今回のアンケート結果から、主人公である藤丸立香を1キャラとして普通に喋らせることにしました。性別はぐだ子にしました。
そして今回のお話ですが、全く進まない説明回となってしまいました。しかも次の回もそうなる可能性が高いです。
皆さんにはつまらない話が続くと思いますが、もうしばらくお待ちください…
「うん、いいよ!お喋りしよう!だからほら、顔を上げて?」
藤丸立香は横に結わいた明るい橙色の髪を大きく揺らしてヴァプラとの対話に応じる事を快く了承した。その一方でヴァプラは驚き半分安心半分といった、そんな微妙な表情をしながら顔を上げて立香を見る。そこからしばし沈黙があったが再びヴァプラが口を開く。
「……藤丸立香、貴女のその無垢な返答と寛大な意思に感謝する。では本題にと言いたいが、まずは貴女が多く抱えているだろう疑問に答えることが先だろう。分からないこと、聞きたいことがあれば全て答えよう」
ヴァプラは礼を言うと共に、立香からの質問に答えようとする。一見冷静に持ち直したつもりではあったが、若干ながら早口になっていることには気付いていない。
「そうだね、色々と聞きたいことはあるけど……まず、ここはどこ?カルデアとは違う、よね?」
質問は1つずつする……これまでに幾十幾百ものサーヴァントたちとの交流の中で得た、話すときに気を付ける事の1つを思い出しつつ、はやる気持ちを抑えて1つ目の質問をする。
「正確に言うならばここは確かにカルデアだが、これは貴女の記憶を元に存在しているカルデアであるため、現実に存在しているカルデアではない」
「私の記憶を元に?じゃあこの場所って何なの?現実とは違う場所?」
「そうだ。ここは貴女の夢の中の空間であり、我は貴女の夢に介入する形でこの場所に現れたのだ。」
「あぁー、つまりはいつもみたいな感じってことね。なるほどなるほどー」
ヴァプラからの返答に、立香はウンウンと頷きながら容易に受け入れた。これまでに多くの特異点を旅してきた立香からしたら、こういった出来事は日常的なものとなっているのだ。それこそ、慣れ過ぎでは?と言われたこともあるくらいに。
「じゃあ次の質問。どうしてマシュの姿をしているの?魔神柱ってほら……こーんな!大きくって怖ーい見た目をした柱でしょ?」
だから立香は早々に次の質問へと移った。両腕を目一杯広げて、かつ背伸びまでした動きをしながら、ヴァプラの今の姿についての質問をする。
「確かに貴女の言う柱の姿が我ら魔神柱の本来の姿だ。しかし説明もなくその姿で貴女と会えば一層警戒させてしまうと思ったのだ。だから貴女に近しい存在であったデミサーヴァント……マシュ・キリエライトの姿を借りたのだ」
「うーん、でもマシュの姿なのに普段と違う声や口調なのは違和感があるなぁ。他の姿になれたりしない?」
「なるほど、この姿では貴女を困惑させてしまうようだ。ならば……」
するとヴァプラは黄金の杯……聖杯を取り出す。
「あれ、それって聖杯だよね?」
「ああ、先も言ったが今の我は力の大部分を失っていてな。それも魔力を行使することもままならぬほどであるゆえ、これを利用しているのだ」
「つまり、その聖杯は魔力リソースとして使ってるってこと?願望器じゃなくて?」
「質問には後で答えよう。今は魔術行使の為に集中させてほしい」
「あっごめん、どうぞどうぞ」
ヴァプラの持つ聖杯を見て新たな疑問が湧いた立香だったが、一旦口を閉ざす。ヴァプラは聖杯を口元に寄せ、立香には聞こえないほどの小声で何かを呟き始める。するとそれに呼応して、聖杯が光を放ってヴァプラの身を覆いつくしてしまう。
「おぉー……」
立香自身は魔術の素養が全くないため、目の前で起きている現象に思わず声を漏らす。もちろん魔術自体は他の人やサーヴァントたちが使う場面を何度も何度も見ているため真新しいものではないのだが、それでも凄いものは凄いと素直に思うのだから仕方ない。
やがて聖杯が放った光が消え始め、中からヴァプラの姿が見えてきた。しかし先ほどまで見ていたマシュの姿ではなかった。
「これならどうだろうか?貴女が知る存在の中でこの姿と服装が完全に一致している存在はいないと思うのだが」
