバー・ドラゴンを復活」
サイバー・ドラゴン2体がフィールドの並び、流石の彼女も警戒した。アリサ達も興味深い表情でそれを見守る。
「速攻魔法、フォトン・ジェネレーターユニット。俺はフィールドのサイバー・ドラゴン2体をリリースし! 」
「なっ!? 」
「サイバー・レーザー・ドラゴンを特殊召喚! 」
サイバー・ドラゴンリリースにより、フィールドに違う機械龍が出現。さらにそのモンスターの尻尾の先には何やら仕込まれていそうな部位がある。
「何このモンスター……で、でも攻撃力は2400まだ私のコスモ・クィーンの方が上よ! 」
「サイバー・レーザー・ドラゴンは1ターンに1度、このカードよりも攻撃力以上の、攻撃力か守備力を持つモンスター1体を破壊することができる」
「つ、つまり……」
「ふふ。サイバー・レーザー・ドラゴン効果により、コスモ・クィーンを破壊。破壊光線フォトン・エクス・ターミネーション! 」
そう宣言した瞬間、サイバー・レーザー・ドラゴンの尻尾の先が開き、そこから銃口のようなものが現れた。そして、その部分から細いレーザーがコスモ・クィーンを直撃。コスモ・クィーンは爆風と共に撃破された。だがこれで終わりではない。何故ならサイバー・レーザー・ドラゴンにはまだ、攻撃が残っているのだ。
「くっ……ふ、ふふふ。いいわ! 攻撃できるもんならしてみなさい? 次のターンで、そのモンスターごと消してあげるわ! 」
「……安い挑発だ」
「何ですって? 」
「俺は手札から、サイクロンを発動。その伏せカードを破壊する」
「きゃっ!? 」
「さらに速攻魔法、リミッター解除」
「「「あ」」」
リミッター解除。それは自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力を倍にし、エンドフェイズに効果を受けたモンスターを破壊すると言うもの。だがここで考えて貰いたい。相手のフィールドにはモンスターも、伏せカードもない。ましてや、彼女の表情から手札に何かあるという事もないだろう。さらには少年のフィールド。そこには攻撃力4800のサイバー・レーザー・ドラゴンがいる。
「パーフェクト……そんな……貴方まさか…………」
「サイバー・レーザー・ドラゴンでプレイヤーにダイレクトアタック!エヴォリューション・レーザー・ショット!! 」
「海鳴……沿岸小の6年……皇帝……カイ…………」
彼女の言葉はサイバー・レーザー・ドラゴンの攻撃に吞めれて消えた。そして、終了を告げるライフはゼロになる。さらに彼女は静かに両膝と両手を地面についた。
◇◆◇◆
デュエルは終わった。圧倒的な実力差でのデュエル。こうなる事を誰が予想できたのだろうか。アリサちゃんもすずかちゃんももはや言葉が出ていない。勿論私もだ。しかし私は声を出さずにはいられなくなった。何故なら目の前の男の子が去ろうとしたからだ。
「後はごゆっくり」
「待って! 」
「ん? 」
「デュエル……してください」
「何? 」
「もう一度私とデュエルしてください! あの時の決着をここで、ここでつけるの! 」
つい強引で失礼な言い方になる。でも私は自分の中の闘志を抑えられないでいた。目の前に、自分の望んだ闘いの舞台がある。そう思うとなりふり構ってはいられない。
「(この子は……あの時の子か)残念だけど、君とは今デュエルする時じゃない」
「え……そんな、どうして!? 私の事覚えてませんか? 半年前「熱くなりすぎている」……」
「闘志を燃やすのは結構だけど……そんな君とじゃいいデュエルはできない」
「あ……」
「けど」
私に背を向けた彼は、そう言い直し、私を注目させた。内心諦めた私だったが、次の瞬間、私のやる気はこれでもかというくらい満ち溢れた。
「俺も君とデュエルがしたい。半年前、俺をあそこまで熱くかき立ててくれた君と」
「私の事……覚えて」
「勝ち上がってこい」
「え? 」
「今年行われる学校対抗のリーグ戦。そこへ勝ち上がってこい。その舞台で、君とは決着をつける。最高のデュエルをしよう」
それは毎年行われる学校行事。各学校で、各1チームを選抜し、この町にある4校でデュエルをするというもの。
「……はい! わ、私頑張ります! 絶対に勝ち上がって貴方とデュエルするの! 」
「ああ」
◇◆◇◆
醍醐さんにお世話になり始めてから僕は学校に通っている。海鳴市にある海鳴沿岸小学校だ。僕はそこの3年生。だけどそんなに友達もできず、僕は休み時間もほとんど1人だ。でも決していじめを受けているとかではない。ただ単に独りなだけ。
「帰ろ」
放課後の事だ。僕は下駄箱まで行き自分の列がある所を曲がった。しかしそこで誰かにぶつかり、僕は後ろに突き飛ばされた。ぶつかったのは6年生。しかも僕はこの人を知っている。いや、この学校では知らない人間などいないだろう。僅か3年でこの学校のトップになり、今までその地位を独占している海鳴沿岸小最強のデュエリスト。その実力は先生や他の学校のせいとすら寄せ付けない程だと言われている。けど詳しい所は僕も知らない。
「悪い、大丈夫か? 」
「え、あ、はい」
「ん? お前……ふふ」
「あの? どうかしました? 」
「その目、気に入った。お前俺のチームにはいれよ」
「チーム? え!? ちょっ、それってもしかして」
僕は戸惑った。この人が言っているチームとは恐らく学校対抗のチームだ。しかしそんな大事な選抜のチームに僕を選んだりしたらこの人の足手まといになりかねない。それどころか学校選抜すら落ちるかのせいだってある。
「待ってください!? 僕はそんなに強いわけじゃなくて、きっと足手まといに」
「勝手に決めんなよ。やってみなきゃわかんないだろ? それに俺はお前のその目が気に入ったんだ。その闘いたくて、うずうずしているその目が」
「そ、その……」
「いいじゃね〜か! まだチーム決まってないんだろ? 俺とやろうぜ? 俺は黒夜涼。涼でも何でもいい。それと、敬語はいらない。俺達はチームメイトだ」
「ええ……もう決定なの? でも……僕でいいなら、よ、よろしく! あ……ごめんなさい、つい」
「それでいいんだよ。よろしくな! え〜と? 」
「景太です。梅雅景太」
「おう、景太!」
普段話に聞くよりは情熱的で、フレンドリーな人だった事には驚いた。そしてかくいう、僕はこうして彼のチームに入れて貰った。だけど、僕がもっと驚いたのは…………
「さて、これで2人だな! 後1人」
「へ? 2人? 」
「2人だろ? 俺とお前で」
「まだ1人も決まってなかったの!? 」
こんなに強いのにまだ1人もチームがいない事に僕は驚いたのだった。
次回もよろしくお願いします。