なんとしてでもアイクとエリンシアを.....   作:面心立方格子

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最近のヒーローズはインフレスピードがヤバすぎてついていけんのだ....(なんかリュールが妙に硬い)


電光石火

深夜 ダルレカ水門付近

 

タニス「まだ身を隠せ....機会を狙って、奇襲をしかける。」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

ベグニオン兵を引き連れ、偵察で分かった警戒が手薄な道を辿る。市民が避難しているからか、街は不気味なほどに静かだった。

 

ベグニオン兵A「タニス将軍、なぜ我々だけ先行しているのですか?」

 

タニス「大勢を引き連れていけば奇襲を悟られる。まず我々で水門を制圧し、その後本隊を突撃させる。」

 

ベグニオン兵B「しかし、敵兵力が多い場合は?」

 

タニス「事前に偵察済だ。ここの警備に兵士はあまり割かれてない。もうすぐ着く。息を潜めろ。」

 

水門付近に近づき、警備の兵士と駐屯所を確認する。

 

タニス(敵は5、6人程度.....よし。)

 

タニス「行くぞ。迅速にこの場を制圧する!」

 

ベクニオン兵『はっ!』

 

一気に姿を現し、油断していた見張りの兵を殺す。

 

ベグニオン兵C「動くな!武器を捨て手を上げろ!」

 

駐屯所にいた兵士も制圧し、水門の制圧に成功する。

 

タニス「合図を送れ!ここの防御を厚くするんだ!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

狼煙を上げ、制圧の合図を送る。それを確認した残りの兵が一気に水門まで登ってくる。

 

タニス「これで本隊にも制圧したことは伝わったはず。我々はここで待機!水門を取り返しに来るデイン兵を迎え撃て!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

タニス(しかし妙だな....あまりにも上手くいきすぎている。)

 

仮にも水門、ここを制圧されれば水の供給を絶たれる事にもなる。そのような要所の警備がたったの6人。20人いれば奇襲は成功してしまう。

 

ベグニオン兵B「タニス将軍!」

 

タニス「何だ?」

 

ベグニオン兵B「それが....水門付近の洞窟らしき場所に、人が.....」

 

タニス「敵兵士か?」

 

ベグニオン兵B「いえ、それが....」

 

タニス「なんだ、はっきり言え。」

 

ベグニオン兵B「....村民です。避難しているであろう、非戦闘員がいました。」

 

タニス「何だと!?偵察の時にそんな影は.....」

 

ベグニオン兵C「タニス将軍!ご報告申し上げます!」

 

タニス「今度は何だ!?」

 

ベグニオン兵C「山麓から....【四駿】のプラハ殿が登ってきています!」

 

タニス「くそ.....謀られたか。迎撃する。村民は一旦放置する!先にプラハを迎え撃つ!各員、戦闘態勢に入れ!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

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デイン軍 シハラムside

 

シハラム「..........」

 

竜騎士を待機させながら、シハラムはしわの入った眉に手を当てる。

 

竜騎兵「将軍.....」

 

シハラム「仕方ない.....これも、作戦なのだ。」

 


さかのぼること3時間前、シハラムはプラハからとある命令を下されていた。

 

 

プラハ『あぁそうだ.....住民を水門付近に避難させな。出来れば、水門を開けた途端水に飲み込まれる場所で。』

 

シハラム『な、何をおっしゃられる!?住民に死ねと申されるのか!!』

 

プラハ『勿論ただ死んでもらう訳じゃないさ。今しがた入ってきた情報によれば、あちら側は水門を制圧するつもりらしい。』

 

シハラム『....それがどうされたのか?』

 

プラハ『要は、相手はこっち側に水門を開けて攻城戦の遅延をしようっていう策を封じようとしてる訳さ。』

 

シハラム『なぜそこまで分かられる?』

 

プラハ『魔道将軍は未来を見る.....この言葉、聞いてない訳じゃないだろ?デインにいれば嫌でも耳に入る話さ。』

 

シハラム『......水門を開ける策を読んでいる、と。』

 