光の中から現れたヴァプラは真っ白な髪をして、胸元にかかるくらいまで髪が伸びていた。そして服装も、マシュが着ているものから変わっていたが立香には見覚えがあった。ヴァプラが新たに着ているのは、カルデアにやってきた時に立香が最初に支給された「カルデア制服」だった。
しかし立香の知る制服とは色が違っていて、まず白いはずの上着は暗めの赤色のものとなっており、ベルトも黒から白のものとなっている。スカートとタイツは同じ黒色だったが、タイツの方には縦に赤く細いストライプの模様が入っている。
「うーん、そうだね。確かに今度はマシュだ!みたいな引っかかりはないかな」
「そうか、ならば今後はこの姿でいるとしよう」
「それにしても……なんか魔神柱みたいな色をした制服だよね、これ」
「色が異なるだけでもそれに対する印象は変わるからな。この服自体は貴女の物と一致しているが、我本来の姿を元に変えてみたのだ」
「うん、たしかにあの白黒とは全然違って見えるもん。でもこの色のものもいいなぁ……今度ダヴィンチちゃんに普段着用として白じゃない違う色の制服が欲しいって言ってみようかな」
立香はヴァプラのそばまで寄って、彼女が着ている制服の裾を持ってしげしげと見つめながら、自分の制服についての思いを呟き始める。
「さて、先ほどの質問の続きだが」
「おっとそうだった、ヴァプラって聖杯を魔力リソースとして使ってるんだね?願望器としては使わないの?」
「いや、既に我はこの聖杯を願望器として一度利用している。故にこの聖杯は願望器としての力はもう残っていない。無論、魔力リソースとしては十分すぎるだけの力は残っているがな」
「あ、そうだったんだ。じゃあその聖杯への願いって何なのかって聞いてもいいのかな?」
「我は貴女からの質問には全て答えると言ったはずだ。遠慮する必要はないぞ」
「でもさ、聖杯に対する願いってその人にとっては本当に大切なものなんでしょ?だからやっぱり、そういう風に言われても軽々しくは聞けないよ」
立香からの返答にヴァプラは目を見開く。
聖杯とはあらゆる願いを叶える万能の願望器であり、それに託す願いというのは決して軽いものではない。ただ強者との戦いを望む人もいれば、生前成しえなかったことを成すことを望む人もいるし、たった1人の幸せを願う人もいた。願いは千差万別ではあっても、それに対する想いは誰もが心から願っていた。
だから立香は聖杯への願いを聞く時は相手がちゃんと応じてくれてから聞くようにしているのだ。それは魔神柱である彼女も例外ではないのだ。
「……そう、か」
そんな立香の想いを察したのか、ヴァプラはそれしか言うことしかできなかった。それでも何とか答えなければと持ち直そうとする。しかしここで異変が起きる。今まではっきりとしていたはずのこの場所、カルデアがぼんやりとしてきたのだ。
「あ、れ?なんか、視界がぼやけてきたような……」
「どうやら現実の貴女が目を覚まそうとしているようだ。ここは貴女の夢の中、つまり貴女が眠っていなければ夢を見ることはできないのだからな」
「え、じゃあヴァプラはどうなるの?」
「我ならば問題はない。貴女がまた眠りについた時に再び夢に干渉することで会うことも可能だ」
「じゃあ特に問題はないんだね?もうこれが最後ってことにもならないんだね?」
「そうだ。だがここは夢の中である以上、現実では記憶として残らない可能性が高い。つまり目を覚ましたら我の存在を思い出すことは難しいだろう」
話を続けているうちにどんどん、視界がぼやけて暗くなっていく。立香の目覚めも近いようだ。
「とはいえ、また貴女が眠りについた時に全て思い出すことは出来るだろう。続きは次回という認識でいい」
「そっか、じゃあまた明日だね」
「ああ、だがその前に先ほどの質問に答えるとしよう」
もはや今いるこの場所が何なのか分からなくなり、ヴァプラの姿も見えなくなってきた。そして立香が目を覚ます直前、ヴァプラははっきりと告げた。
「我は……藤丸立香、貴女に会いたいと願ったのだ」
ぐだ子ってこんな感じで大丈夫なんでしょうかね?
少なくとも全然イメージと違うってことはないと思いたいのですが
魔神柱ヴァプラの新しい姿ですが、正直言ってしまうと髪を下ろしたぐだ子の色違いってイメージです。