なんとしてでもアイクとエリンシアを.....   作:面心立方格子

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漆黒クリスマス。お前ゼルギウスとして出ても絶対良かっただろ....
オルティナさんにも錬成が来たようで。これとムスペルとか正月アスク様合わせたらどうなるんだろ.....


狂王襲来

アイク「.....それは確かか?」

 

ヤナフ「黒竜にのって、クソでかい剣を持っていた。あれは間違いなく狂王だ。」

 

ヤナフが伝えた一報に、傭兵団の空気がガラッと変わる。

 

ヤナフ「見た限り、狂王は単騎でこっちに向かってきている.....が、それとは違って別の気配も感じた。

 

アイク「....ミスト、ジル。シノンを連れて先に撤退しろ。」

 

ミスト「お兄ちゃん!!?」

 

アイク「団員の命が最優先だ。行ってくれ。」

 

ジル「分かった。ミスト、行こう。」

 

ミスト「.....うん。」

 

ミストとジルが倒れているシノンを2人がかりで抱え、ドラゴンの上に乗せ撤退を始める。

 

セネリオ「.....アイク、この後どうするつもりですか?」

 

アイク「敵の大将がわざわざ出てきたんだ。ここで戦う。たとえ差違えたとしても....アシュナードの首を取れれば、この戦争の集結も大きく近づく。」

 

タニス「いくら何でも無茶だ。あの男がどれ程の脅威か、出陣前に伝えたはずだ。ここは敵将であるカヤッチェを討ち取り、奴がここに到着するまでに撤退を完了させるべきだ。今ここで対峙するのは下策だ。」

 

アイク「だが撤退をした所で、アシュナードは確実に俺たちを追ってくる。逃げたところでどの道戦いが避けられないなら、ここで迎撃に転じた方がいい。」

 

タニス(ここで狂王が動いたという事は、間違いなく狙いは我々....初陣を挫くことで士気を低下させるつもりか、それとも......)

 

セネリオ「.......」

 

アイク「それに、アシュナードが出てきただけで撤退するとしたら、デインから舐められる。しかもこれは初陣.....ここで引くのは得策じゃない。」

 

タニス「それはそうだが、ここで犠牲を多く出してまでやる事ではない。冷静に見れば分かるはずだ。」

 

アイク「なら、撤退したい奴を先に撤退させる。残った者で応戦.....これならどうだ?

 

タニス「撤退したいだと.....?その言い草は何だ!我々が及び腰とでも揶揄しているのか!!」

 

アイク「そういう意味で言った訳じゃない。あくまで戦力を温存して、残った俺たちで迎撃する。犠牲を最小限にしながら敵を足止めし、運が良ければ討とうと俺は考えてる。相打ちになったとしてもな。」

 

タニス「.......すまない、熱くなってしまったようだ。」

 

セネリオ「それははっきり言って賛同しかねます、アイク。」

 

アイク「セネリオ?」

 

セネリオがアイクとタニスの間に入り、アイクに忠言する。

 

セネリオ「アイク、今の僕たちは傭兵団ではなく、軍です。もしアイクのように自由意志を尊重してしまえば....この先、危機が訪れる度にこの軍の兵士は撤退をし続け、必ず分裂するでしょう。.....そして、アイクの判断は傭兵団であれば正解ですが、軍として正しくありません。」

 

アイク「........」

 

セネリオ「撤退するなら撤退する、応戦するなら応戦すると、しっかりと指示を統一して出してください。特に今回は...エイリスがいません。無茶な選択をする時は慎重にお願いします。」

 

アイク「.....わかった。撤退する。が、俺とマーシャ、ヨファ、ヤナフ、タニス将軍、ネフェニーだけ残って敵を足止めする。.....セネリオ、これでいいな?」

 

セネリオ「......あくまで残って応戦するのですね?」

 

アイク「ああ。この一軍を預かっているのは俺だ。ここで俺が無様な引き際を見せる訳にはいかない。」

 

セネリオ「........分かりました.....全体に撤退の下知状を通達させます。」

 

ヤナフ「それなら俺が持ってく。そっちの方が速いだろ。」

 

セネリオ「.....ではこれを。」

 

セネリオが撤退の下知状を書き、アイクが指を噛んで血を出し、それを書状に押し付ける。そして書状を包み、ヤナフに渡す。

 

ヤナフ「確かに受け取った。俺から全体に通達する。」

 

ヤナフは書状を胸元にしまい、窓から外へ飛び出す。それと行き違いに輸送隊がアイクの元にやってくる。

 

輸送隊「アイク将軍!これを届けに来ました!」

 

アイク「この剣は....」

 

輸送隊「『ラグネル』とエイリス殿がおっしゃっていました。危機に備えてこれを渡すよう言われて.....」

 

アイク「分かった。受け取っておく。お前たちも安全な所に避難しろ。」

 

輸送隊「はっ!」

 

輸送隊を撤退させ、外の様子を見る。ヤナフが各地に電報をして回っている。しかし、それと同時にカラスが上空から迫ってくる。

 

アイク「くそっ、あいつら....」

 