プラハ『そう考えて妥当だろうね。弱小なクリミアには勿体無い人材だよ全く....そこでだ、水門付近に住民を避難させる。』

 

シハラム『彼らを盾にすると?』

 

プラハ『違うさ。住民を捕縛して脅迫してるって噂を流す。お優しいあちら側の事だ、非戦闘員が後ろにいればそれらを守るために戦う。』

 

シハラム『........』

 

プラハ『そこをこっちが....あたしが単騎で落とす。どうせ奇襲、本隊はあんた達を落としに来るだろうね。』

 

シハラム『まさか......我々を捨て石にするのか。』

 

プラハ『それが何か?アシュナード様ですら倒せてないあいつを、あんた達が落とせるとでも?』

 

シハラム『.....作戦の全容を聞こう。』

 

プラハ『妙に従順だね、それでいい。私が単騎で水門を制圧した後は、水門を開けて住民ごと死んでもらう。そしてそれを全てあいつら側が行った虐殺行為として流布する。つまり構図としては、『残虐非道な行為をしようとしたクリミア軍にあたしが報復、シハラム将軍率いる竜騎兵団は、卑怯なクリミア軍に一矢報いようと突撃するも全滅。』....どうだい?あんたにしては名誉ある死に方だろう?』

 

 

シハラム『賛同できぬ....そのような嘘にまみれた栄誉など.....』

 

プラハ『抜かすんじゃないよ!!相手がどれだけ強いかは分かってるんだろ!?ならこっちも手段なんて選んでられないってのがまだ分からないのかい!?』

 

シハラム『.....!!!!』

 

プラハ『それにあたしは【四駿】、あたしの命令を無視することは規律違反。従うしか選択肢が無いのが分かる?』

 

シハラム『......承知した。その策に従い...ましょう....』

 

プラハ『ふん、最初からそう言えば良かったんだよ。編成しときな。いつでもいいように。』


シハラム「ぐっ.....!!!」

 

血が出るほどに唇を噛む。軍人として、手を汚す覚悟は出来ていても、このような汚し方をしたくはなかった。その後悔の念がシハラムを悩ませる。

 

デイン兵「将軍!ご報告します!水門付近から狼煙が上がっております!」

 

シハラム「来たか....出撃する。一刻も早く、クリミアを倒すのだ!」

 

デイン兵『はっ!』

 

 

ハール「.....本当にこれで良かったんですか?......シハラム殿。」

 

シハラム「国王の信を得るには非情冷酷であらねばならん。我らがこの国で与えられた任務は.....ラグズの乱獲、駆逐.....そして....よりによって領民の暮らすこの土地を水没させることの手助けか.......」

 

ハール「シハラム殿.....この国で『ラグズ』なんて言葉を使うとたちまち逆賊としてひったてられますよ。」

 

シハラム「......フッ、そうだな。極端な反ラグズ思想を持つこの国で暮らすため......これまでの知識を封印し、我が子には徹底的に“半獣”を憎むよう教育を施した。子供に思想を植え付ける愚かな行いではある......ただ、この国で生き延びるために......」

 

全て愚かで、誤った行いであることは重々に承知していた。しかし、この国で生きていくことを決めたことは自分自身であり、自分の娘に自分が持つ知識をそのまま与えれば.....即異端扱いを受け、罰せられていたことは明確であった。それを見過ごせるほど、父親として冷酷にはなれなかった。

 

ハール「......アシュナードのせいで、この国がこうなってしまったことは大誤算でしたが.....それでも、俺は....元老院の汚職への加担を厭い......ベグニオンを捨てたあなたの志を.....支持しますよ。」

 

シハラム「ジルは......クリミア軍を離れただろうか?」

 

ハール「一応、忠告はしておきました。言い返されましたけどね。」

 

シハラム「そうか.....娘と戦うことだけは.....避けたい。」

 

ハール「戦うことはどうかは知りませんが....必ずシハラム殿に会いに来るとは思いますよ。」

 

シハラム「ジルはお前に何と言い返した?」

 

