超特急恋愛バラエティ すぱろん!Rebirth   作:鳶子

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第5回 学園の生徒は全員個性派!?自己紹介Part4

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寄宿舎を出て別館と書かれた場所に向かうと、そこには男の子がいた。

彼もかなり身長が高い。くすんだ水色の髪に、ピンク色のメッシュが入っていて、なぜか頭に包帯が巻かれている。…怪我でもしたんだろうか?

袖をまくったワイシャツに長ズボンという格好は、今まで見た子達の中で1番高校生っぽい格好かもしれない。

 

「あれ〜?君たちも探検しに来たの?」

「た、探検っていうか…挨拶回り、みたいな?」

「へ〜、ふんふん、なるほどね」

男の子は腕組みをしながらうんうんと頷く。

 

「俺は妄崎品愚!超高校級の官能小説家だよ〜、よろしくね!」

 

「私は宗形こむぎです、"超高校級の園芸部"って呼ばれてます。よろしくお願いします」

「ボクは笑至にえる。"超高校級の探偵助手"だ。よろしくね」

私たちも続けて自己紹介をする。…というか、官能小説家って、もしかして…。

 

「…笑至さん。月詠さんがさっき言ってたのって、あの人のことかな…」

「さあ、話してみないと分からないけど…その可能性は高いんじゃないかな」

私と笑至さんが小声で会話するのを、妄崎くんはへらっとした顔で眺めている。

 

「官能小説家って、あれだよね。あ、あんまり、よろしくない感じのを書く小説家…」

「そうそう!エッチなやつ書いてる!」

私が遠回しに言ったのを妄崎くんは直接的に肯定する。

 

「こ、高校生で書けるの?それって…」

「まあペンネーム使ってるし、年齢はバラしてないよ。…あ、もしかして俺が官能小説書いてるところでも想像して興奮しちゃった?濡れた?」

「ぬ、濡れる…??何が……?」

「あはは、冗談冗談!」

「宗形さん、この人で間違いないよ」

笑至さんが冷めた目で妄崎くんを見ている。

 

「そういえば、ミステリアスクールな感じの子って書きやすいよねー。案外快楽に弱かったりしてさ〜」

「………」

ほんとに初対面でえげつないことを言ってくる人だ。見るからに純粋そうだった月詠さんは確かに耐えられないだろうな…笑至さんは涼しい顔で聞いているけど。

「まあ胸が大きいのが俺的にはちょっといただけないかな〜」

 

「…男はみんな胸が大きいのが好きだと思っていたんだけどな。違うのかい?」

「何言ってんの??貧乳こそが正義だろうが!!!」

(よく分からないところでキレてるなあ…)

 

「これ以上話してても埒が明かないね。帰ろう」

笑至さんが僕を別館から出るように促す。

「え〜?帰っちゃうの?まあいいや、俺はこの離れた場所のトイレで抜く奴がいないかもうしばらく監視してよう」

「貴方は発言に規制音をつけた方がいいんじゃないかな」

※この後の発言はテレビ的にNGが出たので削除されました。

 

 

 

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妄崎くんに会ってからどっと疲れが来たなあ…。‬

中庭のベンチで私たちが休憩していると、白髪の女の子が声をかけてきた。

「君たちも休憩?アタシもなーんか疲れちゃったんだよねぇ」

そう言いながら私の隣に腰掛ける。

ぱっつんで胸ぐらいの長さのゆるく巻かれた髪に、愛嬌のある顔立ち。パーカーを羽織っていてこなれた感じがする。クラスにいたらかなりモテそうな女の子だ…。

目の近くにに矢の刺さったハートのようなものが描かれている。…これって、タトゥーなのかな?

 

「やあ。ボクは"超高校級の探偵助手"笑至にえる。よろしく」

「はじめまして、宗形こむぎです。"超高校級の園芸部"って呼ばれてます」

 

「根焼夢乃っていいま〜す。よろしくね。」

 

女の子…根焼さんはそう気だるげに挨拶すると、退屈そうにパーカーの紐をいじり始めた。そういう態度も、今どきの女の子って感じがするなあ…。

「ね、根焼さんって、どんな才能なの?」

何とか話を続けようと私が聞くと、根焼さんは肩をすくめた。

 

「才能?…実は紙ちゃんと見てなかったから覚えてないんだよね、捨てちゃった。」

「ええ…!?」

「そんなに驚くことでもなくない?入学できるならとりあえずそれでいっかな〜て思って」

「そ、そうなんだ……」

かなりサバサバした子だ。私だったら絶対そんな思い切りのいいことできないな…。

 

「そうそう、君たちはもういい感じの男見つけた?」

「い、いい感じ…?」

「1ヶ月しかないんだから、ある程度ターゲットは決めとかなきゃダメでしょ。アタシは今んとこいないなあ、なんか見たところパッとしない男ばっかだよね」

そっか、この中のメンバーと恋愛をしなきゃなんだ…。頭ではわかっていても、まだ今一つ実感が湧かない。

 

