《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
基本PS2版ですが、PS版で出てきたりするモンスターなども出てきます。
第一話
「ふわぁぁぁ〜! 平和だなぁ」
セインガルド王国一般兵のエドワード・シュリンプ十八歳。彼は王都ダリルシェイドで警備兵を務めている新米兵士である。
まだ二年目だが、毎日ダリルシェイドを見回っているだけの仕事に嫌気が差してきていた。
「おい、エド! そんなこと言ってると先輩達にドヤされちゃうぜ! もっとしっかりしろ!」
「分かってるんだけどさぁ。どうせ相手するのってスリとか酔っ払いとかだろ? そんなんじゃ物足りないよ」
エドワードの気の抜けた声を嗜める同僚。だが、憧れていた仕事とのギャップにエドワードは不満を隠せず文句を言ってしまう。
同僚も同じ気持ちではあるのだ。憧れていたセインガルドの兵士がこんな退屈な仕事でいいのかと思ってしまっている。
だが、自分たちがやることがないというのは平和の証だということなのも自覚しているので、文句を言っているエドワードも決して先輩達の前では不満を見せないようにしている。
「それにしても聞いたか? ついにあのオベロン社の息子が王国客員剣士になるそうだぞ」
「ああ、聞いたよ。確か……名前はリオン・マグナスだっけ?」
“様”を付けろと同僚に叱られるエドワードだが、そこら辺が少し緩めの人間のため同僚の言葉を無視して話を続ける。
「で、その王国客員剣士ってどれくらい強いの?」
「それが将来の七将軍の一人って言われるくらいで、現時点でも七将軍よりも強いと言われているぞ」
「……まじかよ。俺らよりも年下だったよな?」
「ああ。三歳下だって話だ」
エドワードはそんなリオンと戦ってみたいと思っていた。彼は同僚の中でも剣の腕前がずば抜けており、先輩の中でもエドワードに勝てる人間は少なかった。
強さに自信のあったエドワードはセインガルドの兵士になって、強者との訓練に明け暮れたいと門戸を叩いたのであったのだ。
だが、周りは自分よりも強くない人が多く、しかも普段は見回りばかりなので不満が出てしまっても仕方がないのであろう。
だが、エドワードは腐ることなく訓練を積み、いずれは己の剣の腕前で七将軍になってみせると思っている。
そのために日々の業務も退屈ではあるが真面目にこなしているのであった。
◇◇◇◇◇
『……俺の声が聞こえるのか!? 頼む! 助けてくれ! 俺はここだ!』
その夜、エドワードは夢を見ていた。
そして、いつも自分に助けを呼ぶ声がする夢を見るのだ。
(また、この夢か……)
そして、その夢のあとは必ず同じ場面に飛ぶ。
『じゃからと言ってそれで己の道を過つとは……』
『それでもソーディアンマスターか!』
『なんとでも……言うがいい……。僕は……自分のしたことに一片の後悔もない』
──たとえ何度生まれ変わっても、必ず同じ道を選ぶ。
そして、さらに場面は飛び、
『それとスタン。お前は僕を友達呼ばわりするが、僕はそんなもの受け入れた覚えはない。
僕はお前のように能天気で、図々しくて、馴れ馴れしい奴が……大嫌いだ……』
──だから……あとは任せた。
洞窟に水が入り込み、座りながら水に沈んでいく黒髪の少年を見る。
その場面を最後に夢から醒めるのであった。
(なんで毎日この夢を見るんだ……? 妙にリアル過ぎて実際に起こったことなのではないかと思っちゃうじゃないか)
毎日見るこの夢をなぜか本当に起こったことなのではと不安に思ってしまうエドワード。
黒髪の少年は誰なのか。そして彼と対峙していた人たちは誰なのか。
──最後に自分を呼ぶ声はなんなのか。
分からないことばかりでモヤモヤしながら毎日を過ごすエドワードであった。
◇◇◇◇◇
(でも……初めの頃に比べて、かなりはっきりと見えるようになってきたな)
夢を見始めていた頃は、助けてくれと呼ぶ声もほとんど聞こえず、黒髪の少年たちの顔すらぼやけていた。
だが、今では声もはっきり聞こえるどころか、その声がする場所にも心当たりが出るくらいはっきりとわかる。
そして黒髪の少年たちの顔も声もはっきりと分かるので、会えば絶対に気付くことが出来るであろうと感じていた。
「隙あり!!」
「……ぐっ!?」
エドワードの左腕に衝撃が加わる。
左腕を抑えて、そのまま蹲るエドワード。そして首元に木剣が添えられるのであった。
「そこまで!」
エドワードは現在城の訓練場で模擬戦の最中であった。
考え事をしていたため、対戦相手に隙を突かれ負けてしまった。
「おい、エドワード。大丈夫か? 模擬戦の最中に考え事なんて珍しいが、集中力を切らすと死ぬぞ」
「す、すみません……」
「……もういい。今日は端っこで見学してろ。集中していない奴に怪我されても困るからな」
審判をしていた先輩に叱られ、トボトボと訓練場の端っこに歩いていく。
壁を背もたれにして座り込むエドワード。しかし夢の内容が気になって仕方がないので、さらに考え込むのであった。
「エド。何か悩んでいるのか? 俺でよかったら話を聞くぞ?」
仲の良い同僚が心配して話しかけてくれるが、エドワードは「心配ない」と笑いかけて話を終えようとする。
だが、いつもと全く違うエドワードをそのままにしておけなかった同僚は先輩に見学する許可を取り、エドワードの横に座り込む。
「そんな顔して心配ないって言われても、放っておけるわけないだろ」
「フリック…」
「話せる範囲でいいから言ってみろよ。話すだけでも案外スッキリすることだってあるんだぜ?」
そう言う
「夢を、見るんだ……」
「……夢?」
「そう、夢。俺に”助けてくれ”って言うんだ。初めは場所も分からなかったんだが、今ではどこなのかもはっきりと分かるようになった」
「……そうか。それでそこに行ってみたいってことか?」
「…………うん」
フリックは考え込む。セインガルドの兵士は休みが少ない。週に一度あるが、まとまって休みを取ることが出来ないのだ。
だからエドワードが行きたいと悩んでいる場所は一日の休みで行ける距離では無いのかもしれないと察した。
「……よし。分かった。じゃあそこに行ってこいよ」
「ああ、やっぱりそんなところに行く時間もないし……え?」
「だからそこまで気になるなら行ってこいって言ったんだよ」
「……でも休みなんてそんなに簡単に取れないじゃないか」
そこは俺に任せろと言って、訓練後に上司の元へと行くフリックを見送る。
──数日後、エドワードに一週間の長期休暇の許可が下りたのであった。
そのまた何日か後にエドワード別の同僚から、「フリックは上司に
そして運命の日が訪れる。
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