ハール「『そのご忠告、今回ばかりは聞けません。父上に会い、選択したいと思います。それが私に親しくしてくれた友と交わした約束への、せめてもの礼儀です。』との事です。見違えてましたよ。」

 

シハラム「(良き友と出会えたようだな.....)1つだけ、頼まれてくれるか。」

 

ハール「なんなりと。」

 

シハラム「おまえは、戦いに参加するな。」

 

ハール「!?」

 

シハラム「勝負がついたのち......我が隊が敗れたなら......生き残った者と.....その家族たちを頼む。」

 

ハール「はっ!.......シハラム隊長。」

 

シハラム「隊長か.......おまえにそう呼ばれたのは.....何年ぶりだろうな。」

 

ハール「ご武運を。そして......長い間.....お世話になりました…!」

 

シハラム「......うむ.....」

 

ハールに撤退を促し、真正面から来るクリミア軍を見据える。対峙するのにもう数分もない距離に来ていた。

 

シハラム(魔道将軍殿....そなたの水門を制圧する策に感謝しますぞ。それと同時に....あなたを討たせてもらう。)

 

トマホークを握りしめ、周りに待機している部下たちを一瞥する。

 

シハラム「行くぞ....偽りの名誉とて構わぬ。.....せめて、騎士として、領地を治める者として、不法侵入を犯した者を倒す!総員突撃!」

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エイリスside

 

エイリス「時間との勝負だ!この一瞬でケリをつける!進め!」

 

最前線で指揮を取りながら、次々に目の前にいる敵兵を蹴散らす。

 

ジル「.....将軍殿。行ってまいります。」

 

エイリス「分かった....ミカヤ、サザ、頼んだぞ。」

 

レテ「不安だ...おい、私も行く。いや、行かせてもらうぞ。」

 

エイリス「構わない。行ってくれ。」

 

ジルが少し高く浮上し、シハラムの元へ龍を進める。ミカヤとサザ、レテもそれについていくように少し先行した。

 

 

 

ベグニオン兵「ご報告申し上げます!!水門の麓から【四駿】のプラハ殿が単騎突撃!現在タニス殿率いる帝国軍と交戦中にございます!」

 

エイリス「やっぱり来たか....ネフェニー、頼んだぞ。」

 

ネフェニー「うん....」

 

ネフェニーを別働隊として派遣し、目の前の相手に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

シハラム「ジル、来たか.....」

 

ジル「父上.....」

 

ジルとシハラムが対面する。

 

デイン兵「ジルお嬢様!ハール殿だけでなく、父上を裏切られるとは...!!」

 

シハラム「.....口を慎め。」

 

デイン兵「はっ......申し訳ありません。」

 

シハラム「お前たちは先に前進せよ.....2人で話がしたい。」

 

デイン兵「し、しかし将軍!後ろに敵兵が2人と、半獣が1匹います!これでは....」

 

シハラム「構わぬ。事実、そこの御仁達は何も構えていない。....良いな?」

 

デイン兵「.....!!!はっ!」

 

周りにいた竜騎兵達に出撃命令を出し、ジルを再び見据える。

 

シハラム「ジル....見違えるように成長したな。」

 

ジル「父上こそ....何があったのですか?随分と思い詰めた顔をしていますが.....」

 

シハラム「ジル.....後ろにそのはん....ラグズは、お前の仲間か?」

 

ジル「!!!.....父上、どうしてそれを.....それに今ラグズと....」

 

シハラム「ジル....お前には全て話さねばならぬ。......私は元ベグニオン聖竜騎士団にいた。」

 

ジル「はい.....それはタニス殿から聞きました。」

 

シハラム「タニス、か.....聖天馬騎士団にいたあの気性の強い女か。聖天馬騎士団とはよく共に戦い、ベグニオンを守ったものだ.....だが、帝国は汚職に塗れていた。元老院同士の不正な取引、反神使派、奴隷解放令が出たにも関わらずラグズを奴隷として酷使する貴族たち......私は、それを仕方ないと済ませられるほど大人では無かったのだ。」

 

ジル「......」

 

