死にたくないので素早さに極振りします   作:叢雲草薙

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どうも、カフェイン不足な作者です。
2日目、始まります。
追記
メイプルの毒竜に詠唱つけ忘れてたんで追加します


マルドク「(同級生に)かなり恐怖を感じた」

二日目。

 

「よし、今日も頑張ろう!」

「おー!」

「お、おー…」

元気の良い二人と軽く朝食を摂った斯波は廃屋から出て森を突き進む。

「どうしたの、マルドク。元気ないじゃない」

「そ、そうか?いつも通り元気だが」

嘘である。寝返りを打った楓が自分の上に乗った事に気付いて目覚めてから全く眠れていないため斯波だけろくに睡眠が取れていない。

「大丈夫?マルドク?」

「大丈夫だよ、心配しないで」

嘘である。

「とりあえず今日の目標はこのエリアを抜けること!気張っていきましょう!」

そう言って理沙が気合を入れる。尤も、時間短縮のため、斯波が二人を抱えて移動するのだが。

時折、理沙が木に登って山岳地帯の方角を確認しつつ走ること一時間。

ついに森の終わりが見えてきた。

 

「よっし!抜けた!」

「んー!久しぶりに明るいから眩しいや…」

「グラサン下さい…」

楓は装備を戻して伸びをする。

目の前にはほとんど草の生えていない荒地が広がっている。そしてそれは山岳地帯にまで続いていた。

「この環境の変わり方はゲームじゃないとありえないよねー」

「次にどんな景色が待ってるか分からないのはワクワクするよね!」

「まぁ間違いなく山岳エリアだろうが」

三人は荒野を進みつつ会話する。モンスターが近づいてきてもすぐに分かる地形のため、索敵は容易い。

だから、遠くに歩いている三人のプレイヤーらしき人影を見つけることが出来た。

 

「メイプル。誰かいる」

「殺るか?」

「装備はどうする?【悪食】は取っておいた方がいい?」

「【悪食】は使えた方がいいかも、即戦闘になるようなら…【カバームーブ】で突っ込んでいけた方がいい…あとは…」

理沙が楓と斯波に小声でもう一つの作戦を伝える。

「了解」

「アイアイサー」

三人は警戒心を強めつつ進む。メイプルとマルドクは前回イベントで上位になっているため大抵のプレイヤーはその顔を知っているだろう。

人によっては、メダルを奪うために襲ってくる可能性もある。

そうして進むうちに向こうも楓達に気付いたようで立ち止まって相談し始めた。

そして武器を構えることなく、三人はこちらに向かって歩いてきた。

プレイヤーは三人とも男性で大剣、短剣、片手剣という偏ったパーティーだった。

声が届く範囲まで来ると三人が口々に話し出す。

 

「いやー初めて人に会えたと思えば…まさか前回ランカーとは…」

「本当びびったわ…俺らに戦闘の意思は無いんで出来れば見逃して欲しい…!」

「俺達は今から登山だからなあ…無駄にスキルは使いたくないんだ」

「なるほどー。私達も今から登山なんですよね。きっとあの山には何かあると思うんですよ……」

楓の発言に三人も同意見のようで、同行させて貰えないかと申し出てきた。

 

「サリー、どうする?」

「………いいんじゃない?」

こうして、六人で山を目指すこととなった。

「じゃあ、私が先頭行くから…メイプルは三人の前に立って守る感じで。斯波は私とメイプルの間ね」

「おっけー!どんなモンスター相手でも守って見せるよ!」

「了解、任せろ」

楓と斯波がぐっと大盾を構えてみせる。

「頼もしいな」

「本当にな」

後ろでボソボソと三人が話しているのを聞きながら歩く。

途中何度かモンスターと会敵したもののメイプルが守るまでもなく、理沙が倒してしまった。

そして、目的地が近づいてきた。

 

「よっし、もうひと頑張り!」

楓が大きく伸びをする。

その時。

「かかれ!【鎧砕き】!」

「【ディフェンスブレイク】!」

「【スルーブレイド】!」

楓の後ろにいた三人が一斉に斬りかかる。

防御力貫通スキルが楓に迫る。

ずっと楓の隙を窺っていたかの様にその連携はスムーズだった。

これ以上ない奇襲と言える。

「【カバームーブ】!」

しかし、その凶刃は楓には届かない。

理沙が斯波達に伝えたもう一つの作戦は三人が同行することになった時に楓がわざと隙を見せて、三人の同行の真意を晒させるというものだった。

理沙は同行を申し出てきた場合は攻撃してくる可能性が高いと踏んでいたのだ。

理沙か斯波が近くにいる以上、最速の回避手段が楓にはある。

絶対に安全では無いとのことだったが、二人も理沙の提案に同意した。

そして三人には注意を払っていたのだ。

男達は楓達が自分達を観察していることに気付けなかった。

獲物を狙うあまり、自分達もまた狙われているかもしれないということに頭が回らなかったのだ。

 

「なっ!?」

男達が奇襲が不発に終わったことに驚愕し、動きを止める。

絶対の自信があったのだろう。

「残念だったな!【フランケンシュタイナー】!」

その隙を見逃さなかった斯波が短剣使いの頭を両足で挟み、回転して理沙に投げ飛ばした。

「任せて!【ダブルスラッシュ】!」

短剣使いの男はそのまま理沙に切り裂かれてHPバーを削り取った。

「野郎!「我が敵を蝕め 【毒竜(ヒドラ)】!」なっ!」

反撃しようとした大剣使いに向けて繰り出された毒竜は容赦なくそのHPバーを削り取った。

 

「さて、後はアンタだけね」

残った片手剣使いに理沙は短剣の切っ先を向ける。

「おとなしく死んでもらおうか」

悪役のようなセリフを斯波は言う。

「へっ、死ぬってんなら悪あがきさせてもらう!」

「何をする気!?」

「決まってんだろ?お前らぁ!ここにあのマルドク(・・・・・・)がいるぞぉ!

天に向かって男が叫ぶ。すると、

「おいっ!今マルドクがいるって聞こえなかったか?」

「まさかいるのか!?このエリアに」

「あのガキに一泡ふかすチャンスだ!野郎ども、一斉に行くぞ!」

それに反応したプレイヤーがこちらへ向かってくる。

「チッ!めんどくせぇ事しやがって!【浴びせ蹴り】」

イラついた様子の斯波が男の顔面に踵を打ち付け、ポリゴンへと変える。

「どうする?マルドク」

「先に探索してくれ!流石にこの人数は時間がかかる!」

「了解!後で合流しましょ!」

「死なないように気を付けてねー!」

プレイヤー達が来る前に楓を抱えた理沙が山を目指して走る。

「50…いや、100はいるな。フレンド通信まで使って増援呼んだのか?まぁいい。全員轢き倒すまでよ!」

こうして、斯波VSプレイヤー連合の戦いが、幕を開けた

 

 

 

 




因みに逃がした理由のもう一つとして理沙たちを攻撃に巻き込まないためでもあります。マルドク君は味方を気にしなければ強く戦えますが巻き込まないことを考慮すると非常に戦いづらいです。

マルドクの武器変形先は?

  • 大鎌
  • 大鋏
  • 大剣
  • アンカー
  • 斬馬刀

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