「まあしゃべってればそのうち気になる男も出てくるかもしれないか。笑至はそこらへん抜け目なさそうな顔してるし、宗形もさっさと狙いつけといたら?」

「そ、そんなに私って頼りなく見える…?」

「どう見ても奥手な女。そんなんじゃあっという間に1ヶ月経つよ?」

「うっ……」

痛いところを突かれている。根焼さんみたいに可愛かったら苦労しないのに、あいにく私は地味だし、かわいげもないしなあ…。

 

「ま、人の恋に口出す気はないから安心してよ。キョーミもないしね」

そう言って根焼さんはベンチから立ち上がると、ふらっと校舎の方へと戻っていた。

 

 

 

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今あった人はジョーンさんも含めて13人。残りの2人はどこにいるんだろうな…。

私たちはとりあえず、昼食の手伝いのために食堂へと向かった。

 

「あれ?」

食堂に行くと、もう既にテーブルの上には人数分の料理が置かれていた。少し来るのが遅かったみたいだ…。でも、この短時間で17人分の料理を全部月詠さんが作ったのかな…。

「宗形さん、奥の方に厨房があるよ」

笑至さんの言葉に従って厨房に行ってみると、そこには探していた最後の2人がいた。一緒に料理を作っているみたいだ。

 

1人目は、パティシエールのような服の上に、セーターをしている女の子。髪は低めのツインテールで、そばかすがある。なんだか親しみやすそうな子だ。

2人目は、黒いスーツを纏った身長の高い男の子。片目が隠れていてるやわらかそうな黒髪に、白い手袋。迂闊に触ると壊れてしまいそうな印象すら与えられる。

 

「あれ?はじめまして、かな」

女の子の方が私たちに気づいて声をかけてきた。

「うん。私は宗形こむぎです、"超高校級の園芸部"って呼ばれてるよ」

「ボクは笑至にえる。"超高校級の探偵助手"だ」

 

「私は"超高校級のショコラティエ"、佐島汐留っていいます。よろしくね」

 

「佐島さん、よろしくね。えっと、そっちの男の子は…」

「掃気さん、呼ばれてるよ。自己紹介だって」

佐島さんが一心に料理をしている男の子に声をかけた。彼はこちらをゆっくりと振り返る。

 

「そうき…れん…」

 

「掃気くん、って言うんだね。よろしくお願いします」

私がお辞儀をすると、掃気くんもぺこりと頭を下げた。そしてすぐに調理に戻る。

「掃気さんは、"超高校級の特殊清掃員"だよ。実家の葬儀屋さんの手伝いもしてるらしいけどね」

佐島さんが私たちにそう教えてくれた。元からの知り合いではなさそうだし、ずっと一緒に行動してたのかな…?

 

「特殊清掃員って…想像もつかないなあ」

「べつに…仕事、好きでやってるわけじゃないけど…」

私がそう言うと、掃気くんが後ろを向いたまま答える。そっか、才能って好きなことをやっててなることばっかりじゃないもんなあ…。

 

「2人は何を作っているんだい?」

笑至さんが佐島さんに尋ねる。

「掃気さんは月詠さんに頼まれてお味噌汁を温めてるよ。月詠さんは今、ご飯ができたってみんなを呼びに行ってるから。私は食後のデザートとしてホットケーキを作ってるんだ」

「へえ、すごいね…!おいしそう!」

「あ、でも厨房に人が来ると思ってなかったから、私の分と掃気さんの分しかないんだ。ごめんね」

佐島さんがやや申し訳なさそうに謝る。すると掃気さんが意外そうな顔を見せて振り返った。

 

「くまさんの…ホットケーキ…おれも食べていいの…?」

「もちろん。私がお菓子を作ってあげる、って言ったでしょ?掃気さんのために作るようなものだよ」

「…うれしい」

掃気くんはふっと微笑んだ。佐島さんも嬉しそうだ。

 

(なんだかとってもいい雰囲気だし、邪魔しないでおこう…)

私たちはそっと食堂を後にした。

 

 

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「うん、やっと全員に会えたね」

食堂を出たあと、私は笑至さんと教室の中でおしゃべりしていた。

「個性的な人がたくさんいたけど…笑至さんは、誰か気になる人とかいた?」

「気になる人、か…」

笑至さんはじっと考え込むようなフリをする。

 

「そうだね。みんな興味深いけど、気になる人なら1人、いるかな」

「え!だれだれ?気になる…!」

思わず身を乗り出してしまう。笑至さんってどんな人がタイプなんだろう…!?

 

「…目の前に、ね」

そう言って笑至さんは、いたずらっ子っぽく微笑んだ。

「なっ……」

みるみる顔が熱くなっていくのがわかる。今日何回目の赤面だろう…。心臓もいちいち速くなったり遅くなったり大変だ。

「か、からかわないでよ!もう!笑至さんのいじわる!」

「あはは、ごめんね。宗形さんが可愛かったからつい」

「うう〜……」

ふてくされて机に伏していると、ぽんぽんと頭を撫でられる。

 

「まだ時間はあるよ。ゆっくりやってけばいいさ」

「…うん」

 

不安はもちろんある。けど、これからどんなイベントが待ってるんだろう。そんなことをちょっと楽しみにしてしまっている自分もいた。

こうして私の1ヶ月が、幕を開けた。

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