シハラム「結果として、私は当時の部下たちを引き連れベグニオンから抜け、ここデインに士官することになった。ラグズへの差別が厳しいが、軍に規律があり実力主義であった.....アシュナード王に変わられてからは全てが変わったが、私はここに忠誠を尽くすことにしたのだ。」

 

ジル「そうだったのですか.....」

 

シハラム「そしてお前が産まれ、ある選択をしなければならなかった。この国は大陸で最もラグズを差別する国....もしラグズなどと正式な名前で呼ぼうものなら、すなわち反逆者として処罰される程に、だ。だから私は、お前がこの国で生きていく為に、私の持つ知識を封じて徹底的な反ラグズ教育を施した。その結果、お前はデインの立派な騎士になったのだ。」

 

ジル「......!!!」

 

シハラム「.....許して欲しいとは言わぬ。全ては正義を貫く事の出来なかった、この愚かな父親の責任だ.....」

 

ジル「父上....父上は何も間違っていません。父上はデインに忠誠を誓った身。であるならば、父上がデインの意向に沿って教育を施すのは、兵士として当然の役割です。」

 

シハラム「そうか、そう言ってくれるか......お前を、ベグニオンで産んでいれば、そうはならなかっただろう......」

 

ジル「父上、ご自分を悪く言うのはおやめ下さい。私も、この目でベグニオンの汚職と内政事情は確認しました。実際.....この軍の将軍代理であるエイリス殿は、反神使派の頭角であるルカン殿と対峙し、ベグニオン神使を陰謀の魔の手から救われました。」

 

シハラム「.....それか真実か?」

 

ジル「はい。」

 

シハラム「そうか.....そうであったか.....(これならば、娘の心配をする必要も無いようだ)」

 

ジル「父上....?どうされました?」

 

シハラム「何でもない。幾多の修羅場を乗り越え、成長したのだな......」

 

ジル「......」

 

シハラム「ジル....水門の方に【四駿】のプラハ殿が向かった。そしてその付近には領民もいる.....分かるな?」

 

ジル「まさか...父上....!!!」

 

シハラム「私は....その命令に従ったのだ。これから、領民を見殺しにする覚悟ももう出来ておる。」

 

ジル「そんな.....」

 

シハラム「これを止める方法は1つ....私を討つ事だ。どうするジル.....時間は無い。ここから先、どうするか決めて欲しい。」

 

ジル「......」

 

シハラム「どちらを選んでも構わぬ。だが敵になるなら、父を手にかける覚悟をせよ。」

 

ジルはミカヤとサザ、レテを一瞥し、再び父を見据える。利でもない、生存戦略でもない、忠義でもない......付くか付かないか、ただそれだけだった。

 

ジル「......父上、率直に結論を申し上げます。私.....私、ジル・フィザットはこれよりシハラム・フィザットを敵とみなし、戦います。」

 

シハラム「そうか......」

 

ジル「私には、友と交わした約束があるのです....そして、この戦いの中で私は幾度となく、自らの選択から逃げ、ずっと命令されるがままに生きてきました......しかし、そんな私を正面から見据え、叱ったり慰めてくれた人がいるのです。そしてそれは、今私の下にいる2人に限りません...あのラグズも、アイク将軍の妹も......私は、私を狭い世界から救ってくれた御仁達を護る為に、約束を果たす為に戦います。ですので父上....お手向かい致します。どうかお許しを.....」

 

シハラム「構わぬ。自らそう決めたのであろう。構えろジル....ここからは敵同士だ。もう許しを乞うことも、泣くことも許さぬ。覚悟せよ!」

 

ジル「.....決着を付けます。」

 

両者が斧を握り、距離を取り始める。

 

デイン兵「!!....いけません、将軍!」

 

しかし、シハラムを援護しようと近くにいた竜騎兵達が近寄ってくる。

 

サザ「近づくな!」

 

ミカヤ「この2人の戦いは....邪魔させないわ。」

 

レテ「お前たちの相手は私たちだ。覚悟しろ!」

 