セネリオ「どうやら、僕たちの撤退を見て、取れるものは取っておこうと判断したのでしょう.....アイク、僕達は早く城の中に残る敵戦力の殲滅を済ませましょう。」

 

アイク「だが.....」

 

セネリオ「あちらは大丈夫です。神使親衛隊副隊長にその配下、戦乙女がいるので戦力は足りています。」

 

アイク「....分かった。行くぞセネリオ。城内を掃討する。」

 

セネリオ「はい。」

 

 

 

 

 

城外 エリンシアside

 

エリンシア「.....なるほど。撤退てすか。」

 

ヤナフから受け取った書状を読み、状況を理解する。

 

ヤナフ「あー後....おそらく背中見せたら上で飛んでるカラスどもが襲ってくると思うんで、そこだけは気をつけてくださいな。」

 

エリンシア「助言感謝いたしますヤナフ様。では私は足止めをいたします。」

 

ヤナフ「あー....あんた雇い主なんだよな?最前線にいたら不味くないか?」

 

エリンシア「雇い主である前にここでは一人の兵士です。それに相手が空を飛ぶラグズなら....尚更です。」

 

エリンシアの勇ましさに呆気に取られる。そしてマーシャに近づき耳打ちする。

 

ヤナフ(おい、あの王女様、ちょっと勇ましすぎねぇか......?)

 

マーシャ(エリンシア様は元々そういう人だよ?)

 

ヤナフ(マジかよ....これで怪我でもしてみろ。俺たちの首が飛ぶぞ。)

 

マーシャ(エリンシア様はそんな事しないよ!でも今回は.....危険かな。エリンシア様と狂王じゃ強さがまるで違う。)

 

ヤナフ(冷静な側近がいてホッとした。引き際は頼むぞ。)

 

マーシャ(了解!)

 

ヤナフ「それじゃ、俺は拠点に戻って移動の伝達してくるんで、一時的に戦線を離脱する。伝達が終わったらまた戻ってくる。」

 

エリンシア「はい、お気をつけて。」

 

ヤナフが飛んでいくのを見送り、表情を変えるエリンシア。マーシャもその気配を本能的に感じる。

 

マーシャ「エリンシア様.....」

 

エリンシア「マーシャ....素早く、ラグズたちにお引き取りするよう行きましょう。」

 

マーシャ「話し合い、ですか?」

 

エリンシア「いえ....あちらは話し合いをする気など、毛頭無いみたいですし。」

 

マーシャ「えー....ほんとだ。こっち向かって飛んできてるし、攻撃の体勢に入ってる。」

 

エリンシア「行きますよ!」

 

マーシャ「はい!今回は負けません!」

 

タニス「我々も同行し、援護しましょう。」

 

エリンシア「頼もしいです。お願いします。」

 

タニス「承知した。これより我々はエリンシア王女の援護に回る。総員、王女の背を守れ!」

 

そしてエリンシアとマーシャ、タニスは、空から襲いかかるキルヴァス軍と相対する。マーシャにとっては、船上の戦いで1度キルヴァス軍相手に痛手を負わされた苦い思い出があった。その為か、槍を握る強さが普段より強かった。

 

マーシャ(前回はペガサスをやられたけど....今回はそうさせないんだから!)

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エイリス(......やっぱり、この気配。)

 

アスタルテ(あちらから....参られたみたいですね。しかも別の軍勢も来たようで。)

 

エイリス(ラグネルを渡しておいたのは正解か.....だけど、今戦ったら確実に負ける。だってあいつ終章でも普通に強いし....)

 

ムストン「おい、どうした?さっきから険しい顔をして。」

 

エイリス「.....嫌な予感が、的中したみたいで。」

 

ダニエル「嫌な予感?なんだそりゃ。」

 

エイリス「敵の総大将が、わざわざ最強の装備ひっさげてやってきたみたいです。」

 

ジョージ「....おいおいマジかよ!!それ大丈夫なのか!?」

 

エイリス「普通にまずい事態です。」

 

ムストン「なら、どうする?お前さんも前に出るか?」

 

エイリス「出ます。さすがにこの事態、俺が出ないと絶対にアイクが無謀に突撃して死にかねませんし.....」

 

ララベル「なら、私たちは撤退の準備ね。いつでも動けるようにしておくわ。タイミングを見計らって指示を頂戴。」

 

エイリス「助かります。」

 

アーリアルを準備し、出陣の準備を整える。多少の疲れがエイリスの中に残っていたが、敵を目の前にしてこうはいられないと自身を叱責する。ポータルの杖を使って、いつでも飛べるように準備する。

 

 

 

ヤナフ「おい、書状を....って、なんだ。撤退の準備してやがる。」

 

エイリス「ヤナフ、こっちは撤退の準備を始めてる。」

 

ヤナフ「なんだ、わざわざ来る必要無かった。で、あんたどうする?」

 

エイリス「俺も今から前線に出る。アイクの命令に背く形にはなるが....しのごの言ってられない。」

 

ヤナフ「そいつは助かる。....あと、何か狂王と違った違和感を感じたんだが、そっちは?」

 

エイリス「それも気づいてる.....けど正体が分からない。なんなんだろうなこれ。」

 

