ヒノカミ神楽ガチ勢が鬼滅世界にINする話   作:Michael=Liston

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 今回長いです。あと戦いもありません。
 すいません、今大学が色々忙しくて感想とか全然返せてないです。でも全部読ませてはもらってるんで今後ともよろしくお願いします!!


就職

 ――至急産屋敷邸に集まれ。

 鬼殺隊という、鬼を殺すためだけに存在する政府非公認の組織がある。構成するのはわずか数百人の隊員のみであり、実態は完全実力至上主義の階層組織。その最高地位に座するわずか数人のみの柱のもとにそう指令が来たのはまだ雪のしんしんとふる冬の真っ只中であった。

 

 

「緊急柱合会議か。」

 

 

 原則として柱達が一堂に会する柱合会議というものは年に二度行われる。

 そしてそれに加えて今回のように緊急の事態として行われる会議は緊急柱合会議と呼ばれ、大抵の場合その緊急事態とは鬼殺隊の最強戦力である柱の死だ。

 

 

「今回は誰が死んじまったのかねえ?」

 

 

 道に積もった雪を踏みしめながら、音柱である宇髄天元は呟いた。

 鬼殺隊の隊員が命を落とすのは全くもって珍しいことではない。

 鬼は強い。日光に当たれば死ぬが、原則として日光の当たらぬ場所ではどんな傷を負っても時間をかければ再生することが可能であるし、強い鬼ではほんの数秒で手足を再生する。それに対してこちら側が鬼に対抗する手段は日輪刀と呼ばれる特殊な刀で頸を落とすことだけ。死者が大勢出るのは当たり前のことだった。

 それでも鬼殺隊の中では何度も顔を合わせることとなる柱の死は一層重いものだった。戦力的な意味ではなく、同じ柱であるものにとっては精神的にだ。

 一年ほど前だった。当時十七歳という若さで、なおかつ女性でありながら柱を務めていた胡蝶カナエという名の柱が命を落とした。どこへ行っても明るく、鬼にさえも情けをかける妙な女。重苦しい雰囲気になりがちな柱合会議が明るくなったのも彼女のおかげだったし、その雰囲気を天元もまた気に入っていた。

 彼女が死んだとき、柱合会議は元の重苦しいものへと戻った。そしてその直後に彼女の妹が柱となった。

 そのとき彼女を見て天元は思ったのだ。

 ――誰かの死がここまで人間を変えるか、と。

 

 

「誰も死んで欲しくないんだがなあ…」

 

 

 出来ることならば、本当に誰も死んで欲しくはない。だがそれは叶わぬことだと誰よりも天元自身が理解していたし、そして常に誰かの死を覚悟していなければいけないことも理解していた。

 

 

「…………」

 

 

 故に天元は常に覚悟を固めていた。どんな事実を突きつけられても決して折れぬように。

 

 

▲▲▲

 

 

 炭治郎達は突然家を訪ねてきた冨岡義勇と名乗る男に連れられて雪の降る中を歩いていた。

 義勇は鬼殺隊の隊員であり、炭治郎の話を聞いてしばらくしたのち、炭治郎の遭遇した鬼は数ある鬼の中でも相当強い鬼の可能性が高く、炭治郎たちが許すのであれば是非とも本邸で詳しく話を聞きたいと申し出てきたのだ。加え、家を変えるべきだとも。

 

 

「俺街を出るの初めてだよ!」

「私もー!」

 

 

 初めて町の外に出てはしゃぐ花子と茂を禰豆子と微笑んで見守る炭治郎の姿を葵枝は複雑な気持ちで見つめた。

 義勇からこの話をされたとき葵枝は決断を下せなかった。これといった理由はなく、ただの勘であるが、この話を聞いたが最後日常には二度と戻れなくなるような気がしたからだ。加え、葵枝には母親として子供たちを守る使命があった。義勇が本当に信用できるのかどうかもわからない、子供たちの日常をこれ以上壊すわけにはいかない、だがあんなことが起こってしまった以上このままでいいのかという思いもある。