サザは短剣を投げ、ミカヤはパージで竜を怯ませ、レテは直接飛び上がって襲いかかる。

 

シハラム「お前たちはその3人を相手をしろ。この竜騎兵は....私1人で討つ。手を出すな。」

 

デイン兵「しかし、将軍.....」

 

シハラム「命令が聞こえぬのか!!もうこの者は敵だ!私に構う必要はない!」

 

デイン兵『はっ!』

 

竜騎士は3人の追撃に当たり、シハラムはジルを見据え、斧を振り上げる。

 

ジル「父上....いや、シハラム・ウィザット将軍、いざ参る!」

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帝国軍side

 

タニス「くっ...やはり強い...!!!」

 

プラハ「お前たちごときであたしが止められるとでも思ってるのかい!」

 

ベグニオン兵「ぐぁっ!」

 

プラハの猛攻の前に、帝国軍の兵士が1人、また1人と倒れていく。帝国軍も攻撃をしかけてはいるが、プラハにそれといったダメージが与えられていない。

 

ベグニオン兵C「タニス将軍!被害甚大です!撤退命令を!」

 

タニス「ダメだ!ここを許せば、味方もろともこの水門から出る水に巻き込まれて壊滅する!」

 

ベグニオン兵C「し、しかし我々では....!!!」

 

タニスも頭の中では撤退が正解だということは分かっていた。だがここを通せば作戦は失敗に終わるだけでなく、水害の被害が敵味方、そして領民に及ぶ。通すことだけは許されなかった。

 

タニス(どうする.....こういう時、シグルーン隊長なら、エイリス殿なら.....)

 

シグルーンとエイリスなら、おそらく単機でプラハを食い止め、残りの戦力で他に当たる.....それ以外タニスには思いつかなかった。

 

タニス(ここを死に場所としたくは無かったが....背に腹はかえられない。)

 

ベグニオン兵A・B『喰らえ!』

 

プラハ「ちっ....厄介な奴らめ。」

 

命令を口にしようとした瞬間、兵士2名がプラハを一瞬ではあるが怯ませた。

 

ベグニオン兵A「怯むな!この任務は、魔道将軍殿が我々帝国軍を信頼し、配置された重要な任務である!!敵がたとえ【四駿】であろうと、我々帝国軍人が屈してはならぬのだ!!」

 

ベグニオン兵B「タニス将軍、ご命令を。我々帝国軍兵士、この場でたとえ全滅しようとも任務を続行いたします。」

 

気づくと、目の前の帝国軍兵士の顔色が変わっていた。先程まで撤退を促したり、弱腰になっていた兵士たちも、覚悟を決めた顔をしていた。

 

タニス「.....すまなかった。お前たちの覚悟は、よく分かった。.....旗を振れ!」

 

命令と共に兵士の1人が、ベグニオン帝国軍の旗を高々と掲げ、大きく振る。

 

タニス「この場で何としてでも......本隊が敵将を討ち取り戦いを終わらせるまでなんとしてでも耐える!!そして.....【四駿】を討ち取り我々の威信を奴らに見せてやるのだ!!!」

 

帝国軍兵士『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

タニス「この旗に誓え!我々帝国軍、必ずや領民を守り抜き、任務を果たし、奴を討ち取ると!!!」

 

帝国軍兵士『はっ!』

 

帝国軍兵士達の士気が一気に上がり、タニス自身も剣を抜き、臨戦態勢に入る。

 

タニス「行くぞ!!!」

 

一斉の突撃によってプラハの馬を怯ませ、プラハに攻撃を当てる。

 

プラハ「ちっ...弱っちい奴らがいい気になってるんじゃないよ!!!」

 

プラハも負けてはおらず、フレイムランスを一閃して帝国軍を蹴散らしタニス達と距離をとる。

 

プラハ「あたしはね....お前らのような弱っちい癖に一丁前に気取ってる奴らが大嫌いなんだよ!!心の底からね!!殺すだけじゃ足りない.....四肢を切断して指を切り落とし、これ以上ない屈辱をあじあわせてやる!!!」

 