違和感には気づいている。が、今までに感じたことのない気配。 不気味な強さを感じる。

 

ヤナフ「今は特定の奴だけを残して、残りは全員撤退命令が下されてる。だから戦場に着く頃には、俺たちの方は6、7人程度だ。おそらくあんたには相当重い役割振ることになるだろうが......大丈夫か?」

 

エイリス「問題ない。むしろ喜んで引き受ける。」

 

ヤナフ「.....なんか、この軍の指揮官クラス、戦線に留まって戦おうとする奴ら多すぎるだろ。もう少し引くってのを覚えて欲しいもんだね。戦うと血が滾るラグズじゃねぇんだし。」

 

エイリス「ま、傭兵だしな。」

 

ヤナフ「あんたは元軍人だろ?」

 

エイリス「ま、そうだけど異国出身だったから、今の部隊を組織するまではずっと単騎出撃だったし。その癖が抜けないんだよ。」

 

ヤナフ「単騎出撃ねぇ.....そりゃ名が轟く訳だ。準備出来たか?」

 

エイリス「うん、行こう。」

 

ポータルの杖に魔力を貯めてワープの準備を整える。魔法の範囲内にヤナフを入れ一気に飛ぶ。

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トレガレン長城 前線

 

エリンシア「.....来たようですね。」

 

アイク「.....だな。」

 

エリンシア「申し訳ありません、アイク......キルヴァスの傭兵を相手にしていて、撤退が遅れてしまいました.....」

 

アイク「.....今からでも撤退して欲しいが、状況が状況だ。このままいてくれ。俺のそばを離れるなよ。」

 

エリンシア「はい。」

 

上空を見上げ、黒いシルエットが段々と近づいてきていることが分かる。翼の内は赤く、外は黒い皮膚で覆われている黒竜、黒の鎧を纏い、大剣を片手で持つ竜騎士。デイン王.....狂王が姿を現す。

 

アシュナード「これは良い....うるさい羽虫共がいない。」

 

アイク「デイン王....アシュナード!!!」

 

アシュナード「貴様は誰だ。」

 

アイク「俺はアイク。グレイル傭兵団団長で、この軍を率いている。」

 

アシュナード「そうか、貴様がガウェインの息子か。」

 

アイク「ガウェイン?誰だそれは。」

 

アシュナード「知らぬのか。貴様の父ガウェイン.....いやグレイルと言うべきか。奴は元デイン王国軍【不動の四駿】の1人、神騎将と讃えられた男だ。」

 

アイク「親父が元デイン軍だと.....!!?」

 

アシュナード「嘘などではない。そしてガウェインを討った漆黒の騎士、奴は元々ガウェインの部下だ。」

 

アイク「!!!!」

 

アシュナード「ガウェインの息子である貴様なら、ガウェインの剣技を継いでいるものと思ったが....幾分稚拙な構えだ。充分に継承してはいないようだな。」

 

アイク「なんだと?」

 

アシュナード「ガウェインの息子というだけあって構えや剣の筋に素質を感じる。が、貴様の今の姿を見てもガウェインを彷彿しないと言っているのだ。」

 

アイク「だから何だ。長話はもういいだろう。ここでお前を討たせてもらう!!」

 

アシュナード「受けて立とう。来い。」

 

アイクは鋼の剣を強く握り、アシュナード目掛けて突撃し、剣を振り下ろす。それをグルグラントで容易く受け止めるアシュナード。全く構える気もなく、露払いかのように無気力に近い状態で剣を受け止める。

 

アイク「お前...ふざけてるのか!!」

 

アシュナード「ふざけているのではない。貴様程度、これでも殺せるということだ。」

 

アイク「何...ぐっ!!」

 

アシュナードに剣を弾かれ、グルグラントの1振りをモロに喰らう。鎧があったから貫通は避けたが、身につけていた鎧は粉々となり、体に大きな衝撃が走る。数メートル吹き飛ばされ、地面に這いつくばる。

 

アイク「げほっ...!!!」

 

エリンシア「アイク!!」

 

アシュナード「貴様など話にもならん。魔道将軍を出せ。我は奴との戦いを望む。」

 

アイク「エイリス...だと...がっ...」

 

アシュナード「この場で我とまともに戦える者は奴の他いない。」

 

アイク「悪いが....あいつを出すつもりは...無い...!!!」

 

アシュナード「出ぬのなら我から出向くまで。その道を邪魔するならば、貴様らはここで消えてもらおう。」

 

エリンシア「待て....アシュナード....!!!」

 

アシュナード「ほう、クリミア王女か。」

 

アシュナードが一瞥をやると、エリンシアの体が震え始める。かつて両親を殺した男が目の前にいる....が、あまりの実力の差に体が本能的に恐怖を覚える。

 

アシュナード「久しぶりだな。我を見上げて震えていた小娘は未だ健在のようだな。」

 

エリンシア「黙りなさい.....!!!!」

 

アシュナード「口だけは勇ましいことだ。だが貴様など相手にする価値も無い。」

 

エリンシア「黙れ....黙れ黙れ黙れ!!お父様たちの仇....民の苦しみ....全てを払ってもらう!!」

 

アイク「よせエリンシア!!」

 

