《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第十一話

 ──────エドワード・シュリンプ、セインガルド王国兵士の職を解き、セインガルド王国客員剣士とする──────

 

 この辞令を見たとき、エドワードは思わず二度見をした。

 兵士として出世を狙っていたエドワードにとって、客員剣士になるとは思っていなかったからだ。

 確かに立場としてはかなり上がったようだが、兵士ではない以上、どうしても不安が残る。

 

「これって……俺は何をすればいいんだろ……?」

 

 エドワードは生活面の安定もだが、そもそも王国客員剣士が何をするのかを分かっていなかった。

 

「おう、来たか。エドワード・シュリンプよ」

「え……ニコラス将軍!?」

 

 後ろから話しかけられたので振り向くと、そこにはセインガルド七将軍の一人であるニコラス・ルウェインがいた。

 今日は驚きの連続である。まさかわざわざニコラスがエドワードのために来るとは思っていなかったからだ。

 

「その辞令を見たか?」

「は、はい! 先ほど確認しました!」

「そうかそうか。実はそのことで話があってな。儂の部屋に来てもらおうか」

 

 そう言うとニコラスはそのまま歩いていってしまう。エドワードは慌ててニコラスについていく。

 部屋に着くと、ソファーに座るように促されたため、座ってニコラスの言葉を待つ。

 

「あの辞令の話の前に……武術大会は見事じゃったの。お主を推薦して良かったわい」

「あ、ありがとうございます!」

「リオン・マグナス一強(いっきょう)で圧勝となると言われていたからな。ほぼ互角の勝負が出来ていたのは、儂としても鼻が高かったわ」

「は、はぁ」

 

 笑いながらエドワードを褒めるニコラス。だが、それよりも今は辞令についての話を聞きたいので、中途半端な返事しか出来なかった。 

 ニコラスはすぐにそれに気付き、本題に入る。

 

「悪いの。歳を取ると話が長くなっての。それで今回の辞令じゃが、あれは七将軍全員からの推薦で決まったことじゃ」

「そ、そうだったのですか!?」

 

 エドワードは七将軍全員からの推薦で王国客員剣士となったことを聞かされて驚いた。

 本当であれば昇進するだけで終わっていたのだが、実は他にも理由があった。

 

「まぁ……実は他にも理由があっての。お主の持つ刀を見て、オベロン社総帥のヒューゴ殿がぜひにと話題に上げたのがきっかけなのじゃよ」

「ヒューゴ……様が? 」

「そうじゃ。お主の刀はソーディアンなのではないか?」

「……!?」

 

 ヒューゴに対し、なんて呼べばいいのか分からずに()を付けてみたエドワードだが、そのあとのニコラスの問い掛けに対し言葉として返すことが出来なかった。

 ニコラスは「あぁ、別に取り上げたりせんから気にするな」と言うが、答えていいものか分からなかった。

 

『エド、別に答えてもいいぞ。王家であれば、()()()()()()()()()の存在は知っていてもおかしくはないからな。セインガルド王からでも聞いたんだろう』

「……はい、時雨(しぐれ)という銘の刀で……ソーディアンです」

「やはりそうじゃったか。ヒューゴ殿がどこから知ったのか、第七のソーディアンのことを話題にしたとき、陛下が他言無用とのことでその存在があることを教えてくださったのじゃ。

それでソーディアンマスターであるならば、一般兵ではなく客員剣士として迎え入れたほうが何かと都合が良いということになったのが一番の理由じゃ」

 

 七将軍からの推薦は名目上として行われたことであり、今日この時点から王国客員剣士となることを命じられたのであった。

 しかし、何をすれば良いのかなど一切分かっていないエドワードは、ニコラスに正直に話した。

 

「ふむ……王国客員剣士とはセインガルドの兵士とは違って、従軍義務や日々の活動に制限がないのじゃよ。

その代わり、王族に剣術を教えたり、依頼があって様々なことを行うこともある。それ以外は訓練したりなど基本は自由じゃ」

 

 つまり、普段は自由にしていて構わないが、困ったときは働きなさいという便利屋扱いになる。

 その代わり、地位としては七将軍に次ぐほどの権限が与えられ、場合によっては兵士に対しての命令権なども持つ。

 エドワードとしても、修行の時間が増えるのであれば悪くない──むしろ良い──と考えた。

 

『エド、これは良い条件だな。何かあったときに動かないといけないのは面倒だが、今回みたいなことであればどっちにしても率先して動いてただろ?』

「……ありがとうございます。王国客員剣士として恥ずかしくない働きをしていきます」

「そうか! それなら儂も推薦した甲斐があったというものじゃ!」

 

 ニコラスは「儂が引退したときは七将軍の地位を譲ってやるぞ!」と笑いながら話していたが、エドワードは冗談と受け止めて、「まだお若いじゃないですか。色々とご指導をよろしくお願いいたします」と躱した。

 

(よし、じゃあ色々とあるけど、まずはリオンのところにでも行ってみるかな)

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「えっと……確かヒューゴ邸はここらへん……あ! あった!」

『でっかいなー!!』

 

 同じ王国客員剣士となったリオンに報告と挨拶を兼ねて訪ねてみることにしたエドワード。

 オベロン社総帥のヒューゴ・ジルクリストの息子ということなので、ヒューゴ邸に住んでいると聞き、地図を頼りに場所を探す。

 そして、見つけた先にあった家は、エドワードが住んでいる古い家と違って大きな屋敷であった。

 ヒューゴ邸に入ろうとしたところで、

 

「おい、ここはヒューゴ様のお屋敷だぞ。何の用だ?」

「あ……っと、私はエドワード・シュリンプと申しますが、リオンさんはいらっしゃいますでしょうか?」

「リオン様に……だと? アポイントは取っているのか?」

「え……アポイントは取っていないのですが、エドワードが来たと言ってもらえれば分かります」

「お前のような奴は聞いたことないわ! そんな怪しいやつをリオン様に会わせるわけにはいかぬ! 帰れ!」

 

 案の定、門前払いを食らうエドワード。警備としても当たり前の対応であった。

 口は悪いが、正しく仕事をしているのでエドワードも何も言えず引き下がる。

 

『え、帰っちゃうの?せっかく来たのに……』

「だって仕方ないだろ。警備の人をこれ以上困らせるわけにはいかないし」

 

 とりあえず警備の人にエドワードが来たことだけの伝言をお願いして帰ることにした。

 家に着き、これからやらなきゃいけないことをまとめることにした。

 

「まずは剣術の修行は変わらずやっていこう」

『あとは晶術の訓練もしないといけないな。……せっかくだからモンスターを狩りつつ、レベルも上げていくか!』

「だな……あーっと、それにやらないといけないことがあったわ」

 

 他の修行と同じくらいやらなくてはいけないこととは、()()であった。

 エドワードは馬に乗れないのだ。そのせいで今回の騒動では馬車を使うことになってしまっていた。

 馬車の中でも速く走れるものを用意してもらったのだが、これからはきちんと乗れるようにならないといけないと思っていた。

 

(よし。これからは自由に色々なことができるから、強くなるために頑張るぞ!まずは打倒リオンだ!)

(……上手い具合に時間が作れそうでよかった…原作開始まであと一年くらいか。これでエドがどこまで強くなれるかだな)

 

 原作開始まで残り一年。それぞれの思惑はすでに動き始めていた。

 




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