超特急恋愛バラエティ すぱろん!Rebirth   作:鳶子

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第n回 恋路はつづくよどこまでも

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「これから、光清学園第1回、卒業式を開式致します」

 

そんなモノケンのアナウンスとともに、光清学園の卒業式が始まった…。‬

 

私たちは体育館に綺麗に並べられた、17個の椅子に座っていた。

モノケンが始業式の時と同様に、壇上に上がる。

「学園長のモノケンだよ!この度は全員揃って卒業、おめでとう!いや〜めでたいねえ。正直誰か一人ぐらいは留年しちゃうと思ってたんだけど、いやはや、オマエラの絆の強さにはボクも感涙だよ!」

モノケンはそう言ってわざとらしい大粒の涙を流す。

 

「それにしても、みんないいパートナーを見つけたね!ボクでも予想外の組み合わせがいくつもあったよ。まあ、誰が誰とくっついたのかを言うのは野暮ってもんだからね。それは個人個人でこっそり聞いてね〜」

 

「それじゃ、まだまだ生徒同士語りたいことも山積みだろうし、ここで卒業式を閉式します。帰る時は正門を作ったからそこから帰ってね!」

 

そう言い残すとモノケンは煙のように消え、二度と現れることはなかった…。

 

 

 

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‬体育館の中でみんなと別れを惜しんだ後。

私は笑至さんと、2人で校門へ向かっていた。

 

「お互い、無事に卒業できてよかったね」

笑至さんがそんな風に言う。私のパートナーは、笑至さんだ。

出会った時からずっと私を支えてきてくれた笑至さんと、私はこれからも一緒に過ごしていきたいと思ったんだ。なんと笑至さんは、一日目の教室での会話の時からずっと卒業するなら私と、と思ってくれていたらしい。嬉しいなあ…。

 

「でも、みんなとお別れするのは寂しいなあ…」

「卒業したからって、永遠に会えなくなる訳じゃないだろう。また連絡先でも交換して会えばいいさ」

「うん、そうだね。また女子会もやろうね!」

「あれは壮絶だったけど楽しかったなあ。揚羽さんと根焼さんの枕投げ対決がすごかったよね」

 

「あとは、カラオケの機械が学園に届いた時も楽しかったなぁ。1番点数が取れるのはだれだ!って言って」

「結局失恋ソングを歌ったジョーンさんが優勝してたよね。ボクはあれはちょっとな…。二度と人前では歌いたくないよ」

「ええっ、上手だったよ!今度二人でカラオケとかも行こうよ!」

「…まあ、それは悪くないかもね」

笑至さんが満更でもなさそうに頷く。笑至さんにも意外とシャイな可愛いところもあるんだって、この1ヶ月でわかったなあ。

 

プールに入ったり、ミニ運動会をしたり、料理対決をしたり。楽しいことが本当にたくさんあって、夢みたいな時間だった。

 

「…これからも、楽しいことがきっとたくさんあるよね」

「うん。貴女と一緒なら、平凡な日常も、楽しいものになる気がするよ」

「そ、そんな、照れちゃうよ…これからもよろしくね、笑至さん」

 

「こちらこそ、よろしく。…こむぎ」

そう言ってから後悔したように、笑至くんは顔を背けた。こっちから見えるぐらい頬が赤い。

「も、もう1回言って!笑至さん!」

「……やだ。絶対やだ」

「もう1回だけでいいから!お願いします!」

 

そんな会話をしながら、私たちは校門を出て、この学園を卒業した。

 

 

‪❥❥❥‬TRUE END …

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…!」

「お目覚めですか、宗形くん」

目を覚ますと、そこは寄宿舎のベッドの上で、隣には笑至くんがいた。

「大丈夫でしたか?随分長い間眠っていたみたいですけど」

「…あれ?僕、何をして……」

「芥原さんの魔法とやらを受けて、校庭に倒れていました。彼女が慌ててみんなを呼びに来て、貴方は寄宿舎に運ばれたんですよ」

 

笑至くんが状況を説明してくれる。そうだ、あの時辺りが光に包まれて……

「何か、身体におかしいところとかはありませんか?違和感を感じる部分とか」

「ううん、大丈夫だよ。…なんだか、とっても長い夢を見てた気がする……」

「夢…ですか」

やけに重い頭を持ち上げながら、僕は頷く。

 

「うん。全然思い出せないけど、すごく幸せで、楽しかったなあ…」

「そうですか。もう夜ですから、疲れているでしょうし、今日はもう休んでください」

「うん…そうだね……」

そんな会話をしてると、また眠気が身体を襲ってきた。為す術もなく、僕はゆっくりと目を閉じる。

 

「…おやすみなさい、宗形くん。いい夢を」




あとがき
という訳で、エイプリルフール企画、『超特急恋愛バラエティ すぱろん!Rebirth』でした。ちなみにこのタイトルは生まれ変わるRebirthと性転換、裏返しのreverseの二つの意味が込められてます。カタカナにすればよかった。すぱりば、とでも呼んでください

ネタバレとしては、こむぎゅんは芥原ちゃんの魔法で違う世界軸にぶっ飛ばされてしまったので、意外とこの世界線存在してたりします。どうして常にこの世界軸の話じゃないんだろう。

とりあえずみんなの性転換が書けて楽しかったです。性格が対照的になってる子もだいたい一緒の子もかわいい。全員かわいい。笑至嬢は本編より若干人間味が増してますね。ミステリアスな中にも、年相応な女の子の感じが出せてたらいいな~と思ってます。

初回は無難にこむにえエンドでした。このあといろんな事件を解決しに奔走したりするのかなあ。各エンドの後日譚とかも見てみたいですね、、平和軸は楽しい。

すごく個人的なことを語らせてもらうと、本編で1度もしゃべらせることができなかった照翠先生をしゃべらせることができて嬉しかったです。法典先生も法子先生も好きです。罵倒されたいね。ありがとうございました。

まだまだ話りたいことは尽きませんが、突発性私利私欲無茶ぶり企画にお付き合いいただいたみんなに最大限の愛と感謝を込めてあとがきとします。というとなんかかっこいいね。ありがとうございました!本編もお楽しみに。

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