死にたくないので素早さに極振りします   作:叢雲草薙

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本日も2話投稿。作者はスターゲイジー・パイの魚みたいなってることでしょう
4/4 ,5スキルの効果を修正


列車と戦う経験なんて人生初だけど二度と経験したくない

「くたばれぇぇぇ‼」

短刀を両手で持った斯波はそのまま正面から向かってくる列車に向かって走る。そうして線路から若干逸れてすれ違いざまに短刀を列車に叩き付けた斯波は、

「【爆進】」

そのまま走り抜けた。本来なら列車の攻撃判定によって短刀を列車に当てたまま走り抜けることは不可能なのだが斯波の持つ【根性】がそれを可能する。

「糞!倒しきれなかったか!」

HPバーが3割まで減った列車に向かって斯波は叫ぶ。反動によるダメージをポーションを飲むことで回復させ、自分の持っている武器を確認する。

「短刀は、駄目か」

先ほどの攻撃でて短刀の耐久値が消し飛んだ事で斯波の持つ武器は大盾のみとなった。

「さて、やるしかないか…」

大盾を構えた斯波は列車と向き合う。しかし、列車の様子がおかしい。

「何だ、あれは?」

列車から装甲が段々と外れていく。最終的に骨組みと内部の機関だけになり、弱点がむき出しになった。

「まさか、発狂モードって事か?」

その質問に答えるように列車は再び振動音を響かせる。

「速ぇ!」

先ほどとは比べ物にならない速度。装甲を外して身軽になった列車は残像すら残すほどの速度で闘技場内を駆け回る。

「やっぱりやるしかないか…」

【爆進】のクールタイムが回復するまで大量の砲弾をよけながら斯波は呟く。

「一か八かだ!」

そうして砲弾を避け続けた斯波は再び列車とは反対の方向へ向く。そして、

「力比べと行こうぜデカブツ、【全力疾走(スプリントバースト)】!」

自身の切り札を発動する。大盾を構えたまま一歩ずつ前へと歩む。段々と速度が増し、10秒後には列車とほとんど同じ速度にまで至り、列車へ接近する。しかし、

「まだだ!まだ足りねぇ!」

そのまま列車を無視して進み続ける。そして【全力疾走(スプリントバースト)】の効果が切れる2秒前、再び列車に斯波は接近する。狙うは正面、ありったけの力を込めて叫ぶ

「【爆進】!【シールドアタァァァァック】‼!!

正面から列車と衝突する。闘技場内に何かかひしゃげる音が響く。衝撃で砂煙が舞い上がる。そして、しばらくすると闘技場から声が上がった。

「やったぞぉぉぉ!俺は勝ったぞぉぉぉ!ざまぁ見やがれ糞運営!」

拳を天に向けて振り上げる斯波の姿がそこにはあった。

その前には大きく前につぶれた列車の姿があり、先ほどまでの激戦を物語っていた。

しばらくするとパリンという音と共に列車は光輝く粒子となって消えていった。

そして先ほどまで列車があった場所に光り輝く魔法陣と宝箱が現れた。

 

『スキル【永久機関】【咆哮】を取得しました。これにより【爆進】が【列車砲(ジャガーノート)】、【シールドアタック】が【正面衝突】に進化しました』

『レベルが22に上がりました』

 

「よっし!スキルゲット!」

入手したステータスポイントをすべてAGIに振る。これで基礎値は160となった。

「さて、スキル確認の時間だ」

入手したスキルの効果を確認する。

 

【正面衝突】

攻撃時AGIをSTRに加算してダメージ計算をする。威力に比例してノックバック効果

取得条件

列車砲を正面から攻撃して倒す

 

【永久機関】

地面に足を付ける度にMPを5%回復

取得条件

初回で列車砲を倒す

 

【咆哮】

叫ぶことによって半径5m以内の敵に麻痺効果。この効果は麻痺無効を参照しない。成功率は相手のINT依存。発動はスキル名ではなく叫ぶことによって発動する。クールタイムは5分

取得条件

戦闘中に100db以上で叫ぶ

 

中々に個性的なスキルを入手したようだ。【正面衝突】を斯波のレベルで入手するのは異常である。誰が列車に真っ向から立ち向かって攻撃するのだろうか。それも低いVITで。

 

列車砲(ジャガーノート)

列車砲を呼び出して意のままに動かすことができる

MPを消費することによって列車砲に援護射撃を要請することができる。発射する場合は「発射(ファイア)」と言う。

特定の装備を付けている場合に追加効果

取得条件

【爆進】を使用して列車砲を倒す

 