 いくつもの不安に雁字搦めにされ決断を下せずにいる葵枝を尻目にすぐさま決断を下したのは炭治郎だった。思い返せば葵枝や禰豆子、竹雄達が義勇の話を聞いて驚く中、炭治郎だけは何の驚きも示さなかった。鬼というものの存在、その実態。全てが山奥で過ごしてきた葵枝たちにとっては驚きの的であるにもかかわらず、だ。

 

 初めは夫である炭十郎が炭治郎に何かを教えたのかと考えたが、すぐさま否定した。もしそのような日常を脅かす存在がいるのならば自分に伝えていないはずがない。

 そうすると炭治郎は、夫や自分でさえも知らないナニカを知っているということである。

 

 

「大丈夫、大丈夫。」

 

 初めての外。そして生まれてからの全ての時間を過ごした家を離れるという不安からか泣き出した六太を炭治郎は右腕で抱えてあやしていた。

 

 

「悪い奴は兄ちゃんが」

 

 

 左手は強く腰に差した刀を掴んでおり。

 

 

「やっつけてやるからな。」

 

 

 やはり、全ての日常が終わってしまうのではないかという不安が葵枝の脳裏から離れなかった。

 

 

▲▲▲

 

 

「お館様の御成です。」

 

 

 産屋敷邸。鬼殺隊の本邸であり、柱合会議の行われる場所で総勢10名の柱はすぐさま畳の上に正座した。

 白髪の童二人が開いた襖の奥から現れたのは優しげな顔つきをした二十歳前後の男だった。

 産屋敷耀哉。鬼殺隊の当主である。

 

「おはよう皆、急な召集にも関わらずこうして全員集まってくれてありがとう。」

「お、お、お館様におかれましても、ご、ご、ご壮健でなによりです!!」

 

 

 緊張のせいか幾度も言葉を噛みながら柱を代表して耀哉に挨拶をしたのは恋柱の甘露寺蜜璃である。

 

 

「ありがとう。」

 

 

 緊張で震える蜜璃を微笑ましく思いながら、耀哉は頷いた。

 今代の柱は10名。

 風柱の不死川実弥、音柱の宇髄天元、水柱の冨岡義勇、岩柱悲鳴嶋行冥、蛇柱伊黒小芭内、特例として二人で一つの柱を担う時透無一郎、有一郎、蟲柱の胡蝶しのぶ、炎柱の煉獄杏寿郎、そして前述の蜜璃である。

 その全員が確かな実力者であり、歴代でも最高位の実力を持つと輝哉が胸を張って言える剣士である。

 

 

「今日みんなに集まってもらったのは、会って欲しい子達がいるからなんだ。」

 

 

 ――そろそろついたころかな、入ってきてくれるかい?

 耀哉のその声に応えるように部屋に入ってきたのは何の変哲もない一般人だった。少なくとも、その場にいたほぼ全ての柱にはそう見えた。

 だがそれも次の瞬間には覆された。

 

 

「炭治郎!!」

 

 

 部屋に入ってきた先頭の人物、炭治郎を見とがめるや否や、無一郎は炭治郎に飛びついた。

 その瞬間、全ての柱達に激震が走った。

 

 

「まさかコイツが」

「あの炭治郎なのか?」

 

 

 時透兄弟は齢11にして柱へと至った正真正銘の天才である。彼らは一度鬼に襲われたところを偶然通りすがった少年たちに命を救われ、その男と一週間余りの時間を共に過ごし、のちに彼らのもとを訪れた産屋敷あまねに導かれ鬼殺隊へとやってきた。

 彼らの扱う呼吸は霞の呼吸と呼ばれ、そのうち彼らが作り出した最も新たな型が自分たちの命を救った剣士のたった一つの技を再現するためのものだという話は柱達の間では周知の事実である。

 そしてその剣士の名をよく無一郎は口にしていた。

 

 

 ――炭治郎に教えてもらったんだよ。

 

 

 だが今目の前にいる男はどうか。

 満面の笑みで無一郎に抱きつかれ、しかめっ面の有一郎に毒を吐かれながら微笑んでいる姿からはとてもではないが強さというものを全くもって感じられない。強いものからは独特の気配がする。それはあるいは直感とも言えるものであるが、この中では特に杏寿郎や行冥、実弥から濃く感じ取れるものだった。だが炭治郎はどうか。本当に時透兄弟が他の柱達も感嘆するほどの技を磨きながらまだまだ遠いと言葉を溢すほどの技の持ち主だとは考えられなかった。