アシュナード「ふん、下らぬ。今度は我から手を下そう。」

 

アシュナードは龍を動かし、エリンシアに向かって突撃し、グルグラントの一撃を浴びせる。あまりの衝撃にペガサスから崩れ落ち、ペガサスも衝撃をもろに受け地面に落ちていく。

 

アイク「エリン....シア....!!!」

 

エリンシア「ぐっ...」

 

横たわるエリンシアにアイクは痛みを我慢し駆け寄る。お互いに虫の息に近い状態であった。

 

アシュナード「貴様らに用は無い。早く魔道将軍を.....む、奴も我を感知したか。」

 

アイク「あいつ....なんでだ....」

 

アシュナード「我が出向いたのを知ったようだ。」

 

アイク「なら...せめて....」

 

 

アイクは鋼の剣を投げ捨て、ラグネルを取り出しそれを支えになんとか立ち上がる。

 

アシュナード「ほう、神剣か。我が鎧に唯一傷を与えうる武器だが、今の貴様では到底使いこなせない代物だ。」

 

アイク「そんなもん...やってみんと分からん!」

 

アシュナード「どんな名剣とて持ち主に才が無ければなまくら同然。今の貴様では無理だ。」

 

アイク「行くぞ!!!」

 

エリンシア「ア、アイク....!!!」

 

アイク(くそ、立ってるだけで精一杯だ...しかも重い。)

 

とても立てるはずのない傷を負っているアイクにとって、この状況は好ましいものではなかった。しかしやらねばならない。ここで一矢報いて戦果を残す。軍を任されたものとして退けない。その義務感と焦りが満身創痍のアイクを動かしていた。

 

アイク(....!?)

 

ラグネルを握り構えると、不思議な感覚がアイクの全身に渡る。そして意識もしていない動きを勝手にしていた。

 

アシュナード「ほう....面白い。」

 

ラグネルを天に投げ、ジャンプしてキャッチし、アシュナードの頭頂部目掛けて剣を天から振り下ろす。ガキンと鈍い音が響き渡る。

 

アイク「....くそ!!」

 

アシュナード「いいぞ、いいぞ!!その剣技、見覚えがある。剣が持ち主を選んだか。面白い!面白いぞ!」

 

しかしアシュナードは余裕でラグネルを受け止め、ラグネルの衝撃を横に逃がし、アイクをいなす。

 

アシュナード「もっと来い。その感覚で我を楽しませよ。」

 

アイク「おのぞ....がっ...ごふっ...」

 

エリンシア「アイク!!」

 

しかし体は限界であった。アイクの吐血も激しく、エリンシアも戦えるほどの体の状態では無かった。

 

アシュナード「ガウェインの息子....いやアイクよ。貴様は剣の筋が良い。今は見逃してやろう。その神剣と共に強くなり再び我の前に現れろ。」

 

アイク「貴様の...ぐっ....情けなんか....」

 

アシュナード「情けなどではない。才のある者を開花する前に摘み取るなど愚かな事だ。ただそれだけよ。だが....」

 

アイクの方向から、倒れているエリンシアの方へ飛竜の向きを変え、狙いを定める。

 

アシュナード「クリミア王女、貴様は何も見込めぬ。そして貴様は勘違いしておる。」

 

エリンシア「何を.....」

 

アシュナード「貴様は国を取り戻し女王になるつもりだろうが、不可能だ。貴様を慕う者はかつてのクリミア軍の重臣と一部の者しかおらん。」

 

エリンシア「.....!!!」

 

アシュナード「貴様とて気づいてるはずだ。クリミア王女、貴様はあの魔道将軍の権威に守られているだけだ。そしてあの魔道将軍はその事を意にも介していない。だから気づかない。」

 

エリンシア「.........」キュッ

 

唇を噛むしか無かった。分かっていた。離宮暮らしの自分がいきなり受け入れてもらえる訳が無い.....そしてあの日、クリミア首都が陥落した日、王族は何も出来ずにほとんどが殺された。その時国民が願ったのは王族の生存などではない。王弟レニング率いる王国軍、そしてエイリス率いる精鋭部隊だった。

 

アシュナード「我の下に投降した、自ら這い上がる気のない下らぬ者たちは、毎日のように祈っておったぞ。『魔道将軍様、お助け下さい』とな。」

 

エリンシア「その国民を...殺したのか!!?」

 

アシュナード「殺してはおらぬ。国を作るのは民である。這い上がる気のない下らぬ者に生きる価値は無いが、殺す価値も無い。せいぜい這い上がろうとする者の踏み台にされるのみ。」

 

エリンシア「..........」

 

アシュナード「もう一度言っておく。国を作るのは民である。王では無い。王は強き者がなるのだ。そして多くの民がそれを望めば....王族などいとも容易く滅び、権威は地に落ちる。」

 

アシュナードの言葉に尽く打ちひしがれる。それがエリンシアにとっては事実でしか無いからだ。分かっていた。戦争が始まった時からエイリスの存在がどういうものかは痛いほど実感させられていた。エイリスは王都に残り狂王を退け、ネフェニー率いる精鋭部隊は各地でデイン軍の侵攻を食い止めていた。それに比べて自分はどうだ。目の前で両親を殺され、おめおめと逃げて出会った傭兵団に縋り、戦線に加わった事で戦った気になっていた。自分が王女になる事を何も疑いもせずに。しかし現実が目の前にあった。同じ王でも、ここまでの差がある。

 

アシュナード「だが貴様はまた我の前に立とうとする。羽虫に用は無い。ここで消えてもらう。」

 

エリンシア(もう....一層ここで.....)