これを見て斯波は戦慄した

 

「マジかよ。あれと一緒に戦えるって事か?」

先ほどまで戦闘していた列車砲を頭に浮かべる。AGIに極振りした自分でも【全力疾走(スプリントバースト)】を使用しなければ超えることが出来ない列車砲が味方になる事を考えると非常に恐ろしかった。

「MPか…。今までAGIに振ってたからな…」

 

MPの最大値が少ない事を深く考える斯波であったがまずは宝箱の確認を優先することにした。

かなり大きく、横は三メートル、縦は一メートル、高さは二メートルほどの長方形だ。

初めての宝箱にワクワクを隠せない斯波はゆっくりとふたを持ち上げて中身を確認する。

 

「いぃぃやっほぉぉぉぉう!!」

興奮のあまり叫ぶ。

中に入っていたのは機械的な造形の施された深紅の大盾が二つ。

重厚な輝きを放ち、ところどころエンジンのような部品の備わった漆黒の鎧。

それらが回転音を立てながら箱に詰め込まれていたのだ。

 

「わかってるじゃあないか神運営!これぞ漢の浪漫!さいっこうにクールだ!」

斯波はそれらを手に取って確認する。

 

【ユニークシリーズ】

単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。

一ダンジョンに一つきり。

取得した者はこの装備を譲渡出来ない。

 

『進撃武装・イシュタム』

【AGI +20】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

 

『破壊武装・シンストラム』

【AGI +10】

【破壊王】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

装備制限:『永久機関(パーペチュアルモーション)

 

永久機関(パーペチュアルモーション)

【AGI +25】

【破壊成長】

スキルスロット空欄

装備制限:『破壊武装・シンストラム』、『進撃武装・イシュタム』

 

斯波のために作られたといっても過言ではない装備。すべてAGI強化装備であり、強制的に大盾を2枚装備させる。斯波でなければ使いこなすことはできないであろう装備だ。

 

「とりあえず戻ってから見るか…」

斯波は3つの装備をインベントリにしまい込むと魔法陣の光に包まれてダンジョンからいつもの町へと転送された。

 

町についてから楓に連絡をし、先に町に戻ってしまったことを伝えると、

「だいじょーぶだよ!今私もこれからボスと戦うところだから!あ、でも先に戻った罰として今度一つお願いを聞いてもらうから!」

と言っていた。勝手にダンジョンに侵入したようだが列車砲と戦ってしまって待たせたことからそれもしょうがない、と斯波は考えた。

宿を一部屋借りて待ってる、と彼女に伝えるとそれを了承してくれた。

そうして宿の中で斯波は装備の確認を始めた

 

【破壊成長】

この装備は壊れれば壊れるだけより強力になって元の形状に戻る。修復は瞬時に行われるため破損時の数値上の影響は無い。

 

スキルスロット

自分の持っているスキルを捨てて武器に付与することが出来る。こうして付与したスキルは二度と取り戻すことが出来ない。

付与したスキルは一日に五回だけMP消費0で発動出来る。

それ以降は通常通りMPを必要とする。

スロットは15レベル毎に一つ解放される。

 

「いきなりぶっ壊れじゃねぇか」

 

初回単騎討伐という鬼畜条件を満たして手に入った装備はそれに見合う強さを持っていた。スロットが追加されることを見て斯波は早速『永久機関(パーペチュアルモーション)』に【列車砲(ジャガーノート)】を付与する。懸念していたMP問題はほぼ解消である。

 

「装備は後でメイプルに見せつけるか」

斯波は楓が目を光らせてはしゃぐ様子を想像して微笑む。

 

その後メイプルもユニークシリーズを入手してお互いに手に入れた装備を付けて鏡の前でポージングを一時間ほどしあった後、二人は外へ出た。

案の定、圧倒的存在感を放つ二人にに注目している人が沢山いた。

もう夜も遅くなってきているが、もう一度狩りに行ってみようと決めた二人は町の外へ足を向けた。

 

 

 




永久機関も漢の浪漫。かなり文字数が増えてしまった…。
因みに列車砲の謎は後に公開されます。
二枚盾っていいよね(痛む手首を抑えながら)

爆走系登場予定だけどどのタイプがいい?

  • やっぱバイクダルルォ?
  • クルルァ(車)一択なんだよなぁ?
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