 それどころか、まるで植物が目の前にあるかのような錯覚がしたほどである。

 

 

「彼の名前は竈門炭治郎、後ろにいらっしゃるのは彼の母親だ。」

 

 

 緊張した様子で頭を下げる葵枝に、柱達もまた戸惑った様子で頭を下げた。

 

 

「皆ももしやと思っているだろうが、彼が無一郎の言っていた炭治郎で違いないよ。

 今回は彼の話を聞いてもらいたくて皆に集まってもらったんだ。」

「話とは?」

「私もまだ本人からは聞いていないんだ。でも義勇から聞く限り、炭治郎は上弦の鬼に遭遇した可能性が高いと思っている。」

「上弦の鬼ですか!?」

 

 

 上弦の鬼とは数ある鬼の中で選ばれたたった六体の鬼を指す名称である。鬼殺隊の柱と同じく、完全に実力のみで選ばれた最強の鬼。その力は絶対的で、ここ100年はその討伐はおろか、交戦したものは柱を含め例外無く命を落とすため情報すらない存在である。

 その情報が手に入るかもしれないというのであれば緊張柱合会議を開いたのも納得というものである。

 柱達の視線が炭治郎に集まったのを見て、耀哉が話してくれるかな、というと炭治郎は頷いて静かに話し始めた。

 

 

「鬼に会いました。耀哉さん、貴方に瓜二つの顔をした鬼です。」

「本当かい!?」

 

 

 それまで柔らかな笑みをたたえていた耀哉は一転、柱達ですら見たことのないような顔で叫ぶように言った。

 対し、焦りを覚えたのは柱達である。鬼は変幻自在に姿を変えられる。鬼が輝哉の姿を真似たのだとすれば、すなわちそれは耀哉の姿が鬼にばれたのと同義だからである。

 

 

「その鬼の瞳には何か刻まれていたかな?」

「刻まれている?変わった色をした瞳でしたが他に特筆すべきことはありませんでした。」

「――間違いない、鬼舞辻だ。」

「な」

「どういうことですか!?柱でさえも遭遇したこともないのに何故コイツが!?」

 

 

 柱達が血相を変えるが、それも当然のことである。鬼舞辻無惨とは全ての鬼の祖であり、1000年以上に渡って鬼殺隊の手から逃れ続けた男であり、日々血眼になって探す柱達ですら会ったことがないのである。

 加え、今の会話だけで無惨だと断定した耀哉の根拠も気になる。

 

 

「そういえば皆にはまだ言っていなかったね。鬼舞辻は私の一族の者なんだ。」

「ならお館様の一族が皆短命なのは…。」

「うん。報いだよ、鬼を一族から出してしまったことの。

 だから私と奴が瓜二つである可能性は十分にある。偶然私と瓜二つに変化したとは考えにくいしね。」

 

 

 ここまで来て、ようやく柱達は何故耀哉が炭治郎をこの場に連れてきたのかを理解した。

 炭治郎が上弦の鬼と遭遇したのであればともかく、鬼殺隊が長年追い続けてきた鬼の始祖であるというのであれば、耀哉がそうしないはずがない。

 つまり――

 

 

「炭治郎、単刀直入に言おう。私は君に鬼殺隊に入ってもらいたい。」

 

 

 ――炭治郎の勧誘。これに尽きる。

 近年鬼殺隊は大きな問題を抱えていた。隊員の戦力の低下だ。隊員に死はつきものだが、最近は特にその頻度が高い。つまり若手が育たず、故に柱への負担は増える一方だった。

 そこに現れたのがこの男だ。無惨を撃退したというのが偶然だろうと偶然でなかったとしても、時透兄弟が完敗を認めているというのだから即戦力になるであろうことは間違いない。加えて無惨の情報を持っているというのだから逃す手はないだろう。

 炭治郎はその言葉を予測していたのか、耀哉の瞳を見つめたまま動かない。

 代わりに動いたのは今まで流れについていけず言葉を発せなかった母の葵枝だった。

 

 