 

 

 

ガキン

 

アイク「エリンシア....諦めるな!!」

 

目を閉じ死を覚悟した.....が、目の前で狂王の一閃を、アイクがラグネルで強引に受け止めていた。血を吐き、ヨロヨロになりながらも止めていた。

 

エリンシア「アイ、ク.....」

 

アシュナード「なぜ庇う?」

 

アイク「エリンシアは...俺たちの仲間だ....死なせはせん!....ゴボッ....」

 

エリンシア「もう...辞めて....」

 

アイク「弱音を吐くな!!王になるんだろ!!!あの日...オマツリで誓ったことを忘れるな!!!!」

 

エリンシア「......!!!!」

 

アイクの激励にエリンシアの震えが止まる。

 

エリンシア(そうだった....私は....)

 

近くに落ちている鋼の剣を無意識に手を取り、立ち上がる。恐怖心はなかった。あるのは自身への憤慨と、目の前の敵への殺意であった。

 

エリンシア「なんと情けない....!!!!」

 

アシュナード「ほう、気力だけで立て直したか。

 

エリンシア「アシュナード!!ここで討つ!」

 

アシュナード「面白い。茶番にも飽きていたところだ。」

 

アイク「行くぞ!エリンシア!!」

 

アイクとエリンシアがほぼ同時に力強く踏み込み、アシュナードめがけて突撃する。

 

エリンシア「アイク、私が隙を作ります!その間に先程の技を!」

 

アイク「分かった。そっちは任せる。」

 

まずエリンシアが果敢にアシュナードに斬りかかる。ペガサスに乗っていない分機動力は劣るが、身の軽さを活かしてヒットアンドアウェイを続ける。

 

アシュナード「どうした、その程度の攻撃では我は動かぬぞ。」

 

エリンシア「さぁ...それはどうでしょうか。」

 

体の節々からくる痛みを無理やり抑え、アシュナードの剣のリーチに届かないギリギリに避ける。

 

エリンシア「どうしたのですか?私に攻撃を当てないのですか?」

 

アシュナード「貴様に用は無い。」

 

エリンシア「私のような雑兵相手1人すら倒せないと、そうおっしゃっているようにしか聞こえませんが?」

 

アシュナード「騒ぐな。惨めなだけだ。」

 

エリンシア(煽りましたが.....靡いてすらいませんね....どんな方法を使ってでも....隙を作らなければならないのに....こうなれば....そしてエイリス様に教えてもらったあれを.....)

 

アミーテを構え、息を整える。悲鳴を上げている自身の体に喝を入れ、ひたすらに敵を捉える。

 

エリンシア「ふぅ......我こそはエリンシア・リデル・クリミア!!今日、ここでお前を討つ!いざ尋常に!!」

 

一帯に響き渡る程の声量で名乗りを上げ、アシュナードめがけて突っ込む。

 

アシュナード「邪魔だ。」

 

エリンシア「ぐっ.....はあぁぁぁぁぁぁ」

 

グルグラントの一閃を直撃する。しかし、剣を鎧で挟んでしがみつき、剣の勢いを殺す。直撃という代償の代わりに、100%相手の攻撃に干渉する方法をエリンシアは取った。アシュナードが剣で振り落とそうと試みるが、しつこく掴み続ける。

 

エリンシア「あなたは知らないようですね...てこの原理を。」

 

アシュナード「小癪な。無駄な足掻きだ。」

 

エリンシア「さあそれは...どうでしょうか。」

 

エリンシアが完全にアシュナードの気を引いた瞬間、ラグネルが宙に投げられた。気を集中させ、隙をうかがっていたアイクが動き出した。

 

アシュナード「ほう、これが足掻きか。」

 

アイク「行くぞ!アシュナード!!」

 

ラグネルを空中で掴み、アシュナードの顔面に向かって振り下ろす。

 

アシュナード「聞こえぬのか?無駄な足掻きだと。」

 

エリンシア「きゃっ!!」

 

急に力強くグルグラントを掴み、ラグネルが落ちてくる位置に、しがみついているエリンシアを持ってくる。

 

アイク「!!!!」

 

エリンシア(やられた....!!!)

 

アイクがエリンシアから避けるために、かけていた力を弱めて方向転換をする。そしてエリンシアは咄嗟にしがみつくのを辞め、グルグラントを蹴ってアシュナードから離れる。そして振り下ろされるラグネルを軽々と受け止め、振り払う。

 

アシュナード「頭を使った事は褒めてやろう。羽虫共が我を相手にここまでやったのだ。だが甘い。その程度の強さでは傷はつけられぬ。」

 

更にこの行動が仇となった。アイクもエリンシアも空中に放り出され、更にグルグラントのリーチに入っている。しかも不安定な姿勢のため受けるための姿勢に入ることが出来なかった。

 

アイク「ぐぅ!!」

 

エリンシア「.....!!!!」

 

そのままグルグラントの一撃をモロに喰らい、地面に叩きつけられる。

 

アシュナード「消えよ。」

 

アイク(くそ....体が....)

