三人は一歩一歩警戒しつつ、下へ下へと向かう。
声はどんどん大きくなって来ている。不意打ちに備えて楓を前にして階段を下ると古びた扉が見えてきた。
楓がドアノブに手をかける。
「……鍵がかかってない。開けるよ」
「おっけー。よし、こいっ!」
「任せた、メイプル」
楓が扉を開きつつ大盾を構える。扉を開けたことで声は鮮明になって聞こえてくる。
「痛い…痛い……あぁあ…あ」
楓が大盾から顔を出して中を覗き込む。
部屋には地面に置かれた半ばまで溶けた蝋燭が置かれており。
それが照らし出しているのは、血まみれのまま椅子に括り付けられた男性だった。
「敵意は無さそう…かな?プレイヤーでも無いよ」
楓に続いて理沙と斯波も恐る恐る楓の陰から顔を出した。そしてその痛々しい見た目に顔を顰める。
「どうする?」
「痛いって言ってるから回復させるんじゃないか?」
「私【ヒール】あるけど?やってみる?」
「うん…お願い!」
方針も決まり理沙が【ヒール】を使用する。
優しい光が男性を包み込み、傷が少しだけ治った。まだまだ全快には程遠い。
「もう一回!【ヒール】!」
理沙は傷の治り具合を確認しつつ何度も何度も【ヒール】を使う。
持ち込んだMPポーションを二本使用したところでようやく男性の傷が全て治った。
三人が満足そうに笑顔を見せる。
「あり……がとう………」
傷の治った男性は微笑むと少しずつその体を白い光に変えて次第に薄れていき、ついには消えてしまった。
「成仏した…ってこと?」
「エリア的に考えたらその説が濃厚だな」
「それっぽいわね…ん?」
理沙が男性の座っていた椅子に何かが置いてあるのを見つける。薄暗いこの部屋でそれは蝋燭の光を受けて僅かに輝いていた。
理沙がそれを拾い上げる。
「これは…指輪?」
「おー!あの人からのお礼かな?」
理沙がその真っ黒い指輪の能力を確認する。
【生命の指輪】
【HP+100】
「んー…メイプルのタフネスリングの上位互換かな?取得条件も簡単だったしそこまですごい装備はくれないか…」
「流石に【ヒール】するだけだからなぁ…」
理沙は斯波と言葉を交わすと楓にリングを渡す。
「メイプルにあげる。私はHP増やしてもあんまり意味無いし」
「えっ…でも、いいの?イベント限定の装備かもしれないよ?」
「俺たち回避型だから正直HPは必要最低限でいいからな。流石に装備枠埋めるほどは必要ない」
「どうしても、ただで受け取るのに抵抗があるなら貸しってことで。メイプルのいらない装備もこのイベントで手に入るだろうし、それが良さそうなら…」
「分かった!その時は二人にあげるね!……それじゃあ、これはありがたく装備させてもらってと…」
これで楓のHPは百から倍の二百だ。
かなり安心出来る数値になってきたと言えるだろう。
同時に装飾品の枠も埋まってしまったので、ここからはHPも上げにくくなる。
「改めて寝直すか?」
「んー…この森のイベントってこれだけかな?」
「どうだろう?もう一つくらいあるかもしれないけど…時間帯が影響しそうなんだよね。これも十二時になって発生したイベントっぽいし」
他にも幽霊の出現時間などもおそらく時間によるイベントのため、ここでの探索は日数をかけてみないと正確な結果が得られないだろうという結論になった。
「じゃあ、明日は森を抜ける方向で」
「うん、そうしよう」
「賛成」
理沙と斯波にとってこの森にあまり長居したく無いというのもあった。
三人は地下から出ると家具を元に戻して最初の予定通り交互に眠ることにした。
「そんじゃ、おやすみ」
「おやすみー!しっかり見張ってるから安心して!」
「ふふっ…ありがとう」
「メイプルが見張りってかなり安心感あるな…」
そうして、見張りを交代しつつ夜は更けていった。
二日目はついにアレが登場します…
マルドクの武器変形先は?
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大鎌
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大鋏
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大剣
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アンカー
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斬馬刀