課長閣下シリーズ(ボソッ
追記
今後のことを考えて15タグをつけることにしました。
とは言ってもストーリーの路線は大して変わりませんのでご安心ください
現実世界にて
ゲームを運営する者達が不具合が出ないようにそれぞれイベントを管理している部屋でのこと。
「課長、超級ボスが2体やられました。2体ともかなり強く設定しており、それに伴いドロップもかなり豪華にしてあります」
ボスモンスター担当である課長と呼ばれた眼鏡をかけた男は部屋にいる人間に囲まれてイベントを管理しているメンバーの一人からの報告を聞く。
「やられたのは【エンタープライズ】とか【地龍】とかだろ?一応あれらは抜け道的な攻略が管理中に発覚したからな。まぁ、見事だと言っておこう」
タッチペンを手に持ったまま課長と呼ばれた男は大して驚かずに答えた。
しかし、
「課長……それが…」
言うのをためらったメンバーの代わりに一人の男が答える。
「やられたのは【銀翼】と【B-2】です。映像をご覧ください」
そう言ってスクリーンに映像を映す。
そこには消滅する怪鳥と爆撃機が映されていた。
それを見た課長は震えながら眼鏡をはずし、息を呑むと
「超級担当したメンバー以外は持ち場に戻れ…」
と言った。残ったのは5人程であり、それを確認した課長は
「なんでよりによってその二体なんだ!なんで二日目でやられるんだよ!」
相変わらずタッチペンを持ったまま立ち上がって叫び始めた。
「そもそもダンジョンの【銀翼】はともかくなんでキル条件の【B-2】が出てるんだよ!」
「あれ完全に悪ふざけで作ったはずのボスだったよな!」
「それなのに、2日目でいきなり倒されやがった!」
「どうせメイプルとかマルドクだろ大っ嫌いだ!」
ストレスを発散するかの如く課長は叫ぶ。そしてそれに対して他の人間は
「しかし課長、メイプルやマルドクは掲示板でかなりの人気が出ています!」
「分かってる!でも大っ嫌いだ!頑張って作ったギミックを簡単にぶっ壊されてたまるかバーカ!」
子供が駄々をこねるように叫び続ける。
「しかし課長!先ほど悪ふざけと言っていたはずでは!」
「悪ふざけだからだよ!頑張ってギリムリゲーまで調整したんだよ!」
そう言ってタッチペンを机に叩き付けると
「畜生めー!」
そう大きく叫ぶがまだ叫び足りないのか話は続く
「一層で列車砲出したらそうそう倒されてユニーク持っていかれるわイベントではわけわからん二人にトップ持っていかれるわ後処理が大変だったわ!」
「それで調整したらいきなり超級、しかもアホみたいに強くした2体持っていかれるとかどんな奇跡だよ!」
「おかげでまた調整の日々に入りそうだよ!」
そう言うと疲れたのか椅子に再び座ると話を再開した。
「作っている間はなんとなくそんな気はしてたよ、もしかしたらまたあいつらにやられるかもって」
「でもこんなすぐとは予想していなかった!せいぜい4とか5日目ぐらいと思っていた!」
そう力尽きた風に話す課長に対しメンバーの一人が話しかける。
「あー、戦闘シーン見ますか?」
「見る」
即答であった。
そうしてイベントの管理をしながら映像を見た運営の様子は阿鼻叫喚の地獄絵図であった。
「こいつが問題だ!この青コートがメイプルの機動力になっている!」
画面には【カバームーブ】で高速移動するメイプルが映っている。
それは流石に想定外だったようだ。
全員で食い入るように画面を見る。
「……そいつは【サリー】AGI重視で、スキル構成は広く浅く。強力なスキルは【蜃気楼】と【大海】だけだ」
一人の男がサリーの情報を調べて提供する。
「まぁ、普通か。いや、メイプルと比べれば何だって普通だ」
「確かにな」
「それよりもマルドクの方もおかしいぞ、爆撃と機銃掃射を殆ど避けてやがる」
「何だあの狂った機動力」
そんな会話をしながら再び映像に目を向ける。
「……前言撤回だ。こいつもヤバイ。もしかするとメイプルよりもヤバイ」
「予知系スキルは持ってないんだろ!?」
「あ、ああ。持ってない」
映像ではサリーが人間とは思えない回避能力で銀翼の攻撃を躱していた。
まるで本当に予知しているかのようなその動きにあちこちから驚きの声が上がる。
「どうやって躱してんだ?」
「礫が止まっててもあの間を潜るのはきついぞ、おい」
「こっちもやべぇぞ、一気に体力半分まで削りやがった!」
「あれは確か…列車砲のレアドロップの一つだよな?」
「ああ、だがあそこまで削れる代物じゃないはずだ」
「スキルで与ダメ強化してるのか?」
「だと考えると恐ろしい強化倍率だぞ…【B-2】は装甲もかなり硬めに設定してるからな」
斯波のフリーガーファウストによる攻撃に驚いている運営だが突然一人がハッとしたように声を上げる。
「やべぇ!【幻獣の卵】が持ってかれるってことか!?」
「中身はどうなる!?」
「狐と亀だ。まぁ…まだましなほうだ」
「鳥と狼は?」
「【海皇】の所だ。あいつらは彼処からしか出ない様にしてある…まぁ、あれは大丈夫だろ…」
そう言うと疲れ切ったように椅子の背もたれにもたれかかる。
「おい、【B-2】のドロップは?」
「…それ以上言うな」
「あれは…下手したら【幻獣の卵】よりひどくなるぞあれは…」
「その時はその時だ」
「あー……ありえねーあれで弱体化後とかありえねー」
「実装しちまった物は仕方ねぇ。おい、手の空いてる奴はメダルスキルにチェック入れ直せ!変な使い方が出来そうなスキルがあるか再確認だ!」
「「了解です!」」
「………もう、あいつらがラスボスでいいかもしれん……」
「ああ…かもな」
その声には疲れが色濃く出ていた。
この出来事を三人が知ることは無い。
今日は2話とも二千文字だやったー。
本日の編集のお供はカレーとゴマ団子です
マルドクの武器変形先は?
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大鎌
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大鋏
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大剣
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アンカー
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斬馬刀