「おー!町はこんな感じなんだー!」
理沙が周りを見渡して、嬉しそうに声を上げた。理沙のその様子がゲームを始めたところの自分と重なって、懐かしく思えた。
「二人の装備との見た目格差があり過ぎてちょっと辛い」
「あはは、まだ初期装備だもんね」
理沙は楓と斯波に早速フレンド登録し、パーティーを組むと、二人にステータスを見せてくれた。
サリー
Lv1
HP 32/32
MP 25/25
【STR 10〈+11〉】
【VIT 0】
【AGI 55〈+5〉】
【DEX 25】
【INT 10】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【初心者の短剣】
左手 【空欄】
足 【空欄】
靴 【初心者の魔法靴】
装飾品
【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
なし
「色んなステータスに振ってるんだね」
「これが普通だから!…VITとMPとHPには取り敢えず今は振らないでおいたんだ」
「どうして?」
「全部回避して、ノーダメージならHPもVITもいらないからね!魔法を使うかどうかは分からないから…今はMPとINTは低めでいい。STRは武器である程度補えるしね」
「色々考えてるんだねー」
楓はレベルが上がればVITに振るだけなので考えることなど何も無いのだ。
「AGI多めって俺と若干キャラかぶってる気が…」
「ガン振りじゃないから問題ない。そういや…上位入賞の品は装備品とかじゃなかったの?」
見たところ装備が理沙の聞いていた話のままなため疑問に思ったのだ。
「あれは記念メダルだった。装備品かもと期待してたんだけどなぁ」
「まぁ…次のイベントもそうとは限らないからなぁ……っと、それで?…今からどこか行くの?」
楓の今の目的が地底湖に行くことだと告げると理沙はふむふむと頷く。どうやら何か考えがありそうだ。
「それなら、私に任せて!いい考えがあるから…」
楓は素直に耳を傾ける。
「で、なんでこうなるんですかねぇ…」
斯波は現在楓と理沙を抱えて地底湖方面へと爆走していた。
「だってアンタが一番AGI高いでしょ」
横抱き、いわゆるお姫様抱っこをされている理沙が斯波に言う。
「ごめんねー、マルドク」
背中にしがみつく楓が申し訳なさそうに謝罪する。
いつもの重装備全てを外していて、メイプルだと分からない人の方が多いかもしれない。
防具を装備するのにはSTR値は干渉しないが
背負うとなると防具分のSTRが余分に必要になるのだ。
装備を外しているのはそのためである。
「正直二人はもう少し女子としての自覚を持った方がいいと思うんだが…」
振り落とされないように全力でしがみつくメイプルの柔らかい感触と近くにいる理沙から漂うフローラルなにおいでいろいろとピンチな斯波が抗議する、が
「そんな事出来るタマじゃないでしょ」
一蹴された。それを否定できないことを若干悔しく思ってると後ろにいるメイプルが
「前方から狼系モンスターが三匹!」
「どうする?一度降りて迎撃する?」
「いや、その必要はないぞ」
理沙からの質問に答えた斯波はそのまま前へと走り続ける。そして狼系モンスターは動きを止めるために斯波へと体当たりを仕掛け、
そのままパリンという音と共に光輝く粒子となって消えていった。
「ほんとシャレにならないわね、そのスキル」
もはや戦闘とも言えない光景を見て理沙は呆れたようにつぶやく。
そんなことを何度か繰り返し、楓一人で向かった時の十分の一の時間で地底湖に辿り着いた。
「おおおお!すっごい速かった!」
楓が装備を付け直して嬉しそうに言う。
「次回からはサリー、お前がメイプルを背負ってくれ」
げっそりした顔で斯波が理沙に言う。
「あんたがいないときはやってあげるわ」
自身の願いを聞き届けてもらえなかった斯波はショックを受けるのだった。
その後、理沙が隠しダンジョンを見つけた事をショックから立ち直った斯波聞いて
(やっぱコイツもメイプル並みにやべぇわ)
と思ったのは言うまでもない事だろう。
主人公はヘタレです。女子に免疫ないタイプの。引きこもりだからしゃーない
爆走系登場予定だけどどのタイプがいい?
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やっぱバイクダルルォ?
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クルルァ(車)一択なんだよなぁ?
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その他(感想欄にお願いします