血管が浮き出るほどの怒りの形相をしたプラハが、今度は帝国軍に突撃し、兵士を次々となぎ倒していく。

 

タニス「はぁぁぁぁ!!!」

 

プラハ「ちっ!!!ちょっとは出来るやつが来たかい。」

 

タニスの突撃を上手く受け止め、はじき返す。

 

プラハ「いいねぇ....まずはお前から倒してやるよ。他の兵士共は後でどうとでもしてやるさ。」

 

タニス「たわけが。わざわざ倒されるために前に出てきた訳が無いだろう。」

 

フレイムランスと銀の剣が何度も撃ち合い、激しい攻防戦が繰り広げられる。

 

タニス「ちっ....やはり槍には不利か。」

 

プラハ「剣でここまでやりあった事は褒めてあげるよ。でも、相手があたしだったことを後悔しながら....死にな!」

 

タニス「ぐっ...!!!!」

 

フレイムランスの激しい一撃がタニスに当たり、重傷を負う。

 

プラハ「とどめだ。」

 

プラハが槍を振り下ろした。......が、それはタニスに当たらなかった。あと数mmの所で止まった。

 

プラハ「ちっ.....もう来たってのかい。」

 

 

 

 

 

ネフェニー「ごめん....救援が遅れた。」

 

ベグニオン兵B「今のうちだ。」

 

ネフェニーがプラハを牽制している間に、兵士たちがタニスとペガサスを担ぎ後ろに下がる。

 

ネフェニー「数年ぶり....かな。」

 

プラハ「ふん....あの時は仕留め損なったが、今度こそあんたの首をはねてやるよ。農民風情が。」

 

ネフェニー「農民....?じゃあ農民に首切られるあんたは.....何なんだろうね。」

 

プラハ「言うじゃないか。」

 

ネフェニーの煽りと共に、フレイムランスとゼーンズフトが激しく打ち合う。数十合打ち合うがどちらにも傷がつかない。

 

プラハ「まぁ....ちんたらしてくれてたおかげで、こっちも準備が整ったけどね。」

 

ネフェニー「なに.....?」

 

そしてプラハの後ろや横からデイン兵がぞろぞろと湧き出る。プラハで注目させてる間に静かに忍び寄ってきていた。

 

ベグニオン兵A「ネフェニー殿。」

 

ネフェニー「何?」

 

ベグニオン兵A「あの者の相手は....申し訳ありません。お頼み申します。我々では....勝てません。」

 

ネフェニー「ん.....それはいい。強くなって次勝てば、いいだけ。」

 

ベグニオン兵A「その代わり....我々が今出てきた増援を片付けます。」

 

ネフェニー「任せた...それと、タニス将軍を、無事に撤退させて.....」

 

ベグニオン兵A「はっ!了解いたしました。」

 

帝国軍はその命令を全体に通達させ、包囲の一部分を破ってタニスを拠点に移送し始める。

 

ベグニオン兵A「作戦変更!これより、急遽現れた増援を殲滅する!これより先1人も死ぬな!生きて、この死地を突破するのだ!!!」

 

帝国軍も奮起し、果敢にデイン軍に突撃し、互角以上の勝負を繰り広げる。

 

プラハ「へぇ、あたしを倒すとか言っておいてこれかい。だから弱っちいのは嫌いなんだよ!!」

 

ネフェニー「即座に状況に応じて動ける....プライドより、大事。」

 

プラハの煽りを即切り返し、ネフェニーがプラハを帝国軍から遠ざける。

 

プラハ「もったいないねぇ!あんたも、あの魔道将軍も!クリミアじゃもったいない!」

 

ネフェニー「....あの人に尽くす、ただそれだけ...信じてくれるから。」

 

槍の打ち合いが更に激しくなり、周りのデイン兵も巻き込みながら戦いが続く。

 

ベグニオン兵B(これが『戦乙女』と【四駿】の戦い.....強い。格が違う。)

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ジルside

 

ジル「はぁ!!」

 

シハラム「単純だ。聞かぬ。」

 

ジルの斧をいなし、追撃をジルに当て続ける。

 

ジル(くっ...やはり父上だ....強い....)