 

エリンシア(このままでは....)

 

虫の息の2人に、アシュナードは容赦ない追撃をする。

 

ガキン

 

が、それは防がれた。光の障壁が2人とペガサスを包み、振り下ろされた剣から守った。

 

アシュナード「.....来たか。」

 

エイリス「.....随分とうちの大将と女王を可愛がってくれたもんだ。」

 

狂王と、魔道将軍が、再び対峙した瞬間だった。

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エイリスside

 

セーーーーーーーーーーーフ!!!!あっぶな!いやめちゃめちゃ殺そうとしてましたやん......あと一歩遅かった普通にゲームオーバーだった。ラグネルを渡しておいたとはいえ....やっぱり使い慣れないときつかったか。

 

アシュナード「以前よりまた魔力を強めたな。我の好敵手であるならそうでなくてはな。いくつの屍を踏み越えた?」

 

エイリス「さぁ...覚えてないや。」

 

ヤナフ「こりゃ重傷だな...だから引けって言ったってのに....」

 

さっとリザーブを振ってアイクとエリンシアの応急処置を済ます。

 

アシュナード「さあかかってこい魔道将軍。我を楽しませよ。」

 

エイリス「ちょっと待て。本気でやるから色々と待て。」

 

突然異様な殺気を放ったアシュナードに待ったをかける。さすがにアイクたちがいるのに本気でやったら巻き込まれて死んでしまうのが確定している。それは避けないと.....

 

アイク「エイ....リス....」

 

エイリス「怪我人は静かにしとけ.....今応急処置したから動かれると困る。.....ヤナフ、さすがに2人抱えては無理だよな。」

 

ヤナフ「あぁ、無理だな。」

 

エイリス「だよな.....仕方ない、一旦2人と1匹を拠点にポータルでワープさせる。ヤナフはタニスさんと合流して今の状況伝達と、あっちの方にいるよく分からない敵と戦ってくれ。」

 

ヤナフ「タカ使いの荒いやつだ....分かった。とりあえずこいつは1人で頼むぞ。」

 

エイリス「分かった。」

 

ヤナフを向こうの救援に向かわせ、アイクとエリンシアとペガサスをポータルで拠点にワープさせる。これでとりあえずサシの状況にはなったか......

 

エイリス「場所を変えよう。ついてきてもらうぞ。」

 

ポータルの範囲にアシュナードを入れ、別の地点へ飛ぶ。ここら辺だと城とか山とかのせいで全力でアーリアル打ったら地形が壊れたり瓦礫が降ってきたりでこっちが不利になる......

 

 

 

ワープ地点 開けた場所

 

アシュナード「良いのか?ドラゴンに乗る我は自由に動くが?」

 

エイリス「不利でもなんでもないよ。俺が戦いやすいところを選んだだけ。」

 

アシュナード「言葉を交わすのももうよいだろう。我を楽しませよ。」

 

エイリス「あぁ、そうだな。」

 

言い終わると同時にアシュナードと距離を取り、即座にアーリアルを打ち込む。しかし、当然竜騎士の機動力を活かして直撃を避ける。

 

エイリス「やっぱ学んでるわな....けど、まだだ。」

 

アーリアルは直撃こそしないが、地面にぶつかると同時に強い衝撃を放つ。

 

アシュナード「強風で我を鈍らせるか。」

 

エイリス「いいや、まだだ。」

 

すぐにパージに持ち替え、アシュナードの周りに間髪入れずに数発打ち込む。

 

エイリス(この勝負...こっちの手札が全部知られている以上、下手な奇襲が出来ない...グルグラントの範囲内に入ればこっちの負けになる。)

 

アシュナード「ふはははは。それでこそだ。」

 

しかし、パージには加護が無い。アシュナードも一発食らって分かったのか、龍の損傷を気にせず何発も受けながら強引にこっちに突撃してくる。

 

エイリス(ちっ....)

 

咄嗟に地面にパージを打ち込んでその衝撃で後ろに飛び、アシュナードの一撃を避ける。こいつ強引すぎるだろ.....

 

アシュナード「やはり貴様は面白い。このような魔道士の戦い方は見たことがない。」

 

エイリス「そりゃ魔道士は近づいて戦わないからな。」

 

そもそも近接戦に持っていかれたらこっちが100%負ける。このアシュナードとかいうラスボスは、最初の時点で力35、速さ27、守備35、魔防26、スキルに恐怖と回復があり、武器のグルグラントには怒り以外の必殺無効、そして移動10.....ステータスはヒーローズの今の環境から見れば恐るるに足らないが、蒼炎の軌跡だと話は変わってくる。何より竜騎士の癖にやたらと魔防が高い。考えてみてほしい....蒼月ルート(ルナティック)でラスボスが、ターンが経ったら「私が直々に出向こう」なんて言い出してパラディンとかと大差ない移動をしてきたら.....こいつの異常さが分かるはず。一応こっちも、加護の付いていて、竜騎士特効を持ってるアーリアルがあるけど.....これが無かったらおそらくダメージが通らない。

 

エイリス(もうラチがあかないな....このまま遠距離から攻撃しても避けられるか強引に突破してくる。こうなったら...)