「駄目ですよそんなの!!鬼殺隊に入るということは、あのような化け物とこの子が戦うということですよね!?そんなことになったら、この子は死んでしまうかもしれない!!」

 

 

 鬼殺隊の願いを叶えるためならば、己の恨みを晴らすためならば、ここで彼女の意見を突っぱねてでも炭治郎を引き込むべきだ。本当に無惨を撃退したのならば、ようやく千年にわたる戦いに終止符が打たれるかもしれない。

 だが柱達はその姿に何も言えなかった。

 目の前に初対面の、それも刀を持った奴らが十人いるにも関わらず。その十人が自分が吠えかかっている男に揺るぎない忠誠を誓っていると悟っていながら。斬られる可能性もあるのに声を上げた彼女の姿は、母という存在の強さを示していた。

 

 

「俺もそう思うぜェ。炭治郎って言ったかァ?

 家族がいるんだったらそっちを守ってやるべきだと俺は思うがなァ。」

 

 

 意外にも最初に声を上げたのは最も鬼への憎しみが強く、そして最も耀哉への忠誠の強い実弥だった。

 

 

「うむ!俺もそう思う!

 誰よりも尊敬するお館様に反することになってしまうが、今回ばかりは仕方なし!! 

 惜しい戦力ではあるが、少年は家族と共にいるべきだ!我々は一層修練に励むとしよう!!」

 

 

 次に杏寿郎が反対を示し、そして二人に続くように残りの柱達も次々と実弥に同意を示した。

 いつもは自身の言葉を何も言わずに受け止めてくれる柱達の全員の反対を受けてなお、耀哉は微笑み、炭治郎の瞳を捉えて離さない。

 そしてここに来て、初めて炭治郎は微笑んだ。

 

 

「ありがとうございます、やっぱり貴方達は優しい人ばかりだ。」

「炭治郎?」

 

 

 炭治郎は一度目を閉じると、静かに話し始めた。

 

 

「俺の家は戦国時代から代々ヒノカミ神楽とよばれる舞を受け継いできました。

 俺はある時、その神楽の正体が刀の型であると()()()()()。」

「刀の、型?」

「日の呼吸と呼ばれる刀の型です。」

「ヒの呼吸?炎の呼吸ではないんですか?」

「……、始まりの呼吸だよ、しのぶ。

 正真正銘、一番最初に生み出された呼吸だ。こんな言い方はあまりしたくはないけれど、私の子供達が使う呼吸は炎も水も風も、岩も雷も含めて全てが日の呼吸の劣化版でしかないんだよ。」

「そんなものがあったのですか!?ですが俺は知りませんでした。そんなド派手なものがあるならなぜ後世に伝わらなかったのですか?」

「使えなかったんだよ、誰も。だから廃れてしまったんだ。」

 

 

 正直に言って柱達は頭がどうにかなりそうだった。無惨の出現、そして無惨を撃退した少年がいると思えば使う呼吸は全ての呼吸の祖。情報量があまりにも多すぎた。

 

 

「炭治郎、その神楽は元々誰から教えてもらったモノなんだい?君じゃなくて、君のご先祖様だ。」

 

 

 ある種の確信をもって耀哉は炭治郎にたずねた。そして、果たして炭治郎の答えは耀哉の期待通りのものだった。

 

 

「継国縁壱さんです。」

 

 

 そしてここまでの話から、耀哉は炭治郎が鬼殺隊に入ってくれることを確信した。もちろん、心が痛む。本当だ。本来であれば幸せに暮らしていけるはずの子供を戦場に連れ出すことに申し訳なさがある。だがそれ以上に炭治郎には耀哉以上に選択肢がなかった。そしてそれを耀哉も理解していた。

 だから、家族が恨みの矛先を自分に向けられるように、()()()自分から炭治郎を勧誘したのだ。

 炭治郎が命を落とした時、炭治郎が死んだのは耀哉のせいだと恨めるように。

 

 

