死にたくないので素早さに極振りします   作:叢雲草薙

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(゚д゚)バウムクーヘンウマー
原作が呼び名変えてるから自分も変えるか…
(これより前の話は…変える気が出たら変えます)


まともな探索(大嘘)

「第一回成果報告ー」

「いえーい!」

幾つもの倒壊した建物の跡が残る廃墟に明るい声が響く。

山岳地帯の位置から察するに、ここはどうやらスタート地点から真逆の位置のようだ。

 

「メイプル達はどんなボスと出会ったんだ?」

「それがね…」

「危うく死にかけた」

「……え?」

軽い気持ちで聞いた質問に予想外の回答が返ってきたことにマルドクは驚く。

「え、メイプル瀕死にするレベルの敵が現れたの?何それどんなムリゲー?」

「えっと、なんかすっごく大きな鳥さんでビームとか撃ってきてたっけ」

「そうそう、メイプルがスキルを入手してなかったらどうなってたことやら…」

「中々ハードな経験してきたみたいだな」

二人の話を聞いたマルドクは運営の鬼畜差を上方修正した。

「で、アンタはどうだったの?」

「ん?ああ、こっちも死にかけた」

「ええ!?そうだったの?やっぱ加勢した方がよかったかなぁ…」

「いや、加勢してなくてむしろ助かった」

「嘘ぉ!?」

さりげなく酷い斯波の発言にちょっぴりメイプルは傷つく。

「へー。アンタがそれほどいうってことはプレイヤー以外と戦ったのね。どんなの?」

「B-2」

「へ?」

「だからB-2。ステルス爆撃機」

予想のはるか斜め上の答えが返ってきたインパクトでサリーは固まる。

実際爆撃機との戦闘はマルドクがソロだったからこそ自由に動いたり攻撃できたため、機動力の高い爆撃機の攻撃を何とかよけ続けることが出来たのである。

「なんかすごいのと戦ってたんだねー」

「前回の列車砲から100年近く時代を先取りしてるんだけど…」

「次は宇宙戦艦とか?」

「ハハハ、メイプル。割とシャレにならないぞ」

そんな会話をしばらく繰り広げた三人は探索を再開し始めた。

 

「流石に、もう誰かが探索しちゃってるかも」

「まだ二日目だし…隠されているようなところは見つかって無いはず…ここは、多分何もないんだろうね。魔法陣の転移先だし」

「だな、むしろ離れたところに置くと思うぞ」

流石に、運営がメダルの目の前を移動先にするはずが無いだろう。

安全な場所を探しつつ、一応探索することに決めて、三人は廃墟を歩き回る。

 

「…プレイヤーが三人いる。どうする?」

「出来れば戦いたくないかな……【悪食】も無いし…負けたらまずいし」

「俺も【列車砲(ジャガーノート)】の残弾が少ないからやめておきたい」

「分かった。じゃあ、こっちに行こう」

三人は廃墟を抜けてこっそりと森の中へと入っていく。

出てくるモンスターは蜘蛛や梟だった。

怪鳥の後でモンスターを見れば、どんなモンスターも雑魚に見える。

動きは鈍く、攻撃力も無く、HPも少ない。

一瞬でマルドクの大盾に弾き飛ばされたりサリーの短剣に切り裂かれて粒子へと変わる。

「楽勝、楽勝」

森の中を進んでいく。探すのは安全に一夜を過ごせる場所だ。サリーたちは登山にかなり時間をかけ、マルドクもプレイヤーと爆撃機を長時間相手したためにもう日も落ちかけている。

三人はモンスターを倒しつつ森の探索を続ける。

 

「むぅ……何も無いなぁ…」

メイプルの言う通り、周りにはただの森が広がるばかりで特別な建物や洞窟などは無さそうだった。

「取り敢えずちょっと高い木の上にでも登っておこう。地面にいるよりはマシだと思うから」

サリーは枝が高い位置にしか無い木を選んで【跳躍】で飛び上がる。

「【カバームーブ】!」

「【縮地】」

メイプルとマルドクが後を追って木の上に辿り着く。

枝が低いところに無いため好き好んで登ってくるプレイヤーもそうそう現れないだろう。

三人は幹に背中を預けて一息つく。

そうすると、怪鳥や爆撃機との戦闘での疲れがどっと襲ってきた。

 

「二人とも…十二時を過ぎれば【悪食】は回復するけど。どうする?」

つまりメイプルが言いたいのは、十二時まで少し休憩した後で夜中の探索をするかどうかということだ。

先日の樹海の件もあり、時間帯によって発生するかどうかが決まっているイベントもあることだろう。

三人の目標はメダル三十枚だ。

そのためには多くのことを試さなくてはならないし、探索出来るところは探索しきる必要がある。

しかも、他のプレイヤーよりも早くなければならない。

イベント終盤になってから焦って探索するようでは駄目なのだ。

 

「メイプルが行けるなら」

「俺は問題ないぞ」

「うん、じゃあ…十二時を過ぎたら探索を再開しよう!」

「ゴースト系いる可能性はあるけどな」

「ちょっ!?それ思い出さないようにしてたのに!」

他愛もない会話をしながら三人はレベルアップで手に入ったステータスポイントを振ることにした。

 

「そうだなぁ…AGIとSTRかな?」

「「VIT(AGI)一択!」」

極振り二人と(ステータスは)まともな一人はステータスを改めて確認する。

「えっと…今の俺の状況は…」

 

