てなわけで皆さんお待ちかね、第二回イベントです!
第二回イベント当日、気合いもバッチリな斯波達は、準備も出来る限りやりきってあるり自信満々である。
ここで、運営からのアナウンスが入った。
「今回のイベントは探索型です!目玉は転移先のフィールドに散らばる三百枚の銀のメダルです!これを十枚集めることで金のメダルに、金のメダルはイベント終了後スキルや装備品に交換出来ます!」
そうアナウンスが流れステータス画面が勝手に開き表示されたのは、金と銀のメダルである。
そのうち金のメダルに楓は見覚えがあった。
金のメダルは楓と斯波が前回イベントの記念品で手に入れたあのメダルだった。
「前回イベント十位以内の方は金のメダルを既に一枚所持しています!倒して奪い取るもよし、我関せずと探索に励むもよしです!」
幾つかの豪華な指輪や腕輪などの装飾品、大剣や弓などの武器などの画像が次々に表示されていく、全てこれから行くフィールドの何処かに眠っているのだ。
勿論大盾もあった。
「死亡しても落とすのはメダルだけです!装備品は落とさないので安心して下さい!メダルを落とすのはプレイヤーに倒された時のみです。安心して探索に励んで下さい!死亡後はそれぞれの転移時初期地点にリスポーンします!」
取り敢えずは一安心である。
装備品を奪われないのならばある程度は気楽に出来ることだろう。
探索も全力を出せる。
「今回の期間はゲーム内期間で一週間、ゲーム外での時間経過は時間を加速させているためたった二時間です!フィールド内にはモンスターの来ないポイントが幾つもありますのでそれを活用して下さい!」
つまり、ゲーム内で寝泊まりして一週間過ごしても現実では二時間しか経っていないと言う訳だ。
「なんていうか不思議な感じだね」
「一度ログアウトするとイベント再参加が出来なくなるって、だから最後まで参加するにはログアウトは出来ないね。後は…パーティーメンバーは同じ場所に転移するってさ」
理沙と楓は説明を耳で聞き、ステータス画面に流れてくるのを目で見て、相談した結果ログアウトはしない方向に決めた。
「三人分のメダル、取れるといいね」
「うん、頑張ろう!」
「全力で行くぞ!」
二人の体は光となり、第二層の町から消えていった。
「ん……着いた?」
「着いたみたいだね」
足に伝わる大地の感触。
三人がいたのは開けた草原のど真ん中だ。
空には重力の影響を受ける事なく浮遊する島々が見え、遠くの方には山岳地帯なども見えている。そして広く、澄み渡る大空を竜が優雅に飛ぶ姿も見る事が出来た。
運営が用意した今回のフィールドは自然豊かな、モンスター達の理想郷。
誰もが夢見た事のあるファンタジーの世界を写し取ってきたような幻想的な世界だった。
「おおー!綺麗!」
「すっごい…綺麗すぎてぞくぞくした」
「グラフィック担当頑張ってんなー」
三人は草原を話しながら歩いていく、二十分程歩いたが他のプレイヤーには遭遇することは無かった。前回、楓がすぐに会敵したことを考えると今回はかなり広めに設定されたステージなのかもしれない。
「メダルとか見つかるかなあ…」
「分からん。三百枚もあるからいけるんじゃないか?」
そんな話をしていると右手に背の低い草を掻き分けてゴブリンが走ってくるのが見えた。どうやら三人を狙っているらしく左へ左へ進んでみても追いかけてくる。
「ゴブリン相手なら…白雪でいいかな」
楓が大盾を装備しなおす。【悪食】を無駄遣いする訳にはいかないからだ。
「私は当分はこの装備でいってもいい?いざという時は闇夜ノ写に変えるから」
「どうする?プチッと殺っちゃうか?」
「いや、今回は私に任せて」
理沙がゴブリンに急接近してダガーを振り抜く。ゴブリンはその手に持った棍棒で受け止めようとするが、その粗悪な武器では理沙のダガーを受け止めるには至らなかった。
スパッと切り落とされた棍棒と共にゴブリンの体に深々と赤い筋が入る。
そして、最初の襲撃者は呆気なく光となって消えていった。
「おー!やっぱり速いね!」
「マルドクほどではないけどね。この辺は弱いモンスターのエリアなのかな?…メダルは無いかもしれないね」
「んー…そうかも。メダルはもっと分かりにくい所に隠してあると思う」
楓の意見に二人も賛成のようで取り敢えず洞窟や、森林などモンスターの多そうな地形を探して回ることにした。
そうしてしばらく探索すること30分…
「いたぞ!アイツだ!」
三人はプレイヤーに遭遇した。それも、かなりの人数を引き連れた。
「第一回イベントの恨み!ここで晴らしてやる!」
どうやら狙いは斯波のようだ。
「あー、すまん。二人は先に探索行っててくれ。後で追いかけるから」
「おっけー」
「わかった!」
巻き添えにならないように二人を逃がすと斯波は戦闘を開始する。
「グフフ、いいのか?仲間と一緒に戦わなくて」
「生憎、アンタら相手なら俺一人で十分なんでね」
「ッ!へぇ、言ってくれるじゃんか。今回ばかりは痛い目を見てもらうぜ?」
額に青筋を浮かべる山賊風の格好をした男と斯波は会話する。
「へぇ、やってみなよ?前回はノーダメでつまらなかったんだ、もう少し歯ごたえのある戦闘を期待してるぜ」
「言われなくてもやったらぁ!総員、突撃!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」
男の掛け声で周囲にいるプレイヤーが一斉に斯波めがけて向かってくる、が
「止まれぇ!」
斯波の叫び声によって迫りくるプレイヤー達の動きが止まる。
「中々いいスキルじゃん、これ」
動きの止まったプレイヤーめがけて斯波は突進する。
「な!馬鹿な!?」
「もう少し知力上げてから出直して来い!」
頭に驚愕の色が浮かぶプレイヤー達を斯波は大盾で轢き続ける。
斯波は【咆哮】を使用しただけであり、5m以上斯波から離れているプレイヤーは特に影響はないはずだがあまりの迫力に驚愕で動けないでいた。
「この程度でビビってるんじゃ気合足りないんじゃねぇか?」
いつの間にか目と鼻の先にいた斯波の姿にリーダー格の男は驚愕する。
「ばっ、化けも「聞こえねぇな」グアッ!」
大盾に跳ね飛ばされて男も周囲のプレイヤーと同じように粒子へと変わる。
「これで大体終わったかな?さて、メイプル達のもとへ向かわないと」
先ほど楓達が向かった方向へ足を向けた、その時であった
「ッ!【縮地】!」
突然、先ほどまで斯波がいた場所に巨大な何かが降りてくる。
『愚かなる人間よ!その流した血の代償を己が命で償うがよい!』
「ドラゴンかよ、てっきり戦闘機でも来るのかと思ったが」
深紅の鱗に覆われた巨大な龍が斯波に咆える。
「セリフ的にはPKで来るパターンか?だとしたらまだ他のタイプもあるはずだろうな…」
斯波が龍そっちのけで考え事を始めたのに怒った(ように見えた)龍が再び斯波に向かって話す。
『おとなしく我が炎に焼かれるがよい!』
「ウルセェ!人が今考え事してるんだから邪魔するんじゃねぇ!」
強引に思考を切られた斯波は腹いせとばかりに大盾を構えて龍と向き合う。
こうして、暴走特急と龍の戦いが始まるのであった。
過剰なレベリング防止があるあら過剰なPK防止もあっていいよね?
マルドクの武器変形先は?
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大鎌
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大鋏
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大剣
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アンカー
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斬馬刀