 

シハラム「娘とて油断せぬ!!そのような甘い戦い方を教えた覚えはないぞ!!」

 

激しい追撃をくらい、おされる。シハラムの攻撃をなんとか急所に当てないだけでジルには精一杯だった。

 

ジル(正面からでは勝てない....ならば!!)

 

斧を大きく振り、竜を後ろに引かせ、高度を一気に上げる。

 

シハラム(急降下、か.....基本に忠実な戦い方だ。)

 

竜騎士は騎馬と異なり、機動力の他に空間的な上下が追加される。またペガサスと異なり、竜は力強い為に、その上昇や降下のスピードが大きい。そのため竜騎士を目指す人間は、まずペガサスに乗って空中の戦闘に慣れてからドラゴンに乗り、竜騎士となる。急降下はその中で、竜騎士が強襲をする為に覚える基本的な動きである。

 

ジル(父上に正面からは勝てない.....危ないが、やるしかない!!)

 

手網を握り、急降下でシハラムに接近する。それと同時に、手網から手を離して鐙に全ての体重をかけ、ドラゴンの上で立ち上がる。

 

シハラム「何をする気だ......?」

 

ジル「う......うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

シハラムに突撃する直前で鐙から足を離し、シハラムのドラゴンに向かって飛び降り、斧を振るう。

 

シハラム「ぐっ......!!!」

 

急降下と相まって、ジルの攻撃を防御するも、トマホークは壊れ、持っていた腕は綺麗に切り落とされた。

 

ジル「その首、頂戴します!!」

 

そしてシハラムが動揺している隙を突いて、斧を横に振るい、首を切り落とす。

 

ジル「(父上....お許しを.....)ジル・フィザット、デイン軍の将軍が1人、シハラム・フィザットを討ち取った!!我々の勝利だ!!!!」

 

ジルの大きな勝鬨が戦場に響き、デイン軍の攻勢が弱まる。

 

 

 

 

 

プラハ「ちっ!やられやがって.......撤退だ!もう水門を開ける意味もなくなった!」

 

プラハも撤退命令を下し、デイン軍は撤退を開始する。

 

ベグニオン兵A「追撃しますか?」

 

ネフェニー「ううん....追撃する余裕はない。生存者の確認と、負傷者の移送を.....」

 

ベグニオン兵A「はっ、了解しました。」

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数時間後

 

デイン軍は完全に撤退し、領民を一旦、水門付近の洞窟から集落に返した。

 

領民「私たちを殺す気なんだろ!!」

 

エイリス「そんな余裕、こっちには無いので。.....皆さんは今からベグニオンの統治下に置かれます。戦争が終わり次第、デインに統治権を戻しますので、暫くはこちらの指示に従ってください。」

 

領民「よくもシハラム様を.....!!!なんであんないい人が.....!!!」

 

領民「しかも、シハラム様の娘が殺したらしいじゃないか!!親子を衝突させるなんて、悪趣味にも程があるよ!!」

 

エイリス「こっちからは特に危害を加えるつもりはありません。......とりあえず、2日間、皆さんに謹慎処分を下します。こちらも、色々やる事がありますので、大人しくしておいてください。」

 

領民を各々の家に帰らせ、目の前には血と死体と朝焼けだけが残った。

 

エイリス「さて.....この将軍は、ベグニオンからデインに移り、デインに忠誠を捧げ、散っていった......言いたいことは、分かるか?」

 

ベグニオン兵C「弔う、という事でしょうか。」

 

エイリス「それくらいしか、今はできる事が無いよな....領民に対する、危害を加えないという示しは作っておかなきゃな.....」

 

ベグニオン兵C「了解しました。」

 

周りに散らばっているシハラムの配下の兵士の死体を集め、それぞれを棺桶に入れて土葬する。当然、隣で倒れている竜も同じく埋める。

 

エイリス(ジルは.......)