 

アーリアルを構え、迎撃の体勢に入る。アシュナードもそれを待っていたのか、竜を操り動く準備に入る。

 

アシュナード「真正面から来るか。よいぞ、それでこそ力のぶつかり合い!」

 

エイリス「ふぅぅぅ.....」

 

呼吸を整え、力強く地面を蹴ってアシュナードの胸元めがけて突撃する。アシュナードも高く飛び、そこから一気に高度を下げて突撃してくる。勝負は一瞬。

 

アシュナード「我の勝ちだ。」

 

エイリス「ぐっ.....」

 

ザシュっと脇腹を切り裂かれる。血が流れ、激痛が体を襲う。

 

エイリス「だが...お前の胸元には入れた!!」

 

アシュナードの竜に乗るやいなや、アーリアルを起動して胸元に打ち込む。

 

エイリス「うおぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

アシュナード「ぐっ...がぁぁぁぁぁぁ。」

 

共に衝撃で吹き飛び、地面に叩きつけられる。急いで自身にリカバーを振って脇腹の痛みを止め、傷口を無理やり塞ぐ。

 

エイリス「今度こそ効いたはずだ.....ぐっ。」

 

アスタルテ(大丈夫ですか!?痛みがまだ.....)

 

エイリス(いや、痛みじゃない。体が動きづらい...)

 

痛みは引いた、だが何故か体が言う通りに動かない。

 

アシュナード「ふしゅー.....効いたぞ。我をも失神させる威力、見事。」

 

アシュナードの方を見ると....姿が変わっていた。第2形態になっていた。

 

アシュナード「貴様とぶつかり、戦ったことでこの戦場に大量の【負】の気が満ちた。それと同時に貴様を守っている【正】の気もな。」

 

確かに周りを感知すれば、底知れないほどの【正】の気と【負】の気が充満していた。しかも相殺せずに色濃く共存している。

 

アシュナード「やはりそうだ。貴様は女神アスタルテによって加護を受けている。面白い。」

 

エイリス「はぁ.....はぁ....」

 

アシュナード「我は【負】の気を取り込み、今ここに立つ。立て。貴様ほどの力であれば【正】の気を取り込み立ち上がることなど容易いことであろう。立たなければ、今ここで殺すのみだ。」

 

アスタルテ(....かくなるうえは、この私が.....)

 

エイリス(待て.....お前は、出るな....)

 

アスタルテ(しかし....今のあなたは強い【正】の気を持っています。これほどの【負】の気を浴びれば....)

 

エイリス(そんな事は分かってる.....お前がここで裁きを打ち出せば...本当の意味でこの世界のバランスが崩れる。前はデギンハンザーの前だったからいいが.....相手が相手だ。)

 

アスタルテ(ではどうするのです?このままだとやられてしまいますよ.....)

 

エイリス(.....一度、やってみたいことがあった。それを試す。)

 

なんとか足に力を入れ、無理やり立ち上がる。

 

アシュナード「ほう、何をするつもりだ。」

 

エイリス「うるせぇ、黙って見てろ。」

 

合掌をして目を閉じ、集中力を高める。周囲の【正】の気と【負】の気の両方を取り込む。体への負荷がドンドン増し、【負】の気のせいで意識が飛びかけ、本能的な衝動に乗っ取られそうになる。それを無理やり押し込め、気を取り込み続ける。それと同時に【正】の気を取り込んでまた意識が戻り、頭がおかしくなる。

 

エイリス(それでも....やるんだ...)

 

本能的な衝動や苦しみに耐えながらも、【正】の気と【負】の気の両方を取り込み終える。

 

エイリス(力を....力を...!!!)

 

そして【正】の気と【負】の気を自身の中で一体化させ、バランスが整う。それと同時に、体からオーラが溢れ、体の一部分が急に熱くなる。体に紋様が浮かび、さっきまで重かった体が少し軽くなった。

 

アスタルテ(これは....かつての私......!!?)

 

アシュナード「その気、その紋様、そしてその力.....ふははははは!!!!そうか、アスタルテが分かれる前の力をその手にしたか。いいぞ....いいぞ!!それでこそ貴様と戦う価値がある!!」

 

アーリアルが共鳴して光り、表紙に新たな模様が入る。

 

エイリス「ふぅ...いくぞ。」

 

アーリアルをアシュナードに打ち込む。

 

エイリス(なんだこれ...制御が効かない....!?)

 

あまりの魔力の強さ故に、威力を調整することが出来なかった。アシュナードは衝撃を受けこそしたがかわした。アーリアルを売った場所は....草木が跡形もなく消え去り、クレーターのようになった。

 

アスタルテ(よく聞いてください。今のあなたはかつての私....正と負に分かれる前にそっくりです.......そしてアーリアルも共鳴し、暁光・アーリアルとなりました。これまでより力を抑えなければなりません.....)