Lv25

HP 40/40〈+30〉

MP 12/12〈+10〉

【STR 0】

【VIT 0】

【AGI 175〈+63〉】

【DEX 0】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【永久機関(パーペチュアルモーション)

右手 【進撃武装・イシュタム】

左手 【破壊武装・シンストラム】

足 【永久機関(パーペチュアルモーション)

靴 【永久機関(パーペチュアルモーション)

装飾品 【ミュータントフォレストクインビーの指輪】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

【電光石火】【大物喰らい】【毒耐性中】【爆進】【挑発】【全力疾走(スプリントバースト)】【根性】【気配察知】【列車砲(ジャガーノート)】【咆哮】【永久機関】【正面衝突】【HP強化小】【MP強化小】【パリィ】【縮地】【蹴脚術】

【千撃千殺】

 

メイプルから【破壊成長】によるステータスの伸びは魅力的だったが自分のステータスだと死にかねないので保留することにした。

「なぁサリー。装備破壊特化のスキルとかないのか?」

「今のところは無さそう。あ、そうだ。【超加速】覚えない?」

「あー、イベント前に過剰だから切り捨てたやつか…終わったら挑んでみる」

サリーから渡された食料を食べながら話す。

十二時に向けて体を休めておかなければならない。

 

モンスターが動く音すら無くなってきつつある真夜中になって三人は木から降りてきた。

 

【悪食】や【列車砲(ジャガーノート)】も回復しているため戦闘準備もバッチリだ。

それに伴いメイプルは大盾を白雪に変更している。無駄遣いを避けるためだ。

 

「森か、廃墟か。どっちにする?」

「まかせたメイプル」

「うーん…森で!廃墟はさっきプレイヤーがいたしもう探索されてそう」

「うん。じゃあ森で」

メイプルの勘は予想外のイベントを起こしてくれるため二人は「迷ったらとりあえずメイプル」という考えに至っていた。

 

三人は森を奥へ奥へと進んでいく。

時折、梟が音もなく突撃してくるがサリーは持ち前の回避力で容易く躱し、メイプルはどうせノーダメージと無視し、マルドクに蹴り飛ばされて倒される。

そして、森を彷徨うこと一時間半。

 

「ねぇ二人とも、あそこ…光ってない?」

メイプルに言われて他の二人が眼を凝らす。

メイプルの言う通り、かなり前方に僅かに光が見えた。

「プレイヤーかもしれないから…慎重に」

「一応武器構えておこう」

「分かった」

三人が息を殺して近づく。

サリーに至っては【気配遮断】まで使う念の入れようだ。

「これは……」

「……竹?」

そこにあったのは竹林。

そしてその内の一本の一部が僅かに輝いていた。

「原作だと中に小さい女の子が入っているが…」

「ど、どうする…?割ってみる」

メイプルがサリーに聞く。

「中から人が出てきたらすっごい困るんだけど……」

「下手したら中の人ごとざっくり…」

途中が光る竹。

どんな人でも、かぐや姫を想像することだろう。実際、サリーもそうだったようである。もしそのままだった場合、竹を割った瞬間にスプラッタである。

 

「でも…メダルかもしれないし…探索で手に入るメダルもあるんでしょ?」

三人はしばらく話し合った後で、結局割ることに決めた。

サリーがダガーを振り抜く。

竹がスパッと切れて輝きを増す。

危惧していたようなことは起こらず。

中に入っていたのは銀色に輝くメダルが一枚だ。

 

「やった!面倒なことにならなくて、メダルもゲット!」

「よっし!」

「俺の10枚と合わせて残り12枚だな」

喜ぶ三人だったが、面倒ごとが無いというのは間違いだった。

周りの茂みがガサガサと音を立て始め、長い角の生えた兎達が次々に飛び出してきたからだ。

 

「月の兎さんかな?」

「かもね……あの角、貫通攻撃かも。気を付けて」

「やっぱりただで済まないよなぁ…殲滅するぞ」

「了解!」

 

三人は戦闘準備をする。

メイプルもゲーム開始当初と比べれば随分と普通のプレイヤーらしくなってきた。

といってもステータス以外の話だ。

兎など怪鳥や爆撃機と比べれば可愛いものである。

三人は目の前の飛びかかってくる兎達との戦闘を開始した。

 

しばらくして戦闘が終わった時には、竹林だった場所は毒の海に変わり、真っ直ぐに伸びた竹は途中でスッパリと切り落とされ、そこら中にクレーターが出来ているという酷い状況だった。

兎の一匹一匹は大したことは無かったのだがその数が凄まじかったのだ。

 

「か、数が多すぎるよ…」

「百?…二百?疲れた…」

「よりによって一気にスポーンするわけじゃないのが余計に…」

竹林内を自分の庭のように駆け回る兎達を倒しきるのは中々に骨が折れるものだった。

 

「どこかの木の上で休もうか…」

「うん…賛成」

「疲れたー!」

メダル一枚と引き換えに中々の疲労を溜めてしまった。

まだ、イベント三日目は始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マルドクはすでに自分の分をプレイヤー狩りで集めてます。
そりゃあ100人近くいましたし、多少はね?

マルドクの武器変形先は?

  • 大鎌
  • 大鋏
  • 大剣
  • アンカー
  • 斬馬刀

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