「……皆も疑問に思っているだろうね。縁壱とは鬼殺隊で唯一鬼舞辻を追い詰めた男だ。

 そしてそれ以降彼が死ぬまで鬼舞辻は姿を現すことはなかった。私はこれが、彼に家族がいなかったからだと考えている。」

「どういうことです?」

「家族がいないんだ。だから本来継げるはずだったものが継げない。日の呼吸は煉獄家のように親から受け継がれることがなかったんだ。」

「そうか、日の呼吸が誰にも使えないと知っていたから、唯一日の呼吸を使える人間を寿命で殺しにかかったということか…。

 まさか、なら――」

「そうです。今回は間違いなく、俺の家族を狙ってアイツが殺しに来ます。

 俺は家族が奴に見つけられるまでに、アイツを殺す必要がある。」

「待って、炭治郎。

 それじゃ、貴方は――」

「ごめん、母ちゃん。鬼殺隊に入るよ。」

 

 

 呆然とした顔でぺたりと座り込んだ葵枝を、しのぶは慌てて支えた。

 炭治郎の瞳は鋭かった。もはや誰の目にも明らかなほどに戦場に身を落とす覚悟を固めていた。そしてそれが、炭治郎が戦う理由がどこまでいっても家族のためだということがわかっていたからこそ、葵枝は最早何も言えなかったのだ。

 

 

「お子様達はしばらくの間私の屋敷で預かっています。貴方もその間は、私の家にいてください。」

 

 

 青い顔で頷き、隠に先導されて部屋を出る葵枝をしのぶは痛ましい思いで見つめた。

 振り返ると炭治郎は天井を見上げて深い溜息をついていて、しのぶはその姿を見て改めて気づいた。

 この少年はどこまでも優しくて、そして不器用な子なのだ、と。

 

 

「俺が鬼殺隊に入るにあたって、いくつか叶えて欲しいことがあります。」

「私にできることならば、何でもしてみせよう。」

 

 

 炭治郎の示した要求はごく単純なものだった。

 誰よりも鬼を斬ってみせよう、代わりに家族が一生生きていけるだけの金を。

 誰よりも危険な任務であろうと果たしてみせよう、代わりに最も安全な場所に家族が安心して暮らせる家を。

 そして。

 

 

「今ここで鬼殺隊に入ることを誓いましょう。代わりに、もしも俺の妹や弟が鬼殺隊に入りたいと言ってきたときは、最も厳しい、誰も達成できないような試験を与えて下さい。」

「うん、わかった。君の望みを全て叶えるよ。産屋敷の名にかけて。」

 

 

 

 

 かくして、この瞬間新たな鬼殺隊の剣士が誕生した。 

 誰よりも優しく、強く。そして――――

 

 

 

 

「耀哉さん、珠世という女の人を探しています。ご存知ありませんか?」

 

 

 

 

▲▲▲

 

 

 今日は就職の面接だった。

 ごめん一言でまとめすぎちゃったね。

 耀哉さんと喋って思い出した。そういやアイツの名前鬼舞辻無惨だわ。心臓と脳大量にあるの見て縁壱さんが言ってた奴だって確信したけど名前完全にド忘れしてたわ。

 そうそう縁壱さんってのは俺が夢見るたびに出てくる不思議な人なんだよね。最初の方は夢の中では何もできなかったんだけど最近は普通に寝るたびに縁壱さんと喋ってる。あの人ちょっと天然入ってるから結構面白い。

 でも母ちゃんには悪いことをしてしまった。少しでも事態が良くなるようにさりげなく助け舟を出してくれた輝哉さんには感謝しかない。あと柱の人達も。

 今まで家族以外では嗅いだことのないくらい優しい匂いがしたし。あの人達凄まじくいい人すぎるでしょ。俺みたいなやつにはちょっと眩しいくらいだよね。

 それはそうとして明日から遠足に行くことになった。珠世さんっていう女の人を探してるんだけど明確な居場所はわからないけど浅草にいるってのはわかってるらしい。すごいね産屋敷パワー。

 道わかんないっていったら柱を一人同行させようって言われたけど申し訳ないよね、わざわざ俺のために。

 そろそろ来るかな、お、あの人かな――

 

 

「昨日ぶりだなあオイ!!

 俺の名は宇髄天元!!派手を司る祭の神だ!!」

 

 

 や べ え 奴 が 来 た!!

 

 




 今作における炭治郎の人物像。
 ただのヤベー奴。でも家族のためとなるとすごく頭が切れる

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