どうやら俺の父さんは時の王者だったらしい。 作:九条きょうしろう
プロローグは突然に
1
「ここに一つ昔話をしよう。」
真っ白でただ静寂が続く静かな空間でとある青年が言った、その手には古びた一冊の本を持って。その本のタイトルは『逢魔降臨暦』と記されていた。
「……この本によれば、2018年9月。普通の高校生、常磐ソウゴ。
彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた」
誰へと向けた言葉なのか、一人しかいないその場所で語り出す青年。
その目は、彼の傍に置かれている巨大な時計に向けられている。
「そして常盤ソウゴは己が王道を行くべくタイムジャッカーの魔の手を潜り抜け障害となる全てを蹴散らし、倒し、全平成ライダーの力を受け継ぎそしてオーマジオウとして覚醒、彼はその力で《アナザーディケイド》スウォルツを撃破、後に彼は新たにライダーの存在しない世界をオーマジオウの力で創造した。そして数年後彼は特別な女性と出会い平和な日々を送りました。」
「これでこの『逢魔降臨暦』の歴史は幕を閉じた。」
青年はパタン、と本を閉じ新たな本をどこからか取り出した
「そしてこの新たな『逢魔降臨暦弍』の物語を読み始めよう。」
そこまで語った彼は口を閉じ、
そのままゆったりと光の中へと歩み出して―――
やがて、その姿はどこにも見えなくなった。
2
「んむぅ……もう朝か」
眠い目を擦り俺は目を覚まし、目覚まし時計を確認すると時刻は朝の8時を回っていた。
「げっ!?もうこんな時間か!?学校遅刻だあああああああ!」
俺は慌てながら学校の準備をするとリビングに駆け下りた。
「おはようございます。アキラ様、朝食の準備はできておりますが………」
この人は家政婦の新田さん。両親が海外にいる間、身の回りのことを世話してくれる人だ。
「父さんの奴今度はどこに行ったんだ?少しは母さんを見習って真面目に働いて欲しいな、いや働いてはいるんだろうけど。」
俺の母さん、常盤凛は外交官を生業にしていて物心つく頃から家に居なかった。父さん曰く、息子である俺を溺愛していたらしく暇さえあればいつも抱いていたらしい。しょっちゅう家に帰ってこない母親だけど、俺にとっては良い母親だ。
まぁ父さんの事だし、ぶらぶら世界を旅してるんじゃないかなぁ。今度はどこだろ?エジプトかマヤの遺跡か………それとも南極か…ってこんな設定漫画でしか聞いた事ないぞ………
「すみません、新田さん。自分もう遅刻してしまいそうなので朝ご飯は食べれそうにありません。」
「そうでございますか、ではアキラ様。お気をつけていってらっしゃいませ。」
3
ガラガラ
俺は教室の戸を開き中に入り、自分の席に腰をかける。
俺の席は教室に入ってから1番奥の列で、後ろから2番目の席という比較的なかなかのポジション。
いわゆる窓際の席という奴だ。高校生なら一度はなりたい席ランキング上位に当てはまる部類だと俺は自負している。
「さて、そろそろ食いそびれた朝飯を食べるとするか…」
「オッス!アキラ」
「ん? ああ、おはようイッセー」
コイツは兵藤一誠、同じ2年の同級生で小学校からの悪友。
性格を一言で言い表すならば、熱血好色家。
性欲と色欲をグツグツに煮詰めたような男、女体が絡んだ際に発揮する力は常軌を逸したレベル。
特におっぱいに対する熱い情熱は、周囲の人間がどん引きするレベル。故に日常ではあらゆる女性•女生徒に敵視され、一部の男子からも蔑視されている。俺は親しみを込めてイッセーと呼んでいるがみんなはおっぱい魔神だとかスケベガキなどといった呼称で呼ばれている。
「んで、なんかようか?イッセー、俺は今朝食いそびれた朝飯を今この瞬間我が胃袋に収めようとしている真っ最中なんだが。」
「いやぁ、なんで俺はモテないかなぁってな。」
「はぁ、
俺はこのようにいつもいつもイッセーの話を聞いては、正しい紳士へと更生させようと導いてはいるのだが、このとおり全然学習しないのだ。
そのおっぱいへのベクトルをもっと別の何かに向けて欲しいと俺は思うのだが……
そのせいで俺はいつからか『駒王学園の優しい相談人』などという通り名をつけられてから、一年生や同学年はたまた先輩である三年生から悩みを聞いて欲しい為にわざわざ昼休みを使って俺に会いに来るのだ。
おかげで昼飯を食べる時間がなくなってしまう事が多々ある。
「俺もそう思うけどよぉ!そういう類の話をするのは普通の思春期青少年ならフツーだと思うのですがアキラ先生ー!!そんな俺でも無条件で受け入れてくれる女の子はいないのか!?」
「••••イッセー、そんな女子がいたらそれは女神くらいだぞ。」
「だよな……自分で言ってて涙が出てくるぜ…」
そしてイッセーは悲しげに席に座った。
4
時間が経ち、授業も全部終わったので放課。俺は特に部活には何も入っていない、いわゆる『帰宅部』という奴だ。
俺はいつものようにイッセーと共に学校を出ようと昇降口の前へきていた……言っておくが俺はホモではないのであしからず。
「そういやイッセー、最近この辺でメイド服着た女の人が何か配ってるみたいだけどなんだか知ってるか?」
「んー?……あ!そういえば最近なんか変な紙?みたいなの貰ったな…ほい。何に使うかは知らんけど。」
そう言ってイッセーは俺に何かの紙?を手渡してきた、俺はそれを受け取り見るとそこにはこう書かれていた。
「あなたの願い叶えます?なんだこれ。」
紙には黒く魔法陣が描いてあっていかにもな胡散臭さMAXの代物だった。
「それより昨日新しいゲーム買ったんだ、今日やらね?モン狩5G」
「いいけど、とりあえずコレ返しとくわ。少し微弱な電磁波みたいなのは感じはするけど、特に害は無いっぽいし。」
「ほんとか?まぁ、アキラが言うんだから間違いはないんだろうけどさ。」
俺には昔から一つ変な特技がある。
「しかし、ほんとに変な特技だよなーその思念を感じるって奴?最初聞いた時ふざけてるのかと思ったけど、ウソじゃなかったからほんとビビったわ。」
「はは、さすがにやり過ぎたわ一年の頃、自己紹介の時特技でやむなくお前ら松田元浜イッセーたちのエロ本持ち主当てはなぁ。」
「アキラ〜!お前のせいだぞ!俺と松田元浜が変態であることがいち早くクラス中で広がったのはな。」
「いや、何食わぬ顔で平然と学校にエロ本持ってきてる奴に言われたく無いんだが。」
「俺はあまり目立ちたく無い方でな。目立つとろくなことにならないとお爺ちゃんが言っていたからな………」
「でたよアキラのお爺ちゃん語録、今日も快調だねぇ。「あの、駒王学園の兵藤一誠くん、ですよね?」
「「ん?」」
声のした方に顔を向けるとそこには黒髪で清楚な感じの美少女が夕陽に照らされながらたっていた。
「あの、何か俺によう?」
「あの、兵藤くんって今付き合ってる人いますか?」
「べ、別にいないけどそれがどうかしたの?」
イッセーのそのセリフを聞くと黒髪清楚系美少女は安堵するかのように胸を撫で下ろした。
「私と、付き合っていただけませんか?」
彼女がイッセーにとってのはじめての彼女だった。
一部敵キャラ生存させるかさせないか。
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生かす。
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逝かす。