 

エイリス(そんな事言ったってなお前.....)

 

アスタルテ(この姿に望んでなったのはあなたです。それに敵は待ってくれません。いいからやってください。)

 

エイリス(分かった...いくぞ。)

 

暁光・アーリアルを構え、魔力を抑えながら溜める。

 

アシュナード「その力で抗ってみよ。」

 

エイリス「お望み通りやってやる....」

 

力強く踏み込み、アシュナードの頭上で止まり、暁光・アーリアルを落とす。

 

エイリス「終わりだ!」

 

しかしアシュナードもしぶとく、暁光・アーリアルをグルグラントで全力で受け止めに来る。

 

アシュナード「ぐっ...」

 

ただ、こっちも出し惜しみはしていない。こちらが押しているのは明確だった。

 

エイリス「諦めろ。お前の負けだ。」

 

押し切り、竜もろとも暁光・アーリアルを直撃させる。そのまま地面に突き落とし、強い衝撃で周りも削られる。

 

アシュナード「ふしゅう....効いたぞ。これまでにない痛みだ。」

 

エイリス「まだ生きてんのかこいつ.....」

 

砂塵の中からアシュナードが出てくる。鎧はボロボロになり、頭から血を流しているが、それでもグルグラントを片手にこちらに歩いてくる。

 

シュン

 

アシュナード「む?」

 

エイリス「よしもう1発.....えっ....」

 

もう1発打ち込んで終わりにしようかと思ったら、間に漆黒が割り込んでくる。こいつどこから飛んできたんだ....

 

アシュナード「退け。丁度盛り上がってきた頃合いなのだ。」

 

漆黒の騎士「ここは退くべきです。損傷も酷く、こちらが劣勢です。」

 

アシュナード「下がらぬ。奴と決着をつける。」

 

漆黒の騎士「.....これが、王と魔道将軍のみの戦いであるなら止めません。しかしこれは戦争.....王に勝手に付いてきた増援も、全滅させられています。」

 

アシュナード「あの者共が死のうが関係ない。」

 

漆黒の騎士「おまけに...この気を察したのか、鷹王とその配下、および黒龍がこちらに近づいてきています。」

 

アシュナード「それでこそ良い。我は争いを望む。」

 

漆黒の騎士「.....魔道将軍は、疲労困憊の状態で戦っています。今ここで始末するのは勿体ないかと。万全の状態の時に戦った方が、王も楽しめますかと。」

 

アシュナード「......そうか。ならば撤退する。」

 

漆黒の助言を受けてか、アシュナードが剣をしまい、竜を起こして飛び去っていった。

 

漆黒の騎士「貴殿も気をつけよ。その疲労状態でここまでやるものだ。」

 

エイリス「退けない訳がありましてね。」

 

漆黒の騎士「....次は無い。」

 

そう言って漆黒もワープで去る。緊張の糸が途切れたのか、途端に足から力が抜け、ストンと座り込んでしまう。紋様やオーラも、消えていた。アーリアルに付いていた模様は残っていた。

 

エイリス(あれは何だったんだ.....)

 

アスタルテ(....おそらく、非常に強い【正】の気と【負】の気がある時のみなれる姿ですよ....今のあなた、魔法使えませんよ。)

 

エイリス「マジ....?」

 

試しにライトを取り出し、打ってみる。確かに出ない。

 

アスタルテ(一過性のものではありますから、時間が経てば再生は出来ますが.....あの姿には、狂王のような男とぶつからない限りなれません。)

 

エイリス(不便だな.....)

 

アスタルテ(何より魔力を使い果たすほど、代償が大きいです。)

 

アスタルテがずばりと指摘する。そりゃそうだ、あれだけ派手に戦えばそうなる。

 

エイリス(....まぁ、あれにはなれなくても、別の方法は模索するさ。俺も...さっさとクラスチェンジしないと不味いしな....なんか特別職とかあったらの話だけど。)

 

アスタルテ(検討はしておきましょう。)

 

アスタルテとの会話を終え、クレーターのど真ん中に大の字になって寝転ぶ。本当に力が入らない。

 

 

数分後

 

ティバーン「....ちっ、消えたか。おい、大丈夫か。」

 

エイリス「え、なんで鷹王が.....」

 

ティバーン「ヤナフから聞いた。初陣だから云々って事で、俺も助けに来た訳だが...アシュナードはどこだ。」

 

エイリス「撤退した....一応俺の勝ち、ではあるけど。戦いで消耗し過ぎた。.....抱えてもらって拠点まで連れて行ってもらっていいですか?」

 

ティバーン「まぁいいだろ。お前ほど軽いなら問題はねぇ。ヤナフ、ウルキ、他に残党がいないか探せ。俺は一旦こいつを戻してくる。」

 

ヤナフ・ウルキ『はっ!』

 

そのままティバーンに抱えられ、拠点に戻ることになった。これで鷹に助けられるのは2回目だな....今度何かしらのお礼を用意しなきゃな。




謹賀新年でございます(激遅)。

今回割と改変要素が強すぎて申し訳ない.....次の章からはちゃんと軌道修正はしますので....

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