 

ジルを一瞥すると、シハラムの身体と首を棺桶に収め、その前で涙を流している。戦で仕方ないとはいえ.....酷なことをさせたな。

 

 

 

 

 

ジル「う、うぅ.......」

 

サザ「そう泣くな。自分で決めた事だろ。」

 

ミカヤ「サザ、今は.....」

 

ジル「いや....分かってはいるんだ。覚悟はしたし、命を懸けた戦い方をしてようやく勝てた......ただ、やはり父上なんだ......敵じゃ、ないんだ......」

 

 

首を切り落とす直前、シハラムはこちらを見て....少し微笑んでいた。ジルにはその意味があまり分からなかったが、切り落とした後の顔も、その時とあまり変わらない顔であった。

 

ジル「恐らくだが....最後の最後で、私の攻撃を受け入れた......」

 

ミカヤ「ジル.....」

 

サザ「娘、だからな.....お前には、生きていて欲しかったんだろうな。」

 

ミカヤ「.........」

 

サザ「家族同士の殺し合い.....俺達も、お前にかなり酷なことをさせたな。」

 

ジル「いや、いいんだ.....誰かにやられる位なら.......」

 

涙を拭うも、涙が再び溢れる。覚悟もした、仕方のない事だった、こうしなければ他の誰かが殺していた.......理屈では分かっていても、どうしても心が納得してくれなかった。

 

ジル「情けないな.....私は......」

 

ミカヤ「女神様は.....流した涙の分だけ、その魂に慈悲を与えてくれるそうよ......情けなくなんかない。今は泣いていいのよ。今は......」

 

ジル「う、うぅ....すまない......」

 

サザ「謝るな。今のうちに、弔ってやれ。」

 

 

 

 

 

エイリス「.....後は頼んだ。俺は戦後処理に当たる。」

 

レテ「あぁ、あの3人は私が見ておく。お前は仕事にかかれ。.....自由にさせておいた方がいい。今はな。」

 

エイリス「悪いな。」

 

3人をレテに任せ、俺は戦後処理に当たった。本隊にはほとんどダメージは無かったが、帝国軍は甚大な被害を被っていた。タニスは重傷こそ負ったものの、治療すれば治ることが分かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハールside

 

ハール「1、2、3......しめて5人か。よく生き残ったほうだ。ジルが早期に討ち取ったことが響いたか......」

 

ダルレカの街の外れの森で、ハールは生存者を集めた。ジルがシハラムに特攻したことも相まってか、全滅する前に戦いに決着がついた。

 

デイン兵「ハール隊長......私たちは、どうすれば.....シハラム将軍を失い、住む家を失い......家族をどうすれば......」

 

ハール「おまえたちは、これからどうしたい?この土地は.....俺たちをまだ受け入れてくれるが......すぐにベグニオンの統治下になるだろうな。ベグニオンに戻るか、クリミアの仲間になるか.......」

 

デイン兵「将軍に手を下した.....クリミアの軍門に降ることだけは......どうしても......」

 

ハール「ジルの下でも、か。」

 

デイン兵「はい....裏切り者と罵った今、ジルお嬢様に会わせる顔などありません......」

 

ハール「じゃあ、ベグニオンに戻るしかないか......歓迎はされんだろうが......聖天馬騎士団に古い知り合いがいる。そいつを頼るとするか。」

 

デイン兵「うっ.....うっ.....わたしたちの18年の生活は......なんだったのでしょうね......」

 

ハール「.......言うな。それを察してるからあっちも丁重に弔ったんだ.......これまでの事が無駄だったとしても.....領民を巻き込む戦術に従わざるを得なかったとしても.......俺にとってあの人の部下だったことは誇りだ。」

 

デイン兵「私も....私も.....」




ここのジルとシハラムのやりとりって、トラキアのオルエンとラインハルトとのやりとりと似てるんですよね。条件次第で裏切るということを除いたら。


なんか途中で竜騎士の戦い方、とか偉そうな表現出てきてますけど、基本的には作者の妄想と、本家のゲーム内のドラゴンナイトの攻撃モーションから考察したものです。はい。それだけです。本家のどこかにこれに関する説明があったら教えてクレメンス......

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